(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
金属板(10)と、金属板(10)の表面に接合された樹脂絶縁板(21)とその表面に設けられた配線パターン(27)とからなる配線板(20)とを含み、金属板(10)の表面中央部は、配線板(20)で覆われない、発光素子(33)を搭載するための露出部(13)とされ、配線板(20)は、露出部(13)から外縁にまで延びる複数本の分割線(d)を境に分割された複数枚の分割配線板(20)である発光素子搭載用基板(9)と、
露出部(13)に搭載された発光素子(33)と、
配線パターン(27,27)と発光素子(33)とを通電可能に繋いだ導線(34)と、
発光素子(33)を封止した透光性を有する封止樹脂(36)とを含み構成され、
金属板(10)の表面には、いずれの分割配線板(20)にも覆われず、かつ、封止樹脂(36)にも覆われない表面側放熱部(15)が設けられ、
金属板(10)の裏面に当接した放熱板(41)と、表面側放熱部(15)に当接して金属板(10)の裏面を放熱板(41)に押さえ付けた押え部材(43)とを備えた発光装置。
金属板(10)と、金属板(10)の表面に接合された樹脂絶縁板(21)とその表面に設けられた配線パターン(27)とからなる配線板(20)とを含み、金属板(10)の表面中央部は、配線板(20)で覆われない、発光素子(33)を搭載するための露出部(13)とされ、配線板(20)は、露出部(13)から外縁にまで延びる複数本の分割線(d)を境に分割された複数枚の分割配線板(20)である発光素子搭載用基板(9)を2枚以上、金属板(10)よりも2倍以上大きい金属板原板(P)と、複数枚の分割配線板(20)の合計よりも2倍以上大きい配線板原板(Q)とから製造する発光素子搭載用基板の製造方法であって、
配線板原板(Q)を分割線(d)で切った際に分離しないように繋ぎ止めておくための分離防止部(Fb,Fa,y)を設けてから、配線板原板(Q)を分割線(d)で切る第1工程と、
その後、配線板原板(Q)の裏面に金属板原板(P)を接合させる第2工程と、
その後、配線板原板(Q)及び金属板原板(P)を2枚以上の発光素子搭載用基板(9)に切断する第3工程とを含み構成された発光素子搭載用基板の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光素子93,93・・が、例えば、大電流高輝度発光である場合等には、通常の発光素子に比較して、高温度領域で長期間使用される事で発光素子搭載用基板90が高温になることが予想される。その一方、非点灯時には、発光素子搭載用基板90は周囲の温度にまで冷却される。また、それ以外にも、発光素子搭載用基板90は、夏期には高温になり、冬季には低温になる。具体的には、夏期の日中の炎天下では80℃程度まで上昇することもある一方、冬期の夜間には氷点下20℃程度にまで低下することもある。
【0005】
それらの温度変化により、金属板91と配線板92(樹脂絶縁板92a)との熱膨張率差で、両板91,92間の接合箇所や接合材に応力が発生する。その応力で、
図16(c)(d)に示すように、発光素子搭載用基板90全体に反りが発生したり、接合材が破壊されて金属板91から配線板92が剥がれるおそれがある。具体的には、高温時には、
図16(c)に示すように、金属板91の方が配線板92(樹脂絶縁板92a)よりも大きく膨張することで反りや応力が発生し、低温時には、
図16(d)に示すように、金属板91の方が配線板92よりも大きく収縮することで反りや応力が発生する。
【0006】
そして、このような影響は、発光素子搭載用基板90のサイズが大きくなると特に顕著になる。また、更に、長期間繰り返されるこのような応力の変化は、発光装置の劣化を進めて、寿命を縮めるおそれがある。また、小さなサイズの発光素子搭載用基板90では、このような応力は比較的少ないが、それでも貫通孔92bの穴径が大きくなれば、応力は大きくなってしまう。
【0007】
そこで、
本発明では、金属板と配線板との熱膨張率差により生じる応力を小さくして、反りや剥がれを発生し難くすることを目的と
し、さらに本発明の発光装置では、放熱性能を高めることも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[搭載用基板]
上記目的を達成するため
の本発明の発光装置で用いる発光素子搭載用基板は、金属板と、金属板の表面に接合された樹脂絶縁板とその表面に設けられた配線パターンとからなる配線板とを含み、金属板の表面中央部は、配線板で覆われない、発光素子を搭載するための露出部とさ
れ、配線板は、露出部から外縁にまで延びる複数本の分割線を境
に分割された複数枚の分割配線板
とした。
【0009】
ここで、各分割配線板の具体的な態様は、特に限定されないが、次の態様を例示する。すなわち、各分割配線板は、分割線側の縁にある2本の分割縁とその間の切欠凹部とを備え、複数枚の分割配線板の切欠凹部が組み合わされて露出部が形成された態様である。
【0010】
[発光装置]
本発明の発光装置は
、前記発光素子搭載用基板と、露出部に搭載された発光素子と、配線パターンと発光素子とを通電可能に繋いだ導線と、発光素子を封止した透光性を有する封止樹脂とを含み構成され
、金属板の表面には、いずれの分割配線板にも覆われず、かつ、封止樹脂にも覆われない表面側放熱部が設けられ、金属板の裏面に当接した放熱板と、表面側放熱部に当接して金属板の裏面を放熱板に押さえ付けた押え部材とを備えている。
【0011】
この場合、金属板の裏面から放熱板に熱が逃げ易くなるのに加え、表面側放熱部からも押え部材に熱が逃げ易くなる。
【0012】
更に放熱性能を高める目的で、前記発光装置を次のような態様にしてもよい。すなわち、発光素子の周囲に反射鏡を備え、反射鏡の一部が押え部材に当接した態様である。この場合、金属板から押え部材に逃げた熱が表面積の広い反射鏡に逃げることで、熱が反射光を介して空気中に逃げ易くなる。
【0013】
[製造方法]
前記発光素子搭載用基板は、一枚ずつ製造しても、複数枚まとめて製造してもよいが、大量生産する場合には、複数枚をまとめて一つの固まりで製造すること、すなわち、前記発光素子搭載用基板を2枚以上、金属板よりも2倍以上大きい金属板原板と、複数枚の分割配線板の合計よりも2倍以上大きい配線板原板とから製造することが好ましい。
【0014】
その場合、製造途中の段階で、配線板原板が分離してしまわないように、次の態様で製造することが好ましい。すなわち、配線板原板を分割線で切った際に分離しないように繋ぎ止めておくための分離防止部を設けてから、配線板原板を分割線で切る第1工程と、その後、配線板原板の裏面に金属板原板を接合させる第2工程と、その後、配線板原板及び金属板原板を2枚以上の発光素子搭載用基板に切断する第3工程とを含み構成された態様である。
【0015】
その製造方法の具体的な態様としては、特に限定されないが、次の[ア]〜[ウ]の態様を例示する。
【0016】
[ア]分離防止部は、配線板原板の裏面に仮接着させる裏面用フィルムであって、第1工程では、前記裏面に裏面用フィルムを仮接着させてから、配線板原板を表面側から分割線を通る線で複数枚に、裏面用フィルムを一緒に複数枚に切断することなく切断し、第2工程では、切断した配線板原板の表面に、裏面用フィルムとは別の、配線板原板を分離しないように繋ぎ止めておくための表面用フィルムを仮接着させてから、裏面用フィルムを剥がして前記裏面に金属板原板を接合させる態様。
【0017】
[イ]分離防止部は、配線板原板の表面に仮接着させる表面用フィルムであって、第1工程では、前記表面に表面用フィルムを仮接着させてから、配線板原板を裏面側から分割線を通る線で複数枚に、表面用フィルムを一緒に複数枚に切断することなく切断する態様。
【0018】
[ウ]分離防止部は、配線板原板の分割線の延長線上にくる部分に設定する繋ぎ部であって、第1工程では、分割線上に、配線板原板を厚さ方向に貫通する深さの切込を、繋ぎ部を切断することなく切削する態様。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、配線板が、分割線を境に分割された複数枚の分割配線板であるので、金属板と分割配線板(樹脂絶縁板)との熱膨張率差により応力が生じても、その応力の一部は分割線の部分で逃がされる。そのため、該応力は小さく抑えられ、反りや剥がれが発生し難い。
さらに、前記表面側放熱部が設けられ、前記放熱板と押え部材とを備えることにより、金属板の裏面から放熱板に熱が逃げ易くなるのに加え、表面側放熱部からも押え部材に熱が逃げ易くなるため、放熱性能を高めることもできる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の発光素子搭載用基板及び発光装置の用途は、特に限定されないが、各種照明、交通信号、ディスプレイ等を例示する。その各種照明は、一般的な照明に限られず、例えば、飛行場灯火、航空障害灯、集魚灯、植物育成電灯等も含む。
【0022】
金属板の露出部は、反射率の高い高反射面であることが好ましい。発光素子から発光される光の取出効率を高めることができるからである。その露出部及び金属板の材質は、特に限定されないが、アルミニウム、銀、炭酸マグネシウム等を例示する。その中でも、アルミニウムが最適であり、その純度は99.0%以上が好ましい。また、露出部の全反射率は、65%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、95%以上が更に好ましい。そして、このような高い反射率は、金属板の表面に鏡面反射処理を行うことで実現できる。また、露出部の平面形状は、特に限定されないが、円形、楕円形、長円形、多角形、異形等を例示する。
【0023】
分割配線板の枚数は、特に限定されないが、2〜5枚を例示する。また、各分割配線板は、特に限定されないが、ガラス基材エポキシ樹脂プリント板(JIS C 6484)、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂プリント板(JIS C 6488)、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂プリント板(JIS C 6489)等を例示する。
【0024】
発光素子は、特に限定されないが、LED(発光ダイオード)であることが好ましい。発熱量及び消費電力を抑えることができるからである。また、封止樹脂の材質は、特に限定されないが、剛性の低い樹脂絶縁材であることが好ましい。その樹脂絶縁材(封止樹脂)の具体例としては、特に限定されないが、透明の又はその他の透光性を有する、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ポリイシド樹脂等を例示する。また、封止樹脂から取り出される光の色は、特に限定されないが、発光素子の光の色と異なる色の光を取り出したい場合には、封止樹脂に、発光素子の色の光を吸収してその他の色の光を放出する蛍光体を混合するとよい。
【0025】
表面側放熱部の位置は、特に限定されないが、金属板の外縁に隣接して設けられていることが好ましい。表面側放熱部を外方から押え部材で押え易くなるからである。その表面側放熱部の数は、特に限定されないが、1〜5つを例示する。また、表面側放熱部の平面形状は、特に限定されないが、半円形、半楕円形、半長円形、多角形、異形等を例示する。
【0026】
また、押え部材の材質は、特に限定されないが、金属であることであることが好ましい。剛性(弾力性)及び伝熱性に優れているからである。その金属(押え部材の材質)の具体例としては、特に限定されないが、銅、銅合金(燐青銅、ベリリウム銅、黄銅等)、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等を例示する。また、押え部材の数は、特に限定されないが、1〜5つを例示する。また、金属板の裏面に当接する放熱板の材質は、特に限定されないが、アルミニウム、アルミニウム合金(アルミダイキャスト)、銅、銅合金等を例示する。
【実施例1】
【0027】
図1〜
図4に示す実施例1の発光素子搭載用基板9は、アルミニウムの金属板10と、2枚の分割配線板20,20とを含み構成されている。そして、各分割配線板20は、アルミニウムの金属板10の表面に接着シートC(接合材)で接合されたガラスエポキシ樹脂の樹脂絶縁板21と、その表面に設けられた銅箔の配線パターン27とからなる。そして、金属板10の表面中央部は、いずれの分割配線板20,20及び接着シートCでも覆われない、LEDの発光素子33,33・・を搭載するための露出部13とされている。
【0028】
詳しくは、2枚の分割配線板20,20は、露出部13から外縁にまで延びる2本の分割線d,dを境に分割されている。そして、各分割配線板20は、分割線d,d側の縁にある2本の分割縁22,22とその間の切欠凹部23とを備え、2枚の分割配線板20,20の切欠凹部23,23が組み合わされて露出部13が形成されている。そして、その露出部13を含む金属板10の表面には、鏡面反射処理により高反射膜10aが形成されている。
【0029】
また、一方の分割配線板20の樹脂絶縁板21の表面には、銅箔の配線パターン27の他にも、銅箔の温度測定ポイント28が設けられている。また、各配線パターン27の表面の所定箇所には、金属(金、銀、ニッケル等)のメッキ27aが施されている。また、その他、各配線パターン27及び温度測定ポイント28の大部分には、図示しないレジストが施されている。なお、高反射膜10a、メッキ27a、及び接着シートCについては、
図2(c)の部分拡大図にのみ図示し、それ以外の図では図示を省略している。
【0030】
図2に示す実施例1の発光装置1は、前記発光素子搭載用基板9と、露出部13に搭載された複数のLEDの発光素子33,33・・と、配線パターン27,27と発光素子33,33・・とを通電可能に繋いだ導線34,34・・と、発光素子33,33・・を封止した透光性を有するシリコーン樹脂の封止樹脂36とを含み構成されている。
【0031】
その封止樹脂36は、円形枠状のシリコーン樹脂等のダム材37の内側に充填されている。そして、この封止樹脂36により、分割配線板20,20の露出部13付近の縁部(電気が印加される部分)が覆われるため、この縁部で配線パターン27,27や導線34,34・・が露出する心配はない。
【0032】
次に、その発光装置1の製造方法を
図3、
図4を参照に説明する。
[1]まず、表面及び裏面のうちの少なくとも表面が銅箔で覆われた樹脂絶縁体21,21を2枚用意し、その表面の銅箔を、エッチングにて所望のパターン形状にすることで、
図3(a1)(b1)に示すように、該表面に所望の配線パターン27,27及び温度測定ポイント28を作成する。なお、この配線パターン27,27等は、銅箔をエッチングする代わりにプリント工程で作成しても良い。次に、その作成した配線パターン27,27等の所定箇所に、図示しないレジストを塗布する。これにより、2枚の分割配線板20,20が完成する。
[2]次に、その完成した2枚の分割配線板20,20を、
図3(a2)(b2)に示すように、金属板10の表面に接着シートで接合させる。
[3]次に、
図3(a3)(b3)に示すように、露出部13に複数の発光素子33,33・・を搭載し、その複数の発光素子33,33・・を配線パターン27,27に導線34,34・・で通電可能に接続する。
【0033】
[4]次に、
図4(a4)(b4)に示すように、露出部13の周囲にダム材37を設ける。なお、このとき、ダム材37は分割線d,dに架かるが、分割配線板20,20の樹脂絶縁板21,21の厚さは、それぞれ0.1〜0.2mm程度であるので、ダム材37は若干凹む程度で、特に問題はない。
[5]次に、
図4(a5)(b5)に示すように、ダム材37の内側に、封止樹脂36の原料となる液体樹脂36pを流し込む。
[6]そして、
図4(a6)(b6)に示すように、液体樹脂36pが硬化して封止樹脂36になれば、本実施例1の発光装置1が完成する。なお、この後に、ダム材37を取り外してもよい。
【0034】
本実施例1によれば、次の[A][B]の効果を得ることができる。
[A]配線板が、2本の分割線d,dを境に分割された2枚の分割配線板20,20であるので、金属板10と分割配線板20,20(樹脂絶縁板21,21)との熱膨張率差により応力が生じても、その応力の一部は分割線d,dの部分で逃がされる。すなわち、該応力は、配線板の略分割数分、低減されることになる。従って、
図1(c)に示す高温時や
図1(d)に示す低温時にも、反りの程度は少なくなり、剥がれも発生し難くなる。
【0035】
[B]発光素子33,33・・は、露出部13に搭載されているので、
図2(b)(c)に示すように、発光素子33,33・・で発生した熱Hが金属板10に逃げ易い。
【実施例2】
【0036】
図5に示す実施例2の発光装置2は、実施例1の発光装置1と比較して、次に示す点で相違し、その他の点で同様である。すなわち、金属板10の表面の外縁に隣接した2箇所には、いずれの分割配線板20,20及び接着シートにも覆われず、かつ、封止樹脂36にも覆われない、2つの表面側放熱部15,15が設けられている。そして、発光装置2は、金属板10の裏面に当接したアルミニウム合金製の放熱板41と、表面側放熱部15,15に当接して金属板10の裏面を放熱板41に押さえ付けた金属(燐青銅等)の押え部材43,43とを備えている。
【0037】
詳しくは、各分割配線板20には、2本の分割縁22,22の切欠凹部23とは反対側の端からそれぞれ内側に凹む2つの放熱用凹部25,25が設けられている。そして、2枚の分割配線板20,20の隣接し合う一方の放熱用凹部25,25どうしが組み合わされて、一方の表面側放熱部15が形成され、2枚の分割配線板20,20の隣接し合う他方の放熱用凹部25,25どうしが組み合わされて、他方の表面側放熱部15が形成されている。そして、各押え部材43は、ネジ44で放熱板41に取り付けられている。
【0038】
本実施例2によれば、実施例1の[A][B]の効果に加え、次の[C]〜[E]の効果を得ることができる。
【0039】
[C]表面側放熱部15,15があることで、実施例1と比較して、分割配線板20,20どうしの間の分割部の面積が広くなり、しかも、この表面側放熱部15,15は、封止樹脂36でも覆われないので、ここから空間中等に直接放熱が可能となる。よって、放熱性能が向上する。
【0040】
[D]押え部材43,43は、表面側放熱部15,15に当接して金属板10の裏面を放熱板41に押さえ付けるので、
図5(b)に示すように、熱Hが金属板10の裏面から放熱板41に逃げ易くなるのに加え、表面側放熱部15,15からも押え部材43,43に熱Hが逃げ易くなる。
【0041】
[E]押え部材43,43は金属なので、樹脂に比べて剛性(弾力性)が強く、また、熱Hによる剛性の低下も樹脂に比べて小さい。そのため、その剛性で強固に金属板10の裏面を放熱板41に押え付けることができる。そのため、金属板10の裏面から放熱板41に熱がより逃げ易くなるのに加え、表面側放熱部15,15からも押え部材43,43に熱がより逃げ易くなる。また、更に、押え部材43,43は金属なので、樹脂に比べて伝熱性よく、よって、この点でも放熱性能に優れている。
【実施例3】
【0042】
図6,
図7に示す実施例3の発光装置3は、実施例2の発光装置2と比較して、次に示す点で相違し、その他の点で同様である。すなわち、複数の発光素子33,33・・の周囲に反射鏡45を備え、その反射鏡45の一部が押え部材43,43に当接している。その反射鏡45の裏面には、表面積を大きくするための複数の放熱フィン46,46,・・が設けられている。
【0043】
本実施例3によれば、実施例2の[A]〜[E]の効果に加え、次の[F]の効果を得ることができる。
[F]
図7に示すように、金属板10の表面側放熱部15,15から押え部材43,43に逃げた熱Hが表面積の広い反射鏡45に逃げることで、熱Hが反射鏡45を介して空気中に逃げ易くなる。
【実施例4】
【0044】
図8,
図9に示す実施例4の発光素子搭載用基板の製造方法4は、実施例1に記載の発光素子搭載用基板9を4枚、金属板10よりも4倍以上大きい金属板原板Pと、2枚の分割配線板20,20の合計よりも4倍以上大きい配線板原板Qとから製造する方法である。その配線板原板Qは、2枚の分割配線板20,20の樹脂絶縁体21,21の合計よりも4倍以上大きい樹脂絶縁板原板qの表面に、発光素子搭載用基板9の4枚分の配線パターン27,27・・が設置されてなる。
【0045】
この製造方法4は、次の通りである。すなわち、配線板原板Qを分割線d,d・・で切った際に分離しないように繋ぎ止めておくための分離防止部を設けてから、配線板原板Qを分割線d,d・・で切る第1工程と、その後、配線板原板Qの裏面に金属板原板Pを接合させる第2工程と、その後、配線板原板Q及び金属板原板Pを4枚の発光素子搭載用基板9,9・・に切断する第3工程とを含み構成されている。その分離防止部は、本実施例4では、配線板原板Qの裏面に仮接着させる裏面用フィルムFbである。具体的には、次の通りである。
【0046】
[第1工程]まず、
図8(a1)(b1)に示すように、配線板原板Qを用意する。次に、
図8(a2)(b2)に示すように、配線板原板Qの裏面に厚手の裏面用フィルムFbを仮接着させる。詳しくは、まず、極薄い接着シート(図示略)(厚さ0.01〜0.05mm)を用意する。その接着シートの表面及び裏面には、それぞれ剥離フィルムが張り付いている。次に、その接着シートの表面の剥離フィルムを剥がし、配線板原板Qの裏面に貼り付ける。次に、接着シートの裏面の脱離フィルムを剥がして、該裏面に厚手の裏面用フィルムFbを仮接着させる。
【0047】
次に、
図8(a3)(b3)に示すように、配線板原板Qを表面側から分割線d,d・・を通る線で複数枚(3枚)に切断する。このとき、裏面用フィルムFbは厚手なので、配線板原板Qと一緒に複数枚に切断されてしまうことはない。そして、このとき、切欠凹部23,23も切削する。なお、このときの切断や切削は、特に限定されないが、型抜きや、レーザーや、エンドミルや、ルータ等で行うことができる。
【0048】
[第2工程]次に、
図9(a4)(b4)に示すように、切断した配線板原板Qの表面に、裏面に仮接着している裏面用フィルムFbとは別に、配線板原板Qを表面側から分離しないように繋ぎ止めておくための薄手の表面用フィルムfaを貼り付ける。次に、配線板原板Qの裏面の接着シートから厚手の裏面用フィルムFbを剥がす。次に、
図9(a5)(b5)に示すように、配線板原板Qの裏面の接着シートに金属板原板Pを貼り付ける。その後接着シートが本硬化することで、配線板原板Qの裏面に金属板原板Pが接合する。
【0049】
[第3工程]そして、最後に、
図9(a6)及び(b6)に示すように、配線板原板Q及び金属板原板Pを4枚の発光素子搭載用基板9,9・・に切断する。具体的には、配線板原板Qの表面及び金属板原板Pの裏面からVカットと呼ばれるV溝形状の切込を入れることで切断する。
【0050】
本実施例4によれば、実施例1の[A][B]の効果に加えて、次の[G][H]の効果を得ることができる。
[G]発光素子搭載用基板9を複数枚(4枚)まとめて製造することができる。
[H]配線板原板Q(及び接着シート)は、製造工程で一度、複数枚(3枚)に切断される事になるが、裏面用フィルムFb及び表面用フィルムfaが順次仮接着されるので、分割された配線板原板Qの各小片の相対位置は保持される。よって、分割された配線板原板Qの裏面に金属板原板Pを接合させる接合作業等をスムーズに行うことができる。
【実施例5】
【0051】
図10,
図11に示す実施例5の発光素子搭載用基板の製造方法5は、実施例4と比較して、分離防止部が、配線板原板Qの表面に仮接着させる厚手の表面用フィルムFaである点で相違している。具体的には、次に示す通りである。なお、特に記載しない点については、実施例4と同様である。
【0052】
[第1工程]まず、
図10(a1)(b1)に示すように、配線板原板Qを用意する。次に、
図10(a2)(b2)に示すように、配線板原板Qの表面に厚手の表面用フィルムFaを仮接着させる。
【0053】
次に、
図10(a3)(b3)に示すように、表面用フィルムFaを仮接着させた状態の配線板原板Qを、その裏面が上になるように反転させる。次に、
図11(a4)(b4)に示すように、配線板原板Qを裏面側から分割線d,dを通る線で複数枚(3枚)に切断する。そして、このとき、切欠凹部23,23・・も切削する。なお、このとき、表面用フィルムFaは、厚手なので配線板原板Qと一緒に複数枚に切断されることはない。
【0054】
[第2工程]次に、
図11(a5)(b5)に示すように、表面用フィルムFaを仮接着させた状態の配線板原板Qを、表面用フィルムFaが上になるように再び反転させる。次に、
図11(a6)(b6)に示すように、配線板原板Qの裏面に金属板原板Pを接合させてから、配線板原板Qから表面用フィルムFaを剥がす。
【0055】
[第3工程]そして、最後に、同
図11(a6)(b6)に示すように、配線板原板Q及び金属板原板Pを4枚の発光素子搭載用基板9,9・・に切断する。
【0056】
本実施例5によれば、実施例4の[A][B][G]の効果に加え、次の[H'][I]の効果を得ることができる。
【0057】
[H']配線板原板Q(及び接着シート)は、製造工程で一度、複数枚(3枚)に切断される事になるが、表面用フィルムFaが仮接着されるので、分割された配線板原板Qの各小片の相対位置は保持される。よって、分割された配線板原板Qの裏面に金属板原板Pを接合させる接合作業等をスムーズに行うことができる。
【0058】
[I]第1工程の切削時に使う厚手のフィルム(表面用フィルムFa)は、配線板原板Qの裏面にではなく表面に貼り付けるので、第2工程では、配線板原板Qの裏面にそのまま金属板原板Pを貼り付けることができる。よって、実施例4とは違い、第1工程の切削時に使う厚手のフィルムの他に、第2工程で用いる薄手のフィルムを別途用意する必要がない。
【実施例6】
【0059】
図12,
図13に示す実施例6の発光素子搭載用基板の製造方法6は、実施例4,5と比較して、分離防止部が、配線板原板Qの縁部の分割線d,d・・の延長線上にくる部分に設定された繋ぎ部y,y・・である点で相違している。具体的には、次の通りである。なお、特に記載しない点については、実施例4と同様である。
【0060】
[第1工程]まず、
図12(a1)(b1)に示すように、配線板原板Qを用意する。次に、
図12(a2)(b2)に示すように、配線板原板Qの裏面に厚手の裏面用フィルムFbを仮接着する。次に、
図12(a3)(b3)に示すように、分割線d,d・・上に、配線板原板Qを厚さ方向に貫通する深さの切込xを、繋ぎ部y,y・・を切断することなく切削する。
【0061】
[第2工程]次に、
図13(a4)(b4)に示すように、配線板原板Qから裏面用フィルムFbを剥がす。次に、
図13(a5)(b5)に示すように、配線板原板Qの裏面に金属板原板Pを接合させる。
【0062】
[第3工程]そして、最後に、
図13(a6)(b6)に示すように、配線板原板Q及び金属板原板Pを4枚の発光素子搭載用基板9,9・・に切断する。
【0063】
本実施例6によれば、実施例4,5の[A][B][G]の効果に加え、次の[H"][J]の効果を得ることができる。
【0064】
[H"]製造工程で、分割線d,d・・上に配線板原板Qを貫通する深さの切込xを切削する際にも、繋ぎ部y,y・・は切断することなく残すので、配線板原板Qが複数枚に切断されてしまうことがない。よって、配線板原板Qの裏面に金属板原板Pを接合させる接合作業等をスムーズに行うことができる。
【0065】
[J]繋ぎ部y,y・・を設定するので、実施例4のように薄手のフィルムfaを、切削時に用いる厚手のフィルムFbとは別に配線板原板Qに貼り付けることも、また、実施例5のように配線板原板Qを反転及び再反転させることもなく、製造を進めることができる。
【実施例7】
【0066】
図14に示す実施例7の製造方法7は、実施例6と比較して、第1工程で、
図14(a)に示すように、繋ぎ部yを配線板原板Qの縁部の他に中央部にも設ける点、及び第3工程で、
図14(b)に示すように、配線板原板Q及び金属板原板Pを4枚の発光素子搭載用基板9,9・・に切断する際に、中央部を2回切断する点で相違し、その他の点で同様である。
【0067】
本実施例7でも、実施例6と同様、[A][B][G][H"][J]の効果を得ることができる。
【0068】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもでき、例えば次の変更例1〜4のように変更してもよい。
[変更例1]
図15(a)に示す発光素子搭載用基板9aのように、一方の分割配線板20にのみ切欠凹部23を設け、他方の分割配線板20には切欠凹部23を設けないようにしてもよい。
[変更例2]
図15(b)に示す発光素子搭載用基板9bのように、2枚の分割配線板20,20を、それぞれL字形にしてもよい。
[変更例3]
図15(c)に示す発光素子搭載用基板9cのように、分割配線板20を3枚にしてもよい。
[変更例4]発光素子搭載用基板9,9・・を複数枚、材料となる原板P,Q内に配置することを面付けといいい、その面付け数は、生産装置のサイズ等により制限される。その面付け数は、実施例4〜7では簡単に4枚としているが、適宜変更できる。