(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
[第1実施形態の説明]
図1は、本発明の第1実施形態に係る電力変換装置の構成を示す回路図である。
図1に示す電力変換装置は、三相交流モータ(以下、単に「モータM1」という)のU相、V相、W相に、それぞれ位相が120度ずつ異なる交流電圧を供給してモータM1を駆動する。そして、U相について、n個の電源モジュール11−1,11−2,・・・,11−nを備えている。また、V相について、n個の電源モジュール12−1,12−2,・・・,12−nを備えている。更に、W相について、n個の電源モジュール13−1,13−2,・・・,13−nを備えている。なお、nは任意の自然数を表しており、本願発明において電源モジュールの個数は、所定の数の場合に限定されるものではない。
図1に示す(3×n)個の各電源モジュールは同一構成であるので、以下、電源モジュール11−1について説明する。
【0010】
電源モジュール11−1は、直流電源VBと、直流電源VBに接続され、出力電圧を変換するDC/DCコンバータ21(電圧変換手段)と、DC/DCコンバータ21の出力側に設けられ、DC/DCコンバータ21より出力される直流電圧を交流電圧に変換するHブリッジ回路22(インバータ回路)と、を備えている。また、直流電源VBのプラス極とマイナス極との間には、高調波成分除去用のコンデンサC1が設けられ、更に、DC/DCコンバータ21とHブリッジ回路22との間には、平滑化用のコンデンサC2が設けられている。
【0011】
図2は、DC/DCコンバータ21、及びDC/DCコンバータ21を制御する制御装置31(電圧制御手段)の構成を示す回路図である。
図2に示すように、DC/DCコンバータ21は、4つの電子スイッチQ11〜Q14を備えた一次回路と、やはり4つの電子スイッチQ21〜Q24を備えた二次回路を有し、これらはm:nの変圧比を有するトランスTR1を介して結合されている。ここで、mがトランスTR1の一次側、nがトランスTR1の二次側に対応する。各電子スイッチQ11〜Q14,Q21〜Q24は、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)で構成され、各電子スイッチQ11〜Q14,Q21〜Q24の2つの端子間には、それぞれダイオードが設けられている。DC/DCコンバータ21は、トランスTR1により一次回路と二次回路が絶縁されたデュアルアクティブブリッジ回路として構成されている。
【0012】
また、DC/DCコンバータ21の駆動を制御する制御装置31(電圧制御手段)が設けられており、制御装置31は、主制御部32と、駆動回路35と、入力電圧センサ33(電圧検出手段)、及び出力電圧センサ34を備えている。入力電圧センサ33は、
図1に示す直流電源VBの出力電圧、即ちDC/DCコンバータ21の入力電圧(これを、入力電圧V1とする)を測定する。出力電圧センサ34は、DC/DCコンバータ21の出力電圧(これを出力電圧V2とする)を測定する。
【0013】
Hブリッジ回路22は、
図1に示すように、4個の電子スイッチ(図ではIGBT)を備えており、これらをスイッチング動作させることにより、DC/DCコンバータ21より出力される直流電圧を交流電圧に変換する。また、U相に設けられているn個の電源モジュール11−1〜11−nのHブリッジ回路22の出力端子がそれぞれ直列接続されているので、各Hブリッジ回路22より出力される交流電圧が直列的に加算されてモータM1に供給されることになる。即ち、各Hブリッジ回路22(インバータ回路)の出力端子が互いに直列接続され、この直列接続により各Hブリッジ回路22の出力電圧が加算された交流電圧が、負荷供給用の出力電圧とされる。
【0014】
主制御部32は、上位機器であるマスターコントローラ41より出力される出力電圧指令値、入力電圧センサ33で測定される入力電圧V1、出力電圧センサ34で測定される出力電圧V2に基づいて、各電子スイッチQ11〜Q14,Q21〜Q24のオン、オフ指令信号を生成する。
【0015】
駆動回路35は、主制御部32より出力されるオン、オフ指令信号に基づいて、各電子スイッチQ11〜Q14,Q21〜Q24の制御端子(ベース)に、駆動信号を出力する。
【0016】
主制御部32は、例えば、中央演算ユニット(CPU)や、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶手段からなる一体型のコンピュータとして構成することができる。
【0017】
次に、第1実施形態に係る電力変換装置の作用について説明する。本実施形態では、
図1に示す直流電源VBの出力電圧が低下、或いは上昇した場合でも、Hブリッジ回路22に供給される直流電圧(
図2の出力電圧センサ34で検出される出力電圧V2)が予め設定した基準電圧Vrefとなるように、DC/DCコンバータ21の駆動を制御する。従って、主制御部32は、入力電圧センサ33で検出されるDC/DCコンバータ21の入力電圧V1と、「Vref・m/n」によって計算される値とを対比し、出力電圧センサ34で検出される出力電圧V2が基準電圧Vrefとなるように、各電子スイッチQ11〜Q14,Q21〜Q24の駆動を制御する。具体的には、入力電圧V1の変動を検出し、出力電圧V2が基準電圧Vrefで安定するように、各電子スイッチQ11〜Q14,Q21〜Q24の駆動を制御する。
【0018】
電子スイッチQ11〜Q14の制御において、電子スイッチQ11,Q14は互いに同期するように制御され、オン、オフの状態が同じとなるように制御される。また電子スイッチQ12,Q13は互いに同期するように制御され、オン、オフの状態が同じとなるように制御される。一方で、短絡を防止するため、電子スイッチQ11,Q12が同時にオンの状態とはならないように制御される。同様に、短絡を防止するため、電子スイッチQ13,Q14が同時にオンの状態とはならないように制御される。
【0019】
電子スイッチQ11,Q14は、周期的にオン、オフするように制御される。電子スイッチQ12,Q13も、電子スイッチQ11,Q14と同様に周期的にオン、オフするように制御され、電子スイッチQ12,Q13は、電子スイッチQ11,Q14に対して位相を180度遅らせて制御される。
【0020】
電子スイッチQ21〜Q24の制御において、電子スイッチQ21,Q24は互いに同期するように制御され、オン、オフの状態が同じとなるように制御される。また電子スイッチQ22,Q23は互いに同期するように制御され、オン、オフの状態が同じとなるように制御される。一方で、短絡を防止するため、電子スイッチQ21,Q22が同時にオンの状態とはならないように制御される。同様に、短絡を防止するため、電子スイッチQ23,Q24が同時にオンの状態とはならないように制御される。
【0021】
電子スイッチQ21,Q24は、周期的にオン、オフするように制御される。電子スイッチQ22,Q23も、電子スイッチQ21,Q24と同様に周期的にオン、オフするように制御され、電子スイッチQ22,Q23は、電子スイッチQ21,Q24に対して位相を180度遅らせて制御される。
【0022】
以下、直流電源VBの出力が安定している場合(「V1=Vref・m/n」)、直流電源VBの出力が低下している場合(「V1<Vref・m/n」)、及び、直流電源VBの出力が上昇している場合(「V1>Vref・m/n」)における、各電子スイッチQ11〜Q14,Q21〜Q24のオン、オフ制御を説明する。
【0023】
なお以下では説明を簡略化するため、DC/DCコンバータ21に設けられるトランスTR1の変圧比m:nは、1:1であるものとする。すなわち「m/n=1」となることから、直流電源VBの出力が安定している場合は、「V1=Vref」である場合として、直流電源VBの出力が低下している場合は、「V1<Vref」である場合として、また、直流電源VBの出力が上昇している場合は、「V1>Vref」である場合として説明される。
【0024】
[V1=Vrefの場合]
図3(a)〜(e)は、V1=Vref(すなわちV1=Vref・m/n)の場合における各信号の変化を示すタイミングチャートである。
図3(a)、
図3(b)は、それぞれ電子スイッチQ11,Q21の動作を示し、
図3(c)はトランスTR1の一次側電圧(トランス一次電圧)を示し、
図3(d)はトランスTR1の二次側電圧(トランス二次電圧)を示し、
図3(e)はトランスTR1の二次側に流れる電流の変化を示す。
【0025】
V1=Vrefの場合には、直流電源VBの出力電圧は安定した電圧を出力しているので、電圧を増減させる必要は無い。従って、
図3(a)に示すように、DC/DCコンバータ21の電子スイッチQ11を周期的にオン、オフするように制御する。なお、Q14についてもQ11と同様にオン、オフを制御する。
【0026】
また、
図3(b)に示すように、電子スイッチQ21を、Q11のオン、オフのタイミングから若干遅らせて周期的にオン、オフさせる。この際、Q21は、Q11と同一のデューティ比でオン、オフさせる。なお、Q24についてもQ21と同様にオン、オフを制御する。
【0027】
こうすることにより、
図3(c)に示すように、トランスTR1の一次側には矩形状のパルス電圧が発生する。また、
図3(d)に示すように、トランスTR1の二次側には、一次側のパルスよりも若干位相が遅れて、一次側と同一レベルの電圧が発生する。つまり、V1=V2=Vrefとなる。また、
図3(e)に示す如くの二次電流がトランスTR1に流れる。
【0028】
[V1<Vrefの場合]
図4(a)〜(e)は、直流電源VBの出力電圧が低下し、V1<Vref(すなわちV1<Vref・m/n)となった場合における各信号の変化を示すタイミングチャートである。
図4(a)、
図4(b)は、それぞれ電子スイッチQ11,Q21の動作を示し、
図4(c)はトランスTR1の一次側電圧(トランス一次電圧)を示し、
図4(d)はトランスTR1の二次側電圧(トランス二次電圧)を示し、
図4(e)はトランスTR1の二次側に流れる電流(トランス電流)の変化を示す。
【0029】
V1<Vrefの場合には、このまま昇圧せずに直流電圧を出力すると、
図1に示すモータM1に供給する交流電圧が低下するので、モータM1を安定的に作動させることができない。従って、DC/DCコンバータ21にて、入力電圧V1を昇圧し、出力電圧V2をVrefにする必要がある。
図4(a)に示すように、DC/DCコンバータ21の電子スイッチQ11を周期的にオン、オフするように制御する。この際、電子スイッチQ22も同様に、オン、オフ動作する。
【0030】
また、
図4(b)に示すように、電子スイッチQ11のオン期間中に、電子スイッチQ21をオンとさせる。この際、電子スイッチQ21のオン、オフ制御のデューティ比は、Q11のデューティ比よりも小さいデューティ比で電子スイッチQ21をオンとさせる。また、電子スイッチQ22、Q23については、
図4(b)の符号q1に示すように、電子スイッチQ21に対して位相を180度遅らせて、オンとする。
【0031】
その結果、トランスTR1の一次側電圧は、
図4(c)に示すように一定の周期でプラス、マイナスが切り替わるように変化する。この際、直流電源VBより出力される電圧、即ち、DC/DCコンバータ21の入力電圧V1は、基準電圧Vrefに達していない。従って、
図4(c)に示すパルス信号の振幅は、基準電圧Vrefに達しない。
【0032】
一方、トランスTR1の二次側電圧は、
図4(d)に示すように、一次側電圧よりも小さいデューティ比となり、パルス信号の振幅は基準電圧Vrefに達する。従って、直流電源VBの出力電圧が基準電圧Vrefを下回っている場合でも、DC/DCコンバータ21の出力電圧V2を基準電圧Vrefまで昇圧することができる。
【0033】
また、トランスTR1に流れる二次電流I1(トランス電流)は、
図4(e)に示すように変化する。
図4(e)に示すように、二次電流の向きが変化するタイミング、即ち、プラスからマイナスに切り替わるタイミング、及びマイナスからプラスに切り替わるタイミング(図中、q2,q3,q4で示す箇所)は、二次側の電子スイッチQ21〜Q24が全てオフとなっている時間帯である。従って、電子スイッチの切り替え時に生じるノイズを抑制し、ソフトな切り替えが可能となる。
【0034】
[V1>Vrefの場合]
図5(a)〜(e)は、直流電源VBの出力電圧が
上昇し、V1>Vref(すなわちV1>Vref・m/n)となった場合における各信号の変化を示すタイミングチャートである。
図5(a)、
図5(b)は、それぞれ電子スイッチQ11,Q21の動作を示し、
図5(c)はトランスTR1の一次側電圧を示し、
図5(d)はトランスTR1の二次側電圧を示し、
図5(e)はトランスTR1の二次側に流れる電流(トランス電流)の変化を示す。
【0035】
V1>Vrefの場合には、このまま降圧せずに直流電圧を出力すると、
図1に示すモータM1に供給される交流電圧が過多となり、モータM1を安定的に作動させることができない。従って、DC/DCコンバータ21にて、入力電圧V1を降圧し、出力電圧V2をVrefにする必要がある。
図5(a)に示すように、DC/DCコンバータ21の電子スイッチQ11を周期的にオン、オフするように制御する。また、
図5(b)に示すように、電子スイッチQ11のオン期間を含むように、且つ、Q11のデューティ比よりも大きいデューティ比で電子スイッチQ21をオンとさせる。また、電子スイッチQ21のオフ期間中に電子スイッチQ22、Q23をオンとさせる。
【0036】
その結果、トランスTR1の一次側電圧は、
図5(c)に示すように断続的にプラス、マイナスが切り替わるように変化する。この際、パルス信号の振幅は直流電源VBの電圧が上昇していることにより、基準電圧Vrefを上回っている。一方、二次側電圧は、
図5(d)に示すように、一次側電圧よりも大きいデューティ比となり、パルス信号の振幅は基準電圧Vrefまで低下している。従って、直流電源VBの出力電圧が基準電圧Vrefを上回っている場合でも、DC/DCコンバータ21の出力電圧V2を基準電圧Vrefまで降圧することができる。
【0037】
また、トランスTR1に流れる二次電流I1(トランス電流)は、
図5(e)に示すように変化する。
図5(e)に示すように、二次電流の向きが変化するタイミング、即ち、プラスからマイナスに切り替わるタイミング、及びマイナスからプラスに切り替わるタイミングは、一次側の電子スイッチQ11〜Q14が全てオフとなっている時間帯である。従って、電子スイッチの切り替え時に生じるノイズを抑制し、ソフトな切り替えが可能となる。
【0038】
このようにして、第1実施形態に係る電力変換装置では、直流電源VBとHブリッジ回路22との間にDC/DCコンバータ21を設け、直流電源VBより出力される入力電圧V1に応じて、DC/DCコンバータ21の出力電圧を変動させる。従って、安定した電圧を出力することができる。
【0039】
また、第1実施形態に係る電力変換装置では、直流電源VBより出力される入力電圧V1が基準電圧Vrefを下回っている場合には、入力電圧V1を昇圧し、出力電圧V2を基準電圧Vrefとする。一方、直流電源VBより出力される入力電圧V1が基準電圧を上回っている場合には、この入力電圧V1を降圧し、出力電圧V2を基準電圧Vrefとする。従って、直流電源VBの出力電圧に変動が発生した場合でも、DC/DCコンバータ21の出力電圧V2を基準電圧Vrefとすることができる。その結果、Hブリッジ回路22より出力される交流電圧を安定化させることができ、ひいてはモータM1を安定的に駆動させることが可能となる。
【0040】
更に、DC/DCコンバータ21として、デュアルアクティブブリッジ回路を用いるので、装置の小型化、高効率化を図ることが可能となる。更に、インバータ回路としてHブリッジ回路22を用いるので、出力電圧の電圧レンジを拡大することが可能となる。
【0041】
なお、上述した実施形態では、一つの電源モジュール11−1について説明したが、本実施形態では、全ての電源モジュールについて、同一の構成を有しており、各電源モジュールにてDC/DCコンバータ21による電圧制御が行われる。
【0042】
[第2実施形態の説明]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、第2実施形態に係る電力変換装置の構成を示す回路図である。第2実施形態では、前述した第1実施形態と対比して、直流電源を共通化している点で相違している。即ち、U相の電源モジュール11−1と、V相の電源モジュール12−1、及びW相の電源モジュール13−1が同一の直流電源VB1に接続されている。また、U相の電源モジュール11−2と、V相の電源モジュール12−2、及びW相の電源モジュール13−2が同一の直流電源VB2に接続されている。同様に、U相の電源モジュール11−nと、V相の電源モジュール12−n、及びW相の電源モジュール13−nが同一の直流電源VBnに接続されている。換言すれば、1つの相に対してn個設けられ、低圧側から高圧側に向けてk番目(1≦k≦n)の電源モジュールは、共通の直流電源VBに接続されている。それ以外の構成は、
図1に示した第1実施形態と同様である。
【0043】
そして、第2実施形態に係る電力変換装置では、複数の相で直流電源VBを共通化することができるので、直流電源VBの個数を削減することが可能となる。
【0044】
[第3実施形態の説明]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図7は、第3実施形態に係る電力変換装置に用いられる電源モジュール11−1の構成を示す回路図である。第3実施形態では、前述した第1,第2実施形態と対比して、インバータ回路としてHブリッジ回路22に替えてハーフブリッジ回路22aとした点で相違する。即ち、
図1に示したHブリッジ回路22では、4個の電子スイッチが設けられているのに対し、
図7に示すハーフブリッジ回路22aでは、2個の電子スイッチが設けられている点で相違する。そして、このように構成された第3実施形態においても、前述した第1実施形態、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。また、ハーフブリッジ回路を用いるので、回路構成を簡素化することが可能となる。
【0045】
[第4実施形態の説明]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図8は、第4実施形態に係る電力変換装置に用いられるDC/DCコンバータ21の構成を示す回路図である。第4実施形態では、前述した第1,第2実施形態と対比して、電子スイッチQ11〜Q14,Q21〜Q24にコンデンサが設けられている点で相違する。そして、このように構成された第4実施形態においても、前述した第1実施形態、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。また、各電子スイッチにコンデンサを設けることにより、ソフトスイッチングが可能となり、スイッチング時に生じるノイズを抑制することが可能となる。
【0046】
[第5実施形態の説明]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
図9は、第5実施形態に係る電力変換装置に用いられるDC/DCコンバータ21の構成を示す回路図である。第5実施形態では、
図8に示した第4実施形態と対比して、IGBTで構成された電子スイッチQ11〜Q14,Q21〜Q24の代わりに、MOSFETで構成された電子スイッチT11〜T14,T21〜T24を用いている点で相違する。このような構成とすることにより、
図1に示したように、IGBTの両端にコンデンサを設けることなく、ソフトスイッチングを行うことが可能となる。従って、スイッチング時に生じるノイズを抑制することができる。
【0047】
[第6実施形態の説明]
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
図10(a)〜(d)は、第6実施形態に係る電力変換装置の構成を示す回路図である。
図10(a)は、DC/DCコンバータ21の一次回路がLC直列共振型、
図10(b)はLLC直列共振型、
図10(c)はLCC直列共振型、そして
図10(d)はLC並列共振型の場合をそれぞれ示している。それぞれの場合について、ソフトスイッチングを実現しながら、スナバコンデンサと同等の機能を備えることが可能となる。
【0048】
一般に、スナバコンデンサがない場合、スイッチの遮断によって回路の電流が突然遮断されると、回路の自己インダクタンスによって電圧の急変化が生じ、スパイク状の高電圧が発生する。この高電圧は、スイッチ自身や周囲の電子部品の損傷や、電磁ノイズ発生の原因となるものである。
【0049】
しかし、
図10(a)〜(d)のそれぞれの場合では、ソフトスイッチングが実現され、且つ、電圧の急変化、スパイク状の高電圧の発生が抑制される。そのため、それぞれの場合において、スイッチ自身や周囲の電子部品の損傷を防止することができ、また電磁ノイズを最小化することができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は本発明の理解を容易にするために記載された単なる例示に過ぎず、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲は、上記実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、そこから容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含むものである。
【0051】
例えば、上述した各実施形態では、三相交流モータを駆動させるための三相交流電圧を生成する例について説明したが、本発明は、これに限定されず、単相の交流電圧を生成することに用いることも可能である。
【0052】
本出願は、2013年10月17日に出願された日本国特許願第2013−216278号に基づく優先権を主張しており、この出願の全内容が参照により本明細書に組み込まれる。