特許第6206132号(P6206132)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206132
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】印刷管理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   G06F3/12 334
   G06F3/12 322
   G06F3/12 310
   G06F3/12 338
   G06F3/12 361
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-245448(P2013-245448)
(22)【出願日】2013年11月27日
(65)【公開番号】特開2015-103193(P2015-103193A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 利彦
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 佳奈
【審査官】 田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−193269(JP,A)
【文献】 特開2012−056117(JP,A)
【文献】 特開2013−208837(JP,A)
【文献】 特開2007−034492(JP,A)
【文献】 特開2004−295785(JP,A)
【文献】 特開2008−155374(JP,A)
【文献】 特開2008−230039(JP,A)
【文献】 特開2007−034940(JP,A)
【文献】 特開2012−153092(JP,A)
【文献】 特開2002−041267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象データの印刷が許可された出力許可範囲内に設置された印刷装置の障害を検知する障害検知手段と、
前記出力許可範囲内に設置された印刷装置による前記印刷対象データの印刷中に当該印刷装置の障害が検知された場合、前記障害が検知された印刷装置と他の印刷装置との位置関係に基づいて、代替の印刷装置を選択する選択手段と、
前記代替の印刷装置が前記出力許可範囲外に設置されている場合、前記障害が検知された印刷装置によって印刷されていた前記印刷対象データの印刷を、前記代替の印刷装置に許可するための処理を行う処理手段と、
を有し、
前記処理手段は、
前記出力許可範囲外に設置された前記代替の印刷装置によって前記印刷対象データを印刷するための代替照合情報を、前記障害が検知された印刷装置に出力する代替照合情報出力手段と、
前記代替の印刷装置にて前記代替照合情報が入力された場合、前記代替の印刷装置による前記印刷対象データの印刷を許可する許可手段と、を有する、
印刷管理装置。
【請求項2】
前記許可手段は、前記印刷対象データを印刷するための照合情報が、前記出力許可範囲内に設置された印刷装置にて入力された場合に、前記出力許可範囲内に設置された印刷装置による前記印刷対象データの印刷を更に許可し、
前記代替照合情報は、前記照合情報とは異なる情報である、
ことを特徴とする請求項に記載の印刷管理装置。
【請求項3】
前記代替照合情報は、前記印刷対象データのうち障害発生前に既に印刷された範囲を示す情報である、
ことを特徴とする請求項又は請求項に記載の印刷管理装置。
【請求項4】
前記代替照合情報によって許可される印刷の回数は制限されている、
ことを特徴とする請求項から請求項のいずれか一項に記載の印刷管理装置。
【請求項5】
コンピュータを、
印刷対象データの印刷が許可された出力許可範囲内に設置された印刷装置の障害を検知する障害検知手段と、
前記出力許可範囲内に設置された印刷装置による前記印刷対象データの印刷中に当該印刷装置の障害が検知された場合、前記障害が検知された印刷装置と他の印刷装置との位置関係に基づいて、代替の印刷装置を選択する選択手段と、
前記代替の印刷装置が前記出力許可範囲外に設置されている場合、前記障害が検知された印刷装置によって印刷されていた前記印刷対象データの印刷を、前記代替の印刷装置に許可するための処理を行う処理手段と、
として機能させ、
前記処理手段は、
前記出力許可範囲外に設置された前記代替の印刷装置によって前記印刷対象データを印刷するための代替照合情報を、前記障害が検知された印刷装置に出力する代替照合情報出力手段と、
前記代替の印刷装置にて前記代替照合情報が入力された場合、前記代替の印刷装置による前記印刷対象データの印刷を許可する許可手段と、を有する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷管理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク上の印刷装置を利用して印刷が行われる場合がある。
【0003】
特許文献1には、プリントサーバが、ネットワーク上で無効となっているプリンタを検出し、クライアントで当該無効プリンタ用のプリンタドライバを利用しているか否かを検索し、無効プリンタドライバが検出された場合、プリントサーバが、近しい属性を有する代替プリンタを検索するシステムが開示されている。
【0004】
特許文献2には、印刷ジョブを印刷装置に送信する際に、印刷装置の状態情報に基づいて印刷装置の状態を判別し、当該印刷装置に障害がないことが判別された場合に限り印刷ジョブを当該印刷装置に送信するシステムが開示されている。
【0005】
特許文献3には、文書データに含まれる印刷条件情報に応じて、文書データに含まれる印刷データに基づくプリンタによる印刷を制御する装置が開示されている。印刷条件情報は、プリンタが設置された地域毎に設定された、各プリンタでの印刷に関する条件を示す情報である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−183889号公報
【特許文献2】特開2007−34940号公報
【特許文献3】特開2006−221571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、印刷対象データのセキュリティを確保するために、印刷が許可された範囲(出力許可範囲)を設定し、その出力許可範囲内に設置された印刷装置によって印刷対象データを印刷する場合がある。この場合、出力許可範囲外に設置された印刷装置による印刷が禁止される。このように出力許可範囲が設定されている状況で、出力許可範囲内に設置された印刷装置に障害が発生し、当該印刷装置による印刷が続行されなくなった場合、他の印刷装置を代替機として印刷を続行することがある。しかしながら、代替機が遠隔地に設置されている場合、ユーザの移動時間が長くなり、ユーザの利便性が低下するおそれがある。また、障害が発生した印刷装置の近くに代替機となり得る印刷装置が設置されている場合であっても、その代替機となり得る印刷装置が出力許可範囲外に設置されている場合、その代替機を使用するためには、許可範囲を変更する必要があり、印刷対象データのセキュリティが確保されないおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、印刷対象データのセキュリティを確保するとともに、ユーザの利便性の低下を防止又は軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、印刷対象データの印刷が許可された出力許可範囲内に設置された印刷装置の障害を検知する障害検知手段と、前記出力許可範囲内に設置された印刷装置による前記印刷対象データの印刷中に当該印刷装置の障害が検知された場合、前記障害が検知された印刷装置と他の印刷装置との位置関係に基づいて、代替の印刷装置を選択する選択手段と、前記代替の印刷装置が前記出力許可範囲外に設置されている場合、前記障害が検知された印刷装置によって印刷されていた前記印刷対象データの印刷を、前記代替の印刷装置に許可するための処理を行う処理手段と、を有し、前記処理手段は、前記出力許可範囲外に設置された前記代替の印刷装置によって前記印刷対象データを印刷するための代替照合情報を、前記障害が検知された印刷装置に出力する代替照合情報出力手段と、前記代替の印刷装置にて前記代替照合情報が入力された場合、前記代替の印刷装置による前記印刷対象データの印刷を許可する許可手段と、を有する、印刷管理装置である。
【0011】
請求項に係る発明は、前記許可手段は、前記印刷対象データを印刷するための照合情報が、前記出力許可範囲内に設置された印刷装置にて入力された場合に、前記出力許可範囲内に設置された印刷装置による前記印刷対象データの印刷を更に許可し、前記代替照合情報は、前記照合情報とは異なる情報である、ことを特徴とする請求項に記載の印刷管理装置である。
【0012】
請求項に係る発明は、前記代替照合情報は、前記印刷対象データのうち障害発生前に既に印刷された範囲を示す情報である、ことを特徴とする請求項又は請求項に記載の印刷管理装置である。
【0013】
請求項に係る発明は、前記代替照合情報によって許可される印刷の回数は制限されている、ことを特徴とする請求項から請求項のいずれか一項に記載の印刷管理装置である。
【0015】
請求項に係る発明は、コンピュータを、印刷対象データの印刷が許可された出力許可範囲内に設置された印刷装置の障害を検知する障害検知手段と、前記出力許可範囲内に設置された印刷装置による前記印刷対象データの印刷中に当該印刷装置の障害が検知された場合、前記障害が検知された印刷装置と他の印刷装置との位置関係に基づいて、代替の印刷装置を選択する選択手段と、前記代替の印刷装置が前記出力許可範囲外に設置されている場合、前記障害が検知された印刷装置によって印刷されていた前記印刷対象データの印刷を、前記代替の印刷装置に許可するための処理を行う処理手段と、として機能させ、前記処理手段は、前記出力許可範囲外に設置された前記代替の印刷装置によって前記印刷対象データを印刷するための代替照合情報を、前記障害が検知された印刷装置に出力する代替照合情報出力手段と、前記代替の印刷装置にて前記代替照合情報が入力された場合、前記代替の印刷装置による前記印刷対象データの印刷を許可する許可手段と、を有する、プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1,に係る発明によると、印刷対象データのセキュリティが確保されるとともに、ユーザの利便性の低下が防止又は軽減される。また、代替照合情報の漏洩が防止、又は、漏洩の危険性が軽減されるため、セキュリティの低下が防止又は軽減される。
【0018】
請求項に係る発明によると、照合情報と同一の情報によって代替の印刷装置による印刷を許可する場合と比較して、印刷対象データのセキュリティの低下が防止又は軽減される。
【0019】
請求項に係る発明によると、既に印刷された範囲に応じて代替照合情報が変わるため、印刷対象データのセキュリティの低下が防止又は軽減される。
【0020】
請求項に係る発明によると、印刷回数を制限しない場合と比較して、印刷対象データのセキュリティの低下が防止又は軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る印刷システムの一例を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係る印刷管理装置及び印刷装置の一例を示すブロック図である。
図3】出力許可範囲に関する管理テーブルの一例を示す図である。
図4】出力許可範囲外の印刷装置での印刷に関する管理テーブルの一例を示す図である。
図5】本実施形態に係る印刷システムの処理の一例を説明するためのブロック図である。
図6】本実施形態に係る印刷システムの処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に、本発明の実施形態に係る印刷システムの一例を示す。本実施形態に係る印刷システムは、印刷管理装置10及び複数の印刷装置(例えば、印刷装置110,120,・・・,150)を含み、それらはネットワーク等の通信経路Nを介して接続されている。なお、図1には、5台の印刷装置が示されているが、5台以外の台数の印刷装置が通信経路Nを介して印刷管理装置10に接続されていてもよい。以下、印刷装置110,120,・・・,150を、まとめて「印刷装置110等」と称する場合がある。
【0024】
印刷管理装置10は、印刷装置110等による印刷の対象となるデータ(印刷対象データ)を管理し、印刷対象データを印刷装置110等に送信する。
【0025】
印刷装置110等は、印刷管理装置10から印刷対象データを受信して印刷する。印刷装置110等は、例えば予約情報(照合情報)を受け付けると、当該予約情報に対応する印刷対象データを印刷する。予約情報(照合情報)は、印刷装置110等にて印刷対象データを印刷するために用いられる情報である。印刷装置110等は、それぞれ同一の建物内に設置されていてもよいし、それぞれ異なる建物内に設置されていてもよい。印刷装置110等は、一例として、コンビニエンスストア、スーパー、ホテル又は図書館等に設置されている。なお、印刷装置110等は、印刷機能の他、コピー機能やファクシミリ機能を備えていてもよい。
【0026】
端末装置50は、一例としてパーソナルコンピュータや携帯端末装置(スマートフォンや携帯電話)であり、通信経路Nに接続されて、印刷管理装置10との間でデータの送受信を行う。
【0027】
登録ユーザ200は、印刷対象データを印刷管理装置10に登録するユーザである。例えば、登録ユーザ200は、端末装置50を利用することで、印刷対象データを印刷管理装置10に登録する。
【0028】
印刷ユーザ300は、印刷装置110等を利用して印刷対象データの印刷を要求するユーザである。なお、登録ユーザ200と印刷ユーザ300とは、同一人物であってもよいし、異なる人物であってもよい。
【0029】
出力許可範囲は、印刷ユーザ300による印刷対象データの印刷が許可された範囲である。図1に示す例では、印刷ユーザ300は、出力許可範囲内に設置された印刷装置120,130,140による印刷が許可されており、出力許可範囲外に設置された印刷装置110,150による印刷は禁止されている。出力許可範囲は、印刷管理装置10によって管理されており、例えば、ユーザ毎や印刷対象データ毎に設定される。出力許可範囲の設定は、例えば印刷管理装置10の管理者によって行われる。出力許可範囲は、一例として市町村等の地域や、建物内のフロアやエリア等である。例えば、印刷ユーザ300の出力許可範囲として「横浜市」が設定された場合、印刷ユーザ300は、「横浜市」に設置されている印刷装置110等による印刷が許可され、「横浜市」以外の地域に設置されている印刷装置110等による印刷が禁止される。この出力許可範囲は、セキュリティを確保するために設定されるものである。例えば、印刷ユーザ毎に出力許可範囲が設定される場合、印刷ユーザが利用し得る印刷装置110等が出力許可範囲内に含められ、印刷ユーザが利用し得ない印刷装置110等は出力許可範囲から外される。例えば、印刷ユーザが営業担当者であり、営業エリアが「横浜市」である場合、「横浜市」に設置されている印刷装置110等は当該印刷ユーザによって利用され得るが、「横浜市」以外の地域に設置されている印刷装置110等は当該印刷ユーザによっては利用され得ない。そのため、当該印刷ユーザに対しては、出力許可範囲を「横浜市」に設定することで、当該印刷ユーザが利用し得る印刷装置110等による印刷が許可され、それ以外の印刷装置110等では印刷が禁止されるため、印刷対象データのセキュリティが確保され得る。また、セキュリティレベルを基準にして出力許可範囲が設定されてもよい。例えば、予め設定されたセキュリティレベルが確保される印刷装置110等を出力許可範囲内に含めてもよい。一例として、指紋認証機能を備える印刷装置を出力許可範囲内に含めてもよい。これにより、予め設定されたセキュリティレベルが確保されない印刷装置では印刷が禁止されるため、そのセキュリティレベルが確保される。
【0030】
次に、図2を参照して、印刷管理装置10及び印刷装置110等の構成について説明する。なお、印刷装置110,120,・・・,150の構成は同じであるため、図2には、それらを代表して印刷装置110が示されている。
【0031】
まず、印刷管理装置10の構成について説明する。
【0032】
印刷データ登録部12は、印刷対象データを受けて、当該印刷対象データを印刷データ記憶部14に記憶させる。例えば、印刷データ登録部12は、登録ユーザ200の端末装置50から印刷対象データを受信し、当該印刷対象データを印刷データ記憶部14に記憶させる。印刷データ登録部12は、例えば、印刷対象データに識別情報(印刷対象データID)及び照合情報(予約情報)を関連付けて、印刷対象データを印刷データ記憶部14に記憶させる。
【0033】
管理部16は、出力許可範囲を管理し、その管理に関する情報を管理情報記憶部18に記憶させる。管理部16は、例えば図3に示すように、管理IDと、出力許可範囲情報と、印刷装置IDと、印刷装置状態と、ユーザIDと、印刷対象データIDと、の対応関係を示す出力許可範囲に関する管理テーブルを作成し、当該管理テーブルを管理情報記憶部18に記憶させる。管理IDは、出力許可範囲を管理するためのIDである。出力許可範囲情報は、出力許可範囲を示す情報であり、一例として、出力が許可された地域名(例えば「横浜市」)を特定するための情報である。印刷装置IDは、印刷装置110等に割り当てられて印刷装置110等を識別するための情報であり、対応する出力許可範囲内に設置されている印刷装置110等の識別情報である。印刷装置状態は、印刷装置110等の状態を示す項目であり、「OK」は障害が発生していないことを示し、「NG」は障害が発生していることを示す。ユーザIDは、印刷ユーザ300を識別するための情報であり、対応する出力許可範囲内に設置された印刷装置110等による印刷が許可された印刷ユーザ300の識別情報である。印刷対象データIDは、登録ユーザ200によって登録されたデータを識別するための情報である。このように、出力許可範囲に関する管理テーブルは、出力許可範囲と、その出力許可範囲内に設置されている印刷装置110等と、その印刷装置110等の印刷状態と、その出力許可範囲内に設置されている印刷装置110等による印刷が許可された印刷ユーザと、その印刷装置110等で印刷が許可された印刷対象データと、の対応関係を示す。図1に示す例で説明すると、出力許可範囲と、その出力許可範囲内に設置されている印刷装置120,130,140と、それらの印刷装置状態と、印刷装置120,130,140による印刷が許可された印刷ユーザ300と、印刷対象データと、が関連付けられている。なお、印刷装置状態を示す情報は、例えば、印刷装置110等から定期的に印刷管理装置10に送信され、管理部16は、その情報に基づいて、管理テーブルに含まれる情報を更新する。
【0034】
また、管理部16は、出力許可範囲外の印刷装置110等での印刷に関する管理テーブルを作成し、当該管理テーブルを管理情報記憶部18に記憶させる。この管理テーブルには、後述する照合情報作成部22によって作成された照合情報と、同様に後述する代替照合情報作成部36によって作成された代替照合情報と、が含まれる。この管理テーブルについては、後述する。
【0035】
印刷情報作成部20は、印刷対象データの印刷命令を示す印刷情報(印刷ジョブ)を作成する。この印刷情報には、印刷対象データの印刷条件を示す情報が含まれる。印刷条件は、例えば、用紙サイズ、カラー印刷の有無、両面印刷の有無等である。
【0036】
照合情報作成部22は、出力許可範囲内に設置された印刷装置110等によって印刷対象データを印刷するための照合情報を作成する。この照合情報は、例えば一意の文字列又画像で表され、印刷対象データを印刷するための予約情報に相当する。
【0037】
照合情報出力部24は、照合情報を出力する。例えば、照合情報出力部24は、登録ユーザ200又は印刷ユーザ300の端末装置50に照合情報を送信してもよいし、照合情報を表示部に表示させてもよい。
【0038】
照合情報受信部26は、印刷装置110等にて入力され印刷装置110等から送信された照合情報を受信する。また、照合情報受信部26は、後述する代替照合情報を、印刷装置110等から受信する。
【0039】
照合部28は、印刷装置110等から送信された照合情報と、照合情報作成部22によって作成され印刷対象データに関連付けられている照合情報と、を照合し、照合結果を印刷情報送信部30に出力する。また、照合部28は、後述する代替照合情報作成部36によって作成され印刷対象データに関連付けられている代替照合情報と、印刷装置110等から送信された代替照合情報と、を照合し、照合結果を印刷情報送信部30に出力する。
【0040】
印刷情報送信部30は、照合部28から照合結果を受け、照合情報を用いた照合が成功した場合(例えば、印刷装置110等から送信された照合情報と、印刷対象データに関連付けられている照合情報と、が一致する場合)、照合情報に対応する印刷対象データと印刷情報とを、照合情報が入力された印刷装置110等に送信する。一方、照合が失敗した場合(例えば、両照合情報が一致しない場合)、印刷情報送信部30は、印刷対象データ及び印刷情報を送信しない。
【0041】
また、印刷情報送信部30は、代替照合情報を用いた照合が成功した場合(例えば、印刷装置110等から送信された代替照合情報と、印刷対象データに関連付けられている代替照合情報と、が一致する場合)、代替照合情報に対応する印刷対象データと印刷情報と、を代替照合情報が入力された印刷装置110等に送信する。一方、照合が失敗した場合(例えば、両代替照合情報が一致しない場合)、印刷情報送信部30は、印刷対象データ及び印刷情報を送信しない。
【0042】
障害検知部32は、印刷装置110等にて障害が発生したことを示す情報(障害情報)を、障害が発生した印刷装置110等から受信することで、印刷装置110等の障害の発生を検知する。この障害は、印刷装置110等の故障の他、用紙切れやトナー切れ等も含む。例えば、障害検知部32は、印刷対象データの印刷中に障害が発生した印刷装置110等から障害情報を受信することで、当該印刷装置110等の障害の発生を検知する。このとき、障害検知部32は、印刷対象データのうち障害発生前に既に印刷された範囲を示す情報を受信する。この情報は、障害が発生した印刷装置110等によって、印刷対象データがどこまで(何ページまで)印刷されたのかを示す情報である。
【0043】
選択部34は、障害が発生した印刷装置110等と、他の印刷装置110等と、の位置関係に基づいて、障害が発生した印刷装置110等によって印刷されていた印刷対象データを印刷するための代替の印刷装置110等を選択する。このとき、選択部34は、印刷対象データの印刷条件に従って印刷する機能を有する印刷装置110等を、代替の印刷装置110等として選択する。例えば、カラー印刷が要求されている場合、カラー印刷の機能を有する印刷装置110等が、代替の印刷装置110等として選択される。このように、選択部34は、印刷装置110等の位置関係と印刷条件とに基づいて、代替の印刷装置110等を選択する。
【0044】
例えば、印刷装置110等が設置されている場所を示す所在地情報、及び、印刷装置110等の機能を示す機能情報が、印刷管理装置10の図示しない記憶部に予め記憶されている。選択部34は、印刷対象データの印刷条件に従って印刷する機能を有する印刷装置110等の中から、障害が発生した印刷装置110等から距離が最も近い位置に設置されている他の印刷装置110等を、代替の印刷装置110等として選択する。または、選択部34は、印刷対象データの印刷条件に従って印刷する機能を有する印刷装置110等の中から、障害が発生した印刷装置110等から予め設定された距離内に設置されている他の印刷装置110等を、代替の印刷装置110等として選択してもよい。この選択によっては、出力許可範囲内に設置されている印刷装置110等が代替の印刷装置110等として選択される場合もあれば、出力許可範囲外に設置されている印刷装置110等が代替の印刷装置110等として選択される場合もある。
【0045】
また、選択部34は、障害が発生した印刷装置110等と同程度のセキュリティが確保されることを選択条件として、代替の印刷装置110等を選択してもよい。例えば、故障が発生した印刷装置110等が指紋認証機能を備えている場合、選択部34は、指紋認証機能を備えている印刷装置110等の中から、印刷対象データの印刷条件に従って印刷する機能を有し、障害が発生した印刷装置110等から距離が最も近い位置又は予め設定された距離内に設置されている印刷装置110等を、代替の印刷装置110等として選択してもよい。なお、印刷装置110等のセキュリティに関する機能を示す情報は、印刷管理装置10の図示しない記憶部に予め記憶されており、選択部34は、その情報に基づいて、代替の印刷装置110等を選択すればよい。
【0046】
代替照合情報作成部36は、出力許可範囲外に設置されている印刷装置110等が代替の印刷装置110等として選択された場合、当該印刷装置110等によって印刷対象データを印刷するための代替照合情報(代替予約情報)を作成する。この代替照合情報は、照合情報作成部22によって作成される照合情報とは異なる情報である。代替照合情報によって許可される印刷の回数は制限されており、例えば、1回のみの印刷が許可される。また、代替照合情報は、印刷対象データのうち障害発生前に既に印刷された範囲を示す情報であってもよい。すなわち、代替照合情報は、障害が発生した印刷装置110等によって、印刷対象データがどこまで(何ページまで)印刷されたのかを示す情報であってもよい。
【0047】
代替照合情報送信部38は、代替照合情報を、障害が発生した印刷装置110等に送信する。代替照合情報送信部38は、印刷ユーザ300の端末装置50に代替照合情報を送信してもよい。また、代替照合情報送信部38は、代替の印刷装置110等の所在地を示す所在地情報を、障害が発生した印刷装置110等又は端末装置50に送信する。
【0048】
なお、照合情報及び代替照合情報は、管理部16に出力され、管理部16によって管理される。例えば図4に示すように、管理部16は、IDと、照合情報と、ユーザIDと、代替照合情報と、代替の印刷装置110等での出力回数(印刷回数)と、管理IDと、の対応関係を示す管理テーブルを作成し、当該管理テーブルを管理情報記憶部18に記憶させる。IDは、各情報を管理するためのIDであり、通し番号である。照合情報は照合情報作成部22によって作成された情報であり、出力許可範囲内に設置された印刷装置110等によって印刷対象データを印刷するための情報である。ユーザIDは、印刷対象データの印刷を要求した印刷ユーザ300の識別情報である。代替照合情報は代替照合情報作成部36によって作成された情報であり、出力許可範囲外に設置された印刷装置110等によって印刷対象データを印刷するための情報である。管理IDは、図3に示す管理テーブルに含まれる管理IDに対応する。図3及び図4に示すように、出力許可範囲と、印刷装置と、印刷装置の状態と、印刷ユーザと、印刷対象データと、照合情報と、代替照合情報と、出力回数と、が関連付けられており、管理部16は、図3及び図4に示す管理テーブルを用いて、それらの情報を管理する。
【0049】
次に、印刷装置110の構成について説明する。なお、印刷装置120〜150も、印刷装置110と同じ構成を有する。
【0050】
印刷部111は、印刷対象のデータを印刷する。ユーザインターフェース部(UI部)112は操作部と表示部とを備え、情報を表示し、印刷ユーザ300によって入力された情報を受け付ける。送受信部113は、印刷管理装置10との間でデータの送受信を行う。制御部114は、印刷装置110の各部を制御する。障害検知部115は、印刷装置110に発生した障害を検知する。この障害は、印刷部111の故障(印刷続行の障害となる故障)の他、用紙切れやトナー切れ等も含む。障害検知部115によって障害が検知された場合、送受信部113は、障害が発生したことを示す情報(障害情報)を、印刷管理装置10に送信する。
【0051】
次に、本実施形態に係る印刷システムの動作について説明する。
【0052】
まず、図1を参照して、通常時(障害が発生していないとき)の動作の概略について説明する。登録ユーザ200が、端末装置50を利用して印刷対象データを印刷管理装置10に登録する。印刷管理装置10は、印刷対象データの印刷情報(印刷ジョブ)と照合情報とを作成する。この照合情報は、例えば端末装置50等にてユーザに提示される。印刷対象データを印刷する場合、印刷ユーザ300は、出力許可範囲内に設置されている印刷装置110等(例えば印刷装置140)に、照合情報を入力する。印刷管理装置10は、印刷装置140に入力された照合情報と、印刷対象データに関連付けられている照合情報と、を照合し、照合が成功した場合、印刷対象データと印刷情報とを印刷装置140に送信する。印刷装置140は、印刷情報に従って印刷対象データを印刷する。
【0053】
次に、図5を参照して、印刷中に障害が発生した場合の動作の概略について説明する。通常時と同様に、印刷装置140にて印刷対象データが印刷されているものとする。印刷中に印刷装置140にて障害が発生して印刷が中断された場合(1)、印刷装置140は、故障情報を印刷管理装置10に送信する(2)。印刷管理装置10は、印刷対象データの印刷条件と、印刷装置110等の位置関係と、に基づいて、代替の印刷装置110等を選択し(3)、代替の印刷装置110等の所在地情報を、障害が発生した印刷装置140又は印刷ユーザ300の端末装置50に送信する(4)。出力許可範囲外に設置されている印刷装置110等が代替の印刷装置110等として選択された場合、印刷管理装置10は、代替照合情報を作成し、その代替照合情報を印刷装置140又は印刷ユーザ300の端末装置50に送信する。図5に示す例では、出力許可範囲外に設置されている印刷装置150が代替機として選択されているため、代替照合情報及び所在地情報が、印刷装置140又は印刷ユーザ300の端末装置50に送信される。印刷装置140又は端末装置50は、印刷装置150の所在地情報及び代替照合情報を表示する(5)。そして、印刷ユーザ300が印刷装置150に代替照合情報を入力すると、印刷管理装置10は、印刷装置150に入力された代替照合情報と、印刷対象データに関連付けられている代替照合情報と、を照合する。照合が成功した場合、印刷管理装置10は、印刷対象データと印刷情報とを印刷装置150に送信する(6)。このとき、印刷管理装置10は、印刷対象データのうちの未印刷分のデータを印刷装置150に送信してもよい。印刷装置150は、印刷対象データを印刷する。印刷完了後、印刷装置150は、印刷対象データを削除する。
【0054】
次に、図6に示すフローチャートを参照して、印刷システムの動作について詳しく説明する。
【0055】
まず、登録ユーザ200が、端末装置50を利用して印刷対象データを印刷管理装置10に送信すると、印刷データ登録部12は、印刷対象データを印刷データ記憶部14に記憶させる(S01)。照合情報作成部22は、出力許可範囲内に設置された印刷装置110等によって印刷対象データを印刷するための照合情報を作成する(S02)。印刷データ登録部12は、印刷対象データに識別情報及び照合情報を関連付ける。また、印刷情報作成部20は、印刷対象データの印刷情報(印刷ジョブ)を作成する。そして、照合情報出力部24は、登録ユーザ200又は印刷ユーザ300の端末装置50に照合情報を送信する。
【0056】
印刷ユーザ300は、出力許可範囲内に設置されている印刷装置110等(例えば印刷装置140)のUI部112を用いて、ユーザID及び照合情報を入力する(S03)。印刷装置140の送受信部113は、ユーザID、照合情報及び印刷装置IDを、印刷管理装置10に送信する。印刷管理装置10の照合情報受信部26は、印刷装置140から送信されたユーザID、照合情報及び印刷装置IDを受信する。照合部28は、図3に示す管理テーブルを参照し、印刷ユーザ300が、印刷装置140によって印刷対象データを印刷することが許可されたユーザであるか否かを確認する。すなわち、照合部28は、印刷装置140が、印刷ユーザ300に対して設定された出力許可範囲内に設置された印刷装置であるか否かを確認する。また、照合部28は、印刷装置140から送信された照合情報と、印刷対象データに関連付けられている照合情報と、を照合する。そして、印刷ユーザ300が、印刷装置140によって印刷することが許可されたユーザであり、照合が成功した場合、印刷情報送信部30は、照合情報に対応する印刷対象データと印刷情報とを、印刷装置140に送信し、印刷装置140は、印刷管理装置10から送信された印刷対象データを印刷する(S04)。照合が失敗した場合、印刷情報送信部30は、印刷対象データ及び印刷情報を送信しない。
【0057】
そして、印刷装置140の障害検知部115によって障害が検知されない場合(S05,No)、印刷装置140は印刷を継続して、印刷を完了させる(S06)。印刷完了後、印刷装置140は、印刷対象データを削除する。
【0058】
一方、障害検知部115が印刷装置140の障害を検知した場合(S05,Yes)、印刷装置140の送受信部113は、印刷装置140にて障害が発生したことを示す情報(障害情報)を、印刷管理装置10に送信する(S07)。このとき、送受信部113は、印刷対象データがどこまで(何ページまで)印刷されたのかを示す情報を印刷管理装置10に送信する。
【0059】
印刷管理装置10の選択部34は、印刷対象データの印刷条件と、印刷装置110等の位置関係と、に基づいて、代替の印刷装置110等を選択する(S08)。具体的には、選択部34は、印刷対象データの印刷条件に従って印刷する機能を有する印刷装置110等の中から、障害が発生した印刷装置140から距離が最も近い位置又は予め設定された距離内に設置されている印刷装置110等を、代替の印刷装置110等として選択する。
【0060】
印刷対象データの印刷条件に従って印刷する機能を有する印刷装置110等が、印刷装置120,130のように出力許可範囲内に設置されている場合(S09,Yes)、選択部34は、出力許可範囲内に設置されている当該印刷装置110等を、代替機として割り当てる(S10)。例えば、印刷対象データの印刷条件に従って印刷する機能を有する印刷装置110等が、出力許可範囲内のみに存在する場合、選択部34は、出力許可範囲内に存在する印刷装置110等を代替機として選択する。または、印刷対象データの印刷条件に従って印刷する機能を有する印刷装置110等が、出力許可範囲内及び出力許可範囲外の両方に存在し、出力許可範囲内に設置されている印刷装置110等が、障害が発生した印刷装置140に最も近い位置に設置されている場合、又は、障害が発生した印刷装置140から予め設定された距離内に設置されている場合、選択部34は、出力許可範囲内に設置されている印刷装置110等を代替機として選択する。なお、代替機の選択条件(印刷条件及び位置関係)に合致する複数の印刷装置110等が、出力許可範囲内に存在する場合、選択部34は、それら複数の印刷装置110等を代替機として選択してもよい。ここでは、一例として、印刷装置130が代替機として選択されたものとする。
【0061】
印刷情報送信部30は、代替機である印刷装置130の所在地を示す所在地情報を、障害が発生した印刷装置140又は印刷ユーザ300の端末装置50に送信する(S11)。印刷装置140又は端末装置50は、代替機である印刷装置130の所在地情報を表示する(S12)。
【0062】
そして、印刷ユーザ300は、代替機である印刷装置130のUI部112を用いて、ユーザID及び照合情報を入力する(S13)。印刷装置130の送受信部113は、ユーザID、照合情報及び印刷装置IDを、印刷管理装置10に送信する。印刷管理装置10の照合情報受信部26は、印刷装置130から送信されたユーザID、照合情報及び印刷装置IDを受信する。照合部28は、図3に示す管理テーブルを参照し、印刷ユーザ300が、印刷装置130によって印刷対象データを印刷することが許可されたユーザであるか否かを確認する。すなわち、照合部28は、印刷装置130が、印刷ユーザ300に対して設定された出力許可範囲内に設置された印刷装置であるか否かを確認する。また、照合部28は、印刷装置130から送信された照合情報と、印刷対象データに関連付けられている照合情報と、を照合する。そして、印刷ユーザ300が、印刷装置130によって印刷することが許可されたユーザであり、照合が成功した場合、印刷情報送信部30は、照合情報に対応する印刷対象データと印刷情報とを、印刷装置130に送信する。印刷装置130は、印刷管理装置10から送信された印刷対象データの印刷を開始し(S14)、障害が検知されない場合、印刷を完了させる(S06)。このとき、印刷管理装置10は、印刷対象データのうちの未印刷分のデータを印刷装置130に送信し、印刷装置130は、未印刷分のデータを印刷してもよい。印刷完了後、印刷装置130は、印刷対象データを削除する。照合が失敗した場合、印刷情報送信部30は、印刷対象データ及び印刷情報を送信しない。
【0063】
一方、印刷対象データの印刷条件に従って印刷する機能を有する印刷装置110等が、出力許可範囲内に設置されておらず、出力許可範囲外のみに設置されている場合(S09,No)、選択部34は、出力許可範囲外に設置されている当該印刷装置110等を、代替機として割り当てる(S15)。または、印刷対象データの印刷条件に従って印刷する機能を有する印刷装置110等が、出力許可範囲内及び出力許可範囲外の両方に存在し、出力許可範囲外に設置されている印刷装置110等が、障害が発生した印刷装置140に最も近い場合、選択部34は、出力許可範囲外に設置されている印刷装置110等を代替機として選択する。または、印刷対象データの印刷条件に従って印刷する機能を有する印刷装置110等が、出力許可範囲内及び出力許可範囲外の両方に存在している場合であっても、当該印刷装置110等が、出力許可範囲内において、障害が発生した印刷装置140から予め設定された距離内に存在せずに、出力許可範囲外において、障害が発生した印刷装置140から予め設定された距離内に存在する場合、選択部34は、出力許可範囲外に設置されている印刷装置110等を代替機として選択する。ここでは、一例として、印刷装置150が代替機として選択されたものとする。
【0064】
そして、代替照合情報作成部36は、代替機である印刷装置150によって印刷対象データを印刷するための代替照合情報を作成し、代替照合情報送信部38は、代替機である印刷装置150の所在地を示す所在地情報と代替照合情報とを、障害が発生した印刷装置140又は印刷ユーザ300の端末装置50に送信する(S16)。
【0065】
印刷装置140又は端末装置50は、代替の印刷装置150の所在地情報及び代替照合情報を表示する(S17)。
【0066】
そして、印刷ユーザ300は、代替機である印刷装置150のUI部112を用いて、ユーザID及び代替照合情報を入力する(S18)。印刷装置150の送受信部113は、ユーザID、代替照合情報及び印刷装置IDを、印刷管理装置10に送信する。印刷管理装置10の照合情報受信部26は、印刷装置150から送信されたユーザID、照合情報及び印刷装置IDを受信する。照合部28は、例えば図3及び図4に示す管理テーブルを参照し、印刷装置150から送信された代替照合情報と、印刷対象データに関連付けられている代替照合情報と、を照合する。そして、照合が成功した場合、印刷情報送信部30は、代替照合情報に対応する印刷対象データと印刷情報とを、印刷装置150に送信する。印刷装置150は、印刷管理装置10から送信された印刷対象データの印刷を開始し(S19)、障害が検知されない場合、印刷を完了させる(S06)。このとき、印刷管理装置10は、印刷対象のデータのうち未印刷分のデータを印刷装置150に送信し、印刷装置150は、未印刷分のデータを印刷してもよい。印刷完了後、印刷装置150は、印刷対象データを削除する。一方、照合が失敗した場合、印刷情報送信部30は、印刷対象データ及び印刷情報を送信しない。また、代替照合情報に基づく印刷の回数が、当該代替照合情報に設定されている印刷回数の上限を超える場合も、印刷情報送信部30は、印刷対象データ及び印刷情報を送信しない。
【0067】
以上のように、障害が発生した印刷装置140に最も近い位置に設置された印刷装置110等、又は、障害が発生した印刷装置140から予め設定された距離内に設置された印刷装置110等を、代替機として選択することで、印刷ユーザ300の移動距離の増大が防止又は軽減されるので、印刷ユーザ300の利便性の低下が防止又は軽減される。
【0068】
また、照合情報とは異なる代替照合情報を用いることで、出力許可範囲外に設置された印刷装置110等が代替機として選択された場合であっても、印刷対象データのセキュリティの低下が防止又は軽減される。この代替照合情報は、印刷対象データのうち既に印刷された範囲に応じて変わるため、照合情報を用いて出力許可範囲外の印刷装置110等で印刷を行う場合と比較して、印刷対象データのセキュリティの低下が防止又は軽減される。代替照合情報を用いることで、セキュリティが確保された状態で、出力許可範囲外に設置された印刷装置110等の利用が許可されるので、印刷ユーザ300の利便性の低下が防止又は軽減される。
【0069】
また、代替照合情報を用いた印刷の回数は制限されており、代替照合情報は一時的に使用が許可された情報であるため、照合情報を用いて出力許可範囲外の印刷装置110等で印刷を行う場合と比較して、印刷対象データのセキュリティの低下が防止又は軽減される。
【0070】
さらに、障害が発生した印刷装置140又は印刷ユーザ300の端末装置50に代替照合情報を通知し、印刷装置140又は端末装置50に代替照合情報を表示させることで、印刷ユーザ300以外の者への代替照合情報の漏洩が防止、又は、漏洩の危険性が軽減される。これにより、印刷対象データのセキュリティの低下が防止又は軽減される。
【0071】
なお、印刷対象データの印刷条件に従って印刷する機能を有する印刷装置110等が、出力許可範囲内及び出力許可範囲外の両方において、障害が発生した印刷装置140から予め設定された距離内に存在する場合、選択部34は、出力許可範囲内に設置されている印刷装置110等と、出力許可範囲外に設置されている印刷装置110等と、を代替機として選択してもよい。この場合、代替照合情報送信部38は、出力許可範囲外に設置されている代替機で印刷するための代替照合情報と、当該代替機の所在地情報と、を印刷装置140又は端末装置50に送信する。また、印刷情報送信部30は、出力許可範囲内に設置されている代替機の所在地情報を、印刷装置140又は端末装置50に送信する。この場合、印刷ユーザ300は、出力許可範囲内に設置された代替機及び出力許可範囲外に設置された代替機の両方にて、印刷対象データの印刷が許可される。
【0072】
また、出力許可範囲内に設置されている印刷装置110等が代替機として選択された場合も、出力許可範囲外に設置されている印刷装置110等が代替機として選択された場合と同様に、代替照合情報を用いて照合を行ってもよい。照合情報とは異なる代替照合情報を用いることで、セキュリティの低下が防止又は軽減される。
【0073】
なお、印刷装置110等に障害が発生した場合、印刷管理装置10の管理者が、代替機を設定してもよい。例えば、選択部34によって選択された印刷装置110等の中から、管理者が代替機を選択してもよい。
【0074】
また、印刷管理装置10の障害検知部32は、出力許可範囲内に設置されている印刷装置110等の障害を常時検知し、印刷装置110等に障害が発生した場合、管理者の端末装置や印刷ユーザ300の端末装置に、障害が発生していることを示す情報を送信してもよい。これにより、障害の発生が管理者や印刷ユーザ300によって認知され得る状態となり、早期に対処され得る状態となる。
【0075】
また、印刷管理装置10の障害検知部32は、出力許可範囲内に設置されている印刷装置110等の障害を常時検知し、印刷装置110等に障害が発生した場合、管理部16は、代替機を、出力許可範囲内の印刷装置として設定してもよい。これにより、出力許可範囲内に属する印刷装置110等の台数が一定に維持される。
【0076】
また、印刷ユーザ300が、任意の印刷装置110等を代替機として使用してもよい。この場合、印刷管理装置10が、代替機に入力された代替照合情報に基づいて照合を行うことで、セキュリティの低下が防止又は軽減される。印刷ユーザ300によって代替機が選択されるため、印刷ユーザ300の利便性の低下が防止又は軽減される。
【0077】
上述した印刷管理装置10は、一例としてハードウェア資源とソフトウェアとの協働により実現される。具体的には、印刷管理装置10は、図示しないCPU等のプロセッサを備えている。当該プロセッサが、図示しない記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、印刷管理装置10の各部の機能が実現される。上記プログラムは、CDやDVD等の記憶媒体を経由して、又は、ネットワーク等の通信経路を経由して、記憶装置に記憶される。
【符号の説明】
【0078】
10 印刷管理装置、12 印刷データ登録部、14 印刷データ記憶部、16 管理部、18 管理情報記憶部、20 印刷情報作成部、22 照合情報作成部、24 照合情報出力部、26 照合情報受信部、28 照合部、30 印刷情報送信部、32,115 障害検知部、34 選択部、36 代替照合情報作成部、38 代替照合情報送信部、50 端末装置、110,120,130,140,150 印刷装置、111 印刷部、112 ユーザインターフェース部(UI部)、113 送受信部、114 制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6