(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記入力工程により入力されたデータから置き換え画像を生成し、前記修正必要箇所の画像サイズに応じて前記置き換え画像をサイズ調整する第2調整工程と、をさらに有する請求項1記載の画像処理方法。
前記第2調整工程によりサイズ調整された画像と、前記正規化画像から前記修正必要箇所の画像を除いた印字背景領域の画像とを合成する画像合成工程をさらに有する請求項2記載の画像処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面により本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態における画像形成装置としてラベルライタ10の構成を示すブロック図、
図2は、ラベルライタ10による画像形成(印刷)を制御する電子機器20の構成を示すブロック図である。本実施形態の電子機器20は、例えば画像撮影機能、通信機能を有する機器により実現することができ、例えばスマートフォンや携帯電話機、デジタルカメラなどを用いることができる。
【0013】
本実施形態において、電子機器20は、画像が形成済みの被記録媒体と、電子機器20における画像処理で利用される基準長を表すメジャー部とを含む画像を撮影し、この画像から基準長を表す基準画像を検出し、メジャー部の画像をもとにラベルライタ10において印刷させる画像の向きと実サイズを調整するための画像処理をすることができる。
【0014】
例えば、被記録媒体を名刺とした場合、名刺に印刷された社名、氏名、住所、電話番号、ロゴマークなどを含む画像をメジャー部と共に撮影する。電子機器20は、撮影した画像から、この記録媒体画像中の修正対象とする領域(置き換えの対象となる部分的な画像)をユーザーに選択させると共に、修正後の文字等を入力させることにより、修正後の文字等の画像である置き換え画像を、修正対象とする領域のサイズ、すなわち名刺に印刷されている文字等の実サイズに合わせてサイズの調整をすることができる。ラベルライタ10において実サイズに調整された画像をラベルに印刷させることにより、印刷されたラベルを名刺に貼り付ければ、名刺の記載を部分的に修正することができる。
【0015】
図1に示すように、本実施形態におけるラベルライタ10は、中央処理装置(CPU(Central Processing Unit))11、メモリ部(RAM(Random Access Memory))12、メモリ部(ROM(Read Only Memory))13、サーマルヘッド14、無線通信制御部15、入力制御部16、電源コントローラ17、及びラベル搬送ユニット(モータ制御部)18を含んでいる。
【0016】
中央処理装置11は、ラベルライタ10の全体の制御を司る。中央処理装置11は、入力制御部16を通じて入力されるユーザーからの指示に応じて、メモリ部13に記憶されているプログラムを起動させ、メモリ部12をワーク(作業用)メモリとして使用して各部の動作の制御を行なう。中央処理装置11は、無線通信を介して接続される電子機器20の制御により、印刷制御プログラムに基づいてラベルに印刷する印刷制御を行う。
【0017】
メモリ部12は、中央処理装置11により実行されるプログラムやデータを記録するためのワークメモリとして使用される。メモリ部12は、電子機器20から送信される印字データを一時記憶する。
【0018】
メモリ部13は、中央処理装置11により実行されるプログラムやデータを記録する。メモリ部13に記録されるプログラムには、無線通信を介して接続された電子機器20の制御のもとで、電子機器20からの受信されるコマンドに応じて印刷を制御する印刷制御プログラムなどを含む。
【0019】
サーマルヘッド14は、中央処理装置11の制御により、メモリ部12に記録される印字データをもとに駆動され、ラベルに対して印字データに応じた印刷(画像形成)をする。サーマルヘッド14は、例えば200dpi(dots per inch)の解像度で128dot幅を印刷可能なデバイスが実装されているものとする。
【0020】
無線通信制御部15は、例えばBluetooth(登録商標)やWi−Fi(登録商標)などによる無線通信を制御する。無線通信制御部15は、電子機器20から無線通信により印刷の対象とする印字データ等を受信する。
【0021】
入力制御部16は、ユーザー操作などに応じた入力を制御するもので、例えばラベルライタ10に設けられたボタンに対する操作に応じた入力を制御する。
【0022】
電源コントローラ17は、ラベルライタ10を構成する各ユニットに駆動用電力を供給するための制御を行う。
【0023】
ラベル搬送ユニット18は、記録媒体であるラベルの搬送を制御するもので、モータ制御部、モータ、ローラなどを含む。ラベル搬送ユニット18は、モータ制御部によりモータを回転駆動させることで、ラベルの搬送路に配置されたローラを回転させる。ラベルは、印刷のタイミングに合わせて回転されるローラにより搬送路を搬送され、サーマルヘッド14が配置された搬送路を通過しながら印刷される。
【0024】
なお、図示していないが、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイを設けて、ユーザーに対するメッセージや操作画面などを表示するようにしても良い。
【0025】
図2に示すように、本実施形態における電子機器20は、中央処理装置(CPU(Central Processing Unit))21、メモリ部(RAM(Random Access Memory))22、メモリ部(ROM(Read Only Memory))23、CCD(Charge Coupled Device)部24、無線通信制御部25、入力制御部26、電源コントローラ27、及び表示部28を含んでいる。
【0026】
中央処理装置21は、電子機器20の全体の制御を司る。中央処理装置21は、入力制御部26を通じて入力されるユーザーからの指示に応じて、メモリ部23に記憶されているプログラムを起動させ、メモリ部22をワーク(作業用)メモリとして使用して各部の動作の制御を行なう。中央処理装置21は、画像処理プログラムを実行することにより、無線通信を介して接続されるラベルライタ10を利用して、画像処理によって生成した画像を印刷させることができる。
【0027】
メモリ部22は、中央処理装置21により実行されるプログラムやデータを記録するためのワークメモリとして使用される。メモリ部22は、CCD部24によって撮影された画像の画像データ、画像処理中のデータ、ラベルライタ10に送信する印字データなどを一時記憶する。
【0028】
メモリ部23は、中央処理装置21により実行されるプログラムやデータを記録する。メモリ部23に記録されるプログラムには、OS(Operating System)などの基本プログラムの他、各種アプリケーションプログラムが含まれる。アプリケーションプログラムには、無線通信を介して接続されたラベルライタ10に印刷を実行させることができる画像処理プログラムなどを含む。
【0029】
CCD部24は、画像を撮影するためのもので、入力制御部26から入力されるユーザーからの指示に応じて撮影動作を実行する。不図示のレンズによりCCD部24に結像された画像の画像データは前記撮影動作の実行によりメモリ部22に記憶される。
【0030】
無線通信制御部25は、例えばBluetooth(登録商標)やWi−Fi(登録商標)などによる無線通信を制御する。無線通信制御部25は、画像処理プログラムの動作に従いラベルライタ10により印刷を実行させる場合、ラベルライタ10との間で制御コマンドを送受信すると共に印字データを送信する。
【0031】
入力制御部26は、ユーザー操作などに応じた入力を制御するもので、例えば電子機器20に設けられたタッチパネル、キーボード、ボタンなどに対する操作に応じた入力を制御する。タッチパネルは、表示部28の表示面と一体化させることにより、ソフトウェアキーボードを用いたキー入力操作が可能となる。
【0032】
電源コントローラ27は、電子機器20を構成する各ユニットに駆動用電力を供給するための制御を行う。
【0033】
表示部28は、中央処理装置21の制御のもとで、LCD等のディスプレイにおいて、ユーザーに対するメッセージや操作画面などを表示する。
【0034】
図3は、本実施形態におけるラベルライタ10の外観構成を示す斜視図である。
ラベルライタ10は、上端部に設けられた開口部より印刷処理済みのラベル19が排出される。ラベルライタ10の底部には、長手方向の辺部に沿ってメジャー部30が形成されている。
メジャー部30は、画像処理で利用される基準長を表すもので、所定の一定間隔で目盛りが形成されている。例えば、1目盛りの間隔は、5.0mmであり、ラベルライタ10に設けられたサーマルヘッド14により印刷される画像の39ドット分の長さに相当するものとする。
【0035】
図4は、本実施形態におけるラベルライタ10を上方から見た図である。
電子機器20は、画像処理プログラムを実行することにより、CCD部24により入力された画像の一部を変更して、ラベルライタ10により印刷させることができる。印刷する画像をラベルの貼付先となる被記録媒体(記録済みの文字等のサイズ)に応じて調整する場合には、
図4に示すように、メジャー部30と共に被記録媒体(
図4では名刺)を撮影すれば良い(詳細は
図10(a)に示す)。
【0036】
次に、本実施形態における電子機器20における画像処理方法について、
図5、
図6、
図7、
図8、及び
図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0037】
図5は、本実施形態における電子機器20の画像処理プログラムより実行される画像処理を示すフローチャート、
図6は、
図5に示す画像処理のフローチャート中の貼付先取込処理を示すフローチャート、
図7は、
図6に示す貼付先取込処理を示すフローチャート中の文字&背景調整処理を示すフローチャート、
図8は、
図6に示す貼付先取込処理を示すフローチャート中の対象行位置選択処理を示すフローチャート、
図9は、
図5に示す画像処理のフローチャート中の印字送信処理を示すフローチャートである。
【0038】
まず、中央処理装置21は、入力制御部26から入力されたユーザーからの指示に応じて画像処理プログラムが起動されると、画像処理のメイン画像を表示部28により表示させる。メイン画像には、例えばユーザーに対するガイドメッセージなどの他に、文字等を入力可能なソフトウェアキーボード、各種操作を受け付けるボタンなどが表示可能であるものとする。ボタンには、例えば「終了ボタン」「印字実行ボタン」「貼付先取込ボタン」などがある。また、各処理において必要なボタンが適宜表示される。ソフトウェアキーボードやボタンに対する入力操作は、例えばタッチパネルに対して、ユーザーがタッチすることにより行われる。
【0039】
入力制御部26によりキー入力が検出されると、中央処理装置21は、キー入力の操作を判別する。ここで、「貼付先取込ボタン」に対する操作であることが判別されると(ステップA8、Yes)、中央処理装置21は、
図6に示す貼付先取込処理を開始する(ステップA9)。
【0040】
貼付先取込処理を開始すると、中央処理装置21は、撮影された画像から検出される被記録媒体に対応する画像データを記憶するための全背景領域と、全背景領域中のラベルへの印刷対象とする画像データを記憶するための印字範囲領域とをメモリ部22に設けて初期化する(
図6、ステップB1)。
【0041】
中央処理装置21は、CCD部24を起動して画像を撮影可能な状態にする(ステップB2)。ここで「シャッターボタン」が操作されることで画像の撮影が指示されると(ステップB5、No)、中央処理装置21は、CCD部24により画像を撮影させる。CCD部24により撮影された画像の画像データは、メモリ部22に記憶される(ステップB6)。中央処理装置21は、画像の撮影後、文字&背景処理を実行する(ステップB7)。
【0042】
図10(a)は、本実施形態における電子機器20により画像を撮影する様子を示す図、
図10(b)は、本実施形態における電子機器20により撮影された画像の一例を示す図である。
【0043】
被記録媒体である名刺40の一部を修正するための画像をラベルに印刷する場合には、
図10(a)に示すように、名刺40とラベルライタ10に設けられたメジャー部30を含むように画像を撮影する。好ましくは、ラベルライタ10(メジャー部30)と名刺40とに対して、垂直方向に電子機器20から撮影するものとする。また、名刺40は、何れかの辺をメジャー部30と密着させた状態で載置されるものとする。すなわち、メジャー部30の長さ方向に対して、名刺40に記録された文字列の並びが垂直方向あるいは平行となるようにして、画像の撮影がされるようにする。これにより、画像処理の負担を軽減すると共に、品質の良い印刷対象とする画像を生成することができる。
【0044】
文字&背景処理において、まず中央処理装置21は、撮影された撮影画像中からメジャー部30に対応する画像を検出する(ステップC1)。
図10(b)に示すように、メジャー部30に相当する基準画像(メジャー部画像)は、直線状の一定間隔に目盛りが形成された既知の形状である。中央処理装置21は、この形状をもとにメジャー部画像を検出する。
【0045】
基準画像(メジャー部画像)が検出できた場合(ステップC2、Yes)、中央処理装置21は、撮影された画像中の被記録媒体の画像を、メジャー部画像が垂直となるようにして回転させることにより向きを補正する(ステップC3)。
【0046】
次に、中央処理装置21は、メジャー部画像の目盛りの間隔が39ピクセルとなるように被記録媒体の画像の解像度を調整する(ステップC4)。例えば、撮影した画像中のメジャー部画像の目盛りの間隔が170ピクセルであった場合、(39/170=)約0.23倍に解像度を下げる。中央処理装置21は、向きと解像度を調整した正規化画像を全背景領域へ格納する(ステップC5)。
【0047】
次に、中央処理装置21は、向きと解像度とが調整された全背景領域の正規化画像を対象として、名刺40に印刷された画像(文字列等)に相当する行エリア(文字列領域)を検出する(ステップC6)。検出された行エリアは画像を修正する領域の候補であり、修正候補箇所とも称する。
【0048】
図10(c)は、本実施形態における正規化画像の一例を示している。
図10(c)に示す画像では、左上隅を座標原点(0.0)とし、水平方向をX座標系、垂直方向をY座標系とする。
【0049】
中央処理装置21は、既存の画像処理技術を利用して、文字等に相当するピクセルを検出し、各ピクセルの位置関係に基づいて行に相当するピクセルのまとまりを判別し、行エリア(修正候補箇所)として検出する。中央処理装置21は、1かたまりの文字列に相当するピクセルに対して外接の矩形枠(あるいは外接矩形に所定の幅を追加した矩形枠)を設定し、この矩形枠の左上頂点座標を前記矩形枠の位置を示す座標とする。
【0050】
図10(d)は、
図10(c)に示す画像から検出された各行エリアを示している。
図10(d)に示す例では、5つの行エリアが検出されたことを示している。また、
図10(d)では、文字列に相当する行エリアだけでなく、名刺40に印刷されたロゴマークなどのイメージ部分についても行エリアとして検出されていることを示している。
【0051】
また、中央処理装置21は、各行エリアについて、行エリア毎に文字サイズを検出する(ステップC7)。例えば、行方向がX座標方向に並んでいる場合には、名刺40に横書きで文字列が記録されているものと判別する。この場合、文字高さは、行エリアの高さ(Y座標方向)とする。文字幅は、行エリア毎にX座標方向にスキャンして、各ピクセルのまとまり(すなわち文字)を検出し、そのまとまりの幅(X座標方向)とする。また、複数のピクセルのまとまり(複数の文字)がそれぞれ異なる幅である場合には、平均値を文字幅として算出しても良い。
【0052】
また、前述した例では、横書きされた文字列に相当する行エリアの例を示しているが、縦書きの文字列に相当する行エリアの場合には、X座標方向の行幅を文字幅とし、Y座標方向にスキャンすることにより文字高さを検出するものとする。
【0053】
中央処理装置21は、正規化画像から検出した各行エリア(修正候補箇所)の位置と、文字の幅と高さを示すデータを行エリアデータとしてメモリ部22に記録する。
図11は、
図10(d)から検出された行エリアについてのデータが記録された行エリアデータの一例を示している。
図11に示すNo,1のデータは、
図10(d)に示す所属部署名の文字列に相当する行エリアのデータである。同様にして、No.2のデータは、氏名の文字列に相当する行エリア、No.3のデータは、会社名の文字列に相当する行エリアのデータ、No.4のデータは、電話番号の文字列に相当するデータ、No.5は、ロゴマークに相当する行エリアのデータをそれぞれ示している。
【0054】
文字&背景処理の結果、行エリアが検出されなかった場合には(ステップB8、Yes)、中央処理装置21は、表示部28にエラー表示する(ステップB10)。この場合、例えばユーザーにより処理キャンセルが指示されるため(ステップB4、No)、中央処理装置21は、処理を中止する。
【0055】
一方、文字&背景処理の結果、行エリアが検出された場合には(ステップB8、No)、中央処理装置21は、対象行位置選択処理を実行する(ステップB9)。
【0056】
対象行位置選択処理では、まず、中央処理装置21は、行エリアデータをもとに各行エリアに対応する行エリア矩形を生成し、正規化画像に合成する(
図8、ステップD1)。中央処理装置21は、各行の行エリア矩形を合成した画像を表示部28に表示する(ステップD2)。
【0057】
行エリア矩形を合成した画像に対して、ユーザーは、表示部28に表示された行エリア矩形に対するタッチ操作により、任意の行エリアを選択することができる(ステップD3)。ユーザーは、名刺40に記録された文字列のうち修正しようとする文字が含まれる行エリアを選択する。1つ以上の行エリア(修正候補箇所)の中から選択された箇所は修正必要箇所と称する。ここでは、1つの行エリアを選択するだけでなく、複数の行エリアを選択することもできる。
【0058】
中央処理装置21は、入力制御部26によりタッチ操作が検出されると(ステップD4)、何れかの行エリア矩形の矩形枠内を選択する操作であれば(ステップD6、No)、該当する行エリア矩形に対応する行エリアの「No.」を「置換行No.」としてメモリ部22に記録する(ステップD7)。また、中央処理装置21は、ユーザーにより選択された行エリア矩形の表示形態を変更して、置換対象として選択された状態にあることを明示する(ステップD8)。複数の行エリア矩形の矩形枠内を指定する操作がされた場合には、中央処理装置21は、それぞれの行エリアの「No.」を「置換行No.」としてメモリ部22に記録し、行エリア矩形が選択される毎に表示形態を順次変更していく。
【0059】
なお、置換行の選択をキャンセルする指示が入力された場合(ステップD9、Yes)、中央処理装置21は、メモリ部22に記録した「置換行No.」を削除すると共に、行エリア矩形が選択される前の初期状態の画面に戻る。
【0060】
一方、キャンセルではなく、置換行の選択確定の指示である場合(ステップD9、No)、中央処理装置21は、選択された置換行の行エリアに対応する背景エリアを選択して(ステップD10)、背景エリアに相当する画像データをメモリ部22の印字背景領域にコピーする(ステップD11)。背景エリアは、ラベルライタ10においてラベルに印刷させるエリアであり、置換行の行エリアを含むと共に、ラベルに印刷された置換行の行エリアを被記録媒体の該当する行に合わせて貼り付けた場合に、ラベル全体が被記録媒体に貼付可能な範囲が設定される。
【0061】
図12は、本実施形態における背景エリアの設定例を示す図である。
図12において、領域AR1は、全背景領域に記録された正規化画像全体の画像であり、領域AR3は、置換行としてユーザーにより選択された行エリアを示している。すなわち、名刺40の電話番号(置換番号No.4)の部分が修正の対象(修正必要箇所)として選択されている。
【0062】
図12に示すように、置換行として選択された電話番号の行エリアは、名刺40の下端近くに配置されている。このため、電話番号の行エリアがラベルの下端近くに印刷されるようにして、
図12に示す領域AR2のように背景エリアを設定する。これにより、ラベルに印刷した電話番号の行エリアを名刺40の電話番号が印刷された行に合わせて貼り付けた場合に、ラベル全体を名刺40に貼付可能となる。
【0063】
なお、前述した説明では、修正の対象とする置換行の行エリアを選択しているが、名刺40から削除したい不要な不要行の行エリアを選択できるようにしても良い。例えば、
図10(d)に示す「No.3」の行エリア(会社名)について名刺40から削除したい場合に、前述した置換行の選択と同様にして、不要行の行エリアとして選択する。不要行の行エリアが選択された場合、中央処理装置21は、不要行の行エリアの行エリアデータが示す範囲の画像(すなわち「会社名」の文字列画像)を背景エリアの画像から削除する。これにより、ラベルライタ10においてラベルに印刷される画像から不要行として選択した行エリアを削除することができる。
【0064】
対象行位置選択処理(貼付先取込処理)が終了すると、中央処理装置21は、例えば背景エリアの画像と、この画像中で置換行の行エリアを明示した画像を表示して、置換行の行エリアに代えて印刷する文字をユーザー操作によってデータを入力させる。ユーザーは、メイン画面に表示される例えばソフトウェアキーボードへのキー入力操作によって、文字の入力あるいは文字制御の指示を入力することができる。
【0065】
中央処理装置21は、キー入力操作によって(ステップA2)、文字(印字文字コード)あるいは文字制御の指示が入力された場合(ステップA3、Yes)、入力された印字文字コードをメモリ部22にバッファリングして、印字文字コードに対応する文字フォントにより、置換行の行エリアに文字を置き換え画像として表示する(ステップA6)。例えば、名刺40に印刷された電話番号を修正する場合には、前述と同様にして、電話番号の各文字(数字列)が繰り返して入力され、入力される毎に置換行の行エリアに文字を置き換え画像として表示する。
【0066】
こうして、修正に必要な文字の入力が完了すると、ユーザーにより「印字実行ボタン」が選択される(ステップA7、Yes)。「印字実行ボタン」が選択されると、中央処理装置21は、印字送信処理を開始する(ステップA10)。
【0067】
印字送信処理では、まず、中央処理装置21は、印字データの有無を判別する。印字データがない場合には(
図9、ステップE1、Yes)、表示部28にエラー表示して処理を終了する(ステップE3)。
【0068】
一方、印字データがある場合には(ステップE1、No)、中央処理装置21は、ラベルライタ10に印字データを送信するためのソケットを生成する(ステップE2)。ここで、ソケットの生成に失敗した場合、ラベルライタ10への送信が不能であるため、中央処理装置21は、表示部28にエラー表示して処理を終了する(ステップE3)。
【0069】
ソケットの生成に成功した場合(ステップE4、Yes)、中央処理装置21は、バッファリングされた印字文字コードが示す文字フォントをもとに、ラベルライタ10においてラベルに印刷させる文字列イメージを生成する(ステップE5)。ここで、中央処理装置21は、行エリアデータの置換行の行エリアに対して記憶された、文字幅と文字高のデータを参照し、印字文字コードが示す文字フォントを文字幅と文字高に応じたサイズに調整する。なお、複数の行エリアが置換行としてユーザーにより選択されている場合には、それぞれの置換行について前述と同様の処理を実行するものとする。
【0070】
中央処理装置21は、印字背景領域の画像に置換行の行エリア(修正指定箇所)の位置に合わせて、文字列イメージを置き換え画像として合成する(ステップE6)。ここでは、ラベルライタ10において印刷する画像として二値化されたビットマップの画像が生成されるものとする。中央処理装置21は、印刷対象とする画像のデータをもとに印字データ長を計算しておく。
【0071】
以下、中央処理装置21は、ラベルライタ10との間で無線通信によってコマンドを送受信しながら印刷を制御する。
図14には、ラベルライタ10と電子機器20との間で送受信されるコマンドと印字データの送信タイミングを示している。
【0072】
中央処理装置21は、ラベルライタ10に対して、無線通信制御部25を通じて状態問い合わせコマンドを送信して(
図14、S1)、プリンタ状態を問い合わせる(ステップE8)。ラベルライタ10の中央処理装置11は、ラベルがセットされていないなど、印刷が可能な状態にない場合には、無線通信制御部15を通じて印字不許可を通知する状態応答を電子機器20に送信する。
【0073】
電子機器20の中央処理装置21は、印字許可応答が受信されなかった場合には(ステップE9、No)、表示部28にエラー表示し、ソケットを破棄して処理を終了する(ステップE15)。
【0074】
一方、ラベルライタ10の中央処理装置11は、印刷が可能な状態にあれば、無線通信制御部15を通じて印字許可を通知する状態応答(
図14、S2)を電子機器20に送信する。電子機器20の中央処理装置21は、印字許可応答を受信すると(ステップE9、Yes)、印字開始コマンドをラベルライタ10に送信する(S3、ステップE10)。ラベルライタ10は、印字開始コマンドに対して許可応答を送信する(S4)。
【0075】
以下、中央処理装置21は、印刷の対象とする画像データを、所定データ長のデータパケット毎に、印字データ1,2,…,nとして、順次、ラベルライタ10に送信する(S5,S7,S8…)(ステップE11)。ラベルライタ10は、印字データ1,2,…,nの受信毎に、正常にデータを受信したことを通知するためデータ1ACK,…,データnACKを返送する(S6,S9)。
【0076】
中央処理装置21は、全てのデータの送信が完了すると(ステップE12、No)、印字終了コマンドをラベルライタ10に送信し(S10、ステップE13)、ソケットを破棄して処理を終了する(ステップE15)。こうして、電子機器20からラベルライタ10に対する印字データ(印刷の対象とする画像データ)の送信を完了する。
【0077】
ラベルライタ10は、電子機器20からの画像データ(印字データ)の受信を完了すると、ラベル19に対する印刷を開始する。
図13は、ラベルライタ10により印刷されたラベルが排出されている様子を示している。
【0078】
図13に示すように、ラベルライタ10によりラベル19に印刷される画像は、電子機器20によりユーザーにより入力された文字列により修正された電話番号の文字列と、その他の名刺40に記録されていた背景エリアの画像とが印刷されている。ラベル19に印刷された画像は、名刺40に印刷された文字等の実サイズに合わせてサイズが調整されているため、名刺40に印刷された氏名の部分と、ラベル19に印刷された氏名の部分が一致するように位置合わせてして貼り付けることにより、電子機器20において修正された電話番号の文字列も名刺40に印刷された電話番号の部分と一致する。従って、ラベル19を貼り付けることによって、名刺40に印刷された一部を修正することが可能となる。
【0079】
なお、前述した説明では、名刺40に印刷された文字列(電話番号)を、電子機器20において入力された文字列により修正する場合を例にしているが、例えば名刺40に記録されたイメージ部分(ロゴ部分など)を選択して文字に修正したり、名刺40に記録されたイメージあるいは文字部分を選択して、電子機器20において選択された絵、図形、ロゴなどのイメージによって修正したりしても良い。この場合も前述と同様にして、画像処理によってメジャー部画像をもとにサイズを調整すれば良い。
【0080】
このようにして、本実施形態における電子機器20では、ラベルライタ10に設けられたメジャー部30と、ラベルの貼り付け先となる被記録媒体(名刺40)とを含むように画像を撮影することにより、メジャー部画像をもとに被記録媒体に記録された画像の実サイズを算出して、ラベルライタ10においてラベルに印刷する画像の実サイズを調整することができる。この画像処理では、ラベルライタ10のサーマルヘッド14の解像度に応じた、画像の解像度を調整する画像処理が可能なので、ラベルライタ10の機種の違い、すなわちサーマルヘッド14の解像度の違いが、ラベルに印刷される画像の実サイズへ影響しないようにできる。また、本実施形態における画像処理では、撮影した画像中の部分的な領域(行エリア)毎に、例えば電子機器20からユーザー操作によって入力された文字列等の置き換え画像で変更することができる。この際、部分的に変更する画像についても、メジャー部画像をもとにしたサイズ調整がされるので、元の被記録媒体に記録された画像と実サイズを整合させることができる。
【0081】
なお、前述した説明では、電子機器20により撮影した被記録媒体に記録された印刷(文字列など)の実サイズに合わせて、電子機器20からラベルライタ10に送信する印字対象とする画像の解像度を調整しているが、メジャー部30の画像をもとにして、他のサイズに印刷するために画像を調整するように画像処理をするようにしても良い。例えば、電子機器20により撮影した画像の画像解像度、及び電子機器20においてユーザーにより入力された文字(印字文字)のサイズを、ラベルライタ10おいて使用可能なラベル幅に合わせて画像サイズを調整することもできる。例えば、2枚のラベルを合わせて名刺40の全体を印刷できるように、各ラベルに印刷する画像の実サイズを調整するように画像処理をすることができる。
【0082】
また、実施形態において記載した手法、すなわち
図5、
図6、
図7、
図8、
図9のフローチャートに示す処理等の各手法は、コンピュータ(例えば、電子機器20)に実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記録媒体に格納して配布することができる。そして、コンピュータは、外部記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、このプログラムによって動作が制御されることにより、実施形態において説明した機能と同様の処理を実現することができる。
【0083】
また、各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態としてネットワーク(インターネット)上を伝送させることができ、このネットワーク(インターネット)に接続されたコンピュータ(サーバ装置等)からプログラムデータを取り込み、前述した実施形態と同様の機能を実現することもできる。
【0084】
なお、本願発明は、実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【0085】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0086】
[付記1]
基準長を表す部材とともに修正テープの貼り付け領域が撮影された撮影画像から、前記基準長を表す基準画像を検出する検出工程と、
前記基準画像をもとに前記撮影画像の向きと解像度を調整する第1調整工程と、
前記第1調整工程により正規化された正規化画像から部分的な1つ以上の修正候補箇所を検出する修正候補箇所検出工程と
前記修正候補箇所検出工程で検出された1つ以上の修正候補箇所の中から修正を要する修正必要箇所をユーザーの指示に応じて選択する選択工程と、
前記選択工程により選択された前記修正必要箇所の画像サイズを算出するサイズ算出工程と、
前記修正必要箇所の画像を置き換えるためのデータをユーザーが入力する入力工程と、を有する画像処理方法。
【0087】
[付記2]
前記入力工程により入力されたデータから置き換え画像を生成し、前記修正必要箇所の画像サイズに応じて前記置き換え画像をサイズ調整する第2調整工程と、をさらに有する付記1記載の画像処理方法。
【0088】
[付記3]
前記第2調整工程によりサイズ調整された画像と、前記正規化画像から前記修正必要箇所の画像を除いた印字背景領域の画像とを合成する画像合成工程をさらに有する付記1または2記載の画像処理方法。
【0089】
[付記4]
基準長を表す部材とともに修正テープの貼り付け領域が撮影された撮影画像から、前記基準長を表す基準画像を検出する検出工程と、
前記基準画像をもとに前記撮影画像の向きと解像度を調整する第1調整工程と、
前記第1調整工程により正規化された正規化画像から部分的な1つ以上の修正候補箇所を検出する修正候補箇所検出工程と、
前記修正候補箇所検出工程で検出された1つ以上の修正候補箇所の中から修正を要する修正必要箇所をユーザーの指示に応じて選択する選択工程と、
前記選択工程により選択された前記修正必要箇所の画像サイズを算出するサイズ算出工程と、
前記修正必要箇所の画像を置き換えるためのデータをユーザーが入力する入力工程と、
前記入力工程により入力されたデータから置き換え画像を生成し、前記修正必要箇所の画像サイズに応じて前記置き換え画像をサイズ調整する第2調整工程と、をコンピュータが実行する画像処理プログラム。
【0090】
[付記5]
基準長を表す部材とともに修正テープの貼り付け領域が撮影された撮影画像から、前記基準長を表す基準画像を検出する検出手段と、
前記基準画像をもとに前記撮影画像の向きと解像度を調整する第1調整手段と、
前記第1調整手段により正規化された正規化画像から部分的な1つ以上の修正候補箇所を検出する修正候補箇所検出手段と、
前記修正候補箇所検出手段で検出された1つ以上の修正候補箇所の中から修正を要する修正必要箇所をユーザーの指示に応じて選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された前記修正必要箇所の画像サイズを算出するサイズ算出手段と、
前記修正必要箇所の画像を置き換えるためのデータをユーザーが入力する入力手段と、
前記入力手段により入力されたデータから置き換え画像を生成し、前記修正必要箇所の画像サイズに応じて前記置き換え画像をサイズ調整する第2調整手段と、を具備したことを特徴とする電子機器。