(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
サイドフレームなどの車両用フレーム(車体フレーム)において、車体フレームが潰れるときのエネルギ吸収量をさらに高めるために、閉断面状に形成したフレーム本体の曲げ変形して潰れる部分の内部に補強体を配置することが考えられるが、かかる場合、補強体によって重量の増加を招くこととなるので、重量の増加を抑制しつつエネルギ吸収量を如何に高めるかが問題となる。
【0008】
閉断面状に形成した車体フレームに荷重が入力されて車体フレームが曲げ変形して潰れる場合、荷重に対する反力が最大曲げ荷重を超えると急激に低下して、車体フレームの曲げ変形が急激に進行して潰れることが知られている。
【0009】
図11(a)に示すように、正方形閉断面状に形成した車体フレーム110に、該車体フレーム110の両端部の上方に圧子(不図示)を介して荷重Fを入力して曲げモーメントMを作用する場合、上面部110aでは圧縮応力が生じ、下面部110bでは引張応力が生じ、側面部110cでは上面部110a側に圧縮応力が生じると共に下面部110b側に引張応力が生じることとなる。
【0010】
そして、
図11(b)に示すように、圧子のストロークが大きくなるにつれて荷重Fに対する反力F’
1が大きくなり、荷重Fに対する反力F’
1が最大となる最大曲げ荷重F’
1maxを超えると急激に反力F’
1が低下することとなる。
【0011】
これに対し、本願発明者等は、種々の試験研究を重ねた結果、
図12(a)に示すように、上面部120a、下面部120b及び側面部120cを備えて縦長長方形閉断面状の車体フレーム120では、
図12(b)に示すように、荷重Fに対する反力F’
2が最大曲げ荷重F’
2maxを超えても急激に低下しないことを見出した。
【0012】
車体フレームが曲げ変形することにより吸収できるエネルギであるエネルギ吸収量は、荷重Fに対する反力と圧子のストロークとの積で表されることから、閉断面状に形成される閉断面部を縦長長方形にすることで、荷重Fに対する反力が急激に低下することを抑制してエネルギ吸収量を高めることができ、重量の増加を抑制しつつエネルギ吸収量を高めることができると考えられる。
【0013】
閉断面状に形成したフレーム本体の内部に配置された補強体についても、該補強体を閉断面状に形成すると共に縦長長方形に形成することで、重量の増加を抑制しつつエネルギ吸収量を高めることができると考えられるが、この場合、フレーム本体に入力された荷重を補強体に確実に伝達させることが求められる。
【0014】
そこで、本発明は、フレーム本体の内部に補強体が配設された車両用フレーム構造において、フレーム本体に入力された荷重を補強体に伝達することができ、重量の増加を抑制しつつエネルギ吸収量を高めることができる車両用フレーム構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0016】
まず、本願の請求項1に係る発明は、閉断面状に形成されたフレーム本体の内部に補強体が配設された車両用フレーム構造であって、前記補強体は、前記フレーム本体の長手方向に延びると共に前記フレーム本体の長手方向と直交する直交断面において閉断面状に形成され、且つ互いに離間して配置された複数の閉断面部と、隣り合う前記閉断面部を連結する連結部と、を有し、前記閉断面部がそれぞれ、互いに対向する一対の第1面部と一対の第2面部とを備え、該第2面部の前記直交断面における断面長さが該第1面部の前記直交断面における断面長さより長い断面略長方形状に形成されると共に、該第2面部が前記フレーム本体に荷重が入力される際に曲げの中立軸と略直交する方向に配置され、前記補強体における前記フレーム本体の長手方向一方側及び他方側に、前記フレーム本体の内部を区切るように前記フレーム本体に接合された第1節状部材及び第2節状部材がそれぞれ接合さ
れ、前記第1節状部材及び前記第2節状部材は、少なくとも前記曲げの中立軸より引張側において前記補強体に接合され、前記フレーム本体は、前記曲げの中立軸と略直交する方向に延びる上面部及び下面部と、前記曲げの中立軸と略平行に延びて前記曲げの中立軸より引張側及び圧縮側に配置される両側の側面部とを備え、前記第1節状部材及び前記第2節状部材はそれぞれ、前記フレーム本体の上面部、下面部、前記曲げの中立軸より引張側に配置される側面部にそれぞれ沿って延びる第1フランジ部、第2フランジ部及び第3フランジ部を備えて前記曲げの中立軸より引張側に位置する前記第1フランジ部及び前記第2フランジ部の部分と前記第3フランジ部とにおいて前記フレーム本体に接合されると共に、前記補強体における前記フレーム本体の長手方向一方側及び他方側の端部においてそれぞれ前記曲げの中立軸より圧縮側の端部を除く前記曲げの中立軸より圧縮側の部分が接合されることなく前記曲げの中立軸より引張側の部分の略全体において前記補強体に接合され、前記第1節状部材及び前記第2節状部材と前記補強体との接合強度は、前記補強体の最大曲げモーメントにおける最大引張荷重より大きいことを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項2に係る発明は、前記請求項1に係る発明において、前記フレーム本体は、該フレーム本体に荷重が入力される際に該フレーム本体の曲げ変形を促進する変形促進部を備え、前記補強体は、前記フレーム本体の前記変形促進部を含む所定領域の内部に配置されていることを特徴とする。
【0019】
また更に、本願の請求項
3に係る発明は、前記請求項1
又は請求項2に係る発明において、前記第1節状部材及び前記第2節状部材は、前記フレーム本体に入力された荷重を前記補強体に伝達するように前記フレーム本体及び前記補強体に接合さ
れ、前記第1節状部材及び前記第2節状部材はそれぞれ、前記曲げの中立軸より引張側に位置する前記第1フランジ部及び前記第2フランジ部の部分と前記第3フランジ部とにおいてのみ前記フレーム本体に接合されていることを特徴とする。
【0020】
また更に、本願の請求項
4に係る発明は、前記請求項1から請求項
3の何れか1項に係る発明において、前記フレーム本体は、第1車体構成部材及び第2車体構成部材から閉断面状に形成され、前記第1節状部材及び前記第2節状部材はそれぞれ、前記フレーム本体に荷重が入力される際に前記フレーム本体の引張側及び圧縮側にそれぞれ配置される引張側節状部材及び圧縮側節状部材から構成され、前記引張側節状部材及び前記圧縮側節状部材は、前記第1車体構成部材及び前記第2車体構成部材にそれぞれ接合され、前記引張側節状部材及び前記圧縮側節状部材のうち前記引張側節状部材のみが前記補強体に接合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
以上の構成により、本願各請求項の発明によれば、次の効果が得られる。
【0022】
まず、本願の請求項1に係る発明によれば、フレーム本体の内部に配設された補強体におけるフレーム本体の長手方向一方側及び他方側に、フレーム本体の内部を区切るようにフレーム本体に接合された第1節状部材及び第2節状部材がそれぞれ接合されている。これにより、フレーム本体に荷重が入力されてフレーム本体が曲げ変形する際に、フレーム本体に入力される荷重を第1節状部材及び第2節状部材を介して補強体に伝達することができる。
【0023】
また、補強体は、複数の閉断面部と連結部とを有し、閉断面部が、互いに対向する一対の第1面部と一対の第2面部とを備え、第2面部が第1面部より長い断面略長方形状に形成されると共に、第2面部が曲げの中立軸と略直交する方向に配置されている。これにより、第2面部が曲げの中立軸と略平行に配置された閉断面部や断面略正方形状に形成された閉断面部を用いる場合に比べて、重量の増加を抑制しつつエネルギ吸収量を高めることができる。さらに、複数の閉断面部が連結部によって連結されているので、断面略長方形状に形成された複数の閉断面部が倒れることを抑制することができ、前記効果を有効に得ることができる。
更に、第1節状部材及び第2節状部材は、少なくとも曲げの中立軸より引張側において補強体に接合され、補強体におけるフレーム本体の長手方向一方側及び他方側の端部においてそれぞれ曲げの中立軸より引張側の部分の略全体において補強体に接合され、第1節状部材及び第2節状部材と補強体との接合強度は、補強体の最大曲げモーメントにおける最大引張荷重より大きいことにより、フレーム本体に荷重が入力される際に曲げの中立軸より引張側で補強体と第1及び第2節状部材とが離れることを抑制することができるので、前記荷重を補強体に伝達することができ、前記効果を有効に奏することができる。
また、第1及び第2節状部材をそれぞれ、曲げの中立軸より引張側のみについて補強体に接合することで、曲げの中立軸より引張側及び圧縮側についてそれぞれ補強体に接合する場合に比べて、接合箇所を少なくすることができ、生産性を向上させることが可能である。
【0024】
また、本願の請求項2に係る発明によれば、フレーム本体は、荷重が入力される際に曲げ変形を促進する変形促進部を備え、補強体は、フレーム本体の変形促進部を含む所定領域の内部に配置されることにより、変形促進部を起点としてフレーム本体が曲げ変形するときに、フレーム本体に入力される荷重を第1節状部材及び第2節状部材を介して補強体に伝達することができ、前記効果を有効に奏することができる。
【0027】
また更に、本願の請求項
3に係る発明によれば、第1節状部材及び第2節状部材は、フレーム本体に入力された荷重を補強体に伝達するようにフレーム本体及び補強体に接合され、
第1節状部材及び前記第2節状部材はそれぞれ、曲げの中立軸より引張側に位置する第1フランジ部及び第2フランジ部の部分と第3フランジ部とにおいてのみフレーム本体に接合されることにより、フレーム本体に入力される荷重を補強体に確実に伝達してフレーム本体の曲げ変形に沿って補強体を曲げ変形させることができ、前記効果を有効に得ることができる。
【0028】
また更に、本願の請求項
4に係る発明によれば、フレーム本体は、第1車体構成部材及び第2車体構成部材から閉断面状に形成され、第1節状部材及び第2節状部材はそれぞれ、フレーム本体の引張側及び圧縮側にそれぞれ配置される引張側節状部材及び圧縮側節状部材から構成され、引張側節状部材及び圧縮側節状部材は、第1車体構成部材及び第2車体構成部材にそれぞれ接合され、引張側節状部材及び圧縮側節状部材のうち引張側節状部材のみが補強体に接合されている。
【0029】
これにより、第1車体構成部材に、補強体に接合された第1及び第2節状部材の引張側節状部材を接合し、第2車体構成部材に、第1及び第2節状部材の圧縮側節状部材を接合し、その後に第1及び第2車体構成部材を接合することによって製造することが可能であり、重量の増加を抑制しつつエネルギ吸収量を高めることができる車両用フレーム構造を比較的容易に製造することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、「上」、「下」、「右」、「左」及びそれらの用語を含む別の用語など特定の方向を意味する用語を使用するが、それらの使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0032】
本願発明者等は、重量の増加を抑制しつつエネルギ吸収量を高めることができる車両用フレーム構造の開発にあたり、先ず、正方形閉断面状及び縦長長方形閉断面状に形成した車体フレームに外部から荷重を入力して曲げ変形する場合について、CAE(Computer Aided Engineering)によるシミュレーション解析を行った。
【0033】
図11は、正方形閉断面状に形成した車体フレームの曲げ変形の解析シミュレーション結果を示す図であり、
図11(a)に示すように、上面部110a、下面部110b及び両側の側面部110cを備えた正方形閉断面状の車体フレーム110に、該車体フレーム110の両端部の上方に圧子(不図示)を介して荷重Fを入力して曲げモーメントMを作用させた場合についてシミュレーション解析を行った。
【0034】
車体フレーム110では、
図11(b)に定性的に示すように、圧子のストロークが大きくなるにつれて荷重Fに対する反力F’
1が大きくなり、荷重Fに対する反力F’
1が最大となる最大曲げ荷重F’
1maxを超えると反力F’
1が急激に低下した。
【0035】
図12は、縦長長方形閉断面状に形成した車体フレームの曲げ変形の解析シミュレーション結果を示す図である。
図12(a)に示すように、上面部120a、下面部120b及び両側の側面部120cを備えた縦長長方形閉断面状の車体フレーム120についても同様に解析した。車体フレーム120については、車体フレーム110の長手方向と直交する直交断面における上面部及び下面部の断面長さを四分の一にしたことを除いて車体フレーム110と同様にして行った。
【0036】
車体フレーム120についても、
図12(b)に定性的に示すように、圧子のストロークが大きくなるにつれて荷重Fに対する反力F’
2が大きくなるが、荷重Fに対する反力F’
2が最大曲げ荷重F’
2maxを超えても急激に低下することなく、最大曲げ荷重F’
2maxを超えても所定ストロークまで最大曲げ荷重F’
2maxに略等しい状態を維持した後に急激に低下した。なお、
図11(b)及び
図12(b)では、便宜上、車体フレーム110の最大曲げ荷重F’
1maxと車体フレーム120の最大曲げ荷重F’
2maxとが等しくなるようにして表示している。
【0037】
これらシミュレーション解析結果から、車体フレームにおいて、縦長長方形閉断面状に形成した閉断面部を用いることで、閉断面部を正方形状に形成する場合に比して、エネルギ吸収量を高めることができ、重量の増加を抑制しつつエネルギ吸収量を高めることができると考えられる。
【0038】
以下に、本発明の実施形態に係る車両用フレーム構造について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両用フレーム構造を適用したフロントサイドフレームを示す斜視図、
図2は、
図1に示すフロントサイドフレームの分解斜視図、
図3は、
図1におけるY3−Y3線に沿ったフロントサイドフレームの断面図、
図4は、
図1におけるY4−Y4線に沿ったフロントサイドフレームの断面図である。
【0039】
図1から
図4に示すように、本発明の第1実施形態に係る車両用フレーム構造を適用した車体フレームとしてのフロントサイドフレーム1は、車体前部において車体前後方向に延びるように配設され、閉断面状に形成されたフレーム本体10と、フレーム本体10の内部に配設された補強体20とを有している。
【0040】
フレーム本体10は、それぞれ鋼鈑などの金属製の板状素材を断面ハット状にプレス加工して得られる車外側の第1車体構成部材としてのフロントサイドフレームアウタパネル(以下、「アウタパネル」という)11と車内側の第2車体構成部材としてのフロントサイドフレームインナパネル(以下、「インナパネル」という)12とから構成されている。
【0041】
アウタパネル11は、略水平方向に延びる上面部11aと、上面部11aの下方に位置して略水平方向に延びる下面部11bと、略垂直方向に延びる側面部11cとを備え、側面部11cが車外側に膨出するように形成されている。アウタパネル11はまた、上面部11aから上方へ延びる上フランジ部11dと、下面部11bから下方へ延びる下フランジ部11eとを備えて断面略ハット状に形成されている。
【0042】
一方、インナパネル12は、略水平方向に延びる上面部12aと、上面部12aの下方に位置して略水平方向に延びる下面部12bと、略垂直方向に延びる側面部12cとを備え、側面部12cが車内側に膨出するように形成されている。インナパネル12はまた、上面部12aから上方へ延びる上フランジ部12dと、下面部12bから下方へ延びる下フランジ部12eとを備えて断面略ハット状に形成されている。
【0043】
アウタパネル11の上フランジ部11dとインナパネル12の上フランジ部12dとが接合されると共に、アウタパネル11の下フランジ部11eとインナパネル12の下フランジ部12eとが接合される。これにより、フレーム本体10は、アウタパネル11及びインナパネル12によって矩形閉断面状に形成されている。
【0044】
インナパネル12の側面部12cには、フレーム本体10と直交する直交断面に略平行に上下方向に延びると共にフレーム本体10の内方側に断面円弧状に窪むように形成されたビード部12fが設けられている。フレーム本体10に前方側から所定値以上の荷重が入力される際は、フレーム本体10は、ビード部12fを起点として曲げ変形し、ビード部12は、フレーム本体10に荷重が入力される際にフレーム本体10の曲げ変形を促進する変形促進部として機能する。
【0045】
補強体20は、フレーム本体10の長手方向におけるビード部12fを含む所定領域の内部に配置されている。補強体20は、それぞれ鋼鈑などの金属製の板状素材をプレス加工して得られる第1板状部材21と第2板状部材22とから構成されている。
【0046】
第1板状部材21は、
図3に示すように、略垂直方向に延びる基部21aと、基部21aから車外側に断面略矩形状に突出する複数の凸部21b、本実施形態では4つの凸部21bとを備え、複数の凸部21bは、上下方向に離間して配置されている。凸部21bはそれぞれ、アウタパネル11の側面部11cに沿って略垂直方向に延びる頂面部21cと、略水平方向に延びる両側の側面部21dとを備えている。
【0047】
一方、第2板状部材22は、
図3に示すように、略垂直方向に延びる基部22aと、基部22aから車内側に断面略矩形状に突出する複数の凸部22b、本実施形態では4つの凸部22bとを備え、複数の凸部22bは、上下方向に離間して配置されている。凸部22bはそれぞれ、インナパネル12の側面部12cに沿って略垂直方向に延びる頂面部22cと、略水平方向に延びる両側の側面部22dとを備えている。第1板状部材21と第2板状部材22とは、基部21a、22aに対して凸部21b、22bの突出方向が反対方向であることを除き略同様に形成されている。
【0048】
第1板状部材21と第2板状部材22とは、基部21aと基部22aとが接合されることにより接合される。これにより、補強体20は、第1板状部材21の凸部21bと第2板状部材22の凸部22bとによってフレーム本体10の長手方向と直交する直交断面において閉断面状に形成される複数の閉断面部25、本実施形態では4つの閉断面部25と、第1板状部材21の基部21aと第2板状部材22の基部22bとによって隣り合う閉断面部25を連結する連結部26とを有する。
【0049】
複数の閉断面部25は、フレーム本体10の長手方向に延びるように設けられ、互いに離間して上下方向に配置されている。閉断面部25はそれぞれ、対向する一対の略垂直方向に延びる第1面部25aと、対向する一対の略水平方向に延びる第2面部25bとを備えて断面略長方形状に形成されている。
【0050】
第1面部25aは、第1板状部材21の凸部21bの頂面部21cと第2板状部材22の凸部22bの頂面部22cとから構成され、第2面部25bは、第1板状部材21の凸部21bの側面部21dと第2板状部材22の凸部22bの側面部22dとから構成されている。
【0051】
本実施形態では、第1板状部材21の凸部21bと第2板状部材22の凸部22bとはそれぞれ、側面部21d、22dの断面長さが頂面部21c、22cの断面長さの2倍に設定され、第2面部25bの断面長さは、第1面部25aの断面長さの4倍に設定されている。
【0052】
第2面部25bの断面長さは、好ましくは第1面部25aの断面長さの2倍以上に設定される。第2面部25bの断面長さが第1面部25aの断面長さの2倍未満に設定される場合には、第1面部25aの断面長さの2倍以上に設定される場合に比して、閉断面部25に入力される荷重に対する反力が最大曲げ荷重を超えると低下しやすくなり、エネルギ吸収量の向上効果が低くなると考えられるからである。
【0053】
連結部26は、隣り合う閉断面部25の隣り合う第2面部25bどうしを連結している。本実施形態では、連結部26は、フレーム本体10の直交断面における隣り合う第2面部25の中央どうしを連結している。
【0054】
前述したように、フレーム本体10の車内側にはビード部12fが設けられており、フレーム本体10は、フレーム本体10に荷重が入力されて曲げ変形される際には、フレーム本体10の車内側で圧縮応力が生じ、フレーム本体10の車外側で引張応力が生じ、フレーム本体10の車幅方向における略中央に曲げの中立軸L1が生じることとなる。
【0055】
補強体20の閉断面部25は、フレーム本体10の曲げの中立軸L1と略直交する方向に第2面部25bが配置され、フレーム本体10の曲げの中立軸L1と略平行に第1面部25aが配置されるように設けられる。
【0056】
また、補強体20は、第1、第2板状部材21、22の基部21a、22aの上方端部によって形成される上方に延びる上フランジ部27と、第1、第2板状部材21、22の基部21a、22aの下方端部によって形成される下方に延びる下フランジ部28とを有している。
【0057】
補強体20の上フランジ部27は、アウタパネル11の上フランジ部11dとインナパネル12の上フランジ部12dとの間に挟まれて接合され、補強体20の下フランジ部28は、アウタパネル11の下フランジ部11eとインナパネル12の下フランジ部12eとの間に挟まれて接合される。
【0058】
補強体20にはまた、フレーム本体10の長手方向一方側及び他方側である前方側及び後方側に、フレーム本体10の内部をフレーム本体10の長手方向である車体前後方向に区切るように節状に設けられた第1節状部材30及び第2節状部材40がそれぞれ接合されている。
【0059】
第1節状部材30は、
図2に示すように、フレーム本体10の内部を車体前後方向に区切るように設けられた隔壁部30aと、フレーム本体10の上方側、下方側、車外側及び車内側に沿うように隔壁部30aの上辺部、下辺部、車外側の側辺部及び車内側の側辺部にそれぞれ設けられた前方側へ延びる第1、第2、第3及び第4フランジ部30b、30c、30d、30eとを有している。
【0060】
第1節状部材30は、隔壁部30aが補強体20の前方端部と接合されて補強体20と接合され、第1フランジ部30bがアウタパネル11及びインナパネル12の上面部11a及び12aと接合され、第2フランジ部30cがアウタパネル11及びインナパネル12の下面部11b及び12bと接合され、第3フランジ部30dがアウタパネル11の側面部11cと接合され、第4フランジ部30eがインナパネル12の側面部12cと接合されてフレーム本体10に接合される。
【0061】
一方、第2節状部材40は、
図2及び後述する
図6に示すように、フレーム本体10の内部を車体前後方向に区切るように設けられた隔壁部40aと、フレーム本体10の上方側、下方側、車外側及び車内側に沿うように隔壁部40aの上辺部、下辺部、車外側の側辺部及び車内側の側辺部にそれぞれ設けられた後方側へ延びる第1、第2、第3及び第4フランジ部40b、40c、40d、40eとを有している。
【0062】
第2節状部材40は、隔壁部40aが補強体20の後方端部と接合されて補強体20と接合され、第1フランジ部40bがアウタパネル11及びインナパネル12の上面部11a及び12aと接合され、第2フランジ部40cがアウタパネル11及びインナパネル12の下面部11b及び12bと接合され、第3フランジ部40dがアウタパネル11の側面部11cと接合され、第4フランジ部40eがインナパネル12の側面部12cと接合されてフレーム本体10に接合される。
【0063】
このようにして構成されるフロントサイドフレーム1を製造する際には、先ず、第1板状部材21と第2板状部材22とを溶接接合して補強体20を形成する。そして、補強体20に第1節状部材30及び第2節状部材40を溶接接合し、補強体20に接合された第1節状部材30及び第2節状部材40をアウタパネル11に溶接接合し、その後に、アウタパネル11をインナパネル12と溶接接合すると共に第1節状部材30及び第2節状部材40をインナパネル12に溶接接合し、フロントサイドフレーム1を製造する。
【0064】
補強体20に第1節状部材30を接合する際には、補強体20の前方側の端部全体が第1節状部材30と接合されているが、補強体20の前方側の端部は、少なくともフレーム本体10に荷重が入力される際にフレーム本体10の曲げの中立軸L1より引張側において第1節状部材30と接合され、例えば、曲げの中立軸L1より引張側のみにおいて第1節状部材30と接合するようにしてもよい。
【0065】
図5は、第1実施形態に係るフロントサイドフレームにおける第1節状部材と補強体及びフレーム本体との接合位置を説明するための説明図である。補強体20に第1節状部材30を接合する際に、
図5の黒色部で示した部分A1、A2、すなわち補強体20の前方側の端部におけるフレーム本体10に荷重が入力される際にフレーム本体10の曲げの中立軸L1より引張側の部分及び圧縮側の端部のみを第1節状部材30と接合するようにしてもよい。
【0066】
第2節状部材40についても同様に、補強体20に第2節状部材40を接合する際には、補強体20の後方側の端部全体が第2節状部材40と接合されているが、補強体20の後方側の端部は、少なくともフレーム本体10に荷重が入力される際にフレーム本体10の曲げの中立軸L1より引張側において第2節状部材40と接合され、例えば、曲げの中立軸L1より引張側のみにおいて第2節状部材40と接合するようにしてもよく、あるいは曲げの中立軸L1より引張側の部分及び圧縮側の端部のみを第2節状部材40と接合するようにしてもよい。
【0067】
また、第1節状部材30をアウタパネル11及びインナパネル12に接合する際には、アウタパネル11に沿って配置される第1、第2及び第3フランジ部30b、30c、30dがアウタパネル11に接合され、インナパネル12に沿って配置される第1、第2、第4フランジ部30b、30c、30eがインナパネル12に接合されているが、第1節状部材30は、少なくとも曲げの中立軸L1より引張側においてフレーム本体10に接合され、例えばアウタパネル11のみと接合するようにしてもよい。
【0068】
第1節状部材30をフレーム本体10に接合する際に、
図5の斜線ハッチングを施した部分B1、B2、B3、すなわちフレーム本体10に荷重が入力される際にフレーム本体10の曲げ中立軸L1より引張側に位置する第1フランジ部30b及び第2フランジ部30cの部分並びに第3フランジ部30dのみをフレーム本体10、具体的にはアウタパネル11に接合するようにしてもよい。
【0069】
第2節状部材40についても同様に、第2節状部材40をアウタパネル11及びインナパネル12に接合する際には、アウタパネル11に沿って配置される第1、第2及び第3フランジ部40b、40c、40dがアウタパネル11に接合され、インナパネル12に沿って配置される第1、第2、第4フランジ部40b、40c、40eがインナパネル12に接合されているが、第2節状部材40は、少なくとも曲げの中立軸L1より引張側においてフレーム本体10に接合され、例えばアウタパネル11のみと接合するようにしてもよい。
【0070】
ここで、フレーム本体10に荷重が入力されて曲げ変形される場合について説明する。
図6は、フロントサイドフレームの曲げ変形を説明するための説明図である。フロントサイドフレーム1に荷重が入力されて曲げ変形される場合、ビード部12fを起点として曲げ変形され、
図6に示すように、フロントサイドフレーム1は車外側に膨出するように曲げ変形される。
【0071】
フレーム本体10の車内側で圧縮応力が生じ、フレーム本体10の車外側で引張応力が生じ、フレーム本体10の車幅方向における略中央に曲げの中立軸L1が生じることとなる。フレーム本体10に荷重が入力されるとき、本実施形態では、第1節状部材30及び第2節状部材40は、フレーム本体10に入力された荷重を補強体20に伝達するようにフレーム本体10及び補強体20に溶接接合されている。
【0072】
第1節状部材30及び第2節状部材40は、フレーム本体10に荷重が入力されるときに、
I)第1、第2節状部材30、40が座屈変形しないこと、具体的には第1、第2節状部材30、40と補強体20との接合面の最大曲げモーメント強度が補強体20の最大曲げモーメント強度より大きいこと、
II)第1、第2節状部材30、40と補強体20との接合がはずれないこと、具体的には第1、第2節状部材30、40と補強体20との引張方向における接合強度が補強体20の最大曲げモーメントにおける最大引張荷重より大きいこと、
III)第1、第2節状部材30、40とフレーム本体10との接合がはずれないこと、具体的には第1、第2節状部材30、40とフレーム本体10のせん断方向における接合強度が補強体20の最大曲げモーメントにおける最大引張荷重より大きいこと、
IV)第1、第2節状部材30、40が接合されるフレーム本体10の接合部近傍が座屈変形しないこと、具体的には第1、第2節状部材30、40の最大曲げモーメント強度が補強体20の最大曲げモーメント強度より大きく且つフレーム本体10の最大曲げモーメント強度が補強体20の最大曲げモーメント強度より大きいこと、
を満足するように構成されている。
【0073】
なお、本実施形態では、連結部26は、フレーム本体10の直交断面における隣り合う第2面部25の中央どうしを連結しているが、これに限定されるものでなく、フレーム本体10に荷重が入力される際にフレーム本体10の圧縮側において隣り合う第2面部25を連結するようにしてもよい。
【0074】
このように、本実施形態に係る車体フレーム1では、フレーム本体10の内部に配設された補強体20におけるフレーム本体10の長手方向一方側及び他方側に、フレーム本体10の内部を区切るようにフレーム本体10に接合された第1節状部材30及び第2節状部材40がそれぞれ接合されている。これにより、フレーム本体10に荷重が入力されてフレーム本体10が曲げ変形する際に、フレーム本体10に入力される荷重を第1節状部材30及び第2節状部材40を介して補強体20に伝達することができる。
【0075】
また、補強体20は、複数の閉断面部25と連結部26とを有し、閉断面部25が、互いに対向する一対の第1面部25aと一対の第2面部25bとを備え、第2面部25bが第1面部25aより長い断面略長方形状に形成されると共に、第2面部25bが曲げの中立軸L1と略直交する方向に配置されている。これにより、第2面部が曲げの中立軸と略平行に配置された閉断面部や断面略正方形状に形成された閉断面部を用いる場合に比べて、重量の増加を抑制しつつエネルギ吸収量を高めることができる。さらに、複数の閉断面部が連結部によって連結されているので、断面略長方形状に形成された複数の閉断面部が倒れることを抑制することができる。
【0076】
また、フレーム本体10は、荷重が入力される際に曲げ変形を促進する変形促進部12fを備え、補強体20は、フレーム本体10の変形促進部12fを含む所定領域の内部に配置されることにより、変形促進部12fを起点としてフレーム本体10が曲げ変形するときに、フレーム本体10に入力される荷重を第1節状部材30及び第2節状部材40を介して補強体20に伝達することができる。
【0077】
更に、第1節状部材30及び第2節状部材40は、少なくとも曲げの中立軸L1より引張側において補強体20に接合されることにより、フレーム本体10に荷重が入力される際に曲げの中立軸L1より引張側で補強体20と第1及び第2節状部材30、40とが離れることを抑制することができるので、前記荷重を補強体に伝達することができる。
【0078】
また、第1及び第2節状部材30、40をそれぞれ、曲げの中立軸L1より引張側のみについて補強体20に接合することで、曲げの中立軸L1より引張側及び圧縮側についてそれぞれ補強体20に接合する場合に比べて、接合箇所を少なくすることができ、生産性を向上させることが可能である。
【0079】
また更に、第1節状部材30及び第2節状部材40は、フレーム本体10に入力された荷重を補強体20に伝達するようにフレーム本体10及び補強体20に接合されていることにより、フレーム本体10に入力される荷重を補強体20に確実に伝達してフレーム本体10の曲げ変形に沿って補強体20を曲げ変形させることができる。
【0080】
なお、本実施形態では、補強体20をアウタパネル11の側面部11cとインナパネル12の側面部12cとに直接接合していないが、車体フレーム1の生産性や適用部位等を考慮して、適宜、補強体20をアウタパネル11の側面部11cやインナパネル12の側面部12cに直接接合するようにしてもよい。かかる場合には、車体フレーム1によるエネルギ吸収量をさらに高めることができる。
【0081】
図7は本発明の第2実施形態に係る車両用フレーム構造を適用したフロントサイドフレームを示す斜視図であり、
図8は、
図7に示すフロントサイドフレームの分解斜視図である。第2実施形態に係るフロントサイドフレーム51は、第1実施形態に係るフロントサイドフレーム1と、第1及び第2節状部材がそれぞれフレーム本体10の圧縮側及び引張側に分割して構成されること以外は同様であるので、同様の構成については同一符号を付して説明を省略する。なお、第1実施形態では、車体右側のフロントサイドフレームを用いて示しているが、第2実施形態では、車体左側のフロントサイドフレームを用いて示している。
【0082】
フロントサイドフレーム51においても、アウタパネル11及びインナパネル12によってフレーム本体10が閉断面状に形成され、フレーム本体10の内部に補強体20が配設され、補強体20は、第1板状部材21と第2板状部材22とによって構成され、閉断面状に形成される複数の閉断面部25と、隣り合う閉断面部25を連結する連結する連結部26とを有している。
【0083】
補強体20には、フレーム本体10の前方側及び後方側に、フレーム本体10の内部を区切るように節状に設けられた第1節状部材60及び第2節状部材70がそれぞれ接合されるが、フロントサイドフレーム51では、第1節状部材60及び第2節状部材70がそれぞれフレーム本体10の圧縮側及び引張側に分割して構成されている。
【0084】
第1節状部材60は、
図7及び
図8に示すように、フレーム本体10に荷重が入力される際にフレーム本体10の引張側及び圧縮側となる車外側及び車内側にそれぞれ配置される引張側節状部材61及び圧縮側節状部材62から構成されている。
【0085】
引張側節状部材61は、
図8に示すように、フレーム本体10、具体的にはアウタパネル11の内部を車体前後方向に区切るように設けられた隔壁部61aと、フレーム本体10の上方側、下方側及び車外側に沿うように隔壁部61aの上辺部、下辺部及び車外側の側辺部にそれぞれ設けられた前方側へ延びる第1、第2及び第3フランジ部61b、61c、61dとを有している。
【0086】
引張側節状部材61は、隔壁部61aが補強体20の前方端部と接合されて補強体20と接合され、第1フランジ部61bがアウタパネル11の上面部11aと接合され、第2フランジ部61cがアウタパネル11の下面部11bと接合され、第3フランジ部61dがアウタパネル11の側面部11cと接合されてアウタパネル11に接合される。
【0087】
一方、圧縮側節状部材62は、フレーム本体10、具体的にはインナパネル12の内部を車体前後方向に区切るように設けられた隔壁部62aと、フレーム本体10の上方側、下方側及び車内側に沿うように隔壁部62aの上辺部、下辺部及び車内側の側辺部にそれぞれ設けられた前方側へ延びる第1、第2及び第3フランジ部62b、62c、62dとを有している。
【0088】
圧縮側節状部材62は、隔壁部62aが補強体20に接合されることなく、第1フランジ部62bがインナパネル12の上面部12aと接合され、第2フランジ部62cがインナパネル12の下面部12bと接合され、第3フランジ部62dがインナパネル12の側面部12cと接合されてインナパネル12に接合される。
【0089】
第2節状部材70についても、第1節状部材60と同様に、フレーム本体10に荷重が入力される際にフレーム本体10の引張側及び圧縮側となる車外側及び車内側にそれぞれ配置される引張側節状部材71及び圧縮側節状部材72から構成されている。
【0090】
引張側節状部材71は、
図8及び後述する
図9に示すように、フレーム本体10、具体的にはアウタパネル11の内部を車体前後方向に区切るように設けられた隔壁部71aと、フレーム本体10の上方側、下方側及び車外側に沿うように隔壁部71aの上辺部、下辺部及び車外側の側辺部にそれぞれ設けられた後方側へ延びる第1、第2及び第3フランジ部71b、71c、71dとを有している。
【0091】
引張側節状部材71は、隔壁部71aが補強体20の後方端部と接合されて補強体20と接合され、第1フランジ部71bがアウタパネル11の上面部11aと接合され、第2フランジ部71cがアウタパネル11の下面部11bと接合され、第3フランジ部71dがアウタパネル11の側面部11cと接合されてアウタパネル11に接合される。
【0092】
一方、圧縮側節状部材72は、フレーム本体10、具体的にはインナパネル12の内部を車体前後方向に区切るように設けられた隔壁部72aと、フレーム本体10の上方側、下方側及び車内側に沿うように隔壁部72aの上辺部、下辺部及び車内側の側辺部にそれぞれ設けられた後方側へ延びる第1、第2及び第3フランジ部72b、72c、72dとを有している。
【0093】
圧縮側節状部材72は、隔壁部72aが補強体20に接合されることなく、第1フランジ部72bがインナパネル12の上面部12aと接合され、第2フランジ部72cがインナパネル12の下面部12bと接合され、第3フランジ部72dがインナパネル12の側面部12cと接合されてインナパネル12に接合される。
【0094】
第2実施形態に係るフロントサイドフレーム51では、補強体20に第1節状部材60及び第2節状部材70を接合する際には、補強体20の前方端部が第1節状部材60の引張側節状部材61と接合され、補強体20の後方端部が第2節状部材70の引張側節状部材71と接合され、フレーム本体10に荷重が入力される際にフレーム本体10の曲げの中立軸L1より引張側においてのみ接合される。
【0095】
図9は、第2実施形態に係るフロントサイドフレームの製造方法を説明するための説明図である。第2実施形態に係るフロントサイドフレーム51を製造する場合においても、先ず、第1板状部材21と第2板状部材22とを溶接接合して補強体20を形成する。そして、補強体20に引張側節状部材61と引張側節状部材71とを溶接接合する。
【0096】
次に、
図9に示すように、補強体20に接合された引張側節状部材61及び71をアウタパネル11に接合すると共に、圧縮側節状部材62と圧縮側節状部材72とをインナパネル12に溶接接合し、その後に、アウタパネル11をインナパネル12と溶接接合し、フロントサイドフレーム51を製造する。
【0097】
フロントサイドフレーム51についても、フレーム本体10に荷重が入力されるとき、第1節状部材60及び第2節状部材70は、フレーム本体10に入力された荷重を補強体20に伝達するようにフレーム本体10及び補強体20に接合されている。
【0098】
このように、本実施形態に係る車体フレーム51においても、フレーム本体10の内部に配設された補強体20におけるフレーム本体10の長手方向一方側及び他方側に、フレーム本体10の内部を区切るようにフレーム本体10に接合された第1節状部材60及び第2節状部材70がそれぞれ接合されている。これにより、フレーム本体10に荷重が入力されてフレーム本体10が曲げ変形する際に、フレーム本体10に入力される荷重を第1節状部材60及び第2節状部材70を介して補強体20に伝達することができる。
【0099】
また、補強体20は、複数の閉断面部25と連結部26とを有し、閉断面部25が、互いに対向する一対の第1面部25aと一対の第2面部25bとを備え、第2面部25bが第1面部25aより長い断面略長方形状に形成されると共に、第2面部25bが曲げの中立軸L1と略直交する方向に配置されている。これにより、第2面部が曲げの中立軸と略平行に配置された閉断面部や断面略正方形状に形成された閉断面部を用いる場合に比べて、重量の増加を抑制しつつエネルギ吸収量を高めることができる。
【0100】
また、フレーム本体10は、アウタパネル11及びインナパネル12から閉断面状に形成され、第1及び第2節状部材60、70はそれぞれ、フレーム本体10の引張側及び圧縮側にそれぞれ配置される引張側節状部材61、71及び圧縮側節状部材62、72から構成され、引張側節状部材61、71及び圧縮側節状部材62、72は、アウタパネル11及びインナパネル12にそれぞれ接合され、引張側節状部材61、71のみが補強体20に接合されている。
【0101】
これにより、アウタパネル11に、補強体20に接合された第1及び第2節状部材60、70の引張側節状部材61、71を接合し、インナパネル12に、第1及び第2節状部材60、70の圧縮側節状部材62、72を接合し、その後にアウタパネル11及びインナパネル12を接合することによって製造することが可能であり、重量の増加を抑制しつつエネルギ吸収量を高めることができる車体フレームを比較的容易に製造することが可能である。
【0102】
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。