特許第6206235号(P6206235)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206235
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】生砂造型設備用金枠
(51)【国際特許分類】
   B22C 21/02 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   B22C21/02
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-26632(P2014-26632)
(22)【出願日】2014年2月14日
(65)【公開番号】特開2015-150587(P2015-150587A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】大野 泰嗣
【審査官】 荒木 英則
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−113140(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3175734(JP,U)
【文献】 特開平09−225587(JP,A)
【文献】 特開2002−028753(JP,A)
【文献】 実開平04−094134(JP,U)
【文献】 実開平04−129554(JP,U)
【文献】 実開平04−134243(JP,U)
【文献】 実開平04−047844(JP,U)
【文献】 米国特許第06015007(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 21/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳型を造型する角柱形状の空洞を形成する金枠内面を、金枠の高さ方向の中央部が金枠の内側から見て外側にくぼんだ凹形状とするとともに、金枠内面の上下方向の端部の一方または双方を、取り換え可能なライナ貼り構造としたことを特徴とする生砂造型設備用金枠。
【請求項2】
金枠が上枠である場合には、その上端部のみをライナ貼り構造とし、金枠が下枠である場合には、その上下端部をともにライナ貼り構造としたことを特徴とする請求項1記載の生砂造型設備用金枠。
【請求項3】
金枠内面の対向する一対の二辺のみをライナ貼り構造としたことを特徴とする請求項1記載の生砂造型設備用金枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳型の自動造型ラインにおいて用いられる生砂造型設備用金枠の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生砂造型法では、上枠と下枠とからなる生砂造型設備用金枠の内部に、生砂を用いて鋳型が造型され、その鋳型に溶湯を注入して鋳造が行なわれる。この生砂造型設備用金枠は、例えば特許文献1に示されるように四角枠状体である。
【0003】
この生砂造型設備用金枠は、内面中央部を凹形状として造型された鋳型が金枠から抜け落ちることを防止している。図5は従来の生砂造型設備用金枠の断面形状を示すもので、101は生砂造型設備用金枠、102はその内部に造型された鋳型である。
【0004】
しかし、注湯した鋳型102を生砂造型設備用金枠101から抜き出す工程が必要なため、長期間使用していると、金枠中央の凹部104に対して出っ張っている取り合いの金枠内面103の上下方向の端部105が次第に摩耗してくる。
【0005】
図5に示したように、従来の生砂造型設備用金枠101は鋳型102と接する内面が金枠本体と一体構造であり、金枠内面の上下方向の端部105が摩耗した場合、金枠の全体を一式交換する必要がある。このため、莫大な費用が発生するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公昭51−12416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、金枠内面の上下方向の端部が摩耗した場合にも、金枠の全体を一式交換する必要をなくした生砂造型設備用金枠を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するためになされた本発明の生砂造型設備用金枠は、鋳型を造型する角柱形状の空洞を形成する金枠内面を、金枠の高さ方向の中央部が金枠の内側から見て外側にくぼんだ凹形状とするとともに、金枠内面の上下方向の端部の一方または双方を、取り換え可能なライナ貼り構造としたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2の発明は請求項1の発明において、金枠が上枠である場合には、その上端部のみをライナ貼り構造とし、金枠が下枠である場合には、その上下端部をともにライナ貼り構造とした下枠とからなることを特徴とするものである。また請求項3の発明は請求項1の発明において、金枠内面の対向する一対の二辺のみをライナ貼り構造としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の生砂造型設備用金枠は、金枠内面を金枠の高さ方向の中央部が金枠の内側から見て外側にくぼんだ凹形状とし、造型された鋳型が抜け落ちることを防止したことは従来と同様である。しかし、金枠内面の上下方向の端部の一方または双方を取り換え可能なライナ貼り構造としたので、端部が摩耗した場合にはライナのみを交換すればよく、従来のように金枠の全体を一式交換する必要はない。このため従来のように莫大な費用を要することがない。なお鋳型の抜け落ちは確実に防止できるので、生産する鋳物を常に高品質に保つことができる。さらに請求項2,3の発明によればライナ貼り箇所を必要最低限とすることにより、コストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の生砂造型設備用金枠を示す部分断面正面図である。
図2】実施形態の生砂造型設備用金枠を示す側面断面図である。
図3】本発明の実施形態を示す生砂造型設備用金枠の平面図である。
図4】上枠を示す生砂造型設備用金枠の部分断面図である。
図5】従来の生砂造型設備用金枠を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1は実施形態の生砂造型設備用金枠1の全体を示す図であり、1aは上枠、1bは下枠、2はこれらの金枠1の内部に造型された鋳型である。上枠1aは下枠1bの上面に積み重ねられている。
【0013】
金枠1の内部には角柱形状の空洞が形成されており、この空洞に鋳型2が造型される。図2図3に示すように、空洞を形成する金枠内面3は、従来と同様に金枠1の高さ方向の中央部が金枠1の内側から見て外側にくぼんだ凹形状となっており、これによって搬送中に鋳型2が金枠1から抜け落ちることを防止している。しかし注湯した鋳型2を金枠1から抜き出す工程が繰り返されるため、前記した通り、金枠内面3の上下方向の端部が次第に摩耗してくることは避けられない。
【0014】
そこで本発明では図1から図3に示すように、金枠内面3の上下方向の端部にライナ6を取付けてライナ貼り構造とした。ライナ6は金枠内面3に沿って水平方向に延びる平板状部材であり、金枠1の外面から多数のボルト8によって締付固定されている。ライナ6は摩耗時にはボルト8を緩めて容易に取り換えることができるようにしておく。なお図4に示されるように、ライナ6が取り付けられる金枠内面3にはライナ6の厚みに相当する凹溝10を形成しておき、ライナ6の表面が金枠内面3とほぼ同一平面となるようにしておくことが好ましい。ライナ6の材質は金枠と同一金属とするか、耐摩耗性金属とすることが好ましいが、耐摩耗性に優れたアルミナ、ジルコニア等のセラミック材とすることもできる。
【0015】
ライナ6は上枠1aと下枠1bの上下の端部に配置しても良いが、上枠1aは上下反転されないために鋳型2は常に上方に抜き出されることとなり、上側端部は摩耗するが下側端部は摩耗しない。このため図4に示したように、上枠1aは金枠内面3の上下方向の端部のうち、上端部のみをライナ貼り構造とすればよい。しかし下枠1bは上下反転されて使用されるため、上側端部も下側端部もともに摩耗する。このため下枠1bは図2に示すように、上下端部をともにライナ貼り構造とすることが好ましい。
【0016】
図3に示したように、この実施形態ではライナ6を四角形の金枠内面3の四辺に配置した。しかし対向する一対の二辺(長辺または短辺)のみに配置することもできる。ライナ6の長さは必ずしも金枠内面3の辺の長さと同一とする必要はなく、図3に示すようにコーナー部は省略することができる。このようにライナ貼り箇所を必要最低限とすれば、より大きなコストダウンを図ることができる。
【0017】
なお図1図3に示すように、この実施形態では上枠1aと下枠1bの長辺側の側面中央部に、金枠位置決め用ライナ9がボルトによって取付けられている。これは搬送装置側に設けられた図示しない金枠位置決め装置により金枠1の位置決めを行なう際に用いられるものであり、耐摩耗性材質とすることにより摩耗を防止し、位置決め精度を確保することができる。しかし金枠位置決め用ライナ9は本発明の必須要件ではなく、省略することもできる。
【0018】
このように構成された本発明の生砂造型設備用金枠1は、従来と同様に自動造型ラインにおいてその内部に鋳型2を造型するために用いられるものであるが、金枠内面3の上下方向の端部が摩耗してきた際に、ライナ6のみを交換することにより金枠内面3の凹形状を維持することができる。このため従来のように生砂造型設備用金枠1の全体を一式交換することなく、鋳型2の抜け落ちを防止することができる。従って従来のように莫大な費用を要することなく、鋳物を高品質に保つことができる利点がある。
【符号の説明】
【0019】
1 生砂造型設備用金枠
1a 上枠
1b 下枠
2 鋳型
3 金枠内面
6 ライナ
8 ボルト
9 金枠位置決め用ライナ
10 凹溝
図1
図2
図3
図4
図5