特許第6206196号(P6206196)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206196
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】多方向押しボタンスイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 25/04 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   H01H25/04 C
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-3944(P2014-3944)
(22)【出願日】2014年1月14日
(65)【公開番号】特開2015-133233(P2015-133233A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2016年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】本西 一雄
(72)【発明者】
【氏名】明田 安泰
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−109471(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0047815(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
十字方向にキーを備えたキートップを有する多方向押しボタンスイッチにおいて、
前記キートップは、十字方向に角部を有し、同角部を同じ長さの辺部で結んだ菱形形状であり、前記キートップの表面には菱形形状の各辺部の上下または左右のいずれかの隣り合った辺部の中央を結ぶ平行線上に段差部を設け、前記段差部で囲まれた内側が突出部となることを特徴とする多方向押しボタンスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種操作機器に用いられる多方向押しボタンスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
かかる多方向押しボタンスイッチは主に電気機器を遠隔操作するコントローラに使われる。例えば、従来例1にはコントローラの操作部に正方形をした多方向押しボタンスイッチが設けられ、正方形の各長辺それぞれにキーと方向を示す三角形の指示マークが設けられ、いずれかの指示マークの上を押すことでそれぞれのキーに割り当てられた機能が起動する。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
一方、図8に示すように、従来例2の多方向押しボタンスイッチ9は、キートップ90が菱形形状で、菱形形状の十字方向の各角部91近傍にそれぞれキーとキーの位置と方向を示す三角形の指示マーク92が設けられ、指示マーク92の方向とキートップの角部91の形状が合致した意匠となっている。(例えば、特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】意匠登録第1317858号公報
【特許文献2】意匠登録第1314078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来例1の正方形の多方向押しボタンスイッチは電気機器を遠隔操作するコントローラの他にも携帯電話で長く採用されてきたことから、操作者は四角形の各辺部近傍の面の部分を押す動作が身についており、また、角部よりも辺部近傍の面の部分の方が押し易く感じる場合もあり、図8の菱形形状のキートップ90でも例えば上角部91a近傍の十字方向の指示マーク92ではなく、上角部91aにつながる上右辺部94側か上左辺95部側の面の部分を押してしまい、キー操作が正しく行えないことがある。
仮に、上右辺部94側の面の部分が押された場合には、制御機構で上角部91aの指示マーク92が押されたと制御するか、もしくはいずれも押されていないと制御することも可能であるが、誤操作となる虞もあるため、上角部91aの指示マーク92を確実に押せるようにすることが求められる。
【0006】
そこで、図示しないがキートップ90の角部と角部の間の表面に凸状のリブを設けてキーを仕切ることも可能であるが、その場合はリブがキーを押す際に邪魔になり、美観も悪くなる。
【0007】
また、十字方向にキーを備えたキートップには押すキーの優先順位がある。例えば従来例2のキートップ90を空気調和機のコントローラとした場合は、上角部91aと下角部91bの指示マーク92は主に温度や風量等を上下するアップダウンキーとなり、右角部91cと左角部91dの指示マーク92は操作項目を選択するための左右移動キーとなる。この場合は、アップダウンキーの方が使われる頻度が高いため優先順位も高くなり、左右移動キーよりも目立つような意匠にすることで使い勝手が向上される。
【0008】
本発明は以上述べた問題点を解決し、十字方向にキーを備えたキートップのそれぞれのキーを正確に押すように導くことで、誤操作を回避し、さらに使用頻度が高く優先順位の高い一方向のキーを目立たせて使い勝手を向上させる多方向押しボタンスイッチを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために本発明は、十字方向にキーを備えたキートップを有する多方向押しボタンスイッチにおいて、
前記キートップは、十字方向に角部を有し、同角部を同じ長さの辺部で結んだ菱形形状であり、前記キートップの表面には菱形形状の各辺部の上下または左右のいずれかの隣り合った辺部の中央を結ぶ平行線上に段差部を設け、前記段差部で囲まれた内側が突出部となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成した本発明の多方向押しボタンスイッチは、十字方向にキーを備えたキートップの表面に、同表面の中央部をキーの上下または左右のいずれか方向に盛り上げた突出部を形成し、同突出部は、キーの無い表面に設けた上下または左右のいずれかの方向に平行な段差部で形成されることで、段差部による感触の違和感からキーの無い部分が押しづらくなっており、自ずと正確なキーを押すように導かれ誤操作を回避できるものとなり、さらに突出部により使用頻度が高く優先順位の高い一方向のキー5を目立たせて使い勝手を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の多方向押しボタンスイッチを備えたコントローラの斜視図である。
図2】本発明の多方向押しボタンスイッチを備えたコントローラの図で、(a)は正面図で、(b)は(a)のA−A’断面図である。
図3】本発明の多方向押しボタンスイッチの図で、(a)は正面図で、(b)は底面図である。
図4】(a)は図3のB−B’断面図で、(b)は(a)を押下した状態を示す図である。
図5】ラバーシートを示す図で、(a)は斜視図で、(b)は正面図で、(c)は背面方向の斜視図である。
図6図5のキートップの他の例である。
図7図5のラバーシートの他の例を示す図で、(a)は斜視図で、(b)は正面図である。
図8】従来例2のキートップを示す図で、(a)は斜視図で、(b)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。
【0014】
図1図2に示す本実施例の多方向押しボタンスイッチ1は、図示しない空気調和機を操作するコントローラ10に利用される。
コントローラ10は、空調される室内の壁面等に取り付けられ、壁面内を通した通信線で空気調和機に信号を送る。コントローラ10は、意匠性を考慮し壁面に馴染むように正面視が正方形で奥行が薄く形成され、操作性を考慮して正面の上部に液晶表示部11を備え、正面の下部に操作部12を備える。
【0015】
尚、本発明の多方向押しボタンスイッチ1は、空気調和機のコントローラ10に限らず、家電機器やAV機器の本体操作部やリモコン、さらには携帯電話の操作部等に幅広く利用可能である。
【0016】
コントローラ10は、壁面に係止される合成樹脂製の下部ケース13と、下部ケース13の内部に立設したリブ13aの上に載置される制御基板14と、制御基板14上に設けられる液晶表示部11と複数のスイッチ15とを備える。
制御基板14の操作部12側は、図5に示すシリコンゴム製のラバーシート2で覆われる。ラバーシート2には、ラバーシート2と一体に形成されたシングルキートップ20とシングルキートップ20と形を異にするキートップ60がある。
シングルキートップ20と制御基板14のスイッチ15で押しボタンスイッチ31〜35が構成され、キートップ60と制御基板14のスイッチ15で多方向押しボタンスイッチ1が構成される。
【0017】
次に、下部ケース13の上に液晶表示部11と多方向押しボタンスイッチ1と押しボタンスイッチ31〜35の部分が開口された上部ケース16を被せ、下部ケース12と上部ケース16を互いに係止爪およびネジで固定する。上部ケース16には多方向押しボタンスイッチ1と押しボタンスイッチ31〜35の部分が開口された塩ビシート製の表示板17が貼付される。表示板17には図2(a)に示すようにそれぞれの押しボタンスイッチ31〜35の機能を示すアイコンと文字が印刷されている。
【0018】
多方向押しボタンスイッチ1と押しボタンスイッチ31〜35のレイアウトは、操作部12の中央に配置された多方向押しボタンスイッチ1と、横長小判型の凸形状のシングルキートップ20で多方向押しボタンスイッチ1の上に配置された押しボタンスイッチ31と、多方向押しボタンスイッチ1の左上に配置された横長小判型の凸形状のシングルキートップ20の押しボタンスイッチ32と、多方向押しボタンスイッチ1の右上に配置された横長小判型の凸形状のシングルキートップ20の押しボタンスイッチ33と、多方向押しボタンスイッチ1の左下に配置された横長小判型の凸形状のシングルキートップ20の押しボタンスイッチ34と、多方向押しボタンスイッチ1の右下に配置された横長小判型の凸形状のシングルキートップ20の押しボタンスイッチ35とでなる。
【0019】
押しボタンスイッチ31は空気調和機の運転開始と運転停止を切り替える。押しボタンスイッチ32は空気調和機の運転モードを選択する。押しボタンスイッチ33は空気調和機の風量を選択する。押しボタンスイッチ34は液晶表示部11に表れるメニューを切り替える。押しボタンスイッチ35は液晶表示部11に表れるメニューを決定する。
【0020】
多方向押しボタンスイッチ1は、図3(a)に示すように、キートップ60が正面視で、十字方向に複数の角部42(上角部421、下角部422、右角部423、左角部424)と、同角部42を繋ぐ同じ長さの複数の辺部43(上右辺部431、下右辺部432、下左辺部433、上左辺部434)とからなる菱形形状であり、図4(a)に示すように立体的に形成され、表示板17よりも突出している。
【0021】
尚、図3(a)のキートップ60は若干横長の菱形形状であるが、これに限らず、縦長の菱形形状でもよく、上下左右の幅が同じ菱形形状でもよい。
また、キートップ60は菱形形状に限らず、図示しないが円形でもよい。
【0022】
多方向押しボタンスイッチ1は十字方向に十字キー5を備えている。図2(a)に示すようにキートップ60の表面41の角部42側には十字方向に合わせそれぞれ上方向キー501、下方向キー502、右方向キー511、左方向キー512の機能を示す印刷もしくは凹凸の成形による指示マークが設けられている。指示マークの部分が各キーの押点となる。上方向キー501と下方向キー502は合わせてアップダウンキー50であり、右方向キー511と左方向キー512は合わせて左右移動キー51である。
【0023】
次に多方向押しボタンスイッチ1の操作を説明する。例えば設定温度を変更したい場合は、多方向押しボタンスイッチ1の上方向キー501か下方向キー502を液晶表示部11を見ながら、設定したい温度が表示されるまで押す。
また、押しボタンスイッチ34を一回押すとメニューが液晶表示部11に表れる。図示しないが例えば現在時刻を設定したいときには、右方向キー511か左方向キー512を押して「時刻表示」まで液晶表示部11に表れるカーソルを移動させ、上方向キー501か下方向キー502を押して「時」を設定し、右方向キー511を押し、上方向キー501か下方向キー502を押して「分」を設定し、最後に押しボタンスイッチ35を押して決定する。
【0024】
多方向押しボタンスイッチ1のキートップ60の菱形形状は上角部421、下角部422、右角部423、左角部424の方向に合わせて表面41にそれぞれ上方向キー501、下方向キー502、右方向キー511、左方向キー512を設けたことで角部42と十字キー5の位置が合致した意匠となっており、機能と形が一体となった使い勝手がよく美観に優れた意匠である。
【0025】
また、アップダウンキー50は、左右移動キー51よりも押す回数が多く、アップダウンキー50の上下方向は、左右移動キー51の左右方向よりも優先する方向となるので、上方向キー501と下方向キー502が右方向キー511と左方向キー512よりも目立たせることが操作性の向上にもなる。
【0026】
しかしながら、正方形の押しボタンスイッチがリモコンの他にも携帯電話で長く採用されてきたことから、操作者は四角形の辺部近傍の面の部分を押す動作が身についており、また、角部よりも辺部近傍の面の部分の方が押し易く感じる場合もあり、多方向押しボタンスイッチ1でも、図3(a)に示す表面41の上右辺部面431a、下右辺部面432a、下左辺部面433a、上左辺部面434aの付近を押してしまい、キー操作が正しく行えないことがある。
【0027】
そこで、上右辺部面431aと下右辺部面432aと下左辺部面433aと上左辺部面434aが押されずに、正しく上方向キー501と下方向キー502と右方向キー511と左方向キー512が押され、さらに押す頻度の高い上方向キー501と下方向キー502を右方向キー511と左方向キー512よりも目立たせるために、押しボタンスイッチ1のキートップ60の表面41には、同表面の中央部を十字キー5の上下または左右のいずれかの方向に盛り上げた突出部47を形成する。
また、突出部47は、十字キー5の無い表面41に設けた上下または左右のいずれかの方向に平行な段差部45、46で形成される。
具体的には、キートップ60の表面41の菱形形状の上下または左右いずれかの隣り合った辺部43を結ぶ平行線上に段差部45、46を設ける。図3(a)では、右角部423を挟んで隣り合った上右辺部431と下右辺部432の中央を結ぶ線上に設けた段差部45と、左角部424を挟んで隣り合った上左辺部434と下左辺部433の中央を結ぶ線上に設けた段差部46を設ける。段差部45と段差部46は平行線となる。段差部45と段差部46で囲まれた内側が高くなり突出部47となる。
【0028】
これにより、上右辺部面431aと下右辺部面432aと下左辺部面433aと上左辺部面434aに段差部45、46が形成されることになり、段差部45、46による感触の違和感から上右辺部面431aと下右辺部面432aと下左辺部面433aと上左辺部面434aが押しづらくなっており、操作者は自ずと正確な十字キー5を押すように導かれ、誤操作を回避できる。
【0029】
また、突出部47を形成することにより、上方向キー501と下方向キー502のアップダウンキー50が一体のように強調され、左右移動キー51の右方向キー511と左方向キー512は突出部47により分断される。これにより上方向キー501と下方向キー502が目立つようになり、使い勝手が向上される。
【0030】
尚、これまで押しボタンスイッチ1はアップダウンキー50を優先する方向として、左右移動キー51の左右方向よりも強調するように突出部47を設けたが、これに限らず、押しボタンスイッチ1を空気調和機以外に用いる場合は、図6に示す押しボタンスイッチ1aのように左右移動キー51aを優先する方向として強調するように上角部421を挟んで隣り合った上右辺部431と上左辺部434の中央を結ぶ線上に設けた段差部45aと、下角部422を挟んで隣り合った下右辺部432と下左辺部433の中央を結ぶ線上に設けた段差部46aを備え、段差部45aと段差部46aで囲まれた内側に突出部47aを設けてもよい。
【0031】
前述した押しボタンスイッチ31〜35を構成するシングルキートップ20は図5に示すようにシリコンゴム製のラバーシート2に一体で設けられる。押しボタンスイッチ31〜35の構造はそれぞれのシングルキートップ20と、キートップ20の下端とラバーシート2の平面部21を繋ぐスカート22とからなる。スカート22は他の部分よりもラバーシートの膜厚が薄く形成されることで弾性を備え、キートップ20下端の外形の周囲から広がるように傾斜してラバーシート2の平面部21と繋がる。
シングルキートップ20の裏面には導電塗料を塗布した可動接点部23があり、シングルキートップ20を押すと、スカート22全体が屈曲し、可動接点部23がスイッチ15を押圧し通電する。シングルキートップ20を離すとスカート22が反発して立ち上がる。この時の弾性により操作者はクリック感を得られる。
【0032】
一方、多方向押しボタンスイッチ1は十字キー5を備えるため、押しボタンスイッチ31〜35のようにシングルキートップ20全体を押すのではなく、上方向キー501と下方向キー502と右方向キー511と左方向キー512の部分をそれぞれ正確に押す必要がある。しかし、図8(a)に示すように菱形をしたキートップ90の下端90aの外形の周囲から広がるように傾斜するスカート93を形成すると、例えば上角部91aに接する位置のスカート93も上角部91aに沿って角状に形成される。スカートの性質は直線状に形成すると屈曲しやすいが角状に形成すると固くなる。よって上角部91a近傍の指示マーク92を押すと、押す力97は上角部91aの方向ではなく、力のベクトル96が上角部91aを構成する上右辺部94もしくは上左辺部95の方へ掛かり易くなる。そのため図8(b)に示すように上角部91a近傍の指示マーク92を押してもスカート93は上角部91a側に屈曲するのではなく、上角部91aにつながる上右辺部94側か上左辺部95側のいずれかの方向に傾いて屈曲することが起こる。
【0033】
そこで、図4図5に示すように本発明による多方向押しボタンスイッチ1の構造は、菱形を成すキートップ60と、キートップ60の下部にキートップ60と一体に設けたキートップ台61と、キートップ台61の下端の外形の周囲から広がるように傾斜してラバーシート2の平面部21と繋がる他の部分よりもラバーシートの膜厚が薄く形成されたスカート62とを設ける。キートップ台61は、キートップ60をその表面41の中心の周りに90°回転させた所定の高さを有する立体的な形状となっており、図5(b)の正面視でキートップ60のそれぞれの角部42に接する直線状の接線部63と隣り合った接線部63とを繋ぐ角丸状の稜線部64とで形成される。キートップ台61は、上部ケース16の内側に位置するように形成される。尚、所定の高さはスカート62よりも硬度を備える高さとなればよい。
【0034】
角部42に接する直線状の接線部63を備えたキートップ台61を設けたことで、キートップ台61の下端からラバーシート2と繋がるスカート62も角部42に接する接線部63に沿って形成される。これにより十字キー5のいずれかを押すと、それぞれの角部42に接するキートップ台61の接線部63に繋がる直線状のスカート62に力のベクトル66が掛りスカート62が屈曲することになり、操作方向へ確実に傾動するキートップ60となる。
【0035】
図5ではキートップ台61は、形状が角丸四角柱で形成されている。四角柱の側面が接線部63で角丸状のコーナーが稜線部64となる。接線部63の長さをL1とすると、スカート62は長い直線状となり力を掛けなくても容易に屈曲する。例えば、下方向キー502を押すと、下右辺部432や下左辺部433に倒れることなく、下角部422の方向へ正確にスカート62が屈曲することになり、操作方向へ確実に傾動するキートップ60となる。
【0036】
スカート62の長さは長くなるほど容易に屈曲するが、その分、反発する力が弱くなるためクリック感も弱くなる。
そこで、図7に示すキートップ台71は、キートップ60の菱形の角部42に接する接線部73の長さL2を図5のキートップ台61の接線部63の長さL1よりも短くして、それぞれの接線部73を繋ぐ稜線部74をキートップ60側に突出した円弧状に形成した。これによりキートップ台71の下端の外形の接線部73と稜線部74に合わせて形成されたスカート72は、接線部73に繋がる部分では屈曲しやすく、円弧状をした稜線部74に繋がる部分では力が分散されて屈曲しにくいため、例えば、下方向キー502を押すと、下角部422の方向へ正確にスカート72が屈曲することになり、操作方向へ確実に傾動するキートップ60となる。さらに接線部73の長さL2は接線部63の長さL1よりも短いことから、クリック感も得られることになる。
【0037】
尚、キートップ60の裏面には図4図5(c)に示すように、キートップ60の中央にキートップ60を支える支柱60aと、十字キー5の裏面に制御基板14のスイッチ15を押下する導電塗料を塗布した可動接点部23と、可動接点部23の間で辺部43の押下を防止するリブ60bを備える。
図4に示すように、制御基板14に向かって高さは支柱60a>リブ60b>可動接点部23となっていることから、キートップ60は中央を押しても支柱60aにより押下されずに、いずれかの十字キー5に導かれる。また、辺部43のいずれかを押した場合はリブ60bによっても押下を防ぐようになっている。
そして、十字キー5のいずれかを押すとキートップ台61により、正しい方向にスカート62が屈曲してスイッチ15が押下され導通する。
【符号の説明】
【0038】
1:多方向押しボタンスイッチ、14:制御基板、15:スイッチ
2:ラバーシート、20:シングルキートップ
31/32/33/34/35:押しボタンスイッチ
41:表面、42:角部、43:辺部、45/46:段差部、47:突出部
5:十字キー、50:アップダウンキー、51:左右移動キー
60:キートップ、61/71:キートップ台、62/72:スカート、63/73:接線部、64/74:稜線部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8