(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1基地局が管理する第1通信エリアと、前記第1通信エリアの少なくとも一部を包括する第2基地局が管理する第2通信エリアとが存在する場合に、前記第1及び第2基地局が端末との間で無線通信に使用できる無線リソースを設定する無線リソース設定方法であって、
前記第1通信エリアと前記第2通信エリアの第1の負荷を取得し、
前記第1通信エリアの前記第1の負荷を用いて、前記第1通信エリアの第1の遅延指標を計算し、
前記第2通信エリアの前記第1の負荷を用いて、前記第2通信エリアにおいて使用できる無線リソースを制限した場合の前記第2通信エリアの第2の遅延指標を計算し、
前記第1の遅延指標と前記第2の遅延指標とに基づいて、前記第2通信エリアにおいて使用を制限する無線リソースを設定するか否かを判定する判定条件を計算し、
前記第2通信エリアにおいて前記使用を制限する無線リソースの割合を計算し、
前記判定条件と前記使用を制限する無線リソースの割合を用いて、前記第1の遅延指標と前記第2の遅延指標との差或いは比が遅延指標のしきい値以上である場合、前記第2通信エリアにおいて使用を制限する無線リソースを設定すること、
を有することを特徴とする無線リソース設定方法。
前記第1及び第2通信路品質とはRSRP(Reference Signal Received Power)、或いはRSRQ(Reference Signal Received Quality)、或いはSINR(Signal To Interference and Noise Ratio)、或いはパスロスのいずれかであることを特徴とする請求項4に記載の無線リソース設定方法。
端末毎に前記端末と自局との間の第1通信路品質、及び、前記端末と前記他の基地局との間の第2通信路品質を用いてセル端端末を選択するエッジ端末判定手段をさらに備え、
前記優先リソース要求手段は、
前記第1通信エリア内における前記セル端端末の割合を計算し、前記第1の遅延指標と、前記第2の遅延指標と、前記干渉指標とに加え、前記セル端端末の割合に基づいて前記判定条件を計算することを特徴とする、請求項18又は19に記載の基地局。
前記第1及び第2通信路品質とはRSRP(Reference Signal Received Power)、或いはRSRQ(Reference Signal Received Quality)、或いはSINR(Signal To Interference and Noise Ratio)、或いはパスロスのいずれかであることを特徴とする請求項20に記載の基地局。
端末毎に前記端末と前記他の基地局との間の第1通信路品質、及び、前記端末と自局との間の第2通信路品質を用いてセル端端末を選択するエッジ端末判定手段をさらに備え、
前記割り当て無線リソース設定手段は、
前記第1通信エリア内における前記セル端端末の割合を計算し、前記第1の遅延指標と、前記第2の遅延指標と、前記干渉指標とに加え、前記セル端端末の割合に基づいて前記判定条件を計算することを特徴とする、請求項30又は31に記載の基地局。
前記第1及び第2通信路品質とはRSRP(Reference Signal Received Power)、或いはRSRQ(Reference Signal Received Quality)、或いはSINR(Signal To Interference and Noise Ratio)、或いはパスロスのいずれかであることを特徴とする請求項32に記載の基地局。
第1基地局が管理する第1通信エリアと、前記第1通信エリアの少なくとも一部を包括する第2基地局が管理する第2通信エリアが存在する場合に、前記第1及び第2基地局が端末との間で無線通信に使用できる無線リソースを設定する無線リソース設定システムであって、
前記第1通信エリアと前記第2通信エリアの第1の負荷を取得し、
前記第1通信エリアの前記第1の負荷を用いて、前記第1通信エリアの第1の遅延指標を計算し、
前記第2通信エリアの前記第1の負荷を用いて、前記第2通信エリアにおいて使用できる無線リソースを制限した場合の前記第2通信エリアの第2の遅延指標を計算し、
前記第1の遅延指標と前記第2の遅延指標とに基づいて、前記第2通信エリアにおいて使用を制限する無線リソースを設定するか否かを判定する判定条件を計算し、
前記第2通信エリアにおいて前記使用を制限する無線リソースの割合を計算し、
前記判定条件と前記使用を制限する無線リソースの割合を用いて、前記第1の遅延指標と前記第2の遅延指標との差或いは比が遅延指標のしきい値以上である場合、前記第2通信エリアにおいて使用を制限する無線リソースを設定するように構成されることを特徴とする、無線リソース設定システム。
第1通信エリアと通信エリアが隣接または一部を包括する第2通信エリアが存在し、前記第1通信エリア内の端末との間で無線通信を行う基地局のコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記第1通信エリアの第1の負荷を取得するステップと、
前記第1通信エリアの前記第1の負荷を用いて、前記第1通信エリアの第1の遅延指標を計算するステップと、
前記第2通信エリアを管理する他の基地局から通知される前記他の基地局の第1の負荷を用いて、前記第2通信エリアにおいて使用できる無線リソースを制限した場合の前記第2通信エリアの第2の遅延指標を計算するステップと、
前記第1の遅延指標及び前記第2の遅延指標に基づいて、前記他の基地局が管理する前記第2通信エリアにおいて使用を制限する無線リソースを設定するか否かを判定する判定条件を計算するステップと、
前記第2通信エリアにおいて使用を制限する無線リソースの割合を計算するステップと、
前記判定条件と前記使用を制限する無線リソースの割合を用いて、前記第1の遅延指標と前記第2の遅延指標の差或いは比が遅延指標のしきい値以上となる場合、前記他の基地局に前記第1通信エリア内の端末のための優先リソースの設定を要求するステップと、をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態:ピコ基地局が遅延指標に基づきeICIC実施条件を判定]
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
[構成の説明]
図1に、本発明の実施の形態1に係る無線通信システム10の構成を示す。無線通信システム10は、LTEの下りリンクについて本発明を適用したものである。無線通信システム10は、ピコ基地局100−1及び100−2と、マクロ基地局200−1及び200−2と、複数の端末300−P1−1、300−P1−2、300−P2−1、300−P2−2、300−M1−1、300−M1−2、300−M2−1及び300−M2−2と、を備える。本図においては、無線通信システム10が、マクロ基地局及びピコ基地局を2台備える例について説明しているが、無線通信システム10は、これらの基地局を2台以上備えてもよい。さらに、無線システム10は、本図に示す端末よりも多くの端末を備えてもよい。MはMacro(マクロ)の、PはPico(ピコ)の頭文字である。ここで、端末300−P1−Xは、ピコ基地局100−1に接続している。また、端末300−M1−Yは、マクロ基地局200−1に接続している。X、Yは、各基地局において端末を識別するための任意のインデックスとする。
【0020】
以下の説明では、各ピコ基地局、各マクロ基地局で共通した事項を説明する場合、それぞれ、「ピコ基地局100は〜」、「マクロ基地局200は〜」のように述べる。同様に、端末についても、ピコ基地局に接続している各端末、マクロ基地局に接続している各端末に共通した事項を説明する場合、それぞれ、「ピコ端末300−Pは〜」、「マクロ端末300−Mは〜」のように述べる。また、接続する基地局に係わらず共通した事項を説明する場合、「端末300は〜」のように述べる。
【0021】
ピコ基地局100−1及び100−2と、マクロ基地局200−1及び200−2とは、通信回線NWを介して互いに通信が可能である。また、各ピコ基地局100と各マクロ基地局200は、それぞれ複数の通信エリア(セル)を管理することができる。本実施形態では、各ピコ基地局100と各マクロ基地局200が、それぞれ1つの通信エリアを管理する例について説明する。
【0022】
ピコ基地局100は、低送信電力基地局であり、マクロ基地局200と比べ、狭い通信エリアを有する。各ピコ基地局100の通信エリアは、各マクロ基地局200の通信エリアに少なくとも1部の通信エリアが包含されるとする。
【0023】
各ピコ基地局100は、当該基地局100が管理する通信エリア内に存在する端末300−Pとの間で無線通信を行う。各ピコ基地局100は、複数の端末300−Pのそれぞれと同時に無線通信を実行できる。
【0024】
各マクロ基地局200は、当該基地局200が管理する通信エリアから、ピコ基地局100が管理する通信エリアを除いた通信エリア内に存在する端末300−Mとの間で無線通信を行う。各マクロ基地局200は、複数の端末300−Mのそれぞれと同時に無線通信を実行できる。
【0025】
各ピコ基地局100と各マクロ基地局200は、図示しない情報処理装置を備える。情報処理装置は、図示しない中央処理装置(CPU;Central Processing Unit)、及び、記憶装置(メモリ及びハードディスク駆動装置(HDD;Hard Disk Drive))を備える。各ピコ基地局100と各マクロ基地局200は、記憶装置に記憶されているプログラムをCPUが実行することにより、後述する機能を実現するように構成されている。
【0026】
各端末300は、携帯電話端末である。なお、各端末300は、パーソナル・コンピュータ、PHS(Personal Handyphone System)端末、PDA(Personal Data Assistance、Personal Digital Assistant)、スマートフォン、カーナビゲーション端末、又は、ゲーム端末等であってもよい。
【0027】
各端末300は、CPU、記憶装置(メモリ)、入力装置(キーボタン及びマイクロフォン)、及び、出力装置(ディスプレイ及びスピーカ)を備える。各端末300は、記憶装置に記憶されているプログラムをCPUが実行することにより、後述する機能を実現するように構成されている。
【0028】
図2は、上記のように構成された無線通信システム10における各ピコ基地局100と、各マクロ基地局200の機能を表すブロック図である。ピコ基地局としてピコ基地局100−1、マクロ基地局としてマクロ基地局200−1を用いて説明する。
図2には記載していないが、ピコ基地局100−2の機能は、ピコ基地局100−1の機能と同じである。同様に、マクロ基地局200−2の機能は、マクロ基地局200−1の機能と同じである。
【0029】
ピコ基地局100−1は、基地局動作部101と、リファレンス信号生成部102と、負荷測定部103と、優先リソース要求部104と、送信バッファ105と、スケジューラ106と、を含む。
【0030】
基地局動作部101は、ピコ基地局100−1と接続中の各端末300−P1との間で無線信号を送受信する機能や、無線信号の送受信に用いる割り当て帯域、MCS(Modulation and Coding Scheme) Indexなどのスケジューリング情報と送信電力の設定情報を各端末300−P1に通知する機能、各端末300−P1にCQI(Channel Quarity Indicator)などのCSI(Channel State Information)の報告タイミングを通知する機能を有する。さらに、基地局動作部101は、マクロ基地局200−1とそれ以外の周辺マクロ基地局200−k(k≠1)とを識別するために使用する情報が記載された周辺基地局リストを有して通信回線NWを介して周辺基地局との間で通信を行う機能や、周辺基地局から通知されたABS設定情報(ABS Status)などを保持する機能などを有するが、その構成及び動作については周知であるため説明を省略する。
【0031】
リファレンス信号生成部102は、端末300がピコ基地局100−1との通信路品質を測定するために用いるリファレンス信号を生成する機能を有する。リファレンス信号生成部102は、生成した信号を基地局動作部101を介して各端末300へ送信する。
【0032】
負荷測定部103は、所定の周期毎に、ピコ基地局100−1の負荷を測定し、測定した負荷の情報を、基地局動作部101を介して、少なくともマクロ基地局200−1を含む周辺基地局に通知する機能を有する。本実施形態では、負荷をPRB(Physical Resource Block)使用率とする。優先リソース要求部104は、測定された負荷を、基地局動作部101を介して使用する。PRBとは、無線帯域の割り当て単位である。
【0033】
優先リソース要求部104は、負荷測定部103が測定したピコ基地局100−1の負荷と、マクロ基地局200−1から通知される負荷情報と、基地局動作部101が保持するマクロ基地局200−1のABS設定情報を用いて、ピコ基地局100−1に接続される端末の遅延時間を判定するための遅延指標と、使用を制限する無線リソースを設定した場合のマクロ基地局200−1に接続される端末の遅延時間を判定するための遅延指標をそれぞれ計算する機能を有する。さらに、優先リソース要求部104は、計算したピコ基地局100−1とマクロ基地局200−1の遅延指標を用いて、マクロ基地局200−1にピコ基地局100−1のための優先リソースを要求するか否かを判定する機能と、基地局動作部101が管理する周辺基地局リストを参照して、判定結果をマクロ基地局200−1に通知する機能を有する。
【0034】
本実施形態では、優先リソースは、マクロ基地局で設定するABSである。非特許文献4(3GPP TS 36.423 V10.3.0(2011−09)、3GPP TSG RAN E−UTRAN X2AP、p.72、Sept. 2011)に記載されているように、ABS設定情報には、マクロ基地局200−1が設定したABSと、全Subframeに対するABSの割合が記載されている。本実施形態では、マクロ基地局200−1から一度もABS設定情報が通知されていない場合は、優先リソース要求部104は、基地局動作部101が保持するデフォルトの値を用いて遅延指標を計算する。また、本実施形態では、優先リソース要求部104は、判定結果の通知にRNTP(Relative Narrowband TX Power)を用いる。優先リソース要求部104は、優先リソースを要求する場合、全RB(Resource Block)のRNTPを1に設定し、優先リソースを要求しない場合、全RBのRNTPを0に設定する。RBとは無線帯域の割り当て単位である。
【0035】
送信バッファ105は、通信回線NWを介して到着する各端末300−P宛の送信データと送信データを送信するために用いられる情報をともに蓄積する機能を有する。
【0036】
スケジューラ106は、送信バッファ105に蓄積されている各端末300−P宛の送信データサイズと、基地局動作部101が保持するマクロ基地局200−1のABS設定情報と、各端末300−Pから報告されたCSIに基づき、端末300−P毎に割り当てる送信電力、周波数帯域及びMCS Indexを決定し、基地局動作部101を介してデータを送信する機能を有する。本実施形態では、現在のSubframeがABSである場合、スケジューラ106は、各端末300−Pから報告されたABSのCSIを用いる。また、現在のSubframeがABSでない(以下、Non−ABSと呼ぶ)場合、スケジューラ106は、各端末300−Pから報告されたNon−ABSのCSIを用いる。
【0037】
マクロ基地局200−1は、基地局動作部201と、リファレンス信号生成部202と、負荷測定部203と、割り当て無線リソース設定部204と、送信バッファ205と、スケジューラ206と、を含む。
【0038】
基地局動作部201は、マクロ基地局200−1と接続中の各端末300−M1との間で無線信号を送受信する機能や、無線信号の送受信に用いる割り当て帯域やMCS Indexなどのスケジューリング情報と送信電力の設定情報を端末300−M1毎に決定し、各端末300−M1に通知するする機能や、各端末300−M1にCSIの報告タイミングを通知する機能を有する。さらに、基地局動作部201は、ピコ基地局100−1と、周辺マクロ基地局200−k(k≠1)と、各周辺マクロ基地局200−kの通信エリア内に設置されたピコ基地局100−kと、を識別するために使用する情報が記載された周辺基地局リストを有して通信回線NWを介して周辺基地局との間で通信を行う機能などを有するが、その構成及び動作については周知の機能であるため、説明を省略する。
【0039】
リファレンス信号生成部202は、ピコ基地局100−1のリファレンス信号生成部102と同様の機能を有するので説明を省略する。
【0040】
負荷測定部203は、所定の周期毎に、マクロ基地局200−1の負荷を測定し、測定した負荷の情報を、基地局動作部201を介して、少なくともピコ基地局100−1を含む周辺基地局に通知する機能を有する。割当無線リソース設定部204は、負荷測定部203において測定された負荷を、基地局動作部201を介して使用する。
【0041】
割り当て無線リソース設定部204は、ピコ基地局100−1から通知されるRNTPに従って使用を制限する無線リソースを設定し、基地局動作部201が管理する周辺基地局リストを参照して、マクロ基地局200−1が使用を制限する無線リソースの情報をピコ基地局100−1に通知する機能を有する。本実施形態では、使用を制限する無線リソースは、マクロ基地局200−1のSubframeであり、使用を制限するSubframeをABSとする。
【0042】
本実施形態では、
図3に示すように、ABSは、8Subframe周期で設定される。従って、ABSの割合(R_abs)は、1/8単位で設定されるSubframeを用いて算出される。本実施形態では、R_absは、予め定義されている。また、
図3の各Subframe内の数値は、ABSの設定順位を表す。
図3に示すように、R_absが2/8の場合、無線リソース設定部204は、先頭の2SubframeをABSとして設定する。また、無線リソース設定部204は、使用を制限する無線リソースを設定しない場合、ABSを設定しない。また、無線リソース設定部204は、使用を制限する無線リソースの情報の通知には、ABS設定情報を用いる。ABS設定情報では、ABSを1、Non−ABSを0として、ABSパターンを記載する。
【0043】
送信バッファ205は、ピコ基地局100−1の送信バッファ105と同様の機能を有するので説明を省略する。
【0044】
スケジューラ206は、送信バッファ205に蓄積されている各端末300−P宛の送信データサイズと、割り当て無線リソース設定部204が設定したABS設定情報と、各端末300−Mから報告されたCSIに基づき、端末300−M毎に割り当てる送信電力と周波数帯域とMCS Indexを決定し、基地局動作部101を介してデータを送信する機能を有する。
【0045】
図4は、無線通信システム10における端末300−P1−1の機能を表すブロック図である。図には記載していないが、端末300−P1−1の機能は、端末300−P1−2、端末300−P2−1、端末300−P2−2、端末300−M1−1及び端末300−M1−2の機能と同じである。端末300−P1−1は、端末動作部301と、通信路品質測定部302と、を含む。
【0046】
端末動作部301は、端末300−P1−1と接続中の(通信リンクが確立されている)ピコ基地局100−1との間で無線信号を送受信する機能などを有する。端末動作部301が有する機能は、一般的な無線通信システムにおいて周知の機能であるため、詳細な説明を省略する。
【0047】
通信路品質測定部302は、リファレンス信号を用いて通信路品質を測定し、測定した通信路品質の情報をピコ基地局100−1に送信する機能を有する。本実施形態では、通信路品質は各周辺基地局のRSRP(Reference Signal Received Power)とピコ基地局100−1のリファレンス信号に対するSINR(Signal To Interference and Noise Ratio)から計算されるCQIである。RSRPは、リファレンス信号の受信電力であり、本実施形態ではセル選択やハンドオーバの基準値として用いられる。
【0048】
[動作の説明]
次に、上述した無線通信システム10の作動について、
図5及び6を用いて説明する。
図5は、ピコ基地局100−1の優先リソース要求部104が、マクロ基地局200−1にピコ基地局100−1のための優先リソースを要求するか否かを判定する動作手順を示すものである。優先リソース要求部104は、負荷測定部103がPRB使用率をマクロ基地局200−1に通知する周期毎に、
図5に記載の動作を実行する。
【0049】
先ず、ピコ基地局100−1の遅延指標を計算する。遅延時間とPRB使用率には相関があるため、優先リソース要求部104は、ピコ基地局100−1の遅延指標D_picoを数式1に従って計算する(ステップS101)。数式1において、U_picoは負荷測定部103が測定したピコ基地局100−1のPRB使用率である。
【0051】
次に、優先リソース要求部104は、マクロ基地局200−1から通知された直近のABS設定情報に記されるABSの割合R_absが0より大きいか否かを判定する(ステップS102)。優先リソース要求部104は、ABS設定情報を一度も通知されていない場合は、R_absを0とする。
【0052】
優先リソース要求部104は、ABS設定情報に記されるABSの割合R_absが0より大きい場合(ステップS102、Yes)、使用を制限する無線リソースを設定したマクロ基地局200−1の遅延指標D_macroを数式2に従って計算する(ステップS104)。数式2において、U_macroはマクロ基地局200−1から通知されたPRB使用率であり、wは重み付け係数である。使用を制限する無線リソースを設定した場合、R_absが大きくなるほど、遅延時間が増大すると仮定している。本実施形態では、重み付け係数wを1とするが、マクロ基地局200−1の同時接続端末数や端末の通信路品質などに応じて設定してもよい。例えば、ABS設定前の同時接続端末数が多い場合は1より大きな値に設定し、遅延指標がより増大すると仮定する。これは、ABSを設定することで端末の送信レートが低下するので、TCPのウィンドウサイズが拡大しにくくなり、送信遅延が急増するためである。また、例えば、ABS設定により、Non−ABSでの通信路品質の改善が期待できる場合には1より小さい値に設定し、遅延指標がそれほど増大しないと仮定する。これは、Non−ABSでの通信路品質改善により、送信Subframeにおける伝送レートが改善するためである。
【0054】
一方、優先リソース要求部104は、ABS設定情報に記されるABSの割合R_absが0の場合(ステップS102、No)、R_absをR_abs_defalutとし(ステップS103)、ステップS104に進む。R_abs_defalutは、ABSの割合のデフォルト値であり、優先リソース要求部104は、過去にABSの割合が0より大きい値のABS設定情報が通知されている場合は直近に通知された値とし、それ以外の場合は最小値1/8とする。
【0055】
次に、優先リソース要求部104は、ピコ基地局100−1の遅延指標D_picoに対する、使用を制限する無線リソースを設定したマクロ基地局200−1の遅延指標D_macroの差分値ΔDを数式3に従って計算する(ステップS105)
【0057】
次いで、計算した差分値ΔDが所要値Δ_Thr以上か否かを判定する(ステップS106)。差分値ΔDが所要値Δ_Thr以上の場合(ステップS106、Yes)、マクロ基地局200−1が使用を制限する無線リソースを設定した場合の端末300−M1の遅延時間の増大は大きくないと判定し、優先リソース要求部104は、全てのRBのRNTPを1に設定し、マクロ基地局200−1へ通知する(ステップS107)。その後、
図5の処理を終了する。
【0058】
また、差分値ΔDが所要値Δ_Thr未満の場合(ステップS106、No)、マクロ基地局200−1が使用を制限する無線リソースを設定した場合の端末300−M1の遅延時間の増大は大きいと判定し、優先リソース要求部104は、全てのRBのRNTPを0に設定し、マクロ基地局200−1へ通知する(ステップS108)。その後、
図5の処理を終了する。
【0059】
図6は、マクロ基地局200−1の割り当て無線リソース設定部204が、ピコ基地局100−1から送信されたRNTPに従って、使用を制限する無線リソースを設定する動作手順を示すものである。割り当て無線リソース設定部204は、ピコ基地局100−1から送信されたRNTPを受信する度に、
図6に記載の動作を実行する。
【0060】
先ず、割り当て無線リソース設定部204は、ピコ基地局100−1からマクロ基地局200−1へ通知されたRNTPが1か否かを判定する(ステップS201)。
【0061】
ピコ基地局100−1からマクロ基地局200−1へ通知されたRNTPが1である場合(ステップS201、Yes)、割り当て無線リソース設定部204は、マクロ基地局200−1が既にABSを設定しているか否かを判定する(ステップS202)。
【0062】
マクロ基地局200−1が既にABSを設定している場合(ステップS202、Yes)、割り当て無線リソース設定部204は、
図6の処理を終了する。一方、未だABSを設定していない場合(ステップS202、No)、割り当て無線リソース設定部204は、予め定義されたパターンでABSを設定し、ABSの設定情報をピコ基地局100−1に通知する(ステップS203)。これにより、ABSにおいて、ピコ基地局100−1の各端末300−P1に対し、マクロ基地局200−1からの干渉が抑制される。その後、
図6の処理を終了する。
【0063】
ピコ基地局100−1からマクロ基地局200−1へ通知されたRNTPが0である場合(ステップS201、No)、ステップS202同様、割り当て無線リソース設定部204は、マクロ基地局200−1がABSを設定しているか否かを判定する(ステップS204)。
【0064】
マクロ基地局200−1がABSを設定していない場合(ステップS204、No)、割り当て無線リソース設定部204は、
図6の処理を終了する。一方、ABSを設定している場合(ステップS204、Yes)、割り当て無線リソース設定部204は、設定していたABSを解除し、ABSの設定情報をピコ基地局100−1に通知する(ステップS205)。その後、
図6の処理を終了する。
【0065】
以上、説明したように、本発明の第1の実施形態に係わるピコ基地局100−1とマクロ基地局200−1によれば、ピコ基地局100−1の端末の遅延時間が使用を制限する無線リソースを設定したマクロ基地局200−1の端末の遅延時間よりも所定値以上大きい場合に、マクロ基地局200−1が使用を制限する無線リソースを設定するので、ピコ端末300−Pのスループットを増加でき、かつ、マクロ基地局200とピコ基地局100を含めた全通信端末300のスループットの公平性を改善できる。
【0066】
以上、上記実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成及び詳細に、本願発明の範囲内において当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0067】
例えば、優先リソース要求部104は、PRB使用率の替わりに、非特許文献5(3GPP TS 36.314 V10.2.0(2011−09)、3GPP TSG RAN E−UTRAN Layer2−Measurement、p.9、p.11、p.15、Sept. 2011 )に記載されているようにActive UE数、遅延時間、または、端末毎のセッションスループットを用いて遅延指標を計算することもできる。セッションスループットとは、端末宛に送信したデータサイズをその端末の接続時間で割った値である。尚、これらを用いた遅延指標の計算を実現するには、これらの情報を直接的に基地局間で通知する方法や、通信回線NW上にOAMサーバを接続し、OAMサーバを介してこれらの情報を通知する方法が考えられる。後者の場合、OAMサーバは、通信回線NWに接続されている各ピコ基地局100と各マクロ基地局200からActive UE数や遅延時間、端末あたりのスループットを集計する機能を有する。
【0068】
また、優先リソース要求部104は、ピコ基地局100−1の遅延指標と使用を制限する無線リソースを設定したマクロ基地局200−1の遅延指標の差分値を計算する替わりに、ピコ基地局100−1の遅延指標に対する使用を制限する無線リソースを設定した場合のマクロ基地局200−1の遅延指標の比を計算しても良い。
【0069】
また、割り当て無線リソース設定部204は、マクロ基地局200−1のABSの設定が変更になった場合のみ、ピコ基地局100−1にABS設定情報を通知しても良い。
【0070】
また、本発明はマクロ基地局の通信エリア内に複数のピコ基地局が配置された場合でも適用できる。この場合、割り当て無線リソース設定部204は、通信エリア内の全ピコ基地局数に対するRNTPが1の通知を行ったピコ基地局数の割合を計算し、その割合が割合のしきい値以上の場合のみ、予め定められたパターンでABSを設定する。
以上の変更は、以降の実施形態も同様に行うことができる。
【0071】
[第2実施形態:実施条件(マクロ基地局の干渉指標が高い)を追加]
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施形態は、第1の実施の形態と比較して、マクロ基地局が使用を制限する無線リソースを設定する判定条件の計算にマクロ基地局の干渉指標が加わる点が異なる。更に、第1の実施形態では使用を制限する無線リソースを設定する判定条件を1つでも満足できなかった場合に、その設定を解除していたのに対して、本実施形態では使用を制限する無線リソースを設定してから所定の時間が経過すると、その設定を解除する点が異なる。
【0072】
[構成の説明]
図7は、第2の実施の形態における各ピコ基地局400と、各マクロ基地局500の機能を表すブロック図である。ピコ基地局としてピコ基地局400−1を、マクロ基地局としてマクロ基地局500−1を用いて説明する。図には記載していないが、ピコ基地局400−2の機能は、ピコ基地局400−1の機能と同じである。同様に、マクロ基地局500−2の機能は、マクロ基地局500−1の機能と同じである。
【0073】
第2の実施の形態におけるピコ基地局400−1は、第1の実施の形態におけるピコ基地局100−1と比較して、優先リソース要求部104に替えて優先リソース要求部404を有する点が異なる。また、マクロ基地局500−1は、第1の実施の形態におけるマクロ基地局200−1と比較して、割り当て無線リソース設定部204に替えて割り当て無線リソース設定部504を有する点が異なる。以下では、優先リソース要求部404と、割り当て無線リソース設定部504に関して説明する。
【0074】
優先リソース要求部404は、優先リソース要求部104と同様の方法でピコ基地局400−1とマクロ基地局500−1それぞれの遅延指標を計算する機能に加え、マクロ基地局500−1から通知される負荷情報を用いて、マクロ基地局500−1からピコ基地局400−1に接続されている端末が受ける干渉を判定するための干渉指標を計算する機能を有する。更に、優先リソース要求部404は、計算したピコ基地局400−1の遅延指標と、マクロ基地局500−1の遅延指標と、干渉指標とを用いて、マクロ基地局500−1にピコ基地局400−1のための優先リソースを要求するか否かを判定し、基地局動作部101が管理する周辺基地局リストを参照して、判定結果をマクロ基地局500−1に通知する機能を有する。本実施形態では、優先リソースはマクロ基地局で設定するABSであり、負荷はPRB使用率とし、優先リソース要求部404は、判定結果の通知にRNTPを用いる。優先リソース要求部404は、優先リソースを要求する場合、全てのRBのRNTPを1に設定して通知し、要求しない場合は通知を行わない。
【0075】
割り当て無線リソース設定部504は、ピコ基地局400−1から通知されるRNTPに従って使用を制限する無線リソースを設定し、基地局動作部201が管理する周辺基地局リストを参照して、マクロ基地局500−1が使用を制限する無線リソースの情報をピコ基地局400−1に通知する機能を有する。本実施形態では、使用を制限する無線リソースは、マクロ基地局500−1のSubframeであり、使用を制限するSubframeをABSとする。使用を制限する無線リソースを設定する場合、予め定義されているABSの割合を用いて、通知を受けてから所定時間が経過するまで、第1の実施形態における割り当て無線リソース設定部204と同様の方法でABSを設定する。また、所定時間経過後は、ABSを解除する。使用を制限する無線リソースの情報の通知方法は、第1の実施の形態における割り当て無線リソース設定部204と変わらないため、説明を省略する。
【0076】
[動作の説明]
図8は、優先リソース要求部404が、マクロ基地局500−1にピコ基地局400−1のための優先リソースを要求するか否かを判定する動作手順を示すものである。優先リソース要求部404は、負荷測定部103がPRB使用率をマクロ基地局500−1に通知する周期毎に、
図8に記載の動作を実行する。
【0077】
図8を参照すると、
図5のステップS108が省略され、新たにステップS301〜ステップS302が追加されている。以下では、追加されたステップS301〜ステップS302の動作についてのみ説明する。
【0078】
先ず、優先リソース要求部404は、マクロ基地局500−1の干渉指標L_macroを数式4に従って計算する(ステップS301)。数式4において、U_macroはマクロ基地局500−1から通知されたPRB使用率である。
【0080】
次に、優先リソース要求部404は、計算したマクロ基地局500−1の干渉指標L_macroがしきい値L_Thr以上か否かを判定する(ステップS302)。干渉指標L_macroがしきい値L_Thr以上の場合(ステップS302、Yes)、優先リソース要求部404は、マクロ基地局500−1の送信確率が高く、干渉を受ける確率も高いと判定し、ステップS101に進む。一方、干渉指標L_macroがしきい値L_Thr未満の場合(ステップS302、No)、優先リソース要求部404は、マクロ基地局500−1の送信確率が低く、干渉を受ける確率も高くないと判定し、
図8の処理を終了する。
【0081】
図9は、マクロ基地局500−1の割り当て無線リソース設定部504が、ピコ基地局400−1から送信されたRNTPに従って使用を制限する無線リソースを設定する動作手順を示すものである。割り当て無線リソース設定部504は、ピコ基地局400−1から送信されたRNTPを受信する度に、
図9に記載の動作を実行する。
【0082】
図9を参照すると、
図6のステップS204〜ステップS205が省略され、新たにステップS401が追加されている。以下では、追加されたステップS401の動作についてのみ説明する。
【0083】
ピコ基地局400−1からマクロ基地局500−1へ通知されたRNTPが1である場合(ステップS201、Yes)、数式5に従って計算したT_endを、ABSの設定を解除する時間として設定する(ステップS401)。数式5において、Tは現在時刻、T_absはマクロ基地局500−1がABSを設定する時間を表す。
【0085】
また、
図10は、割り当て無線リソース設定部504が、使用を制限する無線リソースの設定を解除するか否かを判定する動作手順を示すものである。割り当て無線リソース設定部504は、Subframe毎に、
図10に記載の動作を実行する。
【0086】
図10を参照すると、
図6のステップS201〜ステップS203が省略され、新たにステップS501が追加されている。以下では、追加されたステップS501の動作についてのみ説明する。
【0087】
先ず、割り当て無線リソース設定部504は、現在時刻Tが、マクロ基地局500−1がABSの設定を解除する時間T_end以降か否かを判定する(ステップS501)。
【0088】
割り当て無線リソース設定部504は、現在時刻Tが、マクロ基地局500−1がABSの設定を解除する時間T_endより前の場合(ステップS501、No)、
図10の処理を終了する。一方、割り当て無線リソース設定部504は、現在時刻Tが、マクロ基地局500−1がABSの設定を解除する時間T_end以降の場合(ステップS501、Yes)、ステップS204に進む。
【0089】
以上、説明したように、本発明の第2の実施形態に係わるピコ基地局400−1とマクロ基地局500−1によれば、ピコ基地局400−1の端末の遅延時間が、使用を制限する無線リソースを設定したマクロ基地局500−1の端末の遅延時間よりも所定値以上大きく、かつ、マクロ基地局500−1の負荷が高い場合に、マクロ基地局500−1が使用を制限する無線リソースを設定するので、本発明の第1の実施形態と比較して、ピコ端末300−Pがマクロ基地局500−1から干渉を受ける確率が高い場合のみ、マクロ基地局500−1で使用を制限する無線リソースを設定できる。更に、本実施の形態によれば、ピコ基地局400−1のための優先リソースを要求する場合のみマクロ基地局500−1へRNTPが通知されるため、本発明の第1の実施形態と比較して、通信回線NWを介した基地局間のシグナリング量を抑制できる。
【0090】
以上、上記実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成及び詳細に、本願発明の範囲内において当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0091】
例えば、優先リソース要求部404は、PRB使用率の替わりに、Active UE数をマクロ基地局の干渉指標とすることもできる。Active UE数の情報を基地局間で通知する方法は、第1の実施形態と同様である。
【0092】
また、割り当て無線リソース設定部504は、使用を制限する無線リソースの設定を開始してから所定の時間が経過したら無線リソースの制限を解除していたが、第1の実施の形態と同様に、使用を制限する無線リソースを設定するための基準の何れか1つを満足できない場合に制限を解除しても良い。或いは、第1の実施の形態において、本実施の形態のように、制限を開始してから所定の時間が経過したら解除してもよい。これは、以降の実施形態でも同様に行うことができる。
以上の変更は、以降の実施形態も同様に行うことができる。
【0093】
[第3実施形態:実施条件(ピコ基地局の配置位置)を追加]
次に、本発明の第3の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。第3の実施の形態は、第1の実施の形態と比較して、マクロ基地局が使用を制限する無線リソースを設定する判定条件の計算に、マクロ基地局の干渉指標と、ピコ基地局のエッジ端末の割合が加わる点が異なる。
【0094】
[構成の説明]
第3の実施の形態におけるマクロ基地局は、第1の実施の形態におけるマクロ基地局200と同じであるため、説明を省略する。
【0095】
図11は、第3の実施の形態における各ピコ基地局600の機能を表すブロック図である。ピコ基地局としてピコ基地局600−1を用いて説明する。図には記載していないが、ピコ基地局600−2の機能は、ピコ基地局600−1の機能と同じである。
【0096】
第3の実施の形態におけるピコ基地局600−1は、第1の実施の形態におけるピコ基地局100−1と比較して、優先リソース要求部104に替えて優先リソース要求部604を有する点と、エッジ端末判定部607を新たに有する点が異なる。以下では、優先リソース要求部604と、エッジ端末判定部607に関して説明する。
【0097】
優先リソース要求部604は、第1の実施の形態における優先リソース要求部104と同様の方法でピコ基地局600−1とマクロ基地局200−1の遅延指標を計算する機能を有する。さらに優先リソース要求部604は、第2の実施の形態における優先リソース要求部404と同様の方法でマクロ基地局200−1の干渉指標を計算する機能と、ピコ基地局600−1に接続している全端末数に対するエッジ端末判定部607がエッジ端末と判定した端末数の割合を計算する機能を有する。更に、優先リソース要求部604は、計算したピコ基地局600−1の遅延指標とエッジ端末の割合と、マクロ基地局200−1の遅延指標と干渉指標を用いて、マクロ基地局200−1にピコ基地局600−1のための優先リソースを要求するか否かを判定し、基地局動作部101が管理する周辺基地局リストを参照して、判定結果をマクロ基地局200−1に通知する機能を有する。本実施形態では、優先リソースはマクロ基地局で設定するABSであり、負荷はPRB使用率とし、判定結果の通知にはRNTPを用いる。優先リソースを要求する場合、全てのRBのRNTPを1に設定して通知し、優先リソースを要求しない場合、全てのRBのRNTPを0に設定して通知する。
【0098】
エッジ端末判定部607は、各端末300−P1から報告される通信路品質情報を用いて、各端末300−P1がエッジ端末か否かを判定する機能を有する。本実施形態では、通信路品質はRSRP(Reference Signal Received Power)である。判定結果は、基地局動作部101を介して、優先リソース要求部604で使用される。
【0099】
[動作の説明]
図12は、ピコ基地局600−1のエッジ端末判定部607が、端末300−P1がエッジ端末か否かを判定する動作手順を示すものである。エッジ端末判定部607は、負荷測定部103がPRB使用率をマクロ基地局200−1に通知する周期毎に、
図12に記載の動作をピコ基地局600−1と通信中の端末300−P1毎に実行する。
【0100】
先ず、エッジ端末判定部607は、端末300−P1−1から報告されたピコ基地局600−1のRSRPとマクロ基地局200−1のRSRPの差分値ΔRSRPを数式6に従って計算する(ステップS601)。RSRP_picoとRSRP_macroはそれぞれピコ基地局600−1のRSRPとマクロ基地局200−1のRSRPを表す。
【0102】
次いで、エッジ端末判定部607は、差分値ΔRSRPがしきい値ΔRSRP_Thr未満か否かを判定する(ステップS602)。しきい値ΔRSRP_Thr未満の場合(ステップS602、Yes)、端末300−P1−1はエッジ端末であると判定する(ステップS603)。一方、しきい値ΔRSRP_Thrよりも大きい場合(ステップS602、No)、端末300−P1−1はセンタ端末であると判定する(ステップS604)。エッジ端末判定部607は、以上の判定結果を優先リソース要求部604に通知する。
【0103】
図13は、ピコ基地局600−1の優先リソース要求部604が、マクロ基地局200−1にピコ基地局600−1のための優先リソースを要求するか否かを判定する動作手順を示すものである。優先リソース要求部604は、負荷測定部103がPRB使用率をマクロ基地局600−1に通知する周期毎に、
図13に記載の動作を実行する。
【0104】
図13を参照すると、
図8に対し、新たにステップS701〜ステップS702が追加されている。そのため、以下では、ステップS701〜ステップS702の動作についてのみ説明する。
【0105】
先ず、優先リソース要求部604は、ピコ基地局600−1に接続している全端末数に対するエッジ端末判定部607がエッジ端末と判定した端末数の割合R_pico_edgeを数式7に従って計算する(ステップS701)。数式7において、N_picoue_edgeはエッジ端末判定部607がエッジ端末と判定した端末数、N_picoueはピコ基地局600−1に接続している全端末数である。
【0107】
次に、優先リソース要求部604は、計算したR_pico_edgeが予め設定してあるしきい値R_Thr以上か否かを判定する(ステップS702)。しきい値R_Thr以上の場合(ステップS702、Yes)、優先リソース要求部604は、マクロ基地局200−1からの干渉でチャネル品質が劣化する端末300−P1が多いと判定し、ステップS301に進む。一方、しきい値R_Thr未満の場合(ステップS702、No)、優先リソース要求部604は、マクロ基地局200−1からの干渉でチャネル品質が劣化する端末300−P1は多くないと判定し、ステップS108に進む。
【0108】
以上、説明したように、本発明の第3の実施形態に係わるピコ基地局600−1とマクロ基地局200−1によれば、ピコ基地局600−1の端末の遅延時間が使用を制限する無線リソースを設定したマクロ基地局200−1の端末の遅延時間よりも所定値以上大きく、かつ、マクロ基地局200−1の負荷が高く、かつ、マクロ基地局200−1からの干渉でチャネル品質が劣化するピコ端末300−P1が多い場合に、マクロ基地局200−1が使用を制限する無線リソースを設定するので、本発明の第1の実施形態と比較して、マクロ基地局200−1の干渉抑制によるピコ端末300−P1のチャネル品質の劣化が大きい場合のみ、マクロ基地局200−1で使用を制限する無線リソースを設定できる。
【0109】
以上、上記実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成及び詳細に、本願発明の範囲内において当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0110】
例えば、エッジ端末判定部607は、RSRPの替わりにリファレンス信号の受信電力に対する全受信電力の比であるRSRQ(Reference Signal Received Quality)を用いてエッジ端末を判定してもよい。
【0111】
或いは、エッジ端末判定部607は、ABSのCQIとNon−ABSのCQIを用いてエッジ端末を判定してもよい。エッジ端末は、マクロ基地局200−1からの干渉が大きいため、マクロ基地局200−1からの干渉を受けないABSでのチャネル品質と、Non−ABSでのチャネル品質との差が大きい。この場合、エッジ端末判定部607は、ステップS601でABSのCQIの目標SINRとNon−ABSのCQIの目標SINRの差分値ΔSINRを数式8に従って計算し、ステップS602で差分値ΔSINRがしきい値ΔSINR_Thr未満か否かを判定する。CQIの目標SINRとは、BLERが目標値となるSINRである。一般的に、CQIに対するSINRはルックアップテーブルを参照して計算し、このルックアップテーブルは物理レイヤを模擬したリンクレベルシミュレーションにより作成する。数式8において、SINR_absとSINR_nonabsはそれぞれ、端末300−P1−1がピコ基地局600−1に報告した、ABSのCQIの目標SINRとNon−ABSのCQIの目標SINRである。
【0113】
ここで、ABSのCQIとNon−ABSのCQIはマクロ基地局200−1がABSを設定している場合しか端末300−P1−1から報告されないため、マクロ基地局200−1がABSを設定していない場合は、端末300−P1−1が報告する周辺基地局のRSRPと周辺基地局から通知されるPRB使用率とから計算されるABSとNon−ABSそれぞれの干渉電力の期待値と、端末300−P1−1が報告するピコ基地局600−1のRSRPを用いて計算したABSとNon−ABSのSINRを用い、数式8に従ってΔSINRを計算する。ABSのSINRは数式9に従って計算される。数式9の分母は、ABSの干渉電力の期待値である。また、Non−ABSのSINRは数式10に従って計算される。数式10の分母は、ABSの干渉電力の期待値である。数式9と数式10において、N_neigは基地局動作部101が管理する周辺基地局リストに含まれる周辺基地局の数であり、kは周辺基地局リストでのインデックス番号である。また、RSRP_neig_kとU_neig_kはそれぞれ、インデックスがkの周辺基地局のRSRPとPRB使用率である。DB[t]は、真値の引数tをdB単位の値に変換する関数である。
【0116】
また、エッジ端末判定部607は、RSRPの差を用いて、エッジ端末を判定していたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、比を用いてもよい。
【0117】
[第4実施形態:マクロ基地局がeICIC実施条件を判定]
次に、本発明の第4の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。第1の実施の形態では、ピコ基地局が優先リソース(マクロ基地局で使用を制限する無線リソース)を要求するか否かを判定していたのに対し、本実施形態では、マクロ基地局が使用を制限する無線リソースの判定を行う点が異なる。また、第1の実施の形態では、使用を制限する無線リソースの割合を固定値としていたのに対し、本実施形態では、ピコ基地局の負荷とマクロ基地局の負荷に基づいて計算する点が異なる。更に、本実施形態は、第1の実施の形態と比較して、マクロ基地局が使用を制限する無線リソースを設定する判定条件の計算にマクロ基地局の干渉指標を加えた点が異なる。
【0118】
[構成の説明]
図14は、第4の実施の形態における各ピコ基地局700と、各マクロ基地局800の機能を表すブロック図である。ピコ基地局としてピコ基地局700−1を、マクロ基地局としてマクロ基地局800−1を用いて説明する。図には記載していないが、ピコ基地局700−2の機能は、ピコ基地局700−1の機能と同じである。同様に、マクロ基地局800−2の機能は、マクロ基地局800−1の機能と同じである。
【0119】
第4の実施の形態におけるピコ基地局700−1は、第1の実施の形態におけるピコ基地局700−1と比較して、優先リソース要求部104が省略されている点が異なる。また、第4の実施の形態におけるマクロ基地局800−1は、第1の実施の形態におけるマクロ基地局200−1と比較して、割り当て無線リソース設定部204に替えて割り当て無線リソース設定部804を有する点が異なる。以下では、割り当て無線リソース設定部804に関して説明する。
【0120】
割り当て無線リソース設定部804は、ピコ基地局700−1から通知される負荷情報と、負荷測定部203が測定したマクロ基地局800−1の負荷を用いて、ピコ基地局700−1の優先リソースの割合を計算する機能を有する。更に、割り当て無線リソース設定部804は、計算した優先リソースの割合と、ピコ基地局700−1から通知される負荷情報と、負荷測定部203が測定したマクロ基地局800−1の負荷を用いて、ピコ基地局700−1の端末の遅延時間を判定するための遅延指標と、使用を制限する無線リソースを設定した場合のマクロ基地局800−1の端末の遅延時間を表す遅延指標をそれぞれ計算する機能を有する。更に、割り当て無線リソース設定部804は、負荷測定部203が測定したマクロ基地局800−1の負荷と、送信バッファ205に滞留中の送信データのサイズ(以下、バッファサイズ)を用いて、マクロ基地局800−1の干渉指標を計算する機能を有する。更に、割り当て無線リソース設定部804は、計算したピコ基地局700−1の遅延指標と、マクロ基地局800−1の遅延指標と干渉指標を用いて、マクロ基地局800−1が使用を制限する無線リソースを設定するか否かを判定し、基地局動作部201が管理する周辺基地局リストを参照して、判定結果をピコ基地局700−1に通知する機能を有する。
【0121】
本実施形態では、ピコ基地局700−1の優先リソースはマクロ基地局800−1で設定するABSであり、使用を制限する無線リソースはマクロ基地局800−1のSubframeであり、使用を制限するSubframeをABSとする。また、使用を制限するSubframeを設定する場合、計算した優先リソースの割合を用い、第1の実施形態における割り当て無線リソース設定部204と同様の方法でABSを設定する。また、使用を制限する無線リソースを設定しない場合はABSを設定しない。また、判定結果の通知にはABS設定情報を用いる。ABS設定情報としては、ABSを1、Non−ABSを0として、ABSパターンを記載する。
【0122】
[動作の説明]
図15は、マクロ基地局800−1の割り当て無線リソース設定部804が、使用を制限する無線リソースを設定するか否かを判定する動作手順を示すものである。割り当て無線リソース設定部804は、ピコ基地局700−1からPRB使用率を受信する度に、
図15に記載の動作を実行する。
【0123】
図15を参照すると、
図6のステップS201の替わりに、新たなステップS801〜ステップS802と、
図8のステップS302と、
図5のステップS101と、新たなステップS803〜ステップS804と、
図5のステップS104〜ステップS106が、記載の順に追加されている。そのため、以下では、ステップS801〜ステップS804の動作についてのみ説明する。
【0124】
先ず、割り当て無線リソース設定部804は、負荷測定部203が測定したマクロ基地局800−1のPRB使用率U_macroと、現在のSubframeにおいて送信バッファ205に滞留しているバッファサイズBS_presentと、現在のSubframeから所定時間T_subframe前のSubframeに送信バッファ205に滞留していたバッファサイズBS_pastと、その所定時間T_subframe内に送信バッファ205に到着したデータサイズΔSを用い、マクロ基地局800−1のRBあたりの伝送ビット数TB(Transmitted Bits)_macroを数式11に従って計算する(ステップS801)。数式11の右辺において、分子は所定時間T_subframe内にマクロ基地局800−1で送信が完了した総データサイズを表し、分母は所定時間T_subframe内にマクロ基地局800−1でデータ送信のために使用した総PRB数を表す。N_PRBはSubframe当たりに割り当て可能なPRB数であり、T_subframeはPRB使用率の通知周期である。
【0126】
次に、割り当て無線リソース設定部804は、マクロ基地局800−1の干渉指標L_macroを数式12Aに従って計算する(ステップS802)。数式12Aにより、現在時刻から所定時間T_subframeが経過するまでに使用できる総PRB数に対し、送信バッファに滞留しているデータを送信完了するまでに必要な述べPRB数との比をマクロ基地局800−1の干渉指標として計算できる。L_macroが1より大きくなる場合、送信バッファに滞留しているデータを所定時間T_subframe内に送信完了できないと予想できる。
【0128】
次いで、割り当て無線リソース設定部804は、計算したマクロ基地局800−1の干渉指標L_macroがしきい値L_Thr以上か否かを判定する(ステップS302)。しきい値L_Thr未満の場合(ステップS302、No)、割り当て無線リソース設定部804は、マクロ基地局800−1の送信確率は低く、ピコ基地局700−1の端末がマクロ基地局800−1から干渉を受ける確率も高くないと判定し、ステップS204に進む。一方、しきい値L_Thr以上の場合(ステップS302、Yes)、割り当て無線リソース設定部804は、マクロ基地局800−1の送信確率が高く、ピコ基地局700−1の端末がマクロ基地局800−1から干渉を受ける確率も高いと判定し、ピコ基地局700−1の遅延指標D_picoを数式1に従って計算し(ステップS101)、次いで、マクロ基地局800−1のABSの割合R_absを数式13に従って計算する(ステップS803)。数式13において、R_abs_maxは設定可能なABSの割合の最大値であり、本実施形態では7/8とする。また、U_Targetはピコ基地局700−1とマクロ基地局800−1のPRB使用率の差分値の目標値である。また、wは重み付け係数であり、本実施形態では1とする。また、FLOOR{t}は、引数tを上回らない最大の整数を返す関数である。数式13は、数式3の左辺ΔDをU_Targetに置き換え、数式1と数式2を用いて、ABSの割合R_absを求める式に変換したものである。従って、数式13により、ピコ基地局700−1のPRB使用率と使用を制限する無線リソースを設定したマクロ基地局800−1のPRB使用率の差分が目標値U_TargetとなるR_absを計算できる。
【0130】
次いで、割り当て無線リソース設定部804は、計算したマクロ基地局のABSの割合R_absが、最小値R_abs_min以上か否かを判定する(ステップS804)。本実施形態では、R_abs_minは、1/8とする。R_abs_min未満の場合(ステップS804、No)、設定可能なABSの割合を計算できないと判定し、ステップS204に進む。一方、R_abs_min以上の場合(ステップS804、Yes)、ステップS104に進む。
【0131】
以上、説明したように、本発明の第4実施形態に係わるピコ基地局700−1とマクロ基地局800−1によれば、マクロ基地局800−1の負荷が高い場合に、ピコ基地局700−1の遅延指標とマクロ基地局800−1の遅延指標に基づいてマクロ基地局800−1が使用を制限する無線リソースの割合を計算できるため、本発明の第1の実施形態と比較して、マクロ基地局が使用を制限する無線リソースを設定する機会が増加する。更に、本実施の形態によれば、ピコ基地局700−1はRNTPをマクロ基地局800−1へ通知しないため、本発明の第1の実施形態と比較して、通信回線NWを介した基地局間のシグナリング量を抑制できる。
【0132】
以上、上記実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成及び詳細に、本願発明の範囲内において当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0133】
例えば、割り当て無線リソース設定部804は、マクロ基地局800−1の干渉指標をマクロ基地局800−1のPRB使用率、或いはActive UE数としてもよい。
【0134】
また、割り当て無線リソース設定部804は、マクロ基地局800−1の干渉指標を計算せずにマクロ基地局800−1が使用を制限する無線リソースを設定するか否かを判定することもできる。この場合、
図15のステップS801〜ステップS803が省略できるため、本実施の形態と比較して、マクロ基地局800−1の処理負荷を軽減できる。
【0135】
また、本実施形態では計算したABSの割合を用いてマクロ基地局800−1が使用を制限する無線リソースを設定するか否かを判定していたが、他の実施の形態と同様、予め定義されたABSの割合を用いて判定しても良い。
【0136】
また、マクロ基地局の通信エリア内に複数のピコ基地局が配置された場合でも適用できる。この場合、割り当て無線リソース設定部804は、ピコ基地局700−1の遅延指標として、通信エリア内のピコ基地局毎に計算した遅延指標の平均値、或いは、累積分布の所定の値を用いる。
【0137】
また、マクロ基地局800−1の負荷指標L_macroは、数式12Bに従って計算することもできる。数式12Bにおいて、ΔS_aveは所定時間T_subframe内にマクロ基地局800−1の送信バッファ205に到着するデータサイズの平均値である。数式12Bにより、割り当て無線リソース設定部804は、現在時刻から所定時間T_subframeが経過するまでに使用できる総PRB数に対し、送信バッファに滞留しているデータと所定時間T_subframe内に発生するデータを送信完了するまでに必要な述べPRB数との比である推定PRB使用率をマクロ基地局800−1の負荷指標として計算できる。
【0139】
尚、ΔS_aveは、数式12Bを計算する直前に、数式14で更新される。数式14において、ΔS_ave_previousは、更新前のデータサイズの平均値であり、ωは重み付け係数である。
【0141】
以上の変更は、以降の実施形態も同様に行うことができる。
【0142】
[第5実施形態:周波数での干渉回避]
次に、本発明の第5の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。第4の実施の形態では使用を制限する無線リソースをSubframeとしていたのに対して、本実施形態では使用を制限する無線リソースをPRBにする点が異なる。また、第4の実施の形態では、使用を制限する無線リソースの割合をピコ基地局の負荷とマクロ基地局の負荷に基づいて計算していたのに対し、本実施形態では、固定値とする点が異なる。
【0143】
[構成の説明]
第5の実施の形態におけるピコ基地局は、第4の実施の形態におけるピコ基地局700と同じであるため、説明を省略する。
【0144】
図16は、第5の実施の形態における各マクロ基地局900の機能を表すブロック図である。マクロ基地局としてマクロ基地局900−1を用いて説明する。図には記載していないが、マクロ基地局900−2の機能は、マクロ基地局900−1の機能と同じである。
【0145】
第5の実施の形態におけるマクロ基地局900−1は、第4の実施の形態におけるマクロ基地局800−1と比較して、割り当て無線リソース設定部804に替えて割り当て無線リソース設定部904を有する点が異なる。以下では、割り当て無線リソース設定部904に関して説明する。
【0146】
割り当て無線リソース設定部904は、割り当て無線リソース804と同様の方法でマクロ基地局900−1の干渉指標を計算する機能と、ピコ基地局700−1から通知される負荷情報と、負荷測定部203が測定したマクロ基地局900−1の負荷と、ピコ基地局700−1の優先リソースの情報を用いて、ピコ基地局700−1の端末の遅延時間を判定するための遅延指標と、使用を制限する無線リソースを制限した場合のマクロ基地局900−1の端末の遅延時間を判定するための遅延指標をそれぞれ計算する機能を有する。更に、割り当て無線リソース設定部904は、計算したピコ基地局700−1の遅延指標と、マクロ基地局900−1の干渉指標と遅延指標を用いて、マクロ基地局900−1が使用を制限する無線リソースを設定するか否かを判定する機能を有する。
【0147】
本実施形態では、使用を制限する無線リソースはマクロ基地局900−1のPRBであり、ピコ基地局700−1の優先リソースはマクロ基地局900−1が端末に割り当てないPRBであり、使用を制限する無線リソースを設定する場合、予め決められたPRBを端末に割り当てないPRBとして設定する。
[動作の説明]
図17は、マクロ基地局900−1の割り当て無線リソース設定部904が、使用を制限する無線リソースを設定するか否かを判定する動作手順を示すものである。割り当て無線リソース設定部904は、ピコ基地局700−1からPRB使用率を受信する度に、
図17に記載の動作を実行する。
【0148】
図17を参照すると、
図14のステップS803〜S804とステップS104の替わりに、ステップS901が追加されている。また、
図14のステップS202〜ステップS205の替わりに、ステップS902〜ステップS905が追加されている。以下では、追加されたステップS901以降の動作についてのみ説明する。
【0149】
割り当て無線リソース設定部904は、マクロ基地局900−1の遅延指標D_macroを数式15に従って計算する(ステップS901)。数式15において、N_PRB_priorは、現在のSubframeにおけるマクロ基地局900−1が端末300−M1に割り当てないPRB数である。また、wは重み付け係数であり、本実施形態では1とする。マクロ基地局900−1が使用を制限する無線リソースを設定している場合、N_PRB_priorは予め定義された値となる。また、マクロ基地局900−1が使用を制限する無線リソースを設定していない場合、N_PRB_priorは0となる。
【0151】
続いて、割り当て無線リソース設定部904は、ピコ基地局700−1の遅延指標D_picoに対する、使用を制限する無線リソースを設定したマクロ基地局900−1の遅延指標D_macroの差分値ΔDを数式3に従って計算し(ステップS105)、計算した差分値ΔDが所要値Δ_Thr以上か否かを判定する(ステップS106)。
【0152】
差分値ΔDがしきい値Δ_Thr以上の場合(ステップS106、Yes)、割り当て無線リソース設定部904は、マクロ基地局900−1が使用を制限する無線リソースを設定した場合の端末300−M1の遅延時間の増大は大きくないと判定し、マクロ基地局900−1が既に端末に割り当てないPRBを設定しているか否かを判定する(ステップS902)。既に端末に割り当てないPRBを設定している場合(ステップS902、Yes)、割り当て無線リソース設定部904は、
図17の処理を終了する。一方、未だ端末に割り当てないPRBを設定していない場合(ステップS902、No)、割り当て無線リソース設定部904は、端末に割り当てないPRBを設定し、N_PRB_priorを予め定義した値に更新する(ステップS903)。これにより、マクロ基地局900−1が端末に割り当てないPRBにおいて、ピコ基地局700−1の各端末300−P1に対し、マクロ基地局800−1からの干渉が抑制される。その後、
図17の処理を終了する。
【0153】
差分値ΔDがしきい値Δ_Thr未満の場合(ステップS106、No)、割り当て無線リソース設定部904は、マクロ基地局1000−1が使用を制限する無線リソースを設定した場合の端末300−M1の遅延時間の増大は大きいと判定し、マクロ基地局900−1が既に端末に割り当てないPRBを設定しているか否かを判定する(ステップS904)。既に端末に割り当てないPRBを設定している場合(ステップS904、Yes)、割り当て無線リソース設定部904は、端末に割り当てないPRBの設定を解除し、N_PRB_priorを0に更新する。その後、
図17の処理を終了する。一方、端末に割り当てないPRBを設定していない場合(ステップS904、No)、割り当て無線リソース設定部904は、
図17の処理を終了する。
【0154】
また、マクロ基地局900−1の干渉指標L_macroがしきい値L_Thr未満の場合(ステップS302、No)、割り当て無線リソース設定部904は、ステップS904に進む。
【0155】
[第6実施形態:送信電力での干渉回避]
次に、本発明の第6の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。第4の実施の形態では使用を制限する無線リソースをSubframeとしていたのに対して、本実施形態では使用を制限する無線リソースを送信電力にする点が異なる。また、第4の実施の形態では、使用を制限する無線リソースの割合をピコ基地局の負荷とマクロ基地局の負荷に基づいて計算していたのに対し、本実施形態では、固定値とする点が異なる。
【0156】
[構成の説明]
第6の実施の形態におけるピコ基地局は、第4の実施の形態におけるピコ基地局700と同じであるため、説明を省略する。
【0157】
図18は、第6の実施の形態における各マクロ基地局1000の機能を表すブロック図である。マクロ基地局としてマクロ基地局1000−1を用いて説明する。図には記載していないが、マクロ基地局1000−2の機能は、マクロ基地局1000−1の機能と同じである。
【0158】
第6の実施の形態におけるマクロ基地局1000−1は、第4の実施の形態におけるマクロ基地局800−1と比較して、割り当て無線リソース設定部804に替えて割り当て無線リソース設定部1004を有する点が異なる。以下では、割り当て無線リソース設定部1004に関して説明する。
【0159】
割り当て無線リソース設定部1004は、各端末300−M1から報告されるCSIを用いて、使用を制限する無線リソースを設定しない場合のマクロ基地局1000−1の伝送レートに対する、使用を制限する無線リソースを設定した場合のマクロ基地局1000−1の伝送レートの比を計算する機能を有する。更に、割り当て無線リソース設定部1004は、計算した伝送レートの比と、負荷測定部203が測定したマクロ基地局1000−1の負荷を用いて、マクロ基地局1000−1の干渉指標を計算する機能を有する。更に、割り当て無線リソース設定部1004は、計算したそれぞれの伝送レートと、ピコ基地局700−1から通知される負荷情報と、負荷測定部203が測定したマクロ基地局1000−1の負荷を用いて、ピコ基地局700−1の端末の遅延時間を判定するための遅延指標と、使用を制限する無線リソースを設定した制限したマクロ基地局1000−1の端末の遅延時間を判定するための遅延指標をそれぞれ計算する機能を有する。更に、割り当て無線リソース設定部1004は、計算したピコ基地局700−1の遅延指標と、マクロ基地局1000−1の干渉指標と遅延指標を用いて、マクロ基地局1000−1が使用を制限する無線リソースを設定するか否かを判定する機能を有する。
【0160】
本実施形態では、使用を制限する無線リソースは、マクロ基地局1000−1のPDSCHの送信電力である。割り当て無線リソース設定部1004は、使用を制限するPDSCHの送信電力を設定する場合、各端末300−M1に対して、割り当て可能な帯域をシステム帯域に設定し、データチャネルであるPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)の送信電力を予め設定された基準送信電力よりも所定の値小さい送信電力に設定する。また、割り当て無線リソース設定部1004は、使用を制限する無線リソースを設定しない場合、端末300−M1に対して、端末300−M1に対して、割り当て可能な帯域をシステム帯域に設定し、送信電力を予め設定された基準送信電力に設定する。基準送信電力とは、マクロ基地局1000−1が使用を制限する無線リソースを設定しない場合の送信電力である。
【0161】
[動作の説明]
図19は、マクロ基地局1000−1の割り当て無線リソース設定部1004が、使用を制限する無線リソースを設定するか否かを判定する動作手順を示すものである。割り当て無線リソース設定部1004は、ピコ基地局700−1からPRB使用率を受信する度に、
図19に記載の動作を実行する。
【0162】
先ず、割り当て無線リソース設定部1004は、マクロ基地局1000−1に接続している各端末300−M1の送信電力P_pdschと基準電力P_rsを用いて、使用を制限する無線リソースを設定した場合のマクロ基地局1000−1の伝送レート(分子)に対する使用を制限する無線リソースを設定しない場合のマクロ基地局1000−1の伝送レート(分母)の比R_icicを、数式16に従って計算する(ステップS1001)。数式16において、TBS(t)は、t[dB]のSINRから伝送ビット数を算出する関数である。また、N_ueはマクロ基地局1000−1に接続している端末数、iはマクロ基地局1000−1に接続している端末を識別するためのインデックス番号、SINR_iは、インデックス番号がiの端末が報告したCQIの目標SINRの平均値、SINRから伝送ビット数は、基地局動作部201が保持するSINRに対する伝送ビット数のルックアップテーブルを参照して計算するのが一般的である。また、P_offset[dB]は、マクロ基地局1000−1が使用を制限する無線リソースを設定する場合の、送信電力の削減量である。送信電力の増減と伝送レートの増減には相関があるため、送信電力を削減した場合の伝送レートに対する削減しない場合の伝送レートの比を、使用を制限しない無線リソースの割合と仮定する。従って、P_offsetが0dBであれば、R_icicは1となり、使用を制限する無線リソースを設定しない場合と同様となる。
【0164】
次に、割り当て無線リソース設定部1004は、マクロ基地局1000−1に接続している各端末300−M1の送信電力P_pdschと基準電力P_rsが等しいか判定する(ステップS1002)。等しい場合(ステップS1002、Yes)、割り当て無線リソース設定部1004は、マクロ基地局1000−1の干渉指標L_macroを数式4に従って計算する(ステップS1003)。一方、等しくない場合(ステップS1002、No)、割り当て無線リソース設定部1004は、マクロ基地局1000−1の干渉指標L_macroを数式17に従って計算する(ステップS1003)。数式17により、マクロ基地局1000−1がPDSCHの送信電力を予め設定された基準送信電に設定した場合の、マクロ基地局1000−1のPRB使用率を推定できる。
【0166】
次に、割り当て無線リソース設定部1004は、計算したL_macroがしきい値L_Thr以上か否かを判定する(ステップS302)。
【0167】
しきい値L_Thr以上の場合(ステップS302、Yes)、割り当て無線リソース設定部1004は、マクロ基地局1000−1の送信確率が高く、ピコ基地局700−1の端末がマクロ基地局1000−1から干渉を受ける確率も高いと判定し、ピコ基地局700−1の遅延指標D_picoを数式1に従って計算し(ステップS101)、次いで、マクロ基地局1000−1に接続している各端末300−M1の送信電力P_pdschと基準電力P_rsが等しいか判定する(ステップS1005)。
【0168】
等しい場合(ステップS1005、Yes)、割り当て無線リソース設定部1004は、使用を制限する無線リソースを設定したマクロ基地局1000−1の遅延指標D_macroを数式18に従って計算する(ステップS1006)。数式18において、wは重み付け係数であり、本実施形態では1とする。数式18により、マクロ基地局1000−1がPDSCHの送信電力を予め設定された基準送信電力よりも所定の値小さい送信電力に設定した場合の、マクロ基地局1000−1のPRB使用率を推定できる。
【0170】
一方、等しくない場合(ステップS1005、No)、割り当て無線リソース設定部1004は、使用を制限する無線リソースを設定したマクロ基地局1000−1の遅延指標D_macroを数式19に従って計算する(ステップS1007)。数式19において、wは重み付け係数であり、本実施形態では1とする。
【0172】
続いて、割り当て無線リソース設定部1004は、ピコ基地局700−1の遅延指標D_picoに対する使用を制限する無線リソースを設定したマクロ基地局1000−1の遅延指標D_macroの差分値ΔDを数式3に従って計算し(ステップS105)、計算した差分値ΔDが所要値Δ_Thr以上か否かを判定する(ステップS106)。
【0173】
差分値ΔDが所要値Δ_Thr以上の場合(ステップS106、Yes)、割り当て無線リソース設定部1004は、マクロ基地局1000−1が使用を制限する無線リソースを設定した場合の端末300−M1の遅延時間の増大は大きくないと判定し、マクロ基地局1000−1のPDSCHの送信電力P_pdschと基準電力P_rsからP_offset(>0dB)を引いた値が等しいか判定する(ステップS1008)。等しい場合(ステップS1008、Yes)、割り当て無線リソース設定部1004は、
図19の処理を終了する。一方、等しくない場合(ステップS1008、No)、割り当て無線リソース設定部1004は、送信電力P_pdschを数式20に従って更新する(ステップS1009)。割り当て無線リソース設定部1004は、送信電力P_pdschの設定情報を基地局動作部201を介して、各端末300−M1に通知する。これにより、ピコ基地局700−1の各端末300−P1に対して、マクロ基地局1000−1からの干渉が抑制できる。
【0175】
一方、差分値ΔDが所要値Δ_Thr未満の場合(ステップS106、No)、割り当て無線リソース設定部1004は、マクロ基地局1000−1が使用を制限する無線リソースを設定した場合の端末300−M1の遅延時間の増大は大きいと判定し、マクロ基地局1000−1に接続している各端末300−M1の送信電力P_pdschと基準電力P_rsが等しいか判定する(ステップS1010)。等しい場合(ステップS1010、Yes)、割り当て無線リソース設定部1004は、
図19の処理を終了する。一方、等しくない場合(ステップS1010、No)、割り当て無線リソース設定部1004は、送信電力P_pdschを数式21に従って更新する(ステップS1011)。割り当て無線リソース設定部1004は、送信電力P_pdschの設定情報を、基地局動作部201を介して、各端末300−M1に通知する。
【0177】
以上、上記実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成及び詳細に、本願発明の範囲内において当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0178】
例えば、割り当て無線リソース設定部1004は、使用を制限する無線リソースを設定した場合のマクロ基地局1000−1の伝送レートに対する使用を制限する無線リソースを設定しない場合のマクロ基地局1000−1の伝送レートの比R_icicを、数式22に従って計算することもできる。数式22のLog
2(1+t)により、t(真値)のSINRから伝送レートを算出できる。これは、本分野で一般的に用いられるシャノンの通信容量定理(S=Log
2(1+t)、Sは伝送レート)を適用している。数式22において、REAL[t]は、引数t[dB]の真値を返す関数である。
【0180】
[第7実施形態:FeICIC]
次に、本発明の第7の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。第4の実施の形態では、仕様を制限する無線リソースではマクロ基地局は無線通信を行わなかったが、本実施形態では、送信電力を削減して無線通信を行う点が異なるまた、第4の実施の形態では、使用を制限する無線リソースの割合をピコ基地局の負荷とマクロ基地局の負荷に基づいて計算していたのに対し、本実施形態では、固定値とする点が異なる。
【0181】
[構成の説明]
第7の実施の形態におけるピコ基地局は、第4の実施の形態におけるピコ基地局700と同じであるため、説明を省略する。
【0182】
図20は、第7の実施の形態における各マクロ基地局1100の機能を表すブロック図である。マクロ基地局としてマクロ基地局1100−1を用いて説明する。図には記載していないが、マクロ基地局1100−2の機能は、マクロ基地局1100−1の機能と同じである。
【0183】
第7の実施の形態におけるマクロ基地局1100−1は、第4の実施の形態におけるマクロ基地局800−1と比較して、割り当て無線リソース設定部804に替えて割り当て無線リソース設定部1104を有する点が異なる。以下では、割り当て無線リソース設定部1104に関して説明する。
【0184】
割り当て無線リソース設定部1104は、各端末300−M1から報告されるCSIと、基地局動作部201が保持するABS設定情報を用いて、使用を制限する無線リソースを設定しない場合のマクロ基地局1101−1の伝送レートに対する、使用を制限する無線リソースを設定した場合のマクロ基地局1101−1の伝送レートの比を計算する機能を有する。更に、割り当て無線リソース設定部1104は、計算したそれぞれの伝送レートと、基地局動作部201が保持するABS設定情報と、負荷測定部203が測定したマクロ基地局1100−1の負荷を用いて、マクロ基地局1100−1の干渉指標を計算する機能を有する。更に、割り当て無線リソース設定部1104は、計算したそれぞれの伝送レートと、基地局動作部201が保持するABS設定情報と、負荷測定部203が測定したマクロ基地局1100−1の負荷と、ピコ基地局700−1から通知される負荷情報を用いて、ピコ基地局700−1の端末の遅延時間を判定するための遅延指標と、使用を制限する無線リソースを設定したマクロ基地局1100−1の端末の遅延時間を表す遅延指標をそれぞれ計算する機能を有する。更に、割り当て無線リソース設定部1104は、計算したピコ基地局700−1の遅延指標と、マクロ基地局1100−1の干渉指標と遅延指標を用いて、マクロ基地局1100−1が使用を制限する無線リソースを設定するか否かを判定し、基地局動作部201が管理する周辺基地局リストを参照して、判定結果をピコ基地局700−1に通知する機能を有する。
【0185】
本実施形態では、使用を制限する無線リソースは、マクロ基地局1100−1のSubframeであり、使用を制限するSubframeをABSとする。割り当て無線リソース設定部1104は、使用を制限するSubframe無線リソースを設定する場合、予め定義されたABSの割合を用いて、第1の実施形態における割り当て無線リソース設定部204と同様の方法でABSを設定する。また、割り当て無線リソース設定部1104は、使用を制限する無線リソースを設定しない場合はABSを設定しない。また、マクロ基地局1100−1は、ABSでは、PDSCHの送信電力を基準送信電力から端末300−M1毎に決定する電力オフセット値だけ小さい送信電力にして無線通信を行う。非特許文献6(3GPP TS 36.104 V11.1.0(2012−07)、3GPP TSG RAN E−UTRAN BS radio transmission and reception、p.28、July. 2012)に記載されているように、各端末300−Mの電力オフセット値は、端末300−M1が報告するCSIに基づき決定される変調方式で削減可能な送信電力の最大値とする。また、判定結果の通知にはABS設定情報を用いる。ABS設定情報としては、ABSを1、Non−ABSを0として、ABSパターンを記載する。
【0186】
[動作の説明]
図21は、マクロ基地局1100−1の割り当て無線リソース設定部1104が、使用を制限する無線リソースを設定するか否かを判定する動作手順を示すものである。割り当て無線リソース設定部1104は、ピコ基地局700−1からPRB使用率を受信する度に、
図21に記載の動作を実行する。
【0187】
図21を参照すると、
図19のステップS1001〜ステップS1004に替えて、新たにステップS1101〜ステップS1104が追加されている。また、
図19のステップS1005〜ステップS1007に替えて、新たにステップS1105〜ステップS1107が追加されている。また、
図19のステップS1008〜ステップS1011に替えて、
図5のステップS202〜ステップS205が追加されている。以下では、新たに追加されたステップS1101〜S1107の動作についてのみ説明する。
【0188】
先ず、割り当て無線リソース設定部1104は、使用を制限する無線リソースを設定した場合のマクロ基地局1101−1の伝送レートに対する、使用を制限する無線リソースを設定しない場合のマクロ基地局1101−1の伝送レートの比R_feicicを、数式23に従って計算する(ステップS1101)。数式23において、R_absは予め定義されているマクロ基地局1100−1のABSの割合であり、TBS(t[dB])は、t[dB]のSINRから伝送ビット数を算出する関数である。また、P_offset_iは、インデックス番号がiの端末のABSにおける電力オフセット値である。P_offset_iは、インデックス番号がiの端末が報告するCSIに基づき決定される変調方式で削減可能な送信電力の最大値である。送信電力の増減と伝送レートの増減には相関があるため、第6の実施形態同様、送信電力を削減した場合の伝送レートに対する削減しない場合の伝送レートの比を、使用を制限しない無線リソースの割合と仮定する。
【0190】
次に、割り当て無線リソース設定部1104は、マクロ基地局200−1がABSを設定しているか否かを判定する(ステップS1102)。割り当て無線リソース設定部1104は、既にABSを設定している場合(ステップS1102、Yes)、マクロ基地局1100−1の干渉指標L_macroを数式24に従って計算する(ステップS1103)。数式24により、ABSを設定しない場合のマクロ基地局1101−1のPRB使用率を推定できる。
【0192】
一方、未だABSを設定していない場合(ステップS1102、No)、割り当て無線リソース設定部1104は、マクロ基地局1100−1の干渉指標L_macroを数式4に従って計算する(ステップS1104)。
【0193】
次に、割り当て無線リソース設定部1104は、計算したL_macroがしきい値L_Thr以上か否かを判定する(ステップS302)。
【0194】
しきい値L_Thr以上の場合(ステップS302、Yes)、割り当て無線リソース設定部1104は、マクロ基地局1100−1の送信確率が高く、ピコ基地局700−1の端末がマクロ基地局1100−1から干渉を受ける確率も高いと判定し、ピコ基地局700−1の遅延指標D_picoを数式1に従って計算する(ステップS101)。
【0195】
次いで、割り当て無線リソース設定部1104は、マクロ基地局200−1がABSを設定しているか否かを判定する(ステップS1105)。既にABSを設定している場合(ステップS1105、Yes)、割り当て無線リソース設定部1104は、使用を制限する無線リソースを設定したマクロ基地局1100−1の遅延指標D_macroを数式19に従って計算する(ステップS1106)。一方、未だABSを設定していない場合(ステップS1105、No)、使用を制限する無線リソースを設定したマクロ基地局1100−1の遅延指標D_macroを数式25に従って計算する(ステップS1106)。数式25において、wは重み付け係数であり、本実施形態では1とする。数式25により、ABSを設定した場合のマクロ基地局1101−1のPRB使用率を推定できる。
【0197】
以上、上記実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成及び詳細に、本願発明の範囲内において当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0198】
例えば、割り当て無線リソース設定部1104は、マクロ基地局1100−1が使用を制限する無線リソースを設定しない場合の伝送レートに対する使用を制限する無線リソースを設定した場合の伝送レートの比R_feicicを、数式26に従って計算することもできる。数式26のLog
2(1+t)により、t(真値)のSINRから伝送レートを算出できる。これは、本分野で一般的に用いられるシャノンの通信容量定理(S=Log
2(1+t)、Sは伝送レート)を適用している。数式26において、REAL[t]は、引数t[dB]の真値を返す関数である。
【0200】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0201】
上述の実施の形態では、ハードウェアの構成として説明したが、これに限定されるものではなく、端末もしくは基地局における処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。この場合、コンピュータプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non−transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0202】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0203】
この出願は、2012年11月9日に出願された日本出願特願2012−246961を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。