特許第6206266号(P6206266)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6206266車両用発光モジュール、車両用照明装置、および車両用灯具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206266
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】車両用発光モジュール、車両用照明装置、および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20170925BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20170925BHJP
   F21S 8/10 20060101ALI20170925BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20170925BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20170925BHJP
【FI】
   F21S2/00 100
   H05K3/34 501D
   F21S8/10 160
   F21V29/503
   F21Y115:10
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-51477(P2014-51477)
(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公開番号】特開2015-176703(P2015-176703A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2016年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】日野 清和
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−022797(JP,A)
【文献】 特開2008−028069(JP,A)
【文献】 特開2005−340866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21S 8/10
F21V 29/503
H05K 3/34
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックスを用いた基体と;
前記基体の表面に設けられ配線パターンと;
前記配線パターンと電気的に接続された発光素子と;
を具備した車両用発光モジュールであって、
前記配線パターンは、半田付けされる領域における厚みが、前記半田付けされる領域以外の領域における厚みよりも厚く、
前記配線パターンは、第1の層と、前記第1の層の上に設けられた第2の層と、を有し、
前記第2の層は、前記半田付けされる領域に設けられ、
前記第1の層は、前記第1の層を厚み方向に貫通するピンホールを有し、
前記第2の層の一部は、前記ピンホールの内部に設けられている車両用発光モジュー
【請求項2】
前記半田付けされる領域に設けられ、前記配線パターンを覆い、ニッケルからなる膜と金からなる膜とを有する金属膜をさらに具備した請求項1載の車両用発光モジュー
【請求項3】
前記発光素子および制御素子の少なくともいずれかは、前記第2の層の上に半田部を介して設けられている請求項1記載の車両用発光モジュール。
【請求項4】
前記発光素子および制御素子の少なくともいずれかは、前記金属膜の上に半田部を介して設けられている請求項2記載の車両用発光モジュール。
【請求項5】
前記制御素子は、抵抗器、ダイオード、ツェナーダイオード、およびコンデンサの少なくともいずれかである請求項3または4に記載の車両用発光モジュール。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の車両用発光モジュールと;
前記車両用発光モジュールに設けられた配線パターンと電気的に接続された給電端子と;
前記給電端子と嵌め合わされるソケットと;
を具備した車両用照明装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の車両用発光モジュールと;
フィンを有し、前記車両用発光モジュールが設けられる本体部と;
を具備した車両用照明装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の車両用照明装置を具備した車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用発光モジュール、車両用照明装置、および車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
基体と基体の表面に設けられた配線パターンとを有する発光モジュール用基板と、配線パターンの上に設けられた複数の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)と、を備えた照明装置がある。
ここで、熱伝導率の高い材料を用いた基体とすれば、発光ダイオードの温度上昇を抑制することができるので、光量を増加させることが可能となる。そのため、セラミックスを用いた基体が提案されている。
セラミックスを用いた基体の表面には、スクリーン印刷法などを用いて配線パターンが形成される。
ところが、スクリーン印刷法などを用いて配線パターンを形成すると、配線パターンと基体との界面にまで達するピンホールが配線パターンに形成される場合がある。
配線パターンと基体との界面にまで達するピンホールが配線パターンに形成されると、配線パターンと基体との固着強度の低下、ひいては信頼性が低下するおそれがある。
また、半田濡れ性の向上や、マイグレーションの抑制のために、無電解めっき法を用いて配線パターンを覆う金属層を形成すると、ピンホールの内部に酸性の薬液が浸入する場合がある。ピンホールの内部に酸性の薬液が浸入すると、ピンホールが大きくなり、配線パターンと基体との固着強度のさらなる低下、ひいては信頼性がさらに低下するおそれがある。
そのため、信頼性の向上を図ることができる発光モジュール用基板、発光モジュール、および照明装置の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−25935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、信頼性の向上を図ることができる車両用発光モジュール、車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る車両用発光モジュール、セラミックスを用いた基体と;前記基体の表面に設けられ配線パターンと;前記配線パターンと電気的に接続された発光素子と;を具備した車両用発光モジュールであって、前記配線パターンは、半田付けされる領域における厚みが、前記半田付けされる領域以外の領域における厚みよりも厚く、前記配線パターンは、第1の層と、前記第1の層の上に設けられた第2の層と、を有し、前記第2の層は、前記半田付けされる領域に設けられ、前記第1の層は、前記第1の層を厚み方向に貫通するピンホールを有し、前記第2の層の一部は、前記ピンホールの内部に設けられている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、信頼性の向上を図ることができる車両用発光モジュール、車両用照明装置、および車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態に係る照明装置1の模式斜視図である。
図2】本実施の形態に係る照明装置1の模式斜視分解図である。
図3】発光モジュール20の模式平面図である。
図4】(a)は制御素子29が実装された配線パターン124の模式正面図、(b)は制御素子29が実装された配線パターン124の模式断面図、(c)は(b)におけるA部の模式拡大図である。
図5】(a)は制御素子29が実装された配線パターン24の模式正面図、(b)は制御素子29が実装された配線パターン24の模式断面図、(c)は(b)におけるB部の模式拡大図である。
図6】(a)、(b)は配線パターン44aと配線パターン44bの他の配設態様を例示するための模式図、(c)〜(e)は(a)におけるC−C線断面図、または、(b)におけるD−D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態に係る発明は、セラミックスを用いた基体と;前記基体の表面に設けられ配線パターンと;前記配線パターンと電気的に接続された発光素子と;を具備した車両用発光モジュールであって、前記配線パターンは、半田付けされる領域における厚みが、前記半田付けされる領域以外の領域における厚みよりも厚く、前記配線パターンは、第1の層と、前記第1の層の上に設けられた第2の層と、を有し、前記第2の層は、前記半田付けされる領域に設けられ、前記第1の層は、前記第1の層を厚み方向に貫通するピンホールを有し、前記第2の層の一部は、前記ピンホールの内部に設けられている車両用発光モジューである。
この車両用発光モジューとすれば、配線パターンと基体との固着強度を高めることができ、ひいては信頼性の向上を図ることができる。
【0010】
また、半田付けされる領域に設けられ、前記配線パターンを覆い、ニッケルからなる膜と金からなる膜とを有する金属膜をさらに具備することができる。
この様にすれば、半田の濡れ性の向上や、マイグレーションの抑制を図ることができる。
【0012】
また、実施形態に係る発明は、上記の車両用発光モジュールと;前記車両用発光モジュールに設けられた配線パターンと電気的に接続された給電端子と;前記給電端子と嵌め合わされるソケットと;を具備した車両用照明装置である。
この車両用照明装置とすれば、配線パターンと基体との固着強度を高めることができ、ひいては信頼性の向上を図ることができる。
【0013】
本実施の形態に係る発光モジュール用基板2および発光モジュール20は、例えば、自動車などの車両用の照明装置に用いることができる。
車両用の照明装置は、例えば、環境温度が85℃、湿度が85%という高温高湿の環境でも使用できる様にする必要がある。
また、車両用の照明装置は、高温環境(例えば、85℃)における点灯と、低温環境(例えば、−30℃)における点灯とが繰り返される熱サイクル試験に合格する必要もある。
そのため、後述するマイグレーションや、配線パターン24の剥がれが生じやすくなる。
また、車両用の照明装置に用いられる発光モジュール用基板2は、小型化の要求から、基体21の小型化、ひいては、配線パターン24の幅寸法が短くなる傾向にある。そのため、配線パターン24と基体21との固着強度が小さくなりやすい。
以下においては、本実施の形態に係る照明装置1が、車両用の照明装置である場合について例示する。
ただし、本実施の形態に係る発光モジュール用基板および発光モジュールは、車両用とするのが好適ではあるが、例えば、室内用などの他の照明装置にも適用が可能である。
【0014】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1および図2は、本実施の形態に係る照明装置1を例示するための模式斜視図である。 なお、図1は照明装置1の模式斜視図、図2は照明装置1の模式斜視分解図である。
図3は、発光モジュール20の模式平面図である。
図1および図2に示すように、照明装置1には、本体部10、発光モジュール20、給電部30、およびソケット40が設けられている。
【0015】
本体部10には、収納部11、フランジ部12、およびフィン13が設けられている。 収納部11は、円筒状を呈し、フランジ部12の一方の面から突出している。収納部11の内側には、発光モジュール20が収納されている。また、収納部11の内側には、給電部30の給電端子31が突出している。
【0016】
フランジ部12は、円板状を呈し、一方の面には収納部11が設けられ、他方の面にはフィン13が設けられている。
フィン13は、フランジ部12の面から突出して複数設けられている。複数のフィン13は、板状を呈し、放熱フィンとして機能する。
【0017】
本体部10は、発光モジュール20および給電部30などを収納する機能と、発光モジュール20や給電部30で発生した熱を照明装置1の外部に放出する機能とを有する。
そのため、熱を外部に放出することを考慮して、本体部10を熱伝導率の高い材料から形成することができる。例えば、本体部10は、アルミニウム、アルミニウム合金、高熱伝導性樹脂などから形成することができる。高熱伝導性樹脂は、例えば、PETやナイロン等の樹脂に、熱伝導率の高い炭素や酸化アルミニウム等の繊維や粒子を混合させたものである。
この場合、フィン13などの熱を外部に放出する部分を熱伝導率の高い材料から形成し、その他の部分を樹脂などから形成することもできる。
【0018】
また、本体部10の主要部分を導電性材料で構成する場合は、給電端子31と、本体部10の導電性材料からなる部分との間の電気絶縁性を確保するため、給電端子31の周囲を絶縁材料(図示しない)で覆い、更に、その周囲に導電性材料を配置する構成としても良い。絶縁材料は、例えば、樹脂などであって、熱伝導率が高い材料が好ましい。また、本体部10には、照明装置1を車両用灯具に装着する際に用いられる取り付け部が設けられていても良い。
【0019】
図3に示すように、発光モジュール20には、発光モジュール用基板2、発光素子22、制御素子23、配線25、包囲壁部材26、封止部27、接合部28、制御素子29、被覆部51、金属膜34および制御素子52が設けられている。
また、発光モジュール用基板2には、基体21および配線パターン24が設けられている。
【0020】
基体21は、本体部10の収納部11の内側に設けられている。
基体21は、板状を呈し、表面に配線パターン24が設けられている。
基体21は、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックスから形成されている。
また、基体21は、単層であってもよいし、多層であってもよい。
【0021】
配線パターン24は、基体21の少なくとも一方の表面に設けられている。
配線パターン24は、基体21の両方の面に設けることもできるが、製造コストを低減させるためには、基体21の一方の面に設けるようにすることが好ましい。
配線パターン24には、入力端子24aが設けられている。
入力端子24aは、複数設けられている。入力端子24aには、給電部30の給電端子31が電気的に接続されている。そのため、発光素子22は、配線パターン24を介して、給電部30と電気的に接続されている。
配線パターン24は、銀を主成分とする材料から形成されている。配線パターン24は、例えば、銀や銀合金から形成されている。
配線パターン24は、例えば、スクリーン印刷法を用いて形成することができる。
なお、配線パターン24の形態に関する詳細は後述する。
【0022】
発光素子22は、基体21の表面に設けられた配線パターン24の上に複数設けられている。
発光素子22は、配線パターン24に設けられる側とは反対側の面(上面)に図示しない電極を有したものとすることができる。なお、図示しない電極は、配線パターン24に設けられる側の面(下面)と、配線パターン24に設けられる側とは反対側の面(上面)とに設けられていてもよいし、どちらかの面のみに設けられていてもよい。
【0023】
発光素子22の下面に設けられた図示しない電極は、銀ペーストなどの導電性の熱硬化材を介して配線パターン24に設けられた実装パッド24bと電気的に接続されている。発光素子22の上面に設けられた図示しない電極は、配線25を介して配線パターン24に設けられた配線パッド24cと電気的に接続されている。
【0024】
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
発光素子22の光の出射面である上面は、照明装置1の正面側に向けられており、主に、照明装置1の正面側に向けて光を出射する。
発光素子22の数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、照明装置1の大きさや用途などに応じて適宜変更することができる。
【0025】
制御素子23は、配線パターン24の上に設けられている。
制御素子23は、発光素子22に流れる電流を制御する。
発光素子22の順方向電圧特性には、ばらつきがあるので、アノード端子と、グランド端子と、の間の印加電圧を一定にすると、発光素子22の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。そのため、発光素子22の明るさが所定の範囲内に収まるように、制御素子23により、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにしている。
制御素子23は、例えば、抵抗器とすることができる。制御素子23は、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器(酸化金属皮膜抵抗器)、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器などとすることができる。
なお、図3に例示をした制御素子23は、膜状の抵抗器である。
【0026】
この場合、制御素子23の抵抗値を変化させることで、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにすることができる。
例えば、制御素子23が膜状の抵抗器の場合には、制御素子23の一部を除去して図示しない除去部をそれぞれ形成することで、それぞれの抵抗値を変化させることができる。この場合、制御素子23の一部を除去すれば、それぞれの抵抗値は増加することになる。 制御素子23の一部の除去は、例えば、制御素子23にレーザ光を照射することで行うことができる。
制御素子23の数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22の数や仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0027】
配線25は、発光素子22の上面に設けられた図示しない電極と、配線パターン24に設けられた配線パッド24cとを電気的に接続する。
配線25は、例えば、金を主成分とする線とすることができる。ただし、配線25の材料は、金を主成分とするものに限定されるわけではなく、例えば、銅を主成分とするものや、アルミニウムを主成分とするものなどであってもよい。
【0028】
配線25は、例えば、超音波溶着または熱溶着により、発光素子22の上面に設けられた図示しない電極と、配線パターン24に設けられた配線パッド24cとに電気的に接続される。配線25は、例えば、ワイヤボンディング法を用いて、発光素子22の上面に設けられた図示しない電極と、配線パターン24に設けられた配線パッド24cとに電気的に接続することができる。
【0029】
包囲壁部材26は、複数の発光素子22を囲むようにして、基体21上に設けられている。包囲壁部材26は、例えば、環状形状を有し、中央部26aに複数の発光素子22が配置されるようになっている。
包囲壁部材26は、例えば、PBT(polybutylene terephthalate)やPC(polycarbonate)などの樹脂や、セラミックスなどから形成することができる。
【0030】
また、包囲壁部材26の材料を樹脂とする場合には、酸化チタンなどの粒子を混合して、発光素子22から出射した光に対する反射率を向上させるようにすることができる。
なお、酸化チタンの粒子に限定されるわけではなく、発光素子22から出射した光に対する反射率が高い材料からなる粒子を混合させるようにすればよい。
また、包囲壁部材26は、例えば、白色の樹脂から形成することもできる。
【0031】
包囲壁部材26の中央部26a側の側壁面26bは斜面となっている。発光素子22から出射した光の一部は、包囲壁部材26の側壁面26bで反射されて、照明装置1の正面側に向けて出射される。
また、発光素子22から照明装置1の正面側に向けて出射された光の一部であって封止部27の上面(封止部27と外気との界面)で全反射した光は、包囲壁部材26の中央部26a側の側壁面26bで反射して、再び照明装置1の正面側に向けて出射される。
【0032】
すなわち、包囲壁部材26は、リフレクタの機能を併せ持つものとすることができる。なお、包囲壁部材26の形態は、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0033】
封止部27は、包囲壁部材26の中央部26aに設けられている。封止部27は、包囲壁部材26の内側を覆うように設けられている。すなわち、封止部27は、包囲壁部材26の内側に設けられ、発光素子22と配線25とを覆っている。
封止部27は、透光性を有する材料から形成されている。封止部27は、例えば、シリコーン樹脂などから形成することができる。
封止部27は、例えば、包囲壁部材26の中央部26aに樹脂を充填することで形成することができる。樹脂の充填は、例えば、ディスペンサなどの液体定量吐出装置を用いて行うことができる。
【0034】
包囲壁部材26の中央部26aに樹脂を充填すれば、発光素子22、包囲壁部材26の中央部26aに配置された配線パターン24、および配線25などに対する外部からの機械的な接触を抑制することができる。また、水分やガスなどが、発光素子22、包囲壁部材26の中央部26aに配置された配線パターン24、および配線25などに付着することを抑制することができる。そのため、照明装置1に対する信頼性を向上させることができる。
【0035】
また、封止部27には、蛍光体を含めることができる。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)とすることができる。
例えば、発光素子22が青色発光ダイオード、蛍光体がYAG系蛍光体である場合には、発光素子22から出射した青色の光によりYAG系蛍光体が励起され、YAG系蛍光体から黄色の蛍光が放射される。そして、青色の光と黄色の光が混ざり合うことで、白色の光が照明装置1から出射される。なお、蛍光体の種類や発光素子22の種類は例示をしたものに限定されるわけではなく、照明装置1の用途などに応じて所望の発光色が得られるように適宜変更することができる。
【0036】
接合部28は、包囲壁部材26と、基体21とを接合する。
接合部28は、膜状を呈し、包囲壁部材26と、基体21と、の間に設けられている。 接合部28は、例えば、シリコーン系接着剤やエポキシ系接着剤を硬化させることで形成されたものとすることができる。
【0037】
制御素子29は、配線パターン24の上に、半田部33を介して設けられている(図5(a)、(b)を参照)。すなわち、制御素子29は、配線パターン24の上に半田付けされている。
制御素子29は、逆方向電圧が発光素子22に印加されないようにするため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22に印加されないようにするために設けられている。
制御素子29は、例えば、ダイオードとすることができる。制御素子29は、例えば、表面実装型のダイオードや、リード線を有するダイオードなどとすることができる。
図3に例示をした制御素子29は、表面実装型のダイオードである。
【0038】
制御素子52は、配線パターン24の上に設けられている。
制御素子52は、発光ダイオードの断線の検出や、誤点灯防止などのために設けられている。制御素子52は、プルダウン抵抗である。
制御素子52は、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器とすることができる。
制御素子52は、例えば、酸化ルテニウムを用いて形成された膜状の抵抗器とすることができる。
【0039】
図3に示すように、被覆部51は、配線パターン24の一部、膜状の抵抗器である制御素子23、および膜状の抵抗器である制御素子52を覆うように設けられている。
なお、制御素子29および発光素子22が設けられる部分、配線25が接続される部分、および給電端子31が接続される部分には被覆部51が設けられていない。
例えば、被覆部51は、制御素子29が半田付けされる領域35は覆っていない。
被覆部51は、水分やガスなどが配線パターン24、制御素子23、および制御素子52に接触するのを抑制するため、および、電気絶縁性を確保するために設けられている。 被覆部51は、ガラス材料を含むものとすることができる。
【0040】
前述したように、配線パターン24は銀を主成分とする材料から形成されている。そのため、高湿条件下における通電によりマイグレーションが発生する場合がある。例えば、対峙する半田部33間などにおいて短絡が発生する場合がある。
そのため、マイグレーションの抑制や、半田の濡れ性の向上のために、配線パターン124を覆う金属膜34が設けられている。
金属膜34は、半田付けされる領域35に設けられ、配線パターン24を覆っている。 金属膜34は、例えば、ニッケルからなる膜と金からなる膜とを少なくとも有する積層膜とすることができる。金属膜34は、例えば、ニッケルからなる膜と金からなる膜がこの順で積層された積層膜、ニッケルからなる膜とパラジウムからなる膜と金からなる膜がこの順で積層された積層膜などとすることができる。
金属膜34は、例えば、無電解めっき法を用いて、半田付けがされる領域35に形成されている。
【0041】
給電部30には、複数の給電端子31が設けられている。
複数の給電端子31は、収納部11およびフランジ部12の内側を延びている。複数の給電端子31の一方の端部は、収納部11の底面から突出し、配線パターン24の入力端子24aと電気的に接続されている。複数の給電端子31の他方の端部は、本体部10の基体21が設けられる側とは反対の側から露出している。
【0042】
なお、給電端子31の数、配置、形態などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
また、給電部30は、図示しない基板や、コンデンサや抵抗などの回路部品を備えたものとすることもできる。なお、図示しない基板や回路部品は、例えば、収納部11またはフランジ部12の内部に設けることができる。
【0043】
ソケット40は、本体部10から露出している複数の給電端子31の端部に嵌め合わされる。
ソケット40には、図示しない電源などが電気的に接続されている。
そのため、ソケット40を給電端子31の端部に嵌め合わせることで、図示しない電源などと、発光素子22とが電気的に接続される。
ソケット40は、例えば、接着剤などを用いて本体部10側の要素に接合することができる。
【0044】
次に、配線パターン24の形態についてさらに例示をする。
図4(a)〜(c)は、比較例に係る配線パターン124の形態を例示するための模式図である。
図4(a)は、制御素子29が実装された配線パターン124の模式正面図である。
図4(b)は、制御素子29が実装された配線パターン124の模式断面図である。
図4(c)は、図4(b)におけるA部の模式拡大図である。
【0045】
図4(a)、(b)に示すように、基体21の表面には配線パターン124が設けられている。
配線パターン124は、銀を主成分とする材料から形成されている。配線パターン124は、スクリーン印刷法を用いて形成されている。
制御素子29は、配線パターン124の上に、半田部33を介して設けられている。すなわち、制御素子29は、配線パターン124の上に半田付けされている。
被覆部51は、配線パターン24を覆うように設けられている。この場合、被覆部51は、制御素子29が半田付けされる領域35は覆っていない。
【0046】
ここで、制御素子29のような半田付けされる部品は、発光モジュール用基板2との固着強度が高いことが好ましい。そのため、半田部33が容易に破壊したり、配線パターン124が基体21から容易に剥離したりしないようにすることが好ましい。
ところが、スクリーン印刷法などを用いて配線パターン124を形成すると、図4(c)に示すように、配線パターン124と基体21との界面にまで達するピンホール124aが形成される場合がある。この様なピンホール124aが形成されると、ピンホール124aを起点とした配線パターン124の剥離が生じやすくなる。
【0047】
また、前述したように、金属膜34は、無電解めっき法を用いて形成される。無電解めっき法を用いて金属膜34を形成すると、ピンホール124aの内部に酸性の薬液が浸入する場合がある。ピンホール124aの内部に酸性の薬液が浸入すると、ピンホール124aが大きくなり、配線パターン124と基体21との固着強度のさらなる低下を招くおそれがある。
【0048】
図5(a)〜(c)は、本実施の形態に係る配線パターン24の形態を例示するための模式図である。
図5(a)は、制御素子29が実装された配線パターン24の模式正面図である。
図5(b)は、制御素子29が実装された配線パターン24の模式断面図である。
図5(c)は、図5(b)におけるB部の模式拡大図である。
【0049】
図5(a)、(b)に示すように、基体21の表面には配線パターン24が設けられている。
そして、半田付けされる領域35における配線パターン24の厚みは、半田付けされる領域35以外の領域における配線パターン24の厚みよりも厚くなっている。
図5(c)に示すように、半田付けされる領域35において、配線パターン44a(第1の層の一例に相当する)の上にさらに配線パターン44b(第2の層の一例に相当する)を形成することで、半田付けされる領域35における配線パターン24の厚みが厚くなるようにすることができる。
すなわち、配線パターン24は、配線パターン44aと、配線パターン44aの上に設けられた配線パターン44bとを有している。そして、配線パターン44bは、半田付けされる領域35に設けられている。
【0050】
ここで、スクリーン印刷法を用いて、基体21の上に配線パターン44aを形成すると、配線パターン44aを貫通するピンホール44caが形成される場合がある。
スクリーン印刷法を用いて、配線パターン44aの上に配線パターン44bを形成すると、配線パターン44bを貫通するピンホール44cbが形成される場合がある。
【0051】
ところが、ピンホール44caおよびピンホール44cbはランダムに形成される。そのため、ピンホール44caとピンホール44cbとが重なることは希である。
そのため、配線パターン44bの表面から、配線パターン44aと基体21との界面にまで達するピンホールが形成されるのを抑制することができる。
また、ピンホール44caの内部は、配線パターン44bにより埋められる。また、配線パターン44aと配線パターン44bは焼成されるので、配線パターン44aと配線パターン44bとが一体化される。
この場合、ピンホール44cbは残ることになるが、配線パターン44a(配線パターン24)と基体21との界面にまで達するピンホールとはならない。
そのため、ピンホールを起点とした配線パターン24の剥離が生じ難くなる。
また、金属膜34を形成する際に、ピンホール44cbの内部に酸性の薬液が浸入したとしても、配線パターン44a(配線パターン24)と基体21との界面にまで薬液が到達することがない。そのため、配線パターン24と基体21との固着強度の低下を抑制することができる。
なお、一例として、制御素子29が半田付けされる場合を例示したが、他の部材が半田付けされる場合も同様である。
他の部材は、例えば、発光ダイオード、抵抗器、ダイオード、ツェナーダイオード、コンデンサなどである。
【0052】
図5(a)〜(c)は、配線パターン44aと配線パターン44bが重なる場合であるがこれに限定されるわけではない。
図6(a)〜(e)は、配線パターン44aと配線パターン44bの他の配設態様を例示するための模式図である。
なお、図6(c)〜(e)は、図6(a)におけるC−C線断面図、または、図6(b)におけるD−D線断面図である。
【0053】
配線パターン44a上に配線パターン44bをスクリーン印刷する場合、図6(a)〜(e)に示すように、配線パターン44bの端部が、配線パターン44aの端部よりも外側または内側に位置するように材料を塗布することができる。
ここで、図6(b)、図6(d)及び図6(e)のように、配線パターン44bの端部が、配線パターン44aの端部よりも外側に位置するようにスクリーン印刷した場合は、配線パターン44bはペースト状であるため、スクリーン印刷後は、重力で基体21側に垂れる構成となる。その結果、最終的には、図6(a)や図6(c)のように、配線パターン44bの端部が、配線パターン44aの端部よりも内側に位置するような構成となる。
この様にすれば、配線パターン44a、44bと金属膜34との接触面積を大きくすることができる。また、金属膜34に対するアンカー効果を生じさせることができる。
そのため、金属膜34が剥がれにくくなる。
なお、以上は、半田付けされる領域35において、2層の配線パターン24(配線パターン44a、44b)を設ける場合であるが、積層数は2層に限定されるわけではない。 積層数は複数であればよく、例えば、3層以上とすることもできる。
【0054】
次に、照明装置1の製造について例示をする。
まず、発光モジュール用基板2を形成する。
セラミックスを用いた基体21の表面に、所定の形態を有する配線パターン24を形成する。
例えば、スクリーン印刷法を用いて、基体21の表面にペースト状の材料を塗布して、所定の形態を有する配線パターン44aを形成する。
ペースト状の材料は、例えば、銀や銀合金の粉末と、有機溶剤を含むものとすることができる。
有機溶剤は、例えば、トルエン、キシレンなどとすることができる。
続いて、配線パターン44aを乾燥させる。
続いて、スクリーン印刷法を用いて、半田付けされる領域35における配線パターン44aの上にペースト状の材料を塗布して配線パターン44bを形成する。
続いて、配線パターン44bを乾燥させる。
続いて、配線パターン44aと配線パターン44bを焼成して、配線パターン24を形成する。
以上の様にして、発光モジュール用基板2を形成することができる。
【0055】
次に、制御素子23および制御素子52を形成する。
例えば、スクリーン印刷法を用いて、基体21の表面にペースト状の材料を塗布する。 ペースト状の材料は、例えば、酸化ルテニウムの粉末と、有機溶剤を含むものとすることができる。
有機溶剤は、例えば、トルエン、キシレンなどとすることができる。
続いて、塗布されたペースト状の材料を乾燥し、これを焼成することで、所定の形態を有する制御素子23および制御素子52を形成する。
なお、制御素子23および制御素子52の形成は、発光モジュール用基板2を形成する際に行うこともできる。
続いて、レーザトリミング法などを用いて、制御素子23の抵抗値を調整する。
【0056】
次に、被覆部51を形成する。
まず、ガラスペーストを作成する。
ガラスペーストは、例えば、ガラス粉末、フィラー、および有機溶剤を含むものとすることができる。
ガラス粉末は、例えば、珪素、バリウム、カルシウム、およびビスマスなどを含むものとすることができる。
フィラーは、例えば、酸化アルミニウムを含むものとすることができる。
有機溶剤は、例えば、トルエン、キシレンなどとすることができる。
【0057】
続いて、スクリーン印刷法を用いて、基体21の表面の所定の領域にガラスペーストを塗布する。
続いて、ガラスペーストを焼成して被覆部51を形成する。
【0058】
次に、無電解めっき法を用いて、金属膜34を形成する。
次に、発光素子22、制御素子29などを実装し、包囲壁部材26を接着する。
発光素子22は、例えば、ダイマウント法を用いて配線パターン24の上に接合する。また、ワイヤーボンディング法を用いて、発光素子22の電極と配線パターン24との間を配線25により接続する。
制御素子29は、配線パターン24の上に半田付けする。
続いて、包囲壁部材26の中央部26aに樹脂を充填して、封止部27を形成する。
樹脂の充填は、例えば、ディスペンサなどの液体定量吐出装置を用いて行うことができる。
樹脂には、所望の蛍光体を含めることもできる。
以上の様にして、発光モジュール20を製造することができる。
次に、発光モジュール20を本体部10に取り付け、発光モジュール20に設けられた配線パターン24と給電端子31とを電気的に接続する。
以上の様にして、照明装置1を製造することができる。
【0059】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 照明装置、2 発光モジュール用基板、10 本体部、11 収納部、20 発光モジュール、22 発光素子、29 制御素子、30 給電部、31 給電端子、34 金属膜、35 領域、40 ソケット、44a 配線パターン、44b 配線パターン、44ca ピンホール、44cb ピンホール、51 被覆部
図1
図2
図3
図4
図5
図6