(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ガイドレールや摺接部材は、往復移動方向に波打ち状に変形していることがある。波打ち状に変形していると、摺接部材の一部分のみがガイドレールと摺接してしまい、摺接部材の他の部分はガイドレールから浮き上がってしまうことがある。摺接部材の一部分のみがガイドレールと摺接していると、その一部分が集中的に摩耗する偏摩耗が生じることがある。特許文献1に記載された汚泥かき寄せ装置の摺接部材は、複数のかき寄せ部材にまたがってかき寄せ部材の往復移動方向に延在している。このため、偏摩耗が生じた摺接部材を新しい摺接部材(以下、交換部品と称することがある)に交換する際には、偏摩耗が生じている部分だけでなく摩耗していない部分も含む交換部品が必要になり交換部材が高価になるといった問題がある。また、交換部品が大きく重くなり交換作業が繁雑になるといった問題もある。
【0007】
本発明は、複数のかき寄せ部材を連結した連結部材と、駆動力をかき寄せ部材に伝えるロッド部材とを結合した汚泥かき寄せ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を解決する本発明の汚泥かき寄せ装置は
、
受け入れた水に含まれている汚泥が池底部に沈殿する沈殿池に設けられ、該池底部に沈殿した汚泥をかき寄せる汚泥かき寄せ装置において、
前記池底部に沈殿した汚泥を往復移動することでかき寄せる複数のかき寄せ部材と、
前記かき寄せ部材を往復移動させる駆動力を発生する駆動力発生部と、
池幅方向中央部において前記かき寄せ部材の往復移動方向に延在し、前記駆動力を前記かき寄せ部材に伝えるロッド部材と、
一端側から前記駆動力を受け、他端側が前記ロッド部材に連結し該駆動力を該ロッド部材に斜め上方向から伝える連結板と、
前記池幅方向両端部それぞれに1つずつ配置され、それぞれが所定の剛性を有する平板状のものであって前記複数のかき寄せ部材が配置された往復移動方向の全長にわたって延在し、前記複数のかき寄せ部材全てを連結している連結部材と、
前記ロッド部材と前記連結部材を結合する三角形状のアームからなる結合部材とを備え、
前記かき寄せ部材が、前記池底部に沈殿した汚泥を往路方向にかき寄せるかき寄せ面と、該かき寄せ面よりも復路方向側に設けられ、該かき寄せ面によってかき寄せられた汚泥が該かき寄せ部材が該復路方向に移動する際に乗り越える傾斜面とを有するものであり、
前記ロッド部材、前記連結部材および前記結合部材は、前記かき寄せ部材よりも上に配置されて
おり、
前記結合部材が、前記ロッド部材における、前記連結板が結合した箇所の近傍から前記往路方向側に拡がるように延在したものであることを特徴とする。
【0009】
ここで、前記駆動力発生部は、モータを備えたものであってもよいし、前記ロッド部材は、前記複数のかき寄せ部材が取り付けられるプルロッドであってもよい。
【0010】
また、本発明の汚泥かき寄せ装置において、前記かき寄せ部材が、
前記池幅方向に延在したものであり
、
前記連結部材が、前記ロッド部材よりも前記池幅方向一端側において前記
往復移動方向に延在した第1連結部材、および該ロッド部材よりも、該池幅方向他端側において該
往復移動方向に延在した第2連結部材を有するものであり、
前記結合部材が、前記ロッド部材、前記第1連結部材および前記第2連結部材の3つの部材を結合するものであってもよい。
【0011】
前記結合部材は、前記ロッド部材に対して斜めに延在したアームと、該ロッド部材に対して直交する方向に延在したアームとを有し、該ロッド部材、前記第1連結部材および前記第2連結部材の3つの部材を三角形状に結合するものであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の汚泥かき寄せ装置によれば、複数のかき寄せ部材を連結した連結部材と、駆動力をかき寄せ部材に伝えるロッド部材とを結合した汚泥かき寄せ装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本実施形態の汚泥かき寄せ装置は、沈殿池の池底部に設けられたガイドレールに沿って往復移動するかき寄せ部材を備えた、いわゆるレシプロ式の汚泥かき寄せ装置である。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態である汚泥かき寄せ装置が設置された沈殿池の側断面図である。この
図1では、沈殿池1の長手方向中央部分が省略して示されている。
【0016】
図1に示す沈殿池1は、上流壁1aと、下流壁1cと、一対の側壁1dによって囲まれた、平面視で略長方形状をした池である。この沈殿池1は、長手方向の一端側(
図1では左側)にある導水渠1eから汚水や雨水といった下水を受け入れ、受け入れた下水に含まれる汚泥を池底部1fに沈殿させ、他端側(
図1では右側)から排水する。以下、
図1における左側を上流側と称し、
図1における右側を下流側と称することがある。また、
図1において紙面に直交する方向を池幅方向と称することがある。なお、沈殿池1の池底部1fは、上流側に向かうに従って沈殿池1の水深が増加するように少しだけ傾斜した傾斜面になっている。
【0017】
図1に示すように、この沈殿池1には、本実施形態の汚泥かき寄せ装置10と汚泥ピット50が設けられている。汚泥ピット50は沈殿池1の上流側部分に設けられている。汚泥ピット50にかき寄せられた汚泥は、図示しない汚泥ポンプによって沈殿池1の外部に排出される。
【0018】
本実施形態の汚泥かき寄せ装置10は、池底部1fに固定されたガイドレール11と、複数のかき寄せ部材12と、複数のかき寄せ部材12を連結した連結部材13(
図2参照)と、かき寄せ部材12毎に配置された複数の摺接部材14(
図3参照)と、かき寄せ部材12を往復移動させる駆動機構15とを備えている。
【0019】
駆動機構15は、モータ151と、モータ151の回転駆動力を往復動作に変換する変換機152と、変換機152の出力軸に一端が固定された往復ロッド153と、往復ロッド153の下端に取り付けられた三角形状リンク154と、三角形状リンク154を回転自在に支持したリンク支持体155と、プルロッド156と、三角形状リンク154とプルロッド156を連結する連結板157とを備えている。
【0020】
モータ151は、地上に配置されている。このモータ151は、両方向に回転可能なモータである。モータ151が一方方向に回転することで、往復ロッド153は池底側に向かう方向に進出移動する。また、モータ151が他方方向に回転することで、往復ロッド153は池底側から離間する方向に後退移動する。往復ロッド153が、進退移動すると、三角形状リンク154は矢印Pの方向に揺動する。三角形状リンク154が揺動すると、連結板157によって三角形状リンク154に連結されたプルロッド156が、池底部1fに固定されたガイドレール11に沿って上流側と下流側に往復移動する。プルロッド156には、複数のかき寄せ部材12が取り付けられている。プルロッド156が往復移動することで、各かき寄せ部材12は、ガイドレール11に沿って上流側と下流側に往復移動する。すなわち、変換機152、往復ロッド153、三角形状リンク154、プルロッド156によって、モータ151の回転が、かき寄せ部材12の往復運動に変換される。
【0021】
各かき寄せ部材12は、その往復移動方向に均等あるいは略均等の間隔で配置されている。かき寄せ部材12それぞれは、沈殿池1の池幅方向に延在したものである。かき寄せ部材12の往復移動のストロークは、かき寄せ部材12が配置された往復移動方向の間隔以上の距離に設定されている。沈殿池1に沈殿した汚泥は、かき寄せ部材12の往復移動により汚泥ピット50側に1ストロークづつ段階的にかき寄せられ、汚泥ピット50に送り込まれる。
【0022】
図2は、
図1に示す沈殿池を上方からみた平面図である。なお、この
図2では、プルロッド156と連結板157以外の駆動機構15を構成する部材は図示省略している。また、沈殿池1の長手方向中央部分が省略して示されている。
【0023】
ガイドレール11は、沈殿池1の長手方向に延在した超高分子量ポリエチレン製のものである。本実施形態では、
図2に示すように、池幅方向中央部と池幅方向両端部の計3本のガイドレール11が沈殿池1の池底部1fに固定されている。プルロッド156は、池幅方向中央部に配置され、かき寄せ部材12の往復移動方向に延在している。また、連結部材13は、池幅方向両端部それぞれに1つづつ配置されている。この連結部材13は、所定の剛性を有する平板状のものである。この連結部材13それぞれは、複数のかき寄せ部材12が配置された往復移動方向の全長にわたって延在し、複数のかき寄せ部材12全てを連結している。各かき寄せ部材12が池幅方向両端側部分において連結部材13によって連結されているので、各かき寄せ部材12が池幅方向両側部分において一体化されてかき寄せ部材12全体として剛性が高まる。こうすることで、各かき寄せ部材12の池幅方向両端側部分が往復移動方向に撓んでしまったり、各かき寄せ部材12が池幅方向に対して傾斜してしまうことを抑制できる。かき寄せ部材12が撓んだり傾斜してしまうと、池幅方向端側に汚泥のかき残しが生じてしまう虞がある。プルロッド156と連結部材13は、三角形状のアーム21で結合されており、プルロッド156が往復移動することで、2つの連結部材13も往復移動する。
【0024】
図3(a)は、
図2のA−A断面図であり、
図3(b)は、
図3(a)のD−D断面図である。なお、
図2のB−B断面はA−A断面と同一の構成であるため、説明は省略する。
【0025】
図3(a)に示すように、かき寄せ部材12は、上流側に設けられ池底部1fに沈殿した汚泥を汚泥ピット50側にかき寄せるかき寄せ面12aと、下流側に設けられ汚泥を乗り上げさせる傾斜面12bとを有している。かき寄せ面12aは、下流側にへこんだ円弧状に形成されている。かき寄せ部材12が上流側に移動する際には、そのかき寄せ面12aが汚泥を汚泥ピット50側にかき寄せる。一方、傾斜面12bは、下流側に向かってかき寄せ部材12が先細になるように、池底部1f側に傾斜している。かき寄せ部材12が下流側に移動する際には、その傾斜面12bを汚泥が乗り越えることで、かき寄せ面12aでかき寄せられた位置に汚泥の大部分を留まらせることができる。このかき寄せ部材12は、曲げ加工したステンレス製の板で構成されている。
【0026】
2つの連結部材13それぞれは、かき寄せ部材12よりも上に配置されている。この連結部材13は、
図2に示すプルロッド156および三角形状のアーム21を介して駆動機構15からの駆動力をかき寄せ部材12に伝達し、かき寄せ部材12を往復移動させる機能も有する。連結部材13には、所定の間隔をあけて複数の取付板131が溶接されている。この連結部材13および取付板131は、ステンレス製の板で構成されている。かき寄せ部材12は、傾斜面12bの一部が取付板131に溶接されることで、取付板131を介して連結部材13に固定されている。
【0027】
かき寄せ部材12の池底側部分にはプレート121が溶接されている。プレート121には、沈殿池1の上方から見て沈殿池1の長手方向に長い長方形をした摺接部材14が、2つの雄ネジ31によって着脱自在に取り付けられている。この摺接部材14は、各かき寄せ部材12毎に、かき寄せ部材12とガイドレール11との間に配置されている。摺接部材14は、かき寄せ部材12の往復移動方向の長さMが、往復移動方向に隣り合うかき寄せ部材12のかき寄せ面12a間の距離L以下の長さに形成された、超高分子量ポリエチレン製のものである。
図3(a)に示すように、本実施形態では、摺接部材14の上記往復移動方向の長さMは、かき寄せ面12a間の距離Lに対して約1/4の長さである。
【0028】
この摺接部材14は、ナイロンなどの他の樹脂製の材料で形成してもよく、金属製の材料で形成してもよい。ただし、樹脂製の材料で形成すれば、軽量化でき、後述する摺接部材14の交換作業の作業効率を高めることができる。また、摺接部材14は、耐摩耗性がガイドレール11を構成する材料の耐摩耗性と同一或いはそれよりも劣る材料で形成されていることが好ましい。特に、汚泥に含まれる砂などの無機成分に対する耐摩耗性が劣る材料で摺接部材14が形成されていることが好ましい。こうすることで、摺接によってガイドレール11が摩耗してしまうことを抑制できる。なお、汚泥に含まれる砂などの無機物に対する耐摩耗性は、高い順に、超高分子量ポリエチレン、ナイロン、四フッ化エチレン、炭素綱、ステンレス綱、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、フェノール積層材である。硬度が低い材料は、その材料で構成された部材の表面に砂などの無機物が食い込み、その食い込んだ無機物により部材が保護されて摩耗し難くなることがある。このため、硬度が低い材料でも、砂などの無機物に対する耐摩耗性は高いものがある。例えば合流式下水道の汚水を処理する沈殿池1のように、砂などの無機物が多く流入する可能性がある沈殿池1では、砂などの無機物が食い込みやすい材料で形成された摺接部材14或いはガイドレール11を用いることが好ましい。逆に、例えば分流式下水道の汚水を処理する沈殿池1のように、砂などの無機物が流入する可能性が低い沈殿池1では、摺接部材14およびガイドレール11を、耐摩耗性の低い安価な材質のものにしても構わない。また、摺接部材14は、その長手方向の全長でガイドレール11に接触しているのに対し、ガイドレール11は、往復移動方向に隣り合う摺接部材14の間の部分では摺接部材14と非接触になっている。本実施形態では、ガイドレール11は、距離Lのうち約1/4は摺接部材14と接触するが、残る約3/4は非接触になっている。このため、ガイドレール11の材料と摺接部材14の材料の耐摩耗性が同一である場合でも、ガイドレール11は摺接部材14よりも摩耗しにくい。
【0029】
また、本実施形態では、樹脂製の雄ネジ31を用いている。金属製の雄ネジ31を使用しても構わないが、金属製の雄ネジ31を使用した場合、摺接部材14が摩耗してその厚みが減少したときに、雄ネジ31の先端がガイドレール11に接触してガイドレール11を傷つけてしまう虞がある。樹脂製の雄ネジ31を用いることで、雄ネジ31の先端がガイドレール11に接触しても、ガイドレール11が傷ついてしまう虞を低減できる。ガイドレール11が傷ついてしまう虞をより低減するために、雄ネジ31は、ガイドレール11を構成する材料の耐摩耗性と同一或いはそれよりも劣る材料で形成されていることが好ましい。
【0030】
図4(a)は、
図2のC−C断面図であり、
図4(b)は、
図4(a)のE−E断面図である。
【0031】
この
図4に示されている、ガイドレール11、かき寄せ部材12、摺接部材14、プレート121、取付板131は、
図3で説明したものと同一のものであるので、以下の説明では、同一の符号を付して説明を省略することがある。
図4に示すように、プルロッド156は、沈殿池1の長手方向に延在した中空四角柱形状のステンレス製のものである。このプルロッド156には、所定の間隔をあけて複数の取付板131が溶接されている。かき寄せ部材12は、傾斜面12bの一部が取付板131に溶接されることで、取付板131に固定されている。
【0032】
次に、摺接部材14の交換作業について説明する。摺接部材14が摩耗した場合、摩耗した摺接部材14をプレート121に取り付けている2つの雄ネジ31を外し、その摺接部材14をプレート121から取り外す。その後、そのプレート121に新しい摺接部材14を雄ネジ31で取り付けることで交換作業が完了する。
【0033】
以上、説明したように、本実施形態の汚泥かき寄せ装置10によれば、摺接部材14は、かき寄せ部材12の往復移動方向の長さMが、往復移動方向に隣り合うかき寄せ部材12のかき寄せ面12a間の距離L以下の長さであるので、交換部品である摺接部材14が安価になる。また、摺接部材14を小さく軽くすることができるので交換作業の作業性を高めることができる。また、摺接部材14は、かき寄せ部材12の往復移動方向の長さMが短いので、摩耗していない部分まで交換が必要になってしまう可能性を低減することができる。また、かき寄せ部材12よりも上に全ての連結部材13を配置しているので、かき寄せ部材12と摺接部材14の間に連結部材13を配置した場合と比較して、連結部材13の厚み分だけかき寄せ部材12を池底部1fに近接して配置できる。かき寄せ部材12を池底部1fに近接して配置することで、池底部1fに沈殿した汚泥のかき残しを少なくすることができる。また、かき寄せ部材12よりも上に連結部材13を配置しているので、池底部1fに沈殿した汚泥と連結部材13が接触する可能性が低くなり、その汚泥によって連結部材13が摩耗してしまう虞を低減できる。また、摺接部材14を軽量な樹脂製の材料で形成しているので、容易に交換作業を行うことができる。また、ガイドレール11は、かき寄せ部材12の往復移動方向に波打ち状に変形し、摺接部材14が摺接する摺接面に、かき寄せ面12a間の距離Lよりも長いピッチの凹凸が生じてしまうことがある。本実施形態の汚泥かき寄せ装置10は、かき寄せ部材12毎に摺接部材14を配置しているので、その場合でも、かき寄せ部材12の重量によりガイドレール11の摺接面の凹凸形状に各かき寄せ部材12がある程度追従し、かき寄せ部材12が池底部1fから離間することを抑制することができる。また、複数のかき寄せ部材12にまたがって、摺接部材14がかき寄せ部材12の往復移動方向に延在していると、その複数のかき寄せ部材12の総重量が摺接部材14をガイドレール11に押し付ける荷重として作用し、ガイドレール11の凸部がある部分に摺接した摺接部材14の一部で極端な偏摩耗を生じる虞がある。本実施形態では、かき寄せ部材12毎に摺接部材14を配置しているので、各かき寄せ部材12の重量は、そのかき寄せ部材12毎に配置された個々の摺接部材14をガイドレール11に押し付ける荷重として作用し、極端な偏摩耗が起こりにくい。
【0034】
続いて、本実施形態の変形例について説明する。以下の説明では、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号と同じ符号を付して説明を省略することがある。
【0035】
図5(a)は、汚泥かき寄せ装置の第1変形例を示す図であり、
図5(b)は、
図5(a)のF−F断面図である。
【0036】
第1変形例では、先の実施形態と比較して、連結部材13および取付板131の形状と、かき寄せ部材12と取付板131との取付構造と、摺接部材14が取付板131に取り付けられている点とが異なる。
図5(b)に示すように、この変形例の連結部材13は、断面形状が左右を逆にしたL字状に形成されている。
図5(a)に示すように、かき寄せ部材12は、ボルト32の先端部分が差し込まれることで、取付板131に着脱自在に取り付けられている。そのボルト32は、ナット33との間で取付板131を挟み込むことで取付板131に固定されている。また、摺接部材14は、雄ネジ31により取付板131に着脱自在に取り付けられている。摺接部材14を取付板131に取り付けることで、先の実施形態に対して、プレート121を省略している。取付板131は、溶接により連結部材13に固定されている。この第1変形例では、先の実施形態の効果に加え、かき寄せ部材12と摺接部材14を分解した状態で工場から沈殿池1まで運ぶことができるといった効果がある。また、かき寄せ部材12と摺接部材14を容易に組み立てることができるといった効果がある。
【0037】
図6(a)は、汚泥かき寄せ装置の第2変形例を示す図であり、
図6(b)は、
図6(a)のG−G断面図である。
【0038】
第2変形例では、第1変形例と比較して、摺接部材14の材質と、取付板131と摺接部材14との取付構造が異なる。この第2変形例の摺接部材14は、ステンレス製の板材の表面にニッケルクローム系やタングステンカーバイト系などの摩耗しにくい材料で構成された硬化層が設けられた耐摩耗板で形成されている。また、摺接部材14は、部分的にタップ溶接されることで取付板131に取り付けられている。なお、タップ溶接した部分を引き剥がすことで、摺接部材14は、取付板131から取り外すことができる。この第2変形例では、第1の変形例の効果に加え、雄ネジ31が省略できるといった効果がある。また、摺接部材14が摩耗したときに、雄ネジ31の先端がガイドレール11に接触してガイドレール11を傷つけてしまう虞がないといった効果がある。なお、
図1に示す三角形状リンク154が接続されている連結板157の近傍では、かき寄せ部材12を池底部1f側に押し付ける荷重が強くなりやすい。逆に、連結板157から離れた位置では、かき寄せ部材12を池底部1f側に押し付ける荷重は弱くなりやすい。この荷重が強い部分では、荷重が弱い部分と比較して摺接部材14が早く摩耗しやすい。この摩耗しやすい位置に配置された摺接部材14に耐摩耗板などの耐摩耗性の高いものを用い、摩耗しにくい位置に配置された摺接部材14は、耐摩耗板よりも耐摩耗性の劣った、例えば硬化層が形成されていないステンレス製の部材を用いてもよい。
【0039】
図7(a)は、汚泥かき寄せ装置の第3変形例を示す図であり、
図7(b)は、
図7(a)のH−H断面図である。
【0040】
第3変形例では、第2変形例と比較して、取付板131の形状と、取付板131とかき寄せ部材12との取付構造と、取付板131と連結部材13との取付構造が異なる。この変形例の取付板131は、
図7(b)に示すように、L字状をした板材で構成されている。
図7(a)に示すように、取付板131には、かき寄せ部材12が挿通された切欠き131aが形成されている。かき寄せ部材12は、傾斜面12bの一部が取付板131に溶接されることで、取付板131に固定されている。取付板131は、部分的にタップ溶接されることで連結部材13に取り付けられている。この第3変形例では、第2変形例に対して、取付板131の池幅方向の幅が、取付板131の板厚の幅と同一の薄いものであるので、かき寄せ部材12が下流側に移動する際に、取付板131によって汚泥をかき寄せ方向と反対方向に押し戻してしまう量を極わずかにすることができるという効果がある。
【0041】
本発明は上述の実施の形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことが出来る。例えば、本実施形態では、3本のガイドレール11を設けているが、ガイドレール11は何本であっても構わない。また、本実施形態では、2本の連結部材13を設けているが、連結部材13は何本であっても構わない。また、本実施形態では、かき寄せ部材12を、取付板131を介して連結部材13に固定しているが、かき寄せ部材12を連結部材13に直接固定しても構わない。なお、以上説明した各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を他の変形例に適用してもよい。
【0042】
これまでに説明した汚泥かき寄せ装置は、受け入れた水に含まれている汚泥が池底部に沈殿する沈殿池に設けられ、該池底部に沈殿した汚泥をかき寄せる汚泥かき寄せ装置において、
前記池底部に設けられたガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って往復移動することで、該池底部に沈殿した汚泥をかき寄せ面でかき寄せる複数のかき寄せ部材と、
前記複数のかき寄せ部材それぞれと前記ガイドレールとの間に該かき寄せ部材毎に配置された複数の摺接部材とを備え、
前記かき寄せ部材は、該かき寄せ部材の往復移動方向に間隔をあけて配置されたものであり、
前記摺接部材は、前記往復移動方向の長さが該往復移動方向に隣り合う前記かき寄せ部材の前記かき寄せ面間の距離以下の長さの板状のものであることを特徴とする。
【0043】
上記汚泥かき寄せ装置によれば、摺接部材の長さが上記間隔以下であるので、摺接部材を交換する際の交換部品が安価になる上に、交換作業の作業性を高めることができる。
【0044】
また、上記汚泥かき寄せ装置において、前記複数のかき寄せ部材が往復移動する方向に延在し、各かき寄せ部材を連結した連結部材を備え、
前記連結部材は、前記かき寄せ部材よりも上に配置されたものであってもよい。
【0045】
かき寄せ部材を連結部材の厚み分だけ池底部に近接して配置することが可能になり、汚泥のかき残しをさらに少なくすることができる。また、池底部に沈殿した汚泥によって連結部材が摩耗することを抑制できる。
【0046】
前記連結部材は、前記複数のかき寄せ部材が配置された前記往復移動方向の全長にわたって延在したものであってもよい。
【0047】
また、上記汚泥かき寄せ装置において、前記連結部材は、池幅方向両端側部分それぞれに設けられたものであることが好ましい。
【0048】
各かき寄せ部材が池幅方向両端側部分において連結部部材によって連結されているので、各かき寄せ部材が往復移動方向に撓んでしまうことを抑制できる。
以下、これまで説明したことを含めて付記する。
他の汚泥かき寄せ装置は、受け入れた水に含まれている汚泥が池底部に沈殿する沈殿池に設けられ、該池底部に沈殿した汚泥をかき寄せる汚泥かき寄せ装置において、
前記池底部に沈殿した汚泥を往復移動することでかき寄せる複数のかき寄せ部材と、
前記かき寄せ部材を往復移動させる駆動力を発生する駆動力発生部と、
池幅方向中央部において前記かき寄せ部材の往復移動方向に延在し、前記駆動力を前記かき寄せ部材に伝えるロッド部材と、
前記池幅方向両端部それぞれに1つずつ配置され、それぞれが所定の剛性を有する平板状のものであって前記
複数のかき寄せ部材
が配置された往復移動方向
の全長に
わたって延在し、前記複数のかき寄せ部材
全てを連結
している連結部材と、
前記ロッド部材と前記連結部材を結合する三角形状の
アームからなる結合部材とを備え、
前記ロッド部材、前記連結部材および前記結合部材は、前記かき寄せ部材よりも上に配置されていることを特徴とする。