特許第6206419号(P6206419)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6206419金属基板表面の被覆方法、電気化学的装置および燃料電池用プレート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206419
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】金属基板表面の被覆方法、電気化学的装置および燃料電池用プレート
(51)【国際特許分類】
   C23C 28/00 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   C23C28/00 C
【請求項の数】17
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-558925(P2014-558925)
(86)(22)【出願日】2013年2月25日
(65)【公表番号】特表2015-515538(P2015-515538A)
(43)【公表日】2015年5月28日
(86)【国際出願番号】US2013027630
(87)【国際公開番号】WO2013126883
(87)【国際公開日】20130829
【審査請求日】2016年2月19日
(31)【優先権主張番号】61/602,253
(32)【優先日】2012年2月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/760,767
(32)【優先日】2013年2月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514211574
【氏名又は名称】トレードストーン テクノロジーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100161322
【弁理士】
【氏名又は名称】白坂 一
(72)【発明者】
【氏名】ワン ツォンホァ
【審査官】 坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−163739(JP,A)
【文献】 特開2003−226985(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/082734(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0058205(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 8/10,8/36,28/00
C25D 11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基板を準備するステップと、
前記金属基板の表面上にチタン合金を積層するステップと、
前記金属基板の前記表面上に積層された前記チタン合金を熱処理するステップと
を備え、
前記熱処理するステップでは、前記チタン合金の表面上でドープチタニア材料を成長させて、導電性ドープチタニア表面層を形成し、かつ、前記導電性ドープチタニア表面層と前記金属基板との間で前記チタン合金の層を維持し、
前記チタン合金は+4よりも大きい価数を有する元素を含有する金属基板表面の被覆方法。
【請求項2】
前記+4よりも大きい価数を有する元素は、ニオブ、バナジウム、ヒ素、セレン、アンチモン、モリブデンまたはタングステンの少なくとも一つを備え、前記+4よりも大きい価数を有する元素の濃度は、1〜30%の範囲内である請求項1に記載の金属基板表面の被覆方法。
【請求項3】
前記ドープチタニア材料は、熱酸化処理を用いて成長される請求項1に記載の金属基板表面の被覆方法。
【請求項4】
前記ドープチタニア材料は、プラズマ酸化処理を用いて成長される請求項1に記載の金属基板表面の被覆方法。
【請求項5】
前記金属基板表面の被覆方法は、さらに、
前記金属基板上に界面層を設けるステップを備える請求項1に記載の金属基板表面の被覆方法。
【請求項6】
第1の表面を有する金属部材と、
チタン合金層によって前記金属部材の前記第1表面に接着されている導電性ドープチタニア表面層
を備え、
前記導電性ドープチタニア表面層および前記チタン合金層は、+4よりも大きい価数を有する同じ元素を含有する電気化学的装置。
【請求項7】
前記+4よりも大きい価数を有する元素は、ニオブ、バナジウム、ヒ素、セレン、アンチモン、モリブデンまたはタングステンの少なくとも一つを備え、前記+4よりも大きい価数を有する元素の濃度は、1〜30%の範囲内である請求項6に記載の電気化学的装置。
【請求項8】
前記電気化学的装置は、電解槽セルであり、前記金属部材は、分離プレートまたはガス拡散層である請求項6に記載の電気化学的装置。
【請求項9】
前記電気化学的装置は、鉛酸フローバッテリであり、前記金属部材は、前記バッテリの電極である請求項6に記載の電気化学的装置。
【請求項10】
前記電気化学的装置は、フローバッテリであり、前記金属部材は、前記フローバッテリの分離プレートまたは電極である請求項6に記載の電気化学的装置。
【請求項11】
前記電気化学的装置は、プロトン交換膜燃料電池であり、前記金属部材は、前記プロトン交換膜燃料電池の分離プレートである請求項6に記載の電気化学的装置。
【請求項12】
前記電気化学的装置は、さらに、
前記金属部材上に界面層を備える請求項6に記載の電気化学的装置。
【請求項13】
第1の表面を有する金属基板と、
前記金属基板の前記第1の表面上の、チタン合金を含む被覆層と、
ドープチタニウム材料を備え、前記チタン合金を含む被覆層によって前記金属基板の前記第1表面に結合される導電性ドープチタニア表面層と
を備え、
前記チタン合金は、前記ドープチタニウム材料におけるドーパントと同じ+4よりも大きい価数を有する元素を含有する燃料電池用プレート。
【請求項14】
前記チタン合金は、ニオブを備える請求項13に記載の燃料電池用プレート。
【請求項15】
前記チタン合金は、約0.1nm〜100μmの厚さを有する請求項13に記載の燃料電池用プレート。
【請求項16】
前記チタン合金は、約0.01μm〜10μmの厚さを有する請求項13に記載の燃料電池用プレート。
【請求項17】
前記チタン合金は、約0.5μm〜5μmの厚さを有する請求項13に記載の燃料電池用プレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2012年2月23日に提出された米国仮出願番号61/602,253および2013年2月5日に提出された米国仮出願番号61/760,767に基づく優先権を主張する。ここに本明細書の一部を構成するものとして上記出願の内容を援用する。
【0002】
本発明の実施形態は、電気化学的利用のための金属表面の電気伝導率、耐食性および電極反応活性の強化に関する。より詳細には、ここで開示される実施形態は、典型的に、金属部材の高い耐食性および導電性表面を必要とする、電気化学的適用のための金属表面を修正するためのチタン合金および導電性酸化チタンの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
金属材料は、塩素アルカリ処理中の電極および燃料電池における分離プレートを含む様々な電気化学的装置において広く用いられる。金属部材は、バッテリ、電解槽および電気化学的ガス分離装置においても用いられる。これら適用のほとんどにおいて、金属部材の表面は、電気化学的装置の内部の電気損失を減少させるための高い電気伝導率(または低い電気抵抗)、または、高い運転効率のための電極分極を減少させるための電極反応のための高い活性を必要とする。本出願の主な挑戦は、金属部材がその高い電気伝導率を維持する間、高い耐食性をも有さなければならないということである。電極として金属を用いる適用において、金属表面は高い効率の電極反応のための高い触媒活性を有するべきである。
【0004】
特許文献1は、耐食性および導電性カーボン層で被覆された燃料電池金属双極性プレートを開示する。このプレートは、金属基板と被覆層との間にサブレイヤを有する。耐食性のさらなる改善を目的として、被覆層は、カーボン層の孔を密閉する上塗りシーリングで処理される。
【0005】
特許文献2は、多相表面被覆を有する燃料電池金属双極性プレートを開示する。一の相は金属であり、他の相は、金属窒化物、金属酸化物、金属炭化物または金属ホウ化物で構成される化合物相である。
【0006】
特許文献3は、燃料電池金属分離プレートを開示する。この分離プレートは、金属基板上に導電性、耐食性表面層を有する。この表面層は、金属炭化物、金属ホウ化物、および、金属酸化物を備える。表面層と金属基板との間には、金属層があり、表面層と金属基板との接着を向上させる。金属層は、クロムリッチ表面不活性膜である。
【0007】
特許文献4は、燃料電池ステンレス鋼分離プレートを開示する。このプレートは、金属窒化物、金属炭化物および金属ホウ化物を具える導電性および耐食性表面層を有する。この表面層は、ステンレス鋼に修正された表面上に積層される。
【0008】
特許文献5は、燃料電池双極性プレートを開示する。このプレートは、金(Au)またはプラチナ(Pt)表面層および酸素含有界面層を有する。
【0009】
特許文献6は、導電層で被覆された燃料電池双極性プレートを開示する。導電層は、炭素、モリブデンドープインジウム酸化物、クロム窒化物またはMoSi層とすることができる。特許文献6の公報は、導電性被覆層と基板層との間の下層を明確に開示しない。
【0010】
特許文献7は、燃料電池における表面被覆層として、ドープTiOを含む導電性酸化物を使用すること開示する。積層処理は、物理的気相成長法を含む。
【0011】
しかしながら、従来技術においては、長期間の運転の間、高い電気伝導率、耐食性および電極反応活性を必要とする電気化学的装置用の金属部材を、低コストで生産する方法の必要性が依然として残ったままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,649,031号明細書
【特許文献2】米国特許第6,689,213号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0134501号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2009/0269649号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2008/0107928号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2009/0015029号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2007/0003813号明細書
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、金属プレート表面上に積層されたTi合金連続層上に成長された導電性チタニアを有する金属プレートの概略図を示す。
図2図2は、金属プレート表面上に積層されたTi合金粒子上に成長された導電性チタニアを有する金属プレートの概略図を示す。
図3図3は、双極性燃料スタックの概略図を示す。
図4図4は、ここで開示される実施形態が利用されることができる電解槽セルの例を示す。
図5図5は、ここで開示される実施形態が利用されることができるバッテリの例を示す。
図6図6は、ここで開示される実施形態が利用されることができるバッテリの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の詳細な説明において、材料の種類および寸法のような複数の明確な詳細は、後述される好適な実施形態の十分な理解を提供する目的で記載される。好適な実施形態に関連して説明される詳細は、本発明を限定するものと理解されるべきではない。さらにまた、理解を容易にするため、ある方法ステップは、分離したステップとして説明されるが、これらステップは、それらの性能において必ずしも違ったステップまたは依存したステップと解釈されるべきではない。
【0015】
ここで開示される本実施形態の目的は、チタン合金層が積層された金属表面を提供することであり、このチタン合金層の表面上には、導電性ドープチタン酸化物を成長させることができる。開示された実施形態の可能な適用は、燃料電池、バッテリ、電解槽およびガス分離装置を含む電気化学的装置における使用を含む。当然のことながら、ドープチタン酸化物を成長させることは、積層方法よりも良い品質(例えば、より良い接着品質)を提供できることから、より良い技術である。
【0016】
開示された方法の利点は、長期間の運転中、高い電気伝導率、耐食性および電極反応活性を必要とする電気化学的装置用の金属部材を、低コストで製造できることである。以下で説明されるように、これら装置は、燃料電池、バッテリ、電解槽およびガス分離装置を含む。
【0017】
通常のチタン酸化物(チタニア)は、TiOの形で電気絶縁体である。TiO中のチタンは、Ti+4の価数ステータスである。あるプロセスを通して、いくつかのTi+4は、Ti+3およびTi+2のようなより低い化学価数に変えられることができる。酸化物中の複数の価数のTiの共存は、チタン酸化物を優れた導電体(すなわち、導電性チタニア)にすることができる。
【0018】
Ti+4をより低い化学価数に変える一つの方法は、高温でTiOを減少させて、それを室温まで急冷し、Ti+3およびTi+2を“凍結”する方法である。減少されたチタン酸化物(すなわち、減少されたチタニア)の最終的な化学式は、TiOである。ここでのxは、2よりも小さい。
【0019】
より信頼性のある方法は、高価数元素酸化物(例えば、MまたはMO)をTiOにドープし、ドーパント酸化物およびTiO(すなわち、ドープチタニア、M:TiO)の固溶体を形成する方法である。ドーパントの高価数は、チタン酸化物結晶構造中の低価数(+2および+3)チタンを安定させ、これは、ドープチタニアを導電性にするであろう。共通のドーパントは、ニオブ(Nb)およびタンタル(Ta)である。
【0020】
金属表面上に直接酸化物を積層することは、酸化物の金属表面への不十分な接着のリスクを有することが知られている。この問題は、ここで開示される実施形態において、より良い接着のために、チタン合金上にチタン酸化物を成長させることにより解決される。
【0021】
ここで開示される実施形態は、チタン合金上に成長された導電性チタニアを使用する。チタン合金は、金属基板表面上に塗布され、電気化学的適用のための金属の表面電気抵抗、耐食性および電極反応活性を向上させる。本実施形態は、また、チタン合金の表面上にドープチタニアを形成する。
【0022】
開示された原理によれば、チタン合金は、例えば、気相成長法(物理的または科学的)および溶射を含む様々な積層技術によって積層されることができる。その後、導電性チタニアは、チタン合金表面上に成長されることができる。チタン合金は、また、合金元素としてドーパント元素の適正濃度を有する。この濃度は、1〜30%の範囲内であり、好ましくは1〜10%の間である。チタン合金は、低コスト金属基板表面上に積層されることができ、チタン合金は、金属基板の全表面または金属基板の部分的な表面を覆うことができる。
【0023】
金属基板は、チタン、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、クロム、ニッケルおよびそれらの合金、または、耐食性表面処理が施された低コストカーボン鋼、ステンレス鋼、銅、アルミニウムおよびそれらの合金のような耐食性金属とすることができる。
【0024】
ある実施形態において、チタン合金は、数ある中でも、例えば、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、ヒ素(As)、セレン(Se)、アンチモン(Sb)、モリブデン(Mo)、または、タングステン(W)のような、高価数(例えば、+4よりも大きい)元素を含有する。ドープチタニア層は、その適用の間、合金表面上に自然に成長することができる。また、ドープチタニア層は、熱酸化処理、陽極酸化処理およびプラズマ酸化処理のような特別な処理ステップを通して成長することもできる。
【0025】
図1は、第一の実施形態の概略図を示したものである。図1に示すように、金属基板31の全表面上は、チタン合金32で被覆される。ドープチタニア表面層33は、チタン合金表面上で成長される。
【0026】
別の実施形態において、チタン合金は、金属基板表面を部分的に覆うよう積層される。図2を参照すると、チタン合金粒子42は、金属基板41の表面上に、この表面を部分的にだけ覆って積層される。ドープチタニア表面層43は、チタン合金粒子表面上に成長される。
【0027】
当然のことながら、図1および図2の実施形態は、上述した特定の外観に限定されない。例えば、図示されないが、処理中における基板からの合金の混入を防ぐために、そして、基板への合金の接着を改善するために、基板上には、界面層が設けられることができる。また、ここで挙げられる成長条件は、単なる一例に過ぎず、当然のことながら、成長は、基板が装置内に置かれる前または後に発生することができる。用いられる正確な処理(すなわち、熱酸化処理、陽極酸化処理、プラズマ酸化処理)は、適用の種類または処理コストによって決まるであろう。
【0028】
一の適用において、ニオブドープチタニア(Nb:TiOx)層は、例えば、物理的気相成長処理によって、ステンレス鋼基板表面上に積層される。ドープチタニア中のNb濃度は、2〜10%である。Nbドープチタニアの厚さは、0.1μmである。このプレートは、プロトン交換膜(PEM)燃料電池用の分離プレートとして用いられることができ、この例は、図3に示される。
【0029】
容器19に配置される燃料電池スタック10の例は、図3に示される。燃料電池スタック10は、3つのMEA(膜・電極一体構造)/GDL(ガス分配層)を含む。これらMEA/GDLの各々は、プロトン交換膜(PEM)11およびガス分配層(GDL)14を備える。PEM11の両側には陽極12および陰極13が設けられてMEAを形成し、このMEAの両側には隣接してガス分配層14が設けられる。分離プレート15は、隣接するMEA/GDLの間に配置され、エンドプレート16は、3つのMEA/GDLにより形成される燃料電池スタック10の両端に存在する。分離プレート15は、一方の側に陽極12を、他方の側に陰極13を有するような、双極性分離プレートと呼ばれる。陽極および陰極が隣接するMEAにおいて交換される単極性分離プレートを有する燃料電池スタックもまた、上述したように従来知られている。これらの種類の燃料電池スタックのいずれかは、追加の部材(連結管など。図示せず。)と組み合わせて、従来良く知られたような燃料電池デバイスを形成することができる。
【0030】
別の適用において、薄いTi15Nb合金(例えば、Tiが85重量%、Nbが15重量%の合金)層は、例えば、物理的気相成長処理によって、チタン基板表面上に積層される。Ti15Nb層の厚さは、0.5μmである。そして、被覆チタン基板は、600℃で熱酸化処理されて、安定したNbドープチタニア表面層が得られる。この被覆チタン基板は、水電解セル中の部材として用いられることができる。特に、被覆チタン基板は、電解槽セル中の単一の双極性プレートおよび/または酸素ガス拡散層として用いられることができ、この例は図4に示される。図4は、プロトン交換膜(PEM)電解槽セルモジュールまたはアルカリ交換膜(AEM)電解槽セルモジュールの簡易化された概略図を描いたものであり、これらは、ここでは単に電解槽セルモジュール600と呼ばれる。電解槽スタックは、繰り返される多くのセルモジュール600で構築される。このセルモジュール600は、電解液621、水素発生用の陰極触媒622、水素ガス拡散層623、酸素発生用の陽極触媒624、酸素ガス拡散層625、および、双極性分離プレート626を含み、このセルモジュール600の運転は、従来良く知られている。
【0031】
さらなる一の適用において、Ti20Ta(例えば、Tiが80重量%、Taが20重量%)合金の粒子は、溶射処理によってチタン基板上に積層される。そして、被覆チタン基板は、空気中において450℃で熱酸化処理され、Ti20Ta合金粒子上にTaドープチタニア表面層を得る。この被覆Tiプレートは、図5に示されるバッテリ722のような可溶性鉛酸フローバッテリの電極として用いられることができる。バッテリ722は、複数の電極724,726および分離した区画に設けられた種々のセル元素を含む。バッテリ電極活性材料は、全て固形状で、電極プレート724,726表面上で結合されることができる。同様に、ドープチタン酸化粒子は、従来の鉛酸バッテリにおいて用いられることができる。
【0032】
さらに別の適用において、Ti20Nb合金は、バナジウムレドックスフローバッテリ用の分離プレートおよび/または電極として用いられることができる。基板が所望の形状に形成された後、この基板は、例えば、Nbドープチタニアの層を成長させるために、高電圧で陽極酸化処理される。その後、ドープチタニアを有するTi合金基板は、より良い結晶化構造を形成するために、高温で加熱処理される。導電性チタニアの高表面積は、図6に示されるバッテリ800の例のような、バナジウムレドックスフローバッテリにおけるバナジウムイオンレドックス反応に必要な高い電極反応活性を有するであろう。バッテリ800は、電極801、および、電解質溶液を液貯するための外部タンク806および807、電解槽セルECを備え、ポンプ808および809は、外部タンク806および807から、電解セルECへ、活性材料を含有する電解質溶液を送っている。電解槽セルEC中に組み込まれた電極801は、電気化学的転換(すなわち、充放電)を実行する。
【0033】
典型的なフローバッテリは、全液体フローバッテリであり、この全液体フローバッテリは、電極反応の反応体および製品のすべてが液体で、セルECの中および外へ流れることができる。別のタイプは、セミフローバッテリである。このセミフローバッテリは、少なくとも一つの電極反応が、液体と固体の反応である。このフローバッテリの種類は、Zr−Brバッテリ(亜鉛イオンの亜鉛金属に対する反応を含む)およびすべてのイオンバッテリ(鉄イオンの鉄金属に対する反応を含む)を含む。金属プレートは、電極として用いられることができる。
【0034】
上述したように、当然のことながら、ここで開示された実施形態は、上述した特定の外観に限定されない。例えば、図示されないが、図1および図2の実施形態において、処理中における基板からの合金の混入を防ぐために、そして、基板への合金の接着を改善するために、基板上には、界面層が設けられることができる。また、ここで挙げられた成長条件は、単なる一例に過ぎず、当然のことながら、成長は、基板が装置内に置かれる前または後に発生することができる。用いられる正確な処理(すなわち、熱酸化処理、陽極酸化処理、プラズマ酸化処理)は、適用の種類または処理コストによって決まるであろう。また、ドーパントの濃度は、1〜30%、好ましくは1〜10%の範囲内とすることができる。
【0035】
前述の例は、単に説明の目的で提供されたものであり、決して限定と解されるものではない。様々な実施形態が作成される一方で、ここで用いられた用語は、限定の用語というよりはむしろ、記述および説明のための用語である。さらに、特定の手段、材料および実施形態が示されたが、ここで開示された事項に限定されるものではない。むしろ、実施形態は、すべての機能的に均等な構造、方法および用途のすべてに拡大し、これらは本発明の範囲内である。
【0036】
追加的に、要約は、特許庁および通常の一般人、ならびに、特に、特許または法律の用語または表現に詳しくない、本発明の技術分野における科学者、技術者および実務者に、すばやく一瞥して本出願の技術的開示の本質を見出させることを可能にすることを目的とする。要約は、本発明の範囲に関して、決して限定されることを意図とするものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6