(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、第1実施形態の集合アンテナ装置1は、車両Cのルーフ後端部に固定されている。この車両Cは、ルーフ頂点RTからルーフ後端部にかけて下方に傾斜している。そのため、集合アンテナ装置1も、前方よりも後方が下がっている姿勢でルーフ後端部に固定されている。また、集合アンテナ装置1が固定されている部分は、ルーフ頂点RTよりも低い位置にある。
【0016】
なお、
図1の車両Cは一例であり、集合アンテナ装置1は、種々の車種に取り付け可能である。取り付けられた車種のルーフの傾斜次第で、集合アンテナ装置1は、前端に対する後端の高さが変化する。
【0017】
集合アンテナ装置1の外形は、サメやイルカのヒレに似た形状であり、この集合アンテナ装置1は、外形形状から、シャークアンテナ、ドルフィンアンテナなどと呼ばれる。
図2に示すように、集合アンテナ装置1のケース10は、上面視において流線型状であり、幅方向(図上下方向)長さは、車両前側(図左側)が車両後側(図右側)よりもやや狭くなっている。また、ケース10の車両前後方向の長さは、車両幅方向の長さよりも長くなっている。このケース10は樹脂製である。
【0018】
また、
図3に示すように、ケース10の幅方向長さ(
図3の左右方向)は、底側に比べ、上側が狭くなっている。また、ケース10は下方が開口している形状である。なお、
図3は、ケース10の形状を説明する図であるため、ケース10に収容されている部材は図示を省略している。
【0019】
図4に示すように、ケース10は、第1漸高部11、第2漸高部12、後部13を備える。第1漸高部11は、先端から緩やかな傾斜で内部の空間高が高くなっている。第2漸高部12は、第1漸高部11に続いて形成され、第1漸高部11よりも急な傾斜で後部13に向かうほど内部の空間高が高くなっている。後部13は、その第2漸高部12に続いて形成されている。この後部13の空間高はほぼ一定である。
【0020】
ケース10の開口には、その開口を塞ぐ平板状の底板20が配置されている。底板20の材質は、たとえば樹脂製である。この底板20の上に地板30が固定されている。地板30は、たとえば金属製の平板であり、平面形状は、たとえば長方形状である。
【0021】
この地板30の車両前後方向のほぼ中央部、第2漸高部12の下には、給電点40が設けられている。この給電点40に、低い周波数用アンテナエレメントに相当する携帯電話網用アンテナエレメント50の基端が接続されている。携帯電話網用アンテナエレメント50と地板30を備える携帯電話網用アンテナはモノポール型アンテナであり、携帯電話網用アンテナエレメント50は、垂直偏波の電波を送受信するために、地板30に対しておおむね垂直に配置されている。
【0022】
携帯電話網用アンテナエレメント50が送受信する周波数帯は、たとえば、700MHz帯、800MHz帯、900MHz帯のいずれかである。この周波数に基づいて、携帯電話網用アンテナエレメント50の物理長は決定されている。この物理長は第2漸高部12の空間高よりも長い。そのため、携帯電話網用アンテナエレメント50の先端部50aは、第2漸高部12の内周面の幅方向中央の傾斜に沿って、ケース10の後部13の方向に傾斜している。
【0023】
地板30の車両前後方向の後部には、地板30に対してほぼ垂直に、矩形平板状の基板60が固定されている。基板60には、図示しないグランドパターンが銅箔等により形成されている。このグランドパターンは、地板30と接続している。
【0024】
給電点70は、基板60の上端に設けられている。したがって、この給電点70は、地板30よりも上方に位置していることになる。なお、給電点70の位置は、地板30から、たとえば50mm上方である。
【0025】
給電点70には、高い周波数用アンテナエレメントに相当する近距離通信アンテナエレメント80の基端が接続されている。近距離通信アンテナエレメント80は、V2X通信、すなわち、車々間通信や路車間通信を行うためのアンテナエレメントであり、送受信する周波数は、ここでは5.9GHz帯とする。この近距離通信アンテナエレメント80と基板60に形成されたグランドパターンを備えるアンテナはモノポール型であり、また、近距離通信アンテナエレメント80は、携帯電話網用アンテナエレメント50とは異なり、一直線の形状である。
【0026】
近距離通信アンテナエレメント80がケース10に収容されている位置は、ケース10の後部13であり、ケース10の第2漸高部12に収容されている携帯電話網用アンテナエレメント50よりも後方である。また、近距離通信アンテナエレメント80の向きは、垂直偏波の電波を送受信するために、基板60の上辺や地板30の表面に対しておおむね垂直になっている。
【0027】
前述した給電点70の位置は、携帯電話網用アンテナエレメント50の先端よりも下である。しかし、近距離通信アンテナエレメント80の先端は、携帯電話網用アンテナエレメント50の先端よりも上方にある。
【0028】
<第1実施形態の効果>
このように構成された集合アンテナ装置1が、
図1に示したように、ルーフ頂点RTからルーフ後端部にかけて下方に傾斜している車両Cの後端部に取り付けられた場合、車両Cの前方へ向けて送信される電波は、ルーフ頂点RTから後端部にかけての傾斜により一部が遮られる。そのため、前方の低い仰角の放射利得が、この傾斜がない場合よりも低下する。また、周波数が高いほど電波の直進性が高いので、アンテナエレメントが送信する電波の周波数が高いほど、前方の低い仰角の放射利得が低下する。したがって、本実施形態では、近距離通信アンテナエレメント80が放射する電波のほうが、携帯電話網用アンテナエレメント50が放射する電波よりも放射利得の低下が大きくなる。
【0029】
また、この放射利得の低下は、アンテナエレメントの位置がルーフ頂点RTから下がるほど大きくなる。そのため、仮に、近距離通信アンテナエレメント80の給電点70を地板30に設けることにより、近距離通信アンテナエレメント80の基端を地板30の高さにしてしまうと、近距離通信アンテナエレメント80の放射利得が、より低下してしまうことになる。
【0030】
しかし、本実施形態では、近距離通信アンテナエレメント80は、ケース10内の後部13に収容されている。この収容位置は、携帯電話網用アンテナエレメント50が収容されている位置よりもケース10内の空間高が高い。この高さを利用し、近距離通信アンテナエレメント80の給電点70を、地板30よりも高い位置としている。これにより、集合アンテナ装置1が、
図1に示すように前方に放射を遮る傾斜形状がある場所に配置されていても、近距離通信アンテナエレメント80の前方放射特性が良好になる。
【0031】
また、本実施形態によれば、携帯電話網用アンテナエレメント50は、第2漸高部12の傾斜に沿って後方に傾斜しているので、第2漸高部12の空間高よりも長い携帯電話網用アンテナエレメント50を、第2漸高部12に配置することができる。
【0032】
<第2実施形態>
次に、
図5により第2実施形態を説明する。この第2実施形態以下の説明において、それまでに使用した符号と同一番号の符号を有する要素は、特に言及する場合を除き、それ以前の実施形態における同一符号の要素と同一である。また、構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分については先に説明した実施形態を適用することができる。
【0033】
第2実施形態の集合アンテナ装置100が備える携帯電話網用アンテナエレメント150には、整合回路151が接続されている。この携帯電話網用アンテナエレメント150が送受信する電波の周波数は、第1実施形態の携帯電話網用アンテナエレメント50と同じである。ただし、本実施形態では、整合回路151が接続されている分、第2実施形態の携帯電話網用アンテナエレメント150の物理長は、第1実施形態の携帯電話網用アンテナエレメント50よりも短くなっている。
【0034】
より具体的には、携帯電話網用アンテナエレメント150の先端が、給電点70の高さとほぼ一致するように、整合回路151が調整されている。携帯電話網用アンテナエレメント150先端が、給電点70の高さとほぼ一致しているため、携帯電話網用アンテナエレメント150の先端は、給電点70の高さを超えていないことになる。
【0035】
<第2実施形態の効果>
図6は、第2実施形態の集合アンテナ装置100における近距離通信アンテナエレメント80を送信源とした放射電界強度をシミュレーションした結果のEθ成分を示す図である。これに対して、
図7は、比較例であり、近距離通信アンテナエレメント80を携帯電話網用アンテナエレメント150の位置に配置した場合の近距離通信アンテナエレメント80の放射電界強度をシミュレーションした結果のEθ成分を示す図である。
【0036】
これら
図6、
図7において、下向きの三角形は車両ルーフ上における集合アンテナ装置の位置を示している。
図6、
図7とも、その下向きの三角形の位置は、ルーフの頂点よりも後部で、そのルーフ頂点よりも低くなった位置である。また、破線の矢印は水平方向前方を示している。
【0037】
図6、
図7のブロック矢印の方向を比較すると分かるように、第2実施形態の集合アンテナ装置100の方が、比較例の集合アンテナ装置よりも、車両前方(図左側)の低い仰角方向の電界強度が大きいことが分かる。このことから、第2実施形態の集合アンテナ装置100は、近距離通信アンテナエレメント80を地板30の上に設置した場合よりも、前方放射特性が向上していることが分かる。
【0038】
特に、第2実施形態のように、携帯電話網用アンテナエレメント150の先端が近距離通信アンテナエレメント80の給電点70を超えないようにすると、第1実施形態のように携帯電話網用アンテナエレメント50の先端が近距離通信アンテナエレメント80の給電点70を超える場合よりも、近距離通信アンテナエレメント80の前方放射特性が向上する。
【0039】
また第2実施形態では、給電点70の位置が、携帯電話網用アンテナエレメント150の先端とほぼ同じ高さとなっていることから、近距離通信アンテナエレメント80は、その全体が、携帯電話網用アンテナエレメント150の先端よりも上に位置する。したがって、前方に存在する携帯電話網用アンテナエレメント150との結合も少なくなる。これによっても、近距離通信アンテナエレメント80の前方放射特性が良好になる。
【0040】
図8は、第2実施形態と第1実施形態の近距離通信アンテナエレメント80の指向性を示している。図左側が、第1実施形態の近距離通信アンテナエレメント80の指向性、すなわち、携帯電話網用アンテナエレメント50の先端が、近距離通信アンテナエレメント80の給電点70よりも上側である場合の近距離通信アンテナエレメント80の指向性である。図右側は、第2実施形態の近距離通信アンテナエレメント80の指向性、すなわち、携帯電話網用アンテナエレメント150の先端が、近距離通信アンテナエレメント80の給電点70以下である場合の近距離通信アンテナエレメント80の指向性である。なお、
図8は、集合アンテナ装置1、100を水平面に置いた場合の指向性である。
【0041】
図8から分かるように、前方すなわち180°方向の利得は、第1実施形態の近距離通信アンテナエレメント80は約−1.5dBiであるのに対して、第2実施形態の近距離通信アンテナエレメント80は約1.4dBiとなっている。よって、第2実施形態の前方利得は、第1実施形態の前方利得よりも約2.9dB高い。
【0042】
<第3実施形態>
図9に示すように、第3実施形態の集合アンテナ装置200は、基板60の上端に、2つのカウンターポイズ294a、294bが配置されている。これらカウンターポイズ294a、294bは、棒状体であり、いずれも、矩形状の基板60の上辺にほぼ平行に、換言すれば、ケース10の前後方向にほぼ平行に、配置されている。また、ケース10の前後方向にほぼ平行であることから、カウンターポイズ294a、294bは、近距離通信アンテナエレメント80に対しておおむね垂直になっている。
【0043】
2つのカウンターポイズ294a、294bは、ともに、基部が、基板60の前後方向にほぼ平行になっている部分に対しておおむね垂直に折れ曲がっており、基部側の先端は、給電点70に隣接する位置において、基板60の図示しないグランドパターンに接続されている。なお、基部側の先端が給電点70に対して隣接している程度は、カウンターポイズ294a、294bが、近距離通信アンテナエレメント80のグランドとして機能する範囲であれば、適宜変更できる。
【0044】
このカウンターポイズ294a、294bは、たとえば銅などの導電性材料製であり、長さは、カウンターポイズとして良好に機能する長さであるλ/4になっている。
【0045】
このカウンターポイズ294a、294bがあることにより、カウンターポイズ294a、294bが配置されている高さがグランドの高さとなる。よって、地板30よりも高い位置がグランドとなる。
【0046】
このカウンターポイズ294a、294bがない場合、給電点70と地板30との間にあるグランドパターンがアンテナエレメントのように振る舞い、給電点70の上にある近距離通信アンテナエレメント80と組み合わされて、ダイポールアンテナのようになる。したがって、給電点70と地板30との間のグランドパターンから不要な放射が生じてしまう。
【0047】
これに対して、本実施形態ではカウンターポイズ294a、294bが配置されている高さがグランドの高さとなることから、基板60に形成されたグランドパターンからの不要放射が減少する。不要放射が減少する分、カウンターポイズ294a、294bがない場合に比較して、給電点70よりも上側にある近距離通信アンテナエレメント80は、水平面放射利得が全体的に向上する。よって、この近距離通信アンテナエレメント80の前方放射利得も向上する。
【0048】
加えて、カウンターポイズ294a、294bが配置されている高さがグランドの高さとなることで、近距離通信アンテナエレメント80の前方に存在する携帯電話網用アンテナエレメント50との結合も少なくなる。これによっても、近距離通信アンテナエレメント80の前方放射利得が向上する。
【0049】
<第4実施形態>
第4実施形態の集合アンテナ装置300は、
図10に示すように、第3実施形態の集合アンテナ装置200が備える要素を全て備える。さらに第4実施形態の集合アンテナ装置300は、近距離通信アンテナエレメント80とほぼ平行な姿勢で、近距離通信アンテナエレメント80に対して車両前方および後方に導電性の無給電素子396a、396bを備える。これら無給電素子396a、396bの上下方向の位置は、近距離通信アンテナエレメント80と対向する位置、すなわち、給電点70よりも上方である。
【0050】
これら無給電素子396a、396bをケース10内に固定する方法は、たとえば、近距離通信アンテナエレメント80の所定位置に、その近距離通信アンテナエレメント80と直交する非導電性の棒を固定し、その棒に、無給電素子396a、396bを固定する方法がある。
【0051】
この無給電素子396a、396bは、導波器または反射器として機能する。これら無給電素子396a、396bを導波器または反射器として機能させるための無給電素子396a、396bの長さ、近距離通信アンテナエレメント80との間の間隔は公知であり、種々の長さ、種々の間隔が可能である。
【0052】
一例としては、導波器として機能させる場合、無給電素子396a、396bと近距離通信アンテナエレメント80との間隔をλ/4とし、無給電素子396a、396bの長さをλ/2よりもやや短くする。また、反射器として機能させる場合、無給電素子396a、396bと近距離通信アンテナエレメント80との間隔は導波器として機能させる場合と同じとし、無給電素子396a、396bの長さをλ/2よりもやや長くする。また、導波器として機能させる場合も、反射器として機能させる場合も、上記間隔をλ/4よりも短くし、間隔を短くした分に応じて、無給電素子396a、396bの長さを短くしてもよい。
【0053】
また、前側の無給電素子396aを導波器とし、後ろ側の無給電素子396bを反射器としてもよいし、反対に、前側の無給電素子396aを反射器とし、後ろ側の無給電素子396bを導波器としてもよい。これらの場合、導波器側への単一指向性とすることができる。また、両方の無給電素子396a、396bをともに導波器としてもよい。このようにすれば、車両の前方向および後方向の放射利得が向上する。
【0054】
このように、第4実施形態の集合アンテナ装置300は、導波器または反射器として機能する無給電素子396a、396bを備えていることから、近距離通信アンテナエレメント80の指向性は、無給電素子396a、396bが存在する方向が強くなる。無給電素子396a、396bの位置は、給電点70よりも上側である。したがって、無給電素子396a、396bがあることで、近距離通信アンテナエレメント80の指向性は、それら無給電素子396a、396bがない場合に比較して上方に向くことになる。
【0055】
近距離通信アンテナエレメント80の給電点70を地板30よりも高い位置に設けると、近距離通信アンテナエレメント80から放射され車両表面で反射した電波と、近距離通信アンテナエレメント80から直進する電波との干渉が生じて、利得が低下する方位が生じる恐れがある。
【0056】
これに対して、本実施形態のように導波器または反射器として機能する無給電素子396a、396bを設けると、無給電素子396a、396bがない場合よりも指向性が上向きになるので、車両表面で反射する電波を減少させることができる。そして、車両表面で反射する電波が減少することで、近距離通信アンテナエレメント80から直進する電波と、車両表面で反射した電波の干渉も減少するので、利得の低下が抑制できる。
【0057】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の変形例も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0058】
<変形例1>
たとえば、前述の第1〜第4実施形態では、近距離通信アンテナエレメント80の先端は、携帯電話網用アンテナエレメント50、150の先端よりも上であった。しかし、これに限られない。給電点70が地板30よりも上にありさえすれば、給電点70が地板30にある場合よりも、近距離通信アンテナエレメント80の前方放射利得を向上させることができる。したがって、給電点70が地板30よりも上であれば、給電点70の位置を前述の実施形態よりも下げて、近距離通信アンテナエレメント80の先端が、携帯電話網用アンテナエレメント50、150の先端よりも下側になってもよい。
【0059】
ただし、近距離通信アンテナエレメント80の先端を、携帯電話網用アンテナエレメント50、150の先端よりも上にする構成は、近距離通信アンテナエレメント80と、携帯電話網用アンテナエレメント50、150の位置を入れ替えた場合には不可能な構成である。すなわち、近距離通信アンテナエレメント80の先端を、携帯電話網用アンテナエレメント50、150の先端よりも上にする構成は、近距離通信アンテナエレメント80を携帯電話網用アンテナエレメント50、150よりもケース10の後方に配置したことを有効に活用できている構成となる。
【0060】
<変形例2>
近距離通信アンテナエレメント80は、一直線状でなくてもよく、先端がヘリカル形状となっていたり、途中で折れ曲がっていたりしてもよい。
【0061】
<変形例3>
第3実施形態では、2本のカウンターポイズ294a、294bをケース10の前後方向にほぼ平行に備えていたがこれに限られない。給電点70の付近から、これら2本のカウンターポイズ294a、294bに直交するように、さらに、2本のカウンターポイズを追加するなど、カウンターポイズの本数を2本よりも多い本数としてもよい。また、カウンターポイズとしての効果は小さくなるものの、1本のみのカウンターポイズとしてもよい。また、カウンターポイズの上下方向の角度は、前述の実施形態のように、近距離通信アンテナエレメント80に対して垂直であることが好ましいが、この角度が垂直でなくても、カウンターポイズとしてのある程度の効果は得られる。したがって、カウンターポイズの上下方向の角度は近距離通信アンテナエレメント80に対して垂直でなくてもよい。
【0062】
<変形例4>
また、前述の実施形態では、5.9GHzの周波数の電波を送受信する近距離通信アンテナエレメント80が請求項の高い周波数用アンテナエレメントに相当しており、700MHz〜900MHz帯の周波数の電波を送受信する携帯電話網用アンテナエレメント50、150が請求項の低い周波数用アンテナエレメントに相当していた。しかし、高い周波数用アンテナエレメント、低い周波数用アンテナエレメントが送受信する電波の周波数はこれに限られず、互いに周波数が異なればよい。一例としては、高い周波数用アンテナエレメントとしてIEEE802.11で使用される2.4〜2.5GHz、5.15〜5.35GHz、5.47〜5.725GHzの電波を送受信するアンテナエレメントを用いてもよい。また、低い周波数用アンテナエレメントとして、携帯電話通信で用いる周波数のうち、700MHz〜900MHz帯よりも高い1.5GHz帯、1.7GHz帯の電波を送受信するアンテナエレメントを用いてもよい。
【0063】
<変形例5>
第4実施形態では、近距離通信アンテナエレメント80の前と後ろに一つずつ導波器または反射器として機能する無給電素子を配置していたが、無給電素子の数はこれに限られない。近距離通信アンテナエレメント80の前のみ、または、後ろのみに1本の無給電素子を配置してもよい。また、近距離通信アンテナエレメント80の前に複数本の無給電素子を配置してもよいし、後ろに複数本の無給電素子を配置してもよい。
【0064】
<変形例6>
前述の実施形態のケース10は、傾斜が異なる第1漸高部11、第2漸高部12と、空間高がほぼ一定な後部13を備える形状であったが、ケースの形状はこれに限られない。特許文献1のように、後部の空間高が、後端へ向かうほど低くなる形状でもよい。また、前端から後端まで連続的に空間高が高くなる形状でもよい。
【0065】
<変形例7>
カウンターポイズ(294a、294b)やアンテナエレメント(50、80、150)、無給電素子(396a、396b)は基板60の上の導電パターンとして構成されるものであってもよい。
【0066】
<変形例8>
図11に示すように、第3実施形態の変形例として、集合アンテナ装置200は、地板30の車両前後方向前端部に、GNSS(Global Navigation Satellite System)で用いられるGNSS用アンテナ290と、そのGNSS用アンテナ290に接続する給電点291を備えてもよい。また、図示は省略するが、第1、第2、第4実施形態の集合アンテナ装置1、100、300においても、
図11に示す位置に、GNSS用アンテナ290と、給電点291を備えていてもよい。