(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
油圧により作動すると共に前進低速段を形成する際に係合する第1の係合要素と、油圧により作動すると共に前記前進低速段以外の少なくとも前進変速段を形成する際に係合する第2の係合要素と、油圧により作動する第3〜第6の係合要素を備え、前記第1の係合要素と前記第2の係合要素とは前進変速段を形成する際には同時に係合されない係合要素であり、前記第1〜第6の係合要素のうちの3つの係合要素を選択的に係合することで複数の変速段を形成可能な自動変速機の油圧制御装置において、
前記第1の係合要素に第1の係合圧を供給可能な第1ソレノイドバルブと、
前記第2の係合要素に第2の係合圧を供給可能な第2ソレノイドバルブと、
前記第1ソレノイドバルブから前記第1の係合要素までの油路に介在され、前記第1の係合要素への油圧供給を遮断可能な第1のカットバルブと、を備え、
前記第1のカットバルブが前記第1の係合要素への油圧供給を遮断するように作用する油圧は、前記第1の係合圧及び前記第2の係合圧のみであり、前記第1のカットバルブは、前記第1の係合要素への前記第1の係合圧と前記第2の係合要素への前記第2の係合圧とが同時に供給された場合に、前記第1の係合要素への油圧供給を遮断するように切り換わる、
ことを特徴とする自動変速機の油圧制御装置。
前記第1の係合要素は、第1の係合圧が給排される第1の係合油室と第3の係合圧が給排される第2の係合油室とを有するダブルチャンバ構造の係合油室を備えた係合要素で、前記第1の係合圧と前記第3の係合圧との少なくとも一方が給排されることにより係脱可能であり、
信号圧を供給可能な信号ソレノイドバルブと、
元圧を前記第3の係合圧として前記第2の係合油室に供給可能な第1の状態と、前記元圧の前記第2の係合油室への供給を遮断する第2の状態とに、前記信号圧により切換可能な切換えバルブと、を備え、
前記前進低速段以外の少なくとも前進変速段を形成する際には、前記切換えバルブを前記第2の状態とするように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の油圧制御装置。
前記第1及び第2の係合要素以外の3つの係合要素への係合圧が同時に供給された場合に、前記第1の対向圧の前記第1のカットバルブへの供給を遮断可能な第2のカットバルブを備える、
ことを特徴とする請求項3に記載の自動変速機の油圧制御装置。
前記第2の係合要素と、前記第1及び第2の係合要素以外の3つの係合要素と、の4つの係合要素の同時係合により変速段が形成される場合に、前記第2のカットバルブに前記3つの係合要素への係合圧に対向する第2の対向圧を供給可能な第1の油圧供給部を備える、
ことを特徴とする請求項4記載の自動変速機の油圧制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施の形態を、
図1乃至
図7に沿って説明する。
【0013】
[第1の実施形態]
まず、本発明の自動変速機を適用し得る自動変速機1の概略構成について、
図1乃至
図3に沿って説明する。本実施の形態の自動変速機1は、後輪駆動車両の前部に縦置きに搭載される駆動源としての図示しないエンジン(内燃機関)のクランクシャフトあるいは電気モータのロータに接続されると共に、エンジン等からの動力(トルク)を図示しない左右の後輪(駆動輪)に伝達可能としている。自動変速機1は、発進装置(流体伝動装置)102と、オイルポンプ3と、エンジン等から入力軸(入力部材)40に伝達された動力を変速して出力軸(出力部材)41に伝達する変速機構4と、これらを収容するトランスミッションケース5とを備えている。
【0014】
発進装置102は、トルクコンバータ120と、エンジンのクランクシャフト等に連結されたフロントカバーと自動変速機1の入力軸40とを接続及び切断可能なロックアップクラッチ121と、フロントカバーと自動変速機1の入力軸40との間で振動を減衰するダンパ機構122とを備えている。トルクコンバータ120は、フロントカバーに連結される入力側のポンプインペラ123と、入力軸40に連結される出力側のタービンランナ124と、ポンプインペラ123及びタービンランナ124の内側に配置されてタービンランナ124からポンプインペラ123への作動油の流れを整流するステータ125と、図示しないステータシャフトにより支持されると共にステータ125の回転方向を一方向に制限するワンウェイクラッチ126とを備えている。尚、トルクコンバータ120は、ステータ125を有さない流体継手であってもよい。
【0015】
オイルポンプ3は、ポンプボディとポンプカバーとを含むポンプアッセンブリ、チェーンまたはギヤ列を介してトルクコンバータ120のポンプインペラ123に連結された外歯ギヤ(インナーロータ)、当該外歯ギヤに噛合する内歯ギヤ(アウターロータ)等を有するギヤポンプとして構成されている。オイルポンプ3は、エンジン等からの動力により駆動され、図示しないオイルパンに貯留されている作動油を吸引して、後述する油圧制御装置100へと圧送するようになっている。
【0016】
変速機構4は、10段変速式の変速機として構成されており、入力軸40と、図示しないデファレンシャルギヤ及びドライブシャフトを介して左右の後輪に連結される出力軸41と、入力軸40及び出力軸41の軸方向に並べて配設されるシングルピニオン式の第1プラネタリギヤ42及び第2プラネタリギヤ43と、ダブルピニオン式プラネタリギヤとシングルピニオン式プラネタリギヤとを組み合わせて構成されるラビニヨ式遊星歯車機構であるプラネタリギヤセット44とを備えている。また、変速機構4は、入力軸40から出力軸41までの動力伝達経路を変更するための6つの摩擦係合要素として、第1クラッチ(第3の係合要素)C1と、第2クラッチ(第4の係合要素)C2と、第3クラッチ(第2の係合要素)C3と、第4クラッチ(第5の係合要素)C4と、第1ブレーキ(第6の係合要素)B1と、第2ブレーキ(第1の係合要素)B2とを備えている。尚、本実施の形態では、第2ブレーキB2を作動させる油圧サーボは、インナーチャンバとアウターチャンバとの2油室を有するものとしている。このため、第2ブレーキB2は、インナーチャンバを利用する油圧サーボ76(第1の係合油室、B2in,B2iとも表記する。)と、アウターチャンバを利用する油圧サーボ77(第2の係合油室、B2out,B2oとも表記する。)とによって作動されるようになっている(
図4参照)。
【0017】
本実施の形態では、第1及び第2プラネタリギヤ42,43、並びにプラネタリギヤセット44は、発進装置102即ちエンジン側(
図1における左側)から、プラネタリギヤセット44、第2プラネタリギヤ43、第1プラネタリギヤ42という順番で並ぶようにトランスミッションケース5内に配置されている。これにより、プラネタリギヤセット44は、発進装置102に近接するように車両の前部側に配置され、第1プラネタリギヤ42は、出力軸41に近接するように車両の後部側に配置され、第2プラネタリギヤ43は、プラネタリギヤセット44と第1プラネタリギヤ42との間に配置されている。
【0018】
第1プラネタリギヤ42は、外歯歯車である第1サンギヤ42sと、第1サンギヤ42sと同心円上に配置される内歯歯車である第1リングギヤ42rと、それぞれ第1サンギヤ42s及び第1リングギヤ42rに噛合する複数の第1ピニオンギヤ42pと、複数の第1ピニオンギヤ42pを自転(回転)自在かつ公転自在に保持する第1キャリヤ42cとを備えている。本実施の形態では、第1プラネタリギヤ42のギヤ比λ1(第1サンギヤ42sの歯数/第1リングギヤ42rの歯数)は、例えば、λ1=0.277と定められている。
【0019】
第1プラネタリギヤ42の第1キャリヤ42cは、入力軸40に連結された自動変速機1の中間軸47に常時連結(固定)されている。これにより、エンジン等から入力軸40に動力が伝達されている際、第1キャリヤ42cには、エンジン等からの動力が入力軸40及び中間軸47を介して常時伝達されることになる。第1キャリヤ42cは、第4クラッチC4の係合時に第1プラネタリギヤ42の入力要素として機能し、第4クラッチC4の解放時には空転する。また、第1リングギヤ42rは、第4クラッチC4の係合時に当該第1プラネタリギヤ42の出力要素として機能する。
【0020】
第2プラネタリギヤ43は、外歯歯車である第2サンギヤ43sと、第2サンギヤ43sと同心円上に配置される内歯歯車である第2リングギヤ43rと、それぞれ第2サンギヤ43s及び第2リングギヤ43rに噛合する複数の第2ピニオンギヤ43pと、複数の第2ピニオンギヤ43pを自転(回転)自在かつ公転自在に保持する第2キャリヤ(プラネタリキャリヤ)43cとを備えている。本実施の形態では、第2プラネタリギヤ43のギヤ比λ2(第2サンギヤ43sの歯数/第2リングギヤ43rの歯数)は、例えば、λ2=0.244と定められている。
【0021】
第2プラネタリギヤ43の第2サンギヤ43sは、第1プラネタリギヤ42の第1サンギヤ42sと一体化(常時連結)されており、当該第1サンギヤ42sと常時一体(かつ同軸)に回転または停止するようになっている。但し、第1サンギヤ42sと第2サンギヤ43sとは、別体に構成されると共に図示しない連結部材を介して常時連結されてもよい。また、第2プラネタリギヤ43の第2キャリヤ43cは、出力軸41に常時連結されており、当該出力軸41と常時一体(かつ同軸)に回転または停止するようになっている。これにより、第2キャリヤ43cは、第2プラネタリギヤ43の出力要素として機能する。更に、第2プラネタリギヤ43の第2リングギヤ43rは、当該第2プラネタリギヤ43の固定可能要素として機能する。
【0022】
プラネタリギヤセット44は、ダブルピニオン式プラネタリギヤである第3プラネタリギヤ45と、シングルピニオン式プラネタリギヤである第4プラネタリギヤ46とを組み合わせて構成される複合遊星歯車機構である。尚、各プラネタリギヤは、エンジン側から、第4プラネタリギヤ46、第3プラネタリギヤ45、第2プラネタリギヤ43、第1プラネタリギヤ42という順番で並ぶようにトランスミッションケース5内に配置されている。
【0023】
プラネタリギヤセット44は、外歯歯車である第3サンギヤ45s及び第4サンギヤ46sと、第3及び第4サンギヤ45s,46sと同心円上に配置される内歯歯車である第3リングギヤ45rと、第3サンギヤ45sに噛合する複数の第3ピニオンギヤ(ショートピニオンギヤ)45pと、第4サンギヤ46s及び複数の第3ピニオンギヤ45pに噛合すると共に第3リングギヤ45rに噛合する複数の第4ピニオンギヤ(ロングピニオンギヤ)46pと、複数の第3ピニオンギヤ45p及び複数の第4ピニオンギヤ46pを自転自在(回転自在)かつ公転自在に保持する第3キャリヤ45cとを備えている。
【0024】
第3プラネタリギヤ45は、第3サンギヤ45sと、第3キャリヤ45cと、第3ピニオンギヤ45pと、第4ピニオンギヤ46pと、第3リングギヤ45rとにより構成されている。第4プラネタリギヤ46は、第4サンギヤ46sと、第3キャリヤ45cと、第4ピニオンギヤ46pと、第3リングギヤ45rとにより構成されている。本実施の形態では、プラネタリギヤセット44は、第3プラネタリギヤ45のギヤ比λ3(第3サンギヤ45sの歯数/第3リングギヤ45rの歯数)が、例えば、λ3=0.488となり、かつ第4プラネタリギヤ46のギヤ比λ4(第4サンギヤ46sの歯数/第3リングギヤ45rの歯数)が、例えば、λ4=0.581となるように構成されている。
【0025】
また、プラネタリギヤセット44を構成する回転要素のうち、第4サンギヤ46sは、プラネタリギヤセット44の固定可能要素として機能する。更に、第3キャリヤ45cは、入力軸40に常時連結(固定)されると共に、中間軸47を介して第1プラネタリギヤ42の第1キャリヤ42cに常時連結される。これにより、エンジン等から入力軸40に動力が伝達されている際、第3キャリヤ45cには、エンジン等からの動力が入力軸40を介して常時伝達されることになる。従って、第3キャリヤ45cは、プラネタリギヤセット44の入力要素として機能する。また、第3リングギヤ45rは、当該プラネタリギヤセット44の第1の出力要素として機能し、第3サンギヤ45sは、当該プラネタリギヤセット44の第2の出力要素として機能する。
【0026】
第1クラッチC1は、常時連結された第1プラネタリギヤ42の第1サンギヤ42s及び第2プラネタリギヤ43の第2サンギヤ43sとプラネタリギヤセット44の第3リングギヤ45rとを互いに接続すると共に、両者の接続を解除するものである。第2クラッチC2は、常時連結された第1プラネタリギヤ42の第1サンギヤ42s及び第2プラネタリギヤ43の第2サンギヤ43sとプラネタリギヤセット44の第3サンギヤ45sとを互いに接続すると共に、両者の接続を解除するものである。第3クラッチC3は、第2プラネタリギヤ43の第2リングギヤ43rとプラネタリギヤセット44の第3リングギヤ45rとを互いに接続すると共に、両者の接続を解除するものである。第4クラッチC4は、第1プラネタリギヤ42の第1リングギヤ42rと出力軸41とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除するものである。
【0027】
第1ブレーキB1は、プラネタリギヤセット44の第4サンギヤ46sをトランスミッションケース5に対して回転不能に固定(接続)すると共に、当該第4サンギヤ46sをトランスミッションケース5に対して回転自在に解放するものである。第2ブレーキB2は、第2プラネタリギヤ43の第2リングギヤ43rをトランスミッションケース5に対して回転不能に固定(接続)すると共に、当該第2リングギヤ43rをトランスミッションケース5に対して回転自在に解放するものである。
【0028】
本実施の形態では、第1クラッチC1〜第4クラッチC4として、ピストン、複数の摩擦係合プレート(例えば、環状部材の両面に摩擦材を貼着することにより構成された摩擦プレート及び両面が平滑に形成された環状部材であるセパレータプレート)、それぞれ作動油が供給される係合油室及び遠心油圧キャンセル室等により構成される油圧サーボを有する多板摩擦式油圧クラッチが採用されている。また、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2としては、ピストン、複数の摩擦係合プレート(摩擦プレート及びセパレータプレート)、作動油が供給される係合油室等により構成される油圧サーボを有する多板摩擦式油圧ブレーキが採用されている。そして、第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2は、油圧制御装置100による作動油の給排を受けて動作する。
【0029】
図2は、変速機構4の各変速段と第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2の作動状態との関係を示す係合表である。また、
図3は、入力軸40の回転速度に対する各回転要素の回転速度の比を示す速度線図である(ただし、入力軸40、即ち第1キャリヤ42c及び第3キャリヤ45cの回転速度を値1とする)。
【0030】
図3に示すように、シングルピニオン式の第1プラネタリギヤ42を構成する3つの回転要素、即ち第1サンギヤ42s、第1リングギヤ42r、第1キャリヤ42cは、当該第1プラネタリギヤ42の速度線図(
図3における左側の速度線図)上でギヤ比λ1に応じた間隔をおいて図中左側から第1サンギヤ42s、第1キャリヤ42c、第1リングギヤ42rという順番で並んでいる。このような速度線図での並び順に従い、本実施の形態では、第1サンギヤ42sを自動変速機1の第1回転要素とし、第1キャリヤ42cを自動変速機1の第2回転要素とし、第1リングギヤ42rを自動変速機1の第3回転要素とする。従って、第1プラネタリギヤ42は、速度線図上でギヤ比λ1に応じた間隔をおいて順番に並ぶ自動変速機1の第1回転要素、第2回転要素及び第3回転要素を有する。
【0031】
また、シングルピニオン式の第2プラネタリギヤ43を構成する3つの回転要素、即ち第2サンギヤ43s、第2リングギヤ43r、第2キャリヤ43cは、当該第2プラネタリギヤ43の速度線図(
図3における中央の速度線図)上でギヤ比λ2に応じた間隔をおいて図中左側から第2サンギヤ43s、第2キャリヤ43c、第2リングギヤ43rという順番で並ぶ。このような速度線図での並び順に従い、本実施の形態では、第2サンギヤ43sを自動変速機1の第4回転要素とし、第2キャリヤ43cを自動変速機1の第5回転要素とし、第2リングギヤ43rを自動変速機1の第6回転要素とする。従って、第2プラネタリギヤ43は、速度線図上でギヤ比λ2に応じた間隔をおいて順番に並ぶ自動変速機1の第4回転要素、第5回転要素及び第6回転要素を有する。
【0032】
更に、プラネタリギヤセット44を構成する4つの回転要素、即ち第4サンギヤ46s、第3キャリヤ45c、第3リングギヤ45r、第3サンギヤ45sは、この順番で図中左側からシングル式の第3プラネタリギヤ45のギヤ比λ3及びダブルピニオン式の第4プラネタリギヤ46のギヤ比λ4に応じた間隔をおいて当該プラネタリギヤセット44の速度線図(
図3における右側の速度線図)上に並ぶ。このような速度線図での並び順に従い、本実施の形態では、第4サンギヤ46sを自動変速機1の第7回転要素とし、第3キャリヤ45cを自動変速機1の第8回転要素とし、第3リングギヤ45rを自動変速機1の第9回転要素とし、第3サンギヤ45sを自動変速機1の第10回転要素とする。従って、プラネタリギヤセット44は、速度線図上でギヤ比λ3,λ4に応じた間隔をおいて順番に並ぶ自動変速機1の第7回転要素、第8回転要素、第9回転要素、第10回転要素を有する。
【0033】
以上のように構成された自動変速機1では、
図1のスケルトン図に示す各第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2が、
図2の係合表に示す組み合わせで係脱されることにより、
図3の速度線図のような回転数比で、前進1速段(1st)〜前進10速段(10th)、及び後進1速段(後進段)(Rev)が達成される。
【0034】
ここで、前進7速段は、第1クラッチC1、第3クラッチC3、第4クラッチC4を係合させると共に、残余の第2クラッチC2、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2を解放させることにより形成される。即ち、前進7速段の形成に際しては、第1クラッチC1により第1プラネタリギヤ42の第1サンギヤ42s及び第2プラネタリギヤ43の第2サンギヤ43sとプラネタリギヤセット44の第3リングギヤ45rとが互いに接続されると共に、第3クラッチC3により第2プラネタリギヤ43の第2リングギヤ43rとプラネタリギヤセット44の第3リングギヤ45rとが互いに接続され、更に、第4クラッチC4により第1プラネタリギヤ42の第1リングギヤ42rと出力軸41とが互いに接続される。この前進7速段では、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2のいずれも係合が不要であるので、直結段を形成することになる。このため、前進7速段は、4つのクラッチのうちのいずれか3つを係合することで形成される(
図2参照)。本実施の形態において、前進7速段におけるギヤ比γ7は、γ7=1.000となる。
【0035】
尚、この自動変速機1は自動車等の車両に搭載されており、該車両には、油圧制御装置100を電気的に制御することにより各係合要素等の動作を制御可能な不図示のECUを備えている。
【0036】
次に、本発明に係る自動変速機1の油圧制御装置100について説明する。まず、油圧制御装置100の全体を、
図4に沿って概略的に説明する。尚、本実施の形態においては、各バルブにおける実際のスプールは1本であるが、スプール位置の切換え位置あるいはコントロール位置を説明するため、
図4乃至
図7中に示す右半分の状態を「右半位置」、左半分の状態「左半位置」という。
【0037】
油圧制御装置100は、
図4に示すように、主に各種の元圧となる油圧を調圧・生成するためのストレーナ51、オイルポンプ52、プライマリレギュレータバルブ53、ソレノイドモジュレータバルブ54、リニアソレノイドバルブSLTを備えている。
【0038】
また、油圧制御装置100は、各種の元圧に基づく油圧をそれぞれの油路に選択的に切換え、あるいは調圧するための、スプール位置が切換え、あるいは制御される潤滑リレーバルブ55、循環モジュレータバルブ56、ロックアップリレーバルブ57、シークエンスバルブ61、第1B2アプライコントロールバルブ(切換えバルブ)62、第2B2アプライコントロールバルブ(第1のカットバルブ)63、信号圧切換えバルブ(第2のカットバルブ)64等を備えている。
【0039】
更に、油圧制御装置100は、上述の各種リレーバルブ、あるいは各種コントロールバルブに電気的に油圧を制御して供給するためのリニアソレノイドバルブSL1、リニアソレノイドバルブSL2、リニアソレノイドバルブ
(第2ソレノイドバルブ)SL3、リニアソレノイドバルブSL4、リニアソレノイドバルブSL5、リニアソレノイドバルブ(
第1ソレノイドバルブ)SL6、リニアソレノイドバルブSLU、ソレノイドバルブSL、ソレノイドバルブSR、ソレノイドバルブ(信号ソレノイドバルブ)SC1、ソレノイドバルブSC2、ソレノイドバルブSC3を備えている。
【0040】
尚、油圧制御装置100におけるソレノイドバルブSL,SR以外のソレノイドバルブ、即ちリニアソレノイドバルブSL1〜SL6,SLU、ソレノイドバルブSC1〜SC3は、非通電時(以下、オフともいう。)に入力ポートと出力ポートとを遮断し、通電時(以下、オンともいう。)に連通する所謂ノーマルクローズ(N/C)タイプのものが用いられており、反対にソレノイドバルブSL,SRにノーマルオープン(N/O)タイプのものが用いられている。
【0041】
ソレノイドバルブSC1は、変速段が前進1〜3速段の際にオンされるようになっている。また、油圧制御装置100は、ソレノイドバルブSC2により切り換えられる第1サプライカットオフバルブ58と、ソレノイドバルブSC3により切り換えられる第2サプライカットオフバルブ59とを備えている。これらソレノイドバルブSC2,SC3は、シフトバイワイヤに対応して第1サプライカットオフバルブ58及び第2サプライカットオフバルブ59を切り換えることにより、走行レンジを切り換え可能になっている。
【0042】
そして、油圧制御装置100には、上記各種のバルブにより調圧されて供給された係合圧に基づき、第1クラッチC1を係脱し得る油圧サーボ71、第2クラッチC2を係脱し得る油圧サーボ72、第3クラッチC3を係脱し得る油圧サーボ73、第4クラッチC4を係脱し得る油圧サーボ74、第1ブレーキB1を係脱し得る油圧サーボ75、第2ブレーキB2のインナーチャンバを係脱し得る油圧サーボ76、第2ブレーキB2のアウターチャンバを係脱し得る油圧サーボ77が備えられて構成されている。
【0043】
次に、油圧制御装置100における各種の元圧、即ちライン圧及びモジュレータ圧の生成部分について説明する。なお、これらライン圧及びモジュレータ圧の生成部分は、一般的な自動変速機の油圧制御装置と同様なものであり、周知のものであるので、簡単に説明する。
【0044】
オイルポンプ52は、例えばトルクコンバータ120のポンプインペラ123に回転駆動連結されており、エンジンの回転に連動して駆動され、不図示のオイルパンからストレーナ51を介してオイルを吸上げる形で油圧を発生させる。また、油圧制御装置100には、リニアソレノイドバルブSLTが備えられており、該リニアソレノイドバルブSLTは、ソレノイドモジュレータバルブ54により調圧されたモジュレータ圧Pmodを元圧として、スロットル開度に応じた信号圧PSLTを調圧出力する。
【0045】
プライマリレギュレータバルブ53は、オイルポンプ52により発生された油圧を、そのスプリングの付勢力が負荷されたスプールに入力するリニアソレノイドバルブSLTの信号圧PSLTに基づき一部排出する形でライン圧PLに調圧する。このライン圧PLは、ソレノイドモジュレータバルブ54、循環モジュレータバルブ56、ロックアップリレーバルブ57、第2B2アプライコントロールバルブ63、信号圧切換えバルブ64、リニアソレノイドバルブSL1〜SL5,SLUに供給される。
【0046】
ソレノイドモジュレータバルブ54は、プライマリレギュレータバルブ53により調圧されたライン圧PLをそのスプリングの付勢力に基づき、ライン圧PLが所定圧以上となると略々一定となるモジュレータ圧Pmodに調圧する。このモジュレータ圧Pmodは、リニアソレノイドバルブSLT、ソレノイドバルブSL、ソレノイドバルブSR、リニアソレノイドバルブSC1〜SC3に元圧として供給される。
【0047】
次に、本実施の形態に係る、自動変速機1の油圧制御装置100の部分回路である油圧制御部(油圧制御装置)101について説明する。
【0048】
図5に示すように、油圧制御部101は、各種の元圧に基づく油圧をそれぞれの油路に選択的に切換え、あるいは調圧するための、スプール位置が切換え、あるいは制御される不図示の潤滑リレーバルブ、循環モジュレータバルブ、ロックアップリレーバルブ、シークエンスバルブ等を備えている。また、油圧制御部101は、走行レンジに応じて、前進レンジ圧及び後進レンジ圧を選択して供給するレンジ圧供給部を備えている(
図6の符号7参照)。ライン圧PL及びモジュレータ圧Pmod等を生成するための油圧回路構成は、一般的な自動変速機の油圧制御装置のものと同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0049】
尚、
図4に示す第1B2アプライコントロールバルブ62は
図5では切換えバルブ10に相当し、
図4に示す第2B2アプライコントロールバルブ63は
図5ではカットオフバルブ20に相当し、
図4に示す信号圧切換えバルブ64は
図5ではリレーバルブ30に相当する。
【0050】
まず、本実施の形態の油圧制御部101の意義について詳細に説明する。油圧制御部101は、自動変速機における本来同時係合すべきでない係合要素が係合してしまう、所謂タイアップを回避する為の回路である。
【0051】
本実施の形態の自動変速機1においては、基本的には、本来同時係合すべきでない係合要素が係合するフェール(即ち、係合指令の対象ではない係合要素に対応するリニアソレノイドが油圧を出力する故障をした場合、又は、変速の際に解放指令の対象である係合要素に対応するリニアソレノイドが油圧を出力する故障をした場合)が発生した際に、故障がリニアソレノイドにて発生したことを検出し、故障が発生したリニアソレノイドに対応する係合要素を係合する変速段に変速するようになっている。また、車速等との関係により変速が厳しい場合には電源をOFFとしてニュートラルとなるようにしている。即ち、制御にて対応するようになっている。
【0052】
尚、リニアソレノイドの故障の検出は、リニアソレノイドの電流値をセンサで検出し、異常値かどうかを判断している。また、本来同時係合すべきでない係合要素が係合すると、入力軸と出力軸の回転数差が、意図している(現在形成している)変速段のギヤ比から乖離する為、この回転数差とギヤ比の乖離を検出しても良い(所謂ギヤエラー検出)。
【0053】
しかし、上記した制御での対応は、故障を検出してからの処理になってしまう為、ソフトでの対応が完了するまで(例えば、200ms)は4つの係合要素が同時に係合して弱タイアップ状態(正確には、3つの係合要素が係合し、1つの係合要素が滑る状態)が生じてしまう。
【0054】
そして、この弱タイアップ状態になると、その際に車両に大きな減速度が発生してしまう場合がある。近年、安全性に対する意識の高まりから、この一時的な減速度の発生を抑制することが求められており、その要求に対応したものとなっている。
【0055】
ここで、本実施の形態では、第2ブレーキB2が係合された低速段で走行している状況において4つの係合要素の係合フェールが発生し、4つの係合要素の組み合わせが下記6種類のいずれかである場合には、各係合要素のトルク容量の関係から、車両の走行速度等の条件によっては自動変速機1が搭載される車両の減速度が所定値(例えば、0.10G)を超えてしまう虞がある。
1.第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第2ブレーキB2
2.第1クラッチC1、第2クラッチC2、第4クラッチC4、第2ブレーキB2
3.第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2
4.第1クラッチC1、第3クラッチC3、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2
5.第2クラッチC2、第3クラッチC3、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2
6.第3クラッチC3、第4クラッチC4、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2
【0056】
そこで、本実施の形態では、変速時あるいは定常走行時において、フェールによりフェール前の変速段の係合状態から上記6種類のいずれかの組み合わせとなってしまう場合に、第2ブレーキB2への油圧供給を遮断するように構成している。
【0057】
尚、他の組み合わせでは、トルク分担やトルク容量の関係から、係合要素が滑ることによる減速度の発生は小さい。具体的な一要因としては、トルク分担が大きく、そのためトルク容量が大きい第2ブレーキB2に関して、前進低速段(1st〜3rd)以外の少なくとも前進変速段、例えば前進高速段においては、第2ブレーキB2のアウターチャンバ77に対して油圧を供給しないようにしているからである。
【0058】
次に、上述した油圧制御部101の構成について詳細に説明する。油圧制御部101は、リニアソレノイドバルブSL6と、第1の信号ソレノイドバルブSC1と、切換えバルブ10と、カットオフバルブ(第1のカットバルブ)20と、リレーバルブ(第2のカットバルブ)30と、第2のソレノイドバルブSRと、フェールセーフバルブ50とを備えている。
【0059】
リニアソレノイドバルブSL6は、ECUにより制御されると共に、ライン圧PLが入力される入力ポートSL6aと、第1の係合圧PSL6を出力可能な出力ポートSL6bとを備えており、第2ブレーキB2のインナーチャンバ76に第1の係合圧PSL6をライン圧PLと等圧にまで調圧して供給可能になっている。
【0060】
尚、油圧制御部101は、各係合要素の油圧サーボに油圧を供給可能な第1クラッチC1を係合させるための係合圧PSL1を供給するリニアソレノイドバルブSL1と、第2クラッチC2を係合させるための係合圧PSL2を供給するリニアソレノイドバルブSL2と、第3クラッチC3を係合させるための第2の係合圧PSL3を供給するリニアソレノイドバルブSL3と、第4クラッチC4を係合させるための係合圧PSL4を供給するリニアソレノイドバルブSL4と、第1ブレーキB1を係合させるための係合圧PSL5を供給するリニアソレノイドバルブSL5とを備えている。リニアソレノイドバルブSL1〜SL6には、非通電時(以下、オフともいう。)に入力ポートと出力ポートとを遮断し、通電時(以下、オンともいう。)に連通するノーマルクローズ(N/C)タイプのものが用いられている。
【0061】
第1の信号ソレノイドバルブSC1は、ECUにより制御されると共に、モジュレータ圧Pmodが入力される不図示の入力ポートと、モジュレータ圧Pmodに基づいて生成される第1の信号圧(信号圧)PSC1を出力可能な出力ポートSC1aとを備えており、出力する第1の信号圧PSC1により切換えバルブ10を制御可能になっている。
【0062】
切換えバルブ10は、第1の信号圧PSC1が供給される第1の油室10aと、油路a1,a5を介して第1の係合圧PSL6が入力される第1の入力ポート10bと、ライン圧PLが入力される第2の入力ポート10cと、油路d1を介してカットオフバルブ20の後述する第1の出力ポート20gに接続される第3の入力ポート10dと、油路b1,b2,b3を介してカットオフバルブ20の後述する第1の油室20a及び第1の入力ポート20eに接続される第1の出力ポート10eと、油路c1を介してリレーバルブ30の後述する第4の油室30dに接続される第2の出力ポート10fと、ドレーンポート10gと、油路e1を介してアウターチャンバ77に接続される第3の出力ポート10hとを備えている。
【0063】
また、切換えバルブ10は、第1の入力ポート10bと第1の出力ポート10eとを連通し、第2の入力ポート10cと第2の出力ポート10fとを連通し、第3の出力ポート10hとドレーンポート10gとを連通し、第3の入力ポート10dを遮断する遮断位置(第2の状態)(図中、左半位置)と、第1の入力ポート10bを遮断し、第2の入力ポート10cと第1の出力ポート10eとを連通し、第2の出力ポート10fとドレーンポート10gとを連通し、第3の入力ポート10dと第3の出力ポート10hとを連通する連通位置(第1の状態)(図中、右半位置)とに切換可能なスプール10pと、スプール10pを遮断位置側に付勢する圧縮コイルばねから成るスプリング10sとを備えている。これにより、切換えバルブ10は、第1の信号ソレノイドバルブSC1から第1の信号圧PSC1が供給されない場合は、スプール10pが遮断位置に位置して第2の入力ポート10cと第1の出力ポート10eとを遮断することで、ライン圧PLがアウターチャンバ77に供給されることを規制し、第1の信号ソレノイドバルブSC1から第1の信号圧PSC1が供給される場合は、スプール10pが連通位置に位置して第2の入力ポート10cと第1の出力ポート10eとを連通することで、ライン圧PLを第3の係合圧としてアウターチャンバ77に供給可能になっている(以下、第3の係合圧をライン圧PLとする)。尚、第1の信号ソレノイドバルブSC1及び切換えバルブ10により、第1の油圧供給部が構成されている。
【0064】
切換えバルブ10は、
図2からも分かる通り、前進低速段(1st〜3rd)以外の少なくとも前進変速段、例えば前進高速段を形成する際は、上記した遮断位置(第2の状態)とされ、また、前進低速段及び後進段を形成する際は、上記した連通位置(第1の状態)とされる。具体的には、4速段ではインナーチャンバのみ油圧を供給するすると共に、5〜10速段においてはインナーチャンバ及びアウターチャンバ共に油圧を供給しない。
【0065】
カットオフバルブ20は、第2ブレーキB2が係合される際に発生する油圧が供給される第1の油室20aと、前進レンジで第2ブレーキB2と同時係合しない第3クラッチC3の第
2の係合圧PSL3が供給される第2の油室20bと、油圧が供給されることにより、第1の油室20a及び第2の油室20bからの押圧力に対抗する力を発生する第3の油室20c及び第4の油室20dとを備えている。第1の油室20aには、第2ブレーキB2が係合される際に発生する油圧として油路b1,b2を介して、切換えバルブ10のスプール10pが連通位置にある場合はライン圧PLが供給され、遮断位置にある場合は第1の係合圧PSL6が供給される。第3の油室20cは、油路g1,g3,g5を介して、第2のソレノイドバルブSRからの第2の信号圧(第3の対向圧)PSRが供給可能になっている。第4の油室20dは、油路f1を介して、リレーバルブ30の後述する出力ポート30gからライン圧(第1の対向圧)PLが供給可能になっている。
【0066】
また、カットオフバルブ20は、油路b3,b1を介して切換えバルブ10の第1の出力ポート10eに接続される第1の入力ポート20eと、油路a1,a2,a3を介してリニアソレノイドバルブSL6に接続される第2の入力ポート20fと、油路d1を介して切換えバルブ10の第3の入力ポート10dに接続される第1の出力ポート20gと、油路a4を介してインナーチャンバ76に接続される第2の出力ポート20iと、ドレーンポート20hと、ドレーンポート20jとを備えている。
【0067】
また、カットオフバルブ20は、第1の入力ポート20eと第1の出力ポート20gとを連通すると共に、第2の入力ポート20fと第2の出力ポート20iとを連通する連通位置(第3の状態)(図中、左半位置)と、第1の入力ポート20eと第1の油室20aとを連通し、第1の出力ポート20gとドレーンポート20hとを連通し、第2の出力ポート20iとドレーンポート20jとを連通し、第2の入力ポート20fを遮断する遮断位置(第4の状態)(図中、右半位置)とに切換可能なスプール20pと、スプール20pを連通位置側に付勢する圧縮コイルばねから成るスプリング20sとを備えている。
【0068】
このカットオフバルブ20のスプール20pは、径の異なるランド部を有し、第2の油室20bに面する受圧面積と第4の油室20dに面する受圧面積とが同一であると共に、第1の油室20aに面する受圧面積は第3の油室20cに面する受圧面積よりも小さく設定されている。このため、例えば、第1の油室20a及び第2の油室20bの両方に油圧が供給される場合は、第3の油室20c及び第4の油室20dの両方に油圧が供給された場合のみスプール20pは連通位置にロックされるが、第3の油室20c及び第4の油室20dの一方でも油圧が供給されていなければ、スプール20pは遮断位置に切り換わる。また、第3の油室20c及び第4の油室20dの少なくとも一方に油圧が供給されている場合は、第1の油室20a及び第2の油室20bの一方のみに油圧が供給されても、スプール20pは連通位置に位置される。尚、油路a1,a2,a3,a4を第1の油路とし、油路b1,b3,d1,e1を第2の油路とする。
【0069】
リレーバルブ30は、係合圧PSL1が供給される第1の油室30aと、係合圧PSL2が供給される第2の油室30bと、係合圧PSL4又は係合圧PSL5の大きい方が供給される第3の油室30cと、油路c1を介して切換えバルブ10の第2の出力ポート10fに接続される第4の油室30dと、ライン圧PLが供給される第5の油室30eとを備えている。また、リレーバルブ30は、ライン圧PLが供給される入力ポート30fと、油路f1を介してカットオフバルブ20の第4の油室20dに接続される出力ポート30gと、ドレーンポート30hとを備えている。尚、第4の油室30dには、油路c1を介して第2の対向圧PLが供給可能になっている。
【0070】
リレーバルブ30は、入力ポート30fと出力ポート30gとが連通する正常位置(図中、左半位置)と、入力ポート30fが遮断されると共に出力ポート30gがドレーンされる遮断する遮断位置(図中、右半位置)とに切換可能なスプール30pと、スプール20pを正常位置側に付勢する圧縮コイルばねから成るスプリング30sとを備えている。これにより、このリレーバルブ30のスプール30pは、径の異なるランド部を有し、第1の油室30aに面する受圧面積と第2の油室30bに面する受圧面積との合計面積と、第5の油室30eに面する受圧面積とが同一であると共に、第3の油室30cに面する受圧面積と第4の油室30dに面する受圧面積とは同一であるように設定されている。このため、例えば、第4の油室30dに油圧が供給されていない場合は、係合圧PSL1と、係合圧PSL2と、係合圧PSL4又は係合圧PSL5との3つの油圧が供給された場合に遮断位置に切り換わる。また、このスプール30pは、第4の油室30dに油圧が供給されている場合は、通常位置にロックされるようになっている。
【0071】
第2のソレノイドバルブSRは、ECUにより制御されると共に、モジュレータ圧Pmodが入力される入力ポートSRaと、モジュレータ圧Pmodに基づいて生成される第2の信号圧PSRを出力可能な出力ポートSRbとを備えており、出力する第2の信号圧PSRによりフェールセーフバルブ50を制御可能になっている。
【0072】
フェールセーフバルブ50は、油路g1,g2を介して第2のソレノイドバルブSRから第2の信号圧PSRが供給される第1の油室50aと、油路a1,a2,a6を介してリニアソレノイドバルブSL6に接続されて第1の係合圧PSL6が供給される第2の油室50bとを備えている。また、フェールセーフバルブ50は、油路g1,g3,g4を介して第2のソレノイドバルブSRの出力ポートSRbに接続される入力ポート50cと、フェールセーフ信号圧PFSを出力可能な出力ポート50dとを備えている。尚、フェールセーフバルブ50及び第2のソレノイドバルブSRを接続する油路g1,g2,g3,g4をフェールセーフ回路とする。このフェールセーフ回路は、油路g5を介してカットオフバルブ20の第3の油室20cに接続されている。
【0073】
フェールセーフバルブ50は、入力ポート50cを遮断する正常位置(図中、右半位置)と、入力ポート50cと出力ポート50dとを連通するフェール位置(図中、左半位置)とに切換可能なスプール50pと、スプール50pを正常位置側に付勢する圧縮コイルばねから成るスプリング50sとを備えている。これにより、第1の係合圧PSL6が供給されない場合は、フェールセーフバルブ50は、第2の信号圧PSRが供給されないことによりフェールセーフ信号圧PFSを出力せず、第2の信号圧PSRが供給されることにより第2の信号圧PSRがフェールセーフ信号圧PFSとして出力され、適宜フェールセーフ動作を実行するようになる。一方、第1の係合圧PSL6が供給される場合は、フェールセーフバルブ50のスプール50pが正常位置でロックされるので、第2の信号圧PSRが供給されたとしてもフェールセーフ信号圧PFSは出力されない。尚、第2のソレノイドバルブSR及びフェールセーフバルブ50により、第2の油圧供給部が構成されている。
【0074】
次に、本実施の形態に係る自動変速機1の油圧制御部101の動作について詳細に説明する。
【0075】
前進レンジ時に、前進1速段〜前進3速段が選択されている場合は、第2ブレーキB2はインナーチャンバ76及びアウターチャンバ77の両方に油圧が供給される(
図2参照)。この場合、ECUからの制御信号によりリニアソレノイドバルブSL6と、リニアソレノイドバルブSL3以外の2つのリニアソレノイドバルブとがオンされると共に、第1の信号ソレノイドバルブSC1から第1の信号圧PSC1が出力される。これにより、切換えバルブ10のスプール10pは連通位置に位置すると共に、カットオフバルブ20のスプール20pは連通位置に位置する。
【0076】
リニアソレノイドバルブSL6からの第1の係合圧PSL6は、油路a1,a2,a3を介してカットオフバルブ20に入力され、油路a4を介してインナーチャンバ76に供給される。また、切換えバルブ10の第2の入力ポート10cに入力されたライン圧PLは、油路b1,b2,b3を介してカットオフバルブ20に入力され、油路d1を介して切換えバルブ10に入力され、油路e1を介してアウターチャンバ77に第3の係合圧として供給される。これにより、第2ブレーキB2は、2つのチャンバ76,77の両方から係合圧を受けて係合される。尚、リレーバルブ30のスプール30pは通常位置であるので、油路f1を介してカットオフバルブ20の第4の油室20dにライン圧PLが供給される。これにより、カットオフバルブ20の第1の油室20aにライン圧PLが供給されても、スプール20pは連通位置にロックされている。
【0077】
ここで、例えば第3クラッチC3の第
2の係合圧PSL3を生成するリニアソレノイドバルブSL3にオンフェールが発生してしまった場合、第
2の係合圧PSL3はカットオフバルブ20の第2の油室20bに供給される。これにより、第1の油室20a及び第2の油室20bに同時に油圧が供給されることで、第4の油室20dへのライン圧PLによる押圧力に打ち勝ってスプール20pを遮断位置に切り換える。このため、油路a3,a4が遮断されることで、インナーチャンバ76への第1の係合圧PSL6の供給が遮断されると共に、油路b3,d1が遮断されることで、アウターチャンバ77へのライン圧PLの供給が遮断される。よって、第2ブレーキB2が解放されるので、前進レンジ時における第3クラッチC3との同時係合を回避することができる。
【0078】
例えば、前進1速段で走行している場合に、リニアソレノイドバルブSL3の電気的な故障等の理由で油圧出力状態となってしまい、第3クラッチC3を係合してしまうと、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第2ブレーキB2の4つの係合要素が同時係合してしまうことになり、これは所定の減速度を超えてしまう組み合わせになってしまう。このため、このような同時係合を避けるため、第2ブレーキB2への油圧供給を遮断するようにしている。
【0079】
この場合、前進1速段時には、リニアソレノイドバルブSL1、リニアソレノイドバルブSL2、リニアソレノイドバルブSL6、ソレノイドバルブSC1が作動する。ここで、リニアソレノイドバルブSL3がオンフェール(油圧を出力してしまうフェール)を生じていると、カットオフバルブ20では、
第2の係合圧PSL3が第2の油室20bに供給され、小径ランド部と中径ランド部との面積差から下方への付勢力が発生し、スプール20pはロック圧(油室20dに供給されるライン圧)及びスプリング20sに抗して遮断位置に切り換わる。これにより、第2の入力ポート20fと第2の出力ポート20iとが遮断されるので、第2の入力ポート20fに入力された
第1の係合圧PSL6は油圧サーボ76に供給されなくなり、第2ブレーキB2が解放される。これにより、万一、リニアソレノイドバルブSL3の電気的な故障等の理由で油圧出力状態となってしまったとしても、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第2ブレーキB2の4つの係合要素が同時係合することはなく、減速度が所定値を超えてしまうことを抑制できる。その後、制御により他の変速段を選択する等、適宜な処理を行うようにする。
【0080】
次に、前進レンジ時に、前進4速段が選択されている場合は、第2ブレーキB2はインナーチャンバ76のみで係合される(
図2参照)。この場合、ECUからの制御信号によりリニアソレノイドバルブSL6の他、リニアソレノイドバルブSL4及びリニアソレノイドバルブSL5がオンされると共に、第1の信号ソレノイドバルブSC1から第1の信号圧PSC1が出力されない。これにより、切換えバルブ10のスプール10pは遮断位置に位置すると共に、カットオフバルブ20のスプール20pは連通位置に位置する。
【0081】
リニアソレノイドバルブSL6からの第1の係合圧PSL6は、油路a1,a2,a3,a4を介してインナーチャンバ76に供給される。また、切換えバルブ10の第2の入力ポート10cに入力されたライン圧PLは、油路c1を介してリレーバルブ30の第4の油室30dに供給され、スプール30pを正常位置にロックする。また、アウターチャンバ77は、油路e1を介して切換えバルブ10のドレーンポート10gに接続され、油圧がドレーンされる。これにより、第2ブレーキB2は、インナーチャンバ76のみの係合圧により係合するようになる。
【0082】
次に、後進レンジ時には、第2ブレーキB2はインナーチャンバ76及びアウターチャンバ77の両方に油圧が供給される(
図2参照)。この場合、ECUからの制御信号によりリニアソレノイドバルブSL6の他、リニアソレノイドバルブSL2及びリニアソレノイドバルブSL3がオンされると共に、第1の信号ソレノイドバルブSC1から第1の信号圧PSC1が出力される。これにより、切換えバルブ10のスプール10pは連通位置に位置すると共に、カットオフバルブ20のスプール20pは連通位置に位置する。
【0083】
リニアソレノイドバルブSL6からの第1の係合圧PSL6は、油路a1,a2,a3を介してカットオフバルブ20に入力され、油路a4を介してインナーチャンバ76に供給される。同時に、第1の係合圧PSL6は、油路a6を介してフェールセーフバルブ50の第2の油室50bにも供給されており、スプール50pは正常位置でロックされている。
【0084】
ここで、後進レンジ時には、第2のソレノイドバルブSRから第2の信号圧PSRが出力され、油路g1,g3,g5を介してカットオフバルブ20の第3の油室20cに供給される。また、リレーバルブ30のスプール30pは通常位置であるので、油路f1を介してカットオフバルブ20の第4の油室20dにライン圧PLが供給される。これにより、後進レンジ時に第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の両方を係合するために、カットオフバルブ20の第1の油室20a及び第2の油室20bの両方に油圧が供給されても、スプール20pは連通位置にロックされたままになり、第2ブレーキB2の解放を防止することができる。
【0085】
一方、フェールセーフバルブ50では、第1の係合圧PSL6がスプール50pを正常位置でロックしているので、第2の信号圧PSRが出力されても、スプール50pがフェール位置に切り換わって誤作動することを防止している。
【0086】
次に、Nレンジ時又はPレンジ時には、第2ブレーキB2はインナーチャンバ76及びアウターチャンバ77の両方に油圧が供給される(
図2参照)。ここで、Nレンジ時及びPレンジ時には、前進レンジ圧及び後進レンジ圧が生成されなくなるが、ライン圧PLやモジュレータ圧Pmodはエンジンの駆動中は常時生成されており、ライン圧PLを元圧とするリニアソレノイドバルブ(SL6など)、第1の信号ソレノイドバルブSC1、第2の信号ソレノイドバルブSRは上述と同様に作動可能になっている。この場合、ECUからの制御信号によりリニアソレノイドバルブSL6と、リニアソレノイドバルブSL2とがオンされると共に、第1の信号ソレノイドバルブSC1から第1の信号圧PSC1が出力される。これにより、切換えバルブ10のスプール10pは連通位置に位置すると共に、カットオフバルブ20のスプール20pは連通位置に位置する。
【0087】
リニアソレノイドバルブSL6からの第1の係合圧PSL6は、油路a1,a2,a3を介してカットオフバルブ20に入力され、油路a4を介してインナーチャンバ76に供給される。また、切換えバルブ10の第2の入力ポート10cに入力されたライン圧PLは、油路b1,b2,b3を介してカットオフバルブ20に入力され、油路d1を介して切換えバルブ10に入力され、油路e1を介してアウターチャンバ77に第3の係合圧として供給される。これにより、第2ブレーキB2は、2つのチャンバ76,77の両方から係合圧を受けて係合される。
【0088】
次に、前進レンジ(前進1速段〜前進3速段)から後進レンジに切り換えた時には、第2ブレーキB2はインナーチャンバ76及びアウターチャンバ77の両方に油圧が供給される(
図2参照)。ここで、前進レンジから後進レンジに切り換えた時には、前進レンジで生成されていた前進レンジ圧が0になり、その直後の後進レンジで後進レンジ圧が生成されるようになり、一瞬レンジ圧が途切れるようになる。これに対し、ライン圧PLやモジュレータ圧Pmodはエンジンの駆動中は常時生成されており、前進レンジから後進レンジに切り換えた時でもライン圧PLを元圧とするリニアソレノイドバルブ、第1の信号ソレノイドバルブSC1、第2の信号ソレノイドバルブSRは上述と同様に作動可能になっている。これにより、第2ブレーキB2以外に係合する係合要素を適宜変更しながら、第2ブレーキB2は、2つのチャンバ76,77の両方から係合圧を受けて係合される。尚、後進レンジから前進レンジ(前進1速段〜前進3速段)に切り換えた場合も同様となる。
【0089】
以上説明したように、本実施の形態の油圧制御部101によれば、ライン圧PLから生成された第1の係合圧PSL6がリニアソレノイドバルブSL6からインナーチャンバ76に供給されると共に、ライン圧PLが切換えバルブ10からアウターチャンバ77に供給される。このため、第1の係合圧PSL6及びライン圧PLのいずれも、ライン圧PLが生成されている限り常時供給可能になり、第1の係合圧PSL6及びライン圧PLのいずれもレンジ圧とは関係無く、またNレンジであっても生成される。これにより、前進レンジと後進レンジとが切り換わる際に瞬間的に油圧が途切れてしまったり、あるいはNレンジ時にレンジ圧が生成されなくても、インナーチャンバ76及びアウターチャンバ77のいずれも係合圧を安定的に維持することができる。
【0090】
また、本実施の形態の油圧制御部101は、第2ブレーキB2が係合される際に発生する油圧PSL6,PLが供給される第1の作動油室20aと、前進レンジで第2ブレーキB2と同時係合しない第3クラッチC3の第
2の係合圧PSL3が供給される第2の作動油室20bと、を有し、リニアソレノイドバルブSL6とインナーチャンバ76とを接続する第1の油路に介在されると共に、切換えバルブ10とアウターチャンバ77とを接続する第2の油路に介在され、第1の油路及び第2の油路がそれぞれ連通した状態である連通位置と、第1の油路及び第2の油路がそれぞれ遮断された状態である遮断位置と、に切換可能であって、前進レンジで第1の作動油室20a及び第2の作動油室20bに油圧PSL6,PLが供給された場合に連通位置から遮断位置に切り換わるカットオフバルブ20を備えている。
【0091】
これにより、カットオフバルブ20が、第1の油路及び第2の油路の連通及び遮断を同時に切り換えることができる。即ち、カットオフバルブ20が、インナーチャンバ76に第1の係合圧PSL6を供給する油路a3,a4と、アウターチャンバ77にライン圧PLを供給する油路b3,d1との連通及び遮断を同時に切り換えることができるので、1つのバルブを操作するだけで2つのチャンバ76,77への係合圧の給排を制御可能になる。
【0092】
また、本実施の形態の油圧制御部101では、切換えバルブ10は、第2ブレーキB2が係合される際に発生する油圧PSL6,PLとして、連通位置においてライン圧PLをカットオフバルブ20の第1の作動油室20aに供給し、遮断位置において第1の係合圧PSL6をカットオフバルブ20の第1の作動油室20aに供給する。
【0093】
これにより、前進レンジにおける第2ブレーキB2及び第3クラッチC3の同時係合を避けるために第2ブレーキB2及び第3クラッチC3の同時係合時には第2ブレーキB2を解放するカットオフバルブ20に対し、第2ブレーキB2の係合圧として、アウターチャンバ77にライン圧PLを供給する場合には、ライン圧PLをカットオフバルブ20の第1の油室20aに供給し、アウターチャンバ77にライン圧PLを供給しない場合には、第1の係合圧PSL6をカットオフバルブ20の第1の油室20aに供給するようになる。このため、アウターチャンバ77にライン圧PLを供給する場合に、そのライン圧PLをカットオフバルブ20の第1の油室20aに供給することにより、第1の係合圧PSL6の有無には関係なく、アウターチャンバ77による第2ブレーキB2の動作を見ることで、カットオフバルブ20を切り換える際の条件成立を確実なものにすることができる。また、アウターチャンバ77にライン圧PLを供給しない場合に、第1の係合圧PSL6をカットオフバルブ20の第1の油室20aに供給することにより、インナーチャンバ76による第2ブレーキB2の動作を見ることで、カットオフバルブ20を切り換える際の条件成立を確実なものにすることができる。
【0094】
また、第1の油室20aの1つのポートのみに2種の油圧を供給可能にしているので、2種の油圧をそれぞれ別個のポートに供給する場合に比べて、カットオフバルブ20の構成を簡素化することができる。しかも、インナーチャンバ76の動作による条件成立とアウターチャンバ77による条件成立との2つの条件成立を1つのポートで担保することができるので、別ポートで同様の機能を実現する場合に比べてバルブ構成を簡素化することが出来ると共に、別々のポートに油圧が供給される場合だとそれぞれに対応した制御が必要になるが、そういった必要も無く制御を簡素化することができる。
【0095】
また、カットオフバルブ20が連通位置にあり、切換えバルブ10が遮断位置にある場合は、リニアソレノイドバルブSL6からの第1の係合圧PSL6がカットオフバルブ20を介して切換えバルブ10で遮断されているが、油圧回路としてはアウターチャンバ77の直前で待機することになる。ここで、切換えバルブ10が連通位置に切り換わることにより、第1の係合圧PSL6が遮断されて、ライン圧PLがカットオフバルブ20及び切換えバルブ10を介してアウターチャンバ77に供給されるようになる。このため、油路d1には第1の係合圧PSL6が待機していたために、切換えバルブ10が切り換わると即座にライン圧PLがアウターチャンバ77に供給されることになり、応答性を向上することができる。
【0096】
また、本実施の形態の油圧制御部101では、カットオフバルブ20は、油圧が供給されることにより、第1の作動油室20a及び第2の作動油室20bからの押圧力に対抗する力を発生する第3の作動油室20cを備え、第3の作動油室20cに第2の信号圧PSRを供給可能な第2の信号ソレノイドバルブSRと、第2の信号圧PSRが供給され、第2の信号圧PSRを遮断する正常位置と、第2の信号圧PSRをフェールセーフ信号圧PFSとして出力するフェール位置と、に切換可能であると共に、第2の信号圧PSRが供給されることにより正常位置からフェール位置に切り換える力を発生する第1の油室50aと、第1の係合圧PSL6が供給されることにより正常位置にロック可能な第2の油室50bと、を有するフェールセーフバルブ50と、を備える。
【0097】
これにより、フェールセーフバルブ50を切り換えるための第2の信号ソレノイドバルブSRを利用して、カットオフバルブ20の連通位置でのロックを実現することができる。このため、後進レンジ時に第2ブレーキB2と第3クラッチC3との同時係合を行う必要がある場合に、カットオフバルブ20が第2ブレーキB2と第3クラッチC3との同時係合に対応して遮断位置に切り換わってしまうことを防止することができる。
【0098】
また、フェールセーフバルブ50は、第1の係合圧PSL6を供給することにより正常位置にロックするようになっているので、後進レンジ時にカットオフバルブ20をロックするために第2の信号ソレノイドバルブSRから第2の信号圧PSRを出力した際に、フェールセーフバルブ50をフェール位置に切り換えてしまうことを防止することができる。
【0099】
また、本実施の形態の油圧制御部101では、自動変速機1は、複数の係合要素として4つのクラッチC1,C2,C3,C4及び2つのブレーキB1,B2を有し、複数の係合要素のうち3つの係合要素を選択的に同時係合することにより前進10速段及び後進1速段を達成可能であり、第1の係合要素B2は、2つのブレーキの一方である。
【0100】
これにより、4つのクラッチC1,C2,C3,C4及び2つのブレーキB1,B2を有し、3つの係合要素を選択的に同時係合することにより前進10速段及び後進1速段を達成可能な自動変速機1に適用できるようになる。
【0101】
上述した本実施の形態の油圧制御部101では、フェールセーフ回路とカットオフバルブ20の第3の油室20cとを油路g5のみにより接続することで、後進レンジ時に第2の信号ソレノイドバルブSRから第3の油室20cに油圧を供給するようにしているが、これには限られない。例えば、
図6に示すように、フェールセーフ回路とカットオフバルブ20の第3の油室20cとを接続する油路(第3の油路)g5,g6にレンジ圧供給部7を油路(第4の油路)g7により接続し、フェールセーフ回路とカットオフバルブ20の第3の油室20cとを接続する油路g5,g6に設けた第1の逆止弁151と、油路g7に介在され、レンジ圧供給部7から油路g5,g6への後進レンジ圧PRを通過させると共に、反対方向の油圧を遮断する第2の逆止弁153と、を備えるようにしてもよい。この場合、レンジ圧供給部7に接続された油路g7は、第1の逆止弁151及び第3の作動油室20cの間の油路g5,g6に接続されている。また、第1の逆止弁151の第3の油室20dの側にオリフィス152を設けてもよい。
【0102】
即ち、本実施の形態の油圧制御部101は、第2の信号ソレノイドバルブSRとフェールセーフバルブ50とを接続するフェールセーフ回路と、カットオフバルブ20の第3の作動油室20cと、を接続する第3の油路g5,g6と、第3の油路g5,g6に介在され、第2の信号ソレノイドバルブSRからカットオフバルブ20の第3の作動油室20cへの第2の信号圧PSRを通過させると共に、反対方向の油圧を遮断する第1の逆止弁151と、走行レンジが後進レンジである場合に、後進レンジ圧PRを第3の油路g5,g6に供給するレンジ圧供給部7と、第1の逆止弁151及び第3の作動油室20cの間の第3の油路g5,g6と、レンジ圧供給部7と、を接続する第4の油路g7と、第4の油路g7に介在され、レンジ圧供給部7から第3の油路g5,g6への後進レンジ圧PRを通過させると共に、反対方向の油圧を遮断する第2の逆止弁153と、を備え、後進レンジである場合に、第4の油路g4を介してカットオフバルブ20の第3の作動油室20cに後進レンジ圧(PR)を供給する。
【0103】
これにより、
図6に示す油圧制御部101では、後進レンジである場合に、レンジ圧供給部7から出力された後進レンジ圧PRは、油路g7,g6を介してカットオフバルブ20の第3の油室20cに供給される。これにより、後進レンジ時には、後進レンジ圧PRによってカットオフバルブを連通位置にロックすることができる。
【0104】
ここで、例えば、後進レンジ時にアクセルが大きく踏み込まれると、第1の係合圧PSL6、第3の係合圧PL、第2の係合圧PSL3が大きくなってしまい、第2の信号ソレノイドバルブSRからの第2の信号圧PSRではカットオフバルブ20のロック力が不十分になる可能性がある。これに対し、本油圧制御部101では、後進レンジ時に後進レンジ圧PRをカットオフバルブ20に供給することで、各係合圧の上昇に対応したロック力を得ることができるようになる。
【0105】
また、第1の逆止弁151を備えているので、後進レンジ圧PRがフェールセーフバルブ50を誤作動させてしまうことを防止できる。更に、第2の逆止弁153を備えているので、例えばNレンジ時や、前進レンジから後進レンジに切り換えた時のように後進レンジ圧PRが発生しない場合に、第2の信号ソレノイドバルブSRからの第2の信号圧PSRをカットオフバルブ20に供給するようにしてもレンジ圧供給部7からドレーンされてしまうことを防止できる。
【0106】
以上説明したように、本実施の形態の油圧制御部101によれば、PSL3及びPSL6が出力された際にカットオフバルブ20が第2ブレーキB2への油圧供給を遮断するようになっており、低速段で係合する第2ブレーキB2と、高速段で係合する第3クラッチC3とが同時係合することを抑制できるので、これら第2ブレーキB2及び第3クラッチC3が同時係合することで減速度が所定値を超えて大きくなってしまう状態を回避することができる。また、ギヤトレーンの特性(トルク分担や、トルク容量など)から減速度が大きくなってしまうパターンを特定し、第2ブレーキB2のみを遮断することで、減速度が大きくなってしまうパターンに対応できることを見出し、第2ブレーキB2への油圧供給油路にのみカットオフバルブを設けたため、複数の係合要素への油圧供給を遮断するために複数のカットオフバルブを設ける場合に比べて油圧制御部101を小型化することができる。このため、前進10速段を形成可能な自動変速機1のように係合要素が増加しても、各バルブ等の部品点数の増加や大型化を招くことなく設けることができるようになる。
【0107】
また、本実施の形態の油圧制御部101によれば、第2ブレーキB2は、入力トルクが大きい前進1速段及び後進1速段で共通する係合要素であるので、トルク容量が大きい第2ブレーキB2への油圧供給を遮断することで、減速度の発生を効果的に抑えることができるようになる。
【0108】
また、本実施の形態の油圧制御部101によれば、前進1速段又は後進1速段を形成する際には、第2ブレーキB2のみブレーキで他の係合要素は第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3といずれもクラッチである。ここで、第2ブレーキB2は、入力されるトルク容量が大きい前進1速段及び後進1速段にて反力要素となるため、第2ブレーキB2のトルク容量は大きくなる。そこで、この油圧制御部101によれば、そのトルク容量が大きくなる第2ブレーキB2への油圧供給を遮断することで、減速度の発生を効果的に抑制することができる。
【0109】
また、本実施の形態の油圧制御部101によれば、第2ブレーキB2は、第1の係合圧PSL6が給排される第1の係合油室76と第3の係合圧PLが給排される第2の係合油室77とを有するダブルチャンバ構造の係合油室を備えた係合要素で、第1の係合圧PSL6と第3の係合圧PLとの少なくとも一方が給排されることにより係脱可能であり、第1の信号圧PSC1を供給可能な第1の信号ソレノイドバルブSC1と、ライン圧PLを第3の係合圧として第2の係合油室77に供給可能な第1の状態と、ライン圧PLの第2の係合油室77への供給を遮断する第2の状態とに、第1の信号圧PSC1により切換可能な切換えバルブ10と、を備え、前進低速段(1st〜3rd)以外の少なくとも前進変速段、例えば前進高速段を形成する際には、切換えバルブ10を第2の状態とするように構成されている。
【0110】
このため、少なくとも前進高速段において、一方の作動油室への油圧供給を遮断するように構成しているため、仮に前進高速段で走行中にリニアソレノイドバルブSL6が油圧出力フェールを発生したとしても、第2ブレーキB2のトルク容量は、第2の係合油室77にも油圧を供給する場合に比べて小さくなる為、発生する減速度は小さくなる。従って、上述したカットオフバルブ20が第2ブレーキB2への第1の係合圧PSL6と第3クラッチC3への第2の係合圧PSL3とが同時に供給された場合に、第2ブレーキB2への油圧供給を遮断するように切り換わる構成と合わせて採用することで、低速段及び高速段での所定値以上の減速度の発生を、少ないバルブ構成で実現することができる。
【0111】
本実施の形態の自動変速機1の油圧制御部101では、カットオフバルブ20には、第1の係合圧PSL6及び第2の係合圧PSL3のいずれか一方に対抗する第1の対向圧PLを供給可能である。このため、第1の対向圧PLが供給されている場合は、第1の係合圧PSL6及び第2の係合圧PSL3の両方が供給されることでカットオフバルブ20のスプール20pが右半位置に移動するが、第1の係合圧PSL6及び第2の係合圧PSL3のいずれか一方のみの供給ではスプール20pは右半位置には移動できない。このため、第1の対向圧PLを供給することで、第2のブレーキB2を係合させることができるようになる。
【0112】
本実施の形態の自動変速機1の油圧制御部101では、第2ブレーキB2及び第3クラッチC3以外の3つの係合要素への係合圧が同時に供給された場合に、第1の対向圧PLのカットオフバルブ20への供給を遮断可能なリレーバルブ30を備えている。このため、第2ブレーキB2及び第3クラッチC3以外の3つの係合要素への係合圧が同時に供給された場合に第1の係合圧PSL6が供給されると、カットオフバルブ20のスプール20pが右半位置に移動して、第1の係合圧PSL6が遮断されるようになり、タイアップを防止できる。
【0113】
本実施の形態の自動変速機1の油圧制御部101では、第3クラッチC3と、他の3つの係合要素と、の4つの係合要素の同時係合により変速段が形成される場合に、リレーバルブ30に3つの係合要素への係合圧に対抗する第2の対向圧PLを供給可能な切換えバルブ10を備えている。このため、前進7速段のように4つのクラッチの同時係合による変速段の形成が可能になる。
【0114】
本実施の形態の自動変速機1の油圧制御部101では、第2ブレーキB2及び第3クラッチC3は後進段を形成する際に同時係合され、後進段の形成時に、カットオフバルブ20には第1の係合圧PSL6及び第2の係合圧PSL3に対抗する第3の対向圧PSRを供給可能なフェールセーフバルブ50を備えている。これにより、後進段を形成する際は、第2ブレーキB2及び第3クラッチC3を同時に係合可能になる。
【0115】
ここで、本実施の形態では、第3の対向圧をPSRとしているが、これには限られず、例えば後進レンジ圧PRを利用するようにしてもよい。
【0116】
本実施の形態の自動変速機1の油圧制御部101では、第2ブレーキB2は、第1の係合圧PSL6が給排されるインナーチャンバ76と第3の係合圧PLが給排されるアウターチャンバ77とを有し、第1の係合圧PSL6と第3の係合圧PLとの少なくとも一方が給排されることにより係脱可能であり、信号圧PSC1を供給可能な信号ソレノイドバルブSC1と、元圧を第3の係合圧PLとして第2の係合油室77に供給可能な第1の状態と、元圧の第2の係合油室77への供給を遮断する第2の状態とに、信号圧PSC1により切換可能な切換えバルブ10と、を備えている。また、この場合、切換えバルブ10は、第2の状態において、元圧を第2の対向圧PLとして出力するようになっている。これにより、第2の係合油室77への油圧供給と7速段の形成との同時発生を防止することができる。
【0117】
[第2の実施形態]
次に、本発明に係る第2の実施形態の自動変速機1の油圧制御部101の第1B2アプライコントロールバルブ62、第2B2アプライコントロールバルブ63、信号圧切換えバルブ64について、
図7に基づいて詳細に説明する。尚、油圧制御回
路の全体構成は第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明は省略する。
【0118】
第1B2アプライコントロールバルブ62は、スプール62pと、該スプール62pを図中上方側に付勢するスプリング62sとを備えていると共に、スプール62pの上方に第1の油室62aと、第1ポート62cと、第2ポート62dと、第3ポート62eと、第4ポート62fと、第5ポート62gと、第6ポート62hと、を備えている。
【0119】
第1の油室62aは、ソレノイドバルブSC1の出力ポートに連通され、ソレノイドバルブSC1からの信号圧が入力可能になっている。第1ポート62cは、リニアソレノイドバルブSL6の出力ポート及び第2ブレーキB2のインナーチャンバを係脱可能な油圧サーボ76に連通され、リニアソレノイドバルブSL6からの信号圧が入力可能になっている。第2ポート62dは、第2B2アプライコントロールバルブ63の後述する第5ポート63gに連通されている。第3ポート62e及び第4ポート62fは、第2ブレーキB2のアウターチャンバを係脱可能な油圧サーボ77に連通され、第4ポート62fから油圧サーボ77に油圧を供給可能になっている。第5ポート62gは、第2B2アプライコントロールバルブ63の後述する第2ポート63d及びリニアソレノイドバルブSL6の入力ポートに連通されている。第6ポート62hは、信号圧切換えバルブ64の後述する第5ポート64gに連通されている。
【0120】
スプール62pには、ソレノイドバルブSC1からの信号圧に対向してスプリング62sの付勢力が作用し、スプール62pが図中上方側の高速位置(左半位置)と図中下方側の低速位置(右半位置)とに制御される。これにより、第1の油室62aにソレノイドバルブSC1からの信号圧が入力された場合に、スプール62pはスプリング62sに抗して高速位置から低速位置に切り換わるようになっている。スプール62pが高速位置であると、第1ポート62cと第2ポート62dとが連通し、第3ポート62eが遮断され、第5ポート62gと第6ポート62hとが連通するようになっている。また、スプール62pが低速位置であると、第1ポート62cが遮断され、第2ポート62dと第3ポート62eとが連通し、第4ポート62fと第5ポート62gとが連通し、第6ポート62hが解放されるようになっている。
【0121】
第2B2アプライコントロールバルブ63は、スプール63pと、該スプール63pを図中上方側に付勢するスプリング63sとを備えていると共に、スプール63pの上方に第1の油室63aと、スプール63pの下方に第2の油室63bと、第1ポート63cと、第2ポート63dと、第3ポート63eと、第4ポート63fと、第5ポート63gと、第6ポート63hと、を備えている。
【0122】
第1の油室63aは、リニアソレノイドバルブSL3の出力ポートに連通され、リニアソレノイドバルブSL3から第3クラッチC3を係脱し得る油圧サーボ73への供給圧PSL3が入力可能になっている。第2の油室63bは、信号圧切換えバルブ64の後述する第4ポート64fに連通されている。第1ポート63cは、第4ポート63fに連通されている。第2ポート63dは、第1B2アプライコントロールバルブ62の第5ポート62g及びリニアソレノイドバルブSL6の入力ポートに連通されている。第3ポート63eは、ライン圧PLが入力されている。第5ポート63gは、第1B2アプライコントロールバルブ62の第2ポート62dに連通されている。第6ポート63hは、ソレノイドバルブSRの出力ポートに連通され、変速段がRevである際にソレノイドバルブSRからの信号圧が入力可能になっている。
【0123】
スプール63pには、リニアソレノイドバルブSL3からの信号圧に対向してスプリング63sの付勢力が作用し、スプール63pが図中上方側の正常位置(左半位置)と図中下方側の遮断位置(右半位置)とに制御される。スプール63pが正常位置であると、第2ポート63dと第3ポート63eとが連通し、第4ポート63fと第5ポート63gとが連通するようになっている。また、スプール63pが遮断位置であると、第2ポート63dが解放され、第3ポート63eと第4ポート63fとが連通し、第5ポート63gが遮断されるようになっている。
【0124】
スプール63pは、上方から順に、小径ランド部63paと、中径ランド部63pbとを備えている。これら小径ランド部63pa及び中径ランド部63pbの間には、第1ポート63cが連通している。第2の油室63bでのスプール63pの径は、小径ランド部63paの径と同等に設定されている。これにより、第2の油室63bにロック圧が供給される場合は、第1の油室63aに供給油圧が供給されることで互いにキャンセルされ、その時に第1ポート63cに供給油圧が入力された場合に、スプール63pはスプリング63sに抗して正常位置から遮断位置に切り換わるようになっている。また、第2の油室63bへのロック圧の供給が遮断されると共に第1ポート63cに供給油圧が入力された場合にも、スプール63pはスプリング63sに抗して正常位置から遮断位置に切り換わるようになっている。
【0125】
信号圧切換えバルブ64は、スプール64pと、該スプール64pを図中上方側に付勢するスプリング64sとを備えていると共に、スプール64pの上方に第1の油室64aと、スプール64pの下方に第2の油室64bと、第1ポート64cと、第2ポート64dと、第3ポート64eと、第4ポート64fと、第5ポート64gと、を備えている。
【0126】
第1の油室64aは、リニアソレノイドバルブSL1の出力ポートに連通され、リニアソレノイドバルブSL1から第1クラッチC1を係脱し得る油圧サーボ71への供給圧PSL1が入力可能になっている。第2の油室64bは、ライン圧PLが入力されている。第1ポート64cは、リニアソレノイドバルブSL2の出力ポートに連通され、リニアソレノイドバルブSL2から第2クラッチC2を係脱し得る油圧サーボ72への供給圧PSL2が入力可能になっている。第2ポート64dは、三方弁65(
図4参照)を介して、リニアソレノイドバルブSL4及びリニアソレノイドバルブSL5の各出力ポートに連通され、リニアソレノイドバルブSL4から第4クラッチC4を係脱し得る油圧サーボ74への供給圧PSL4、又はリニアソレノイドバルブSL5から第1ブレーキB1を係脱し得る油圧サーボ75への供給圧PSL5のいずれか高圧の方が入力可能になっている。第3ポート64eは、ライン圧PLが入力されている。第4ポート64fは、第2B2アプライコントロールバルブ63の第2の油室63bに連通されている。第5ポート64gは、第1B2アプライコントロールバルブ62の第6ポート62hに連通されている。
【0127】
スプール64pには、供給圧PSL1,PSL2と、供給圧PSL4又は供給圧PSL5とに対向してスプリング64sの付勢力が作用し、スプール64pが図中上方側の正常位置(左半位置)と図中下方側のフェール位置(右半位置)とに制御される。スプール64pが正常位置であると、第3ポート64eと第4ポート64fとが連通するようになっている。また、スプール64pがフェール位置であると、第3ポート64eが遮断され、第4ポート64fが解放され、第5ポート64gが遮断されるようになっている。
【0128】
スプール64pは、上方から順に、小径ランド部64paと、中径ランド部64pbと、大径ランド部64pcとを備えている。これらの面積比は、小径ランド部64pa:中径ランド部64pb:大径ランド部64pc=1/3:2/3:1となっている。小径ランド部64pa及び中径ランド部64pbの間には、第1ポート64cが連通している。中径ランド部64pb及び大径ランド部64pcの間には、第2ポート64dが連通している。また、第2の油室64bでのスプール64pの径は、中径ランド部64pbの径と同等に設定されている。これにより、第1の油室64a、第1ポート64c、第2ポート64dの全てに供給油圧が入力された場合には、第2の油室64bにロック圧として作用するライン圧PLに打ち勝って、スプール64pはスプリング64sに抗して正常位置からフェール位置に切り換わるようになっている。
【0129】
次に、本実施の形態に係る自動変速機1の油圧制御部101の第1B2アプライコントロールバルブ62、第2B2アプライコントロールバルブ63、信号圧切換えバルブ64の動作について、詳細に説明する。
【0130】
第1B2アプライコントロールバルブ62、第2B2アプライコントロールバルブ63、信号圧切換えバルブ64がいずれも正常位置にある時に、例えば前進1速段に設定された場合、リニアソレノイドバルブSL1、リニアソレノイドバルブSL2、リニアソレノイドバルブSL6、ソレノイドバルブSC1が作動する。これにより、信号圧切換えバルブ64では、第1の油室64a及び第1ポート64cに供給油圧が入力されるが、第2の油室64bからの押圧力を上回ることはできず、スプール64pは正常位置に維持される。このため、第3ポート64eに入力されたライン圧PLは、第4ポート64fから出力され、第2B2アプライコントロールバルブ63の第2の油室63bでロック圧として作用する。
【0131】
第1B2アプライコントロールバルブ62では、ソレノイドバルブSC1からの信号圧により、スプール62pがスプリング62sに抗して低速位置に切り換わる。これにより、第2B2アプライコントロールバルブ63の第3ポート63eに入力されたライン圧PLは、第2ポート63dからリニアソレノイドバルブSL6を経て、第2ブレーキB2のインナーチャンバの油圧サーボ76に供給される。また、ライン圧PLは、第2ポート63dから第1B2アプライコントロールバルブ62の第5ポート62g及び第4ポート62fを経て、第2ブレーキB2のアウターチャンバの油圧サーボ77に供給される。よって、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第2ブレーキB2が同時係合し、前進1速段が形成される。
【0132】
尚、ライン圧PLは、第2B2アプライコントロールバルブ63の第2ポート63dから第1B2アプライコントロールバルブ62の第5ポート62g及び第4ポート62fを経て、第3ポート62e及び第2ポート62dを経て、第2B2アプライコントロールバルブ63の第5ポート63g及び第4ポート63fを経て、第1ポート63cに供給される。これにより、小径ランド部63paと中径ランド部63pbとの面積差により、スプール63pには下方への付勢力が発生するが、第2の油室63bにロック圧が作用しているため、スプール63pは正常位置に維持される。
【0133】
ここで、第1及び第2B2アプライコントロールバルブが動作する一例を説明する。前進1速段から前進2速段に変速する場合は、第2クラッチC2を解放して第1ブレーキB1を係合する。しかしながら、リニアソレノイドバルブSL2のバルブスティック等の理由で第2クラッチC2を解放できないまま第1ブレーキB1を係合してしまうと、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2の4つの係合要素が同時係合してしまい、これは所定の減速度を超えてしまう組み合わせになってしまう。このため、このような同時係合を避けるため、第2ブレーキB2への油圧供給を遮断するようにしている。
【0134】
この場合、前進2速段に変速された時に、リニアソレノイドバルブSL1、リニアソレノイドバルブSL5、リニアソレノイドバルブSL6、ソレノイドバルブSC1が作動する。ここで、リニアソレノイドバルブSL2がオンフェール(油圧を出力してしまうフェール)を生じていると、信号圧切換えバルブ64では、第1の油室64a、第1ポート64c、第2ポート64dに供給油圧が入力されるので、第2の油室64bからの押圧力を上回り、スプール64pはスプリング64s及び押圧力に抗してフェール位置に切り換わる。このため、第4ポート64fに連通された第2B2アプライコントロールバルブ63の第2の油室63bのロック圧は、解放される。
【0135】
この状態で、第2B2アプライコントロールバルブ63では、ライン圧PLが第1ポート63cに供給され、小径ランド部63paと中径ランド部63pbとの面積差から下方への付勢力が発生し、第2の油室63bのロック圧が解放されていることから、スプール63pはスプリング63sに抗して遮断位置に切り換わる。これにより、第3ポート63eと第2ポート63dとが遮断されるので、第3ポート63eに入力されたライン圧PLはリニアソレノイドバルブSL6に供給されなくなり、第2ブレーキB2の各油圧サーボ76,77への供給油圧が遮断され、第2ブレーキB2が解放される。これにより、万一、第2クラッチC2を解放できなくても、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2の4つの係合要素が同時係合することはなく、減速度が所定値を超えてしまうことを抑制できる。その後、他の変速段を選択する等、適宜な処理を行うようにする。
【0136】
以上説明したように、本実施の形態の油圧制御部101によれば、変速時に車両の減速度が所定値を超える係合の組み合わせになる場合に、第1B2アプライコントロールバルブ62、第2B2アプライコントロールバルブ63、信号圧切換えバルブ64が第2ブレーキB2への油圧供給を遮断するようになっているので、複数の係合要素への油圧供給を遮断するために複数のカットオフバルブを設ける場合に比べて油圧制御部101を小型化することができる。このため、前進10速段を形成可能な自動変速機1のように係合要素が増加しても、各バルブ62,63,64を部品点数の増加や大型化を招くことなく設けることができるようになる。