特許第6206324号(P6206324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206324
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】車両用灯体
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/10 20060101AFI20170925BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20170925BHJP
   F21V 29/76 20150101ALI20170925BHJP
   F21W 101/10 20060101ALN20170925BHJP
   F21W 101/12 20060101ALN20170925BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20170925BHJP
【FI】
   F21S8/10 351
   F21S8/10 352
   F21V29/503
   F21V29/76
   F21S8/10 370
   F21W101:10
   F21W101:12
   F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-101921(P2014-101921)
(22)【出願日】2014年5月16日
(65)【公開番号】特開2015-220047(P2015-220047A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2016年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】溝手 小津枝
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−044602(JP,A)
【文献】 実開平04−105408(JP,U)
【文献】 特開昭63−053802(JP,A)
【文献】 特開2006−341762(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3099374(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10
F21V 29/503
F21V 29/76
F21W 101/10
F21W 101/12
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1ランプユニットと第2ランプユニットとが並設される車両用灯体であって、
上記第1ランプユニットは、第1アウタレンズを備えるとともに、上記第2ランプユニットは、第2アウタレンズを備え、
上記第1アウタレンズは、上記第1ランプユニットの照射光を透過する照射部と、正面視で第2アウタレンズに相当する部位よりも該照射部の側方に延びる延設部とを備え、
上記延設部における上記第2アウタレンズに相当する部位には、上記第2ランプユニットにより照射可能に開口する開口部が設けられており、
上記第1アウタレンズの上記延設部は、遮光して設けられており、
上記開口部において、上記第1アウタレンズよりも後方に上記第2アウタレンズが設けられており、
上記延設部には、上記開口部の周縁部において延設部が上記第1アウタレンズの裏面方向に上記第2ランプユニットに向かって屈曲する屈曲部が設けられ
上記屈曲部の後端部は、遮光して設けられ
上記第1アウタレンズは、車体外装部品の外面における灯体取付箇所の周辺形状に沿った意匠面を有するとともに、上記第2アウタレンズは、平面視又は側面視において、上記第1アウタレンズの意匠面と異なる角度であり、且つ、上記第1アウタレンズの意匠面の角度よりも上記第2ランプユニットの光源の指向方向に対して垂直に近い角度の意匠面を成した
車両用灯体。
【請求項2】
上記第1アウタレンズは、光を透過する透過層と、光を遮断する遮光層とを備え、
上記延設部は、少なくとも上記透過層と上記遮光層とを有する複数の層で構成された
請求項に記載の車両用灯体。
【請求項3】
上記開口部において、上記透過層の端部は上記遮光層で覆われて遮光された
請求項に記載の車両用灯体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、車両の前部においてターンランプユニットと、該ターンランプユニットの下方に並設したフォグランプユニットのように、互いを並設した複数のランプユニットで構成される車両用灯体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のランプユニットを一体的に設ける構成としては、特許文献1に開示されたものがある。
すなわち、ストップランプユニットとバックランプユニットとを一体的に設ける構造において、両ランプユニット共用のアウタレンズと、両ランプユニット共用のランプハウジングとで、シールされた同一の空間を設け、該同一の空間内にストップランプ用のバルブとバックランプ用のバルブとを取付け、同一のアウタレンズに対して複数の光源を設けたものである。
【0003】
しかしながら、ヘッドランプの補助として使用される前照灯としてのフォグランプユニット(いわゆる霧燈)においては、仕様の有無、つまりフォグランプを用いる車種と、用いない車種とがあるうえ、他の車種との共用化を考慮すると、フォグランプユニット専用に独立してアウタレンズとランプハウジングとを設けることが好ましい。
【0004】
従来、図15に示すように、フロントバンパ91の左右両部に、フォグランプユニット92とターンランプユニット93とを並設する場合、フォグランプユニット92のアウタレンズの前面外周にカバー部材94を装着して、ターンランプユニット93とフォグランプユニット92とを上下に並設し、外観上異なるように構成されていた。
【0005】
ところが、このような構成の場合、フォグランプユニット92とターンランプユニット93とを並設した両ランプユニットの外観上の一体感、統一感を確保することができなかった。
【0006】
そこで、アウタレンズとハウジングとを、両ランプユニットごとに独立して設けつつ、ターンランプのアウタレンズを、並設するフォグランプの前方まで延設することで外観上、一体的に設けることができる。
【0007】
しかし、その際、外観品質を良好に保つためには、フォグランプユニットが独立したアウタレンズを有する場合であっても、フォグランプから照射された光がターンランプのアウタレンズへ漏光することや、両レンズ間の間隙からの内機が視認されることによる見栄えの低下などを防止する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平3−103504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこでこの発明は、それぞれがアウタレンズを有する複数のランプユニットを外観上、一体的に並設するにあたって、外観品質の向上を図ることができる車両用灯体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明による車両用灯体は、少なくとも第1ランプユニットと第2ランプユニットとが並設される車両用灯体であって、上記第1ランプユニットは、第1アウタレンズを備えるとともに、上記第2ランプユニットは、第2アウタレンズを備え、上記第1アウタレンズは、上記第1ランプユニットの照射光を透過する照射部と、正面視で第2アウタレンズに相当する部位よりも該照射部の側方に延びる延設部とを備え、上記延設部における上記第2アウタレンズに相当する部位には、上記第2ランプユニットにより照射可能に開口する開口部が設けられており、上記第1アウタレンズの上記延設部は、遮光して設けられており、上記開口部において、上記第1アウタレンズよりも後方に上記第2アウタレンズが設けられており、上記延設部には、上記開口部の周縁部において延設部が上記第1アウタレンズの裏面方向に上記第2ランプユニットに向かって屈曲する屈曲部が設けられ上記屈曲部の後端部は、遮光して設けられ、上記第1アウタレンズは、車体外装部品の外面における灯体取付箇所の周辺形状に沿った意匠面を有するとともに、上記第2アウタレンズは、平面視又は側面視において、上記第1アウタレンズの意匠面と異なる角度であり、且つ、上記第1アウタレンズの意匠面の角度よりも上記第2ランプユニットの光源の指向方向に対して垂直に近い角度の意匠面を成したものである。
【0011】
上記構成によれば、第1アウタレンズには、照射部の側方に延びる延設部を備えたため、第1ランプユニットと第2ランプユニットを、外観上、一体的に並設することができる。さらに、延設部に設けられた上記開口部の端部は、遮光して設けられているため、第2ランプユニットの照射光が、上記開口部の端部から上記第1アウタレンズへ入射することを防ぐことができる。
【0012】
これにより、上記第2ランプユニットから上記第1ランプユニットへの漏光を防ぐことができ、上記第1アウタレンズ全体が薄光する、すなわち、いわゆるぼんやりと光ることを防止でき、外観品質の向上を図ることができる。
【0013】
また上述したように、上記第1アウタレンズの上記延設部は、遮光して設けられたものであるため、第1アウタレンズの延設部は、遮光して設けられているため、該延設部によって照射部と開口部以外を遮光して、内機の露出を防止し、両ランプユニットのアウタレンズを外観上、一体的に見せることができる。
【0014】
さらにまた、上述したように、上記開口部は、上記延設部が上記第1アウタレンズの裏面方向に上記第2ランプユニットに向かって屈曲して設けられたものであるため、開口部は、延設部が第1アウタレンズの裏面方向に第2ランプユニットに向かって屈曲して設けられることにより、開口部から、詳しくは該開口部と後述する第2アウタレンズとの間隙から内機が露出することを防止し、見栄えの向上を図ることができる。
【0015】
また、開口部の端部が第2ランプユニットに向かって設けられた場合、開口部から上記第2ランプユニットの照射光が上記第1ランプユニットの側へ入射し易くなることから、このような事態を防ぐために、前述したように、延設部に設けられた上記開口部の端部が遮光された構成が特に有効となる。
【0016】
さらにまた、上述したように、上記開口部の後方には、第2アウタレンズを備える上記第2ランプユニットが設けられており、平面視又は側面視において、上記第1アウタレンズと上記第2アウタレンズとが異なる角度の意匠面を成したものである。
【0017】
このため、開口部の後方に、第2アウタレンズを備える第2ランプユニットが設けられているため、上記第2アウタレンズが上記第1アウタレンズと異なるレンズ意匠面であっても、両レンズ間の間隙を小さく設けることができる。さらに、上記第2ランプユニットに流用部品を用いることも可能となる。
【0018】
ここで、上記照射部の側方には、車幅方向の側方に限らず、上下方向の側方も含むものとする。
【0019】
また、本発明の車両用灯体は、例えば、ターンランプユニットと、該ターンランプユニッに並設したフォグランプユニットとで構成した車両用灯体のように、車両前部に備えるに限らず、例えば、車両後部に備えてもよく、また、ターンランプユニットとフォグランプユニットの組み合わせに限らず、他の複数のランプユニットを並設した構成であってもよい。
【0020】
この発明の一実施態様においては、上記第1アウタレンズは、光を透過する透過層と、光を遮断する遮光層とを備え、上記延設部は、少なくとも上記透過層と上記遮光層とを有する複数の層で構成されたものである。
【0021】
上記構成によれば、第1アウタレンズは、透過層と遮光層とを備え、延設部は、少なくとも透過層と遮光層とを有する複数の層で構成されているため、延設部に対して例えば、塗装などによる遮光の必要がなく、透過層と遮光層とを備えた第1アウタレンズを金型成形によって形成することによって、透過と遮光とのいずれをも実現できるため、上述の第1アウタレンズを容易に設けることができる。
【0022】
この発明の一実施態様においては、上記開口部において、上記透過層の端部は上記遮光層で覆われて遮光されたものである。
【0023】
上記構成によれば、開口部において、透過層の端部は遮光層で覆われて遮光されているため、透過層を遮光する特別な部材を設けずに簡単な構成で透過層の端部を遮光できる。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、それぞれがアウタレンズを有する複数のランプユニットを外観上、一体的に並設するにあたって、外観品質の向上を図ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の車両用灯体を備えた車両の前部構造を示す斜視図。
図2図1の要部拡大正面図。
図3図2のA−A線矢視断面図。
図4図2のB−B線矢視断面図。
図5】ターンランプユニットの背面図。
図6】フォグランプユニットを車両前方から見た状態で示す斜視図。
図7】フォグランプユニットを車両後方から見た状態で示す斜視図。
図8】取付けブラケットを車両前方から見た状態で示す斜視図。
図9】ターンランプユニットとフロントバンパと取付けブラケットとフォグランプユニットとを車両後方から見た状態で示す分解斜視図。
図10】フロントバンパの要部背面図。
図11】フロントバンパにターンランプユニットを組付けた状態で示す背面図。
図12】フロントバンパに取付けブラケットを組付けた状態で示す背面図
図13】取付けブラケットにフォグランプユニットを組付けた状態で示す背面図。
図14図12のC−C線矢視断面図。
図15】従来の車両用灯体を備えた車両の前部構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
少なくともターンランプユニットとフォグランプユニットとが並設される車両用灯体であって、ターンランプユニットは、第1アウタレンズを備え、該第1アウタレンズは、ターンランプユニットの照射光を透過する照射部と、該照射部の側方に延びる延設部とを備え、該延設部には、フォグランプユニットにより照射可能に開口する開口部が設けられており、該開口部の端部は遮光して設けられるという構成にて実現した。
【実施例】
【0027】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車幅方向内方を示し、矢印OUTは車幅方向外方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
【0028】
図面は車両の前部構造を示し、図1は当該前部構造を車両前方から見た状態で示す斜視図、図2図1の車両左側部分に備えた後述する車両用灯体1、及びその周辺部位の拡大正面図である。
【0029】
図1において、車両前部に位置する合成樹脂製のフロントバンパ10を設けている。このフロントバンパ10は車幅方向の左右両外部が車両後方側にアール形状に屈曲して設けられており、該フロントバンパ10の車幅方向中央上部には、エンジンルーム内に走行風を取入れるフロントグリル11が設けられ、車幅方向中央下部には、当該フロントバンパ10に走行風取入れ口12が開口形成されている。
【0030】
上述のフロントバンパ10の左右の両側部の下側には、図1図2に示すように、車両用灯体1が設けられている。車両用灯体1は、ターンランプユニット20と、該ターンランプユニット20の下方に並設したフォグランプユニット30とを備えている。
【0031】
ターンランプユニット20は、詳しくは、ターンシグナルランプ(方向指示灯)ユニットであり、フォグランプユニット30は図示しないヘッドランプの補助として使用される前照灯(いわゆる霧燈)ユニットである。
なお、以下の実施例においては車両の前部構造について車両左側の構造を説明するが、車両右側の構造は左側のそれと左右対称に構成されている。
【0032】
図3図2のA−A線矢視断面図、図4図2のB−B線矢視断面図、図5はターンランプユニットの背面図、図6はフォグランプユニットを車両前方から見た状態で示す斜視図、図7はフォグランプユニットを車両後方から見た状態で示す斜視図、図8は取付けブラケットを車両前方から見た状態で示す斜視図である。
【0033】
図3図4に示すように、フロントバンパ10のランプユニット配設部位には車両後方側に窪む凹壁部13と、該凹壁部13のリヤ側面に形成された後壁14およびその開口部15が形成されている。
【0034】
図3に示すように、上述の後壁14が一体形成された凹壁部13を利用して、ターンランプユニット20は車両前方からフロントバンパ10に組付けられる一方で、フォグランプユニット30は取付けブラケット40を介して車両後方からフロントバンパ10に組付けられており、これにより、両ランプユニット20,30取付け用のフロントバンパ10の開口部を最小限と成すように構成している。
【0035】
図2図3に示すように、ターンランプユニット20は光源としてのバルブ21と、車両前方に向って上下方向に拡大して設けられたリフレクタ22と、該リフレクタ22の側部外方および後方を覆うランプハウジング23と、ターンランプ用のアウタレンズとしての第1アウタレンズ24とを備えている。
上述の第1アウタレンズ24はバルブ21の照射光を車両前方へ透過する照射部25と、照射部25の上下左右つまり側方に延びる延設部26a,26b,26c,26d(図2参照)とを有し、各延設部26a,26b,26c,26dのうち下方に延びる延設部26bには、フォグランプユニット30の光を照射可能に設けられる開口部27が設けられている。
【0036】
図2図3に示すように、ターンランプユニット20の第1アウタレンズ24は、フォグランプユニット30の後述する光源(LED32参照)の高さ位置よりもさらに下方に延設されており、これにより、フォグランプユニット30の前方に従前のカバー部材を設ける必要がないように構成している。
【0037】
図3図4に示すように、ターンランプユニット20の第1アウタレンズ24における各延設部26a,26b,26c,26dは後述する屈曲部26eを含めて全て遮光されている。すなわち、上記第1アウタレンズ24は車両表面側に位置して光を透過する透過層28と、この透過層28の裏面側に位置して光を遮断する例えば黒色の遮光層29とを有しており、上述の延設部26a,26b,26c,26dは、少なくとも透過層28と遮光層29とを有する複数の層で構成されており、上述の開口部27の後端部27aに相当する屈曲部26eの後端部27aにおいて、透過層28の車両後方側の端部28aが遮光層29で覆われて遮光されている。
【0038】
すなわち、第1アウタレンズ24の各延設部26a,26b,26c,26dおよび開口部27の端部27a(屈曲部26eの後端部27a)が遮光層29で遮光されており、フォグランプユニット30からの光が第1アウタレンズ24の延設部26bにおける開口部27の後端部27aから入射して、第1アウタレンズ24全体が薄光することを防止すべく構成すると共に、上記延設部26bにおける開口部27の後端部27aのみならず、各延設部26a,26b,26c,26dを遮光層29で遮光することで、照射部25と開口部27以外を全て遮光して、内機の露出を防止すべく構成したものである。
【0039】
ここで、図3図4に示すように、遮光層29の裏面には車両後方に延びる突起部29aが一体形成されており、この突起部29aとランプハウジング23の前面部とは、振動溶着手段にて互いに固定されている。
【0040】
また、図3図4に示すように、上述の開口部27は、該開口部27を形成する延設部26bが後述する第2アウタレンズ31の裏面方向、すなわち車両後方に向かって屈曲され屈曲部26eを形成しており、当該開口部27の車両後方側には、第2アウタレンズ31を備えたフォグランプユニット30が設けられており、図3に示す側面図、および図4に示す平面視においてターンランプユニット20の第1アウタレンズ24と、フォグランプユニット30の第2アウタレンズ31とが異なる角度の意匠面を成している。
【0041】
つまり、図3に示す側面視にあっては、フォグランプユニット30の第2アウタレンズ31が略垂直方向に指向しているのに対して、ターンランプユニット20の第1アウタレンズ24はその上部が下部に対して車両前方へ傾倒した傾倒角度が大きくなるように形成されており、図4に示す平面視にあっては、フォグランプユニット30の第2アウタレンズ31の車幅方向外側に対して車幅方向内側が車両前方へ傾倒する角度に対して、ターンランプユニット20の第1アウタレンズ24の車幅方向外側に対して車幅方向内側が車両前方へ傾倒する角度が、大きくなるように形成されている。
このように、異なるアウタレンズ意匠面であっても、開口部27の延設部26bをフォグランプユニット30に向けて延設形成し、上述の屈曲部26eを構成することで、両アウタレンズ24,31間の間隙を小さくするように構成したものである。
【0042】
フォグランプユニット30は、図3図4に示すように、車両後方に向って上下左右方向に拡大して形成され、かつ光を透過する材料にて形成された第2アウタレンズ31と、光源としてのLED32を実装する基板33と、基板33と第2アウタレンズ31との間に設けられ、LED32からの光を平行光に変換する凸レンズ構造のインナレンズ34と、LED32の発熱を放熱させるために上記基板33の背面部に一体的に取付けられた放熱フィン35と、上述の各要素すなわち、インナレンズ34、LED32,基板33、放熱フィン35を囲繞するランプハウジング36と、上述の放熱フィン35の所定部を後方に開放した状態で、該放熱フィン35とランプハウジング36の背部との間を覆うカバー部材37と、を備えている。
【0043】
つまり、上述のフォグランプユニット30は、光源がLED32で形成され、後部に放熱フィン35を有し、かつ車両方向に向って上下方向(この実施例では上下左右方向)に拡大して形成されたものである。
車両後方に向けて拡大形成された第2アウタレンズ31の裏面には、車両後方に延びる突起部31aが一体形成されており、この突起部31aがランプハウジング36前部における凹溝部36aの内底部に、ホットメルト接着剤を用いて溶着固定されている。
【0044】
そして、図3に示すように、上述のフォグランプユニット30は、ターンランプユニット20に対して車両後方にオフセットして設けられており、フォグランプユニット30の上端部30aがターンランプユニット20の下端部、詳しくは、リフレクタ22の下端部22bよりも上方に位置するように上下方向にオーバラップして設けられていて、両ランプユニット20,30をコンパクト、特に、上下方向にコンパクトに配設すべく構成している。
【0045】
図1図2に示すように、上述のフォグランプユニット30およびターンランプユニット20はフロントバンパ10の側部下側に設けられると共に、図2に示すように、フォグランプユニット30は車両正面視でターンランプユニット20の車幅方向外側下方に設けられており、これにより、フォグランプユニット30とターンランプユニット20との車両前後方向の間隔を可及的小さくするように構成している。
すなわち、フロントバンパ10はその車幅方向外部が車両後方側にアール形状に屈曲して設けられており、フォグランプユニット30をターンランプユニット20に対して車両後方にオフセットする際、当該フォグランプユニット30を車両正面視でターンランプユニット20の車幅方向外側下方に設けることで、両ランプユニット20,30がフロントバンパ10の屈曲構造に沿うようになり、フォグランプユニット30とターンランプユニット20との車両前後方向の間隔を可及的小さくすることができるものである。
【0046】
ターンランプユニット20の背面図である図5において、ランプハウジング23の背面部23aにおける上部車幅方向中間部には、車両後方に延びる係止爪23Xが一体形成され、背面部23aにおける開口部27の車幅方向内側部にも、車両後方に延びる係止爪23Yが一体形成されている。
また、ランプハウジング23の背面部23aにおける上側車幅方向内端部と、係止爪23Xの車幅方向外側近傍位置と、下側車幅方向外端部とには、リブ付き円筒形状の取付け部23A,23B,23Cが車両後方に向けて一体形成されている。
【0047】
フォグランプユニット30の斜視図である図6図7において、そのランプハウジング36の外周部には径方向外方へ延びる複数のフランジ部51,52,53が一体形成されており、上側に位置する2つのフランジ部51,52のうち車幅方向外側に位置するフランジ部51には、取付け孔51Dが形成されており、上側に位置する2つのフランジ部51,52のうち車幅方向内側に位置するフランジ部52には、取付け孔52Eが形成されており、下側に位置するフランジ部53には、取付け孔53Fが形成されている。
なお、図7において、38はコネクタ、39はフォグランプユニット30の照射方向を調整するためのエイミング部材である。
【0048】
図8は取付けブラケット40を車両前方から見た状態で示す斜視図、図9はターンランプユニット20とフロントバンパ10と取付けブラケット40とフォグランプユニット30とを車両後方から見た状態で示す分解斜視図であって、図8図9において、該取付けブラケット40はその中央部に開口41を有する環状に形成されており、断面L字状に形成された環状壁42の上部および車幅方向外側側部には、それぞれ取付け座43,44が一体形成されると共に、上述の環状壁42の下部には上記各取付け座43,44に対して車両前方側へ延出形成された取付け座45が一体形成されている。
【0049】
また、図9に示すように、取付けブラケット40の環状壁42における車幅方向内側上部と、車幅方向外側下部とには、リブ付き円筒形状の取付け部42E,42Fが車両後方に向けて一体形成されている。
【0050】
さらに、図8図9に示すように、取付けブラケット40の取付け座43には取付け孔43Bを形成し、取付け座44には取付け孔44Cを形成し、取付け座45には取付け孔45Gを形成すると共に、環状壁42の車幅方向外側上部には取付け部42Dを一体形成している。
【0051】
図10はフロントバンパ10の要部背面図であり、図9図10に示すように、車両後方側に窪む凹壁部13の後壁14において、ターンランプユニット20の係止爪23X,23Y(図5参照)と対応する位置には係止孔14X,14Yを開口形成すると共に、ターンランプユニット20の取付け部23A,23B,23C(図5参照)と対応する位置には、取付け孔14A,14B,14Cが開口形成されている。
【0052】
また、図9図10に示すように、フロントバンパ10の背面部において凹壁部13よりも下方には、取付けブラケット40の取付け孔45G(図8参照)と対応する位置に、リブ付き円筒形状の取付け部10Gを車両後方に向けて一体形成している。
【0053】
次に、図10図13を参照してフロントバンパ10に対する両ランプユニット20,30の組付け構造について説明する。
図10に示すフロントバンパ10の凹壁部13に対して、図5に示すターンランプユニット20を車両前方から組付けて図11の状態と成す。
この場合、ターンランプユニット20の複数の係止爪23X,23Yがフロントバンパ10の係止孔14X,14Yに係止され、この状態で、ターンランプユニット20がフロントバンパ10に仮止めされると共に、フロントバンパ10の各取付け孔14A,14B,14C(図10参照)と、ターンランプユニット20の各取付け部23A,23B,23C(図5参照)とが一致するので、取付け孔14Aに挿入するボルトVa(図11参照)を用いて取付け部23Aを凹壁部13の後壁14に固定する。
【0054】
次に、図11に示すフロントバンパ10の背面に、図8に示す取付けブラケット40を当接させた後に、図12に示すように、取付け孔43B(図9参照)に挿入するボルトVb(図11参照)を用いて取付け座43をターンランプユニット20の取付け部23B(図5参照)に固定すると共に、取付け孔45G(図8参照)に挿入するボルトVg(図12参照)を用いて取付け座45をフロントバンパ10の取付け部10G(図11参照)に固定する。
【0055】
さらに、取付け孔44C(図9参照)に挿入するボルトVc(図12参照)を用いて取付け座44を、フロントバンパ10の後壁14を介してターンランプユニット20の取付け部23C(図9参照)に固定する。
【0056】
次に、図12に示す取付けブラケット40の背面に、図7に示すフォグランプユニット30を配置して、図13に示すように成す。この時、フォグランプユニット30の取付け孔51D(図7参照)は、取付けブラケット40の取付け部42D(図9参照)と一致し、フォグランプユニット30の取付け孔52E(図7参照)は、取付けブラケット40の取付け部42E(図9参照)と一致し、フォグランプユニット30の取付け孔53F(図7参照)は、取付けブラケット40の取付け部42F(図9参照)と一致する。
【0057】
そこで、取付け孔51D(図7参照)に挿入するボルトVd(図13参照)を用いて、フォグランプユニット30のフランジ部51を取付けブラケット40の取付け部42D(図9参照)に固定し、取付け孔52E(図7参照)に挿入するボルトVe(図13参照)を用いて、フォグランプユニット30のフランジ部52を取付けブラケット40の取付け部42E(図9参照)に固定し、取付け孔53F(図7参照)に挿入するボルトVf(図13参照)を用いて、フォグランプユニット30のフランジ部53を取付けブラケット40の取付け部42F(図9参照)に固定すると、フォグランプユニット30の第2アウタレンズ31は図3図4に示すように、取付けブラケット40の開口41から車両前方に臨設され、第2アウタレンズ31の前端部は、ターンランプユニット20における開口部27の直後部に隣設配置される。
【0058】
図14図12のC−C線矢視断面図であって、フォグランプユニット30は、取付けブラケット40を介してフロントバンパ10にその後方から固定されており、一方で、ターンランプユニット20は、フォグランプユニット30の前方でフロントバンパ10にその前方から固定される下方固定部としての取付け部23Cを有しており、この取付け部23Cは、フォグランプユニット30の光源であるLED32(図3図4参照)よりも車幅方向外方において、ボルトVcにて、取付けブラケット40の取付け座44およびフロントバンパ10の後壁14と共締め固定されており、これら三者23C,40,10を共締め固定することで、フォグランプユニット30とターンランプユニット20とを前後方向にコンパクトに配設して、両ランプユニット20,30の前後長の短縮を図るように構成している。
【0059】
このように、上記実施例の車両用灯体1は、少なくともターンランプユニット20とフォグランプユニット30とが並設される車両用灯体1であって、ターンランプユニット20は、第1アウタレンズ24を備え、該第1アウタレンズ24は、ターンランプユニット20の照射光を透過する照射部25と、該照射部25の側方に延びる延設部26a,26b,26c,26dとを備え、下方に延びる延設部26bには、フォグランプユニット30により照射可能に開口する開口部27が設けられており、該開口部27の端部27aは遮光して設けられたものである(図3図4参照)。
【0060】
この構成によれば、第1アウタレンズ24には、照射部25の側方、すなわち、車幅方向、及び上下方向に延びる延設部26a,26b,26c,26dを備えたため、ターンランプユニット20とフォグランプユニット30を、外観上、一体的に並設することができる。さらに、下方に延びる延設部26bに設けられた開口部27の端部27aは、遮光して設けられているため、フォグランプユニット30の照射光が、開口部27の端部27aから第1アウタレンズ24へ入射することを防ぐことができる。
【0061】
これにより、フォグランプユニット30からターンランプユニット20への漏光を防ぐことができ、第1アウタレンズ24全体が薄光することを防止でき、外観品質の向上を図ることができる。
【0062】
この発明の一実施形態においては、第1アウタレンズ24の延設部26a,26b,26c,26dは、遮光して設けられたものである(図3図4参照)。
【0063】
この構成によれば、第1アウタレンズ24の延設部26a,26b,26c,26dは、遮光して設けられているため、該延設部26a,26b,26c,26dによって照射部25と開口部27以外を遮光して、内機の露出を防止し、両ランプユニット20,30のアウタレンズ24,31を外観上、一体的に見せることができる。
【0064】
この発明の一実施形態においては、第1アウタレンズ24は、光を透過する透過層28と、光を遮断する遮光層29とを備え、延設部26a,26b,26c,26dは、少なくとも透過層28と遮光層29とを有する複数の層で構成されたものである(図3図4参照)。
【0065】
この構成によれば、第1アウタレンズ24は、透過層28と遮光層29とを備え、延設部26a,26b,26c,26dは、少なくとも透過層28と遮光層29とを有する複数の層で構成されているため、延設部26a,26b,26c,26dに対して例えば、塗装などによる遮光の必要がなく、透過層28と遮光層29とを備えた第1アウタレンズ24を金型成形によって形成することによって、透過と遮光とのいずれをも実現できるため、上述の第1アウタレンズ24を容易に設けることができる。
【0066】
この発明の一実施形態においては、開口部27において、透過層28の端部28aは遮光層29で覆われて遮光されたものである(図3図4参照)。
【0067】
この構成によれば、開口部27において、透過層28の端部28aは遮光層29で覆われて遮光されているため、透過層28を遮光する特別な部材を設けずに簡単な構成で透過層28の端部28aを遮光できる。
【0068】
この発明の一実施形態においては、開口部27は、下方に延びる延設部26bが第1アウタレンズ24の裏面方向、すなわち、車両後方にフォグランプユニット30に向かって屈曲して設けられたものである(図1乃至図4図9参照)。
【0069】
この構成によれば、開口部27は、下方に延びる延設部26bが第1アウタレンズ24の裏面方向にフォグランプユニット30に向かって屈曲して設けられることにより、開口部27から、詳しくは該開口部27と第2アウタレンズ31との間隙から内機が露出することを防止し、見栄えの向上を図ることができる。
【0070】
また、開口部27の端部27aがフォグランプユニット30に向かって設けられた場合、開口部27からフォグランプユニット30の照射光がターンランプユニット20の側へ入射し易くなることから、このような事態を防ぐために、前述したように、下方に延びる延設部26bに設けられた開口部27の端部27aが遮光された構成が特に有効となる。
【0071】
この発明の一実施形態においては、開口部27の後方には、第2アウタレンズ31を備えるフォグランプユニット30が設けられており、平面視又は側面視において、第1アウタレンズ24と第2アウタレンズ31とが異なる角度の意匠面を成したものである(図3図4参照)。
【0072】
この構成によれば、開口部27の後方に、第2アウタレンズ31を備えるフォグランプユニット30が設けられているため、第2アウタレンズ31が第1アウタレンズ24と異なるレンズ意匠面であっても、両アウタレンズ24,31間の間隙を小さく設けることができる。さらに、フォグランプユニット30に流用部品を用いることも可能となる。
【0073】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の第1ランプユニットは、実施例のターンランプユニット20に対応し、以下、同様に、第2ランプユニットは、フォグランプユニット30に対応し、
第2ランプユニットに向かって屈曲して設けられた延設部は、屈曲部26eに対応するも、この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上説明したように、本発明は、例えば、車両の前部においてターンランプユニットと、該ターンランプユニットの下方に並設したフォグランプユニットのように、互いを並設した複数のランプユニットで構成される車両用灯体について有用である。
【符号の説明】
【0075】
1…車両用灯体
20…ターンランプユニット(第1ランプユニット)
24…第1アウタレンズ
25…照射部
26a,26b,26c,26d…延設部
26e…屈曲部
27…開口部
27a…開口部の端部
28…透過層
28a…透過層の端部
29…遮光層
30…フォグランプユニット(第2ランプユニット)
31…第2アウタレンズ
R…車両後方(第1アウタレンズの裏面方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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