特許第6206130号(P6206130)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206130
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】温水洗浄便座の本体着脱機構
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20170925BHJP
   A47K 13/26 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   E03D9/08 A
   A47K13/26
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-245311(P2013-245311)
(22)【出願日】2013年11月27日
(65)【公開番号】特開2015-101922(P2015-101922A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(72)【発明者】
【氏名】梶野 真一
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−202175(JP,A)
【文献】 特開2002−272646(JP,A)
【文献】 特開平07−194501(JP,A)
【文献】 特開平09−111841(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0106098(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/08
A47K 13/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体局部洗浄機構を内蔵した本体部を構成するケーシングの係合部を、便器に固定された固定プレートの被係合部に係合させて、前記本体部を前記便器に取付位置で着脱可能に取り付ける温水洗浄便座の本体着脱機構であって、
前記ケーシングまたは前記固定プレートの一方の部材に設けられた凹部と、
前記ケーシングまたは前記固定プレートの他方の部材に一体に弾性変位可能に形成され、前記本体部が前記取付位置に位置したときに、前記凹部に係入し、前記係合部が前記被係合部より外れることを制限する突起部と、
前記ケーシングに一体に弾性変位可能に形成され、解除方向に変位されることにより、前記突起部を前記凹部から離脱させる解除レバー部と、を備えた温水洗浄便座の本体着脱機構。
【請求項2】
前記解除レバー部は、前記ケーシングの底部をスリットで隔離されて形成されるとともに、一部が支持部で前記底部と弾性変位可能に連結されている、請求項1の温水洗浄便座の本体着脱機構。
【請求項3】
前記凹部は、前記ケーシングの底部に形成され、
前記突起部は、弾性変位部を介して前記固定プレートに一体に形成されている、請求項1または請求項2の温水洗浄便座の本体着脱機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水洗浄便座の本体着脱機構に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1および特許文献2には、便器に固定された固定プレートを介し、本体部を便器に対して着脱可能に取り付ける温水洗浄便座の本体着脱機構が開示されている。本体着脱機構は、温水洗浄便座が便器に取り付けられている場合に、本体部が固定プレートから外れることを制限している。そして、本体着脱機構は、本体部を固定プレートから取り外すときに制限を解除する解除レバーを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−275140号公報
【特許文献2】特開2003−239353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示されている温水洗浄便座の本体着脱機構は、解除レバーを一つの部材として備えている。部品点数を多くすることは、本体着脱機構のコストに影響を及ぼす。
【0005】
本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、より低コストを実現する温水洗浄便座の本体着脱機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る温水洗浄便座の本体着脱機構は、人体局部洗浄機構を内蔵した本体部を構成するケーシングの係合部を、便器に固定された固定プレートの被係合部に係合させて、本体部を便器に取付位置で着脱可能に取り付ける温水洗浄便座の本体着脱機構であって、ケーシングおよび固定プレートの一方部材に設けられた凹部と、ケーシングおよび固定プレートの他方部材に一体に弾性変位可能に形成され、本体部が取付位置に位置したときに、凹部に係入し、係合部が被係合部より外れることを制限する突起部と、ケーシングに一体に弾性変位可能に形成され、解除方向に変位されることにより、突起部を凹部から離脱させる解除レバー部と、を備えている。
【0007】
これによれば、解除レバー部は、ケーシングに一体に形成されているため、本体着脱機構の部品点数を少なくことができる。したがって、本体着脱機構をより低コストにすることができる。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1の温水洗浄便座の本体着脱機構において、解除レバー部は、ケーシングの底部をスリットで隔離されて形成されるとともに、一部が支持部で底部と弾性変位可能に連結されている。
【0009】
これによれば、解除レバー部は、ケーシングの底部をスリットで隔離されて形成されているため、本体部の内側のスペースをより確保することができる。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る温水洗浄便座の本体着脱機構において、凹部は、ケーシングの底部に形成され、突起部は、弾性変位部を介して固定プレートに一体に形成されている。
【0011】
これによれば、凹部は、ケーシングの底部に形成され、突起部は、弾性変位部を介して固定プレートに一体に形成されている。したがって、省スペースに本体着脱機構を構成することができるため、本体部の内側のスペースをさらに確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る温水洗浄便座を便器に適用した場合を示した側面図である。実線にて示された温水洗浄便座は、便器に取り付ける前を表し、点線にて示す温水洗浄便座は、取り付けた後を表している。
図2図1に示す温水洗浄便座の背面図における一部拡大図である。
図3】本発明に係る温水洗浄便座の本体着脱機構の第一実施形態を示す底面図である。
図4図3に示す固定プレートの底面図である。
図5図3に示す固定プレートの一部拡大図である。
図6図3に示すケーシングの底面図である。
図7】第一実施形態における固定プレートとケーシングとが係合するときを示す図である。実線にて示された固定プレートは、本体部が固定プレートに取付られる場合であって、取付始めを表している。一点破線にて示された固定プレートの突起部は、本体部が固定プレートに取付られるときに、外力によって変位した状態を表している。
図8図3に示すケーシングの一部拡大図である。
図9図8に示す9−9線に沿った断面図である。
図10図8に示す解除レバー部の本体部内側からの斜視図である。
図11図3に示す本体着脱機構の一部拡大図であり、本体部が取付位置に位置し、突起部が凹部に係入している状態を示している。
図12図3に示す本体着脱機構の一部拡大図であり、本体部が取付位置に位置し、突起部が凹部から離脱した状態を示している。
図13】本発明に係る温水洗浄便座の本体着脱機構の第二実施形態を示す底面図の一部拡大図である。
図14図13に示す14−14線に沿った断面図である。
図15図13に示す本体着脱機構の一部拡大図であり、本体部が固定プレートに取付られる場合であって、本体部が取付位置に位置する前を表している。
図16】本発明に係る温水洗浄便座の本体着脱機構の第二実施形態の変形例を示す底面図の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る温水洗浄便座Aの本体着脱機構A1の第一実施形態について、図面を参照しながら説明する。第一実施形態は、後述するように、凹部220が本体プレート20(特許請求の範囲のケーシングに相当)または固定プレート1の一方の部材である本体プレート20に設けられ、突起部132が本体プレート20または固定プレート1の他方の部材である固定プレート1に一体に弾性変位可能に形成され、本体部2が図1の取付位置P1に位置したときに、突起部132が凹部220に係入し、係合部200が被係合部10より外れることを制限する実施形態である。なお、本明細書においては説明の便宜上、図1における上側および下側をそれぞれ温水洗浄便座Aの上方および下方とし、同じく左側および右側をそれぞれ温水洗浄便座Aの後方および前方とし、同じく紙面手前側および紙面奥側を、それぞれ温水洗浄便座Aの右側方および左側方として説明する。また、図1から図3には、各方向を示す矢印を示している。図1および図2に示すように、温水洗浄便座Aは、便器Bに固定される固定プレート1、人体局部洗浄機構(図示なし)を内蔵した本体部2、本体部2に回動可能に支持され、人体が着座する便座3および便座3を覆う便蓋4を備えている。
【0014】
固定プレート1は、図3および図4に示すように、便器Bの取付穴(図示なし)に連通するように形成された貫通穴1aを有している。そして、固定プレート1は、貫通穴1aに挿入される取付部材(例えば、樹脂製のボルトおよびナット)によって、便器Bに固定される。
【0015】
また、本体部2は、本体部2の底部を構成する略板状の本体プレート20(特許請求の範囲のケーシングに相当)、および、本体プレート20に取り付けられ、本体プレート20とともに本体部2の外形を形成する本体カバー21を備えている。固定プレート1、本体プレート20および本体カバー21は、例えばポリプロピレン等の樹脂材料が用いられ、射出成型によって形成される。
【0016】
温水洗浄便座Aの本体着脱機構A1は、本体プレート20の係合部200を、固定プレート1の被係合部10に係合させて、本体部2を便器Bに取付位置P1で着脱可能に取り付けるものである。本実施形態においては、図1に示すように、実線にて示された本体部2が、一点破線にて示された後述する取付位置P1に位置するまで、S1方向(図1における左側)にスライドされることによって、固定プレート1に取り付けられる。このとき、本体着脱機構A1によって、本体部2が固定プレート1から外れることが制限される。そして、本体部2は、本体着脱機構A1による制限が解除され、S2方向にスライドされることにより、固定プレート1から取り外される。本実施形態においては、S1方向が後方に、S2方向が前方に該当する。
【0017】
次に、本体着脱機構A1の本実施形態における構成について説明する。固定プレート1の被係合部10は、図2および図4に示すように、固定プレート1の外形状である前面部110、右側面部120、左側面部130および上面部140によって構成されている。前面部110には、中央に位置決め用窪み部110aが形成されている。右側面部120および左側面部130には、左右方向に突出し、前後方向に延長されたフランジ部121,131が形成されている。上面部140は、略平面状に形成されている。
【0018】
左側面部130には、突起部132および弾性変位部133が形成されている。本実施形態においては、突起部132および弾性変位部133は、フランジ部131の前方で鉤状に形成されている。すなわち、突起部132および弾性変位部133の上下方向の厚みは、フランジ部131と同じである。
【0019】
突起部132は、図5に示すように、フランジ部131の左端面131aから左方向に突出するように形成されている。突起部132は、被係合面132aおよびテーパ面132bを有している。被係合面132aは、後述するように、係合部200が被係合部10から外れることを制限するものであり、本実施形態においては、S2方向に対して垂直に配設された平面である。テーパ面132bは、突起部132の左端面132cと前端面132dとを接続するように形成された面であり、本実施形態においては、S1方向との狭角をおそそ30度に設定された平面である。そして、突起部132は、弾性変位部133を介して固定プレート1に一体に形成されている。
【0020】
弾性変位部133は、フランジ部131からスリット131bで隔離されるように形成されている。すなわち、弾性変位部133は、左側をフランジ部131の左端面131aと同一面にされた直方体形状に形成されている。ここで、弾性変位部133は、突起部132に右方向への外力Fが作用したときに、実線にて示す形状133aから点線にて示す形状133bに変形し、外力Fが取り除かれたときに、形状133aに戻る弾性を有している。
【0021】
これにより、突起部132は、弾性変位部133によって、固定プレート1に一体に弾性変位可能に形成されている。すなわち、突起部132に右方向への外力Fが作用したときに、突起部132は、弾性変位部133が形状133aから形状133bに変形することによって位置X1から位置X2に変位し、外力Fが取り除かれたときに、弾性変位部133が形状133aに戻ることにより位置X1に戻る。
【0022】
本体プレート20の係合部200は、図6に示すように、本体プレート20に固定プレート1の外形状に沿うように凹状に形成され、固定プレート1を取り付ける取付部210、凹部220および解除レバー部230によって構成されている。本実施形態において、凹部220は、本体プレート20に設けられている。
【0023】
取付部210は、固定プレート1における被係合部10の前面部110に対向する前面部211、右側面部120に対向する右側面部212、左側面部130に対向する左側面部213および上面部140に対向する底面214によって形成されている。前面部211は、位置決め用窪み部110aに対向する凸部211aが形成されている。
【0024】
各側面部212,213は、図2および図6に示すように、凹形状を前後方向に延長するように形成され、それぞれフランジ部121,131と係合し、本体部2をS1方向およびS2方向にガイドする溝部212a,213aを有している。ここで、溝部212aの右端面212aaと溝部213aの左端面213aaとの左右方向における寸法gは、固定プレート1が本体部2に係合する場合であって、突起部132が位置X1に位置するときに、図7に示すように、左端面213aaの後端に突起部132のテーパ面132bが当接するように設定されている。さらに、寸法gは、図4に示す寸法fよりも大きい寸法に設定されている。寸法fは、突起部132が位置X2に位置する場合における突起部132の左端面132cの左端とフランジ部121の右端面121aとの左右方向の寸法である。また、底面214は、略平面状に形成されている。
【0025】
凹部220は、図6および図8に示すように、左端面213aaから左方向に窪むように設けられ、後方側にS2方向に対して垂直に配設された係合面221を有する。すなわち、凹部220は、本体プレート20の底部に形成されている。また、凹部220は、前後方向において、突起部132よりも大きい寸法に設定され、図11に示すように、本体部2が取付位置P1に位置したときに、位置X1に位置する突起部132が係入する位置に形成されている。取付位置P1は、本体部2が固定プレート1に取り付けられた場合に、係合部200の前端面211bが被係合部10の前端面110bに当接する位置である。そして、突起部132が凹部220に係入したときに、被係合面132aと係合面221とが対向する。ここで、突起部132が凹部220に係入した場合に、被係合面132aと係合面221とが対向するように、すなわち、被係合面132aと係合面221とが左右方向において係り代を有するように、突起部132の突出量、寸法g等の寸法が設定されている。
【0026】
解除レバー部230は、図8乃至図10に示すように、本体部2の底部をスリットで隔離されて形成されている。本実施形態においては、解除レバー部230は、凹部220より左方向に配設され、本体プレート20の底部をスリット20a,20b,20cで隔離されて形成されている。スリット20a、20bは、本体プレート20の底壁に直線状に形成されている。また、スリット20cは、本体プレート20の左側壁に略U字状に形成されている。これにより、解除レバー部230は、左右方向に変位するように形成される。そして、解除レバー部230の外側の面は、本体部2の外形状と同一面に形成される。
【0027】
また、解除レバー部230は、図8および図9に示すように、左右方向を長手方向とするように形成された直方体部231、直方体部231の左端部から上方に突出する左壁部232および直方体部231の右端部から上方に突出する右壁部233を有している。右壁部233が右方向に変位した場合に、右壁部233の右端面233aが凹部220より右側で右端面233aに対して略平行に形成された面20dに当接することよって、解除レバー部230の右方向への変位量が制限される。ここで、解除レバー部230は、右方向への外力Fが作用した場合に、実線にて示される位置X3から右端面233aと面20dとを当接させた点線にて示される位置X4まで変位する。解除レバー部230が位置X4に位置したときは、解除レバー部230の右端面233aが左端面213aaよりも右方向側に位置する。そして、解除レバー部230は、一部が支持部20eで本体プレート20の底部と弾性変位可能に連結されている。
【0028】
支持部20eは、図10に示すように、アーチ状の薄板に形成され、一方が本体プレート20に接続され、他方が解除レバー部230に接続されている。本実施形態においては、2つの支持部20eによって、解除レバー部230を支持している。そして、支持部20eは、一方を本体プレート20の内側に、他方を直方体部231に接続されている。ここで、支持部20eは、図8に示すように、解除レバー部230に右方向の外力Fが作用したときに、解除レバー部230が位置X3から位置X4に変位し、外力Fが取り除かれたときに位置X3に戻る弾性を有している。すなわち、解除レバー部230は、支持部20eによって、本体プレート20に一体に弾性変位可能に形成されている。なお、本体プレート20における支持部20eの下方には、スリット20fが形成されている。スリット20fは、左右方向において支持部20eよりも大きい寸法に設定されている。
【0029】
次に、第一実施形態における固定プレート1に本体部2を取り付ける場合における本体着脱機構A1の動作について説明する。はじめに、図1に示すように、便器Bの上面における固定プレート1の前方に本体部2が配置される。さらに、固定プレート1の被係合部10に対して、本体部2の係合部200における左右方向の位置が合わせられ、本体部2がS1方向にスライドされる。
【0030】
そして、図7に示すように、突起部132のテーパ面132bが左端面213aaの後端に当接する。さらに、本体部2がS1方向にスライドされることにより、テーパ面132bに右方向の外力Fが作用し、突起部132が位置X1から位置X2に変位する。これにより、固定プレート1の左右方向の幅が寸法gよりも小さい寸法fになるため、フランジ部121,131と溝部212a,213aとが係合する。そして、左端面213aaによって突起部132が位置X2に規制されるとともに、本体部2がフランジ部121,131に沿ってS1方向にさらにスライドされることにより、係合部200の前端面211bが固定プレート1の前端面110bに当接する。すなわち、本体部2が取付位置P1に位置する。
【0031】
ここで、図11に示すように、本体部2が取付位置P1に位置したときに、突起部132は、左端面213aaの規制が外れるため、位置X2から位置X1に変位し、突起部132が凹部220に係入する。これにより、被係合面132aと係合面221とが対向し、被係合面132aと係合面221との係りが生じるため、本体部2は、固定プレート1に対し、S2方向にスライドされることが制限される。すなわち、突起部132は、本体部2が取付位置P1に位置したときに、凹部220に係入し、係合部200が被係合部10より外れることを制限する。
【0032】
次に、第一実施形態における固定プレート1から本体部2を取り外す場合における本体着脱機構A1の動作について説明する。図12に示すように、まず、左壁部232が外側から外力Fにて右方向に、例えば使用者によって押されることによって、解除レバー部230が右方向(特許請求の範囲の解除方向に相当)に操作される。これにより、解除レバー部230が右方向に変位し、解除レバー部230の右端面233aが突起部132に当接する。さらに、解除レバー部230が右方向に操作されることにより、突起部132が位置X1から位置X2に変位する。これにより、突起部132が凹部220から離脱し、被係合面132aと係合面221との係りが無くなる。そして、この状態で本体部2がS2方向にスライドされることにより、本体部2が固定プレート1から取り外される。すなわち、解除レバー部230は、右方向に変位されることにより、突起部132を凹部220から離脱させるものである。
【0033】
本実施形態によれば、解除レバー部230は、本体プレート20に一体的に形成されているため、本体着脱機構A1の部品点数を少なくことができる。したがって、本体着脱機構A1をより低コストにすることができる。具体的には、部品点数の低減により、部品費、組付費用および管理費等を低減することができる。また、支持部20eが有する弾性により、解除レバー部230を位置X4から位置X3に戻すためのスプリング等の弾性部材が不要となる。そして、解除レバー部230を別体にして構成する場合に比べ、解除レバー部230を組付ける必要がないため、欠品や誤組付け等の不具合を排除することができる。さらに、解除レバー部230の操作中において発生する解除レバー部230の外れを防ぐことができる。
【0034】
また、解除レバー部230は、本体プレート20の底部をスリット20a,20b,20cで隔離されて形成されているため、本体部2の内側のスペースをより確保することができる。さらに、支持部20eの下方にはスリット20fが形成されているため、解除レバー部230および支持部20eを、本体プレート20の金型の形状によって形成することができる。すなわち、本体プレート20が射出成型によって形成されるときに、解除レバー部230および支持部20eについても同時に形成される。
【0035】
また、凹部220は、本体プレート20の底部に形成され、突起部132は、弾性変位部133を介して固定プレート1に一体に形成されている。したがって、省スペースに本体着脱機構A1を構成することができるため、本体部2の内側のスペースをさらに確保することができる。
【0036】
次に、本発明に係る温水洗浄便座Aの本体着脱機構A1の第二実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に、図面を参照しながら説明する。第二実施形態は、後述するように、凹部134が本体プレート20(特許請求の範囲のケーシングに相当)または固定プレート1の一方の部材である固定プレート1に設けられ、右壁部243(特許請求の範囲の突起部に相当)が本体プレート20または固定プレート1の他方の部材である本体プレート20に一体に弾性変位可能に形成され、本体部2が図1の取付位置P1に位置したときに、右壁部243が凹部134に係入し、係合部200が被係合部10より外れることを制限する実施形態である。なお、第一実施形態と同様の部分については、同一名称及び同一符号を付して説明を割愛する。
【0037】
第二実施形態における本体プレート20の係合部200は、第一実施形態における解除レバー部230に代えて、解除レバー部240を有している点が異なっている。解除レバー部240は、図13および図14に示すように、本体プレート20の底部を直線状に形成されたスリット20p,20q,20rで隔離されて形成されている。解除レバー部240は、直方体部241および直方体部241の左端部から下方に突出する左壁部242を有している。また、直方体部241は、左端面213aaより右側に位置し、直方体部241の右端部から上方に突出する右壁部243(特許請求の範囲の突起部に相当)を有している。そして、右壁部243は、直方体部241の後端面241aと右端面243aとを接続するテーパ面243bを有している。本実施形態においては、テーパ面243bは、S1方向との狭角をおよそ30度に設定されている。また、直方体部241の前端面241bは、S2方向に対して垂直に形成されている。
【0038】
ここで、解除レバー部240は、左方向への外力Fが作用した場合に、実線にて示される位置X5から点線にて示される位置X6に変位する。解除レバー部240が位置X6に位置したときは、右壁部243は、左端面213aaよりも左方向側に位置する。そして、解除レバー部240は、一部が支持部20s(特許請求の範囲の支持部および弾性変位部に相当)で本体プレート20の底部と弾性変位可能に連結されている。
【0039】
支持部20sは、第一実施形態における支持部20eと同一の形状を有する。ここで、支持部20sは、本実施形態においては、解除レバー部240に左方向の外力Fが作用したときに、解除レバー部240が位置X5から位置X6に変位し、外力Fが取り除かれたときに位置X5に戻る弾性を有している。すなわち、解除レバー部240の右壁部243は、支持部20sを介して、本体プレート20に一体に弾性変位可能に形成されている。
【0040】
第二実施形態における固定プレート1の被係合部10は、第一実施形態における突起部132および弾性変位部133に代えて、フランジ部131に凹部134およびテーパ面135を有している点が異なっている。すなわち、本実施形態において、凹部134は、固定プレート1に設けられている。
【0041】
凹部134は、左端面131aから右方向に窪むように形成され、前方側にS2方向に対して垂直な係合面134aを有する。凹部134は、前後方向において、解除レバー部240の右壁部243よりも大きい寸法に設定され、本体部2が取付位置P1に位置したときに、位置X5に位置する解除レバー部240の右壁部243が係入する位置に形成されている。そして、右壁部243が凹部134に係入したときに、係合面134aと解除レバー部240の前端面241bとが対向する。
【0042】
テーパ面135は、凹部134よりも前方向で、左端面131aと前端面110bとを接続する平面である。本実施形態においては、テーパ面135は、S1方向との狭角をおよそ30度に設定されている。
【0043】
次に、第二実施形態における固定プレート1に本体部2を取付ける場合における本体着脱機構A1の動作について説明する。はじめに、便器Bの上面において、固定プレート1の被係合部10に対して、本体部2の係合部200における左右方向の位置が合わせられ、本体部2がS1方向にスライドされる。
【0044】
そして、固定プレート1のフランジ部121,131と本体部2の溝部212a,213aとが係合し、本体部2がフランジ部121,131に沿ってS1方向に、さらにスライドされる。そして、図15に示すように、固定プレート1のテーパ面135と解除レバー部240のテーパ面243bとが当接する。この状態から、さらに本体部2がS1方向にスライドされることにより、テーパ面243bに左方向の外力Fが作用し、解除レバー部240が位置X5から位置X6に変位する。そして、本体部2をS1方向にさらにスライドさせることにより、係合部200の前端面211bが固定プレート1の前端面110bに当接する。すなわち、本体部2が取付位置P1に位置する。
【0045】
ここで、図13に示すように、本体部2が取付位置P1に位置したときに、支持部20sが有する弾性によって、解除レバー部240が位置X6から位置X5に変位する。これにより、右壁部243が凹部134係入し、係合面134aと前端面241bとが対向する。よって、本体部2は、固定プレート1に対し、S2方向にスライドされることが制限される。すなわち、右壁部243は、本体部2が取付位置P1に位置したときに、凹部134に係入し、係合部200が被係合部10より外れることを制限する。
【0046】
次に、第二実施形態における固定プレート1から本体部2を取り外す場合における本体着脱機構A1の動作について説明する。まず、図14に示すように、左壁部242の内側面242aが左方向に外力Fにて押されることによって、解除レバー部240が左方向(特許請求の範囲の解除方向に相当)に操作される。これにより、解除レバー部240が左方向に変位し、右壁部243が位置X5から位置X6に変位するため、右壁部243が凹部134から離脱する。そして、この状態で本体部2がS2方向にスライドされることにより、本体部2が固定プレート1から取り外される。すなわち、本実施形態において、解除レバー部240は、左方向に変位されることにより、右壁部243を凹部134から離脱させるものである。
本実施形態によれば、第一実施形態における効果と同様の効果を有する。
【0047】
次に、本発明に係る温水洗浄便座Aの本体着脱機構A1における第二実施形態の変形例について説明する。本実施形態においては、図16に示すように、解除レバー部240の右端部がテーパ面243bに代えて、後方に突出する略L字状に形成された突出部244(特許請求の範囲の突起部に相当)を有している点、第二実施形態における左壁部242に代えて上方に突出する左壁部(図示なし)を有している点、および、固定プレート1に形成された凹部134に代えて、略L字状に形成された凹部136を備える点が異なっている。
【0048】
ここで、本体部2が取付位置P1に位置するときに、凹部136に突出部244が係入し、突出部244にS2方向に対して垂直に配設された係合面244aと、凹部136にS2方向に対して垂直に配設された被係合面136aとが対向するため、本体部2は、固定プレート1に対し、S2方向にスライドされることが制限される。すなわち突出部244は、本体部2が取付位置P1に位置したときに、凹部136に係入し、係合部200が被係合部10より外れることを制限する。
【0049】
また、解除レバー部240は、右方向(特許請求の範囲の解除方向に相当)に外力Fにて操作されたときに、実線にて示された位置X7から点線にて示された位置X8に変位する。このとき、この状態で本体部2がS2方向にされることにより、突出部244が凹部136から離脱する。すなわち、本実施形態において、解除レバー部240は、右方向に変位されることにより、突出部244を凹部134から離脱させるものである。
【0050】
さらに、第三実施形態は、解除レバー部240が一部を支持部20t(特許請求の範囲の支持部および弾性変位部に相当)で本体プレート20の底部と弾性変位可能に連結されている点において、第二実施形態と異なっている。
【0051】
支持部20tは、第二実施形態における支持部20sと同一の形状を有する。ここで、支持部20tは、本実施形態においては、解除レバー部240に右方向の外力Fが作用したときに、解除レバー部240が位置X7から位置X8に変位し、外力Fが取り除かれたときに位置X7に戻る弾性を有している。すなわち、解除レバー部240の突出部244は、支持部20tを介して、本体プレート20に一体に弾性変位可能に形成されている。
本実施形態によれば、第一実施形態における効果と同様の効果を有する。
【0052】
なお、第一実施形態において、2つの支持部20eは、本体プレート20と直方体部231とを支持しているが、これに代えて、一方の支持部20eが本体プレート20と直方体部231とを、他方の支持部20eが本体プレート20と左壁部232とを支持するようにしても良い。
【符号の説明】
【0053】
1…固定プレート、1a…貫通穴、2…本体部、3…便座、4…便蓋、10…被係合部、20…本体プレート(ケーシング)、20a,20b,20c,20p,20q,20r…スリット、20e…支持部、20s,20t…支持部(支持部,弾性変位部)、21…本体カバー、110…前面部、120…右側面部、130…左側面部、121,131…フランジ部、132…突起部、132a…被係合面、132b…テーパ面、133…弾性変位部、134,136…凹部、140…上面部、200…係合部、210…取付部、211…前面部、212…右側面部、212a,213a…溝部、213…左側面部、214…底面、220…凹部、221…係合面、230,240…解除レバー部、243…右壁部(突起部)、244…突出部(突起部)、A…温水洗浄便座、A1…本体着脱機構、B…便器、P1…取付位置。
図1
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