(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被搬送物(C)が載せられた複数のパレットを搬送路が下流側ほど低くなるように傾斜したローラーコンベア(12,13)を用いて搬出位置まで順次搬送するパレット搬送装置(10)であって、
前記搬出位置にパレット(P1)が存在するときに後続のパレット(P2)の下流側への搬送を規制し、前記搬出位置のパレットが搬出されることで前記搬送規制を解除するストッパ機構(20)と、
前記規制されたパレットよりも下流側に位置して前記搬送路上のパレットに対し下流側への搬送力を付与する第1駆動ローラー(31)と、
前記搬送規制状態のパレットに対して搬送力を付与可能な位置に配置された第2駆動ローラー(32)と、
前記ストッパ機構による搬送規制解除を検知する検知手段(33)と、
前記第1駆動ローラーと前記第2駆動ローラーの回転の開始と停止を制御可能な制御手段(34)と、を備え、
前記制御手段は、前記検知手段により前記搬送規制解除が検知されると前記第1駆動ローラーと前記第2駆動ローラーの回転を停止状態にし、設定時間後に回転を開始させ、前記第2駆動ローラーより前記第1駆動ローラーの回転速度が高く設定されていることを特徴とするパレット搬送装置。
前記第1駆動ローラーおよび前記第2駆動ローラーは、ローラー本体内にモータ部とこのモータ部への過負荷の伝達を遮断可能なクラッチ部とが内蔵されるモーターローラーとして構成されることを特徴とする請求項1に記載のパレット搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、搬送効率の向上や作業者の安全性確保等のため、パレットが搬出位置まで順次自動的に搬送される搬送装置が望まれている。しかしながら、上述のような構成では、搬出位置まで搬送されたパレットを搬出するごとに保持部材および操作ハンドルを操作する必要があるため、自動化を前提とする搬送装置には適用できないという問題がある。
【0006】
また、ローラーコンベアを用いた搬送装置では、比較的重い被搬送物が載せられたパレットや比較的軽い被搬送物が載せられたパレットが混在して搬送される場合が多く、その重量差に応じてパレットの搬送速度が変わってしまうことがある。例えば、搬出位置のパレットの持ち上げに応じてストッパ機構による後続パレットの搬送規制が解除される構成において、この規制が解除された際、後続パレットに比較的重い被搬送物が載せられている場合には、この後続パレットの搬送速度が通常よりも高くなる。そうすると、搬送速度が通常よりも高くなった後続パレットが持ち上げ途中のパレットに接触してしまう可能性がある。一方、この持ち上げ途中のパレットへの接触を防ぐために、ローラーコンベアの傾斜角度を小さくすると、後続パレットに比較的軽い被搬送物が載せられている場合には、規制解除しても後続パレットが搬送されずに停止してしまう可能性がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、重量差が大きなパレットを1つずつ搬出位置まで自動的に搬送し得るパレット搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、被搬送物(C)が載せられた複数のパレットを搬送路が下流側ほど低くなるように傾斜したローラーコンベア(12,13)を用いて搬出位置まで順次搬送するパレット搬送装置(10)であって、前記搬出位置にパレット(P1)が存在するときに後続のパレット(P2)の下流側への搬送を規制し、前記搬出位置のパレットが搬出されることで前記搬送規制を解除するストッパ機構(20)と、前記規制されたパレットよりも下流側に位置して前記搬送路上のパレットに対し下流側への搬送力を付与する第1駆動ローラー(31)と、前記搬送規制状態のパレットに対して搬送力を付与可能な位置に配置された第2駆動ローラー(32)と、前記ストッパ機構による搬送規制解除を検知する検知手段(33)と、前記第1駆動ローラーと前記第2駆動ローラーの回転の開始と停止を制御可能な制御手段(34)と、を備え、前記制御手段は、前記検知手段により前記搬送規制解除が検知されると前記第1駆動ローラーと前記第2駆動ローラーの回転を停止状態にし、設定時間後に回転を開始させ、前記第2駆動ローラーより前記第1駆動ローラーの回転速度が高く設定されていることを特徴とする。
なお、特許請求の範囲および上記手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、ストッパ機構により下流側への搬送が規制されたパレットよりも下流側に位置する第1駆動ローラーと、搬送規制状態のパレットに対して搬送力を付与可能な位置に配置された第2駆動ローラーが装備され第1駆動ローラーは第2駆動ローラーより回転速度が高く設定されていること、またこの第1駆動ローラーと第2駆動ローラーの回転の開始と停止を制御可能な制御手段とが設けられている。そして、ストッパ機構による後続のパレットの搬送規制解除が検知手段により検知されると、制御手段により、回転停止状態の第1駆動ローラーと第2駆動ローラーの回転が開始され、第1駆動ローラーが第2駆動ローラーの回転速度よりも高い状態となるように回転される。
【0010】
これにより、比較的重い被搬送物が載せられたパレットにあわせてローラーコンベアの傾斜角度を調整しても、ストッパ機構による規制解除後のパレットに対して第2駆動ローラーによる搬送力が作用するので、比較的軽い被搬送物が載せられたパレットであっても規制解除後にパレットが搬送されずに停止するようなこともない。
【0011】
また、ストッパ機構による規制が解除されると、搬送規制されていたパレットが先頭のパレットとして下流側へ搬送されるとともに、この先頭のパレットに連なる後続の各パレットも下流側へ搬送される。この搬送状態では、先頭のパレットが第1駆動ローラーにより搬送力を受けて搬送されるため、先頭のパレットの被搬送物が比較的軽い場合であっても、先頭のパレットの搬送速度が後続のパレットの搬送速度よりも高められるので、先頭のパレットと後続のパレットとの間隔が拡大する。これにより、後続のパレットの搬送を規制するためのストッパを先頭のパレットと後続のパレットとの間に介在させやすくすることができる。したがって、重量差が大きなパレットを1つずつ搬出位置まで自動的に搬送することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るパレット搬送装置を具現化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1および
図2に示すパレット搬送装置10は、通い箱などの被搬送物Cが載せられた複数のパレットPをローラーコンベアを用いて順次搬送する搬送装置として構成されている。このパレット搬送装置10は、主に、ローラーコンベア部11と、ストッパ機構20と、搬送タイミング調整機構30とを備えている。
【0014】
ローラーコンベア部11は、複数のローラーが並列配設される2つのローラーコンベア12,13を備えており、両ローラーコンベア12,13は、その搬送路が下流側ほど低くなるように傾斜して並列配置されている。両ローラーコンベア12,13は、それぞれ、フリーローラーと後述する駆動ローラーとを備えており、1つのパレットに対して2つ以上の駆動ローラーが接触するように、数個のフリーローラーが配設されるごとに1つの駆動ローラーが配設されるように構成されている。このため、被搬送物Cが載せられたパレットPや空のパレットPがローラーコンベア12,13の上流側(
図1および
図2の右側)に搬入されると、パレットPは、その自重によりローラーコンベア12,13上を下流側(
図1および
図2の左側)へ向けて搬出位置まで搬送されることとなる。
【0015】
ここで、上記搬出位置は、ローラーコンベア12,13の端部に設けられたクッション式ストッパ14のクッション部にパレットPが接触して停止している位置(
図3の二点鎖線P1参照)である。この搬出位置に位置するパレット(以下、搬出待ちパレットP1ともいう)は、フォークリフト等により持ち上げられて(ピッキングされて)、次の工程に搬出されることとなる。
【0016】
次に、ストッパ機構20の構成について、図面を参照して説明する。なお、
図3は、搬出位置近傍を拡大した上面図である。
図4は、レバー部材21が第1傾動位置に傾動しストッパ部材23が規制解除傾動位置に傾動した状態を示す断面図であり、
図5は、レバー部材21が第2傾動位置に傾動しストッパ部材23が搬送規制傾動位置に傾動した状態を示す断面図であり、それぞれ
図3のX2−X2線相当の切断面による断面図に相当する。
図6は、ストッパ機構20の下流側支持部材22近傍を示す断面図であり、
図4のX3−X3線相当の切断面によるものである。
図7は、ストッパ機構20の上流側支持部材24近傍を示す断面図であり、
図5のX4−X4線相当の切断面によるものである。なお、
図5では、便宜上、各被搬送物Cの図示を省略している。
【0017】
ストッパ機構20は、搬出待ちパレットP1が搬出位置に搬送されると後続のパレット(以下、後続パレットP2ともいう)の下流側への搬送を規制し、搬出待ちパレットP1が搬出されることで後続パレットP2の搬送規制を解除するための機構である。このストッパ機構20は、
図3〜
図5に示すように、レバー部材21およびこのレバー部材21を傾動可能に支持する下流側支持部材22と、ストッパ部材23およびこのストッパ部材23を傾動可能に支持する上流側支持部材24と、リンク機構25とを備えている。
【0018】
図3〜
図6に示すように、下流側支持部材22は、搬出待ちパレットP1の下方に位置するようにローラーコンベア部11に組み付けられており、この下流側支持部材22には、レバー部材21の一端21aが固定されるシャフト22aが軸支されている。レバー部材21は、その他端21bにて搬出待ちパレットP1に対して下方から接触するように、図略のばね部材等により
図4および
図5にて時計方向に付勢されている。
【0019】
このため、レバー部材21は、
図4に示すように、パレットPが搬出位置にない場合には、他端21bがローラーコンベア12とローラーコンベア13との間から搬送路上に突出する傾動位置(以下、第1傾動位置ともいう)に位置している。そして、レバー部材21は、パレットPが搬出位置まで搬送されてくると、この搬出位置に存在するパレットPによりばね部材等の付勢力に抗して他端21bが押し下げられるように、
図5に示す傾動位置(以下、第2傾動位置ともいう)までシャフト22aを中心に傾動する。
【0020】
図3〜
図5および
図7に示すように、上流側支持部材24は、搬送規制傾動位置に傾動したストッパ部材23が、ローラーコンベア12とローラーコンベア13との間であって、搬出待ちパレットP1から所定の距離だけ上流側に離れた後続パレットP2に接触してその搬送を規制するように、ローラーコンベア部11に組み付けられている。また、上流側支持部材24には、ローラーコンベア12,13上を搬送されるパレットの搬送を補助するためのフリーローラー24a,24bがストッパ部材23に対して下流側と上流側とに1つずつ配置されている。
【0021】
リンク機構25は、レバー部材21の傾動状態に応じてストッパ部材23を傾動させる機構であって、ストッパ部材23を下方から支持してストッパ部材23の傾動角度を変更する支持片25aと、この支持片25aによるストッパ部材23の支持状態をシャフト22aの回動状態に応じて切り替える複数のリンク部材とを備えている。
【0022】
図5に示すように、リンク機構25は、レバー部材21が第2傾動位置まで傾動していると、各リンク部材により押し上げ状態に切り替えられた支持片25aにて、ストッパ部材23を搬送規制傾動位置まで押し上げるように機能する。また、
図4に示すように、リンク機構25は、レバー部材21が第1傾動位置まで傾動していると、各リンク部材により支持片25aが押上解除方向に傾動することで、ストッパ部材23を搬送路上のパレットに接触しない位置(以下、規制解除傾動位置ともいう)まで傾動させるように機能する。
【0023】
これにより、搬出位置まで搬送されてきた搬出待ちパレットP1によりレバー部材21が第2傾動位置まで傾動することで、搬送規制傾動位置まで押し上げられたストッパ部材23により、後続パレットP2の下流側への搬送が規制される。そして、搬出待ちパレットP1がフォークリフト等により搬出されることでレバー部材21が第1傾動位置まで傾動すると、ストッパ部材23が沈み込むように規制解除傾動位置まで傾動し、このストッパ部材23による後続パレットP2の搬送規制が解除される。
【0024】
次に、搬送タイミング調整機構30の構成について、図面を参照して説明する。なお、
図8は、作動確認用センサ33によるストッパ部材23の傾動状態を検知する構成を説明するための説明図である。
図9は、搬送タイミング調整機構30の概略的な電気的構成を示すブロック図である。
【0025】
搬送タイミング調整機構30は、搬出待ちパレットP1と後続パレットP2との隙間を大きくし、後続パレットP2の搬送再開タイミングを搬出待ちパレットP1の搬出タイミングよりも遅らせるように調整するための機構である。この搬送タイミング調整機構30は、複数の駆動ローラーと、作動確認用センサ33と、駆動制御回路34とを備えている。
【0026】
各駆動ローラーは、ローラー本体内にハイインピーダンス・低電流設計で連続ロックしてもモータを損傷せず起動トルクと接線力が弱いためクラッチ同様な機能を有するアキューム機能付きのモーターローラーが内蔵されていて、上述したように、両ローラーコンベア12,13のフリーローラー間に配置されている。各駆動ローラーのうちストッパ部材23よりも下流側に位置する駆動ローラー(以下、駆動ローラー31ともいう)は、ストッパ部材23よりも上流側に位置する駆動ローラー(以下、駆動ローラー32ともいう)よりもその回転速度が高くなるように設定されている。なお、駆動ローラー31は、特許請求の範囲に記載の「第1駆動ローラー」の一例に相当し、駆動ローラー32は、特許請求の範囲に記載の「第2駆動ローラー」の一例に相当し得る。
【0027】
作動確認用センサ33は、ストッパ機構20による搬送規制解除を検知する検知手段として機能するもので、ストッパ部材23が搬送規制傾動位置に傾動しているか否かを示す検知信号を駆動制御回路34に出力するように構成されている。この作動確認用センサ33は、
図8に示すように、上流側支持部材24に組み付けられており、ストッパ部材23に固定される押圧片35の傾きに応じて変化する傾動片36の傾きを検知することでストッパ部材23の傾動状態を検知する。
【0028】
この作動確認用センサ33は、駆動制御回路34に出力する検知信号として、ストッパ部材23が搬送規制傾動位置に傾動していると(
図8における符号23の実線参照)、規制維持信号を出力し、ストッパ部材23が搬送規制傾動位置から沈み込むように傾動すると(
図8における符号23の二点鎖線参照)、規制解除信号を出力する。
【0029】
図9に示すように、駆動制御回路34は、作動確認用センサ33の検知結果に応じて駆動ローラー31,32を制御する制御手段として機能する回路であって、図略のケース等に収容されて上流側支持部材24等に組み付けられている。この駆動制御回路34は、作動確認用センサ33から規制解除信号が入力されると、駆動ローラー31,32の回転を直ちに停止させ、この入力タイミングから予め設定される所定時間経過後に、駆動ローラー31,32の回転を開始させるように駆動制御する。
【0030】
ここで、上記所定時間は、搬送規制解除後に搬送再開した後続パレットP2が搬出途中の搬出待ちパレットP1に接触しないような時間に設定され、本実施形態では、例えば、5秒に設定されている。
【0031】
次に、上述のように構成されるパレット搬送装置10を用いた各パレットPの搬送状態について図面を参照して説明する。なお、
図10は、搬出待ちパレットP1が搬出位置に搬送されている搬送状態を説明する説明図である。
図11は、搬出待ちパレットP1が搬出された直後の搬送状態を説明する説明図である。
図12は、後続パレットP2が駆動ローラー31による搬送力を受けている搬送状態を説明する説明図である。なお、
図10〜
図12では、便宜上、各被搬送物Cの図示を省略している。
【0032】
パレットPが搬送されていない状態では、
図4に示すように、レバー部材21は第1傾動位置に傾動しており、ストッパ部材23は搬送路から沈み込むように規制解除傾動位置に傾動している。
【0033】
そして、駆動ローラー31,32を回転させた状態で、ローラーコンベア部11の搬入側(上流側)からパレットPが順次搬入されると、各パレットPは、ローラーコンベア12,13上を順次搬送される。この搬入初期時には、各パレットPは互いに適当な間隔を保って順次搬送されることとなる。そして、
図10に示すように、先頭のパレットPが搬出位置まで搬送されてくると、このパレットPにより第1傾動位置のレバー部材21が押し倒されて第2傾動位置に傾動する。この第2傾動位置のレバー部材21を押し倒した先頭のパレットPが搬出待ちパレットP1となる。
【0034】
そして、押し倒されたレバー部材21が第2傾動位置まで傾動することで、搬送規制傾動位置まで押し上げられたストッパ部材23により、次に後続するパレット(後続パレットP2)の下流側への搬送が規制され(
図5参照)、この後続パレットP2にさらに後続する他のパレットも連なるように接触してその搬送が規制される。このため、後続パレットP2よりも上流側の各パレットPは互いに隙間がなく接触した状態で搬送規制状態となる。また、上記規制解除信号が駆動制御回路34に入力されてから上記規定時間が経過することで、駆動制御回路34により制御されて、駆動ローラー31,32が回転停止状態となる。
【0035】
その後、
図11に示すように、搬出待ちパレットP1がフォークリフトFにより搬出されると、レバー部材21が第1傾動位置まで傾動するともにストッパ部材23が沈み込むように規制解除傾動位置まで傾動することで、ストッパ部材23による後続パレットP2の搬送規制が解除された状態となる。
【0036】
また、このとき、作動確認用センサ33から規制解除信号が駆動制御回路34に入力されるが、上記所定時間が経過するまでは駆動ローラー31,32は、回転停止状態に維持される。そうすると、後続パレットP2に接触している回転停止状態の駆動ローラー32が搬送抑制手段として機能するため、ストッパ部材23が規制解除傾動位置まで傾動しても後続パレットP2の搬送が抑制されるので、後続パレットP2が搬出途中の搬出待ちパレットP1に接触することが防止される。
【0037】
そして、上記所定時間が経過すると、駆動制御回路34により駆動ローラー31,32が回転開始するため、後続パレットP2およびさらに後続のパレットPの搬送が再開される。後続パレットP2は、駆動ローラー32による搬送力により搬送速度V2として搬送された後、駆動ローラー31による搬送力を受け始めると、この駆動ローラー31により搬送速度V1として加速するように搬送される。一方、後続パレットP2に後続する次のパレット(
図12にて符号P3参照)は、駆動ローラー31による搬送力を受ける位置までは後続パレットP2よりも遅い搬送速度で搬送されるので、
図12に示すように、後続パレットP2との間隔が徐々に大きくなっていく。
【0038】
このため、加速された後続パレットP2がレバー部材21を押し下げたときには、次に後続するパレットP3がストッパ部材23よりも上流側に位置することとなるので、後続パレットP2とさらに後続するパレットP3との隙間に対して押し上げられたストッパ部材23を確実に介在させることができる。また、次に後続するパレットP3の被搬送物Cが比較的重いことからこのパレットP3の搬送速度が速くなりやすい場合でも、各駆動ローラー31,32がアキューム機能を有する回転用のモータ部を備えているため、パレットの重量差に起因する搬送速度変化が抑制されて安定した搬送速度を維持される。これにより、駆動ローラー31と駆動ローラー32との回転速度差によるパレットの位置調整により、上記間隔を確実に確保することができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係るパレット搬送装置10では、ストッパ機構20により下流側への搬送が規制された後続パレットP2よりも下流側に位置する駆動ローラー31と、搬送規制状態の後続パレットP2に対して搬送力を付与可能な位置に配置された駆動ローラー32と、駆動ローラー31と駆動ローラー32の回転の開始と停止を制御可能な駆動制御回路34とが設けられている。そして、ストッパ機構20による後続パレットP2の搬送規制解除が作動確認用センサ33により検知されると、駆動制御回路34により、回転停止状態の駆動ローラー31と駆動ローラー32が、駆動ローラー32よりも駆動ローラー31の回転速度が高い状態で回転が開始される。
【0040】
これにより、比較的重い被搬送物が載せられたパレットにあわせてローラーコンベア12,13の傾斜角度を調整しても、ストッパ機構20による規制解除後のパレットに対して駆動ローラー32による搬送力が作用するので、比較的軽い被搬送物が載せられたパレットであっても規制解除後にパレットが搬送されずに停止するようなこともない。
【0041】
また、ストッパ機構20による規制が解除されると、後続パレットP2が先頭のパレットとして下流側へ搬送されるとともに、この先頭のパレットに連なる後続の各パレットも下流側へ搬送される。この搬送状態では、先頭の後続パレットP2が駆動ローラー31により搬送力を受けて搬送されるため、先頭のパレットの被搬送物Cが比較的軽い場合であっても、先頭の後続パレットP2の搬送速度V1が後続のパレットP3の搬送速度V2よりも高められるので、先頭の後続パレットP2と後続のパレットP3との間隔が拡大する。これにより、後続のパレットP3の搬送を規制するためのストッパ部材23を先頭の後続パレットP2と後続のパレットP3との間に介在させやすくすることができる。したがって、重量差が大きなパレットPを1つずつ搬出位置まで自動的に搬送することができる。
【0042】
さらに、駆動ローラー31,32は、ローラー本体内にハイインピーダンス・低電流設計で連続ロックしてもモータを損傷せず起動トルクと接線力が弱いためクラッチと同様な機能を有するアキューム機能付きのモーターローラーが内蔵されている。このため、パレットの重量差に起因する搬送速度変化が抑制されて安定した搬送速度が維持され、駆動ローラー31と駆動ローラー32との回転速度差によるパレットの位置調整により、上記間隔を確実に確保することができる。
【0043】
特に、駆動状態の駆動ローラー31,32が搬送停止状態のパレットに接触することで過負荷が生じるような場合でも、この過負荷のモータ部への伝達が上記クラッチ部により遮断される。そうすると、搬送停止状態のパレットに接触している駆動ローラーに対して回転指示を出しても、過負荷により損傷することもない。このため、ローラーコンベア12,13に対して複数の駆動ローラー31,32が配設されることから、パレット搬送のために回転すべき駆動ローラー(例えば、搬入位置近傍に配置される駆動ローラー32)と搬送停止状態のパレットに接触していることから回転停止すべき駆動ローラー(例えば、ストッパ部材23の上流近傍に配置される駆動ローラー32)とに対して一括して回転指示することができる。すなわち、駆動ローラーとして上記アキューム機能付きのモーターローラーを採用することで、ローラーコンベア12,13全体の各駆動ローラーを1つの駆動制御回路でオンオフ制御できるので、個々に駆動ローラーを制御する場合と比較して、コスト低減が図れるだけでなく、制御構成を簡素化することができる。
【0044】
また、本実施形態では、ストッパ機構20による後続パレットP2の搬送規制解除が作動確認用センサ33により検知されると、駆動制御回路34により、駆動ローラー31と駆動ローラー32の回転停止状態が維持され、搬送規制解除の検知から所定時間経過後に駆動ローラー32と、駆動ローラー32よりも回転速度が高い駆動ローラー31の回転が開始される。
31の回転速度よりも低くなるように駆動ローラー32が回転される。
【0045】
これにより、搬出待ちパレットP1が搬出されることでストッパ機構20による後続パレットP2の搬送規制が解除された直後では、この後続パレットP2に対して接触する駆動ローラー32の回転が停止している。このため、回転停止状態の駆動ローラー32が後続パレットP2の搬送を抑制する搬送抑制手段として機能して、上記所定時間が経過するまで後続パレットP2の搬送が抑制される。その結果、後続パレットP2が搬出途中のパレット(搬出待ちパレットP1)に接触することを確実に防止することができる。
【0046】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)ストッパ部材23の傾動状態は、作動確認用センサ33と押圧片35および傾動片36とにより構成される検知手段を用いて検知されることに限らず、接触センサや光センサ等、ストッパ部材23の傾動状態を検知可能な他の検知手段を用いて検知されてもよい。
【0047】
(2)ストッパ機構20は、上述したレバー部材21およびストッパ部材23等を有するように構成されることに限らず、他の構成部材等を用いることで、搬出待ちパレットP1が搬出位置に搬送されると後続パレットP2の搬送を規制し搬出待ちパレットP1が搬出されることで後続パレットP2の搬送規制を解除するように構成されてもよい。
【0048】
(3)上記所定時間は、予め決められた値に設定されることに限らず、搬送環境に応じて適宜変更することができる。