(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
空気調和機本体と、該空気調和機本体を運転操作可能な複数の無線リモコンとを備え、前記無線リモコンが一定時間操作されないと前記無線リモコンと前記空気調和機本体との通信を停止するように構成した空気調和機であって、
前記空気調和機本体は、
前記無線リモコンとの間で双方向通信を行う本体送受信部と、
前記本体送受信部で受信した前記無線リモコンからの信号に基づいて空調制御を行う本体制御部と、
を備え、
前記本体制御部は、前記本体送受信部を介して前記複数の無線リモコンの一つと通信を行った後所定時間は他の無線リモコンからの操作を受け付けない操作禁止期間を設け、前記操作禁止期間中に他の無線リモコンからの信号を受信した場合に前記他の無線リモコンへ操作を受け付けない旨を通知し、
前記操作禁止期間は、前記無線リモコンが一定時間操作されない際に前記無線リモコンが表示を消灯するまでの時間よりも長く設定されている
ことを特徴とする空気調和機。
前記本体制御部は、前記操作禁止期間中であっても前記複数の無線リモコンのいずれかから前記空気調和機本体を停止させる停止信号が送られてきた場合は、前記空気調和機本体を停止することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
前記本体制御部は、前記操作禁止期間中であっても前記他の無線リモコンから前記空気調和機本体の運転情報を要求する要求信号が送られてきた場合は、操作を受け付けない旨の通知とともに運転情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和機では、RF(Radio Frequency)モジュールを用いて無線リモコンと空気調和機本体との間で双方向通信を行い、空気調和機本体を運転操作するようにした空気調和機が知られている(例えば、特許文献1参照)。この無線リモコンは、赤外線リモコンのように空気調和機本体に送信部を向けて使用する必要はなく、空気調和機本体が設置されている部屋と別の部屋からも操作が可能である。特許文献1は、一台の空気調和機本体に対して、一台の無線リモコンをメインリモコンとして、また他の複数の無線リモコンをサブリモコンとして登録する技術に係るものである。ここで、空気調和機本体と無線リモコンにお互いを通信を行うべき相手だと認識させるため、機器固有の識別番号を用いてお互いを登録する操作を、ペアリングという。
【0003】
このように、一台の空気調和機本体に対して複数のリモコンをペアリングすることにより、リモコンを持ち歩かずに別の部屋の空調設定が可能になる。一台の無線リモコンは複数の空気調和機本体との間でペアリングできるが、メインリモコンについては、一台の空気調和機本体をメイン機として登録し、メイン機以外の空気調和機本体はサブ機として登録される。このように、一台のリモコンに対して複数の空気調和機本体をペアリングすることにより、外出する際などに全ての部屋の空気調和機本体をまとめて停止することが可能となる。
【0004】
また、従来の制御システムでは、リモコンの消費電力を抑制しながら操作対象機器の状態を常時把握できるものがあった(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、従来の空気調和機では、複数のリモコン間で通信を行い、一台のリモコンが空気調和機本体との間で通信を行っている場合に、他のリモコンが空気調和機本体との間で通信を行えないようにするものがあった(例えば、特許文献3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に示す空気調和機にあっては、赤外線リモコンに比べて無線リモコンの消費電力が大きいことから、リモコンの電池寿命を長く持たせるため、リモコン操作後、一定時間が経過すると液晶表示や空気調和機本体の運転情報を知るための通信に必要な消費電力を低減していた。このため、メインリモコンは、空気調和機本体の運転情報を常時更新することができず、ユーザが運転情報確認ボタン(お知らせボタン)を押さないとメインリモコンの表示内容が更新されないことから、リモコンの電力が復帰しても液晶表示内容が空気調和機本体の運転内容と一致しないことがあり、適切な運転操作が行えなかった。
【0008】
また、特許文献2に示す制御システムにあっては、リモコンの表示部の表示を経過時間に応じてオフし、ユーザがリモコンを持ち上げた場合などに操作対象機器に対してその操作対象機器の運転状態を示す状態情報を要求し、取得した状態情報をリモコンの表示部に表示していた。しかしながら、この制御システムの操作対象機器は、テレビ受像機などの映像表示装置や録画機能を持ったレコーダなどであり、複数のリモコンから同時に操作されることを想定していないため、複数のリモコンからの操作が重複した場合には対処できなかった。
【0009】
さらに、特許文献3に示す空気調和機にあっては、複数のリモコンが同時に操作された場合に、空気調和機本体の受信に混乱が生じるのを防ぐため、リモコン同士で通信を行う必要があったが、複数のリモコンを常時通信状態にしなければならず、リモコンの電池が消耗し、電池寿命が短くなる。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、リモコンの電池を長寿命化しつつ、複数のリモコンから空気調和機本体への運転操作が重複しても、受信が混乱することがなくなり、確実かつ適切な運転操作が行える空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するために、本発明の空気調和機は、空気調和機本体と、該空気調和機本体を運転操作可能な複数の無線リモコンとを備え、前記無線リモコンが一定時間操作されないと前記無線リモコンと前記空気調和機本体との通信を停止するように構成した空気調和機であって、前記空気調和機本体は、前記無線リモコンとの間で双方向通信を行う本体送受信部と、前記本体送受信部で受信した前記無線リモコンからの信号に基づいて空調制御を行う本体制御部と、を備え、前記本体制御部は、前記本体送受信部を介して前記複数の無線リモコンの一つと通信を行った後所定時間は他の無線リモコンからの操作のうち、停止信号以外の操作を受け付けない操作禁止期間が設定され、前記操作禁止期間において他の無線リモコンからの信号を受信した場合に前記他の無線リモコンへ操作を受け付けない旨を通知
し、前記操作禁止期間は、前記無線リモコンが一定時間操作されない際に前記無線リモコンが表示を消灯するまでの時間よりも長く設定されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の空気調和機は、前記空気調和機は圧縮機をさらに備え、前記本体制御部が設定する操作禁止期間は、前記圧縮機が指令を受けてから運転を開始するまでの待機時間以上に設定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の空気調和機は、前記無線リモコンは、前記空気調和機本体を運転操作するための入力を行う操作部と、前記操作部による操作内容、前記空気調和機本体の運転状態、および前記空気調和機本体との通信状態を表示する表示部と、前記空気調和機本体との間で双方向通信を行うリモコン送受信部と、前記無線リモコンを制御するリモコン制御部と、を備え、前記リモコン制御部は、前記リモコン送受信部を介して前記空気調和機本体に信号を送った後に前記本体制御部から操作を受け付けない旨の通知を受けた場合に、前記表示部にその旨を表示させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の空気調和機は、前記本体制御部は、前記操作禁止期間中であっても前記複数の無線リモコンのいずれかから前記空気調和機本体を停止させる停止信号が送られてきた場合は、前記空気調和機本体を停止することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の空気調和機は、前記空気調和機本体は、前記空気調和機本体を運転操作するための入力を行う本体操作部をさらに備え、前記本体操作部からの入力は、前記操作禁止期間の有無に関わらず常に優先処理されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の空気調和機は、前記本体制御部は、前記操作禁止期間中であっても前記他の無線リモコンから前記空気調和機本体の運転情報を要求する要求信号が送られてきた場合は、操作を受け付けない旨の通知とともに運転情報を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の空気調和機によれば、一つの無線リモコンと通信を行った後所定時間は操作禁止期間を設けて、他の無線リモコンから通信を受けた場合に他の無線リモコンへ操作を受け付けない旨を通知することにより、複数の無線リモコンから同時に操作されても受信信号の混乱を防ぐことができ、確実かつ適切な運転操作が行える。また、複数の無線リモコンは、常時通信しなくても空気調和機本体の受信信号の混乱が防げるため、電池寿命を長くできるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明にかかる空気調和機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0021】
[空気調和機の構成説明]
まず、本発明の一実施例にかかる空気調和機の空気調和機本体とリモコンとの関係を示す概略構成について説明する。
図1に示すように、本発明に係る空気調和機10は、複数の部屋RA、RBに配置された空気調和機本体(以下、エアコン)12a、12bと、図示しない室外機と、リモコン14a、14bとで構成され、各エアコン12a、12bおよび各リモコン14a、14bの機能は共通である。
【0022】
この空気調和機10は、エアコンとリモコンのそれぞれに搭載されたRFモジュールによる双方向無線通信を利用し、例えば、リモコン14aからエアコン12a,12bに対してそれぞれ遠隔操作や各種設定を行うことができる。また、リモコン14aは、エアコン12a,12bの運転状態を示す状態情報を記憶する図示しない記憶部と、それを表示する
図3に示す液晶表示部92aとを有している。リモコン14aは、後述する信号の送受信によって、エアコン12a,12bの運転状態を示す状態情報を受信すると、受信した状態情報を新たな運転状態を示す情報として図示しない記憶部に記憶すると共に、液晶表示部92aに表示させ、運転管理や各種設定に利用する。他のリモコン14bの場合も同様である。運転状態を示す状態情報には、冷房や暖房といった運転モードの他に、設定温度、風向や消費電力、およびエアコンのエラー情報等の情報を含む。
【0023】
リモコン14aの表面には、
図2−1に示すように、運転情報や設定情報などをドットマトリクスで表示するLCD(液晶ディスプレイ)や有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)などで構成された表示部16aと、各種の運転操作を受け付ける多数の操作ボタン44aとが配置されている。操作ボタン44aには、気流調節を行う際の選択に用いる十字ボタン18a、選択した内容を決定する決定ボタン20a、各種運転モードに適した既定の風向や風量に自動設定する自動設定モード用のおまかせボタン22a、風向や風量をユーザが任意に手動設定する手動設定モード用のおこのみボタン24a、運転開始と運転停止を行う運転/停止ボタン26a、上下の矢印ボタンで設定温度を変更する温度ボタン28a、風量の変更設定を行う風量ボタン30a、現在の室温や電気代などの運転情報をエアコン12aに要求してエアコン12aから受信した状態情報を表示部16aに表示させるお知らせボタン32a、冷房運転モードでの運転開始や他の運転モードから冷房運転モードに切り換える冷房ボタン34a、暖房運転モードでの運転開始や他の運転モードから暖房運転モードに切り換える暖房ボタン36a、除湿運転モードでの運転開始や他の運転モードから除湿運転モードに切り換える除湿ボタン38a、および、送風運転モードでの運転開始や他の運転モードから送風運転モードに切り換える送風ボタン40aなどがある(リモコン14bの場合も同様であるので、重複説明を省略する。なおリモコン14bが備えている構成については、
図2−1において添え字aの代わりにbを付す。)。
【0024】
リモコン14aの蓋42aを開けると、
図2−2に示すように、中には詳細設定ボタンが配置されている。詳細設定ボタンには、環境温度に応じて暖房運転か冷房運転かを自動的に選択する自動運転モードに切り換える自動運転ボタン46a、睡眠時に適した温度制御を行いながら所定時間が経過すると運転を停止するおやすみボタン48a、洗濯物などの乾燥に用いるランドリーボタン50a、急速な暖房や冷房運転を行うハイパワーボタン52a、インバータ駆動によるピーク電流を抑えて運転することで省パワー運転を図る電流カットボタン54a、人感センサにより人が不在になったことを検出した場合にエアコンの運転を停止あるいはセーブする不在ECOボタン56a、ユーザにより設定された時刻によってエアコンの動作を制御するタイマーボタン58a、各種機能の設定を行う機能ボタン60a、機能選択を行うカーソルを移動させる上昇ボタン62aと下降ボタン64a、設定を取り消す取消ボタン66a、設定を確定する確定ボタン68a、サブ機として登録されているエアコンの一覧表示を行う登録エアコンボタン70a、および、子供による誤操作を防ぐチャイルドロックボタン72aなどがある。
【0025】
エアコン12aは、
図3に示すように、リモコン14aと双方向無線通信を行うRFモジュールからなるエアコン送受信部86a、LED表示部80a、本体操作部としての操作部82a、時間管理を行う計時専用のRTC(リアル・タイム・クロック)88a、およびこれらを制御するエアコン制御部84aを有している。このエアコン制御部84aは、受信したリモコン14a,14bからの運転操作に関する設定変更データに基づいてエアコン12a,12bの各部を制御すると共に、エアコン12a,12bの現在の運転情報のデータを保持する本体記憶部84a1を含んでいる(エアコン12bの場合も同様であるので、重複説明を省略する。なおエアコン12bが備えている構成については、
図3において添え字aの代わりにbを付す)。
【0026】
LED表示部80aは、メイン機用LEDとサブ機用LEDとを有しており、それぞれ登録済みの場合には消灯し、未登録の場合には点灯するようにエアコン制御部84aに制御される。また、操作部82aには、メイン機、サブ機としてリモコン14a,14bに登録する際に用いる図示しないペアリング登録ボタンの他、エアコンの基本的な操作や設定が行える操作ボタンを有している。この操作部82aからの操作入力は、登録されたリモコンからの信号入力や信号入力によって設定される操作禁止期間よりも優先的に処理される。
【0027】
一方、リモコン14aは、
図3に示すように、エアコン12aのエアコン送受信部86a、あるいは、エアコン12bのエアコン送受信部86bと双方向無線通信を行うRFモジュールからなるリモコン送受信部90a、エアコンの運転状態を示す状態情報(運転時間、消費電力、運転モード等)を表示する液晶表示部92a、エアコンを運転操作する操作部94a、時間管理を行う計時専用のRTC(リアル・タイム・クロック)98a、およびこれらを制御するリモコン制御部96aを有している。このリモコン制御部96aによってペアリングしている自室エアコンまたは他室エアコンを選択することで、それぞれのエアコン間で双方向無線通信が可能となる。なお、本実施例では、リモコン14aの操作部94aの操作が行われてから、一定時間後(例えば、30秒後)に供給電力を低下させて液晶表示部92aの表示を消し、リモコン送受信部90aの動作をオフすることで、使用する電池の消耗を防ぎ、電池の長寿命化を図っている。液晶表示部(LCD)92aの表示を消すLCD消灯時間の計時は、RTC98aにより行われる。リモコン14aがエアコン12aあるいはエアコン12bとの間で通信を再開するには、リモコン14aの液晶表示部92aの表示が消え、リモコンの送受信部90aの動作がオフになった状態から操作部94aが操作されると、リモコン制御部96aは、ボタン操作をトリガーとして液晶表示部92aの表示を再開させ、リモコンの送受信部90aの動作をオンするように電源供給を再開させると共に、操作ボタンに応じた操作を行う。
【0028】
なお、エアコン12a,12bのエアコン制御部84a,84bと、リモコン14a,14bのリモコン制御部96a,96bは、ペアリング設定機能をそれぞれ備えている。このペアリング設定機能には、複数のエアコン12a,12bと複数のリモコン14a,14bのうちの一対、例えばエアコン12aとリモコン14aをメイン機(自室用)として登録するメイン機登録機能(
図3中の実線矢印)と、他のエアコン12bと他のリモコン14bとの間でメイン機として登録されているエアコン12bをリモコン14aとの間でサブ機(例えば他室用)として登録するサブ機登録機能(
図3中の破線矢印)とを有するものである。つまり、このペアリング設定機能によれば、例えば複数のエアコン12a,12bと複数のリモコン14a,14bのうちの一対をメイン機として登録するとともに、残りの一つをサブ機として登録することができる。
図3に示すように、リモコン14a,14bは、それぞれに対してメイン機登録されたエアコン12a,12bとの間に実線の矢印で結ばれ、メインリモコンと称される。また、リモコン14a,14bは、それぞれに対してサブ機登録されたエアコン12a,12bとの間に破線の矢印で結ばれ、サブリモコンと称される。このように、メイン機登録されたエアコンに対するメインリモコンは、全ての設定項目について設定変更が可能であるが、サブ機登録されたエアコンに対するサブリモコンは、運転/停止ボタン26a,26bによる運転/停止操作の他、温度ボタン28a,28bによる温度調節などに限定され、運転モード(冷房、暖房、除湿、送風など)の設定変更ができないようになっている。
【0029】
上記した空気調和機は、
図3に示すように、例えばリモコン14aとエアコン12aあるいはエアコン12bとの間で無線による双方向通信を行うことで、リモコン14aからエアコン12a,12bに対して運転操作を行ったり、エアコン12a,12bの運転状態を示す状態情報を受信して表示を更新したりすることができる。本実施例における空気調和機は、リモコンが最後に操作されてから一定時間(ここでは、30秒)が経過すると、液晶表示部92aの表示を消し、リモコン14aの送受信部90aの動作をオフする。そして、この状態からリモコン14aの操作部94aのいずれかのボタンが操作されると(カラ打ち)、リモコン14aの制御部96aは、液晶表示部92aの表示を再開し、リモコンの送受信部90aの動作をオンする。リモコン14aは、この状態から再度操作部94aのボタン(例えば、温度ボタン28a)が操作されると(本操作)、
図4に示すように、温度設定を変更するための設定変更データをエアコン12aに対し送信する(ステップS10)。エアコン12aは、この設定変更データを受信すると、設定変更データを受信したことをリモコン14aに知らせるデータ受信完了信号をリモコン14a側に送信する(ステップS12)。
【0030】
リモコン14aは、このデータ受信完了信号を受信すると(ステップS12)、エアコン12aの最新の運転状態示す状態情報を送信するように要求する状態情報送信要求信号をエアコン12aに送信する(ステップS14)。これに対し、エアコン12aは、エアコン制御部84a内の本体記憶部84a1に格納されている最新の状態情報をリモコン14aに送信する(ステップS16)。リモコン14aは、エアコン12aの状態情報を受信すると、状態情報を受信したことをエアコン12aに知らせる情報受信完了信号をリモコン14aに送信する(ステップS18)。
【0031】
このように、リモコン14aは、液晶表示部92aの表示が消え、送受信部90aの動作がオフされた状態から、操作部94aが操作されて各部に電源供給されると、設定変更データをエアコンに送信し、エアコンの運転状態を示す状態情報を要求することで、リモコン14aの液晶表示部92aの表示をエアコン12aの最新の状態情報と一致するよう更新することができる。このため、リモコン14aの液晶表示部92aの表示が消え、送受信部90aの動作がオフされている間に、他のリモコン14bがエアコン12aに対して設定変更データを送信し、設定が変更されたとしても、リモコン14aを操作する際に最新の運転状態を表示することができる。
【0032】
さらに、リモコン14aは、一定時間操作されないとリモコン14aのリモコン送受信部90aの電力を低下させてエアコン12aとの間の通信を停止し、リモコン14aを操作する時だけ液晶表示部92aの表示を再開させ、リモコン送受信部90aを動作させるようにする。このため、電池の消耗が少なく長寿命化することができる。例えば、RFモジュールを用いて常時電源供給(単三アルカリ電池2本)する無線リモコンの場合は、電池寿命が1週間程度しか持たなかった。これに対し、本実施例の空気調和機のように、リモコンを操作する時だけ電源供給(単三アルカリ電池2本)するように構成した無線リモコンの場合は、電池寿命を1年程度まで延ばすことができる。リモコン14bの効果もこれと同様である。
【0033】
また、リモコン14aのRTC98aは、時間を計時することができる。リモコン制御部96aは、
図4に示すように、設定変更データ送信後(ステップS10)、エアコン12aからデータ受信完了信号(ステップS12)が7秒以内に送られて来ないか、あるいは、状態情報送信要求を送信した後(ステップS14)、エアコン12aから状態情報信号が17秒以内に送られて来なかった場合は、通信エラーが生じたと判断し、
図5に示すような通信エラー表示を液晶表示部92aに表示させ、通信ができないことによりエアコンの最新の運転状態が表示できないことをユーザに知らせる。
【0034】
また、エアコン12aのRTC88aは、時間を計時することができる。エアコン制御部84aは、
図4に示すように、データ受信完了信号(ステップS12)をリモコン14a側に送信した後、ここでは2分20秒間は操作禁止期間とし、この間に他のリモコンから設定変更データが送信されても受け付けないようにする。この操作禁止期間は、エアコンの設定変更を行った後、設定をやり直そうとした場合に、他のリモコンからの操作が割り込まないように、操作終了後所定時間操作禁止を維持することで、初めに操作信号を送信してきたリモコンに対してエアコンを操作する権利を確実に与えるものである。また、操作禁止期間は、空気調和機の空調制御で用いられる圧縮機の運転が、圧縮機の停止後所定時間(待機時間)を経ずに開始されるまでの間に操作権が他のリモコンに移らないようにするためで、圧縮機が起動準備を行っている間(特に運転モードが冷房から暖房に切り換わった際など)に、不意に逆の操作が行われるのを排除する意味合いがある。
【0035】
このため、操作禁止期間の長さは、リモコンが一定時間操作されない際にリモコンの液晶表示部(LCD)92aを消灯するまでの時間、すなわちLCD消灯時間(ここでは、30秒間)よりも長く設定することで、設定のやり直しを操作する権利を確実に与えることができる。また、操作禁止期間の長さは、少なくとも圧縮機の運転が開始されるまでの待機時間を2分間とした場合に、少なくともこれと同じか、これよりも長めに設定する必要がある。そこで、本実施例では、操作禁止期間の長さを2分20秒に設定している。なお、操作禁止期間の長さは、これに限定されず、状況に応じて適宜変更することができる。
【0036】
[空気調和機の動作説明]
本実施例に係る空気調和機は、以上のように構成され、以下動作を説明する。
図6では、空気調和機本体としてのエアコン12aに対して、空気調和機本体をサブ機として追加登録するサブリモコン14bと、空気調和機本体をメイン機として主登録するメインリモコン14aとが同様のタイミングで設定変更操作を行った場合の通信の手順を示している。なお、
図6に示すサブリモコン14bとエアコン12aとの信号のやり取り(ステップS10〜ステップS18)は、
図4で説明したリモコンとエアコンの間の信号のやり取りと同じであるため、重複説明を省略する。
【0037】
まず、サブリモコン14bとエアコン12aとの間の信号のやり取り(ステップS10〜ステップS18)によって、エアコン12aに予め定められた操作禁止期間(例えば2分20秒間)が設定される。そして、操作禁止期間が設定された後、メインリモコン14aがエアコン12aに対して設定変更データを送信すると(ステップS20)、エアコン12aのエアコン制御部84aは、メインリモコン14aに対して操作禁止中であることを知らせる操作禁止中信号を送信する(ステップS22)。メインリモコン14aは、操作禁止中信号を受信すると、リモコン制御部96aが液晶表示部92aに操作禁止期間中で通信ができないことを知らせる画面を表示させる。例えば、
図7に示すようなイラストと、「別リモコンから操作中:しばらくしてから再度設定してください」という画面が5.5秒間表示される。
【0038】
その後の状態情報送信要求(ステップS24)、状態情報送信(ステップS26)、情報受信完了(ステップS28)という信号のやり取りは、
図4に示すステップS14〜ステップS18と同様であって、メインリモコン14aのLCD消灯中にエアコンの運転状態が変更された可能性があるため、最新のエアコンの運転状態を表す状態情報を取得するためのものである。
【0039】
この時、メインリモコン14aの液晶表示部92aの表示遷移図は、
図7に示すようなものとなる。つまり、メインリモコン14aのLCD消灯中に他のリモコンから設定温度が26℃に設定変更されている場合に、ユーザがメインリモコン14aのいずれかの操作ボタンを操作すると、これをトリガーとして電源供給が再開され、液晶表示部92aを表示させると共に、リモコンの送受信部90aの動作をオンする。ここでユーザが温度ボタン28aを操作すると、設定温度を28℃にする設定変更画面が表示され、設定変更データを送信していることを示す「通信中」が表示される(
図6のステップS20参照)。
【0040】
そして、エアコン12aのエアコン制御部84aは、既にサブリモコン14bと通信中のため操作禁止期間が設定されていることから、
図6に示すように、メインリモコン14aに対し操作禁止中信号を送信する(ステップS22)。メインリモコン14aのリモコン制御部96aは、この操作禁止中信号を受信すると、エアコン12aが別リモコンで操作中であることを示す操作禁止画面を表示させる。その後、メインリモコン14aのリモコン制御部96aは、エアコン12aに対し状態情報送信要求を送信し(ステップS24)、エアコン12aから状態情報が送信されてくると(ステップS26)、
図7に示すように、その状態情報に基づく最新のエアコン12aの運転状態を示す画面を液晶表示部92aに表示させ、情報受信が完了したことを示す信号をエアコン12aに送信する(ステップS28)。
【0041】
操作禁止期間のため設定変更できなかったメインリモコン14aは、
図6に示すように、再度設定変更データの送信を試み(ステップS30)、操作禁止期間中でなければエアコン12a側で設定変更データを受け付け、データ受信完了信号を送信する(ステップS32)。エアコン12a側では、データ送信完了の送信時から、メインリモコン14aによる操作禁止期間が開始される。その後、メインリモコン14aは、エアコン12aに対し状態情報送信要求を行い(ステップS34)、エアコン12aから状態情報を送信すると(ステップS36)、メインリモコン14aから情報受信が完了したことを示す信号をエアコン12aに送信する(ステップS38)一連の動作が行われる。
【0042】
次に、メインリモコン14aによる操作が行われ操作禁止期間が継続している間(操作禁止期間中)に、サブリモコン14bから停止信号が送信された場合について説明する。操作禁止期間中にサブリモコン14bからエアコン12aに停止信号以外の操作信号を送信しても受け付けられない。しかし、外出する際に家中の全てのエアコンを一斉停止するような場合、操作禁止期間中、あるいは、圧縮機起動中であっても停止信号を受け付ける必要がある。そこで、本実施例では、リモコンからエアコンへの停止信号の送信は、操作禁止期間中、あるいは、圧縮機起動中に関わりなく、エアコン12a側で例外的に受け付けるようにしている。これを示したのが、
図6の停止信号送信(ステップS40)と、これに対する停止信号受付(ステップS42)である。停止信号を受信することにより、エアコン12aは運転を停止するため、エアコン12aから送信される状態情報は(ステップS36)は、エアコン12aの停止状態を示すものとなる。
【0043】
このように、本実施例にかかる空気調和機にあっては、エアコン制御部は、エアコン送受信部を介して複数のリモコンの一つと通信を行った後所定時間は操作禁止期間を設け、その操作禁止期間中に他のリモコンから通信を受けた場合にそのリモコンへ操作を受け付けない旨を通知するようにしている。これにより、エアコン側の設定が頻繁に変更されたり、1つのリモコンからの設定が終わらないうちに他のリモコンにより設定変更が行われたりするのを防止することができる。
【0044】
また、本実施例にかかる空気調和機にあっては、この操作禁止期間をリモコンが一定時間操作されない際にリモコンが表示を消灯するまでの時間(LCD消灯時間)よりも長く設定することで、リモコンの表示が継続しているにも関わらず操作権が他のリモコンに移ってしまうといったことを防ぎ、時間的に余裕のある操作権を確実に与えることができる。また、本実施例の空気調和機は、この操作禁止期間を空調運転する冷媒用の圧縮機の待機時間と同じかそれ以上に設定するようにする。これにより、例えばあるリモコンからの設定変更操作により圧縮機を冷房モードで起動準備している間に、他のリモコンから暖房モードに切り換える設定変更操作があったとしても受け付けないため、圧縮機の起動準備中に運転モードが切り換わるのを防ぐことができる。
【0045】
また、本実施例にかかる空気調和機にあっては、エアコンに対してリモコン送受信部を介して設定変更を行う信号を送信しても、他のリモコンが操作権を有する操作禁止期間中で信号が受け付けられなかった場合に、リモコン制御部が液晶表示部に操作禁止期間中で信号が受け付けられなかったことを表示するため、ユーザ側に設定変更できなかった事実と、その理由を知らせることで、操作禁止期間以外に再度操作することを促すことができる。
【0046】
また、本実施例にかかる空気調和機にあっては、操作禁止期間中に操作権のないリモコンからエアコンを停止させる停止信号を送信した場合は、エアコン側でその停止信号を受け付けるようにしたため、操作権を持ったユーザによる操作中、あるいは、圧縮機が起動準備を行っている間であっても、エアコンを停止させることが可能となり、外出する際等に家中のエアコンを一斉に停止させることができる。
【0047】
また、本実施例にかかる空気調和機にあっては、エアコン側に設けられた操作部を操作する場合は、リモコンによる設定変更や、リモコンによる操作で設定された操作禁止期間に優先して設定変更を行うようにしたため、種々の制約を受けることなく緊急時やメンテナンス時などで強制的な運転操作が可能となる。