特許第6206246号(P6206246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206246
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20170925BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   G08G1/16 C
   B60K35/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-34925(P2014-34925)
(22)【出願日】2014年2月26日
(65)【公開番号】特開2015-161965(P2015-161965A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2016年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 健治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 元春
(72)【発明者】
【氏名】篠森 正利
【審査官】 岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−078414(JP,A)
【文献】 特開2009−075645(JP,A)
【文献】 特開2013−239015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の前方の被投影部材に画像を投影することにより虚像である表示画像を実景に重畳して表示する車両用表示装置であって、
所定の判定基準に従って、自車両が進行方向前方側において物体と接触する又はその可能性が高いか否かを判定する判定手段と、
上記判定手段により上記自車両が進行方向前方側において物体と接触する又はその可能性が高いと判定されたときに、その旨を示す接触表示画像を、上記自車両が上記物体と接触する又はその可能性が高い進行方向前方側の位置に重畳表示させる制御手段と
運転者の所定操作に基づいて、上記所定の判定基準を変更可能な設定手段とを備えていることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用表示装置において、
上記制御手段は、上記判定手段により上記自車両が進行方向前方側において物体と接触する又はその可能性が高いと判定されたときには、上記接触表示画像を、上記自車両が上記物体と接触するのを回避可能なタイミングで表示させるように構成されていることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車両用表示装置において、
上記制御手段は、上記判定手段により上記自車両が進行方向前方側において物体と接触すると判定されたときには、上記自車両の表示画像を上記接触表示画像として、該表示画像における上記物体と重複する部分を他の部分よりも目立たせるべく表示させるように構成されていることを特徴とする車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者の前方の被投影部材に画像を投影することにより虚像である表示画像を実景に重畳して表示する車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
運転者の前方の被投影部材に画像を投影することにより虚像である表示画像を実景に重畳して表示する車両用表示装置が従来技術として知られている。
【0003】
特許文献1に示す車両用表示装置では、夜間における車両の前方の情報が第一の表示部に画像表示される。この車両用表示装置は、車両の前方の情報に歩行者の映像が含まれることを検出する手段と、この検出する手段の検出結果を表示する第二の表示部とを備えている。これによれば、車両用表示装置が歩行者の映像を捉えたときにのみ、運転者は、車両用表示装置を利用することができる。したがって、車両用表示装置の表示部を監視することが不要であるときには、運転者は、自らの目によって前方を目視確認することに専念することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−55942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両の前方の道路の有効幅が狭いなどのために、自車両が進行方向前方側において他車両などの物体と接触する又はその可能性が高いときに、自車両がその物体と接触する又はその可能性が高い進行方向前方側の位置を運転者が認識できるのが望ましい。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、自車両が進行方向前方側において物体と接触する又はその可能性が高いときに、自車両がその物体と接触する又はその可能性が高い進行方向前方側の位置を運転者が認識できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、自車両が進行方向前方側において物体と接触する又はその可能性が高いときに、その旨を示す接触表示画像を、自車両がその物体と接触する又はその可能性が高い進行方向前方側の位置に重畳表示させることを特徴とする。
【0008】
具体的には、本発明は、運転者の前方の被投影部材に画像を投影することにより虚像である表示画像を実景に重畳して表示する車両用表示装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、第1の発明は、所定の判定基準に従って、自車両が進行方向前方側において物体と接触する又はその可能性が高いか否かを判定する判定手段と、上記判定手段により上記自車両が進行方向前方側において物体と接触する又はその可能性が高いと判定されたときに、その旨を示す接触表示画像を、上記自車両が上記物体と接触する又はその可能性が高い進行方向前方側の位置に重畳表示させる制御手段と、運転者の所定操作に基づいて、上記所定の判定基準を変更可能な設定手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0010】
これによれば、制御手段が、判定手段により自車両が進行方向前方側において物体と接触する又はその可能性が高いと判定されたときに、その旨を示す接触表示画像を、自車両がその物体と接触する又はその可能性が高い進行方向前方側の位置に重畳表示させるので、自車両がその物体と接触する又はその可能性が高い進行方向前方側の位置を運転者が認識することができる。
【0011】
また、設定手段が、自車両が進行方向前方側において物体と接触する又はその可能性が高いか否かを判定手段が判定するための所定の判定基準を変更可能であるので、所定の判定基準を、例えば、運転者の運転技量に応じた最適な基準に設定することができる。
【0012】
の発明は、上記第1の発明において、上記制御手段は、上記判定手段により上記自車両が進行方向前方側において物体と接触する又はその可能性が高いと判定されたときには、上記接触表示画像を、上記自車両が上記物体と接触するのを回避可能なタイミングで表示させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
これによれば、制御手段が、判定手段により自車両が進行方向前方側において物体と接触する又はその可能性が高いと判定されたときに、接触表示画像を、自車両が物体と接触するのを回避可能なタイミングで表示させるので、自車両が物体と接触するのを回避可能になる。
【0014】
の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記制御手段は、上記判定手段により上記自車両が進行方向前方側において物体と接触すると判定されたときには、上記自車両の表示画像を上記接触表示画像として、該表示画像における上記物体と重複する部分を他の部分よりも目立たせるべく表示させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
これによれば、制御手段が、判定手段により自車両が進行方向前方側において物体と接触すると判定されたときに、自車両の表示画像を接触表示画像として、その表示画像における物体と重複する部分が他の部分よりも目立つように表示させるので、その重複部分の大きさを運転者が認識することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、自車両が進行方向前方側において物体と接触する又はその可能性が高いときに、その旨を示す接触表示画像を、自車両がその物体と接触する又はその可能性が高い進行方向前方側の位置に重畳表示させるので、自車両がその物体と接触する又はその可能性が高い進行方向前方側の位置を運転者が認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る車両用表示装置を示すブロック図である。
図2】車両の前方の道路の有効幅が設定値よりも小さいときに、接触表示画像を実景に重畳して表示する様子を車両後方側から見た概略図である。
図3】車両の前方の道路の有効幅が自車両の車幅よりも狭いときに、接触表示画像を表示する様子を示す図2相当図である。
図4】制御装置の表示制御の手順を示すフローチャート図である。
図5】その他の実施形態に係る表示画像を表示する様子を示す図2相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0019】
本発明の実施形態に係る車両用表示装置1は、運転者2の前方に設けられたフロントウインドウガラス3(被投影部材)に画像を投影することにより、虚像である表示画像をフロントウインドウガラス3の前方の実景に重畳して表示する車載ヘッドアップディスプレイ(以下、単にヘッドアップディスプレイという)である(図2及び図3を参照)。なお、本実施形態では、車両vが左ハンドル車である。
【0020】
このヘッドアップディスプレイ1は、図1に示すように、カーナビゲーションシステム10(図1では、NAVI)と、前方カメラ11と、車速センサ12と、顔カメラ13と、投影装置14と、制御装置15とを備えている。
【0021】
カーナビゲーションシステム10は、自車両v(図2等を参照)の現在の位置情報や地図情報などを検出する。上記前方カメラ11は、例えば、フロントウインドウガラス3に設けられている。前方カメラ11は、自車両vの前方を撮像することにより、道路標識や道路、他車両等、自車両vの前方の物体情報や、その物体の位置情報などを検出する。上記車速センサ12は、自車両vの車速情報を検出する。上記顔カメラ13は、運転者2の前方に設けられている。顔カメラ13は、運転者2の顔を撮像することにより、運転者2の目の位置情報などを検出する。そして、カーナビゲーションシステム10、前方カメラ11、車速センサ12及び顔カメラ13は、制御装置15に電気的に接続されている。
【0022】
上記投影装置14は、フロントウインドウガラス3の下方に設けられている。投影装置14は、フロントウインドウガラス3に画像を投影することにより、表示画像を表示する。この投影位置は、例えば、顔カメラ13からの運転者2の目の位置情報に基づいて変更する。そして、投影装置14は、制御装置15に電気的に接続されている。投影装置14の詳細な説明は省略するが、その構成は、例えば、従来既知のものである。
【0023】
上記制御装置15は、各検出装置10〜13からの検出情報に基づいて、投影装置14による表示画像の表示を制御する。制御装置15は、接触判定部15a(判定手段)と、設定部15b(設定手段)と、迂回判定部15cと、制御部15d(制御手段)とを有している。
【0024】
接触判定部15aは、前方カメラ11からの検出情報に基づいて、自車両vが進行方向前方側において他車両(物体)とすれ違う(離合する)ときにその他車両と接触(衝突)する又はその可能性が高いか否かを判定する。詳細には、接触判定部15aは、前方カメラ11からの検出情報に基づいて、車両vの前方の道路の有効幅を算出して、その算出した有効幅が予め設定した設定値(所定の判定基準)よりも小さいとき(その有効幅が自車両vの車幅よりも狭いときを除く)に、自車両vが進行方向前方側において他車両と接触する可能性が相対的に高いと判定する。一方、その有効幅が自車両vの車幅よりも狭いときには、自車両vが進行方向前方側において他車両と接触すると判定する。ここで、有効幅とは、道路の全幅からその道路上の他車両の車幅などの物体の幅を除いた、車両vが通過可能な幅を言う。また、接触判定部15aは、その算出した有効幅がその設定値以上のときには、自車両vが進行方向前方側において他車両と接触しない又は自車両vが進行方向前方側において他車両と接触する可能性が相対的に低いと判定する。
【0025】
上記設定部15bは、例えば、運転者2の所定操作に基づいて、接触判定部15aの判定に用いる設定値を変更可能となっている。この変更では、例えば、運転者2の運転技量に応じた最適な値に設定する。つまり、運転者2の運転技量が高いほど、設定値を小さい値に設定する。
【0026】
上記迂回判定部15cは、接触判定部15aにより自車両vが進行方向前方側において他車両と接触する又はその可能性が高いと判定されたときに、カーナビゲーションシステム10からの検出情報に基づいて、自車両vがその他車両と接触する又はその可能性が高い進行方向前方側の場所に至るまでに、そこを回避する迂回路(例えば、三叉路)があるか否かを判定する。
【0027】
上記制御部15dは、接触判定部15aにより自車両vが進行方向前方側において他車両と接触する又はその可能性が高いと判定された場合であって、迂回判定部15cにより迂回路がないと判定されたときに、自車両vが進行方向前方側において他車両と接触する又はその可能性が高い旨を示す接触表示画像を、実景を構成する、自車両vがその他車両と接触する又はその可能性が高い進行方向前方側の位置に重畳表示させる。
【0028】
以下、その表示の一例を図2及び図3を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
図2及び図3に示す符号bは建築物であり、符号sは道路標識であり、符号wは道路であり、符号xは自車両v以外の他車両である。これらはすべて、実景を構成する。
【0030】
図2は、車両vの前方の道路w上の他車両xによりその道路wの有効幅が設定値よりも小さいときに、接触表示画像を実景に重畳して表示する様子を車両後方側から見た概略図である。図2では、前方道路幅の表示画像hが接触表示画像として表示されている。この前方道路幅の表示画像hは、第1矢印画像iと、第2矢印画像jと、文字画像kとで構成されている。第1矢印画像iは、上下方向に延びる下向きの矢印の画像であり、破線で示されている。そして、第1矢印画像iは、道路wにおける有効幅が設定値よりも小さい部分の、その有効幅の両端にそれぞれ表示されている。上記第2矢印画像jは、車幅方向に延びる双方向の矢印の画像であり、実線で示されている。そして、第2矢印画像jは、両第1矢印画像i,iの間に表示されている。上記文字画像kは、「注意」という文字画像と、道路wにおける有効幅が設定値よりも小さい部分の、その有効幅の値の画像とで構成されている。図2では、この値が「2m」である。そして、「注意」という文字画像と、その有効幅の値の画像とは、第2矢印画像jの上方側に上下二段で表示されている。
【0031】
図3は、車両vの前方の道路w上の他車両xによりその道路wの有効幅が自車両vの車幅よりも狭いときに、接触表示画像を表示する様子を示す図2相当図である。図3では、自車両離合警告の表示画像oが接触表示画像として表示されている。この自車両離合警告の表示画像oは、自車両の表示画像で構成されている。自車両の表示画像oは、自車両vを模したものである。そして、自車両の表示画像oは、道路wにおける有効幅が自車両vの車幅よりも狭い部分に、自車両の表示画像oにおける他車両xと重複する部分p(この重複部分pは、自車両vにおける他車両xと接触する部分に相当)が他の部分よりも目立つ(強調される)ように表示されている。この表示は、例えば、その重複部分pの色を派手な色にすることにより行う。また、その重複部分pの大きさに基づいて、その色を変更してもよい。
【0032】
なお、図2及び図3では、速度制限標識の表示画像lと、前方車両との車間距離を認知支援するための表示画像mと、ターンバイターンの表示画像nとがこの順に左側から、運転者2の前方側で且つ車両前後方向視においてインストルメントパネル4の直上側に表示されている。
【0033】
また、上述の如く、自車両vが進行方向前方側において他車両xと接触する又はその可能性が高いと判定されたときに、その旨を示す接触表示画像を実景に重畳表示させたにも拘わらず、自車両vがその他車両と実際に接触しそうになったときには、ブレーキをかけたり、所定の警報を行ったりするなど、衝突防止システムを作動させる。
【0034】
以下、制御装置15の表示制御の手順を、図4に示すフローチャート図を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、図2及び図3に示す表示の一例に基づいて説明を行う。
【0035】
まず、ステップS1では、前方カメラ11からの検出情報に基づいて、車両vの前方の道路wの有効幅を算出する。次に、ステップS2では、ステップS1で算出した車両vの前方の道路wの有効幅が予め設定した設定値よりも小さい又は自車両vの車幅よりも狭いか否かを判定する。ステップS2の判定結果がYESで有効幅が設定値よりも小さい又は自車両vの車幅よりも狭い場合は、自車両vが進行方向前方側において他車両xと接触する又はその可能性が相対的に高いとして、ステップS3に進む。一方、その判定結果がNOで有効幅が設定値以上のときには、自車両vが進行方向前方側において他車両xと接触しない又は自車両vが進行方向前方側において他車両xと接触する可能性が相対的に低いとして、ステップS1に戻る。
【0036】
ステップS3では、カーナビゲーションシステム10からの検出情報に基づいて、自車両vが他車両xと接触する又はその可能性が高い進行方向前方側の場所に至るまでに、そこを回避する迂回路があるか否かを判定する。ステップS3の判定結果がNOで迂回路がない場合は、ステップS4に進む一方、その判定結果がYESで迂回路があるときには、ステップS1に戻る。
【0037】
ステップS4では、ステップS1で算出した車両vの前方の道路wの有効幅が予め設定した設定値よりも小さいのか、或いは、その有効幅が自車両vの車幅よりも狭いのかを判定する。ステップS4の判定結果が「設定値よりも小さい」の場合は、ステップS5に進んで、上述の如く構成した前方道路幅の表示画像hを表示させる。一方、その判定結果が「自車両vの車幅よりも狭い」のときには、ステップS6に進んで、上述の如く構成した自車両離合警告の表示画像oを表示させる。その後、いずれの場合も、エンドに進む。
【0038】
−効果−
以上より、本実施形態によれば、制御部15dが、接触判定部15aにより自車両vが進行方向前方側において他車両xと接触する又はその可能性が高いと判定されたときに、その旨を示す接触表示画像h,oを、自車両vがその他車両xと接触する又はその可能性が高い進行方向前方側の位置に重畳表示させるので、自車両vがその他車両xと接触する又はその可能性が高い進行方向前方側の位置を運転者2が認識することができる。
【0039】
また、設定部15bが、自車両vが進行方向前方側において他車両xと接触する又はその可能性が高いか否かを接触判定部15aが判定するための設定値を変更可能であるので、設定値を、例えば、運転者2の運転技量に応じた最適な値に設定することができる。
【0040】
また、制御部15dが、接触判定部15aにより自車両vが進行方向前方側において他車両xと接触すると判定されたときに、自車両の表示画像oを接触表示画像として、その表示画像における物体と重複する部分pが他の部分よりも目立つように表示させるので、その重複部分pの大きさを運転者2が認識することができる。
【0041】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、本発明に係る被投影部材をフロントウインドウガラス3で構成したが、これに限らず、運転者2の前方に設けたフロントウインドウガラス3とは別のコンバイナーで構成してもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、自車両vが進行方向前方側において他車両xと接触する又はその可能性が高いと判定されたときに、接触表示画像h,oを、自車両vがその他車両xと接触する又はその可能性が高い進行方向前方側の位置に重畳表示させたが、これに限らず、その接触表示画像に加えて又は代えて、例えば、以下に示す接触表示画像を重畳表示させてもよい。
【0043】
つまり、接触判定部15aが、前方カメラ11からの検出情報に基づいて、自車両vが進行方向前方側において上方側の構造物(物体)と接触する又はその可能性が高いか否かを判定し、制御部15dが、接触判定部15aにより自車両vが進行方向前方側において上方側の構造物と接触する又はその可能性が高いと判定されたときに、その旨を示す接触表示画像を、自車両vがその構造物と接触する又はその可能性が高い進行方向前方側の位置に重畳表示させてもよい。
【0044】
以下、その表示の一例を図5を参照しながら詳細に説明する。
【0045】
図5に示す符号tは、実景を構成する上方側の構造物である。図5では、構造物高さの表示画像eが接触表示画像として表示されている。この構造物高さの表示画像eは、矢印画像fと、文字画像gとで構成されている。矢印画像fは、上下方向に延びる双方向の画像であり、実線で示されている。そして、矢印画像fは、構造物tと、道路wにおけるその構造物tに対応する位置との間に表示されている。上記文字画像gは、構造物tと、道路wにおけるその構造物tに対応する位置との間の距離の値の画像で構成されている。図5では、この値が「4m」である。そして、文字画像gは、矢印画像fの右方側に表示されている。
【0046】
さらに、アプローチアングルに係る接触表示画像を重畳表示させてもよい。つまり、接触判定部15aが、カーナビゲーションシステム10からの検出情報や道路の勾配を検出する勾配センサからの検出情報に基づいて、自車両vの坂路前進走行時に、自車両vのフロントダンパーが進行方向前方側において道路w(物体)と接触する又はその可能性が高いか否かを判定し、制御部15dが、接触判定部15aにより自車両vのフロントダンパーが進行方向前方側において道路wと接触する又はその可能性が高いと判定されたときに、その旨を示す接触表示画像を、自車両vのフロントダンパーがその道路wと接触する又はその可能性が高い進行方向前方側の位置に重畳表示させてもよい。
【0047】
加えて、デパーチャアングルに係る接触表示画像を重畳表示させてもよい。つまり、接触判定部15aが、カーナビゲーションシステム10からの検出情報や道路の勾配を検出する勾配センサからの検出情報に基づいて、自車両vの坂路後退走行時に、自車両vのリアダンパーが進行方向前方側において道路w(物体)と接触する又はその可能性が高いか否かを判定し、制御部15dが、接触判定部15aにより自車両vのリアダンパーが進行方向前方側において道路wと接触する又はその可能性が高いと判定されたときに、運転者2の後方に設けられたリアウインドウガラス(被投影部材)に画像を投影することにより、その旨を示す接触表示画像を、自車両vのリアダンパーがその道路wと接触する又はその可能性が高い進行方向前方側の位置に重畳表示させてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、前方道路幅の表示画像hや自車両離合警告の表示画像oを接触表示画像として表示したが、これに限らず、自車両vが進行方向前方側において他車両xと接触する又はその可能性が高い旨を示すもの(言い換えると、その旨が理解できるもの)である限り、如何なる表示画像を表示してもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、迂回判定部15cにより迂回路がないと判定されたときに、接触表示画像h,oを表示させたが、これに限らず、例えば、迂回判定部15cにより迂回路があると判定されたときに、接触表示画像を、その迂回路に至るまでに(つまり、自車両vが他車両xと接触するのを回避可能なタイミングで)表示させてもよい。或いは、接触表示画像を、自車両vがその他車両xと接触する又はその可能性が高い進行方向前方側の位置に至る所定時間前に(つまり、自車両vが他車両xと接触するのを回避可能なタイミングで)表示させてもよい。これらによれば、制御部15dが、接触判定部15aにより自車両vが進行方向前方側において他車両xと接触する又はその可能性が高いと判定されたときに、接触表示画像h,oを、自車両vが他車両xと接触するのを回避可能なタイミングで表示させるので、自車両vが他車両xと接触するのを回避可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上説明したように、本発明に係る車両用表示装置は、自車両が進行方向前方側において物体と接触する又はその可能性が高いときに、自車両がその物体と接触する又はその可能性が高い進行方向前方側の位置を運転者が認識できるようにすることが必要な用途等に適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 ヘッドアップディスプレイ(車両用表示装置)
12 車速センサ(車速検出手段)
14 投影装置
15 制御装置
15a 接触判定部(判定手段)
15b 設定部(設定手段)
15d 制御部(制御手段)
2 運転者
3 フロントウインドウガラス(被投影部材)
e,h,o 接触表示画像
図1
図2
図3
図4
図5