(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、マルチキャストグループへの受信希望メッセージを収集し、前記マルチキャストグループ管理部に通知するマルチキャストグループ取得部を備える請求項1の制御装置。
前記中継装置を介して、前記中継装置に接続された機器に対して、マルチキャストグループへの受信希望の有無を問い合わせるパケットを送信する請求項2又は3の制御装置。
前記仮想プロキシ装置として動作する中継装置に、マルチキャストパケットの送信元アドレスを前記仮想プロキシ装置のアドレスに書き換えてから転送させる請求項1から4いずれか一の制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下の分析は、本発明によって与えられたものである。上記したIPネットワークに代表される自律分散型ネットワークにおいてマルチキャストを実現するには、ネットワーク上に存在する多数のルータに対する設定が必要となり、運用に手間が掛かるという問題点がある。例えば、
図6の例では、マルチキャストグループの管理機能を持つL3中継装置に、マルチキャストのための設定を行う必要がある。また、IPネットワークでは、ユニキャストパケットとマルチキャストパケットとは同一のレイヤで転送される。このため、マルチキャストパケットの通信経路を把握するためには個々のルータのユニキャストとマルチキャストの経路情報を追っていかねばならず、障害発生時の解析作業等を困難にしている。
【0007】
また、非特許文献2には、グループタイプ“all”のグループを定義することで、オープンフロースイッチがマルチキャストやブロードキャストを行うことが記載されている(非特許文献2の「5.6 Group Table」の項参照)。しかしながら、この方式においても、個々のスイッチのグループテーブルの設定や運用の手間が生じてしまう。
【0008】
本発明は、簡便にマルチキャストを実施可能な制御装置、通信システム、中継装置の制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の視点によれば、中継装置に
第1の制御情報を設定することにより、第1の仮想ネットワークを構成する第1制御部と、前記中継装置に接続された機器によって構成されるマルチキャストグループの構成を記憶するマルチキャストグループ管理部と、前記中継装置の接続関係を示すトポロジ情報に基づいて、前記マルチキャストグループに属する機器にマルチキャストパケットを送信する経路を計算するマルチキャスト経路計算部と、前記第1の仮想ネットワークとは異なる第2の仮想ネットワーク上の仮想プロキシ装置として動作する中継装置に、前記経路に沿ってマルチキャストパケットの転送を実行させる
第2の制御情報を設定する第2制御部と、を備え
、前記第2の制御情報は、前記マルチキャストパケットの送信元が、前記仮想プロキシ装置であることを示す情報を付与する指示を含むた制御装置が提供される。
【0010】
第2の視点によれば、上記した制御装置と、この制御装置から設定された制御情報に従って動作する中継装置と、を含む通信システムが提供される。
【0011】
第3の視点によれば、中継装置に
第1の制御情報を設定することにより、第1の仮想ネットワークを構成する第1制御部と、前記中継装置に接続された機器によって構成されるマルチキャストグループの構成を記憶するマルチキャストグループ管理部とを備えた制御装置が、前記マルチキャストグループの構成と、前記中継装置の接続関係を示すトポロジ情報とに基づいて、前記マルチキャストグループに属する機器にマルチキャストパケットを送信する経路を計算するステップと、前記第1の仮想ネットワークとは異なる第2の仮想ネットワーク上の仮想プロキシ装置として動作する中継装置に、
マルチキャストパケットの送信元が、前記仮想プロキシ装置であることを示す情報を付与して、前記経路に沿ってマルチキャストパケットの転送を実行させる
第2の制御情報を設定するステップと、を含む中継装置の制御方法が提供される。本方法は、中継装置を制御する制御装置という、特定の機械に結びつけられている。
【0012】
第4の視点によれば、中継装置に
第1の制御情報を設定することにより、第1の仮想ネットワークを構成する第1制御部と、前記中継装置に接続された機器によって構成されるマルチキャストグループの構成を記憶するマルチキャストグループ管理部とを備えたコンピュータに、前記マルチキャストグループの構成と、前記中継装置の接続関係を示すトポロジ情報とに基づいて、前記マルチキャストグループに属する機器にマルチキャストパケットを送信する経路を計算する処理と、前記第1の仮想ネットワークとは異なる第2の仮想ネットワーク上の仮想プロキシ装置として動作する中継装置に、
マルチキャストパケットの送信元が、前記仮想プロキシ装置であることを示す情報を付与して、前記経路に沿ってマルチキャストパケットの転送を実行させる
第2の制御情報を設定する処理と、を実行させるプログラムが提供される。なお、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な(非トランジエントな)記憶媒体に記録することができる。即ち、本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡便にマルチキャストを実施可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
はじめに本発明の一実施形態の概要について図面を参照して説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0016】
本発明は、その一実施形態において、複数の中継装置(
図2の1101〜1104)と、これらの中継装置に制御情報を設定することにより、仮想ネットワーク(第1の仮想ネットワーク)を構成する制御装置(
図2の1100)と、を含む構成にて実現できる。
【0017】
より具体的には、制御装置は、
図1に示すように、これら中継装置に制御情報を設定することにより、第1の仮想ネットワークを構成する第1制御部101と、中継装置に接続された機器のうちマルチキャストグループへの参加を希望した機器によって構成されるマルチキャストグループの構成を記憶するマルチキャストグループ管理部102と、前記中継装置の接続関係を示すトポロジ情報に基づいて、前記マルチキャストグループに属する機器にマルチキャストパケットを送信するための経路を計算するマルチキャスト経路計算部103と、前記中継装置に、前記経路に沿ってマルチキャストパケットの転送を実行させる制御情報を設定する第2制御部104と、中継装置との前記トポロジ、マルチキャストグループに関する情報の授受や制御情報の送信を行う中継装置通信部105とを備える。
【0018】
このようにすることで、煩雑な作業を要することなくマルチキャストを実現可能となる。また、障害発生時の解析作業等も容易化される。その理由は、制御装置にてマルチキャストグループと、その経路に関する情報を管理し、中継装置に必要な制御情報を設定するよう構成したことにある。
【0019】
[第1の実施形態]
続いて、本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態の通信システムの構成を示す図である。
図2を参照すると、互いに接続された複数の中継装置1101〜1104と、これら中継装置1101〜1104に制御情報を設定することで端末1105〜1109間の通信を実現する制御装置1100とを含む通信システムの構成が示されている。
【0020】
なお、
図2の例では、端末1105と中継装置1103間に外部中継装置1001が接続されているが、外部中継装置1001はなくてもよい。また、
図2の制御装置1100と中継装置1101〜1104間の破線は制御チャネルを示し、中継装置1101〜1104、外部中継装置1001及び端末1105〜1109間の実線はデータチャネルを示している。また、中継装置1102〜1104と、仮想ブリッジ1302、1303間の一点破線は、各装置のインタフェースがマッピングされていることを表している。具体的には、仮想ブリッジ1302は、中継装置1103、中継装置1104の各ポートとマッピングされ、仮想ブリッジ1303は、中継装置1102、中継装置1104の各ポートとマッピングされている。
【0021】
制御装置1100は、前記制御チャネルを介して、中継装置1101〜1104に、受信パケットのヘッダ等と照合する内容を示すマッチ条件と、このマッチ条件に適合するパケットに適用する処理内容とを対応付けた制御情報を設定することで、中継装置1101〜1104を制御する。
【0022】
例えば、
図2の上段に示すように、ユーザや仮想ネットワーク提供者により、仮想ネットワーク1201の構成が設定されている場合について説明する。この場合、制御装置1100は、仮想ネットワーク1201上の仮想ブリッジ1302にマッピングされた中継装置1103に、外部中継装置1001から受信した端末1105から端末1108宛てのパケットを、所要のヘッダ書換えを行ってから中継装置1104に転送するよう指示する制御情報を設定する。また、制御装置1100は、中継装置1104に、中継装置1103から受信した端末1105から端末1108宛てのパケットを、端末1108が接続されたポートに転送することを指示する制御情報を設定する。このように、制御装置1100は、中継装置1101〜1104を、あたかも第1の仮想ネットワーク上の仮想ノード(仮想ルータ1301、仮想ブリッジ1302、1303)が動作しているようにふるまわせる。
【0023】
続いて、制御装置1100の詳細構成について図面を参照して詳細に説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態の制御装置の構成を示す図である。
図3を参照すると、中継装置との制御用通信を行う中継装置通信部1100−1と、中継装置通信部1100−1より中継装置1101〜1104間のトポロジを取得するトポロジ取得部1100−2と、該トポロジを記憶するトポロジ情報管理部1100−3と、中継装置通信部1100−1より端末1101〜1104からその端末が受信を希望するマルチキャストグループの情報を取得する受信希望メッセージ取得部1100−4と、該マルチキャストグループごとに受信希望端末を管理するマルチキャストグループ管理部1100−5と、中継装置1101〜1104間のトポロジを参照してマルチキャスト用の経路を計算するマルチキャスト経路計算部1100−6と、中継装置1101〜1104に対しマルチキャストを実現するための制御コマンドを生成し、中継装置通信部1100−1を介して送信するマルチキャスト経路制御コマンド生成部1100−7と、仮想ネットワークにおいてマルチキャスト網の上流側に接続されている仮想インタフェースを管理するマルチキャスト網上流側仮想インタフェース管理部1100−8と、擬似的にマルチキャストパケットの受信端末として振舞う擬似端末機能部1100−9とを備えた構成が示されている。なお、
図3においては、
図2の上段に示す第1の仮想ネットワークにおけるユニキャスト経路の計算や制御情報の作成を行う処理手段(
図1の第1制御部101に相当)を省略している。
【0024】
中継装置通信部1100−1は、中継装置1101〜1104との制御用セッションの確立、制御用コマンドの送信・受信を行う。中継装置1101〜1104が非特許文献2のオープンフロースイッチである場合、制御用コマンドとして、非特許文献2のOpenFlowプロトコルの制御メッセージを用いることができる。また、Telnet経由のCLIや、SNMP(Simple Network Management Protocol)を用いて通信を行ってもよい。
【0025】
トポロジ取得部1100−2は、中継装置通信部1100−1を介して中継装置1101〜1104から収集した情報に基づいて、中継装置1101〜1104間のトポロジの取得を行う。トポロジ取得には、中継装置の隣接中継装置認識情報を吸い上げる方法がある。このようなスイッチ間の認識プロトコルとしては、Link Layer Discovery Protocolが代表的である。また、制御装置1100より特定中継装置の特定ポートから該中継装置のIDとポート番号を含むパケットを出力するように制御を行い、対向となる中継装置から該パケットの受信を通知させることで、中継装置間の認識を行うこともできる。このような制御装置1100からのパケット出力指示とパケット受信通知には、非特許文献2のPacket−outメッセージ、Packet−inメッセージを用いることができる。また、中継装置1101〜1104間のトポロジが既知である場合、事前にトポロジ情報管理部1100−3に設定しておく方法も考えられる。このようにして取得された物理ネットワークのトポロジに基づいて、仮想ネットワーク上の端点とのマッピングを行うことで、論理的に分割された仮想ネットワークを制御することが可能となる。
【0026】
トポロジ情報管理部1100−3は、トポロジ取得部1100−2が取得したトポロジを記憶し、マルチキャスト経路計算部1100−6に提供する。
【0027】
受信希望メッセージ取得部1100−4は、端末からその端末が受信を希望するマルチキャストグループの情報を取得する。受信を希望するマルチキャストグループの情報を取得する方法としては、端末から送信されるマルチキャストグループの受信希望メッセージを吸い上げる(転送させる)方法、端末に対して受信を希望するグループを問い合わせて情報を吸い上げる(転送させる)方法がある。このようなマルチキャストグループの管理プロトコルとしては、IGMP(Internet Group Management Protocol)及びMLD(Multicast Listener Discovery)が代表的である。
【0028】
例えば、制御装置1100は、端末が接続されている中継装置に対して、端末から送信されたIGMPまたはMLD Reportパケットを制御装置1100に転送させるように制御する。これにより、制御装置1100は、その端末が受信を希望するマルチキャストグループの情報を取得することができる。また、制御装置1100より特定の中継装置の特定ポートからIGMP又はMLD General Queryパケットを定期的に出力するように制御を行ない、対向する中継装置からIGMP又はMLD Reportパケットを吸い上げる(転送させる)方法もある。なお、制御装置1100からのパケット出力とパケット受信には、非特許文献2のPacket−outメッセージ、Packet−inメッセージを用いることができる。また、あるマルチキャストグループの受信を希望する端末が既知である場合には、事前に、マルチキャストグループを設定しておく方法も考えられる。
【0029】
マルチキャストグループ管理部1100−5は、受信希望メッセージ取得部1100−4によって得られた端末の受信希望マルチキャストグループ情報の管理を行う。マルチキャストグループ管理部1100−5は、
図6のL3中継装置のようなルータやL2スイッチ単位でのマルチキャストグループの管理ではなく、仮想ネットワーク単位でマルチキャストグループと受信端末を管理する。
【0030】
図4は、マルチキャストグループ管理部1100−5にて管理されるマルチキャストグループ情報の一例を示す図である。
図4の例では、仮想ネットワークを一意に特定する仮想ネットワーク識別子と、マルチキャストグループを一意に特定するマルチキャストグループ識別子と、マルチキャストグループの受信を希望する端末群とを対応付けたエントリが示されている。なお、
図4の例では、端末情報として
図2に表した符号を用いているが、端末の物理的な位置情報を端末情報として用いることもできる。例えば、端末が接続されている中継装置のIDとポートとの組合せを端末情報として用いることもできる。
【0031】
マルチキャスト経路計算部1100−6は、トポロジ情報管理部1100−3及びマルチキャストグループ管理部1100−5の情報を利用して、マルチキャストグループの送信元から、マルチキャストパケットの受信を希望する端末に到る通信経路を計算する。例えば、外部中継装置1001に接続された端末1105が、マルチキャストグループ識別子が「224.0.1.0」であるマルチキャストグループの送信元である場合(
図4の1番上のエントリ参照)、マルチキャスト経路計算部1100−6は、外部中継装置1001を始点として、端末1106に到る経路を計算する。マルチキャスト経路計算部1100−6は、
図4の端末1108、1110(
図2に不図示)、1119(
図2に不図示)についても同様にマルチキャスト用の経路を計算する。
【0032】
上記マルチキャスト用の経路は、マルチキャストグループ毎に、個別の経路を計算してもよいし、始点と終点が一致する経路については計算済みの経路を用いるようにしてもよい。但し、ある中継装置に複数の端末が接続しているような場合に、当該マルチキャストグループに参加していない端末に、マルチキャストパケットが転送されないように配慮することが望ましい。
【0033】
マルチキャスト経路制御コマンド生成部1100−7は、前記計算されたマルチキャスト用の経路上の中継装置に、該当するマルチキャストパケットを経路に沿って転送するよう指示する制御情報を設定するマルチキャスト経路制御コマンドを生成し、中継装置に送信する。なお、マルチキャストグループ毎に別々の端末に転送する必要がある場合、前記制御情報のマッチ条件として、少なくともマルチキャストグループ識別子に相当する送信先のアドレスを指定することで対応できる。また、この送信先のアドレスとしては、IPアドレス又はMAC(Media Access Control)アドレスが挙げられる。また、マルチキャスト経路制御コマンドとしては、中継装置にフローエントリを設定する非特許文献2のFlowModメッセージを用いることができる。
【0034】
また、本実施形態では、マルチキャストパケットは、ユニキャスト転送用の仮想ネットワーク1201とは異なる、マルチキャスト転送用の仮想ネットワーク1202を使用して転送される。
【0035】
図5は、制御装置1100によって構成される2つの仮想ネットワーク1201、1202を模式的に表した図である。マルチキャスト転送用の仮想ネットワーク(第2の仮想ネットワーク)1202には、仮想プロキシ装置1304が配置されている。ユニキャスト転送用の仮想ネットワーク(第1の仮想ネットワーク)1201の仮想ブリッジに接続されている端末1106〜1109及び外部中継装置1001は、それぞれ仮想インタフェースを介して、仮想プロキシ装置1304に接続されている。制御装置1100は、マルチキャスト経路制御コマンドにより、マルチキャストパケットの受信者(端末)がこの仮想プロキシ装置1304を経由したことを識別できるように、送信元アドレスを書き換えて出力するよう指示する制御情報を設定する。例えば、マルチキャストパケットの送信元MACアドレスを、仮想プロキシ装置1304の仮想MACアドレスに書き換えることで、当該マルチキャストパケットが、仮想プロキシ装置1304から送られたマルチキャストパケットであることを識別できるようになる。なお、仮想プロキシ装置1304の仮想MACアドレスは、仮想プロキシ装置毎に個別のMACアドレスを用いてもよいし、すべての仮想プロキシ装置で同一のMACアドレスを用いてもよい。
【0036】
マルチキャスト網上流側仮想インタフェース管理部1100−8は、マルチキャストパケットの送信元となる機器が接続されている方向、即ち、マルチキャスト網の上流側に位置する仮想インタフェースを管理する。このようなマルチキャスト網の上流側の仮想インタフェースの設定は、CLI(Command Line Interface)を用いて手動で行うようにしてもよい。本実施形態では上流側仮想インタフェース(
図5の外部中継装置1001と仮想プロキシ装置1304間の2点鎖線参照)は、外部中継装置1001に接続されているが、マルチキャストパケット送信元の端末(例えば、端末1105)と直結されていてもよい。また、上流側仮想インタフェースは、1つの仮想ネットワーク上に複数存在していてもよい。
【0037】
擬似端末機能部1100−9は、マルチキャストの上流側の機器(例えば、外部中継装置1101)に対して、受信を希望する端末が存在するマルチキャストグループのマルチキャストパケットの送信開始の要求を行う。なお、受信を希望する端末が存在するマルチキャストグループは、マルチキャストグループ管理部1100−5を参照することで把握することができる。具体的には、マルチキャスト網上流側仮想インタフェース管理部1100−8の情報を基にして、制御装置1100が、上流側仮想インタフェースが接続されている中継装置1103の特定ポートからIGMPまたはMLD Reportパケットを出力させることで、マルチキャストパケットの転送開始の要求が行われる。
【0038】
また、擬似端末機能部1100−9は、マルチキャストの上流側の機器からの端末の生存確認に対する応答を行う。具体的には、外部中継装置1001からマルチキャストグループの端末の生存確認の目的で定期的に送信されるIGMP又はMLD General Queryパケットの受信通知を受けた場合、制御装置1100が、中継装置1103に、上流側仮想インタフェースに対して対応するマルチキャストグループのIGMP又はMLD Reportパケットを出力させることで、生存確認に対する応答が行われる。
【0039】
これら制御装置1100から中継装置に対するパケット出力指示とパケット受信通知には、非特許文献2のPacket−outメッセージ及びPacket−inメッセージを用いることができる。
【0040】
本実施形態では、このように、制御装置1100が擬似的にマルチキャストパケットの受信端末として振舞うことで、中継装置1101〜1104を介して、端末からの送信開始の要求や生存確認応答を伝達しなくとも、前記マルチキャストパケットの送信開始の要求や、端末の生存確認に対する応答を行うことが可能となっている。
【0041】
以上、本実施形態の説明においては、データ用の通信路(
図2の実線参照)と、制御用の通信路(
図2の破線参照)を分けて説明した。これら2つは混在してもよい。また、本実施形態では、中継装置は4つ、端末は5つ、外部中継装置は1つの場合で説明した。これらは数の制限を受けない。
【0042】
また、
図3に示した制御装置1100の各部(処理手段)は、制御装置1100を構成するコンピュータに、そのハードウェアを用いて、上記した各処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現することもできる。
【0043】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。以下、ある端末が、マルチキャストグループのマルチキャストパケットの受信を希望し、その端末に、そのマルチキャストグループのマルチキャストパケットを転送されるまでの動作について詳細に説明する。
【0044】
以下の説明では、端末1105がマルチキャストグループの送信者であるものとする。事前準備として、マルチキャスト網上流側仮想インタフェースの設定が行われる。外部中継装置1001と仮想プロキシ装置1304間の仮想インタフェースを、CLIを使ってマルチキャスト網上流側仮想インタフェースに設定する。マルチキャスト網上流側仮想インタフェース管理部1100−8は、指定された仮想インタフェースを上流側仮想インタフェースとして保持する。
【0045】
次に、制御装置1100は、端末1106〜1109に対し、受信を希望するマルチキャストグループを問い合わせる。具体的には、制御装置1100は、これら端末に接続された中継装置1102及び1104に対し、それぞれ端末1106、1107および1108、1109へと、IGMP又はMLD GeneralQueryパケットを送信するよう指示する。これにより、IGMPまたはMLD Queryパケットが、端末1106〜1109に送信される。
【0046】
ここで、端末1106が前記マルチキャストグループの受信を希望したものとする。マルチキャストグループ#1のマルチキャストパケットの受信を希望する端末1106は、IGMPまたはMLD General Queryパケットを受信すると、中継装置1102に対してIGMP又はMLD Reportを送信する。
【0047】
中継装置1102は、端末1106からIGMP又はMLD Reportパケットを受信すると、制御装置1100に対してIGMPまたはMLD Reportを転送する。制御装置1100は、端末1106からIGMP又はMLD Reportパケットを受信すると、マルチキャストグループ管理部1100−5で管理する仮想ネットワーク識別子が1202であるマルチキャストグループ(#1)の受信端末に、端末1106を追加する(
図4参照)。
【0048】
制御装置1100は、トポロジ情報管理部1100−3とマルチキャストグループ管理部1100−5の情報を基にして、経路計算を行い、その経路上の中継装置に対し、マルチキャスト経路制御コマンドを発行し、該当マルチキャストグループのマルチキャストパケットを端末1106にも転送するように制御する。
【0049】
また、制御装置1100は、外部中継装置1001に対して、新たなグループの受信端末が追加されたことを通知するため、中継装置1103に対し、外部中継装置1001が接続されているポートからIGMP又はMLD Reportの送信を指示する。
【0050】
これにより、マルチキャストパケットの送信者(端末1105)がマルチキャストパケットを送信すると、当該マルチキャストパケットは、外部中継装置1001を経由して、中継装置1103にて受信される。中継装置1103は、マルチキャスト経路制御コマンド生成部1100−7にて設定されたマルチキャスト用の経路に沿ってパケットを転送する。例えば、マルチキャスト用の経路として、
図2の中継装置1103、1101、1102を経由する経路が計算されている場合、当該マルチキャストパケットは、中継装置1103から中継装置1101、1102を経て、端末1106に届けられる。また、この過程でマルチキャストパケットのヘッダの送信元MACアドレスが書き換えられるため、前記中継装置1101〜1103によって転送されたマルチキャストパケットは、端末1106において、
図5の第2の仮想ネットワーク1202の仮想プロキシ装置1304による転送として認識される。
【0051】
以上のように、本実施形態によれば、物理ネットワークを論理的に分割(スライス)したマルチキャスト専用の仮想ネットワーク(第2の仮想ネットワーク)を介して、マルチキャストを行うことができる。このため、マルチキャストルータを削減するだけでなく、これらマルチキャストルータに対するマルチキャスト転送のためのコンフィグ投入作業(設定作業)など、運用の手間も省くことができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、マルチキャストの経路の把握を容易化できる。その理由は、マルチキャスト専用の仮想ネットワーク(第2の仮想ネットワーク)を設け、その上の経路として把握できるようにしたためである。具体的には、前記マルチキャスト専用の仮想ネットワーク(第2の仮想ネットワーク)の経路上の中継装置に設定された制御情報のうち、マッチ条件にマルチキャストグループ識別子が用いられているものを抽出することで、そのフロー統計情報を参照することが可能となる。
【0053】
また、本実施形態によれば、中継装置1101〜1104にて構成される集中制御型ネットワーク内部で、マルチキャストルーティングプロトコルを使用せずにマルチキャストパケットの転送をすることができる。その理由は、マルチキャスト網上流側仮想インタフェース管理部1100−8と、擬似端末機能部1100−9とを設け、制御装置1100が、マルチキャストグループに属する端末に代わって、マルチキャストパケットの送信開始の要求や生存確認応答を行うようにしたためである。
【0054】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、各図面に示したネットワーク構成や要素の構成は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0055】
最後に、本発明の好ましい形態を要約する。
[第1の形態]
(上記第1の視点による制御装置参照)
[第2の形態]
第1の形態の制御装置において、
さらに、マルチキャストグループへの受信希望メッセージを収集し、前記マルチキャストグループ管理部に通知するマルチキャストグループ取得部を備える制御装置。
[第3の形態]
第2の形態の制御装置において、
前記中継装置に対し、前記マルチキャストグループへの受信希望メッセージの転送を指示する制御情報を設定することにより、前記マルチキャストグループへの受信希望メッセージを収集する制御装置。
[第4の形態]
第2又は第3の形態の制御装置において、
前記中継装置を介して、前記中継装置に接続された機器に対して、マルチキャストグループへの受信希望の有無を問い合わせる制御装置。
[第5の形態]
第1から第4いずれか一の形態の制御装置において、
前記中継装置に、マルチキャストパケットの送信元アドレスを所定の仮想プロキシ装置のアドレスに書き換えてから転送させる制御装置。
[第6の形態]
第1から第5いずれか一の形態の制御装置において、
さらに、任意のマルチキャストグループの受信端末に代わって、マルチキャストプロトコルで通信する疑似端末機能部を備える制御装置。
[第7の形態]
第6の形態の制御装置において、
各マルチキャストグループ毎に、送信元の機器が接続されている仮想インタフェースを管理するマルチキャスト網上流側仮想インタフェース管理部を備え、
前記仮想プロキシ装置は、前記マルチキャスト網上流側仮想インタフェース管理部を参照して、送信元の機器と通信する制御装置。
[第8の形態]
(上記第2の視点による通信システム参照)
[第9の形態]
(上記第3の視点による中継装置の制御方法参照)
[第10の形態]
(上記第4の視点によるプログラム参照)
なお、上記第8〜第10の形態は、第1の形態と同様に、第2〜第7の形態に展開することが可能である。
【0056】
なお、上記の非特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。