(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電源から供給される電力を、電力系統に対応する交流電力へ変換し、複数の出力線を介して前記電力系統に出力する電力変換部と、前記複数の出力線間を接続するコンデンサと、前記コンデンサよりも前記電力系統側において前記複数の出力線のそれぞれに配置され、前記電力変換部と前記電力系統との間の接続/切断を切り替えるスイッチとを備える電力変換装置の制御装置であって、
前記電力変換部が駆動していない場合において、前記電力系統の電圧の瞬時値と前記コンデンサの電圧との差が閾値以下になった場合に、前記コンデンサに対して、前記電力系統の電圧の瞬時値に応じた交流電圧が印加開始されるように、前記電力変換部の駆動を開始し、当該駆動を開始した後に、前記電力変換部と前記電力系統とを接続するように前記スイッチを制御する制御部、を備える
ことを特徴とする制御装置。
電源から供給される電力を、電力系統に対応する交流電力へ変換し、複数の出力線を介して前記電力系統に出力する電力変換部と、前記複数の出力線間を接続するコンデンサと、前記コンデンサよりも前記電力系統側において前記複数の出力線のそれぞれに配置され、前記電力変換部と前記電力系統との間の接続/切断を切り替えるスイッチとを備える電力変換装置の制御方法であって、
前記電力変換部が駆動していない場合において、前記電力系統の電圧の瞬時値と前記コンデンサの電圧との差が閾値以下になった場合に、前記コンデンサに対して、前記電力系統の電圧の瞬時値に応じた交流電圧が印加開始されるように、前記電力変換部の駆動を開始することと、
前記電力変換部の駆動を開始した後に、前記電力変換部と前記電力系統とを接続するように前記スイッチを制御することと
を含むことを特徴とする制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する電力変換装置、発電システム、制御装置および制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
[1.発電システム]
図1Aは、実施形態に係る発電システムの構成例を示す図である。
図1Aに示す発電システム100は、電力変換装置1および発電装置2を備える。
【0012】
電力変換装置1は、発電装置2などの電源から供給される電力を電力系統3に対応する交流電力へ変換して電力系統3へ出力する。発電装置2は、例えば、太陽電池、直流発電機、燃料電池などの直流発電装置や交流発電装置である。
【0013】
電力変換装置1は、電力変換部10と、フィルタ11と、スイッチ12と、制御部20とを備え、発電装置2から供給される電圧を電力系統3の電圧Vs(以下、系統電圧Vsと記載する)の位相、周波数および振幅に合わせた電圧へ変換して電力系統3へ出力する。
【0014】
電力変換部10は、制御部20による制御に基づき、発電装置2から供給される電力を電力系統3に対応する交流電力へ変換して電力系統3へ出力する。かかる電力変換部10は、発電装置2が直流発電装置である場合、例えば、昇圧回路とインバータとを備える。昇圧回路は、発電装置2によって発電された直流電圧を昇圧し、インバータは、昇圧回路によって昇圧された電圧を電力系統3に対応する電圧へ変換する。
【0015】
また、発電装置2が交流発電装置である場合、電力変換部10は、例えば、コンバータと、インバータとを備える。コンバータは、発電装置2によって発電された交流電力を直流電力へ変換し、インバータは、コンバータから出力される直流電力を電力系統3に対応する交流電力へ変換する。
【0016】
フィルタ11は、リアクトルL1、L2とコンデンサC1とを有するLCフィルタである。リアクトルL1、L2は、電力変換部10とスイッチ12との間にそれぞれ直列に接続される。コンデンサC1は、リアクトルL1、L2間に接続される。
【0017】
スイッチ12は、例えば、電磁リレーであり、フィルタ11と電力系統3との間に接続される。かかるスイッチ12によって、電力変換部10と電力系統3との間の接続と切断が行われる。
【0018】
制御部20は、電力変換部10を制御して、系統電圧Vsに対応する交流電圧を電力変換部10から出力させ、また、スイッチ12を制御して、電力変換部10と電力系統3との間の接続および切断を行う。
【0019】
図1Bは、制御部20による電力変換部10およびスイッチ12の制御例を示す図である。
図1Bに示すように、時刻t1までは、電力変換装置1の系統連系が停止している状態であり、制御部20は、スイッチ12をオフにして電力変換部10と電力系統3との間を切断しており、また、電力変換部10に対する電力変換制御を停止している。
【0020】
その後、制御部20は、時刻t1で電力変換部10に対する電力変換制御を開始する。時刻t1は、コンデンサC1の電圧(以下、コンデンサ電圧Vcと記載する)に応じたタイミングであり、例えば、コンデンサ電圧Vcと系統電圧Vsとが一致するタイミングである。電力変換部10に対する電力変換制御を開始した後、制御部20は、時刻t2において、スイッチ12をオンにし、電力変換部10と電力系統3との間を接続し、系統連系を開始する。
【0021】
このように、制御部20は、コンデンサ電圧Vcに応じたタイミングでコンデンサC1へ交流電圧を印加する制御(以下、交流電圧印加制御と記載する)を開始する。そのため、コンデンサ電圧Vcの大きさに関わらず、電力変換部10とコンデンサC1との間に過電流が流れることを抑制しつつ、迅速に交流電圧印加制御を開始できる。
【0022】
例えば、コンデンサC1に残留電圧が存在する場合であっても、コンデンサの残留電圧の大きさに応じたタイミングで交流電圧印加制御が開始される。そのため、電力変換部10とコンデンサC1との間に過電流が流れることを抑制しつつ、コンデンサ電圧Vcがゼロになるタイミング(例えば、
図1Bに示すt3)まで待つことなく、交流電圧印加制御を開始することができる。
【0023】
一方、コンデンサC1に残留電圧が存在する場合に系統電圧Vsのゼロクロス点(例えば、
図1Bに示す時刻t0)で交流電圧印加制御を開始したとする。この場合、コンデンサ電圧Vcと系統電圧Vsとの差が大きい状態で電力変換部10からコンデンサC1へ交流電圧が印加されるため、電力変換部10とコンデンサC1との間にリアクトルL1、L2を介して過電流が流れるおそれがある。
【0024】
実施形態に係る電力変換装置1は、上述のように、過電流の発生を抑制することができるため、例えば、電力変換部10のスイッチング素子、リアクトルL1、L2およびコンデンサC1の劣化や電力変換部10内部での共振の発生を抑制することができる。
【0025】
また、実施形態に係る電力変換装置1は、コンデンサC1に残留電圧がある場合であっても、過電流を抑制しつつ、再起動を迅速に行うことができるため、稼働率や発電量の低下を抑制することができる。
【0026】
また、電力変換装置1は、コンデンサC1の静電容量に影響を受けないため、コンデンサC1の静電容量を大きくし、リアクトルL1、L2を小型化できることから、電力変換装置1の小型化を図ることができる。また、電力変換装置1は、放電回路を設けなくてもよいため、この点でも、電力変換装置1の小型化を図ることができる。
【0027】
[2.電力変換装置1]
次に、実施形態に係る電力変換装置1の構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る電力変換装置1の構成例を示す図である。
図2に示す例では、発電装置2は、例えば、太陽光パネルなどの太陽電池、直流発電機、燃料電池などの直流発電装置である。
【0028】
図2に示すように、電力変換装置1は、入力端子Tp、Tnと、出力端子Tu、Twと、電力変換部10と、フィルタ11と、スイッチ12と、系統電圧判定部13と、コンデンサ電圧判定部14と、操作部15と、制御部20とを備える。入力端子Tp、Tnは、発電装置2に接続され、出力端子Tu、Twは、電力系統3に接続される。
【0029】
電力変換部10は、昇圧回路31とインバータ回路32とを備える。
図3は、昇圧回路31とインバータ回路32の構成例を示す図である。
図3に示す例では、昇圧回路31は、昇圧チョッパ形の昇圧回路であり、インバータ回路32は、フルブリッジインバータ回路であるが、昇圧回路31とインバータ回路32は
図3に示す例に限定されない。
【0030】
系統電圧判定部13は、出力端子Tu、Tw間の電圧、すなわち、系統電圧Vsを判定する。例えば、系統電圧判定部13は、出力端子Tu、Tw間の電圧の瞬時値を検出することによって系統電圧Vsの瞬時値を判定することができる。
【0031】
また、系統電圧判定部13は、瞬断などによって系統電圧Vsを検出できない場合、瞬断前の系統電圧Vsに基づいて系統電圧Vsの瞬時値を推定することによって系統電圧Vsの瞬時値を判定することができる。例えば、系統電圧判定部13は、瞬断前の系統電圧Vsと位相が連続して変化し、周波数と振幅が瞬断前の系統電圧Vsと同じ交流電圧の瞬時値を系統電圧Vsとして推定することができる。
【0032】
コンデンサ電圧判定部14は、コンデンサC1の両端電圧(以下、コンデンサ電圧Vc)を判定する。例えば、コンデンサ電圧判定部14は、コンデンサC1の両端電圧を検出することによってコンデンサ電圧Vcを判定することができる。
【0033】
また、コンデンサ電圧判定部14は、コンデンサC1への交流電圧の印加が停止されたときの系統電圧Vsの瞬時値と電力変換装置1におけるコンデンサC1の放電特性とに基づいて、コンデンサ電圧Vcを推定することができる。
【0034】
ここで、電力変換装置1におけるコンデンサC1の放電特性は、リアクトルL1、L2の特性に依存する。これは、コンデンサC1、リアクトルL1、L2およびインバータ回路32によって閉回路が形成され、リアクトルL1、L2の抵抗成分にコンデンサC1の放電電流が依存するためである。コンデンサ電圧判定部14は、リアクトルL1、L2の特性に基づいて、コンデンサC1の放電によるコンデンサ電圧Vcの低下状態を推定することができる。
【0035】
また、コンデンサC1の放電特性は、コンデンサC1の静電容量にも依存する。コンデンサ電圧判定部14は、リアクトルL1、L2の特性に加え、コンデンサC1の静電容量に基づいて、コンデンサC1の放電によるコンデンサ電圧Vcの低下状態を推定することができる。例えば、コンデンサ電圧判定部14は、コンデンサC1の静電容量とリアクトルL1、L2の抵抗成分とに基づく時定数によってコンデンサC1の放電特性を推定することができる。なお、コンデンサ電圧判定部14は、コンデンサC1の放電特性のデータ(例えば、コンデンサ電圧Vcと経過時間との関係とを関連付けたテーブルや演算式)を記憶しておき、かかるデータに基づいて、コンデンサ電圧Vcを推定することができる。
【0036】
制御部20は、
図2に示すように、昇圧回路駆動部21と、インバータ駆動部22と、スイッチ駆動部23と、系統連系制御部24とを備える。昇圧回路駆動部21およびインバータ駆動部22は、第1駆動部および印加制御部の一例であり、スイッチ駆動部23は、第2駆動部の一例である。
【0037】
制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。かかるマイクロコンピュータのCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、昇圧回路駆動部21、インバータ駆動部22、スイッチ駆動部23および系統連系制御部24の機能を実現する。また、系統電圧判定部13およびコンデンサ電圧判定部14についても、上記CPUが上記プログラムを読み出して実行することにより実現することができる。
【0038】
また、昇圧回路駆動部21、インバータ駆動部22、スイッチ駆動部23、系統連系制御部24、系統電圧判定部13およびコンデンサ電圧判定部14の少なくとも一部または全部をハードウェアのみで構成することもできる。
【0039】
昇圧回路駆動部21は、昇圧回路31を制御することによって、発電装置2によって発電された直流電圧を昇圧する。例えば、昇圧回路31が
図3に示す構成である場合、昇圧回路駆動部21は、エネルギーをリアクトルL3に蓄積する第1処理と、リアクトルL3に蓄積したエネルギーをコンデンサC3に蓄積する第2処理を繰り返す。
【0040】
昇圧回路駆動部21は、スイッチング素子Q5をオンにし、スイッチング素子Q6をオフにすることによって第1処理を行い、スイッチング素子Q5をオフにし、スイッチング素子Q6をオンにすることによって第2処理を行う。
【0041】
インバータ駆動部22は、系統電圧判定部13によって判定された系統電圧Vsの位相、周波数および振幅に応じた電圧がインバータ回路32から出力されるように、インバータ回路32を制御する。
【0042】
インバータ回路32が
図3に示す構成である場合、インバータ駆動部22は、PWM(Pulse Width Modulation)制御によってスイッチング素子Q1〜Q4をオン/オフ制御することによって、系統電圧Vsの位相、周波数および振幅に応じた電圧をインバータ回路32から出力する。
【0043】
スイッチ駆動部23は、スイッチ12のオン/オフ制御を行うことによって、電力変換部10と電力系統3との間の接続および切断を行う。
【0044】
系統連系制御部24は、昇圧回路駆動部21、インバータ駆動部22およびスイッチ駆動部23を制御して、系統連系の起動や停止を行う。
【0045】
かかる系統連系制御部24は、例えば、電力変換装置1の設置者や利用者などによる操作部15への入力操作に基づき、系統連系の起動や停止を行う。例えば、系統連系制御部24は、操作部15への入力操作が系統連系の起動を指示する操作(以下、起動操作と記載する)である場合、系統連系を起動する。
【0046】
また、系統連系制御部24は、操作部15への入力操作が系統連系の停止を指示する操作(以下、停止操作と記載する)である場合、系統連系を停止する。さらに、系統連系制御部24は、電力系統3の状態に基づき、系統連系の起動や停止を行う。
【0047】
かかる系統連系制御部24は、電圧異常検出部25、電圧差判定部26およびタイミング判定部27を備える。電圧異常検出部25は、電力系統3の異常を検出する。例えば、電圧異常検出部25は、系統電圧Vsが所定値以下となってから所定時間(例えば、1秒)が経過しても系統電圧Vsが所定値以下である場合に、電力系統3に異常があると判定する。
【0048】
電圧異常検出部25は、系統電圧Vsに異常があることを検出した場合、昇圧回路駆動部21、インバータ駆動部22およびスイッチ駆動部23を制御する。これにより、昇圧回路駆動部21およびインバータ駆動部22は、昇圧回路31およびインバータ回路32を制御して電力変換部10からの交流電圧の出力を停止し、また、スイッチ駆動部23はスイッチ12をオフにすることで、系統連系が停止する。
【0049】
電圧差判定部26は、系統電圧判定部13によって判定された系統電圧Vsとコンデンサ電圧判定部14によって判定されたコンデンサ電圧Vcとの差(以下、電圧差Vdiffと記載する)を判定する。
【0050】
タイミング判定部27は、起動操作があった場合、電圧差Vdiffや系統電圧Vsに基づいてコンデンサ電圧Vcに応じたタイミング(以下、起動タイミングと記載する)を判定する。タイミング判定部27は、判定した起動タイミングに基づいて、昇圧回路駆動部21、インバータ駆動部22およびスイッチ駆動部23を制御する。
【0051】
また、タイミング判定部27は、停止操作があった場合、系統電圧Vsに基づいてコンデンサ電圧Vcに応じたタイミング(以下、停止タイミングと記載する)を判定することができる。タイミング判定部27は、判定した停止タイミングに基づいて、昇圧回路駆動部21、インバータ駆動部22およびスイッチ駆動部23を制御する。
【0052】
図4は、タイミング判定部27の構成の一例を示す図である。
図4に示すように、第1起動タイミング判定部41と、第2起動タイミング判定部42と、第1停止タイミング判定部43と、第2停止タイミング判定部44とを備える。
【0053】
第1起動タイミング判定部41は、起動操作があった場合、電圧差判定部26によって判定された電圧差Vdiffに基づいて、起動タイミングを判定する。第1起動タイミング判定部41は、判定した起動タイミングに基づいて、昇圧回路駆動部21およびインバータ駆動部22を制御して電力変換部10から系統電圧Vsに応じた電圧を出力させる。
【0054】
第1起動タイミング判定部41は、電力変換部10から系統電圧Vsに応じた電圧が出力された後に、スイッチ駆動部23を制御して電力変換部10と電力系統3との接続を行う。
【0055】
また、第2起動タイミング判定部42は、起動操作があった場合、電圧差判定部26によって判定された電圧差Vdiffに基づいて、起動タイミングを判定する。第2起動タイミング判定部42は、判定した起動タイミングに基づき、スイッチ駆動部23を制御して電力変換部10と電力系統3との接続を行う。
【0056】
第2起動タイミング判定部42は、電力変換部10と電力系統3との接続が行われた後に、昇圧回路駆動部21およびインバータ駆動部22を制御して電力変換部10から系統電圧Vsに応じた電圧を出力させる。
【0057】
なお、第1起動タイミング判定部41および第2起動タイミング判定部42は設定等に基づき、いずれか一方のみが動作する。なお、
図4に示す例では、タイミング判定部27は、第1起動タイミング判定部41および第2起動タイミング判定部42を有するが、これらの起動タイミング判定部のうちいずれか一方のみを有する構成であってもよい。
【0058】
第1停止タイミング判定部43は、停止操作があった場合、系統電圧Vsによらずにすぐに、昇圧回路駆動部21、インバータ駆動部22およびスイッチ駆動部23を制御して、系統連系を停止する。
【0059】
第2停止タイミング判定部44は、停止操作があった場合、系統電圧Vsに基づいて、停止タイミングを判定する。第2停止タイミング判定部44は、判定した停止タイミングに基づいて、昇圧回路駆動部21、インバータ駆動部22およびスイッチ駆動部23を制御して、系統連系を停止する。
【0060】
なお、第1停止タイミング判定部43および第2停止タイミング判定部44は設定等に基づき、いずれか一方のみが動作する。なお、
図4に示す例では、タイミング判定部27は、第1停止タイミング判定部43および第2停止タイミング判定部44を有するが、これらの停止タイミング判定部のうちいずれか一方のみを有する構成であってもよい。
【0061】
図5は、系統連系制御部24による系統連系制御の一例を示す図であり、電力変換部10による電力変換制御の状態、スイッチ12による電力系統3との接続(以下、系統接続と記載する)の状態、コンデンサ電圧Vcの状態および系統電圧Vsの状態を示している。かかる系統連系制御は、第1起動タイミング判定部41および第1停止タイミング判定部43が動作して実行される。
【0062】
図5に示すように、時刻t11までは、系統連系が行われている状態であり、スイッチ12がONにされて電力変換部10と電力系統3が接続され、電力変換部10による電力変換が行われている。コンデンサC1は、系統電圧Vsまたは電力変換部10の交流電圧によって、充放電が繰り返されるため、コンデンサ電圧Vcと系統電圧Vsとは同様の電圧になる。
【0063】
時刻t11において、停止操作が行われると、第1停止タイミング判定部43は、スイッチ12をオフにし、昇圧回路駆動部21およびインバータ駆動部22を制御して電力変換部10の電力変換動作をオフにする。これにより、電力変換制御が停止し、系統接続が切断されて、系統連系が停止する。
【0064】
時刻t11において系統連系が停止されると、系統電圧Vsがゼロ電圧でないため、
図5に示すように、コンデンサ電圧Vcは、スイッチ12の切断直前の系統電圧Vsと同様の電圧になり、コンデンサC1には残留電圧が生じた状態になる。すなわち、コンデンサC1は、系統電圧Vsまたは電力変換部10の交流電圧によって充電された状態である。
【0065】
コンデンサC1に蓄積されている電荷は、系統連系が停止されている状態において、コンデンサC1およびリアクトルL1、L2を含む閉回路内で徐々に放出されることから、コンデンサ電圧Vcは徐々に低下する。しかし、コンデンサ電圧Vcがゼロ電圧になるまで時間(
図5の時刻t15参照)がかかる。
【0066】
このような状態において、時刻t12において、起動操作が行われるとする。この場合、第1起動タイミング判定部41は、コンデンサ電圧Vcに応じた起動タイミング(
図5の時刻t13)を判定する。第1起動タイミング判定部41は、かかる起動タイミングで電力変換部10から系統電圧Vsに応じた電圧が出力されるように昇圧回路駆動部21およびインバータ駆動部22に対する制御を開始する。
【0067】
コンデンサ電圧Vcに応じたタイミングは、電圧差判定部26による判定結果に基づき、タイミング判定部27によって判定される。かかるタイミングは、起動タイミングであり、電力変換部10から系統電圧Vsに応じた電圧を出力させる制御を行うタイミングである。
【0068】
第1起動タイミング判定部41は、電圧差Vdiffが閾値Vth以下になるタイミングを、起動タイミングとして判定する。第1起動タイミング判定部41は、このように判定した起動タイミングで昇圧回路駆動部21およびインバータ駆動部22を制御し、電力変換部10から系統電圧Vsに応じた電圧を出力させる。
【0069】
タイミング判定部27は、例えば、閾値Vthがゼロに設定されている場合、系統電圧Vsとコンデンサ電圧Vcとが一致するタイミングを起動タイミングとして電力変換部10から系統電圧Vsに応じた電圧を出力させる制御を開始することができる。これにより、電力変換部10とコンデンサC1との間の過電流をより精度よく抑制することができる。
【0070】
なお、閾値Vthはゼロに限定されるものではなく、電力変換装置1に影響を及ぼすような過電流が発生しない大きさであればよい。電力変換部10とコンデンサC1との間に流れる電流Ioは、リアクトルL1、L2の抵抗成分RL以外の抵抗成分が無視できるとすると、Io=Vdiff/(2×RL)と表すことができる。電流Ioを制限値Iom以下にする場合、Vth≦Iom×(2×RL)となるように閾値Vthが設定される。
【0071】
また、電力変換部10の制御を開始してから電力変換部10が系統電圧Vsに応じた電圧の出力を開始するまでの遅延がある場合、かかる遅延を考慮して、閾値Vthを設定する。このように遅延を考慮して閾値Vthを設定することで、電力変換部10から系統電圧Vsに応じた電圧を出力させるタイミングを適切に調整することができる。
【0072】
また、電力変換部10は、例えば、起動操作が行われた際の電圧差Vdiffが閾値Vth以下であれば、すぐに電力変換部10から系統電圧Vsに応じた電圧を出力させる制御を開始する。これにより、交流電圧印加制御を迅速に開始できる。
【0073】
タイミング判定部27は、インバータ駆動部22を制御して電力変換部10から系統電圧Vsに応じた電圧を出力させてから所定時間が経過した時刻t4のタイミングで、スイッチ12を制御してスイッチ12をONにする。これにより、電力変換部10と電力系統3との間が接続され、系統連系が開始される。
【0074】
このように、制御部20の系統連系制御部24は、電力系統3と電力変換部10との接続がスイッチ12によって切断された後、コンデンサ電圧Vcに応じたタイミングでコンデンサC1へ交流電圧を印加する制御を再開する。そのため、電力系統3と電力変換部10との接続が切断される際にコンデンサC1に残留電圧が生じた場合であっても、電力変換部10から電力系統3に応じた交流電圧の出力を開始した際の過電流を抑制することができる。
【0075】
また、制御部20は、電力系統3と電力変換部10との接続がスイッチ12によって切断された後、コンデンサC1に蓄積された電荷がリアクトルL1、L2を介して放電中であっても、コンデンサ電圧Vcに応じたタイミングで交流電圧印加制御を開始する。そのため、コンデンサC1の残留電圧が変動する場合であっても、電力変換部10から電力系統3に応じた交流電圧の出力を開始した際の過電流を抑制することができる。
【0076】
また、制御部20の系統連系制御部24は、電圧差判定部26と、タイミング判定部27とを備える。電圧差判定部26は、系統電圧判定部13によって判定された系統電圧Vsとコンデンサ電圧判定部14によって判定されたコンデンサ電圧Vcとの差を判定する。タイミング判定部27は、電圧差判定部26による判定結果に基づいて、交流電圧印加制御を開始するタイミングを判定する。したがって、コンデンサ電圧Vcと系統電圧Vsとの差に基づくタイミングで交流電圧を印加する制御を開始することができ、過電流を精度よく抑制することができる。
【0077】
また、系統電圧判定部13は、リアクトルL1、L2の特性に基づいてコンデンサ電圧Vcを推定することによってコンデンサ電圧Vcの判定を行うことができる。これにより、コンデンサC1の両端電圧を直接検出することなく、コンデンサ電圧Vcを判定することができ、系統電圧判定部13を制御部20内に配置することもできる。そのため、例えば、電力変換装置1の小型化などを図ることができる。
【0078】
系統連系制御部24は、
図5に示す系統連系制御とは異なる系統連系制御を行うことができる。
図6は、系統連系制御部24による系統連系制御の他の例を示す図であり、
図5と同様に、電力変換制御、系統接続、コンデンサ電圧Vcおよび系統電圧Vsのそれぞれの状態を示している。
【0079】
図6に示す系統連系制御は、第2起動タイミング判定部42および第1停止タイミング判定部43が動作して実行される。なお、
図6に示す系統連系制御におけるt22までの動作は、
図5に示す系統連系制御におけるt12までの動作と同じであるため説明を省略する。
【0080】
時刻t22において、起動操作があった場合、第2起動タイミング判定部42は、コンデンサ電圧Vcに応じたタイミング(
図6の時刻t23)で電力変換部10と電力系統3とが接続されるように、スイッチ12をオンにする。
【0081】
第2起動タイミング判定部42は、第1起動タイミング判定部41と同様に、電圧差Vdiffが閾値Vth以下になるタイミングを、電圧印加開始タイミングとして判定する。第2起動タイミング判定部42は、電圧差Vdiffが閾値Vth以下になるタイミングでスイッチ12を制御し、電力変換部10と電力系統3とを接続する。
【0082】
なお、スイッチ12の制御を開始してからスイッチ12がオンになるまでのオンディレイを考慮して、閾値Vthを設定する。このようにオンディレイを考慮して閾値Vthを設定することで、電力変換部10と電力系統3とを接続するタイミングを調整することができる。
【0083】
また、電力変換部10は、例えば、起動操作が行われた際の電圧差Vdiffが閾値Vth以下であれば、すぐに電力変換部10と電力系統3とを接続する制御を開始する。これにより、交流電圧印加制御を迅速に開始できる。
【0084】
第2起動タイミング判定部42は、スイッチ12を制御して電力変換部10と電力系統3とを接続してから所定時間が経過した時刻t24のタイミングで、昇圧回路駆動部21およびインバータ駆動部22に対する制御を開始する。
【0085】
このように、制御部20の系統連系制御部24は、電力系統3と電力変換部10との接続がスイッチ12によって切断された後、コンデンサ電圧Vcに応じたタイミングで電力変換部10と電力系統3とを接続する。そのため、電力系統3と電力変換部10との接続が切断される際にコンデンサC1に残留電圧が生じた場合であっても、コンデンサC1と電力系統3との間に過電流が流れることを抑制することができる。これにより、例えば、コンデンサC1やスイッチ12の劣化や電力系統3への影響を抑制することができる。
【0086】
なお、第2起動タイミング判定部42は、電力変換部10からの電圧出力のタイミングと電力変換部10と電力系統3との接続タイミングが同時になるように、スイッチ12、昇圧回路駆動部21およびインバータ駆動部22を制御することもできる。
【0087】
また、
図5および
図6に示す系統連系制御は、第1停止タイミング判定部43に代えて第2停止タイミング判定部44が動作して実行することもできる。第2停止タイミング判定部44は、停止操作があった場合、系統電圧Vsが基準電圧Vrefになったタイミングでスイッチ12を制御して電力変換部10から電力系統3を切り離すことができる。
【0088】
これにより、電力変換部10から電力系統3を切り離した際のコンデンサ電圧Vcを特定の電圧にすることができる。このようにコンデンサ電圧Vcを特定の電圧にできることから、系統連系の停止時のコンデンサ電圧Vcを把握することができる。そのため、コンデンサ電圧判定部14は、電力変換装置1における系統連系の停止時からのコンデンサC1の放電特性に基づいて、コンデンサ電圧Vcを容易に推定することができる。
【0089】
また、基準電圧Vrefをゼロ電圧とすることで、系統連系の停止時のコンデンサ電圧Vcをゼロ電圧とすることもでき、これによっても、コンデンサ電圧Vcを容易に推定することができる。また、系統連系制御部24は、系統電圧Vsのゼロクロス点で交流電圧印加制御を開始することもできる。
【0090】
なお、スイッチ12がオフディレイを有する場合、かかるオフディレイを考慮した基準電圧Vrefを設定することで、系統連系の停止時のコンデンサ電圧Vcを特定の電圧とすることができる。
【0091】
[3.電力変換装置1による系統連系処理]
次に、電力変換装置1による系統連系処理について説明する。
図7は、電力変換装置1による系統連系処理の一例を示す図である。かかる系統連系処理は、制御部20によって繰り返し実行される。
【0092】
図7に示すように、制御部20は、起動操作があるか否かを判定する(ステップS10)。起動操作があると判定した場合(ステップS10;Yes)、制御部20は、コンデンサ電圧Vcに応じた起動タイミングを判定し(ステップS11)。判定した起動タイミングで交流電圧を印加する制御を開始する(ステップS12)。
【0093】
ステップS10において起動操作がないと判定した場合(ステップS10;No)、または、ステップS12の処理が終了した場合、制御部20は、停止操作があったか否かを判定する(ステップS13)。
【0094】
ステップS13において、停止操作があったと判定した場合(ステップS13;Yes)、制御部20は、系統連系を停止する(ステップS14)。かかる処理において、制御部20は、例えば、系統電圧Vsが基準電圧Vrefになったタイミングでスイッチ12を制御して電力変換部10から電力系統3を切り離し、その後、電力変換部10を制御して電力変換部10からの交流電圧の出力を停止する。
【0095】
ステップS13において、停止操作がないと判定した場合(ステップS13;No)、制御部20は、電力系統3の異常があるか否かを判定する(ステップS15)。かかる処理において、電力系統3の異常があると判定すると(ステップS15;Yes)、処理をステップS14へ移行する。
【0096】
ステップS14の処理が終了した場合、または、ステップS15において、電力系統3に異常がないと判定した場合(ステップS15;No)、
図7に示す処理を終了する。
【0097】
このように、制御部20は、電力系統3と電力変換部10との間に配置されたコンデンサC1の電圧に応じたタイミングでコンデンサC1へ交流電圧を印加する制御を開始することから、コンデンサC1へ交流電圧の印加を迅速に行いつつ、過電流を抑制できる。
【0098】
このように、コンデンサC1は、「電力系統と電力変換部との間に配置されたコンデンサ」であり、スイッチ12、電力変換部10および制御部20は、「前記コンデンサに残留電圧がある状態で、過電流を抑制するタイミングで前記コンデンサに交流電圧を印加する手段」として機能する。
【0099】
なお、上述した実施形態においては、電力変換部10または電力系統3とフィルタ11のコンデンサC1との間に流れる過電流を抑制する例について説明したが、かかる例に限定されない。例えば、電力変換部10とスイッチ12に配置され、過電流の要因になるコンデンサであれば、フィルタ11のコンデンサC1でなくてもよい。また、フィルタ11をLCフィルタとして説明したが、例えば、LCLフィルタであってもよい。
【0100】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。