特許第6206495号(P6206495)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206495
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/331 20060101AFI20170925BHJP
   H01L 29/737 20060101ALI20170925BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20170925BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   H01L29/72 H
   H01L29/50 B
   H01L21/28 301S
   H01L21/28 301B
【請求項の数】10
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-526217(P2015-526217)
(86)(22)【出願日】2014年6月6日
(86)【国際出願番号】JP2014065080
(87)【国際公開番号】WO2015005037
(87)【国際公開日】20150115
【審査請求日】2015年12月9日
(31)【優先権主張番号】特願2013-144454(P2013-144454)
(32)【優先日】2013年7月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅本 康成
(72)【発明者】
【氏名】黒川 敦
(72)【発明者】
【氏名】西明 恒和
【審査官】 棚田 一也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−076012(JP,A)
【文献】 特開2009−231593(JP,A)
【文献】 Tadao ISHIBASHI,Nonequilibrium Electron Transport in HBTs,IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES,米国,IEEE,2001年11月,VOL.48, NO.11,P.2595-2605
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/331
H01L 21/28
H01L 29/417
H01L 29/737
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コレクタ層と、
前記コレクタ層上に形成されたベース層と、
前記ベース層上に形成されたエミッタ層と
を有し、
前記コレクタ層は、
少なくとも一層の型半導体層と、
前記p型半導体層に接合するn型層を含むn型半導体層と
を備え、
前記n型半導体層はGaAsから形成され、
前記n型層の不純物濃度は5×1015cm-3以下であり、
前記p型半導体層はGaAsから形成され、
前記型半導体層のシート濃度の総和は、1×1011cm-2よりも低く設定された、半導体装置。
【請求項2】
前記型半導体層は、前記n型層に挟み込まれるように形成され、
前記型半導体層は、前記コレクタ層における前記ベース層側の端面から、前記型半導体層と前記n型層との接合面のうち前記ベース層側に位置するベース層側接合面までの距離が、前記コレクタ層の厚さの10〜70%の厚さに相当する距離の範囲内にあるように配置された、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記型半導体層は、前記端面から前記ベース層側接合面までの距離が、前記コレクタ層の厚さの30〜60%の厚さに相当する距離の範囲内にあるように配置された、請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記型半導体層は、前記n型層に介在するように配置され、
前記型半導体層の不純物濃度は、前記型半導体層にそれぞれ接している前記n型層の前記不純物濃度よりも低く設定された、請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
半導体基板と前記コレクタ層との間にサブコレクタ層が形成され、
前記型半導体層は、前記n型層の側から前記サブコレクタ層の側へ向かって、不純物濃度が増加する傾向を示す部分を含む、請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記型半導体層は、前n型層の前記不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1高濃度層を含み、
半導体基板と前記コレクタ層との間にサブコレクタ層が形成され、
前記第1高濃度層は前記サブコレクタ層の側に形成された、請求項1〜のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記型半導体層は、前記n型層と前記第1高濃度層との間に介在するように配置された、請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
前記n型層の前記不純物濃度は、一の不純物濃度と、前記一の不純物濃度よりも低い他の不純物濃度とを含み、
前記n型層は、前記他の不純物濃度を有する低濃度層を含み、
前記低濃度層は、前記型半導体層と前記第1高濃度層との間に配置された、請求項6または7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記型半導体層は、前記n型層の前記不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第2高濃度層を含み、
前記第2高濃度層は、前記ベース層に接するように配置された、請求項6〜8のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記エミッタ層と前記ベース層とはヘテロ接合をなし、
前記エミッタ層のバンドギャップが前記ベース層のバンドギャップよりも大きく設定された、請求項1〜のいずれかに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、特に、バイポーラ・トランジスタを備えた半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末機等のパワーアンプモジュールを構成するトランジスタとして、ヘテロ接合型のバイポーラ・トランジスタが適用されている。この種のバイポーラ・トランジスタは、HBT(Hetero Junction Bipolar Transistor)と称されている。
【0003】
ここで、そのようなバイポーラ・トランジスタの第1従来例として、非特許文献1に挙げられているバイポーラ・トランジスタについて説明する。図30に示すように、バイポーラ・トランジスタでは、GaAs等の半導体基板101に接するようにサブコレクタ層102が形成され、そのサブコレクタ層102に接するようにコレクタ層103が形成されている。コレクタ層103に接するようにベース層104が形成され、そのベース層104に接するようにエミッタ層105が形成されている。エミッタ層105に接するようにエミッタ電極111が形成されている。ベース層104に接するようにベース電極110が形成されている。サブコレクタ層102に接するようにコレクタ電極109が形成されている。
【0004】
第1従来例に係るバイポーラ・トランジスタでは、エミッタ層105とベース層104とはヘテロ接合をなしている。また、エミッタ層105のバンドギャップが、ベース層104のバンドギャップよりも大きくなるように設定されている。さらに、コレクタ層103では、不純物濃度が厚さ方向(深さ方向)に均一になるように形成されている。
【0005】
次に、バイポーラ・トランジスタの第2従来例として、特開平02−291135号公報(特許文献1)に挙げられているバイポーラ・トランジスタについて説明する。図31に示すように、第2従来例に係るバイポーラ・トランジスタでは、特に、コレクタ層103は、第1コレクタ層103a、第2コレクタ層103bおよび第3コレクタ層103cから形成され、不純物濃度が相対的に低い第1コレクタ層103aと高い第2コレクタ層103bとが接合している。なお、これ以外の構成については、第1従来例に係るバイポーラ・トランジスタと同様なので、同一部材には同一符号を付し、その説明を繰り返さないこととする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平02−291135号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Min-Chang Tu, Herng-Yih Ueng, and Yu-Chi Wang:“Performance of High-Reliability and High-Linearity InGaP/GaAs HBT PAs for Wireless Communication” IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES, VOL. 57, NO. 1, JANUARY (2010) p188.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ヘテロ接合型のバイポーラ・トランジスタでは、変調ひずみを抑えたり電力利得(ゲイン)のコレクタ電圧変動を抑制する観点から、ベース・コレクタ間の電圧の変動(変化)に対して、ベースとコレクタとの間の容量(ベース・コレクタ間容量)の変化が小さいことが求められる。すなわち、実用的なベース・コレクタ間の電圧の範囲において、ベース・コレクタ間容量が一定になること(線形性)が求められる。
【0009】
ベース・コレクタ間容量とベース・コレクタ間電圧との関係をシミュレーションにより計算した結果(グラフ)を図32に示す。このグラフは、文献の趣旨を逸脱しない範囲で、コレクタ濃度パラメータを変えて計算した結果である。図32に示すように、第1従来例および第2従来例では、通常の使用範囲とされる、ベース・コレクタ間電圧の範囲(Vbc=−4〜0V程度)において、ベース・コレクタ間容量Cbcは、1.5〜2.0倍程度変化する。さらに、ベース・コレクタ間電圧Vbcが正の領域では、ベース・コレクタ間容量Cbcのグラフは急速に立ち上がり、正の領域を含めたベース・コレクタ間電圧の範囲(Vbc=−4〜0.4程度)では、ベース・コレクタ間容量Cbcは、2.0〜2.5倍程度変化してしまい、線形性が悪くなる。
【0010】
パワーアンプモジュールに使用されるバイポーラ・トランジスタとしては、相対的に高い電圧で動作する場合と、相対的に低い電圧で動作する場合とがある。このため、第1従来例および第2従来例の構造においては、実用的なベース・コレクタ間電圧の範囲(変動)に対して、ベース・コレクタ間容量が変動してしまい、変調ひずみが大きくなったり、電力利得がコレクタ電圧に応じて大きく変動するという問題があった。
【0011】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、ベース・コレクタ間容量の変動が抑制される半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る半導体装置は、コレクタ層とベース層とエミッタ層とを有している。ベース層は、コレクタ層上に形成されている。エミッタ層は、ベース層上に形成されている。コレクタ層は、少なくとも一層の型半導体層と、p型半導体層に接合するn型層を含むn型半導体層とを備えている。n型半導体層はGaAsから形成されている。n型層の不純物濃度は5×1015cm-3以下である。p型半導体層はGaAsから形成されている。p型半導体層のシート濃度の総和は、1×1011cm-2よりも低く設定されている。
【0013】
本発明に係る半導体装置によれば、コレクタ層は、少なくとも一層の型半導体層と、p型半導体層に接合するn型層を含むn型半導体層とを備え、その型半導体層のシート濃度の総和は、1×1011cm-2よりも低く設定されている。これにより、ベース・コレクタ間容量の変動(変化)を抑制することができ、変調ひずみを抑えることができるとともに、電力利得のコレクタ電圧変動を抑制することができる。
【0014】
型半導体層は、型半導体層に挟み込まれるように形成され、型半導体層は、コレクタ層におけるベース層側の端面から、型半導体層と型半導体層との接合面のうちベース層側に位置するベース層側接合面までの距離が、コレクタ層の厚さの10〜70%の厚さに相当する距離の範囲内にあるように配置されていることが好ましい。
【0015】
これにより、ベース・コレクタ間容量の変動を確実に抑制することができる。
さらに、型半導体層は、端面からベース層側接合面までの距離が、コレクタ層の厚さの30〜60%の厚さに相当する距離の範囲内にあるように配置されていることが好ましい。
【0016】
これにより、ベース・コレクタ間容量の変動をより確実に抑制することができる。
型半導体層は、型半導体層に介在するように配置され、型半導体層の不純物濃度は、型半導体層にそれぞれ接しているn型層の不純物濃度よりも低く設定されていることが好ましい。
【0017】
このことによっても、ベース・コレクタ間容量の変動を抑制することができる。
半導体基板とコレクタ層との間にサブコレクタ層が形成されており、型半導体層における不純物濃度は、型半導体層からサブコレクタ層側へ向かって増加する傾向になるように設定されていることが好ましい。なお、増加する傾向とは、不純物濃度が単調に増加すること、または、階段状に増加するだけではなく、途中で不純物濃度が低下する箇所があっても、型半導体層からサブコレクタ層側へ向かって全体として増加していればよいことを意図するものである。
【0018】
また、型半導体層は、n型層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1高濃度層とを含み、半導体基板とコレクタ層との間にサブコレクタ層が形成されており、第1高濃度層はサブコレクタ層の側に形成され、不純物濃度層はベース層側に形成されていることが好ましい。
【0019】
これらにより、サブコレクタ層の側の電界を緩和させることができ、コレクタ耐圧を向上させることができる。
【0020】
型半導体層の配置態様として、型半導体層は、n型層と第1高濃度層との間に介在するように配置されていることが好ましい。また、n型層の不純物濃度は、一の不純物濃度と、一の不純物濃度よりも低い他の不純物濃度とを含み、n型層は、他の不純物濃度を有する低濃度層を含み、低濃度層は、型半導体層と第1高濃度層との間に配置されていることが好ましい。
【0021】
さらに、型半導体層は、n型層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第2高濃度層を含み、第2高濃度層は、ベース層に接するように配置されていることが好ましい。
【0022】
これにより、カーク効果を抑制することができる。
また、第1導電型半導体層および第2導電型半導体層は、同じ半導体から形成されていることが好ましい。エミッタ層とベース層とはヘテロ接合をなし、エミッタ層のバンドギャップがベース層のバンドギャップよりも大きく設定されていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態1に係るバイポーラ・トランジスタを備えた半導体装置の断面図である。
図2】同実施の形態において、ベース層、コレクタ層およびサブコレクタ層の不純物濃度の分布を示す図である。
図3】同実施の形態において、バイポーラ・トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図である。
図4】同実施の形態において、図3に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図5】同実施の形態において、図4に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図6】同実施の形態において、図5に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図7】同実施の形態において、ベース・コレクタ間容量Cbcとベース・コレクタ間電圧Vbcとの関係を示すグラフである。
図8】同実施の形態において、作用効果を説明するための、小電流動作時と大電流動作時とにおける、ベース・コレクタ間容量Cbcとコレクタ・エミッタ間電圧Vceの関係を示すグラフである。
図9】同実施の形態において、作用効果を説明するための、ベース・コレクタ間容量Cbcとコレクタ・エミッタ間電圧Vceとの関係を示すグラフである。
図10】同実施の形態において、作用効果を説明するための、コレクタ・エミッタ間電圧Vceを所定電位に固定した場合における、ベース・コレクタ間容量Cbcとベース・エミッタ間電圧Vbeとの関係を示すグラフである。
図11】同実施の形態において、作用効果を説明するための、コレクタ・エミッタ間電圧Vceを所定電位に固定した場合における、伝導帯および価電子帯のエネルギーと、エミッタ層からサブコレクタ層に至る深さ方向との関係を示すエネルギーバンドである。
図12】同実施の形態において、作用効果を説明するための、コレクタ・エミッタ間電圧Vceを所定電位に固定した場合における、キャリア濃度と、エミッタ層からサブコレクタ層に至る深さ方向との関係を示すグラフである。
図13】同実施の形態において、作用効果を説明するための、ベース・コレクタ間容量Cbcの容量差ΔCbcとp層開始位置との関係を示すグラフである。
図14】本発明の実施の形態2に係るバイポーラ・トランジスタを備えた半導体装置の断面図である。
図15】同実施の形態において、ベース層、コレクタ層およびサブコレクタ層の不純物濃度の分布を示す図である。
図16】同実施の形態において、作用効果を説明するための、ベース・コレクタ間容量Cbcの容量差ΔCbcとp層開始位置との関係を示すグラフである。
図17】同実施の形態において、変形例に係るバイポーラ・トランジスタのベース層、コレクタ層およびサブコレクタ層の不純物濃度の分布を示す図である。
図18】本発明の実施の形態3に係るバイポーラ・トランジスタを備えた半導体装置の断面図である。
図19】同実施の形態において、ベース層、コレクタ層およびサブコレクタ層の不純物濃度の分布を示す図である。
図20】本発明の実施の形態4に係るバイポーラ・トランジスタを備えた半導体装置の断面図である。
図21】同実施の形態において、ベース層、コレクタ層およびサブコレクタ層の不純物濃度の分布を示す図である。
図22】同実施の形態において、作用効果を説明するための、ベース・コレクタ間容量Cbcとベース・コレクタ間電圧Vbcとの関係を示すグラフである。
図23】本発明の実施の形態5に係るバイポーラ・トランジスタを備えた半導体装置の断面図である。
図24】同実施の形態において、ベース層、コレクタ層およびサブコレクタ層の不純物濃度の分布を示す図である。
図25】同実施の形態において、第1変形例に係るバイポーラ・トランジスタにおけるベース層、コレクタ層およびサブコレクタ層の不純物濃度の分布を示す図である。
図26】同実施の形態において、第2変形例に係るバイポーラ・トランジスタにおけるベース層、コレクタ層およびサブコレクタ層の不純物濃度の分布を示す図である。
図27】同実施の形態において、第3変形例に係るバイポーラ・トランジスタにおけるベース層、コレクタ層およびサブコレクタ層の不純物濃度の分布を示す図である。
図28】本発明の実施の形態6に係るバイポーラ・トランジスタを備えた半導体装置の断面図である。
図29】同実施の形態において、ベース層、コレクタ層およびサブコレクタ層の不純物濃度の分布を示す図である。
図30】第1従来例に係るバイポーラ・トランジスタを備えた半導体装置の断面図である。
図31】第2従来例に係るバイポーラ・トランジスタを備えた半導体装置の断面図である。
図32】従来例に係るバイポーラ・トランジスタにおける、ベース・コレクタ間容量Cbcとベース・コレクタ間電圧Vbcとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施の形態1
実施の形態1に係る半導体装置として、コレクタ層に1層のp層(p型半導体層)が含まれるヘテロ接合型のバイポーラ・トランジスタを備えた半導体装置の第1例について説明する。
【0025】
図1および図2に示すように、バイポーラ・トランジスタBTでは、半絶縁性GaAs等の半導体基板1の表面に接するようにn型GaAs層(Si濃度:約5×1018cm-3、膜厚:約0.6μm)からなるサブコレクタ層2が形成されている。サブコレクタ層2に接するようにコレクタ層3が形成されている。コレクタ層3に接するように、p型GaAs層(C濃度:約4×1019cm-3、膜厚約100nm)からなるベース層4が形成されている。ベース層4に接するように、n型InXGa1-XP層(In組成比:X=0.5、Si濃度:約3×1017cm-3、膜厚:約30nm)からなるエミッタ層5が形成されている。エミッタ層5を貫通してベース層4に接するように、ベース電極10が形成されている。
【0026】
エミッタ層5に接するように、n型GaAs層6(Si濃度:約3×1017cm-3、膜厚:約90nm)が形成されている。n型GaAs層6に接するように、n型GaAsコンタクト層7(Si濃度:約1×1019cm-3、膜厚約50nm)が形成されている。n型GaAsコンタクト層7に接するように、n型InXGa1-XAsコンタクト層8(In組成比:X=0.5、Si濃度:約1×1019cm-3、膜厚:約50nm)が形成されている。n型InXGa1-XAsコンタクト層8に接するようにエミッタ電極11が形成されている。コレクタ層3の両側方に位置するサブコレクタ層2に接するように、コレクタ電極9が形成されている。
【0027】
なお、半導体基板1とサブコレクタ層2との間に、積層された別の層が形成されていてもよい。また、同様に、サブコレクタ層2とコレクタ層3との間、コレクタ層3とのベース層4との間、ベース層4とエミッタ層5との間およびエミッタ層5とn型GaAs層6との間のいずれかにも、別の層が形成されていてもよい。
【0028】
コレクタ電極9は、たとえば、ゲルマニウム金(AuGe)膜(膜厚:約60nm)、ニッケル(Ni)膜(膜厚:約10nm)および金(Au)膜(膜厚:約200nm)を順次積層させた積層膜から形成されている。ベース電極10は、チタン(Ti)膜(膜厚:約50nm)、白金(Pt)膜(膜厚:約50nm)および金(Au)膜(膜厚:約200nm)を順次積層させた積層膜から形成されている。エミッタ電極11は、タングステンシリサイド膜(Si組成比:0.3、膜厚:約0.3μm)から形成されている。
【0029】
このバイポーラ・トランジスタでは、コレクタ層3は、n型GaAs層3a(Si濃度:約5×1015cm-3、膜厚:約350nm)、p型GaAs層3b(C濃度:約4.5×1015cm-3、膜厚:約100nm、シート濃度:4.5×1010cm-2)およびn型GaAs層3c(Si濃度:約5×1015cm-3、膜厚:約500nm)の三層の半導体層によって形成されている。
【0030】
上述したバイポーラ・トランジスタBTでは、コレクタ層3が、1層のp型GaAs層3bを備えていることで、ベース・コレクタ間容量Cbcの変動が抑制されて、線形性を改善することができる。これについては、後で詳細に説明する。
【0031】
次に、上述したヘテロ接合のバイポーラ・トランジスタBTの製造方法の一例について説明する。まず、半導体基板の表面上に、サブコレクタ層、コレクタ層、ベース層、エミッタ層およびコンタクト層等となる所定の層が、それぞれMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法等のエピタキシャル成長法によって形成される。図3に示すように、半導体基板1の表面に接するように、サブコレクタ層となるn型GaAs層2aが形成される。そのn型GaAs層2aに接するように、コレクタ層として一層目となるn型GaAs層3aが形成される。そのn型GaAs層3aに接するように、コレクタ層として二層目となるp型GaAs層3bが形成される。そのp型GaAs層3bに接するように、コレクタ層として三層目となるn型GaAs層3cが形成される。
【0032】
次に、n型GaAs層3cに接するように、ベース層となるp型GaAs層4aが形成される。p型GaAs層4aに接するように、エミッタ層となるn型InXGa1-XP層5aが形成される。n型InXGa1-XP層5aに接するように、n型GaAs層6aが形成される。n型GaAs層6aに接するように、コンタクト層となるn型GaAs層7aが形成される。n型GaAs層7aに接するように、コンタクト層となるn型InXGa1-XAs層8aが形成される。
【0033】
次に、所定のフォトレジストマスク(図示せず)をエッチングマスクとして、n型InXGa1-XAs層8a、n型GaAs層7aおよびn型GaAs層6aにエッチング処理を施すことによって、n型GaAs層6、n型GaAsコンタクト層7、n型InXGa1-XAsコンタクト層8が形成される(図4参照)。その後、フォトレジストマスクが除去される。次に、図4に示すように、そのn型InXGa1-XAsコンタクト層8の表面にエミッタ電極11が形成される。
【0034】
次に、エミッタ層およびベース層等をパターニングするためのフォトレジストマスク(図示せず)が形成される。次に、そのフォトレジストマスクをエッチングマスクとして、n型InXGa1-XP層5aにエッチング処理を施し、さらに、p型GaAs層4a、n型GaAs層3c、p型GaAs層3b、n型GaAs層3aにエッチング処理を施すことによって、図5に示すように、エミッタ層5、ベース層4およびコレクタ層3が形成される。その後、フォトレジストマスクが除去される。
【0035】
次に、ベース電極が形成される領域に位置するエミッタ層5の部分を除去してベース層4を露出させた後、ベース層4に接するベース電極10が形成される。次に、図6に示すように、サブコレクタ層2に接するようにコレクタ電極9が形成される。こうして、ヘテロ接合型のバイポーラ・トランジスタの主要部分が形成される。
【0036】
上述したバイポーラ・トランジスタのコレクタ層3では、n型GaAs層3aとn型GaAs層3cとの間に、p層(p型半導体層)としてp型GaAs層3bが形成されている。このバイポーラ・トランジスタにおける、ベース・コレクタ間容量Cbcとベース・コレクタ間電圧Vbcとの関係をシミュレーションにより計算した結果(グラフ)を、比較例とともに図7に示す。
【0037】
図7に示されるように、比較例1(第1従来例)および比較例2(第2従来例)に比べて、上述したバイポーラ・トランジスタでは、p型GaAs層3bが形成されていることで、ベース・コレクタ間電圧Vbcが正の値の範囲までベース・コレクタ間容量Cbcの増加が少なく、線形性が改善されていることがわかる。さらに、そのp型GaAs層3bのシート濃度を一定の濃度よりも低く設定することで、比較的大電流で動作するとき(大電流動作時)のベース・コレクタ間容量Cbcが、比較的小電流で動作するとき(小電流動作時)のベース・コレクタ間容量Cbcに比べて、極端に増大することがなくなる。
【0038】
これにより、大電流動作時または小電流動作時を問わず、ベースとコレクタとのpn接合が順方向(Vbc>0)にバイアスされる範囲を含む、ベース・コレクタ間電圧Vbcの広い範囲にわたり、ベース・コレクタ間容量Cbcの線形性を確保することが可能になる。このことについて、詳しく説明する。
【0039】
まず、図8に、小電流動作時と大電流動作時とにおける、ベース・コレクタ間容量Cbcとコレクタ・エミッタ間電圧Vceの関係(特性)について、p層(p型GaAs層3b)の不純物濃度(ドーピング濃度)を振り分けた場合のグラフを示す。図8に示すように、小電流動作時には、p層の不純物濃度が高くなるにしたがい、ベース・コレクタ間容量Cbcは減少し、コレクタ・エミッタ間電圧Vceが約1.35Vよりも低い領域(Vce<1.35V)まで線形性が確保されることがわかる。
【0040】
これに対して、大電流動作時には、逆に、p層の不純物濃度が高くなるにしたがい、ベース・コレクタ間容量Cbcは大きく増大しており、線形性が悪化していることがわかる。このことから、p層の不純物濃度が高い場合に、小電流動作時と大電流動作時とでは、ベース・コレクタ間容量Cbcの線形性は相反する関係にあり、小電流動作時と大電流動作時との双方において、ベース・コレクタ間容量Cbcの線形性を確保することはできないと考えられる。
【0041】
ここで、ベース・エミッタ間電圧Vbeを1.35V(Vbe=1.35V)とすると、コレクタ・エミッタ間電圧Vceが約1.35Vよりも低い領域(Vce<1.35V)が、ベースとコレクタとのpn接合が順方向にバイアスされるという意味で、ベース・コレクタ間電圧Vbcが正電圧領域(Vbc>0V)に対応する。また、図8に示される小電流動作時のグラフは、横軸として、コレクタ・エミッタ間電圧Vceを、ベース・コレクタ間電圧Vbcに読み替えると、図7に示すベース・コレクタ間容量Cbcとベース・コレクタ間電圧Vbcとの関係(実施例の特性)に対応する。
【0042】
一方、発明者らは、コレクタ層におけるp層の不純物濃度(シート濃度)を所定の値よりも低く設定することで、小電流動作時と大電流動作時とにおいて、ベース・コレクタ間容量Cbcの線形性が相反する関係を解消させることができることを見出した。図9は、p層の不純物濃度を0.5×1016cm-3に設定した場合の、ベース・コレクタ間容量Cbcとコレクタ・エミッタ間電圧Vce(または、ベース・コレクタ間電圧Vbc)との関係を、p層を備えていない比較例とともに示すグラフである。なお、このときのp層のシート濃度は、p層の厚さを100nmとすると、0.5×1011cm-2である。
【0043】
上述したバイポーラ・トランジスタ(実施例)では、小電流動作時におけるベース・コレクタ間容量Cbcと、大電流動作時におけるベース・コレクタ間容量Cbcとの差は小さく、ベース・コレクタ間容量Cbcの特性としてはほぼ一致しており、小電流動作時と大電流動作時との双方において、コレクタ・エミッタ間電圧Vceが0.8V〜4V(Vbc=−2.65V〜0.55Vに相当)の広い範囲にわたり、線形性を確保できることがわかる。
【0044】
より具体的に数値で示すと、このコレクタ・エミッタ間電圧Vceの範囲におけるベース・コレクタ間容量Cbcの変化は、容量比にすると、比較例では約2.5であるのに対して、実施例では約1.9であり、ベース・コレクタ間容量Cbcの変化が大幅に低減されていることがわかる。
【0045】
ベース・コレクタ間容量Cbcとコレクタ・エミッタ間電圧Vceとの関係を、別の観点から説明する。コレクタ・エミッタ間電圧Vceを0.8V(Vce=0.8V)に固定した場合の、ベース・コレクタ間容量Cbcとベース・エミッタ間電圧Vbeとの関係(特性)のグラフを図10に示す。
【0046】
p層の不純物濃度が0.5×1016cm-3以下の低い不純物濃度では、ベース・エミッタ間電圧Vbeが1.2V〜1.37V(Vbe=1.2V〜1.37V)の範囲内において、ベース・コレクタ間容量Cbcの急激な変化は認められない。これに対して、p層の不純物濃度が1.0×1016cm-3以上になると、ベース・コレクタ間容量Cbcの増加が認められ、特に、p層の不純物濃度が1.5×1016cm-3の場合や、2×1016cm-3の場合には、ベース・コレクタ間容量Cbcが急激に増加する傾向が認められる。
【0047】
この傾向の理由について説明する。図11に、コレクタ・エミッタ間電圧Vceを0.8V(Vce=0.8V)に固定した場合の、大電流動作時における、伝導帯および価電子帯のエネルギーと、エミッタ層からサブコレクタ層に至る深さ方向(位置)との関係(エネルギーバンド)を示す。また、図12に、コレクタ・エミッタ間電圧Vceを0.8V(Vce=0.8V)に固定した場合の、大電流動作時における、キャリア濃度と、エミッタ層からサブコレクタ層に至る深さ方向(位置)との関係を示す。
【0048】
図11に示すように、p層の不純物濃度が高くなると、伝導帯や価電子帯のエネルギーバンドにおいて、エネルギーがほぼ一定な平坦な部分や、特に、p層が位置する領域おいて、エネルギーが高い凸部が出現することがわかる。このため、図12に示すように、これらに相当する箇所において、電子やホールが蓄積されやすくなる。その結果、大電流動作時において、電子やホールが蓄積された分だけベース・コレクタ間容量Cbcが増大すると考えられる。
【0049】
一方、p層の不純物濃度が低くなると、伝導帯や価電子帯のエネルギーバンドにおいて、エネルギーがほぼ一定な平坦な部分が少なくなり、また、エネルギーが高い凸部も緩和されることがわかる。このため、図12に示すように、電子やホールの蓄積が解消されることになる。その結果、大電流動作時において、ベース・コレクタ間容量Cbcが増大するのを抑制することができると考えられる。
【0050】
この場合、ベース・コレクタ間容量Cbcが増大するのを抑制することができるp層の不純物濃度としては、1×1016cm-3よりも低いことが望ましいことがわかる。また、これを、p層のシート濃度に換算すると、p層の厚さが100nmであることから、シート濃度が1×1011cm-2よりも低いことが望ましいことがわかる。
【0051】
コレクタ層にp層(p型GaAs層)を介在させることによって、エネルギーバンドにおいて、エネルギーがほぼ一定な平坦な部分等が出現する傾向は、p層の不純物濃度を高くし、p層の厚さを厚くすること、すなわち、シート濃度を高くすることによって強くなる。言い換えると、この傾向は、p層の不純物濃度を高くするだけでなく、p層の厚さを厚くすることによっても強くなる。
【0052】
したがって、大電流動作時においても、ベース・コレクタ間容量Cbcの線形性を確保するために、p層の不純物濃度を下げ、厚さを薄くして、p層のシート濃度を1×1011cm-2よりも低く設定することによって、エネルギーがほぼ一定な平坦な部分等を解消させることができる。一方、p層のシート濃度を1×1011cm-2以上に設定すると、特に、大電流動作時において、ベース・コレクタ間容量Cbcの線形性を確保することが難しくなる。
【0053】
また、コレクタ層においてp層を形成する位置によっても、ベース・コレクタ間容量Cbcの線形性を改善することができる。図13に、ベース・コレクタ間容量Cbcの容量差ΔCbcとp層開始位置との関係をグラフに示す。ここで、ベース・コレクタ間容量Cbcの容量差ΔCbcとは、たとえば、コレクタ・エミッタ間電圧Vceが0.8V(Vce=0.8V)の場合のベース・コレクタ間容量Cbcと、コレクタ・エミッタ間電圧Vceが3.3V(Vce=3.3V)の場合のベース・コレクタ間容量Cbcとの容量差を表す。ベース・コレクタ間容量Cbcの容量差ΔCbcが小さいほど、線形性がよいことを意味する。また、p層開始位置とは、コレクタ層におけるp層(p型半導体層)とn層(n型半導体層)との接合面のうち、ベース層側に位置する接合面の、ベース層端(ベース層とコレクタ層との接合面)からの距離(深さ)を表す。
【0054】
図13に示すように、ベース層端からの距離がコレクタ層の厚さの10%〜70%の厚さに相当する距離の範囲内にp層開始位置が入るように、p層を形成することで、ベース・コレクタ間容量Cbcの容量差ΔCbcを小さくすることができ、線形性を改善できることがわかる。特に、p層の不純物濃度が1×1016cm-3よりも低い場合には、ベース層端からの距離がコレクタ層の厚さの30%〜60%の厚さに相当する距離の範囲内にp層開始位置が入るように、p層を形成することで、ベース・コレクタ間容量Cbcの容量差ΔCbcを小さくして、線形性を改善できることがわかる。
【0055】
一方、ベース層端からの距離がコレクタ層の厚さの70%を超えた厚さに相当する距離の範囲にp層開始位置が位置するp層が形成された場合には、p層とベース層側の空乏層との間に中性領域が形成されてしまい、ベース層側の空乏層が、p層が形成されていない場合において伸びる空乏層以上に伸びることはない。このため、ベース・コレクタ間容量Cbcを決める空乏層の厚さは、p層が形成されていない場合において伸びる空乏層の厚さに一致し、ベース・コレクタ間容量Cbcの容量差ΔCbcは大きくなってしまう。
【0056】
また、ベース層端からの距離がコレクタ層の厚さの30%に満たない厚さに相当する距離の範囲にp層開始位置が位置するp層が形成された場合には、p層がベース層側に接近してベース層(p層)と一体化する傾向が強まり、空乏層の厚さが薄くなる。このため、ベース・コレクタ間容量Cbcの容量差ΔCbcは大きくなってしまう。
【0057】
このように、p層の開始位置としては、ベース層端からの距離がコレクタ層の厚さの10%〜70%の厚さに相当する距離の範囲内にp層開始位置が入るように、p層を形成することで、ベース・コレクタ間容量Cbcの容量差ΔCbcを小さくして、ベース・コレクタ間容量Cbcの線形性を改善することができる。より好ましくは、30%〜60%の厚さに相当する距離の範囲内にp層開始位置が入るように、p層を形成することで、その線形性をさらに改善することができる。
【0058】
後者の場合、コレクタ層として、たとえば、n型GaAs層3a(Si濃度:約5×1015cm-3、膜厚:約550nm)、p型GaAs層3b(C濃度:約4.5×1015cm-3、膜厚:約100nm、シート濃度:4.5×1010cm-2)およびn型GaAs層3c(Si濃度:約5×1015cm-3、膜厚:約300nm)の三層の半導体層を形成することで、ベース層端からの距離がコレクタ層の厚さの30%〜60%の厚さに相当する距離の範囲内にp層開始位置が入るように、p層(p型GaAs層3b)が配置されることになり、ベース・コレクタ間容量Cbcの線形性を確実に改善することができる。
【0059】
実施の形態2
実施の形態2に係る半導体装置として、コレクタ層に1層のp層(p型半導体層)が含まれるヘテロ接合型のバイポーラ・トランジスタを備えた半導体装置の第2例について説明する。
【0060】
図14および図15に示すように、このバイポーラ・トランジスタBTでは、コレクタ層3は、n型GaAs層3d(Si濃度:約11×1015cm-3、膜厚:約450nm)、n型GaAs層3a(Si濃度:約5×1015cm-3、膜厚:約100nm)、p型GaAs層3b(C濃度:約4.5×1015cm-3、膜厚:約100nm、シート濃度:4.5×1010cm-2)およびn型GaAs層3c(Si濃度:約5×1015cm-3、膜厚:約300nm)の四層の半導体層によって形成されている。
【0061】
ここで、p型GaAs層3bのシート濃度は4.5×1010cm-2であり、1×1011cm-2よりも低く設定されている。また、n型GaAs層3dは、n型GaAs層3aとサブコレクタ層2との間に形成されている。n型GaAs層3dの不純物濃度(Si濃度:約11×1015cm-3)は、n型GaAs層3aの不純物濃度(Si濃度:約5×1015cm-3)よりも高く、サブコレクタ層2の不純物濃度(Si濃度:約5×1018cm-3)よりも低く設定されている。なお、これ以外の構成については、図1に示すバイポーラ・トランジスタと同様なので、同一部材には同一符号を付し、必要である場合を除きその説明を繰り返さないこととする。
【0062】
上述したバイポーラ・トランジスタBTは、サブコレクタ層となるn型GaAs層2aを形成する工程と、n型GaAs層3aを形成する工程との間に、n型GaAs層3dを追加的に形成することで、図1に示すバイポーラ・トランジスタの製造方法と実質的に同様の工程を経て形成することができる。
【0063】
上述したバイポーラ・トランジスタでは、コレクタ層3が、p層としてp型GaAs層3bを備えていることで、図1に示すバイポーラ・トランジスタと同様に、ベース・コレクタ間容量の線形性を改善することができる。図16に、上述したバイポーラ・トランジスタにおける、ベース・コレクタ間容量Cbcの容量差ΔCbcとp層開始位置との関係(実施例2)を、図1に示すバイポーラ・トランジスタの場合の関係(実施例1)とともにグラフに示す。
【0064】
図16に示すように、上述したバイポーラ・トランジスタの容量差ΔCbcは、図1に示すバイポーラ・トランジスタの容量差ΔCbcとほぼ一致しており、良好な線形性が得られていることがわかる。特に、p層の開始位置として、ベース層端からの距離がコレクタ層の厚さの10%〜70%の厚さに相当する距離の範囲内にp層開始位置が入るように、p層を形成することで、ベース・コレクタ間容量Cbcの容量差ΔCbcを小さくして、ベース・コレクタ間容量Cbcの線形性を改善することができる。より好ましくは、30%〜60%の厚さに相当する距離の範囲内にp層開始位置が入るように、p層を形成することで、その線形性をさらに改善することができる。
【0065】
こうして、上述したバイポーラ・トランジスタBTでは、実施の形態1において説明したように、小電流動作時と大電流動作時との双方において、コレクタ・エミッタ間電圧Vceが0.8V〜4V(Vbc=−2.65V〜0.55Vに相当)の広い範囲にわたり、ベース・コレクタ間容量Cbcの線形性を確保することができ、変調ひずみを抑制することができるとともに、電力利得のコレクタ電圧変動を抑制することができる。
【0066】
さらに、上述したバイポーラ・トランジスタBTでは、n型GaAs層3aとサブコレクタ層2との間にn型GaAs層3dが形成されている。そのn型GaAs層3dの不純物濃度は、n型GaAs層3aの不純物濃度よりも高く、サブコレクタ層2の不純物濃度よりも低く設定されている。これにより、サブコレクタ層2側の電界を緩和させることができて、バイポーラ・トランジスタが動作している際のコレクタ耐圧を向上させることができる。
【0067】
なお、変形例に係るバイポーラ・トランジスタとして、図17に示すように、p型GaAs層3bをn型GaAs層3dに接するように配置してもよい。このようなコレクタ層3を備えたバイポーラ・トランジスタにおいても、ベース・コレクタ間容量Cbcの線形性を改善することができるとともに、コレクタ耐圧を向上させることができる。
【0068】
実施の形態3
実施の形態3に係る半導体装置として、コレクタ層に1層のp層(p型半導体層)が含まれるヘテロ接合型のバイポーラ・トランジスタを備えた半導体装置の第3例について説明する。
【0069】
図18および図19に示すように、このバイポーラ・トランジスタBTでは、コレクタ層3は、n型GaAs層3d(Si濃度:約11×1015cm-3、膜厚:約450nm)、n型GaAs層3a(Si濃度:約5×1015cm-3、膜厚:約100nm)、p型GaAs層3b(C濃度:約4.5×1015cm-3、膜厚:約100nm、シート濃度:4.5×1010cm-2)、n型GaAs層3c(Si濃度:約5×1015cm-3、膜厚:約300nm)およびn型GaAs層3e(Si濃度:約1×1018cm-3、膜厚:約10nm)の五層の半導体層によって形成されている。
【0070】
ここで、p型GaAs層3bのシート濃度は4.5×1010cm-2であり、1×1011cm-2よりも低く設定されている。また、n型GaAs層3eは、n型GaAs層3cとベース層4(C濃度:約4×1019cm-3、膜厚約100nm)との間に形成され、n型GaAs層3eの不純物濃度は、n型GaAs層3cの不純物濃度よりも高く設定されている。なお、これ以外の構成については、図14(または図1)に示すバイポーラ・トランジスタと同様なので、同一部材には同一符号を付し、必要である場合を除きその説明を繰り返さないこととする。
【0071】
上述したバイポーラ・トランジスタBTは、コレクタ層となるn型GaAs層3cを形成する工程と、ベース層となるp型GaAs層4aを形成する工程との間に、n型GaAs層3eを追加的に形成することで、図14(または図1)に示すバイポーラ・トランジスタの製造方法と実質的に同様の工程を経て形成することができる。
【0072】
上述したバイポーラ・トランジスタBTでは、コレクタ層3として、p型GaAs層3bを備えている。これにより、実施の形態1等において説明したように、小電流動作時と大電流動作時との双方において、コレクタ・エミッタ間電圧Vceが0.8V〜4V(Vbc=−2.65V〜0.55Vに相当)の広い範囲にわたり、ベース・コレクタ間容量Cbcの線形性を確保することができ、変調ひずみを抑制することができるとともに、電力利得のコレクタ電圧変動を抑制することができる。
【0073】
さらに、上述したバイポーラ・トランジスタでは、n型GaAs層3cとベース層4との間に、n型GaAs層3eが形成され、そのn型GaAs層3eの不純物濃度は、n型GaAs層3cの不純物濃度よりも高く設定されている。これにより、電流密度が増大することに起因してベース層4とコレクタ層3との接合部分の空間電荷領域がコレクタ層3の側へ押し出される、いわゆるカーク(Kirk)効果を抑制することができて、遮断周波数ftが低下する等の高周波特性の劣化を抑制することができる。
【0074】
なお、変形例に係るバイポーラ・トランジスタとして、実施の形態2において説明した変形例に係るバイポーラ・トランジスタと同様に、p型GaAs層3bをn型GaAs層3dに接するように配置してもよい。このようなコレクタ層3を備えたバイポーラ・トランジスタにおいても、ベース・コレクタ間容量Cbcの線形性を改善することができるとともに、コレクタ耐圧を向上させることができる。
【0075】
実施の形態4
実施の形態4に係る半導体装置として、コレクタ層に1層のp層(p型半導体層)が含まれるヘテロ接合型のバイポーラ・トランジスタを備えた半導体装置の第4例について説明する。
【0076】
図20および図21に示すように、このバイポーラ・トランジスタでは、コレクタ層3は、n型GaAs層3d(Si濃度:約11×1015cm-3、膜厚:約450nm)、n型GaAs層3f(Si濃度:約5×1015cm-3、膜厚:約20nm)、n型GaAs層3g(Si濃度:約1×1015cm-3、膜厚:約60nm)、n型GaAs層3a(Si濃度:約5×1015cm-3、膜厚:約20nm)、p型GaAs層3b(C濃度:約4.5×1015cm-3、膜厚:約100nm、シート濃度:4.5×1010cm-2)、n型GaAs層3c(Si濃度:約5×1015cm-3、膜厚:約300nm)およびn型GaAs層3e(Si濃度:約1×1018cm-3、膜厚:約20nm)の七層の半導体層によって形成されている。
【0077】
ここで、p型GaAs層3bのシート濃度は4.5×1010cm-2であり、1×1011cm-2よりも低く設定されている。また、n型GaAs層3gは、n型GaAs層3fとn型GaAs層3aとの間に形成され、n型GaAs層3gの不純物濃度は、n型GaAs層3aおよびn型GaAs層3fの不純物濃度よりも低く設定されている。なお、これ以外の構成については、図17等に示すバイポーラ・トランジスタと同様なので、同一部材には同一符号を付し、必要である場合を除きその説明を繰り返さないこととする。
【0078】
上述したバイポーラ・トランジスタBTは、コレクタ層となるn型GaAs層3dを形成する工程と、n型GaAs層3aを形成する工程との間に、n型GaAs層3gを追加的に形成することで、図18等に示すバイポーラ・トランジスタの製造方法と実質的に同様の工程を経て形成することができる。
【0079】
上述したバイポーラ・トランジスタBTのコレクタ層3では、n型GaAs層3fとn型GaAs層3aとの間にn型GaAs層3gが形成されており、そのn型GaAs層3gの不純物濃度は、n型GaAs層3aおよびn型GaAs層3fの不純物濃度よりも低く、最も低い不純物濃度に設定されている。これにより、ベース・コレクタ間容量Cbcの線形性をさらに改善することができる。
【0080】
不純物濃度の低いn型GaAs層3gが形成されていることで、ベース・コレクタ間電圧Vbcが正電圧の領域において空乏層がより伸びやすくなる。これにより、図22に示すように、上述したバイポーラ・トランジスタ(実施例4)では、実施の形態3において説明したバイポーラ・トランジスタ(実施例3)と比べて、ベース・コレクタ間容量Cbcをさらに低減することができる。
【0081】
こうして、上述したバイポーラ・トランジスタでは、実施の形態1等において説明したように、小電流動作時と大電流動作時との双方において、コレクタ・エミッタ間電圧Vceが0.8V〜4V(Vbc=−2.65V〜0.55Vに相当)の広い範囲にわたり、ベース・コレクタ間容量Cbcの線形性を確実に確保することができ、変調ひずみを抑制することができるとともに、電力利得のコレクタ電圧変動を抑制することができる。
【0082】
また、バイポーラ・トランジスタのコレクタ層3として、不純物濃度の最も低いn型GaAs層3gがp型GaAs層3bに対してサブコレクタ層2側に配置され、そのn型GaAs層3gからサブコレクタ層2に向かって、不純物濃度が概ね高くなるように設定されたコレクタ層であれば、ベース・コレクタ間容量Cbcの線形性を改善することができる。
【0083】
なお、不純物濃度が概ね高くなるとは、n型GaAs層3gからサブコレクタ層2に向かって、不純物濃度が階段状に高くなること、または、不純物濃度が単調的に高くならなくとも、n型GaAs層3gからサブコレクタ層2に向かい全体的に不純物濃度が高くなる傾向にあればよいことを意図する。このことは、実施の形態2,3において説明した、n型GaAs層3dを備えたバイポーラ・トランジスタについても同様である。
【0084】
実施の形態5
実施の形態5に係る半導体装置として、コレクタ層に2層のp層(p型半導体層)が含まれるヘテロ接合型のバイポーラ・トランジスタを備えた半導体装置について説明する。
【0085】
図23および図24に示すように、このバイポーラ・トランジスタBTでは、コレクタ層3は、n型GaAs層3a(Si濃度:約5×1015cm-3、膜厚:約350nm)、p型GaAs層3b(C濃度:約4.5×1015cm-3、膜厚:約100nm、シート濃度:4.5×1010cm-2)、n型GaAs層3c(Si濃度:約5×1015cm-3、膜厚:約200nm)、p型GaAs層3h(C濃度:約4.5×1015cm-3、膜厚:約100nm、シート濃度:4.5×1010cm-2)およびn型GaAs層3k(Si濃度:約5×1015cm-3、膜厚:約200nm)の五層の半導体層によって形成されている。
【0086】
このコレクタ層3では、p型GaAs層3bおよびp型GaAs層3hの二層のp層(p型半導体層)が形成されている。p型GaAs層3bのシート濃度は4.5×1010cm-2であり、p型GaAs層3hのシート濃度も4.5×1010cm-2であり、コレクタ層3におけるp型GaAs層3bおよびp型GaAs層3hのシート濃度の総和は、約9×1010cm-2に設定されており、1×1011cm-2よりも低く設定されている。なお、これ以外の構成については、図1等に示すバイポーラ・トランジスタと同様なので、同一部材には同一符号を付し、必要である場合を除きその説明を繰り返さないこととする。
【0087】
上述したバイポーラ・トランジスタBTでは、コレクタ層3に、p型GaAs層3bおよびp型GaAs層3hの二層のp層が形成され、そのシート濃度の総和は、1×1011cm-2よりも低くく、約9×1010cm-2に設定されている。これにより、実施の形態1において説明したバイポーラ・トランジスタと同様に、小電流動作時と大電流動作時との双方において、コレクタ・エミッタ間電圧Vceが0.8V〜4V(Vbc=−2.65V〜0.55Vに相当)の広い範囲にわたり、ベース・コレクタ間容量Cbcの線形性を確保することができ、変調ひずみを抑制することができるとともに、電力利得のコレクタ電圧変動を抑制することができる。
【0088】
なお、上述したバイポーラ・トランジスタBTでは、p型GaAs層3bおよびp型GaAs層3hについて、それぞれの厚さが同じ厚さであり、それぞれの不純物濃度(C濃度)が同じ不純物濃度である場合について説明した。p型GaAs層3bおよびp型GaAs層3hとしては、シート濃度の総和が、1×1011cm-2よりも低くなることを条件として、それぞれの厚さを互いに異なる厚さに設定してもよいし、それぞれの不純物濃度を互いに異なる不純物濃度に設定してもよい。
【0089】
また、p型GaAs層3bおよびp型GaAs層3hの二層のp層のうち、少なくとも一方のp層は、実施の形態1において説明したのと同様に、ベース層端からの距離がコレクタ層の厚さの10%〜70%に相当する距離の範囲内にp層開始位置が入るように、p層を形成することで、ベース・コレクタ間容量Cbcの線形性を改善することができる。
【0090】
さらに、p型GaAs層3bおよびp型GaAs層3hのそれぞれの不純物濃度を、n型GaAs層3a、n型GaAs層3cおよびn型GaAs層3kの不純物濃度よりも低く設定することによっても、小電流動作時のベース・コレクタ間容量Cbcと大電流動作時のベース・コレクタ間容量Cbcとをほぼ一致させることができて、ベース・コレクタ間容量Cbcの線形性を改善することができる。
【0091】
また、実施の形態2において説明したのと同様に、図25に示すように、n型GaAs層3aとサブコレクタ層2との間に、n型GaAs層3aの不純物濃度よりも高く、サブコレクタ層2の不純物濃度よりも低い不純物濃度を有するn型GaAs層3dを配置してもよい。さらに、実施の形態3において説明したのと同様に、図26に示すように、n型GaAs層3kの不純物濃度よりも高い不純物濃度を有するn型GaAs層3eを、ベース層4に接するように配置してもよい。また、実施の形態4において説明したのと同様に、図27に示すように、n型GaAs層3aおよびn型GaAs層3fの不純物濃度よりも低い不純物濃度を有するn型GaAs層3gを配置してもよい。
【0092】
実施の形態6
実施の形態6に係る半導体装置として、コレクタ層に3層のp層(p型半導体層)が含まれるヘテロ接合型のバイポーラ・トランジスタを備えた半導体装置について説明する。
【0093】
図28および図29に示すように、このバイポーラ・トランジスタBTでは、コレクタ層3は、n型GaAs層3a(Si濃度:約5×1015cm-3、膜厚:約350nm)、p型GaAs層3b(C濃度:約3×1015cm-3、膜厚:約100nm、シート濃度:3×1010cm-2)、n型GaAs層3c(Si濃度:約5×1015cm-3、膜厚:約200nm)、p型GaAs層3h(C濃度:約3×1015cm-3、膜厚:約100nm、シート濃度:3×1010cm-2)、n型GaAs層3k(Si濃度:約5×1015cm-3、膜厚:約200nm)、p型GaAs層3j(C濃度:約3×1015cm-3、膜厚:約100nm、シート濃度:3×1010cm-2)およびn型GaAs層3m(Si濃度:約5×1015cm-3、膜厚:約200nm)の七層の半導体層によって形成されている。
【0094】
このコレクタ層3では、p型GaAs層3b、p型GaAs層3hおよびp型GaAs層3jの三層のp層(p型半導体層)が形成されている。p型GaAs層3b、p型GaAs層3hおよびp型GaAs層3jのそれぞれのシート濃度は3×1010cm-2であり、コレクタ層3におけるp型GaAs層3b、p型GaAs層3hおよびp型GaAs層3jのシート濃度の総和は、約9×1010cm-2に設定されており、1×1011cm-2よりも低く設定されている。
【0095】
上述したバイポーラ・トランジスタでは、コレクタ層3に、p型GaAs層3b、p型GaAs層3hおよびp型GaAs層3jの三層のp層が形成され、そのシート濃度の総和は、1×1011cm-2よりも低く、約9×1010cm-2に設定されている。これにより、実施の形態1において説明したバイポーラ・トランジスタと同様に、小電流動作時と大電流動作時との双方において、コレクタ・エミッタ間電圧Vceが0.8V〜4V(Vbc=−2.65V〜0.55Vに相当)の広い範囲にわたり、ベース・コレクタ間容量Cbcの線形性を確保することができ、変調ひずみを抑制することができるとともに、電力利得のコレクタ電圧変動を抑制することができる。
【0096】
なお、上述したバイポーラ・トランジスタでは、p型GaAs層3b、p型GaAs層3hおよびp型GaAs層3jについて、それぞれの厚さが同じ厚さであり、それぞれの不純物濃度(C濃度)が同じ不純物濃度である場合について説明した。p型GaAs層3b、p型GaAs層3hおよびp型GaAs層3jとしては、シート濃度の総和が、1×1011cm-2よりも低くなることを条件として、それぞれの厚さを互いに異なる厚さに設定してもよいし、それぞれの不純物濃度を互いに異なる不純物濃度に設定してもよい。
【0097】
また、p型GaAs層3b、p型GaAs層3hおよびp型GaAs層3jの三層のp層のうち、少なくとも一つのp層は、実施の形態1において説明したのと同様に、ベース層端からの距離がコレクタ層の厚さの10%〜70%の厚さに相当する距離の範囲内にp層開始位置が入るように、p層を形成することで、ベース・コレクタ間容量Cbcの線形性を改善することができる。
【0098】
さらに、p型GaAs層3b、p型GaAs層3hおよびp型GaAs層3jのそれぞれの不純物濃度を、n型GaAs層3a、n型GaAs層3c、n型GaAs層3kおよびn型GaAs層3の不純物濃度よりも低く設定することによっても、小電流動作時のベース・コレクタ間容量Cbcと大電流動作時のベース・コレクタ間容量Cbcとをほぼ一致させることができて、ベース・コレクタ間容量Cbcの線形性を改善することができる。
【0099】
また、図25に示すのと同様の態様で、n型GaAs層3dを配置してもよい。さらに、図26に示すのと同様の態様で、n型GaAs層3eを配置してもよい。また、図27に示すのと同様の態様で、n型GaAs層3gを配置してもよい。
【0100】
上述した各実施の形態に係るバイポーラ・トランジスタでは、エミッタ層5がInGaP層から形成され、ベース層4がGaAs層から形成された場合を例に挙げて説明した。エミッタ層およびベース層の材料の組み合わせ(エミッタ層/ベース層)としては、InGaP層/GaAs層に限られず、たとえば、AlGaAs層/GaAs層、InP層/InGaAs層、InGaP層/GaAsSb層、InGaP層/InGaAsN層、Si層/SiGe層、AlGaN層/GaN層等の材料を適用したヘテロ接合型のバイポーラ・トランジスタとしてもよい。
【0101】
また、バイポーラ・トランジスタとしては、ヘテロ接合型に限られるものではなく、上述したコレクタ層の構成をバイポーラ・トランジスタに広く適用することができる。
【0102】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、バイポーラ・トランジスタを備えた半導体装置に有効に利用される。
【符号の説明】
【0104】
1 半導体基板、2 サブコレクタ層、2a n型GaAs層、3 コレクタ層、3a n型GaAs層、3b p型GaAs層、3c n型GaAs層、3d n型GaAs層、3e n型GaAs層、3f n型GaAs層、3g n型GaAs層、3h p型GaAs層、3j p型GaAs層、3k n型GaAs層、3m n型GaAs層、4 ベース層、4a p型GaAs層、5 エミッタ層、5a n型InXGa1-XP層、6、6a n型GaAs層、7 n型GaAsコンタクト層、7a n型GaAs層、8 n型InXGa1-XAsコンタクト層、8a n型InXGa1-XAs層、9 コレクタ電極、10 ベース電極、11 エミッタ電極、BT バイポーラトランジスタ。
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