(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206425
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】トーイングトラクタ
(51)【国際特許分類】
B62D 21/02 20060101AFI20170925BHJP
B62D 21/18 20060101ALI20170925BHJP
B62D 49/00 20060101ALI20170925BHJP
B62D 49/08 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
B62D21/02 Z
B62D21/18 Z
B62D49/00 Z
B62D49/08 A
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-21825(P2015-21825)
(22)【出願日】2015年2月6日
(65)【公開番号】特開2016-144957(P2016-144957A)
(43)【公開日】2016年8月12日
【審査請求日】2016年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】深津 史浩
(72)【発明者】
【氏名】竹中 崇晃
【審査官】
須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第04173264(US,A)
【文献】
特開2002−003188(JP,A)
【文献】
特開平01−208283(JP,A)
【文献】
特開2007−106320(JP,A)
【文献】
特開2002−056832(JP,A)
【文献】
特開2004−269208(JP,A)
【文献】
特開平10−131750(JP,A)
【文献】
特開平07−172800(JP,A)
【文献】
実開昭54−049016(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 21/02
B62D 21/18
B62D 49/00
B62D 49/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延びるフレームと、前記フレームの後部に接続されるウェイトとを備え、
前記フレームは、互いにボルトによって接続され、前方に位置するフロントフレーム部材と、前記フロントフレーム部材の後方に位置して前記前後方向に延び、前記ウェイトに接続されるセンターフレーム部材とからなり、
前記フロントフレーム部材は、幅方向に延びるとともに前記幅方向の長さが異なる複数の第1被選択部材と、前記第1被選択部材の両端にボルトによって接続され、前記前後方向に延びるとともに前記前後方向の長さが異なる複数の第2被選択部材とから、前記フロントフレーム部材が支持する構成物に応じて選択され、
前記センターフレーム部材は、前記前後方向の長さが異なる複数の被選択部材から、前記センターフレーム部材が支持する前記構成物に応じて選択されていることを特徴とするトーイングトラクタ。
【請求項2】
前記ウェイトは前記センターフレーム部材にボルトによって接続されている請求項1記載のトーイングトラクタ。
【請求項3】
前記フロントフレーム部材は、前記構成物のうち、少なくとも前輪を支持し、
前記センターフレーム部材は、可及的に下方に搭載されるべき前記構成物を支持している請求項1又は2記載のトーイングトラクタ。
【請求項4】
前記センターフレーム部材は、前記前後方向に延びる軸部と、前記軸部の前端から上方に延びる前方接続部と、前記軸部の後端から上方に延びる後方接続部とからなる請求項3記載のトーイングトラクタ。
【請求項5】
前記構成物は、前記前輪、座席、エンジン、トランスミッション、燃料タンク、後輪及びリヤアクスルを有し、
前記フロントフレーム部材は、前記前輪を支持するとともに、前記エンジンを支持し、
前記センターフレーム部材は、前記トランスミッション及び前記燃料タンクを支持し、
前記ウェイトは、前記座席、前記後輪及び前記リヤアクスルを支持している請求項3又は4記載のトーイングトラクタ。
【請求項6】
前記構成物は、前記前輪、座席、バッテリ、コントローラ、後輪、モータ及びリヤアクスルを有し、
前記フロントフレーム部材は、前記前輪及び前記座席を支持し、
前記センターフレーム部材は、前記バッテリを支持し、
前記ウェイトは、前記コントローラ、前記後輪、前記モータ及び前記リヤアクスルを支持している請求項3又は4記載のトーイングトラクタ。
【請求項7】
前記構成物は、前記前輪、座席、バッテリ、コントローラ、後輪、モータ及びリヤアクスルを有し、
前記フロントフレーム部材は、前記前輪を支持し、
前記センターフレーム部材は、前記バッテリ及び前記コントローラを支持し、
前記ウェイトは、前記座席、前記後輪、前記モータ及び前記リヤアクスルを支持している請求項3又は4記載のトーイングトラクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトーイングトラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来のトーイングトラクタの一例が開示されている。この種のトーイングトラクタは、前後方向に延びるフレームと、このフレームの後部に接続されるウェイトとを備えている。
【0003】
この種のトーイングトラクタには、エンジンによって走行するものの他、モータによって走行するものがある。また、モータによって走行するトーイングトラクタでも、運転席が前部に設けられるものの他、運転席が後部に設けられるものもある。これらのトーイングトラクタは、それら形態の相違により、空港等において、種々の嗜好、用途で用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−98672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の各トーイングトラクタは、形態毎に異なるフレームが用いられていた。このため、各トーイングトラクタの開発、製造又は改良には多くの工数や時間が必要となっていた。また、各フレームは長尺であるため、各々のフレーム毎に大きな生産設備も必要となっていた。このため、従来のトーイングトラクタは製造コストの低廉化が困難であった。
【0006】
また、それらのフレームは、複数の部材を熟練と長い作業時間とをかけて溶接することによって製造されていた。このため、従来のトーイングトラクタは、この意味においても、製造コストの低廉化が困難であった。また、溶接による各部材の接続強度は管理し難く、フレームの品質、ひいてはトーイングトラックの品質の維持も困難であった。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、高い品質を維持しつつ、製造コストの低廉化を実現可能なトーイングトラクタを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のトーイングトラクタは、前後方向に延びるフレームと、前記フレームの後部に接続されるウェイトとを備え、
前記フレームは、互いにボルトによって接続され
、前方に位置するフロントフレーム部材と、前記フロントフレーム部材の後方に位置して前記前後方向に延び、前記ウェイトに接続されるセンターフレーム部材とからなり、
前記フロントフレーム部材は、幅方向に延びるとともに前記幅方向の長さが異なる複数の第1被選択部材と、前記第1被選択部材の両端にボルトによって接続され、前記前後方向に延びるとともに前記前後方向の長さが異なる複数の第2被選択部材とから、前記フロントフレーム部材が支持する構成物に応じて選択され、
前記
センターフレーム部材は、前記前後方向の長さ
が異なる
複数の被選択部材から、前記
センターフレーム
部材が支持する
前記構成物に応じて選択されていることを特徴とする。
【0009】
本発明のトーイングトラクタでは、形態が異なっても、
第1被選択部材、第2被選択部材及び被選択部材の少なくとも一
つを共通化することが可能である。このため、各トーイングトラクタの開発、製造又は改良の工数や時間を削減することが可能になる。また、前後の長さの短い
フロントフレーム部材及びセンターフレーム部材によって長尺のフレームを組み付けるまでは、生産設備の小型化も実現できる。特に、
各第1被選択部材及び各第2被選択部材及び各被選択部材の取り扱いは容易である。このため、各トーイングトラクタの製造が容易であるとともに、生産設備の確実な小型化を実現できる。
【0010】
また、本発明のトーイングトラクタでは、
フロントフレーム部材とセンターフレーム部材とをボルトによって接続していることから、
フロントフレーム部材とセンターフレーム部材との接続作業に熟練が必要でなく、作業時間も短くて足る。また、ボルトによる接続強度は締結トルクの管理によって容易に管理可能である。
【0011】
したがって、本発明のトーイングトラクタは、高い品質を維持しつつ、製造コストの低廉化を実現可能である。
【0012】
ウェイトは
センターフレーム
部材にボルトによって接続されていることが好ましい。この場合、
センターフレーム
部材とウェイトともボルトによって接続することから、高い作業性と、品質の維持とを確保可能である。
【0013】
フレームは、前方に位置するフロントフレーム部材と、フロントフレーム部材の後方に位置し、フロントフレーム部材及びウェイトに接続されるセンターフレーム部材とからな
る。フロントフレーム部材は、構成物のうち、少なくとも前輪を支持し得る。センターフレーム部材は、可及的に下方に搭載されるべき構成物を支持し得る。この場合、エンジンによって走行するトーイングトラクタや、モータによって走行するトーイングトラクタが得られる。
【0014】
フロントフレーム部材は、幅方向に延びる
複数の第1被選択部材と、第1被選択部材の両端にボルトによって接続され、前後方向に延びる
複数の第2被選択部材とからな
る。この
ため、トーイングトラクタの幅方向と前後方向とにバリエーションをもたせることができる。
【0015】
センターフレーム部材は、前後方向に延びる軸部と、軸部の前端から上方に延びる前方接続部と、軸部の後端から上方に延びる後方接続部
とからなり得る。この場合、トーイングトラクタの前後方向にバリエーションをもたせることができる。
【0016】
構成物は、前輪、座席、エンジン、トランスミッション、燃料タンク、後輪及びリヤアクスルを有し得る。フロントフレーム部材は、前輪を支持するとともに、エンジンを支持し得る。センターフレーム部材は、トランスミッション及び燃料タンクを支持し得る。ウェイトは、座席、後輪及びリヤアクスルを支持し得る。この場合、エンジンによって走行するトーイングトラクタが得られる。
【0017】
構成物は、前輪、座席、バッテリ、コントローラ、後輪、モータ及びリヤアクスルを有し得る。フロントフレーム部材は、前輪及び座席を支持し得る。センターフレーム部材は、バッテリを支持し得る。ウェイトは、コントローラ、後輪、モータ及びリヤアクスルを支持し得る。この場合、モータによって走行し、運転席が前部に設けられるトーイングトラクタが得られる。
【0018】
構成物は、前輪、座席、バッテリ、コントローラ、後輪、モータ及びリヤアクスルを有し得る。フロントフレーム部材は、前輪を支持し得る。センターフレーム部材は、バッテリ及びコントローラを支持し得る。ウェイトは、座席、後輪、モータ及びリヤアクスルを支持し得る。この場合、モータによって走行し、運転席が後部に設けられるトーイングトラクタが得られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のトーイングトラクタは、高い品質を維持しつつ、製造コストの低廉化を実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施例1〜3に係り、フロントフレーム部材を構成する複数の被選択部材を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施例1〜3に係り、フロントフレーム部材を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施例1〜3に係り、センターフレーム部材を構成する複数の被選択部材を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施例1〜3に係り、複数のウェイトを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施例1〜3に係り、複数のプラットフォームを示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施例1〜3に係り、あるプラットフォームと、これに装着する他の部品等を示す分解斜視図である。
【
図7】
図7は、実施例1のトーイングトラクタの製造中を示す平面図である。
【
図8】
図8は、実施例1のトーイングトラクタの製造中を示す側面図である。
【
図9】
図9は、実施例1のトーイングトラクタの製造中を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、実施例1のトーイングトラクタを示す斜視図である。
【
図11】
図11は、実施例2のトーイングトラクタの製造中を示す平面図である。
【
図12】
図12は、実施例2のトーイングトラクタの製造中を示す側面図である。
【
図13】
図13は、実施例2のトーイングトラクタの製造中を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、実施例2のトーイングトラクタを示す斜視図である。
【
図15】
図15は、実施例3のトーイングトラクタの製造中を示す平面図である。
【
図16】
図16は、実施例3のトーイングトラクタの製造中を示す側面図である。
【
図17】
図17は、実施例3のトーイングトラクタの製造中を示す斜視図である。
【
図18】
図18は、実施例3のトーイングトラクタを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施例1〜3を図面を参照しつつ説明する。
【0022】
(実施例1)
実施例1では、エンジンによって走行するトーイングトラクタを製造する。まず、倉庫には、
図1に示すように、第1部材1と、第2部材3と、第3部材5と、第4部材7とが複数本ずつ用意されている。これらは、
図5に示す第1、2フロントフレーム部材9、11を構成可能な被選択部材である。
図1に示すように、これら第1〜4部材1、3、5、7は鋼鉄製の長尺の板材である。
【0023】
第1部材1の両端側には、上下で2個ずつのボルト穴1aが形成されている。上下のボルト穴1aは第1部材1の幅方向で互いに離れ、各ボルト穴1aは第1部材1を厚さ方向で貫通している。
【0024】
第2部材3は、第1部材1と同一の幅及び厚みを有するが、第1部材1よりも長い。この場合、トーイングトラクタの幅方向にバリエーションをもたせることができる。第2部材3の両端側にも、第1部材1の各ボルト穴1aと同様のボルト穴3aが形成されている。第1部材1の上下のボルト穴1aの位置と、第2部材3の上下のボルト穴3aの位置とは等しくされている。
【0025】
第3部材5の一端側には、複数個のボルト穴5aが形成されている。各ボルト穴5aは第3部材5を厚さ方向で貫通している。また、第3部材5の一端側の端面には、第1部材1のボルト穴1aや第2部材3のボルト穴3aと整合するボルト穴5bが形成されている。さらに、第3部材5の他端側の端面にも、
図5に示すように、各ボルト穴5bと同様のボルト穴5cが形成されている。
【0026】
図1に示すように、第4部材7は、第3部材5と同一の幅及び厚みを有するが、第3部材5よりも長い。この場合、トーイングトラクタの前後方向にバリエーションをもたせることができる。第4部材7の一端側、一端側の端面及び他端側の端面にも、第3部材5の各ボルト穴5a、5b、5cと同様のボルト穴7a、7b、7c(
図5参照)が形成されている。第3部材5の各ボルト穴5aの位置と、第4部材7の各ボルト穴7aの位置とは等しくされている。
【0027】
図2に示すように、1本の第1部材1と、2本の第3部材5とを選択する。第1部材1が第1被選択部材に相当し、第3部材5が第2被選択部材に相当する。そして、第1部材1の各ボルト穴1aから第3部材5の各ボルト穴5bに向けてボルト13を螺合する。この際、締結トルクを管理する。こうして、第1フロントフレーム部材9が得られる。
【0028】
また、
図3に示すように、倉庫には、第5部材15と、第6部材17とも複数本ずつ用意されている。これらは、
図5に示す第1、2センターフレーム部材19、21を構成可能な被選択部材である。
図3に示すように、これら第5、6部材15、17は鋼鉄製である。
【0029】
第5部材15は、前後方向に延びる軸部15aと、軸部15aの前端から上方に延びる前方接続部15bと、軸部15aの後端から上方に延びる後方接続部15cとからなる。前方接続部15bには上下で2個のボルト穴15dが形成されている。上下のボルト穴15dは第5部材15の高さ方向で互いに離れ、各ボルト穴15dは第5部材15を前後方向で貫通している。各ボルト穴15dは、第3部材5のボルト穴5cや第4部材7のボルト穴7cと整合している。後方接続部15cにも上下で2個のボルト穴15eが形成されている。上下のボルト穴15eも第5部材15の高さ方向で互いに離れ、各ボルト穴15eも第5部材15を前後方向で貫通している。軸部15aの前方には1個のボルト穴15fが形成されている。ボルト穴15fは第5部材15を上下方向で貫通している。
【0030】
第6部材17は、前後方向に延びる軸部17aと、軸部17aの前端から上方に延びる前方接続部17bと、軸部17aの後端から上方に延びる後方接続部17cとからなる。軸部15aと軸部17aとは太さは等しいが、軸部17aは軸部15aよりも長い。この場合、トーイングトラクタの前後方向にバリエーションをもたせることができる。前方接続部15bと前方接続部17bとは長さも太さも等しい。また、後方接続部15cと後方接続部17cとは長さも太さも等しい。前方接続部17bには、前方接続部15bの各ボルト穴15dと同様のボルト穴17dが形成されている。後方接続部17cには、前方接続部15bの各ボルト穴15eと同様のボルト穴17eが形成されている。軸部17aの前方にも、軸部15aのボルト穴15fと同様のボルト穴17fが形成されている。第5部材15における前方接続部15bの上下のボルト穴15dの位置と、第6部材17における前方接続部17bの上下のボルト穴17dの位置とは等しくされている。また、第5部材15における後方接続部15cの上下のボルト穴15eの位置と、第6部材17における後方接続部17cの上下のボルト穴17eの位置とは等しくされている。
【0031】
さらに、
図4に示すように、倉庫には、第1ウェイト23と、第2ウェイト25とも複数個ずつ用意されている。これら第1、2ウェイト23、25は鋳造品に切削加工を施した物である。
【0032】
第1ウェイト23の前面の左右には、上下で2個ずつのボルト穴23aが形成されている。上下のボルト穴23aは、第1ウェイト23の高さ方向で互いに離れ、前後に延びている。各ボルト穴23aは、第5部材15のボルト穴15eや第6部材17のボルト穴17eと整合している。
【0033】
第2ウェイト25は、第1ウェイト23と同一の幅及び厚みを有するが、第1ウェイトよりも長い。この場合、トーイングトラクタの前後方向にバリエーションをもたせることができる。第2ウェイト25の前面の左右にも、第1ウェイト23の各ボルト穴23aと同様のボルト穴25aが形成されている。第1ウェイト23の上下のボルト穴23aの位置と、第2ウェイト25の上下のボルト穴25aの位置とは等しくされている。
【0034】
エンジンによって走行するトーイングトラクタを製造する場合、
図5に示すように、第1フロントフレーム部材9と、2本の第5部材15と、第1ウェイト23とが選択される。そして、両第5部材15における前方接続部15bのボルト穴15dから第1フロントフレーム部材9におけるボルト穴5cに向けてボルト13を螺合する。この際、締結トルクを管理する。また、両第5部材15における後方接続部15cのボルト穴15eから第1ウェイト23のボルト穴23aに向けてボルト13を螺合する。この際も、締結トルクを管理する。また、左右の第5部材15における軸部15aの裏側に補強部材28を設け、両ボルト穴15fに図示しないボルト13を螺合する。この際も、締結トルクを管理する。こうして、第1プラットフォーム27が得られる。この第1プラットフォーム27は、ボルト13によって互いに接続された第1フロントフレーム部材9及び第1センターフレーム部材19からなる第1フレーム27aと、第1フレーム27aの後部でボルト13によって接続された第1ウェイト23とからなる。
【0035】
図6に示すように、この第1プラットフォーム27に対し、フロントガード31、右フェンダ33、左フェンダ35、燃料タンク37等を組み付ける。より詳細に言えば、
図7〜10に示すように、第1フロントフレーム部材9は、左右の前輪
39を支持するとともに、エンジン41を支持する。第1センターフレーム部材19は、トランスミッション43及び燃料タンク37を支持する。第1ウェイト23は、座席45、左右の後輪47及びリヤアクスル49を支持する。こうして、エンジン41によって走行するトーイングトラクタが完成する。
【0036】
(実施例2)
実施例2では、モータによって走行し、運転席が前部に設けられるトーイングトラクタを製造する。この場合も、
図5に示す第1プラットフォーム27が用いられる。そして、
図11〜14に示すように、第1フロントフレーム部材9は、左右の前輪39及び座席45を支持する。第1センターフレーム部材19は、バッテリ51を支持する。第1ウェイト23は、コントローラ53、左右の後輪47、モータ55及びリヤアクスル57を支持する。こうして、そのトーイングトラクタが完成する。
【0037】
(実施例3)
実施例3では、モータによって走行し、運転席が後部に設けられるトーイングトラクタを製造する。この場合、
図5に示すように、1本の第1部材1と、2本の第4部材7とを選択する。第1部材1が第1被選択部材に相当し、第4部材7が第2被選択部材に相当する。そして、第1部材1の各ボルト穴1aから第4部材7の各ボルト穴7bに向けてボルト13を螺合する。この際、締結トルクを管理する。こうして、第2フロントフレーム部材11が得られる。
【0038】
また、第2フロントフレーム部材11と、2本の第6部材17と、第2ウェイト25とが選択される。そして、両第6部材17における前方接続部17bのボルト穴17dから第2フロントフレーム部材11におけるボルト穴7cに向けてボルト13を螺合する。この際、締結トルクを管理する。また、両第6部材17における後方接続部17cのボルト穴17eから第2ウェイト25のボルト穴25aに向けてボルト13を螺合する。この際も、締結トルクを管理する。また、左右の第6部材17における軸部17aの裏側に補強部材28を設け、両ボルト穴17fに図示しないボルト13を螺合する。この際も、締結トルクを管理する。こうして、第2プラットフォーム29が得られる。この第2プラットフォーム29は、ボルト13によって互いに接続された第2フロントフレーム部材11及び第2センターフレーム部材21からなる第2フレーム29aと、第2フレーム29aの後部でボルト13によって接続された第2ウェイト25とからなる。
【0039】
そして、
図15〜18に示すように、第2フロントフレーム部材11は、左右の前輪39を支持する。第2センターフレーム部材21は、バッテリ51及びコントローラ53を支持する。第2ウェイト25は、座席45、左右の後輪47、モータ55及びリヤアクスル57を支持する。こうして、そのトーイングトラクタが完成する。
【0040】
なお、車幅の広いトーイングトラクタを製造する場合には、第1部材1に代えて第2部材3を採用し、補強部材28に代えてこれよりやや長い補強部材を採用することも可能である。この場合、トーイングトラクタの幅方向にバリエーションをもたせることができる。
【0041】
これら実施例1〜3のトーイングトラクタでは、形態が異なっても、第1部材1を共通化している。このため、各トーイングトラクタの開発、製造又は改良の工数や時間を削減することが可能になっている。
【0042】
また、第1、2フロントフレーム部材9、11、第1、2センターフレーム部材19、21及び第1、2ウェイト23、35は第1、2プラットフォーム27、29よりも短く、第1、2フロントフレーム部材9、11及び第1、2センターフレーム部材19、21は第1、2フレーム27a、29aよりも短い。このため、各トーイングトラクタは、生産設備の小型化も実現できる。特に、各第1〜6部材1、3、5、7、15、17の取り扱いは容易である。このため、各トーイングトラクタの製造が容易であるとともに、生産設備の確実な小型化を実現できる。
【0043】
また、各トーイングトラクタでは、第1、2フロントフレーム部材9、11は第1、3、4部材1、5、7をボルト13によって接続し、第1、2フロントフレーム部材9、11と第1、2センターフレーム部材19、21とをボルト13によって接続している。このため、各部材等の接続作業に熟練が必要でなく、作業時間も短くて足る。また、ボルト13による接続強度は締結トルクの管理によって容易に管理可能である。特に、第1、2ウェイト23、25も第1、2フレーム27a、29aにボルト13によって接続されている。
【0044】
したがって、各トーイングトラクタは、高い品質を維持しつつ、製造コストの低廉化を実現可能である。
【0045】
以上において、本発明を実施例1〜3に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜3に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明はトーイングトラクタに利用可能である。
【符号の説明】
【0047】
27a、29a…フレーム(27a…第1フレーム、29a…第2フレーム)
23、25…ウェイト(23…第1ウェイト、25…第2ウェイト)
13…ボルト
9、11、19、21…フレーム部材(9…第1フロントフレーム部材、11…第2フロントフレーム部材、19…第1センターフレーム部材、21…第2センターフレーム部材)
1、3、5、7、15、17…被選択部材(1…第1被選択部材、第1部材、3…第1被選択部材、第2部材、5…第2被選択部材、第3部材、7…第2被選択部材、第4部材、15…第5部材、17…第6部材)
39、45、41、43、37、47、49、51、53、55、57…構成物(39…前輪、45…座席、41…エンジン、43…トランスミッション、37…燃料タンク、47…後輪、49…リヤアクスル、51…バッテリ、53…コントローラ、55…モ−タ、57…リヤアクスル)
15a、17a…軸部
15b、17b…前方接続部
15c、17c…後方接続部