特許第6206494号(P6206494)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206494
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20170925BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20170925BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   H01L25/04 C
   H01L23/12 F
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-522857(P2015-522857)
(86)(22)【出願日】2014年6月12日
(86)【国際出願番号】JP2014065589
(87)【国際公開番号】WO2014203798
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2015年9月7日
(31)【優先権主張番号】特願2013-128409(P2013-128409)
(32)【優先日】2013年6月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 瑶子
(72)【発明者】
【氏名】梨子田 典弘
【審査官】 原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−231690(JP,A)
【文献】 特開平11−040700(JP,A)
【文献】 特開2011−009533(JP,A)
【文献】 特開2010−041053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H01L 23/12
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁板および回路板を有する絶縁基板と、
おもて面に電極を有し、裏面が前記回路板に固定されている半導体チップと、
金属層を有し、前記絶縁基板に対向したプリント基板と、
前記電極に配置されている導電性の接合材と、
先端部が前記接合材を介して前記電極に電気的かつ機械的に接続され、根元部が前記金属層に電気的かつ機械的に接続され、前記先端部の表面がAgメッキで覆われ、かつ、中央部の表面よりも溶融した前記接合材に対して濡れ角が小さい導電ポストと、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記接合材がハンダである請求項記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特にパワー半導体チップを搭載したパワー半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来のパワー半導体モジュール500の構成図である。図5(a)は要部平面図、図5(b)は図5(a)のV−V線で切断した要部断面図である。
パワー半導体モジュール500は、絶縁基板104と、半導体チップ106と、プリント基板109と、導電ポスト108とを備えている。
【0003】
半導体チップ106は、その裏面がハンダなどの導電性の接合材105を介して、絶縁基板104の回路板103に固定されている。導電ポスト108は、根元部がプリント基板109の金属層114に電気的かつ機械的に接続されている。また、導電ポスト108は、先端部がハンダなどの導電性の接合材107を介して、半導体チップ106のおもて面電極に電気的かつ機械的に接続されている。
また、パワー半導体モジュール500は、外部端子110と、封止樹脂111も備えている。
【0004】
このパワー半導体モジュール500は、半導体チップ106の裏面電極(図示せず)への電気配線を回路板103で行い、おもて面電極(図示せず)への電気配線を導電ポスト108及びプリント基板109で行なう構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
パワー半導体モジュール500の製造工程を以下に示す。まず、絶縁基板104に接合材105を載置した後、その上に半導体チップ106を載置し、さらにその上に接合材107を載置する。次に、絶縁基板104の回路板103に設けられた凹部112に、外部端子110を挿入する。次に、導電ポスト108をあらかじめ固定したプリント基板109を、スルーホール113に外部端子110を挿入しながら、絶縁基板104に対向する位置に載置する。これをN・Hリフロー等により接合材を溶融させて一括組立し、最後に絶縁樹脂111で封止する。(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−64852号公報
【特許文献2】特開2012−129336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
導電ポスト108の先端部は、接合材107により半導体チップ106に固定されている。一方で、接合材107が所定の量より多い場合、リフロー工程の際に毛細管現象により接合材107は導電ポスト108の中央部を這い上がる。そして、接合材107がプリント基板109に到達し、導電ポスト108が接合材107で覆われる場合もある。図6(a)はその場合の概略図である。
【0008】
導電ポスト108を銅で構成した場合、線膨張係数は16.5×10−6(1/℃)程度である。また、接合材107をハンダで構成した場合、線膨張係数は22.0〜24.0×10−6(1/℃)程度である。図6(a)の状態で半導体チップ106が動作時に発熱し、周囲の温度が上昇した場合、銅とハンダの線膨張係数差により、導電ポスト108が上下に引っ張られる方向に熱応力が発生する。そして、図6(b)に示す通り、半導体チップ106にこの熱応力がかかり、半導体チップ106の破損の原因となる。
【0009】
図7は半導体チップ106の信頼性試験前後の表面写真であり、図7(a)は試験前、図7(b)は試験後の様子である。図7(b)に示すように、信頼性試験後に半導体素子が凹凸に変形して、破損していることがわかる。
【0010】
さらに、近年適用が進むSiC等のWBG(Wide Band Gap)チップを搭載したパワー半導体モジュールでは、動作温度の範囲が従来のSiチップを搭載したパワー半導体モジュールと比べ高くなっている(例えばTjmax>175℃)。このため、WBGチップを搭載したパワー半導体モジュールにおいては、さらに上記熱応力が増加するため、信頼性低下の懸念がより高まる。
【0011】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、半導体チップをプリント基板と導電ポストを用いて電気配線を行うパワー半導体モジュールにおいて、半導体チップにかかる熱応力を緩和し、信頼性を向上させることができる半導体装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するために、この発明の一態様では、半導体装置は、絶縁板および回路板を有する絶縁基板と、おもて面に電極を有し、裏面が前記回路板に固定されている半導体チップと、金属層を有し、前記絶縁基板に対向したプリント基板と、前記電極に配置されている導電性の接合材と、先端部が前記接合材を介して前記電極に電気的かつ機械的に接続され、根元部が前記金属層に電気的かつ機械的に接続され、前記先端部の表面がAgメッキで覆われ、かつ、中央部の表面よりも溶融した前記接合材に対して濡れ角が小さい導電ポストと、を備えている。
【発明の効果】
【0013】
上記の手段によれば、導電ポストの先端部もしくは中央部の濡れ性を制御することにより、接合材がリフローで溶融する際に、接合材を導電ポストの先端部の所定の範囲に限定して配置することができる。そして、接合材の導電ポストへの毛細管現象による這い上がりを抑制することができる。その結果、接合材と導電ポストとの線膨張係数差による熱応力を抑制することができるため、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、この発明の実施例1に係る半導体装置の平面図(a)及び断面図(b)である。
図2図2は、この発明の実施例1に係る導電ポスト周辺を拡大した断面図であり、(a)が接合前、(b)が接合後の図である。
図3図3は、この発明の実施例2に係る半導体装置の平面図(a)及び断面図(b)である。
図4図4は、この発明の実施例2に係る導電ポスト周辺を拡大した断面図であり、(a)が接合前、(b)が接合後の図である。
図5図5は、従来例に係る半導体装置の平面図(a)及び断面図(b)である。
図6図6は、従来例に係る導電ポストの周辺を拡大した断面図である。
図7図7は、従来例に係る信頼性試験前(a)及び試験後(b)の結果を示した半導体チップの表面写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を図面に基づいて説明する。
実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。なお、本出願の明細書および請求の範囲に用いられている「電気的かつ機械的に接続されている」という用語は、対象物同士が直接接合により接続されている場合に限られず、ハンダや金属焼結材などの導電性の接合材を介して対象物同士が接続されている場合も含むものとする。
【0016】
(実施例1)
本発明の第1の実施形態を、図1および図2に基づいて説明する。
図1は、この発明の実施例1のパワー半導体モジュール50の構成図である。図1(a)は要部平面図、図1(b)はI−I線で切断した要部断面図である。
【0017】
パワー半導体モジュール50は、絶縁基板4と、半導体チップ6と、プリント基板9と、接合材7と、導電ポスト8を備えている。またパワー半導体モジュール50は、外部端子10を備え、封止樹脂11により一体的になった構造をなしている。
【0018】
絶縁基板4は、金属板1と、絶縁板2と、回路板3を有している。金属板1および回路板3は、銅やアルミニウムなどの金属や、それらを主成分とする合金で構成されている。絶縁板2は、アルミナ(Al)焼結体、窒化ケイ素(Si)等のセラミックで構成されている。絶縁基板4は、例えばDCB(Direct Copper Bonding)基板である。回路板3は、絶縁板2のおもて面に選択的にパターン形成されている。
【0019】
半導体チップ6は、例えばIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)やパワーMOSFET、還流ダイオード(Free Wheeling Diode)等の縦型のパワー半導体チップが該当する。
【0020】
そして回路板3には、Sn−Agハンダなどの導電性の接合材5を用いて、半導体チップ6が固定されている。そして、半導体チップ6の裏面電極(例えばコレクタ電極)が、回路板3と電気的に接続されている。
【0021】
プリント基板9は、パワー半導体モジュールの配線部材として用いられる金属層14を有する。プリント基板9の材質は、例えばポリイミド樹脂等である。また必要に応じて、ガラス繊維で構成されたガラスクロスを内部に含浸させてもよい。金属層14は、例えば、銅や銅合金により構成されている。
【0022】
また、プリント基板9には、内壁がめっき層(図示せず)で処理された複数の孔が設けられ、その孔の内に円筒状の導電ポスト8がめっき層を介してインプラントされている。この構造により、導電ポスト8をプリント基板9の主面上に垂直になるように固定することができる。また導電ポスト8は根元部17において、金属層14と電気的かつ機械的に接続されている。そして、パワー半導体モジュール50では、半導体チップ6のおもて面電極と外部との配線が、導電ポスト8と金属層14により行われている。
【0023】
導電ポスト8は、例えば、銅やアルミニウム(Al)、または、これらの金属を主成分とする合金で構成されている。また、それぞれの半導体チップ6に接続される導電ポスト8の長さは、均一である。導電ポスト8の表面は銅、または銅にNiメッキされたものが望ましい。
【0024】
接合材7は、導電性で、かつ融点で溶融し、融点以下で凝固する特性を有しており、例えば、Sn−Ag系やAg−Sn系の鉛フリーハンダで構成されている。接合材7は融点以上で溶融し、融点以下で凝固する特性を有しているので、リフロー工程で被接合部材同士を接合することができる。また、接合材7は導電性であるので、導電ポスト8の先端部15と、半導体チップ6のおもて面電極を電気的かつ機械的に接続することができる。
【0025】
またパワー半導体モジュール50は、回路板3に設けられた凹部12に嵌合して、回路板3と電気的かつ機械的に接続される外部端子10を備えている。また、外部端子10は、プリント基板9に設けられたスルーホール13に挿通され、プリント基板9の位置決め用部材としても機能している。なお、外部端子10は、凹部12との嵌合と図示しない接合材の組み合わせで固定されているため、回路板3との接合強度が確保されている。
【0026】
また上記の構成要素を外部環境から保護するため、エポキシ樹脂などで構成される封止樹脂11が上記の構成要素の周囲に配置されている。
【0027】
実施例1が前述の従来例と異なる点としては、導電ポスト8の半導体チップ6と当接する先端部15の表面が中央部16の表面よりも濡れ性が良いメッキで覆われている点である。詳細を図2に示す。
【0028】
導電ポスト8の先端部15の表面を中央部16の表面よりも濡れ性が良いメッキで覆うことにより(図2(a))、溶融した接合材7に対する導電ポスト8の先端部15の濡れ角が、メッキで覆われていない、またはNiメッキで覆われている中央部16よりも小さくなる。そのため、接合材7がリフロー工程で溶融した際に、溶融した接合材7は導電ポスト8の先端部15に選択的に濡れる。その結果、接合材7を半導体チップ6から所定の高さに限定して配置することができ、接合材7の毛細管現象による這い上がりを抑制することができる(図2(b))。このことから、接合材7と導電ポスト8との線膨張係数差に起因する半導体チップ6にかかる熱応力を抑制することができるため、パワー半導体モジュールの信頼性を高めることができる。
【0029】
なお導電ポスト8の表面は前述のように銅、または銅にNiメッキがされているが、本実施例に係る先端部15へのメッキは、Ag、Auなどの金属メッキが望ましい。なぜなら、銅やNiメッキの表面に比べハンダなどの接合材に対する濡れ性が良い(すなわち、濡れ角が小さい)からである。
【0030】
(実施例2)
本発明の第2の実施形態を、図3および図4に基づいて説明する。
図3は、この発明の実施例2のパワー半導体モジュール60の構成図である。図3(a)は要部平面図、図3(b)はIII−III線で切断した要部断面図である。
実施例2が従来例と異なる点としては、導電ポスト8の中央部16の表面に、先端部15よりも濡れ性が悪い部分マスクが施されている点である。詳細を図4に示す。
【0031】
導電ポスト8の中央部16の表面にのみ部分マスクを施すことにより(図4(a))、溶融した接合材7に対する導電ポスト8の中央部16の濡れ角が、部分マスクが施されていない先端部15よりも大きくなる。そのため接合材7がリフロー工程で溶融した際に、溶融した接合材7は導電ポスト8の先端部15に選択的に濡れる。そのため実施例1と同様、接合材7の毛細管現象による這い上がりを抑制することができる(図4(b))。その結果、接合材7と導電ポスト8との線膨張係数差に起因する熱応力を抑制することができるため、パワー半導体モジュールの信頼性を高めることができる。
【0032】
なお導電ポスト8の中央部16への部分マスクは、例えば、レーザー照射により形成される酸化膜や、ポリイミドなどの樹脂膜などである。また、中央部16の表面に機械的な方法で粗さをつけ、濡れを制限するなどをしてもよい。
【0033】
以上、図面を用いて本発明の半導体装置の実施形態について説明したが、本発明の半導体装置は、実施形態及び図面の記載に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で幾多の変形が可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 金属板
2 絶縁板
3 回路板
4 絶縁基板
5 接合材
6 半導体チップ
7 接合材
8 導電ポスト
9 プリント基板
10 外部端子
11 封止樹脂
12 凹部
13 スルーホール
14 金属層
15 先端部
16 中央部
17 根元部
50、60 パワー半導体モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7