(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
薬剤が入れられた薬剤収容ポケット部を有する薬剤シートから薬剤を取り出す薬剤取出部と、上記薬剤取出部によって取り出された薬剤が通過する経路に設けられており、上記薬剤と上記薬剤シートから生じた箔片とを分離させる手段と、を備えた薬剤取出装置によって、処方される薬剤の薬剤シートから必要個数の薬剤が取り出され、上記薬剤が上記経路を通過して分包され、
処方される薬剤シートの薬剤が上記薬剤取出装置による除包に適さない場合、当該薬剤シートの薬剤が手撒用の薬剤供給装置にセットすることを促すメッセージを表示することを特徴とする薬剤分包装置。
薬剤が入れられた薬剤収容ポケット部を有する薬剤シートから薬剤を取り出す薬剤取出部と、上記薬剤取出部によって取り出された薬剤が通過する経路に設けられており、上記薬剤と上記薬剤シートから生じた箔片とを分離させる手段と、を備えた薬剤取出装置によって、処方される薬剤の薬剤シートから必要個数の薬剤が取り出され、上記薬剤が上記経路を通過して分包され、
複数設けられた薬剤取出装置のなかで使用可能な薬剤取出装置に薬剤シートをセットすることを促すことを特徴とする薬剤分包装置。
薬剤が入れられた薬剤収容ポケット部を有する薬剤シートから薬剤を取り出す薬剤取出部と、上記薬剤取出部によって取り出された薬剤が通過する経路に設けられており、上記薬剤と上記薬剤シートから生じた箔片とを分離させる手段と、を備えた薬剤取出装置によって、処方される薬剤の薬剤シートから必要個数の薬剤が取り出され、上記薬剤が上記経路を通過して分包され、
薬剤シートの寸法情報に基づいて、上記薬剤取出装置の収容スペースの自動幅調節を行うことを特徴とする薬剤分包装置。
薬剤が入れられた薬剤収容ポケット部を有する処方される薬剤シートから必要個数の薬剤を取り出す薬剤取出工程と、上記薬剤取出工程によって取り出された薬剤が通過する経路上で上記薬剤と上記薬剤シートから生じた箔片とを分離させる工程と、上記経路を通過した薬剤を分包する工程と、を含み、処方される薬剤シートの薬剤が上記薬剤取出装置による除包に適さない場合、当該薬剤シートの薬剤が手撒用の薬剤供給装置にセットすることを促すメッセージを表示することを特徴とする薬剤分包方法。
薬剤が入れられた薬剤収容ポケット部を有する処方される薬剤シートから必要個数の薬剤を取り出す薬剤取出工程と、上記薬剤取出工程によって取り出された薬剤が通過する経路上で上記薬剤と上記薬剤シートから生じた箔片とを分離させる工程と、上記経路を通過した薬剤を分包する工程と、を含み、複数設けられた薬剤取出装置のなかで使用可能な薬剤取出装置に薬剤シートをセットすることを促すことを特徴とする薬剤分包方法。
薬剤が入れられた薬剤収容ポケット部を有する処方される薬剤シートから必要個数の薬剤を取り出す薬剤取出工程と、上記薬剤取出工程によって取り出された薬剤が通過する経路上で上記薬剤と上記薬剤シートから生じた箔片とを分離させる工程と、上記経路を通過した薬剤を分包する工程と、を含み、薬剤シートの寸法情報に基づいて、上記薬剤取出装置の収容スペースの自動幅調節を行うことを特徴とする薬剤分包方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、処方箋に基づいて上記PTPシートから処方通りの個数の薬剤を取り出して分包を行う場合には、PTPシートの一方向に並ぶ複数のポケット部のうちの1つのポケット部の薬剤だけを取り出すことが必要になることがある。
【0007】
しかしながら、上記いずれの従来装置も、上記PTPシートの搬送方向に交差して並ぶ複数のポケット部に対して一斉的に薬剤を取り出すものであり、上記交差して並ぶ複数のポケット部のうちの1つのポケット部の薬剤だけを取り出すといったことはできない。
【0008】
この発明は、上記の事情に鑑み、上記薬剤シートの搬送方向に交差する方向に並ぶ複数のポケット部のうちの1つまたは複数のポケット部の薬剤を取り出すことができる薬剤取出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明の薬剤取出装置は、薬剤シートを搬送するシート搬送路と、上記薬剤シートの搬送方向に交差して形成された薬剤落下用開口部と、上記薬剤落下用開口部上を移動する押し出し部材によって除包対象とする薬剤収容ポケット部を押圧するポケット押圧部と、上記押し出し部材によって上記薬剤収容ポケット部を押圧する際に上記薬剤シートを固定するシート固定部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
上記構成であれば、上記薬剤シートの搬送方向に交差して形成された薬剤落下用開口部上を移動する上記押し出し部材によって除包対象とする薬剤収容ポケット部を押圧するので、上記薬剤シートの搬送方向に交差する方向に並ぶ複数の薬剤収容ポケット部のうちの1つまたは複数の薬剤収容ポケット部の薬剤を取り出すことができる。また、上記押し出し部材によって上記薬剤収容ポケット部を押圧する際に上記薬剤シートを固定するので、上記薬剤落下用開口部上で上記薬剤シートをピンと張った状態にしておいて上記薬剤収容ポケット部に対する押出力を確実に生じさせることができる。
【0011】
上記押し出し部材の先端部に押圧ローラーが設けられていてもよい。また、この押圧ローラーの半径が対象とする上記薬剤シートにおける隣り合う薬剤収容ポケット部の間隔以内に設定されているのがよい。これによれば、上記押圧ローラーが薬剤収容ポケット部から薬剤を取り出すときに、隣接する薬剤収容ポケット部に上記押圧ローラーが接触するのを防止することができる。したがって、例えば短辺方向に並ぶ複数のポケット部のうちの一部だけが除包され未除包のポケット部が存在することとなるとしても、この未除包のポケット部においてシート破れなどが生じるのを防止することができる。
【0012】
上記押し出し部材を昇降させる昇降部を有する構成とした場合には、薬剤収容ポケット部から薬剤を容易に取り出すことができる。
【0013】
上記シート固定部は、シート押圧部材を備えており、このシート押圧部材は、上記薬剤落下用開口部を跨ぐように間隔をあけて配置された円板状部材を転動自在に有しており、上記円板状部材を上記押し出し部材とともに移動させながら上記薬剤シートを押さえてもよい。
【0014】
或いは、上記シート固定部は、シート押圧部材を備えており、このシート押圧部材は、上記薬剤落下用開口部を跨ぐように間隔をあけて配置された板部材を昇降可能に有しており、上記板部材を降下させて上記薬剤シートを押さえてもよい。また、この構成において、上記板部材の下縁に鋸歯状部が形成されていると、上記薬剤シートの固定をしっかりと行うことができる。
【0015】
上記薬剤落下用開口部の縁には、上記薬剤シートの搬送方向に交差する方向に延びる凹溝部が形成されており、上記シート押圧部材の下端は上記薬剤シートを固定する際に上記凹溝部の上面より下に位置するようにしてもよい。
【0016】
また、上記薬剤落下用開口部の縁には、上記薬剤シートの搬送方向に交差する方向に延びる摩擦部が形成されており、上記シート押圧部材は上記薬剤シートを固定する際に上記薬剤シートを上記摩擦部に押し当てるようになっていてもよい。
【0017】
また、上記シート搬送路の搬送幅を調節する搬送幅調節部を有していてもよい。また、上記薬剤落下用開口部における開口幅を調節する開口幅調節部を備えていてもよい。また、上記シート押圧部材の位置を調節する調節部を備えていてもよい。
【0018】
また、上記押し出し部材の動作により除包されて上記薬剤落下用開口部から落下した薬剤が通過する薬剤通路には、上記除包に際して生じた箔片を除去する除去部が設けられていてもよい。
【0019】
また、この発明の薬剤取出装置は、先端部に押圧ローラーを備えた押し出し部材と薬剤シートの除包対象とする薬剤収容ポケット部との相対移動を生じさせ、上記押圧ローラーを回転させながら上記薬剤収容ポケット部を押圧することを特徴とする。かかる構成において、上記押圧ローラーの半径は、対象とする上記薬剤シートにおける隣り合う薬剤収容ポケット部の間隔以内に設定されているのがよい。
【0020】
上記ポケット押圧部よりも手前側の位置に除包済み薬剤シートの回収部が設けられていてもよい。上記薬剤シートが収容される収容スペースの下方に上記回収部が設けられていてもよい。
【0021】
また、この発明の薬剤取出装置は、薬剤シートの薬剤収容ポケット部を押圧するポケット押圧部によって上記薬剤収容ポケット部から薬剤を取り出す薬剤取出部を複数備えた薬剤取出装置であって、上記薬剤取出部ごとに除包済み薬剤シートの回収部が設けられていることを特徴とする。上記ポケット押圧部よりも手前側の位置に除包済み薬剤シートの回収部が設けられていてもよい。また、上記薬剤シートが収容される収容スペースの下方に上記回収部が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
この発明であれば、薬剤シートの例えば短辺方向に並ぶ複数のポケット部のうちの1つまたは複数のポケット部の薬剤を取り出すことができるなどの諸効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】この発明の一実施形態に係る薬剤取出装置を一部の部材を取り外して示した斜視図である。
【
図4】同図(A)は
図1の薬剤取出装置の斜視図であり、同図(B)は同図(A)の部分拡大図である。
【
図5】
図1の薬剤取出装置による除包処理を示した斜視図である。
【
図6】
図1の薬剤取出装置による除包処理を示した斜視図である。
【
図7】
図1の薬剤取出装置による除包処理を示した斜視図である。
【
図8】
図1の薬剤取出装置による除包処理を示した斜視図である。
【
図9】
図1の薬剤取出装置による除包処理を示した斜視図である。
【
図10】同図(A)および(B)は
図1の薬剤取出装置による除包処理を示した斜視図である。
【
図11】同図(A)および(B)は
図1の薬剤取出装置による除包処理を示した斜視図である。
【
図12】同図(A)および(B)は
図1の薬剤取出装置による除包処理を示した斜視図である。
【
図13】同図(A)および(B)は
図1の薬剤取出装置の押圧ローラー径とポケット部形状との関係を示した説明図である。
【
図14】
図1の薬剤取出装置の押圧ローラー径とポケット部間隔との関係を示した説明図である。
【
図15】この発明の他の実施形態に係る薬剤取出装置を一部の部材を取り外して示した斜視図である。
【
図17】
図15の薬剤取出装置による除包処理を示した斜視図である。
【
図18】
図15の薬剤取出装置による除包処理を示した斜視図である。
【
図19】
図15の薬剤取出装置による除包処理を示した斜視図である。
【
図20】同図(A)および(B)は
図15の薬剤取出装置による除包処理を示した斜視図である。
【
図21】同図(A)および(B)は
図15の薬剤取出装置による除包処理を示した斜視図である。
【
図22】同図(A)および(B)は
図15の薬剤取出装置による除包処理を示した斜視図である。
【
図23】同図(A)および(B)は
図15の薬剤取出装置による除包処理を示した斜視図である。
【
図24】この発明の実施形態に係る薬剤取出装置に設けられる箔除去部の一例を示した斜視図である。
【
図25】この発明の実施形態に係る薬剤取出装置に設けられる箔除去部の他の例を示した斜視図である。
【
図26】この発明の実施形態に係る薬剤取出装置およびこれに設けられるシート供給装置と除包済みPTPシート回収部の一例を示した斜視図である。
【
図27】
図26のシート供給装置および除包済みPTPシート回収部の動作を示した斜視図である。
【
図28】
図26のシート供給装置および除包済みPTPシート回収部の動作を示した斜視図である。
【
図29】
図26のシート供給装置および除包済みPTPシート回収部の動作を示した斜視図である。
【
図30】
図26のシート供給装置および除包済みPTPシート回収部の動作を示した斜視図である。
【
図31】
図26のシート供給装置および除包済みPTPシート回収部の動作を示した斜視図である。
【
図32】
図26のシート供給装置および除包済みPTPシート回収部の動作を示した斜視図である。
【
図33】
図26の除包済みPTPシート回収部を示した斜視図である。
【
図34】
図26の除包済みPTPシート回収部を示した斜視図である。
【
図35】この発明の実施形態の複数の薬剤取出部を備える薬剤取出装置としての薬剤分包装置を示した概略の説明図である。
【
図36】
図35の薬剤分包装置の制御系の概略を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示したように、この実施形態の薬剤取出装置1は、薬剤シートであるPTPシート100を搬送するシート搬送路2と、上記PTPシート100の搬送方向に直交して形成された薬剤落下用開口部26と、上記PTPシート100の薬剤収容ポケット部100aを押し出し部材31によって押圧するポケット押圧部3と、上記押し出し部材31を昇降動作させる昇降部4と、上記PTPシート100を除包に際して固定するシート固定部5と、上記薬剤収容ポケット部100aから取り出された薬剤が通過する薬剤通路6と、上記シート搬送路2の搬送幅を調節する搬送幅調節部7と、上記薬剤落下用開口部26の幅(上記シート固定部5における押さえ幅でもある)を調節する開口幅調節部8と、を備えている。
【0025】
上記シート搬送路2は、上記PTPシート100を例えばその長辺方向に搬送する。また、上記シート搬送路2は、除包対象とする薬剤収容ポケット部100aが上記薬剤落下用開口部26上に到達したときに上記PTPシート100を停止させることもできる。除包対象とする薬剤収容ポケット部100aが上記薬剤落下用開口部26上に到達したか否かは、例えば、撮像カメラからの上記PTPシート100の撮像画像を解析する処理、或いは光センサーの出力等によって判定することができる。未除包である薬剤収容ポケット部100aは凸形状をなす一方、除包済みの薬剤収容ポケット部100aは押しつぶされて略平坦になるので、このような形状の相違を検出することによって未除包か否かを判定でき、上記薬剤落下用開口部26の位置において未除包の薬剤収容ポケット部100aが検出されたときに上記PTPシート100の搬送を停止することができる。
【0026】
また、
図2にも示しているように、上記シート搬送路2における複数の搬送ローラー21がそのローラー面の一部を搬送面の上方に露呈させた状態で設けられている。各搬送ローラー21の両端部の上方には、当該搬送ローラー21のローラー面に対面するように対向ローラー22が設けられている。各対向ローラー22は、板バネ22aによって上記搬送ローラー21の側に付勢されている。上記PTPシート100は、その長辺側のシート縁が上記対向ローラー22と上記搬送ローラー21の間を通るようにセットされ、このようにセットされた上記PTPシート100は上記搬送ローラー21の回転動作によって搬送される。各搬送ローラー21の回転軸には、従動プーリー21aが固定されている。また、搬送モーター23には駆動プーリー23aが固定されており、この駆動プーリー23aおよび上記従動プーリー21aに駆動ベルト23bが掛け渡されている。最も下流側で従動プーリー21aに固定されている搬送ローラー21の上側には、上記PTPシート100の幅全体に渡る長さを有する対向ローラー25が設けられている。
【0027】
上記搬送幅調節部7は、上記PTPシート100の短辺方向に移動可能に設けられた一対のガイド部材71を備えている。上記ガイド部材71によって上記PTPシート100の短辺方向の搬送ずれ規制がなされるとともに当該ガイド部材71の搬送路側の張り出し部分によって上記PTPシート100の縁部の上がりが防止される。各ガイド部材71に上記対向ローラー22および板バネ22aが支持されている。各ガイド部材71の裏面部にはナット部72aおよびガイド穴72bが形成されたブロック部72が設けられており、このブロック部72は上記搬送面に形成された開口を通って当該搬送面の下方側に位置している。そして、上記ナット部72aには送り螺子73が螺合されており、上記ガイド穴72bにはガイドシャフト74が嵌合されている。上記送り螺子73には、上記ブロック部72を互いに逆方向に送る2つの螺子部が形成されており、当該送り螺子73が回転すると上記ガイド部材71が互いに近接または離間して上記対向ローラー22の配置間隔を調節する。また、モーター75の回転軸には歯車75aが固定されており、この歯車75aは上記送り螺子73の一端側に設けられた歯車75bに歯合している。上記モーター75を回転させることにより、対象とするPTPシート100の長辺側の縁に上記対向ローラー22を位置させることができる。
【0028】
上記ポケット押圧部3における上記押し出し部材31の下端には押圧ローラー31aが回転自在に設けられている。また、上記ポケット押圧部3における図示しないベースブロックには2本のガイドシャフト32が貫通しており、上記ベースブロックはガイドシャフト32によって上記薬剤落下用開口部26上、すなわち上記PTPシート100の短辺方向に案内される。また、上記ベースブロックに固定されているナット部33は、送り螺子34に螺合されており、この送り螺子34の回転によって上記ベースブロック(上記押し出し部材31、上記昇降部4、上記シート固定部5)が上記PTPシート100の短辺方向に移動する。
【0029】
図3にも示しているように、上記送り螺子34の一端側には従動プーリー34aが固定されている。また、駆動プーリー35aが駆動モーター35の回転軸に固定されている。上記従動プーリー34aと駆動プーリー35aにベルト34bが掛け渡されており、このベルト34bが駆動されることで上記送り螺子34が回転する。上記ベースブロックにおける上記短辺方向移動の開始位置および終了位置は例えば光センサー36を用いて検出する。
【0030】
上記開口幅調節部8は、ガイド間隔設定モーター8aを備える。このガイド間隔設定モーター8aによって、伝達機構部81の歯車81a,81b、第1送り螺子81cおよびプーリー81dが回転する。上記プーリー81dの回転はベルト81eによって、
図2および
図4(A)に示しているプーリー81fに伝達され、このプーリー81fが回転すると、第2送り螺子81gが回転する。また、上記薬剤落下用開口部26を形成する2個の幅調節ブロック82が互いに離間して配置されている。上記第1送り螺子81cおよび上記第2送り螺子81gの各々には、上記幅調節ブロック82を互いに逆方向に送るための2つの螺子部が形成されている。上記第1送り螺子81cおよび上記第2送り螺子81gが回転すると、上記幅調節ブロック82が互いに近接または離間し、上記シート固定部5がPTPシート100を押さえる際の押さえ幅および上記薬剤落下用開口部26の開口幅が調節される。
【0031】
上記昇降部4は、
図1に示したように、上記押し出し部材31を上下方向に可動に支持するように上記ベースブロックに固定された支持部41と、上記押し出し部材31の上端部に設けられたラック部42と、このラック部42に歯合するように設けられたピニオン部43と、このピニオン部43を回転させるモーター44とを備える。上記モーター44を正逆回転させることで、上記押し出し部材31を上記薬剤落下用開口部26上で昇降動作させることができる。上記押し出し部材31を最も下に位置させたときには、上記押圧ローラー31aの下端は、上記薬剤落下用開口部26よりも下側(上記PTPシート100のシート面よりも下側)に位置するようにしておくのが望ましい。
【0032】
上記シート固定部5は、上記押し出し部材31によって上記薬剤収容ポケット部100aが押圧される際に上記PTPシート100を固定する。上記シート固定部5は、上記薬剤落下用開口部26を跨ぐように離間配置された2枚の円板状部材(シート押圧部材)51を備えており、これら円板状部材51が上記押し出し部材31とともに移動しながら上記PTPシート100のシート面を押さえつける。各円板状部材51を回転自在に支持する支持軸52aは、
図4(A)にも示しているように、支持部材52に固定されている。上記支持部材52は、上記ベースブロックに固定されており、上記送り螺子34の回転によって上記ベースブロックとともに上記PTPシート100の短辺方向に移動する。なお、各円板状部材51の外周部に摩擦部材(ゴムなど)が設けられていてもよい。
【0033】
上記円板状部材51は、上記支持軸52aに回転自在に支持され且つ当該支持軸52aの軸方向(水平方向)に移動可能に設けられている。上記円板状部材51は、その円周部の上部側が上記幅調節ブロック82における上側ガイド凹溝に収容され、その円周部の下端側が、
図4(B)にも示しているように、上記幅調節ブロック82における下側ガイド凹溝82a上に位置し、このような状態を保ちながら回転移動する。上記下側ガイド凹溝82aは、上記薬剤落下用開口部26の縁側となる位置に形成されたものであり、その底面は上記薬剤落下用開口部26に向けて下り傾斜している。上記円板状部材51の外周面は上記傾斜に沿って傾斜しており、上記幅調節ブロック82が幅調節のために移動すると、上記円板状部材51は上記支持軸52aに沿って移動する。
【0034】
次に、
図5乃至
図13を用いて薬剤取り出しの動作を説明していく。
【0035】
図5に示しているように、上記PTPシート100をその長辺方向が搬送方向に一致するように上記シート搬送路2にセットする。このセットは使用者が手動で行うようにしてもよいし、図示しないカセットに装填されているPTPシート100を払出装置によって払い出して上記シート搬送路2まで搬送させることもできる。また、上記シート固定部5がPTPシート100のシート面を押さえる際の押さえ幅および上記薬剤落下用開口部26の幅が調節される。この調節は、使用者が上記ガイド間隔設定モーター8aをオンまたはオフさせるスイッチを操作することで行ってもよい。或いは、薬剤取出装置1がPTPシート100の薬剤収容ポケット部100aの例えば短辺側の幅情報を上記払出装置または薬剤データベースから取得し、上記幅情報に基づいて上記ガイド間隔設定モーター8aに与えるパルス数や駆動時間を決定するようにしてもよい。
【0036】
図6に示しているように、上記搬送幅調節部7を動作させ、上記シート搬送路2の搬送面の両サイドに設けられているガイド部材71を互いに近接または離間させて搬送幅を調節する。上記ガイド部材71の動作は、使用者が上記モーター75をオンまたはオフさせるスイッチを操作することで行ってもよい。或いは、上記薬剤取出装置1がPTPシート100の短辺方向の幅情報を上記払出装置または薬剤データベースから取得し、上記幅情報に基づいて上記モーター75に与えるパルス数や駆動時間を決定するようにしてもよい。
【0037】
図7に示しているように、上記PTPシート100は、上記シート搬送路2の搬送面上を移動し、上記薬剤落下用開口部26の位置で停止する。この移動と停止は、使用者が上記搬送モーター23をオンまたはオフさせるスイッチを操作することにより行ってもよいし、前述したように、撮像カメラからの画像を解析等することにより、未除包の薬剤収容ポケット部100aが上記薬剤落下用開口部26上に到達したときに上記PTPシート100を自動停止させるようにしてもよい。また、例えば、上記払出装置の側で払い出したPTPシート100の長さ情報および除包済み個数情報等を薬剤データベースから取得して薬剤取出装置1に与え、この薬剤取出装置1が上記情報に基づいて、除包対象となる未除包の薬剤収容ポケット部100aが上記薬剤落下用開口部26上に位置するように上記搬送モーター23に与えるパルス数や駆動時間を決定するようにしてもよい。
【0038】
図8および
図9は上記PTPシート100の搬送方向下流側から薬剤取出装置1を見た図であり、
図9では、上記対向ローラー25を省略して示している。また、
図10、
図11および
図12では、上記搬送方向下流側から薬剤取出装置1を見た拡大図を示している。
【0039】
図10(A)および
図10(B)に示したように、除包対象となる薬剤収容ポケット部100aが薬剤落下用開口部26に到達すると、上記ベースブロックが移動し、上記シート固定部5の円板状部材51は、上記PTPシート100のシート面を押さえる動作を開始する。このように、上記PTPシート100のシート面が上記円板状部材51によって押圧されるので、上記薬剤落下用開口部26上で上記PTPシート100をピンと張った状態を形成し、上記押し出し部材31による薬剤に対する押圧力を確実に生じさせて当該薬剤を取り出すことが可能になる。さらに、上記PTPシート100のシート面は上記円板状部材51の周面下端と上記下側ガイド凹溝82aとによって挟まれるので、上記PTPシート100の固定がしっかりと行われることになる。
【0040】
図11(A)および
図11(B)に示したように、上記押圧ローラー31aが降下し、薬剤収容ポケット部100aを押圧する。上記押圧ローラー31aが最も降下する位置は、例えば薬剤収容ポケット部100aの中央或いは中央よりも進行方向に進んだ位置などとされるが、PTPシート100の種類ごとの上記中央位置は上記PTPシート100の縁から上記中央位置までの寸法情報を薬剤データベースから取得することで判断するようにしてもよい。また、薬剤取出装置1は、上記押圧ローラー31aがPTPシート100の縁からどれだけ移動したかを、例えば上記駆動モーター35に与えた駆動パルス数や駆動時間に基づいて判断することも可能である。上記押圧ローラー31aの降下動作により、薬剤収容ポケット部100a内の薬剤によってシート箔が破れて薬剤が取り出され、この取り出された薬剤は上記薬剤落下用開口部26から落下する。なお、上記PTPシート100の縁の位置は、例えば、上記モーター75に与えるパルス数や駆動時間から判断することができ、また、上記ガイド部材71の位置を光センサー等により検知することでも判断できる。
【0041】
図12(A)および
図12(B)に示したように、除包対象となる薬剤収容ポケット部100aが複数であれば、上記ベースブロックがさらに移動し、上記押圧ローラー31aは2つ目の薬剤収容ポケット部100aを押圧する。そして、上記ベースブロックが終端位置に到達したことが光センサー36によって検出されると、上記ベースブロックは開始位置に戻される。なお、除包対象となる薬剤収容ポケット部100aが1個であったならば、この1個に対する押圧の後、上記ベースブロックは開始位置に戻される。また、このような戻しの動作において、上記押圧ローラー31aの降下状態を保持するようにしておけば、薬剤が完全に薬剤収容ポケット部100aから出ていなかった場合であっても、上記戻りの動作によって薬剤を確実に落下させることができる。
【0042】
ここで、上記押圧ローラー31aを上記昇降部4によって昇降させることなく単に上記薬剤落下用開口部26上を横移動させる構成とした場合、例えば、
図13(A)に示しているように、薬剤収容ポケット部100aの上記押圧ローラー31aに押される面が傾斜状の面であるならば、その高さが上記押圧ローラー31aの半径xを多少超えていたとしても、上記押圧ローラー31aによって薬剤収容ポケット部100aを押しつぶすことが可能である。一方、
図13(B)に示しているように、薬剤収容ポケット部100aの上記押圧ローラー31aに押される面が略垂直に立つ面であるならば、その高さが上記押圧ローラー31aの半径xよりも低い範囲において、上記押圧ローラー31aが薬剤収容ポケット部100aを良好に押しつぶすことができる。
【0043】
この実施形態では、上記昇降部4を備えているため、
図14に示しているように、薬剤収容ポケット部100aの上記押圧ローラー31aに押される面が略垂直に立つ面でその高さが上記押圧ローラー31aの半径を超えているとしても、薬剤収容ポケット部100aから薬剤を確実に取り出すことができる。特に、上記押し出し部材31の水平移動と上記昇降部4による上記押し出し部材31の降下移動とを同時進行で行うことにより、上記押圧ローラー31aは薬剤収容ポケット部100aをその上角付近の位置から斜め下方に押圧するようになる。このような斜め押圧は人が薬剤収容ポケット部100aを押して薬剤を取り出すときの動作に近似しており、薬剤収容ポケット部100aを封止しているアルミ箔の切れ端発生を抑制しうる。また、上記押圧ローラー31aを斜めに移動させる場合に、斜め降下時の角度よりも、その後の斜め上昇時の角度の方を急峻にするようにしてもよい。このような制御は、モーター44による上記押し出し部材31の降下速度よりも上昇速度を速くすることにより行える。
【0044】
薬剤収容ポケット部100aに対する押圧は、上記のような斜め押圧に限定されるものではなく、上記押し出し部材31の水平移動を一端停止して上記昇降部4によって上記押し出し部材31を垂直降下させるようにしてもよい。また、このような垂直降下を行う場合には、上記押圧ローラー31aは必ずしも必要ではなく、上記押し出し部材31の先端を直接に薬剤収容ポケット部100aに当てるようにしてもよい。また、上記押し出し部材31の先端部にゴムなどの弾性材を設けておいてもよい。
【0045】
図13(B)および
図14に示したように、処理対象とするPTPシート100に対して、上記押圧ローラー31aの半径xを、隣り合う薬剤収容ポケット部100a,100aの縁面の間隔y以下にしておくと、1つの薬剤収容ポケット部100aから確実に薬剤を取り出すように上記押圧ローラー31aを薬剤収容ポケット部100aの縁まで移動させたとしても、隣の薬剤収容ポケット部100aに上記押圧ローラー31aが接触するのを防止できる。したがって、例えば短辺方向に並ぶ複数の薬剤収容ポケット部100aのうちの一部だけが除包され未除包の薬剤収容ポケット部100aが存在することとなるとしても、この未除包の薬剤収容ポケット部100aにおいてシート破れなどが生じるのを防止することができる。
【0046】
図15および
図16に他の実施形態の薬剤取出装置1を示す。この薬剤取出装置1は、PTPシート100を搬送するシート搬送路2と、上記PTPシート100の搬送方向に直交して形成された薬剤落下用開口部26と、上記PTPシート100の薬剤収容ポケット部100aから薬剤を取り出すポケット押圧部3と、上記ポケット押圧部3の押し出し部材31を昇降動作させる昇降部4と、上記PTPシート100を除包に際して固定するシート固定部9と、上記薬剤収容ポケット部100aから取り出された薬剤が通過する薬剤通路6と、上記シート搬送路2の搬送幅を調節する搬送幅調節部7と、上記薬剤落下用開口部26の幅(上記シート固定部5における押さえ幅でもある)を調節する開口幅調節部8と、を備えている。なお、先の実施形態における薬剤取出装置1と同様の構成部分には同一の符号を付記している。また、
図15ではベースブロック30を図示しているが、このベースブロック30は先の実施形態で述べているベースブロックに相当する。
【0047】
上記シート固定部9は、上記薬剤落下用開口部26を跨ぐように離間配置された2枚の板部材(シート押圧部材)91を備えている。各板部材91の横幅は、上記シート搬送路2の搬送幅程度とされる。各板部材91の右端部および左端部は、それぞれ支持部92に固定されている。各支持部92はコイルバネ93によって上方向に付勢されている。この実施形態における開口幅調節部8の幅調節ブロック82は、上側ガイド凹溝は備えておらす、上記コイルバネ93が外嵌される縦シャフト部を有しており、この縦シャフト部によって各支持部92が上下方向に案内される。
【0048】
各支持部92には横軸92aが設けられており、この横軸92aはリンク部94の一端側に形成された長穴に係合している。そして、上記リンク部94の他端側には回動軸95の一端が固定されており、この回動軸95の他端にはリンク部96の一端が固定されている。モーター97の回転軸には偏心軸97aが設けられており、この偏心軸97aは上記リンク部96の他端に形成された長穴に係合している。
【0049】
上記モーター97によって上記偏心軸97aが半回転されると、上記リンク部96、上記回動軸95および上記リンク部94が往となる回動動作を行い、上記コイルバネ93の付勢に抗して上記支持部92を降下させる。上記支持部92の降下によって、上記板部材91が上記PTPシート100を上から押さえつける。そして、上記モーター97により上記偏心軸97aがさらに半回転すると、上記リンク部96、上記回動軸95および上記リンク部94が復となる回動動作を行い、上記板部材91を上昇させ、PTPシート100に対する押さえつけを解除する。
【0050】
上記板部材91の下縁は鋸歯状に形成されており、PTPシート100に対して多数の点圧接箇所を形成することで除包時のPTPシート100に対するずれ防止力を高めている。
【0051】
次に、
図17乃至
図19を用いてPTPシート100の搬送および固定の動作を説明していく。
【0052】
図17に示したように、上記PTPシート100はその長辺方向が搬送方向となるように上記シート搬送路2にセットされる。
【0053】
図18に示したように、上記搬送幅調節部7が動作し、上記シート搬送路2の搬送面の両サイドに設けられているガイド部材71を互いに近接または離間させて搬送幅を調節する。
【0054】
図19に示したように、上記PTPシート100は、上記シート搬送路2の搬送面上を移動し、除包対象となる薬剤収容ポケット部100aを上記薬剤落下用開口部26上に位置させて停止する。
【0055】
図20、
図21、
図22および
図23では、搬送方向下流側から薬剤取出装置1を見た拡大図を示している。なお、
図20(A)以外では上記板部材91の向こう側に位置する上記押圧ローラー31a等が見えるように透視状に描いている。
【0056】
図20(A)および
図20(B)に示したように、除包対象となる薬剤収容ポケット部100aが薬剤落下用開口部26上に到達すると、上記シート固定部9の板部材91は上記モーター97の駆動によって降下し、上記PTPシート100のシート面を押さえる。ここで、上記板部材91の下辺は上記幅調節ブロック82における下側の凹溝(先の実施形態の下側ガイド凹溝に相当する)に入り、上記PTPシート100のシート面は上記板部材91の下縁と上記凹溝とで挟まれることになり、上記PTPシート100に対する押さえがしっかりと行われることになる。また、上記板部材91の下縁は鋸歯状に形成されているので、PTPシート100の固定力が高められる。
【0057】
図21(A)および
図21(B)に示したように、上記板部材91によって上記PTPシート100がピンと張られた状態で、上記押圧ローラー31aが除包対象となる薬剤収容ポケット部100aを押圧する。この押圧により、薬剤収容ポケット部100a内の薬剤が上記薬剤落下用開口部26から落下し、薬剤通路6を通って図示しない薬剤収容部に導かれる。
【0058】
図22(A)および
図22(B)に示したように、除包対象となる薬剤収容ポケット部100aが複数であれば、上記ベースブロック30がさらに移動し、上記押圧ローラー31aは2つ目の薬剤収容ポケット部100aを押圧する。
【0059】
図23(A)および
図23(B)に示したように、上記押圧ローラー31aは2つ目の薬剤収容ポケット部100aを押圧する。そして、上記ベースブロック30が終端位置に到達したことが光センサー36によって検出されると、上記ベースブロック30は開始位置に戻される。また、上記板部材91は上記モーター97の駆動によって上昇し、PTPシート100に対する押圧状態を解除する。
【0060】
なお、上記モーター97を用いずに上記板部材91の昇降動作させるようにしてもよい。例えば、上下方向に進退動作する電磁ソレノイドを用いて、上記板部材91を昇降動作させてもよい。或いは、上下方向に可動に支持された支持部材に上記板部材91を固定するとともに、水平方向に進退動作する電磁ソレノイドの動作をテーパ部材の上下動作に変換し、このテーパ部材の上下動作によって上記支持部材を上下動作させるようにしてもよい。
【0061】
また、各実施形態の薬剤取出装置1において、上記開口幅調節部8の幅調節ブロック82における下側ガイド凹溝82aの底部に摩擦部としてゴム板を配置するようにしてもよいし、また下側ガイド凹溝82aを形成しないでゴム板を配置するようにしてもよい。また、上記薬剤落下用開口部26よりもシート搬送方向の下流側に上記搬送幅調節部7と同様の構造を有する搬送幅調節部を設けておいてもよい。また、上記昇降部4をラック部42とピニオン部43とにより構成したが、カム機構によって上記押し出し部材31を上下方向に移動させるようにしてもよい。また、PTPシート100については、薬剤収容ポケット部100aが3列以上存在していてもよい。
【0062】
図24は上記薬剤通路6に設けられる箔除去部11を示した斜視図である。この箔除去部11は、除包により上記薬剤収容ポケット部100aから取り出された薬剤Aを通過させて薬剤収容部に導く一方、除包に際して万が一発生したアルミ等の箔片Bを除去するためのものである。具体的には、上記箔除去部11は、薬剤Aを通過させる下り傾斜通路を形成するように対向配置された下側の送風ファン部11aと上側の吸引ファン部11bとからなる。上記送風ファン部11aおよび上記吸引ファン部11bの各々の対向面には、微小孔が多数形成されており、上記送風ファン部11aから上記吸引ファン部11bに向かう気流が発生する。上記取り出された薬剤Aは上記吸引ファン部11bの側に吸引されることなく通過するが、箔片Bは上記吸引ファン部11bの面の側に吸着される。薬剤Aを取り出した後、上記送風ファン部11aおよび上記吸引ファン部11bの両動作を停止させるか、或いは、上記送風ファン部11aの動作を停止させる一方、上記吸引ファン部11bの動作を一時的に送風に切り替えると、箔片Bを箔除去部11から吐き出させることができる。
【0063】
図25は箔除去部12を示した斜視図である。薬剤Aを通過させる下り傾斜通路部12aの裏側には、磁石を回転させる回転体12bが設けられている。上記回転体12bが回転することで生じる移動磁界を上記アルミシートの箔片Bが受けると、この箔片Bに渦電流が生じて上記回転体12bの遠心方向の斥力が生じ(アラゴの円盤原理:Arago's Disk)、上記箔片Bが薬剤Aの通過方向と交差する方向に飛ばされる。これにより、上記箔片Bを除去することができる。
【0064】
なお、上記箔除去部11、12において、下り傾斜通路を形成するような配置形態に限らず、垂直通路を形成するようにしてもよい。
【0065】
また、上記薬剤取出装置1において取り出された必要個数の薬剤は上記薬剤落下用開口部26から落下し、薬剤通路6および上記箔除去部11(12)を通って薬剤収容部に導かれるが、この薬剤収容部は図示しない分包機に接続されており、上記薬剤収容部のシャッタを開けると上記薬剤が上記分包機に供給されることになる。
【0066】
次に、
図26乃至
図32を用いて上記薬剤取出装置1へのPTPシート100の供給形態および全ての薬剤が取り出された除包済みPTPシートの処理形態の一例を説明していく。
【0067】
図26に示しているように、シート供給装置110には上記PTPシート100を重ね積みできる収容スペース111が設けられている。上記PTPシート100はその薬剤収容ポケット部100aが上向きになるように上記収容スペース111にセットされる。
【0068】
そして、
図27および
図28に示しているように、上記収容スペース111の手前側には扉112が設けられており、この扉112を開けて上記収容スペース111内にPTPシート100を積み重ねることができる。上記収容スペース111の奥側は上記薬剤取出装置1のシート搬送路2に通じている。上記収容スペース111は、上記搬送幅調節部7と同様の幅調節部およびローラーによる搬送機構を備える。
【0069】
また、上記収容スペース111の幅調節も、上記搬送幅調節部7の自動幅調節と同様に、上記薬剤取出装置1がPTPシート100の幅情報を薬剤データベースから取得し、上記幅情報に基づいて上記収容スペース111の幅調節を行う間隔設定モーターに与えるパルス数や駆動時間を決定するようにしてもよい。
【0070】
図29に示しているように、上記ローラー搬送機構によって上記収容スペース111内に積み重ねられた複数枚のPTPシート100のうち最下位置のPTPシート100が上記薬剤取出装置1のシート搬送路2に搬送される。
【0071】
ここで、例えば、11錠の薬剤が必要とされ、1枚のPTPシート100が10錠入りのものである場合、使用者は少なくとも2枚のPTPシート100を上記収容スペース111にセットする。なお、シート供給装置110のコントローラに処方箋データ(必要錠剤数、PTPシートの錠剤数等)を与えて、上記コントローラがPTPシートの必要枚数を算出して表示部に表示するようにしてもよい。また、また、使用するPTPシート100において幾つかが除包済みである場合に、その情報をタッチパネル等で入力できるようにしておいてもよい。
【0072】
図30に示しているように、全ての薬剤収容ポケット部100aから薬剤が取り出された除包済みPTPシート100Aは、上記対向ローラー25と搬送ローラー21によって送られて折り返し路115に到達する。この到達は図示しないセンサーにより検知できる。薬剤取出装置1は、上記到達を検知したら、上記搬送ローラー21の動作を停止させるとともに電磁ソレノイド113を動作させる。
【0073】
図31に示しているように、電磁ソレノイド113が動作すると、シート搬送路2に設けられている経路切替爪部材114の先端側が起こされ、上記折り返し路115からシート搬送路2の側へと戻される除包済みPTPシート100Aを、シート搬送路2の下側へ案内することができる。
【0074】
図32に示しているように、シート搬送路2の下側へ通された除包済みPTPシート100Aは回収箱116へと回収される。この回収箱116は、上記ポケット押圧部3よりも手前側に位置する。また、上記回収箱116は、上記薬剤取出装置1の前面側に設けられて手前側に引き出せるようになっている。
【0075】
図33に示しているように、シート搬送路2の下側には、ローラー118を備える戻し路117が設けられており、この戻し路117は除包済みPTPシート100Aにおける上記回収のための搬送を行う。
【0076】
図34に示しているように、経路切替爪部材114の基端には回動軸113bが固定されている。この回動軸113bは図示しない軸受けによって回動自在に支持されており、この回動軸113bの動作によって上記経路切替爪部材114が動作し、経路の切り替えが行われる。また、上記回動軸113bの端部にはリンク部材113aが固定されており、このリンク部材113aは電磁ソレノイド113によって動作される。
【0077】
なお、PTPシート100において未除包の薬剤が存在する場合には、上記シート搬送路2の搬送ローラー21を逆回転させて上記PTPシート100を上記収容スペース111へ戻すようにしてもよい。
【0078】
また、上記の例では、上記PTPシート100を固定し、上記押圧ローラー31aを支持する上記押し出し部材31を移動させたが、これに限らず、上記押圧ローラー31aを固定し、上記PTPシート100を移動させてもよい。すなわち、薬剤取出装置1は、先端部に押圧ローラー31aを備えた押し出し部材31と上記PTPシート100の除包対象とする薬剤収容ポケット部との相対移動を生じさせ、上記押圧ローラー31aを回転させながら上記薬剤収容ポケット部を押圧するように構成されていてもよい。かかる構成においても前述したように、上記押圧ローラー31aの半径は、対象とする上記PTPシート100における隣り合う薬剤収容ポケット部の間隔以内に設定されているのがよい。
【0079】
図35は上記薬剤取出装置1が複数設けられた薬剤分包装置200を示している。この薬剤分包装置200は薬剤取出部(薬剤取出装置1)を複数備えた薬剤取出装置に相当する。上記薬剤分包装置200において複数設けられる薬剤取出部は上記薬剤取出装置1の構造に限定されない。上記薬剤取出装置1から取り出された薬剤は上記薬剤分包装置200のホッパー群201、202に供給される。また、上記薬剤分包装置200には、印字包装ユニット203が設けられている。この印字包装ユニット203には、薬剤分包紙ロール204及びインクリボンカセット205が着脱可能に装着される。そして、上記印字包装ユニット203は、上記薬剤分包紙ロール204から供給される薬剤分包紙Sに印字を行い、この薬剤分包紙Sを用いて上記ホッパー群201、202から供給される薬剤を1包分ずつ包装する。
【0080】
上記薬剤分包装置200は、この実施形態では、手撒き薬剤供給装置(DTA:Detachable Tablet Adapter)206を備える。この手撒き薬剤供給装置206の枡目状収容部には、自動的に供給できない特殊薬剤等が使用者によって手撒きでセットされる。上記枡目状収容部の底は、薬剤分包処理において自動的に開放され、セットされた薬剤は順次に落下して上記ホッパー群201、202に供給される。
【0081】
また、上記薬剤分包装置200の各薬剤取出装置1の配置に対応した箇所には指示ランプ211および電子ペーパー212が設けられている。上記指示ランプ211は上記薬剤取出装置1の扉112の上方側に設けられており、上記電子ペーパー212は上記扉112の下方側に設けられている。そして、上記電子ペーパー212の下方に上記回収箱116が設けられている。もちろん、このような配置関係に限られるものではない。なお、各薬剤取出装置1自体に指示ランプ211および電子ペーパー212が設けられていてもよい。また、各扉112には装置番号が表記されている。さらに、上記薬剤分包装置200にはタッチパネル付きのディスプレイ213が設けられている。
【0082】
図36は、上記薬剤取出装置1が複数設けられた薬剤分包装置200の制御系の一例を示した概略のブロック図である。この制御系では上記薬剤分包装置200のコントローラ220によって各薬剤取出装置1が制御される。この制御には、上記PTPシート100の除包処理、上記収容スペース111の自動幅調節制御、除包済みPTPシート100Aにおける回収制御等がある。
【0083】
また、上記コントローラ220は、ネットワーク処理部230およびLAN(Local Area Network)231を介して病院内ホストコンピュータ300との間で情報の送受信を行う。上記病院内ホストコンピュータ300は、患者処方箋データ出力部301から処方すべき患者の薬剤情報(薬剤名、全体個数、服用個数、服用時間等の情報)を取得して、上記薬剤取出装置1に分包処理を指示する。
【0084】
また、例えば、上記病院内ホストコンピュータ300は、患者に処方する薬剤の情報とデータベース(薬品マスタデータ)302内の情報とを照合して、処方されるPTPシートやそのポケットの寸法情報を上記コントローラ220に送信する。なお、上記PTPシートやそのポケットの寸法情報は、上記患者処方箋データ出力部301によって出力される処方箋データ自体に存在していてもよい。さらに、上記病院内ホストコンピュータ300は、処方されるPTPシートの薬剤が除包に適するか否かの情報も上記データベース302から取得して上記コントローラ220に送信する。なお、処方されるPTPシートの薬剤が除包に適するか否かの情報は、上記患者処方箋データ出力部301によって出力される処方箋データ自体に存在していてもよい。
【0085】
上記コントローラ220は、受信した患者情報に基づく患者名などを上記ディスプレイ213に表示する。また、上記コントローラ220は、処方されるPTPシートの薬剤が除包に適さない場合、当該PTPシートの薬剤が上記手撒き薬剤供給装置206にセットされる必要があることを使用者に促すメッセージを上記ディスプレイ213に表示する。
【0086】
一方、上記コントローラ220は、処方されるPTPシートの薬剤が除包に適する場合、上記複数の薬剤取出装置1のなかで使用可能な薬剤取出装置1を選択し、この選択した薬剤取出装置1に上記PTPシートを使用者がセットするように、当該薬剤取出装置1の配置に対応付けて設けられている指示ランプ211を点滅させる。また、上記コントローラ220は、選択した薬剤取出装置1の装置番号をディスプレイ213に表示する。また、上記コントローラ220は、当該薬剤取出装置1に対応付けて設けられている電子ペーパー212に、上記PTPシートの薬剤名や枚数等を表示する処理も行う。なお、使用可能な薬剤取出装置1か否かは、上記収容スペース111内にPTPシートが存在しているか否かを検知するセンサーの出力、または上記コントローラ220が上記薬剤取出装置1の使用状態を管理する使用管理テーブルによって判断することができる。上記使用状態は使用者の手入力で行うこともできる。
【0087】
また、上記コントローラ220は、処方されるPTPシートやそのポケット部の寸法情報に基づいて、上記選択した薬剤取出装置1の上記収容スペース111の自動幅調節等も行うことができる。上記収容スペース111の自動幅調節が行われる場合は、セットしようとするPTPシートの幅よりも上記収容スペース111の幅が広すぎる或いは狭すぎるといったことが生じるので、使用者はセットする薬剤の誤りに気付き易くなる。
【0088】
また、上記薬剤分包装置200においても、上記回収箱116は上記ポケット押圧部3よりも手前側に位置する。また、上記回収箱116は、薬剤分包装置200の前面側に設けられて手前に引き出せるようになっている。ここで、仮に、除包済みPTPシート100Aを上記薬剤取出装置1の奥側から上記薬剤分包装置200内のゴミ箱に落下させるとしたのでは、上記ゴミ箱又はゴミ箱に落下した除包済みPTPシート100Aの取り出しが難しくなるという欠点が生じる。また、この構成では、ポケット押圧部3にて除包された薬剤が落下するホッパーが、除包済みPTPシート100Aの落下経路よりも手前側に位置するため、上記薬剤分包装置200の手前から上記ゴミ箱又はゴミ箱に落下した除包済みPTPシート100Aの取出しを可能とするためには、ホッパー201等の配置や形状が制限される欠点も生じる。上記のように回収箱116が設けられていると、除包済みPTPシート100Aの回収が容易に行え、また上記ホッパー201等の配置や形状が制限されることもない。
【0089】
また、複数の薬剤分包装置200において発生した除包済みPTPシート100Aがまとめて1個のゴミ箱に収集される構造とした場合、処方の監査において除包済みPTPシート100Aが必要とされる場合に対処できない。上記のように、各薬剤取出装置1に回収箱116が設けられていると、処方の監査において除包済みPTPシート100Aが必要とされる場合に容易に対処できる。
【0090】
また、上記の例では、シート搬送路2の下側にローラー118を備える戻し路117を設けて上記除包済みPTPシート100Aの回収搬送を行ったが、これに限らない。例えば、上記シート搬送路2における搬送ローラー21を正回転させて除包を行い、逆回転させて回収搬送を行うようにしてもよい。この場合には、経路切替爪は上記シート搬送路2と上記収容スペース111との間の境界部に設けられる。回収される除包済みPTPシート100Aは上記経路切替爪にて経路が変更されると直ぐに上記回収箱116に回収されることになる。このような構成であれば、上記シート搬送路2が上記戻し路117を兼ねる構成になり、機構の簡素化や小型化が可能になる。
【0091】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。