【実施例1】
【0024】
次の表1に示す配合(配合数値は質量部)の実施例1〜7及び比較例1〜3の各ゴム材料を調製し、発泡ゴムシートを成形した。
【0025】
【表1】
【0026】
ここで、ゴムポリマーには次のEPDMを使用した。ジエンの種類と割合を表1中に示す。
・油展EPDM:三井化学株式会社の商品名「三井EPT 8120E」。油展量は20phr(ゴム100質量部に対するエキステンダオイルの質量部)であり、エキステンダオイルの重量平均分子量は、公表されていないが、1500以下と推定される。よって、油展EPDM120質量部は、EPDMポリマー100質量部と、重量平均分子量1500以下のエキステンダオイル20質量部
とからなるとみなせる。
・非油展EPDM:三井化学株式会社の商品名「三井EPT 9090M」。非油展EPDM100質量部は、EPDMポリマー100質量部とみなせる。
【0027】
オイルには次のものを使用した。分子量と動粘度(100℃)を表1中に示す。
・プロセスオイル:出光興産株式会社の商品名「ダイアナプロセスオイルPS−380」。パラフィン系鉱物油であり、ゴム材料のプロセスオイルとして使用されているものである。
・
パラフィン系オイル(1):三井化学株式会社の商品名「ルーカント HC−150」。
パラフィン系オイル(エチレンとα−オレフィンとのコオリゴマーで、極性基を含まない炭化水素系合成油)であり、例えば潤滑油の高粘度基油として使用されているものである。
・
パラフィン系オイル(2):三井化学株式会社の商品名「ルーカント HC−2000」。同じく
パラフィン系であるエチレンとα−オレフィンとのコオリゴマーであり、例えば粘度指数向上剤として使用されているものである。
・
パラフィン系オイル(3):三井化学株式会社の商品名「ルーカント HC−3000X」
。同じく
パラフィン系であるエチレンとα−オレフィンとのコオリゴマーであり、例えば粘度指数向上剤として使用されているものである。
【0028】
従って、実施例1〜7は、重量平均分子量1500以下の低分子量炭化水素系オイルとして、油展EPDM中のエキステンダオイルとプロセスオイルの一方又は両方を含み、重量平均分子量5000以上の高分子量炭化水素系オイルとして
パラフィン系オイル(1)〜(3)のいずれかを含むものである。そして、ゴム材料中の全オイル量に対する高分子量炭化水素系オイルの配合率は、実施例1で10質量%、実施例7で90質量%、実施例2〜6でその中間値である。
【0029】
これに対し、比較例1,2は、重量平均分子量1500以下の低分子量炭化水素系オイルとして、油展EPDM中のエキステンダオイルとプロセスオイルの一方又は両方を含むが、重量平均分子量5000以上の高分子量炭化水素系オイルを含まないものである。また、比較例3は、重量平均分子量1500以下の低分子量炭化水素系オイルを含まず、重量平均分子量5000以上の高分子量炭化水素系オイルとして
パラフィン系オイル(3)を含むものである。
【0030】
その他、カーボンブラックには、よう素吸着量が20mg/g、DBP吸収量が115cm
3/100gのSRFを使用した。
ステアリン酸には、花王株式会社の商品名「ルナックS−50V」を使用した。
亜鉛華には、井上石灰工業株式会社の商品名「メタZ−102」を使用した。
加硫剤には、硫黄粉末を使用した。
発泡剤には、OBSH(p,p'−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド)発泡剤を使用した。
これらは、実施例1〜7及び比較例1〜3で共通の配合量とした。
【0031】
上記実施例1〜7及び比較例1〜3のゴム材料を、それぞれ表1の配合比になるように秤量し、バンバリーミキサーとロールとを用いて混練した材料を、厚さ1.2mmの発泡シートに成形した。
【0032】
作製した発泡ゴムシートについて、次の評価を行った。
1.加工性
ロールにてゴム材料を混練する際、問題なく加工できたものを「加工性○」と評価した。
ロールにてゴム材料を混練しようとした際、ゴム材料がロールの表面に貼り付いて引き剥がすことができなかったため、結局、混練することができなかったものを「加工性×」と評価した。
【0033】
2.遮音性
作製した発泡ゴムシートを、開口面積10mm×90mmの冶具にセットし、23℃の雰囲気下で400Hz〜10000Hzの音響透過損失(dBA)を測定した。透過損失が大きいほど遮音性が優れていると評価できる。
【0034】
実施例1〜7及び比較例1,2の発泡ゴムシートは、比重が同一であり、発泡形態も目視において同様であった。
【0035】
しかし、実施例1〜7の発泡ゴムシートは、400〜10000Hzの音響透過損失(dBA)が比較例1,2よりも明らかに大きくなり、遮音性が向上した。
【0036】
また、ゴム材料中のオイルを全て高分子量炭化水素系オイルにした比較例3では、ゴム材料がロールに貼り付いてしまったが、高分子量炭化水素系オイルだけでなく低分子量炭化水素系オイルの配合がある実施例1〜7では、そのような問題が起こらず、加工性は良好であった。
【0037】
図1に、実施例1〜7のゴム材料を使用して成形した自動車用のウエザストリップ1(断面)と自動車用の燃料、冷媒又は空気を送るためのホース2を示す。このウエザストリップ1によれば、ウエザストリップ1を透過しようとする音の遮音性が向上する。また、このホース2によれば、ホース内の燃料、冷媒又は空気の流動音が外部に漏れるのを低減できる。
【0038】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することができる。