(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つの接続用端子を、入力端子と出力端子のいずれか一方又は両方として使用される一対の入出力端子の間に備えた第1と第2の入出力ラインと、前記第1の入出力ラインの前記接続用端子と前記第2の入出力ラインの前記接続用端子とに接続されたコンデンサ素子と、を備えるコンデンサモジュールの試験を行う、コンデンサモジュール試験装置であって、
一対の直流電源端子を有する直流電源と、
一対の交流電源端子を有する交流電源と、
前記一対の直流電源端子の一方と、前記第1の入出力ラインの前記一対の前記入出力端子の一方とを接続し、かつ、前記一対の直流電源端子の他方と、前記第2の入出力ラインの前記一対の前記入出力端子の一方とを接続する一対の第1経路と、
前記一対の交流電源端子の一方と、前記第1の入出力ラインの前記一対の前記入出力端子の他方とを接続し、かつ、前記一対の交流電源端子の他方と、前記第2の入出力ラインの前記一対の入出力端子の他方とを接続する一対の第2経路と、
前記一対の第2経路の間に接続された第3経路と、
前記第1経路上に設けられ、直流電流を通過させ交流電流を遮断する第1交流電流遮断素子と、
前記第2経路上のうち、前記第3経路との間の接続点と前記交流電源との間に設けられ、前記交流電流を通過させ前記直流電流を遮断する直流電流遮断素子と、
前記第3経路上に設けられ、前記直流電流を通過させ前記交流電流を遮断する第2交流電流遮断素子と、を備えることを特徴とする
コンデンサモジュール試験装置。
前記一対の第1経路によって、前記一対の直流電源端子の一方と、前記第1の入出力ラインの前記一対の前記入出力端子の一方とが接続され、かつ、前記一対の直流電源端子の他方と、前記第2の入出力ラインの前記一対の前記入出力端子の一方とが接続され、且つ、
前記一対の第2経路によって、前記一対の交流電源端子の一方と、前記第1の入出力ラインの前記一対の前記入出力端子の他方が接続され、かつ、前記一対の交流電源端子の他方と、前記第2の入出力ラインの前記一対の入出力端子の他方とが接続されることにより、前記コンデンサモジュールが取り付けられることを特徴とする
請求項1に記載のコンデンサモジュール試験装置。
少なくとも1つの接続用端子を、入力端子と出力端子のいずれか一方又は両方として使用される一対の入出力端子の間に備えた第1と第2の入出力ラインと、前記第1の入出力ラインの前記接続用端子と前記第2の入出力ラインの前記接続用端子とに接続されたコンデンサ素子と、を備えるコンデンサモジュールの試験方法であって、
前記第1と第2の入出力ラインの前記一対の入出力端子の各々の一方が接続された一対の第1経路に、直流電圧を印加するとともに、前記第1と第2の入出力ラインの前記一対の入出力端子の各々の他方が接続された一対の第2経路に、交流電圧を印加する第1ステップと、
前記第1ステップが実行されたときの前記コンデンサモジュールが示すパラメータを測定する第2ステップと、を含み、
前記一対の第2経路の間には第3経路が接続されており、
前記第1経路上には、前記直流電流を通過させ前記交流電流を遮断する第1交流電流遮断素子が設けられており、
前記第2経路上のうち、前記第3経路との間の接続点と前記交流電源との間には、前記交流電流を通過させ前記直流電流を遮断する直流電流遮断素子が設けられており、
前記第3経路上には、前記直流電流を通過させ前記交流電流を遮断する第2交流電流遮断素子が設けられていることを特徴とする
コンデンサモジュール試験方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の一実施形態に係るコンデンサモジュール試験装置、及びコンデンサモジュール試験方法について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示される用語「入出力端子」とは、入力端子及び出力端子のいずれか一方又は両方として使用される端子のことをいう。
【0021】
図1に示すコンデンサモジュール試験装置1は、
図2に示すようなコンデンサモジュール4aが取り付けられた状態で、コンデンサモジュール4aの動作試験を行うものである。
【0022】
コンデンサモジュール試験装置1は、
図1に示すように、直流電源2と、交流電源3と、一対の第1経路L1、L10と、一対の第2経路L2、L20と、第3経路L3と、第1リアクトル(第1交流電流遮断素子)5a、5bと、第2リアクトル(第2交流電流遮断素子)5cと、コンデンサ(直流電流遮断素子)6a、6bと、電流計7a、7bと、電圧計8a、8bと、温度計9と、を備える。
【0023】
直流電源2は、一対の直流電源端子T20、T21を有する。直流電源端子T20はプラス極側の端子をなす一方で、直流電源端子T21はマイナス極側の端子をなす。
【0024】
直流電源2は、一対の直流電源端子T20、T21を通じて、一対の第1経路L1、L10に、直流電圧を印加するとともに、直流電流を流す。直流電源2は、直流電源端子T20、T21から出力される直流電圧の電圧値、直流電流の電流値を変更可能に構成されている。
【0025】
交流電源3は、一対の交流電源端子T30、T31を有し、一対の第2経路L2、L20に、交流電圧を印加するとともに、交流電流を流す。交流電源3は、交流電源端子T30、T31から出力される交流電圧の電圧値及び周波数、交流電流の電流値及び周波数を変更可能に構成されている。
【0026】
第1経路L1、L10の各々は、一対の直流電源端子T20、T21の各々に接続されている。第1経路L1、L10の各々は、試験対象としてのコンデンサモジュール4aの第1及び第2の入出力ライン40a、40bの各々の入出力端子T1、T3を接続するための接続用端子T5、T7を備えている。
【0027】
第2経路L2、L20の各々は、一対の交流電源端子T30、T31の各々に接続されている。第2経路L2、L20の各々は、コンデンサモジュール4aの第1及び第2の入出力ライン40a、40bの各々の入出力端子T2、T4を接続するための接続用端子T6、T8を備えている。
【0028】
第2経路L2、L20は、交流電流のみが流れる交流経路L2a、L20aと、交流電流及び直流電流が流れる交直経路L2b、L20bとに区分される。
【0029】
交流経路L2aは、交流電源3と接続点P1との間の第2経路L2から構成される。交流経路L20aは、交流電源3と接続点P2との間の第2経路L20から構成される。
【0030】
交直経路L2bは、入出力端子T6と接続点P1との間の第2経路L2から構成される。交直経路L20bは、入出力端子T8と接続点P2との間の第2経路L20から構成される。
【0031】
第3経路L3は、一対の第2経路L2、L20間に接続されている。接続点は、
図1において、P1、P2で表されている。
【0032】
第1リアクトル5a、5bは、第1経路L1、L10上に設けられている。第1リアクトル5a、5bは、チョークコイルとしての機能を有しており、第1経路L1、L10上において、直流電流を通過させ交流電流を遮断する。
【0033】
第2リアクトル5cは、第3経路L3上に設けられている。第2リアクトル5cも、チョークコイルとしての機能を有しており、第3経路L3上において、直流電流を通過させ交流電流を遮断する。
【0034】
コンデンサ6aは、第2経路L2上のうち、第3経路L3との間の接続点P1と、交流電源3との間に設けられている。コンデンサ6bは、第2経路L20上のうち、第3経路L3との間の接続点P2と、交流電源3との間に設けられている。コンデンサ6a、6bは、カップリングコンデンサとしての機能を有しており、第2経路L2、L20において、交流電流を通過させ直流電流を遮断する。
【0035】
電流計7aは、第1経路L1上に設けられている。電流計7aは、コンデンサモジュール4aの入出力端子T1、T3を流れる電流の電流値を測定する。電流計7bは、第2経路L2上に設けられている。電流計7bは、コンデンサモジュール4aの入出力端子T2、T4を流れる電流の電流値を測定する。
【0036】
電圧計8aは、第1経路L1、L10間に設けられている。電圧計8aは、入出力端子T1、L10間の電圧の電圧値を測定する。電圧計8bは、第2経路L2、L20間に設けられている。電圧計8bは、入出力端子T2、T4間の電圧の電圧値を測定する。
【0037】
温度計9は、たとえば、非接触式温度計からなり、取付スペースSに取り付けられたコンデンサモジュールMの表面温度を計測する。
【0038】
なお、コンデンサモジュール試験装置1では、直流電流ループ(後述)、及び、交流電流ループ(後述)の焼き付きを防止するため、適宜、第1経路L1、L10のいずれか一方又は両方、及び、第2経路L2、L20のいずれか一方又は両方に、抵抗器が設けられる。この種の抵抗器としては、直流電源2及び交流電源3の起電力に応じた抵抗値を持つ抵抗器が設けられる。
【0039】
以下、このような構成を有するコンデンサモジュール試験装置1によって試験されるコンデンサモジュール4aの構成について、
図2を用いて説明する。コンデンサモジュール4aは、それぞれが異極である一対の電極(不図示)を有するコンデンサ素子41a〜41cと、第1入出力ライン40aと、第2入出力ライン40bと、を備える。なお、以下の説明において、特筆する場合を除き、コンデンサ素子41a〜41cを総括してコンデンサ素子41と呼ぶ。
【0040】
図2に示すように、第1入出力ライン40aには、一対の入出力端子T1、T2が形成されており、第2入出力ライン40bにも、一対の入出力端子T3、T4が形成されている。
【0041】
第1入出力ライン40aの入出力端子T1、T2の間には、コンデンサ素子41a〜41cの一対の電極の一方を接続するための接続用端子T9a〜T9cが設けられている。第2入出力ライン40bの入出力端子T3、T4の間には、コンデンサ素子41a〜41cの一対の電極の他方を接続するための接続用端子T10a〜T10cが設けられている。
【0042】
第1入出力ライン40aの接続用端子T9a〜T9cの各々には、コンデンサ素子41a〜41cの一対の電極の一方が接続されている。一方で、第2入出力ライン40bの接続用端子T10a〜T10cの各々には、コンデンサ素子41a〜41cの一対の電極の他方が接続されている。
【0043】
この種のコンデンサモジュール4aとしては、たとえば、一対のバスバーの各々が2つの入出力端子を有するバスバーコンデンサが挙げられる。
【0044】
この種のバスバーコンデンサは、一対の入出力ライン40a、40bとして、並列に配置され導電性を有する一対のバスバーを備える。一対のバスバーの各々からは、たとえば、バスバーから突出するように、一対の入出力端子が形成されている。これにより、入出力ライン40aに入出力端子T1、T2を形成し、入出力ライン40bに入出力端子T3、T4を形成することができる。入出力端子T1、T2と、入出力端子T3、T4とには、互いに異極の電圧が印加される。
【0045】
一対のバスバーの一方では、コンデンサ素子接続用の接続用端子T9a〜T9cが形成されている。また、一対のバスバーの他方においても、コンデンサ素子接続用の接続用端子T10a〜T10cが形成されている。接続用端子T9a〜T9cと、接続用端子T10a〜T10cとに、先述したように、コンデンサ素子41の一対の電極の各々が接続される。
【0046】
これにより、コンデンサ素子41a〜41cが、第1及び第2の入出力ライン40a、40b間に並列に接続されることになる。
【0047】
なお、コンデンサ素子41は、本実施形態では3つ設けられているが、本発明ではこの例には限られず、1つ、或いは2つ、或いは4つ以上設けられていてもよい。
【0048】
コンデンサモジュール試験装置1では、コンデンサモジュール4aの試験時には、試験者は、接続用端子T5に、第1入出力ライン40aの入出力端子T1を接続し、且つ、接続用端子T7に、第2入出力ライン40bの入出力端子T3を接続する。さらに、試験者は、接続用端子T6に、第1入出力ライン40aの入出力端子T2を接続し、且つ、接続用端子T8に、第2入出力ライン40bの入出力端子T4を接続する。端子間の接続は、たとえば、ネジ止めによって行われる。
【0049】
これにより、第1経路L1によって、直流電源端子T20と、第1入出力ライン40aの入出力端子T1とが接続され、且つ、第1経路L10によって、直流電源端子T21と、第2の入出力ライン40bの入出力端子T3とが接続される。
【0050】
これと並行して試験者は、接続用端子T6に、第1入出力ライン40aの入出力端子T2を接続し、且つ、接続用端子T8に、第2入出力ライン40bの入出力端子T4を接続する。
【0051】
これにより、第2経路L2によって、交流電源端子T30と、第1入出力ライン40aの入出力端子T2とが接続され、且つ、交流電源端子T31と、第2入出力ライン40bの入出力端子T4とが接続される。
【0052】
試験者は、以上の作業を行うことにより、コンデンサモジュール4aをコンデンサモジュール試験装置1に取り付ける。
【0053】
図1において、破線で囲まれるスペースSは、コンデンサモジュール4aが取り付けられる取付スペースである。この取付スペースSには、先に述べたようにして、コンデンサモジュール4aが取り付けられる。
【0054】
この取付スペースSに、先に述べたようにコンデンサモジュール4aが取り付けられると、コンデンサモジュール試験装置1は、
図3に示す状態となる。
【0055】
この状態では、直流電源2、第1経路L1、L10、第1リアクトル5a、5b、第1入出力ライン40a、第2入出力ライン40b、交直経路L2b、L20b、第3経路L3、及び、第2リアクトル5cによって、直流電流が流れる直流電流ループが形成される。
【0056】
また、交流電源3、第2経路L2、L20、コンデンサ6a、6b、第1入出力ライン40a、第2入出力ライン40b、及び、コンデンサ素子41によって、交流電流が流れる交流電流ループが形成される。
【0057】
すなわち、
図3の状態で直流電源2が起動すると、一対の第1経路L1、L10に直流電圧が印加されるので、第1入出力ライン40aに正電圧が印加され、入出力ライン40bに負電圧が印加される。
【0058】
また、一対の第1経路L1、L10に直流電流が流されるので、直流電流が、第1経路L1、第1リアクトル5a、入出力端子T5(T1)、第1入出力ライン40a、入出力端子T6(T2)、交直経路L2b、第3経路L3、第2リアクトル5c、交直経路L20b、入出力端子T8(T4)、第2入出力ライン40b、入出力端子T7(T3)、第1リアクトル5b、及び、第1経路L10の順に流れる。
【0059】
これにより、直流電源2、第1経路L1、L10、第1リアクトル5a、5b、第1及び第2入出力ライン40a、40b、交直経路L2b、L20b、第3経路L3、及び、第2リアクトル5cによって、直流電流ループが形成される。
【0060】
直流電流ループを流れる直流電流のうち、交直経路L2b、L20bを流れる直流電流は、交流経路L2a、L20aに流入しようとする。しかしながら、交流経路L2a、L20aにコンデンサ6a、6bが設けられているので、直流電流は、交流経路L2a、L20aには流入しない。その結果、直流電流が交流電源3に流れ込むことにより、交流電源3が悪影響を受けるおそれがない。
【0061】
また、
図3の状態で交流電源3が起動すると、一対の第2経路L2、L20に交流電圧が印加されるので、入出力ライン40a、40b間に交流電圧が印加される。
【0062】
また、一対の第2経路L2、L20に交流電流が流されるので、交流電流が、交流経路L2a、L20a、コンデンサ6a、6b、交直経路L2b、L20b、入出力端子T2(T6)、入出力端子T8(T4)、入出力ライン40a、40b、及び、コンデンサ素子41を通る。これにより、交流電源3、交流経路L2a、L20a、コンデンサ6a、6b、交直経路L2b、L20b、入出力ライン40a、40b、及び、コンデンサ素子41によって、交流電流ループが形成される。
【0063】
交流電流ループを流れる交流電流のうち、交流経路L2a、L20aを流れる交流電流は、第3経路L3に流入しようとする。しかしながら、第3経路L3に第2リアクトル5cが設けられているので、交流電流は、第3経路L3には流入しない。これにより、交流電流を、交流電流ループにのみ流すことができる。
【0064】
また、入出力ライン40a、40bを流れる交流電流が、第1経路L1、L10に流入しようとするが、第1経路L1、L10には第1リアクトル5a、5bが設けられているので、第1経路L1、L10には流入しない。これにより、交流電流が直流電源2に流れ込むことにより、直流電源2が悪影響をうけるおそれがない。
【0065】
上記したように、直流電源2及び交流電源3が作動したとき、コンデンサモジュール4aの入出力ライン40a、40b間に、直流電圧及び交流電圧が印加されるとともに、入出力ライン40a、40bが直流電流ループ及び交流電流ループに含まれる。同時に、コンデンサ素子41を交流電流が流れる。
【0066】
このような構成のコンデンサモジュール試験装置1を用いたコンデンサモジュール試験方法について、以下、説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係るコンデンサモジュール試験方法の一例を示したフローチャートである。
【0067】
本発明の一実施形態に係るコンデンサモジュール試験方法では、コンデンサモジュール4aをコンデンサモジュール試験装置1に取り付けた状態で、
図4に示すように、直流電源2を作動させて、第1経路L1、L10に直流電圧を印加するとともに直流電流を流す(ステップS1)。
【0068】
これと同時に、交流電源3を作動させて、第2経路L2、L2に交流電圧を印加するとともに交流電流を流す(ステップS2)。
【0069】
これにより、コンデンサモジュール4aの入出力ライン40a、40b間に、直流電圧及び交流電圧が印加されるとともに、入出力ライン40a、40bが直流電流ループ及び交流電流ループに含まれる。同時に、コンデンサ素子41を交流電流が流れる。
【0070】
この状態で、コンデンサモジュール4aが示す種々のパラメータが測定される(ステップS3)。
【0071】
測定されるパラメータとしては、たとえば、コンデンサモジュール4aの発熱温度が挙げられる。コンデンサ素子41を交流電流が流れ、誘電体に交流電界が加わるので、コンデンサモジュール4aにおいて誘電損が生じる。
【0072】
コンデンサモジュール4aの発熱温度は、たとえば、以下のようにして測定可能である。試験者は、たとえば、温度計9を用いて、コンデンサモジュール4aの発熱温度を測定する。たとえば、試験者は、電流計7a、7b及び電圧計8a、8bによる測定値を観測しながら、直流電源2から出力される直流電圧の値及び直流電流の値、交流電源3から出力される交流電圧の値、周波数、及び、交流電流の値、周波数を変化させて、温度計9の測定値を観測する。
【0073】
以上説明したように、本発明の一実施形態に係るコンデンサ試験装置1及びコンデンサ試験方法によれば、コンデンサモジュール4aの入出力ライン40a、40b間に、直流電圧及び交流電圧が印加されるとともに、入出力ライン40a、40bが直流電流ループ及び交流電流ループに含まれる。同時に、コンデンサ素子41を交流電流が流れる。このとき、直流電流が交流電源3に流入せず、交流電流が直流電源2に流入しない。
【0074】
これにより、安全に、コンデンサモジュール4aが実装置で使用されている状況、たとえば、一対の入出力ライン40a、40b間に、リップルを含む直流電圧が印加された状態を模擬的に作り出すことができる。
【0075】
これにより、コンデンサモジュール4aを実使用条件下で動作試験することができる。
【0076】
これにより、直流電源2を用いて入出力ライン40a、40bに直流電圧及び直流電流を出力する試験と、交流電源3を用いて入出力ライン40a、40bに交流電圧及び交流電流を出力する試験とを別々に行い、それぞれの試験結果から、コンデンサモジュール4aの実使用条件を想定する場合とは異なり、1回の試験で済む。その結果、試験精度が向上するとともに、試験効率が向上する。
【0077】
さらに、上記したように、試験者は、直流電源2から出力される直流電圧の値及び直流電流の値、交流電源3から出力される交流電圧の値、周波数、及び、交流電流の値、周波数を変化させることが可能である。そのため、特定の用途のためにコンデンサモジュール4aが使用される場合とは異なり、コンデンサモジュール4aに入力される直流電圧の値及び直流電流の値、交流電圧の値、交流電圧の周波数、交流電流の値、交流電流の周波数が用途に応じて定まらない。
【0078】
そのため、コンデンサモジュール4aを、想定される、あらゆる用途に応じた状態にして試験することができる。その結果、コンデンサモジュール試験装置1を、想定される、コンデンサモジュール4aの用途に応じて、汎用的に使用することができる。
【0079】
また、電力変換システム300(
図5参照)などの実装置に組み込みこまれた状態でコンデンサモジュール4aの試験を行うには、実際に実装置を作動させる必要がある。この場合、たとえば、電力変換システム300では、電圧変換回路311、三相インバータ320、モータ340或いはモータ340の模擬回路(たとえばRL直列回路)における電力損失は、非常に大きい。
【0080】
しかしながら、本発明に係るコンデンサモジュール試験装置及びコンデンサモジュール試験方法によれば、第1リアクトル5a、5b、第2リアクトル5c、コンデンサ6a、6b、及び経路における電力損失だけで済む。
【0081】
これにより、コンデンサモジュール4aの試験を、小さな消費電力で行うことができるので、省エネルギー化を図ることができる。
【0082】
また、本発明に係るコンデンサモジュール試験装置及びコンデンサモジュール試験方法によれば、第1及び第2交流電流遮断素子として、リアクトル5a〜5cを使用している。これにより、第1及び第2交流電流遮断素子を安価且つ簡易に設けることができる。
【0083】
なお、1つの第1リアクトル5a又は5bが、第1経路L1、L10のいずれか一方に設けられていてもよい。また、第1及び第2交流遮断素子として、たとえば、ダイオードやフィルタ回路など、直流電流を通過させ交流電流を遮断する、リアクトル以外の素子或いは回路が用いられてもよい。
【0084】
さらに、直流電流遮断素子として、コンデンサ6a、6bを使用している。これにより、直流電流遮断素子を安価且つ簡易に設けることができる。
【0085】
なお、1つのコンデンサ6a又は6bが、位置P1、P2のいずれか一方と、交流電源3との間に設けられていてもよい。また、直流電流遮断素子としては、たとえば、交流電流を通過させ直流電流を遮断するフィルタ回路が用いられても良い。
【0086】
また、コンデンサモジュール4aは、取付スペースSに、上に述べたように、コンデンサモジュール試験装置1に取り付けられるので、コンデンサモジュール4aをコンデンサモジュール試験装置1に簡単に取り付けることができる。
【0087】
次に、試験対象となるコンデンサモジュールの構成の別の例を、
図5を用いて説明する。このコンデンサモジュール4aは、先に述べたコンデンサモジュール4aとは異なり、実使用条件下で交流電力側となりうる入出力端子T2が、3つの共通の入出力端子T2a〜T2cに分けられている。また、実使用条件下で交流電力側となりうる入出力端子T4も、3つの共通の入出力端子T4a〜T4cに分けられている。
【0088】
この種の構成のコンデンサモジュール4bは、コンデンサモジュール4aよりも小さな等価直列インダクタンス(ESL)を実現できるいので、最近において、多いに利用されてきている。
【0089】
この種の構成のコンデンサモジュール4bには、たとえば、
図5に示すように、入出力端子T2a〜T2cによって共通して使用される第1の共通入出力ライン400aが設けられている。また、たとえば、入出力端子T4a〜T4cによって共通して使用される第2の共通入出力ライン400bが設けられている。
【0090】
この例では、第1及び第2の共通入出力ライン400a、400bは、コンデンサ素子41a〜41cに対して並列となるように設けられている。
【0091】
第1の共通入出力ライン400aには、コンデンサ素子41a〜41cの各々の一方の電極を接続するための3つの接続用端子T9a〜T9cが設けられている。接続用端子T9a〜T9cの各々には、コンデンサ素子41a〜41cの一方の電極が接続される。
【0092】
第2の共通入出力ライン400bには、コンデンサ素子41a〜41cの各々の他方の電極を接続するための3つの接続用端子T10a〜T10cが設けられている。接続用端子T10a〜T10cの各々には、コンデンサ素子41a〜41cの他方の電極が接続される。
【0093】
また、第2の共通入出力ライン400bdでは、ライン接続用の接続用端子T10d、T10eが設けられている。接続用端子T10dには、入出力端子T4aに接続された入出力ライン400b1が接続される。接続用端子T10eには、入出力端子T4bに接続された入出力ライン400b2が接続される。
【0094】
第1の共通入出力ライン400aには、入出力端子T2a〜T2cに接続された入出力ライン400a1〜400a3が、接続用端子T9a〜T9cに接続されている。
【0095】
このような構成のコンデンサモジュール4aでは、入出力端子T1から、第1の共通入出力ライン400a、及び、入出力ライン400a1を通り、入出力端子T2aに至る第1入出力ライン40a1が構成されている(
図5において実線矢印で明示されたライン)。
【0096】
また、入出力端子T1から、第1の共通入出力ライン400a、及び、入出力ライン400a2を通じ、入出力端子T2bに至る第1入出力ライン40a2が構成されている(
図5において2点鎖線矢印で明示されたライン)。
【0097】
さらに、入出力端子T1から、第1の共通入出力ライン400a、及び、入出力ライン400a3を通り、入出力端子T2cに至る第1入出力ライン40a3が構成されている(
図5において点線矢印で明示されたライン)。
【0098】
以上により、コンデンサモジュール4aでは、3系統の第1入出力ライン40a1〜40a3が形成される。第1入出力ライン40a1は、その両端に、入出力端子T1、T2aを備え、入出力端子T1、T2aの間には、コンデンサ素子接続用の接続用端子T9aが設けられている。
【0099】
第1入出力ライン40a2は、その両端に、入出力端子T1、T2bを備え、入出力端子T1、T2bの間には、コンデンサ素子接続用の接続用端子T9a、T9bが設けられている。
【0100】
第1入出力ライン40a3は、その両端に、入出力端子T1、T2cを備え、入出力端子T1、T2cの間には、コンデンサ素子接続用の接続用端子T9a、T9b、T9cが設けられている。
【0101】
一方で、コンデンサモジュール4aでは、入出力端子T3から、第2の共通入出力ライン400b、及び、入出力ライン400b1を通り、入出力端子T4aに至る第2入出力ライン40b1が形成されている(
図5において実線矢印で明示されたライン)。
【0102】
また、入出力端子T3から、第2の共通入出力ライン400b、及び、入出力ライン400b2を通り、入出力端子T4bに至る第2入出力ライン40b2が形成されている(
図5において2点鎖線矢印で明示されたライン)。
【0103】
さらに、入出力端子T3から、第2の共通入出力ライン400bを通り、入出力端子T4cに至る第2入出力ライン40b3が形成されている(
図5において点線矢印で明示されたライン)。
【0104】
以上により、コンデンサモジュール4aでは、3系統の第2入出力ライン40b1〜40b3が形成される。第2入出力ライン40b1は、その両端に、入出力端子T3、T4aを備え、入出力端子T3、T4aの間には、コンデンサ素子接続用の接続用端子T10aが設けられている。
【0105】
第2入出力ライン40b2は、その両端に、入出力端子T3、T4bを備え、入出力端子T3、T4bの間には、コンデンサ素子接続用の接続用端子T10a、T10bが設けられている。
【0106】
第2入出力ライン40b3は、その両端に、入出力端子T3、T4cを備え、入出力端子T3、T4cの間には、コンデンサ素子接続用の接続用端子T10a、T10b、T10cが設けられている。
【0107】
このような構成のコンデンサモジュール4aは、実使用条件下では、第1入出力ライン40a1と、第2入出力ライン40b1とが、直流電流ループ及び交流電流ループに含まれる。なお、第1入出力ライン40a1と第2入出力ライン40b1との対応関係は、実線矢印で識別されたい。
【0108】
また、実使用条件下では、第1入出力ライン40a2と、第2入出力ライン40b2とが、直流電流ループ及び交流電流ループに含まれる。なお、第1入出力ライン40a2と第2入出力ライン40b2との対応関係は、2点鎖線矢印で識別されたい。
【0109】
さらに、実使用条件下では、第1入出力ライン40a3と、第2入出力ライン40b3とが、直流電流ループ及び交流電流ループに含まれる。なお、第1入出力ライン40a3と第2入出力ライン40b3との対応関係は、破線矢印で識別されたい。
【0110】
したがって、このような実試験条件を模擬的に再現して、コンデンサモジュール4bの動作試験を行う必要がある。このような構成を持つコンデンサモジュール4bの動作試験を行うには、たとえば、コンデンサモジュール4bの入出力端子T1を、第1経路L1を用いて、直流電源端子T20に接続するとともに、入出力端子T3を、第1経路L10を用いて、直流電源端子T21に接続する。
【0111】
これにより、コンデンサモジュール4bの入出力端子T1が直流電源端子T20に接続され、入出力端子T3が直流電源端子T21に接続される。
【0112】
これとともに、コンデンサモジュール4bの入出力端子T2a、T2b、T2cの各々を、交直経路L2bを用いて、接続点P1に接続する。また、入出力端子T4a、T4b、T4cの各々を、交直経路L20Bを用いて、接続点P2に接続する。
【0113】
これにより、コンデンサモジュール4bの入出力端子T2a、T4aの組み合わせ、入出力端子T2b、T4bの組み合わせ、及び、入出力端子T2c、T4cの組み合わせが、第2リアクトル5cを挟んで、並列に第3経路L3に接続される。
【0114】
これにより、コンデンサモジュール4bでは、コンデンサモジュール4aと同様の作用がなされる。
【0115】
つまり、コンデンサモジュール4bでは、入出力ライン40a1、40b1間に、直流電圧及び交流電圧が印加されるとともに、入出力ライン40a1、40b1が直流電流ループ及び交流電流ループに含まれる。
【0116】
これと同時に、入出力ライン40a2、40b2間に、直流電圧及び交流電圧が印加されるとともに、入出力ライン40a2、40b2が直流電流ループ及び交流電流ループに含まれる。
【0117】
これと同時に、入出力ライン40a3、40b3間に、直流電圧及び交流電圧が印加されるとともに、入出力ライン40a3、40b3が直流電流ループ及び交流電流ループに含まれる。
【0118】
これと同時に、コンデンサ素子41を交流電流が流れる。このとき、直流電流が交流電源3に流入せず、交流電流が直流電源2に流入しない。
【0119】
これにより、コンデンサモジュール4bについても、コンデンサモジュール4aのように、実使用条件下で動作試験を行うことができる。
【0120】
次に、コンデンサモジュール4a、4bを採用した電力変換システム300を、
図6に示す。
図6は、コンデンサモジュール4a、4bを用いて構成した電力変換システムの構成の一例を示したブロック図である。
【0121】
この電力変換システム300では、入力コンデンサとしてコンデンサモジュール4aを使用する一方で、DCリンクコンデンサとしてコンデンサモジュール4bを使用している。そのため、以下の説明では、入力コンデンサを入力コンデンサ4aと呼び、DCリンクコンデンサをDCリンクコンデンサ4bと呼ぶ。
【0122】
電力変換システム300は、直流電源2と、DC/DCコンバータ310と、DCリンクコンデンサ4bと、三相インバータ320と、を備える。また、DC/DCコンバータ310は、入力コンデンサ4aと、電圧変換回路311と、を備える。
【0123】
直流電源2は、例えばバッテリ(二次電池)である。
【0124】
DC/DCコンバータ310は、直流電源2から直流電力が供給されている場合、入力コンデンサ4aを介して直流電圧を入力し、電圧変換回路311で昇圧して出力する。入力コンデンサ4aは、直流電源2から供給された直流電圧に含まれるリップル成分を除去するための平滑化コンデンサである。
【0125】
DC/DCコンバータ310の出力である昇圧された直流電圧は、DCリンクコンデンサ4bを介して三相インバータ320に印加される。DCリンクコンデンサ4bは、DC/DCコンバータ310から出力された直流電圧のリップル成分を除去するための平滑化コンデンサである。三相インバータ320は入力された直流電力を三相交流電力に変換して出力する。出力された三相交流電力は、三相電力供給線330を介してモータ340に供給される。
【0126】
一方、三相インバータ320は、モータ340の回転に伴って発電された三相交流電力を入力した場合、入力された三相交流電力を直流電力に変換してDCリンクコンデンサ4bに出力する。DCリンクコンデンサ4bは、三相インバータ320から出力された直流電圧のリップル成分を除去する。
【0127】
そして、DC/DCコンバータ310は、DCリンクコンデンサ4bから出力された直流電圧を電圧変換回路311で降圧して、その降圧した直流電圧を入力コンデンサ4aで平滑化する。そして、DC/DCコンバータ310は、直流電力を、直流電源2に供給して、バッテリである直流電源2を充電する。
【0128】
この種の電力変換システム300では、入力コンデンサ4aでは、入出力ライン40a、40b間に、直流電圧が印加されるとともに、入出力ライン40a、40bを、リップル成分としての交流電流が流れる状態となる。
【0129】
同様に、DCリンクコンデンサ4bでも、第1入出力ライン(たとえば、第1入出力ライン40a1)と、第2入出力ライン(たとえば、第2入出力ライン40b1)との間に、直流電圧が印加される。これと並行して、第1入出力ライン(たとえば、第1入出力ライン40a1)と、第2入出力ライン(たとえば、第2入出力ライン40b1)とを、リップル成分としての交流電流が流れる状態となる。
【0130】
本発明の一実施形態に係るコンデンサモジュール試験装置1は、先述のように、コンデンサモジュール4a、4bが実装置で使用されている状態を模擬的に作り出すことができる。そのため、電力変換システム300を作動させずに、簡易に、コンデンサモジュール4aの試験を行うことができる。
【0131】
なお、本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。