特許第6206509号(P6206509)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン・エィ・ダブリュ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6206509-自動変速機の油圧制御装置 図000002
  • 特許6206509-自動変速機の油圧制御装置 図000003
  • 特許6206509-自動変速機の油圧制御装置 図000004
  • 特許6206509-自動変速機の油圧制御装置 図000005
  • 特許6206509-自動変速機の油圧制御装置 図000006
  • 特許6206509-自動変速機の油圧制御装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206509
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】自動変速機の油圧制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/00 20060101AFI20170925BHJP
   F16H 63/34 20060101ALI20170925BHJP
   F16H 61/28 20060101ALI20170925BHJP
   F16H 61/12 20100101ALI20170925BHJP
   F16H 61/22 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   F16H61/00
   F16H63/34
   F16H61/28
   F16H61/12
   F16H61/22
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-559111(P2015-559111)
(86)(22)【出願日】2015年1月22日
(86)【国際出願番号】JP2015051721
(87)【国際公開番号】WO2015111667
(87)【国際公開日】20150730
【審査請求日】2016年6月15日
(31)【優先権主張番号】特願2014-10407(P2014-10407)
(32)【優先日】2014年1月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082337
【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141508
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 隆史
(72)【発明者】
【氏名】市川 真也
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 一輝
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 芳充
(72)【発明者】
【氏名】牧野 浩二
(72)【発明者】
【氏名】土田 建一
【審査官】 高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−068588(JP,A)
【文献】 特開平09−280349(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0227595(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0093490(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 61/00
F16H 61/12
F16H 61/22
F16H 61/28
F16H 63/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーキング機構に接続され、パーキング側及びパーキング解除側を有し、パーキング側となるように配置された付勢手段を有するパーキングサーボと、
油圧発生源の油圧に基づいた元圧が供給される第1入力ポートと、第1出力ポートと、第1位置と第2位置との間で移動可能で、前記第1入力ポートと前記第1出力ポートとの間の連通を選択的に許可する第1スプールとを有する第1バルブと、
前記第1バルブの下流と連通する第2入力ポートと、前記パーキングサーボの前記パーキング解除側に連通する第2出力ポートと、第3位置第4位置との間で移動可能で、前記第3位置のときに前記第2入力ポートと前記第2出力ポートの連通を許可し、前記第4位置のときに前記第2入力ポートと前記第2出力ポートの連通を禁止する第2スプールとを有する第2バルブと、を備えた、
ことを特徴とする自動変速機の油圧制御装置。
【請求項2】
前記第1スプール及び前記第2スプールを選択的に移動させるために、前記第1バルブ及び前記第2バルブと連通するソレノイドバルブを備えた、
ことを特徴とする、請求項1に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項3】
前記ソレノイドバルブは、ノーマルクローズタイプである、
ことを特徴とする、請求項2に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項4】
前記パーキングサーボの前記パーキング解除側に油圧が供給され、前記パーキングサーボが前記パーキング解除側である場合に、前記パーキングサーボを前記パーキング解除側に固定及び前記固定の解除を切り替え可能なロックソレノイドを備えた、
ことを特徴とする、請求項1ないし3のうちの何れか1項に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項5】
前記元圧が供給されることでパーキング解除状態とされ、前記元圧が供給されないときにはパーキング状態とされるパーキング装置への前記元圧の供給及び非供給を切り換えるレンジ切換え装置を備え、
前記レンジ切換え装置は、前記元圧を調圧して制御圧を出力するソレノイドバルブと、パーキング切換えバルブと、を有し、
前記パーキング切換えバルブは、前記第1バルブと、前記第2バルブとを有し、
前記第1バルブは、前記第1位置及び前記第2位置に移動可能な前記第1スプールと、前記元圧が供給される前記第1入力ポートと、前記第1スプールの前記第1位置にて前記第1入力ポートとの連通が遮断され、かつ前記第2位置にて前記第1入力ポートと連通する前記第1出力ポートと、を有し、
前記第2バルブは、前記第3位置及び前記第4位置に移動可能な前記第2スプールと、前記第1出力ポートと連通する前記第2入力ポートと、前記パーキング装置と連通すると共に、前記第2スプールの前記第3位置にて前記第2入力ポートと連通し、かつ前記第4位置にて前記第2入力ポートとの連通が遮断される前記第2出力ポートと、前記第2スプールを前記元圧によって前記第4位置方向に付勢させるために、前記第1出力ポートと連通して、当該元圧が入力される第3入力ポートと、を有し、
前記パーキング切換えバルブは、前記第1スプールの一端側に配置され、当該第1スプールを前記第1位置に付勢する付勢部材と、前記第1スプールの他端側及び前記第2スプールの一端側に前記ソレノイドバルブから出力された前記制御圧を作用させるために、当該制御圧が入力される制御ポートと、を更に有し、
前記制御圧が前記制御ポートに入力され、前記第1スプールの他端側及び前記第2スプールの一端側に当該制御圧が作用した際に、前記第1スプールが前記付勢部材の付勢力に抗して前記第2位置となると共に、前記第2スプールが前記第3位置となり、前記第2出力ポートを介して前記パーキング装置に前記元圧が供給され、
前記制御圧が前記制御ポートに入力されず、且つ、前記第1スプールが前記第2位置で固着した場合には、前記第3入力ポートに供給された前記元圧により前記第2スプールが前記第4位置となることで、前記パーキング装置への前記元圧の供給を遮断するように構成されている、
ことを特徴とする、請求項1ないし4のうちの何れか1項に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項6】
前記第2スプールは、一端側から順に第1ランド部、第2ランド部、第3ランド部を有し、前記第3入力ポートに入力された前記元圧が作用する前記第3ランド部の一端面の受圧面積が、当該元圧が作用する前記第2ランド部の他端面の受圧面積よりも小さく、且つ、当該第2ランド部の他端面の受圧面積と当該第3ランド部の一端面の受圧面積の差分の受圧面積が、前記制御ポートに入力された前記制御圧が作用する前記第1ランド部の一端面の受圧面積よりも小さくなるように構成されている、
ことを特徴とする、請求項5に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項7】
前記第1スプール及び前記第2スプールは、前記第1スプールの他端部と前記第2スプールの一端部との少なくとも一方に突部を有することで、前記第1スプールの他端部と前記第2スプールの一端部とが当接したときに、前記第1スプールの他端面と前記第2スプールの一端面との間に隙間を形成し、
前記制御ポートに供給される前記制御圧を、前記隙間を介して前記第1スプールの他端面及び前記第2スプールの一端面に作用させる、
ことを特徴とする、請求項5又は6に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項8】
前記制御ポートは、前記第1スプールが前記第1位置に前記第2スプールが前記第3位置にそれぞれあるときに形成される前記隙間と対向する位置、及び、前記第1スプールが前記第2位置に前記第2スプールが前記第4位置にそれぞれあるときに形成される前記隙間と対向する位置の2個所に設けられている、
ことを特徴とする、請求項7に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項9】
前記第1スプールが前記第2位置で固着し、且つ、前記制御圧が前記制御ポートに入力された場合には、前記制御ポートに供給された前記制御圧により前記第2スプールが前記第3位置となり、前記第2出力ポートを介して前記パーキング装置に前記元圧が供給されるように構成されている、
ことを特徴とする請求項5ないし請求項8のいずれか1項に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この技術は、自動変速機の油圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動変速機の油圧制御装置は、レンジ切換え装置を備える。従来、シフトバイワイヤ方式のレンジ切換え装置として、運転者のレンジ切り換え操作を電気信号によってソレノイドバルブに伝達し、該ソレノイドバルブを操作することによりレンジ切換えバルブを切換えるものがある。
【0003】
このようなレンジ切換え装置としては、パーキング装置に油圧が供給されることでパーキング解除状態となり、油圧が供給されないときにはパーキング状態となるパーキング切換えバルブを備えたものが提案されている(特許文献1参照、原出願時未公開)。この特許文献1に記載された装置の場合、例えば、パーキング解除状態からパーキング状態へと切り換える途中でバルブスティックしても、パーキング装置に供給する油圧が入力される入力ポートと、入力された油圧がパーキング装置に出力される出力ポートと、を油圧がドレーンされる排出ポートに連通することで、パーキング装置への油圧の供給を遮断して、パーキング装置をパーキング解除状態からパーキング状態へと切り換えられるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−196771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に示すレンジ切換え装置においては、パーキング解除状態からパーキング状態へと切り換える途中でバルブスティックした場合には、パーキング装置をパーキング解除状態からパーキング状態へ切り換えられるものの、排出ポートに連通する以前にバルブスティックした場合には、パーキング装置をパーキング解除状態からパーキング状態に切り換えられない。
【0006】
そして、上述の特許文献1に示すレンジ切換え装置においては、レンジ切換え装置を動作させるために2個のソレノイドバルブを用いており、装置を小型化することが難しい構成である
【課題を解決するための手段】
【0007】
本自動変速機の油圧制御装置(100)は(例えば、図1ないし図4参照)、パーキング機構(101)に接続され、パーキング側及びパーキング解除側を有し、パーキング側となるように配置された付勢手段(15)を有するパーキングサーボ(102)と、
油圧発生源と連通する第1入力ポート(a1)と、第1出力ポート(b1)と、第1位置と第2位置との間で移動可能で、前記第1入力ポート(a1)と前記第1出力ポート(b1)との間の連通を選択的に許可する第1スプール(3)とを有する第1バルブ(103)と、
前記第1バルブ(103)の下流と連通する第2入力ポート(a2)と、前記パーキングサーボ(102)の前記パーキング解除側に連通する第2出力ポート(b2)と、第3位置第4位置との間で移動可能で、前記第3位置のときに前記第2入力ポート(a2)と前記第2出力ポート(b2)の連通を許可し、前記第4位置のときに前記第2入力ポート(a2)と前記第2出力ポート(b2)の連通を禁止する第2スプール(4)とを有する第2バルブ(104)と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る自動変速機の油圧制御装置を示す模式図。
図2】本実施形態に係るレンジ切換え装置のパーキング状態を示す回路図。
図3】本実施形態に係るレンジ切換え装置のパーキング解除状態を示す回路図。
図4】本実施形態に係るレンジ切換え装置で、第1スプールがスティックした場合にパーキング状態に切り換わった状態を示す回路図。
図5】本実施形態に係るレンジ切換え装置で、(a)Dレンジ圧を、(b)Rレンジ圧を、(c)パーキング保持圧をそれぞれ出力する状態を示す回路図。
図6図5に示す第1ソレノイドバルブRS1及び第2ソレノイドバルブRS2の作動表を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態を図1ないし図6に基づいて説明する。
【0011】
本レンジ切換え装置1は、車輌に搭載される自動変速機(例えば多段自動変速機や無段変速機(CVT))、更にはハイブリッド駆動装置等に組み込まれている。レンジ切換え装置1は、後述する第1、第2、第3ソレノイドバルブRS1、RS2、RS3と、第1ソレノイドバルブRS1によって切り換えられる第1切換えバルブ6と、第2ソレノイドバルブRS2によって切り換えられる第2切換えバルブ7と、第3ソレノイドバルブRS3によって切り換えられるパーキング切換えバルブ2とによって構成されている。そして、運転者によってパーキング(P)レンジ、ニュートラル(N)レンジ、ドライブ(D)レンジ及びリバース(R)レンジ等が選択されるシフトレバー(不図示)からのシフト信号に基づいて制御信号を発生させる制御部(不図示)からの制御信号に基づいて、第1、第2、第3ソレノイドバルブRS1、RS2、RS3が制御される。
【0012】
第1、第2、第3ソレノイドバルブRS1、RS2、RS3と、第1切換えバルブ6と、第2切換えバルブ7と、パーキング切換えバルブ2とは、図1に示す自動変速機のバルブボディ21内に配設されている。さらに、同図に示すように、レンジ切換え装置1には、パーキング装置10が接続されている。本実施形態では、レンジ切換装置1、パーキング装置10などにより自動変速機の油圧制御装置(100)を構成している。なお、本実施形態に係るレンジ切換え装置1においては、上記説明したシフト信号及び制御信号が、電気信号を介して行われるシフトバイワイヤ方式によるものであり、従ってシフトレバーによってレンジの選択を行うように説明したが、例えばボタン操作によってレンジの選択を行うように構成することもできる。
【0013】
パーキング装置10は、大まかにパーキングシリンダ11、パーキングロッド12、サポート16、パーキングポール17、パーキングギヤ20を備えている。上記パーキングシリンダ11は、上記バルブボディ21に接続されており、パーキングロッド12が、その基端側において、軸方向に移動自在となるようにパーキングシリンダ11に貫通配置されている。該パーキングロッド12は、その先端側において軸方向移動自在となるように遊嵌された円錐状のウエッジ13を備えており、該パーキングロッド12に固定された鍔部14と該ウエッジ13との間には、付勢手段としてのスプリング15が配置されている。上記サポート16は、該パーキングロッド12の先端側の下方に配置されており、パーキングポール17との間にウエッジ13が挿脱されるように配置されている。パーキングポール17は、基端側の軸18を中心に略々上下方向に揺動自在に配置されており、中間部分の上方側には、自動変速機の出力軸(不図示)に固定されたパーキングギヤ20に対して係脱可能な爪部19が突設されている。なお、パーキング装置10は、パーキング機構101と、パーキングサーボ102とを備える。パーキング機構101は、サポート16、パーキングポール17、パーキングギヤ20により構成される。パーキングサーボ102は、パーキングシリンダ11、パーキングロッド12、ウエッジ13、鍔部14、スプリング15により構成される。
【0014】
以上の構成によりパーキング装置10は、エンジン(不図示)により駆動される油圧発生源としてのオイルポンプ(不図示)に基づいたライン圧(元圧)がパーキングシリンダ11に作用すると、パーキングロッド12がスプリング15の付勢力に抗して該パーキングシリンダ11側に移動し、ウエッジ13をサポート16とパーキングポール17との間から離脱させ、該パーキングポール17を下方側に揺動して爪部19をパーキングギヤ20との噛合いから外すことによりパーキング解除状態(パーキング解除側)となるように構成されている。また、パーキングシリンダ11に作用するライン圧を抜くと、パーキングロッド12がスプリング15の付勢力によりパーキングポール17側に移動し、ウエッジ13がサポート16とパーキングポール17との間に挿入され、該パーキングポール17を上方側に揺動して爪部19をパーキングギヤ20と噛合わせることによりパーキング状態(パーキング側)となるように構成されている。
【0015】
また、本実施形態の場合、パーキング装置10を電気的にパーキング解除状態にロック可能なロック機構23を有する。ロック機構23は、パーキングロッド12の基端側に配置され、ロック用のソレノイド(ロックソレノイド)24を有する。そして、通電によりソレノイド24を駆動して、パーキング解除状態の位置にあるパーキングロッド12の位置を固定(ロック)したり、この固定を解除したりするようにしている。即ち、ソレノイド24は、パーキングサーボ102のパーキング解除側に油圧が供給され、パーキングサーボ102がパーキング解除側である場合に、パーキングサーボ102をパーキング解除側に固定及びこの固定の解除を切り替え可能である。これにより、パーキングシリンダ11から油圧が抜けてもパーキング解除状態を保持できる。また、当該ソレノイド24は、ソレノイド24への通電を停止すれば、通電を停止した状態を維持するように構成されている。即ち、ソレノイド24に通電することで当該ソレノイド24のプランジャを、パーキングロッド12を固定する位置又は固定を解除する位置に移動させ、通電を停止した状態ではプランジャがその位置に保持される。従って、例えば電源からの配線が断線した、所謂オールオフフェールの場合には、オールオフとなった際のパーキング装置の状態が維持されることとなるため、Dレンジ又はRレンジでの走行状態でオールオフとなった場合にはパーキング解除状態を維持して、Nレンジで惰性走行又はDレンジ又はRレンジで走行を継続させることが可能となると共に、Pレンジで駐車中にオールオフとなった場合にはパーキング機構のパーキング状態を維持することとなり、車両のパーキング状態を維持することが可能となる。本実施形態のパーキング装置10及びレンジ切換え装置1は、ハイブリッド車輌に搭載されるため、エンジンを停止して走行している場合には、パーキングシリンダ11に油圧が供給されなくなる。このため、このような走行状態では、ソレノイド24を駆動してパーキングロッド12の位置を固定することで、パーキングシリンダ11に油圧が供給されなくてもパーキング装置10をパーキング解除状態に保持するようにしている。
【0016】
レンジ切換え装置1は、上述のようなパーキング装置10へのライン圧の供給及び非供給を切り換えるもので、図2ないし図4に示すように、第3ソレノイドバルブRS3と、パーキング切換えバルブ2と、図5に示すように、パーキング(P)レンジ、ニュートラル(N)レンジ、ドライブ(D)レンジ及びリバース(R)レンジを切り換えるための、第1切換えバルブ6及び第2切換えバルブ7と、第1ソレノイドバルブRS1及び第2ソレノイドバルブRS2とを備えている。第1、第2、第3ソレノイドバルブRS1、RS2、RS3は、ライン圧(元圧)Pからなる供給圧が供給され、運転者のレバー操作又はボタン操作等の操作に基づく不図示の制御部からの電気信号が入力される。
【0017】
第1、第2、第3ソレノイドバルブRS1、RS2、RS3は、ライン圧を調圧して制御圧を出力する。このうちの第1、第2ソレノイドバルブRS1、RS2は、図6に示す作動表のように動作することで、図5に示すように各レンジの切り換えを行う。まず、運転者がDレンジに操作した場合、第1ソレノイドバルブRS1及び第2ソレノイドバルブRS2がそれぞれOFFとなることで、第1切換えバルブ6及び第2切換えバルブ7が図5(a)に示すように切り換わり、Dレンジ圧(D圧)が出力される。また、運転者がRレンジに操作した場合、第1ソレノイドバルブRS1及び第2ソレノイドバルブRS2がそれぞれONとなることで、第1切換えバルブ6及び第2切換えバルブ7が図5(b)に示すように切り換わり、Rレンジ圧(R圧)が出力される。
【0018】
更に、運転者がPレンジに操作した場合、第1ソレノイドバルブRS1がON、第2ソレノイドバルブRS2がOFFとなることで、第1切換えバルブ6及び第2切換えバルブ7が図5(c)に示すように切り換わり、パーキング保持圧が出力され、このパーキング保持圧は、後述するパーキング切換えバルブ2の入力ポートdに送られる。なお、運転者がNレンジに操作した場合、第1ソレノイドバルブRS1がOFF、第2ソレノイドバルブRS2がONとなることで、Nレンジが実現され、D圧、R圧、パーキング保持圧の何れも出力されない。また、第1ソレノイドバルブRS1は、通電が遮断されたときに制御圧を出力しない、所謂ノーマルクローズからなり、第2ソレノイドバルブRS2は、通電が遮断されたときに制御圧を出力する、所謂ノーマルオープンからなる。このため、例えば断線などにより第1ソレノイドバルブRS1及び第2ソレノイドバルブRS2への通電が遮断された(オフフェールした)場合には、Nレンジとなる。また、第3ソレノイドバルブRS3は、通電が遮断されたときに制御圧を出力しない、所謂ノーマルクローズタイプからなる。
【0019】
パーキング切換えバルブ2は、第3ソレノイドバルブRS3が制御圧を出力したときに、ライン圧をパーキング装置10に供給し、制御圧が出力されないときにはライン圧をパーキング装置10に供給しないように構成される。このためにパーキング切換えバルブ2は、第1スプール3及び第2スプール4、付勢部材としてのスプリング5を有している。また、パーキング切換えバルブ2は、第1入力ポートa1、第1出力ポートb1、第2入力ポートa2、第2出力ポートb2、第3入力ポートa3、2個所の制御ポートである第1制御ポートc1及び第2制御ポートc2を有しており、更に、複数のドレーンポートEX1、EX2、EX3を有している。なお、本実施形態では、第1入力ポートa1、第1出力ポートb1、第1スプール3などにより第1バルブ103を、第2入力ポートa2、第2出力ポートb2、第2スプール4などにより第2バルブ104を、それぞれ構成し、第1バルブ103と第2バルブ104とでパーキング切換えバルブ2を構成している。そして、第3ソレノイドバルブRS3は、後述するように、第1スプール3及び第2スプール4を選択的に移動させるために、第1バルブ103及び第2バルブ104と連通する。
【0020】
第1スプール3は、図2に示す位置である第1の位置及び図3、4に示す位置である第2位置に移動可能であり、一端側から順に2個の同径のランド部31、32を有すると共に、これらランド部31、32の間にこれらランド部31、32よりも小径のくびれ部33を有している。そして、ランド部31、32の間に油室34を形成している。また、第1スプール3の第2スプール4と対向する他端部には、ランド部32よりも小径の突部35が他端側(第2スプール側)に突出するように設けられている。
【0021】
第2スプール4は、第1スプール3の他端側に、第1スプール3と同軸上に隣接して配置され、第1スプール3が第1位置にあるときには図2、3に示す第3位置にあり、第1スプール3が第2位置にあるときには第3位置及び図4に示す第4位置に移動可能である。また、第2スプール4は、2個の同径の大径ランド部41(第1ランド部)、42(第2ランド部)及び大径ランド部41、42よりも小径の1個の小径ランド部43(第3ランド部)を一端側(第1スプール3側)から順に有している。大径ランド部41、42は、第1スプール3のランド部31、32と同径としている。また、大径ランド部41、42の間には、これら大径ランド部41、42よりも小径のくびれ部44を、軸方向の一部である大径ランド部42と小径ランド部43との間には、この一部の軸方向両側部分である大径ランド部42及び小径ランド部43よりも外径が小さい小径部45をそれぞれ有している。そして、大径ランド部41、42の間に油室46を、大径ランド部42と小径ランド部43との間に油室47をそれぞれ形成している。また、第2スプール4の第1スプール3と対向する一端部には、大径ランド部41よりも小径の突部48が第1スプール側に突出するように設けられている。
【0022】
スプリング5は、第1スプール3の一端側(第2スプール4とは反対側)に縮設され、第1スプール3を第1位置(Y1方向)に付勢するようにしている。また、スプリング5は、後述するように制御圧が第1スプール3に作用した場合に第1スプール3が第2位置に移動可能となる弾性力としている。なお、本実施形態の場合、第1スプール3の第2スプール4と反対側には、上述したように、第1切換えバルブ6及び第2切換えバルブ7から出力されるパーキング保持圧が作用する入力ポートdを設け、Pレンジの場合に出力されるパーキング保持圧により第1スプール3を第1位置に、また第2スプール4を第3位置にそれぞれ保持させるようにしている。
【0023】
第1入力ポートa1は、ライン圧Pが供給される。第1出力ポートb1は、第1スプール3の第1位置にて第1入力ポートa1との連通が遮断され、かつ第2位置にて第1入力ポートa1と連通する。即ち、第1スプール3が第1位置に移動することで、図2に示すように、ランド部31が第1入力ポートa1を閉塞し、第1入力ポートa1から第1出力ポートb1へのライン圧Pの供給が遮断される。このとき、くびれ部33が第1出力ポートb1及びドレーンポートEX1に対向し、第1出力ポートb1が油室34を介してドレーンポートEX1と連通することで、第1出力ポートb1内の油がドレーンされる。一方、第1スプール3が第2位置に移動することで、図3に示すように、くびれ部33が第1入力ポートa1及び第1出力ポートb1に対向し、第1入力ポートa1が油室34を介して第1出力ポートb1と連通する。このとき、ランド部32がドレーンポートEX1を閉塞し、第1出力ポートb1とドレーンポートEX1との連通が遮断される。言い換えれば、第1スプール3は、第1入力ポートa1と第1出力ポートb1との間の連通を選択的に許可する。
【0024】
第2入力ポートa2は、第1出力ポートb1と連通し、第1出力ポートb1を介してライン圧Pが供給される。即ち、第2入力ポートa2は、第1バルブ103の下流と連通する。したがって、上述のように、第1スプール3が第1位置にある場合には、第1入力ポートa1と第1出力ポートb1との連通が遮断されるため、第2入力ポートa2にはライン圧Pが供給されず、第1スプール3が第2位置にある場合には、第1入力ポートa1と第1出力ポートb1とが連通するため、第2入力ポートa2にライン圧Pが供給される。
【0025】
第2出力ポートb2は、パーキング装置10のパーキングシリンダ11と連通する。即ち、第2出力ポートb2は、パーキングサーボ102のパーキング解除側に連通する。これと共に、第2出力ポートb2は、第2スプール4の第3位置にて第2入力ポートa2と連通し、かつ第4位置にて第2入力ポートa2との連通が遮断される。即ち、第2スプール4が第3位置に移動することで、図2に示すように、くびれ部44が第2入力ポートa2及び第2出力ポートb2に対向し、第2入力ポートa2が油室46を介して第2出力ポートb2と連通する。このとき、大径ランド部41がドレーンポートEX2を閉塞し、第2出力ポートb2とドレーンポートEX2との連通が遮断される。また、小径ランド部43の端部側には、ドレーンポートEX3があり、第2スプール4を第3位置に円滑に移動可能としている。なお、小径ランド部43の端部側には油圧は作用しない。
【0026】
一方、第2スプール4が第4位置に移動することで、図4に示すように、大径ランド部42が第2入力ポートa2と第2出力ポートb2との間に位置し、第2入力ポートa2から第2出力ポートb2へのライン圧Pの供給が遮断される。このとき、くびれ部44が第2出力ポートb2及びドレーンポートEX2に対向し、第2出力ポートb2が油室46を介してドレーンポートEX2と連通することで、第2出力ポートb2内の油がドレーンされる。言い換えれば、第2スプール4は、第3位置第4位置との間で移動可能で、第3位置のときに第2入力ポートa2と第2出力ポートb2の連通を許可し、第4位置のときに第2入力ポートa2と第2出力ポートb2の連通を禁止する。
【0027】
なお、第2スプール4が第4位置に移動した場合、小径ランド部43が第2入力ポートa2と次述する第3入力ポートa3との間に位置するため、第2入力ポートa2と第3入力ポートa3とが連通する。但し、この場合でも、小径ランド部43が第3入力ポートa3とドレーンポートEX3との連通を遮断したままとしているため、第2スプール4が第4位置に移動しても、第2入力ポートa2及び第3入力ポートa3に供給されるライン圧PがドレーンポートEX3に抜けることを防止できる。
【0028】
第3入力ポートa3は、第1出力ポートb1と連通し、第1出力ポートb1を介して供給されたライン圧Pが入力される。そして、第3入力ポートa3に入力されたライン圧Pが、第2スプール4に対して作用する。即ち、第2スプール4が第3位置にあるとき、図3に示すように、油室47が第3入力ポートa3と対向し、第3入力ポートa3に第1出力ポートb1を介して供給されたライン圧Pが第2スプール4に作用する。なお、第2スプール4が第4位置にあるとき、図4に示すように、油室47が第2入力ポートa2と対向する。したがって、この位置では、第2スプール4に第2入力ポートa2及び第3入力ポートa3から供給されるライン圧Pが作用する。ここで、油室47の軸方向両側に存在する大径ランド部42と小径ランド部43とは外径が異なり、径が大きい大径ランド部42の他端面の方が小径ランド部43の一端面よりもライン圧Pが作用する面積(受圧面積)が大きい。このため、油室47にライン圧Pが供給されることで、小径ランド部43よりも大径ランド部42に大きな圧力が作用することになり、第2スプール4は第1スプール3側(Y2方向)に付勢される。
【0029】
第1制御ポートc1及び第2制御ポートc2は、第3ソレノイドバルブRS3から出力された制御圧が入力される。そして、入力された制御圧が第1スプール3の他端側及び第2スプール4の一端側に作用する。本実施形態の場合、上述のように、第1スプール3と第2スプール4とが対向する第1スプール3の他端部と第2スプール4の一端部にそれぞれ突部35、48を有することで、第1スプール3の他端部と第2スプール4の一端部とが当接したときに、第1スプール3と第2スプール4とが対向する端面同士、即ち、第1スプール3の他端面と第2スプール4の一端面との間に隙間(油室)50を形成している。そして、第1制御ポートc1及び第2制御ポートc2に供給される制御圧を、隙間50を介して第1スプール3及び第2スプール4に作用させるようにしている。
【0030】
具体的には、第1制御ポートc1は、図2に示すように、第1スプール3が第1位置に第2スプール4が第3位置にそれぞれあるときに形成される隙間50と対向する位置に設けられている。また、第2制御ポートc2は、図4に示すように、第1スプール3が第2位置に第2スプール4が第4位置にそれぞれあるときに形成される隙間50と対向する位置に設けられている。そして、何れの位置でも第1及び第2制御ポートc1、c2を介して隙間50に供給された制御圧が第1スプール3及び第2スプール4に作用するようにしている。なお、隙間50を形成する突部は、第1スプール3と第2スプール4とが対向する端部の少なくとも一方に形成されていれば良い。ここで、隙間50を形成するために互いに対向する第1スプール3のランド部32と第2スプール4の大径ランド部41とが同径である。このため、それぞれの受圧面積がほぼ等しく、第1及び第2制御ポートを介して供給された隙間50の制御圧によりそれぞれほぼ同じ力が作用して互いに反対方向に、即ち第1スプール3がY2方向に、第2スプール4がY1方向にそれぞれ付勢される。
【0031】
このように構成されるレンジ切換え装置1は、運転者がレバー又はボタンにより、パーキング(P)レンジに操作すると、第3ソレノイドバルブRS3通電が遮断されて制御圧の出力が停止される。また、第1ソレノイドバルブRS1がONし、第2ソレノイドバルブRS2がOFFすることで、第1切換えバルブ6及び第2切換えバルブ7が図5(c)のように動作して、パーキング保持圧を出力する。図2に示すように、第3ソレノイドバルブRS3から制御圧が出力されないときには、第1スプール3がスプリング5の付勢力によりY1方向に付勢されて第1位置に移動する。この状態では、上述のように、第1入力ポートa1と第1出力ポートb1との連通が遮断されるため、第2入力ポートa2にライン圧Pが供給されず、第2スプール4が第3位置にあって第2入力ポートa2と第2出力ポートb2とが連通していても、パーキング装置10のパーキングシリンダ11にライン圧Pが供給されずにパーキング装置10がパーキング状態とされる。また、このとき、入力ポートdにパーキング保持圧が作用するため、このパーキング状態が確実に保持される。
【0032】
一方、運転者がレバー又はボタンによりドライブ(D)レンジ、ニュートラル(N)レンジ、リバース(R)レンジのいずれかに操作すると、第3ソレノイドバルブRS3が通電されて制御圧が出力される。また、第1ソレノイドバルブRS1及び第2ソレノイドバルブRS2が図6のR、N、Dの何れかのレンジに動作して、第1切換えバルブ6及び第2切換えバルブ7が図5(c)以外のように動作して、パーキング保持圧の出力が停止する。図2に示す状態で第3ソレノイドバルブRS3から制御圧が出力され、この制御圧が第1制御ポートc1に作用したとき、図3に示すように、スプリング5の付勢力に抗して第1スプール3が第2位置に移動する。このとき、入力ポートdにパーキング保持圧が作用していないため、第1スプール3が第2位置に移動可能である。
【0033】
また、このとき、第1入力ポートa1と第1出力ポートb1とが連通し、第3入力ポートa3にライン圧Pが供給されて油室47を介して第2スプール4にライン圧Pが作用する。但し、この油室47は小径部45の位置に形成されているため、このライン圧Pが作用する大径ランド部42の小径部45の周囲の端面(他端面)の面積(受圧面積)と小径ランド部43の小径部45の周囲の端面(一端面)の受圧面積の差分の受圧面積は、隙間50を介して制御圧が作用する大径ランド部41の端面(一端面)の面積(受圧面積)よりも十分に小さい。このため、第1制御ポートc1に作用する制御圧により、第3入力ポートa3を介して大径ランド部42に作用するライン圧Pに拘らず第2スプールが第3位置に保持される。言い換えれば、受圧面積の差により第2スプール4を第3位置に保持している。なお、ライン圧P、制御圧及びそれぞれの受圧面積は、このような条件を満たせば、適宜調整可能である。このように、第2スプール4が第3位置にあるときには、第2入力ポートa2と第2出力ポートb2とが連通するため、第1出力ポートb1から第2入力ポートa2に供給されたライン圧Pは、第2入力ポートa2を介してパーキングシリンダ11に供給され、パーキング装置10がパーキング解除状態とされる。
【0034】
ここで、第1スプール3が図3に示す第2位置でスティック(固着)したとする。この状態でパーキング装置10をパーキング状態にすべく、運転者がレバー又はボタンにより、パーキング(P)レンジに操作すると、第3ソレノイドバルブRS3通電が遮断されて制御圧の出力が停止される。但し、第3ソレノイドバルブRS3の制御圧の出力を停止しても、第1スプール3はスティックしているため第2位置から移動しない。このため、第1入力ポートa1と第1出力ポートb1とは連通したままである。したがって、ライン圧Pが第1出力ポートb1を介して第2入力ポートa2及び第3入力ポートa3に作用する。このとき、第3位置にある第2スプール4は、第3入力ポートa3から油室47にライン圧Pが供給されることで、上述したようにY2方向に付勢される。第2スプール4には制御圧が作用していないため、図4に示すように、第3入力ポートa3に供給されたライン圧Pにより第2スプール4が第4位置に移動する。この状態では、第2入力ポートa2と第2出力ポートb2との連通が遮断されているため、第1出力ポートb1からライン圧Pが供給されていても、第2出力ポートb2からパーキングシリンダ11にライン圧Pが供給されずに、パーキング装置10がパーキング状態とされる。
【0035】
これにより、例えば、エンジン停止中に第1スプール3が図3に示す第2位置でスティックしていた場合、エンジン始動によりライン圧Pが供給されても不用意にパーキング状態が解除されることを防止できる。即ち、エンジン停止中は、ライン圧Pがパーキング装置10に供給されないため、パーキング装置10はパーキング状態である。パーキング切換えバルブ2が図3に示す状態では、エンジンを始動するとライン圧Pがパーキング装置10に供給され得るが、このライン圧Pが第3入力ポートa3にも作用して第2スプール4が第4位置に移動することで、パーキング装置10へのライン圧Pの供給が遮断されるため、不用意にパーキング状態が解除されることはない。
【0036】
この図4の状態では、第1スプール3と第2スプール4とが対向する端面同士の間の隙間50は、第2制御ポートc2に対向している。このため、この状態から、再度パーキング解除状態にすべく、第3ソレノイドバルブRS3から制御圧を出力した場合、制御圧が第2制御ポートc2を介して隙間50に供給され、第2スプール4がY1方向に付勢される。そして、上述したような受圧面積の差から、第3入力ポートa3に供給され第2スプール4に作用するライン圧Pに拘らず、第2スプール4が第3位置に移動して図3に示す状態となり、ライン圧Pが第2入力ポートa2を介してパーキングシリンダ11に供給され、パーキング装置10がパーキング解除状態とされる。このため、第1スプール3がスティックしていても修理工場などに自走可能である。
【0037】
また、本実施形態の場合、第2スプール4が図3に示す第3位置でスティック(固着)した場合でも、パーキング装置10をパーキング状態とすることができる。即ち、この状態でパーキング装置10をパーキング状態にすべく、運転者がレバー又はボタンにより、パーキング(P)レンジに操作すると、第3ソレノイドバルブRS3通電が遮断されて制御圧の出力が停止される。すると、第1スプール3がスプリング5によりY1方向に付勢されて第1位置に移動し、図2に示す状態となる。この状態では、第1入力ポートa1と第1出力ポートb1との連通が遮断されているため、パーキングシリンダ11にライン圧Pが供給されずに、パーキング装置10がパーキング状態とされる。
【0038】
なお、第1スプール3が図2に示す第1位置で、第2スプール4が図4に示す第4位置でそれぞれスティックした場合、それぞれライン圧Pがパーキング装置10に供給されない位置であるため、この状態でエンジンを再始動しても不用意にパーキング状態が解除されることはない。
【0039】
また、本実施形態の場合、上述したように、第3ソレノイドバルブRS3は、通電が遮断されたときに制御圧を出力しない、所謂ノーマルクローズタイプの構成である。したがって、例えば、ドライブ(D)レンジでの車輌走行中、又はニュートラル(N)レンジ、リバース(R)レンジとされている際、例えば断線等により第3ソレノイドバルブRS3がオフフェールした(非作用状態となった)場合、第1制御ポートc1及び第2制御ポートc2に制御圧が供給されず、第1スプール3が第1位置に、第2スプール4が第4位置にそれぞれ保持される。このため、ライン圧Pがパーキングシリンダ11に供給されず、パーキング装置10をパーキング状態とすることが可能となる。
【0040】
ここで、上述したように、パーキング装置10は、電気的にパーキング解除状態にロック可能なロック機構23を有し、ロック機構23のソレノイド24は、通電を停止すれば、通電を停止した状態を維持するように構成されている。このため、Dレンジ又はRレンジでの走行状態で、断線などにより第3ソレノイドバルブRS3及びソレノイド24への通電が遮断された(オフフェールした)場合には、パーキング切換えバルブ2からライン圧Pがパーキングシリンダ11に供給されないが、ロック機構23によりパーキング解除状態が維持されたままとなる。
【0041】
また、このとき、例えば断線等により第1ソレノイドバルブRS1及び第2ソレノイドバルブRS2もオフフェールした(非作用状態となった)場合、前述したようにNレンジとなり、パーキング保持圧が供給されない。なお、第1ソレノイドバルブRS1及び第2ソレノイドバルブRS2もオフフェールした場合に、その時にレンジ圧が出力されるように別のフェール手段を設けても良い。これにより、Dレンジ又はRレンジで走行している際にオフフェールした場合でも、そのレンジで走行可能となる。一方、別のフェール手段を設けない場合でも、Nレンジとなるため、惰性での走行は可能となる。何れにしても、Dレンジ又はRレンジでの走行状態でオフフェールしても、Nレンジで惰性走行又はDレンジ又はRレンジで走行を継続させることが可能となる。
【0042】
一方、Pレンジで駐車中に第3ソレノイドバルブRS3及びソレノイド24がオフフェールした場合には、パーキング切換えバルブ2からライン圧Pがパーキングシリンダ11に供給されず、且つ、ロック機構23によりパーキング状態が維持されたままであるため、車輌のパーキング状態を維持するが可能となる。
【0043】
以上のように、本レンジ切換え装置(1)は(例えば図2ないし図4参照)、油圧発生源の油圧に基づいた元圧が供給されることでパーキング解除状態とされ、前記元圧が供給されないときにはパーキング状態とされるパーキング装置(10)への前記元圧の供給及び非供給を切り換えるレンジ切換え装置(1)において、
前記元圧を調圧して制御圧を出力するソレノイドバルブ(RS3)と、
パーキング切換えバルブ(2)と、を備え、
前記パーキング切換えバルブ(2)は、
第1位置及び第2位置に移動可能な第1スプール(3)と、
前記第1スプール(3)の一端側に配置され、当該第1スプール(3)を前記第1位置に付勢する付勢部材(5)と、
第3位置及び第4位置に移動可能な第2スプール(4)と、
前記元圧が供給される第1入力ポート(a1)と、
前記第1スプール(3)の前記第1位置にて前記第1入力ポート(a1)との連通が遮断され、かつ前記第2位置にて前記第1入力ポート(a1)と連通する第1出力ポート(b1)と、
前記第1出力ポート(b1)と連通する第2入力ポート(a2)と、
前記パーキング装置(10)と連通すると共に、前記第2スプール(4)の前記第3位置にて前記第2入力ポート(a2)と連通し、かつ前記第4位置にて前記第2入力ポート(a2)との連通が遮断される第2出力ポート(b2)と、
前記第2スプール(4)を前記元圧によって前記第4位置方向に付勢させるために、前記第1出力ポート(b1)と連通して、当該元圧が入力される第3入力ポート(a3)と、
前記第1スプール(3)の他端側及び前記第2スプール(4)の一端側に前記ソレノイドバルブ(RS3)から出力された前記制御圧を作用させるために、当該制御圧が入力される制御ポート(c1、c2)と、を有し、
前記制御圧が前記制御ポート(c1、c2)に入力され、前記第1スプール(3)の他端側及び前記第2スプール(4)の一端側に当該制御圧が作用した際に、前記第1スプール(3)が前記付勢部材(5)の付勢力に抗して前記第2位置となると共に、前記第2スプール(4)が前記第3位置となり、前記第2出力ポート(b2)を介して前記パーキング装置(10)に前記元圧が供給され、
前記制御圧が前記制御ポート(c1、c2)に入力されず、且つ、前記第1スプール(3)が前記第2位置で固着した場合には、前記第3入力ポート(a3)に供給された前記元圧により前記第2スプール(4)が前記第4位置となることで、前記パーキング装置(10)への前記元圧の供給を遮断するように構成されていることを特徴とする。
【0044】
これにより、第1スプール3が第2位置でスティックしても、パーキング状態とすべく第3ソレノイドバルブRS3による制御圧の出力を停止すれば、ライン圧Pが第1出力ポートb1から第3入力ポートa3に供給されることで第2スプール4が第4位置に移動する。これにより、第2出力ポートb2からパーキング装置10にライン圧Pが供給されなくなり、パーキング状態とすることができる。つまり、パーキング解除状態となる位置でバルブスティックが生じ、パーキング切換えバルブ2に油圧が供給されている状態であっても、1個の第3ソレノイドバルブRS3による制御圧の出力を停止することでパーキング装置10をパーキング状態とすることが可能であり、装置の小型化を図れる。
【0045】
また、本レンジ切換え装置(1)は(例えば図2ないし図4参照)、前記第2スプール(4)は、一端側から順に第1ランド部(41)、第2ランド部(42)、第3ランド部(43)を有し、前記第3入力ポート(a3)に入力された前記元圧が作用する前記第3ランド部(43)の一端面の受圧面積が、当該元圧が作用する前記第2ランド部(42)の他端面の受圧面積よりも小さく、且つ、当該第2ランド部(42)の他端面の受圧面積と当該第3ランド部(43)の一端面の受圧面積の差分の受圧面積が、前記制御ポート(c1、c2)に入力された前記制御圧が作用する前記第1ランド部(41)の一端面の受圧面積よりも小さくなるように構成されていることを特徴とする。
【0046】
これにより、各ランド部の受圧面積の関係を規定することで、上述のように、第1スプール3が第2位置で固着した場合に、第3ソレノイドバルブRS3による制御圧の出力を停止することで、パーキング装置10をパーキング状態とすることが可能であり、且つ、第3ソレノイドバルブRS3による制御圧の出力を再開することで、第4位置にある第2スプール4を第3位置に移動し、第2出力ポートb2からパーキング装置10にライン圧Pを供給し、パーキング装置10をパーキング解除状態とすることができ、簡単な構成で上述のような効果を得られる。
【0047】
また、本レンジ切換え装置(1)は(例えば図2ないし図4参照)、前記第1スプール(3)及び前記第2スプール(4)は、前記第1スプール(3)の他端部と前記第2スプール(4)の一端部との少なくとも一方に突部(35、48)を有することで、前記第1スプール(3)の他端部と前記第2スプール(4)の一端部とが当接したときに、前記第1スプール(3)の他端面と前記第2スプール(4)の一端面との間に隙間(50)を形成し、
前記制御ポート(c1、c2)に供給される前記制御圧を、前記隙間(50)を介して前記第1スプール(3)の他端面及び前記第2スプール(4)の一端面に作用させることを特徴とする。
【0048】
これにより、第1スプール3と第2スプール4とが対向する端部にそれぞれ突部35、48を形成することで、簡単な構成で、第1スプール3と第2スプール4とが対向する端面同士の間に隙間50を形成できると共に、この隙間50を介することで制御圧を第1スプール3及び第2スプール4に作用させられる。
【0049】
また、本レンジ切換え装置(1)は(例えば図2ないし図4参照)、前記制御ポート(c1、c2)は、前記第1スプール(3)が前記第1位置に前記第2スプール(4)が前記第3位置にそれぞれあるときに形成される前記隙間(50)と対向する位置、及び、前記第1スプール(3)が前記第2位置に前記第2スプール(4)が前記第4位置にそれぞれあるときに形成される前記隙間(50)と対向する位置の2個所に設けられていることを特徴とする。
【0050】
これにより、第1スプール及び第2スプールがそれぞれ第1位置及び第3位置又は第2位置及び第4位置に移動した場合に、それぞれの位置で隙間50が第1制御ポートc1又は第2制御ポートc2に対向するため、それぞれの位置で第1スプール3と第2スプール4とに制御圧を作用させられることで、それぞれの位置で制御圧を供給することでパーキング解除状態にすることが可能となる。
【0051】
また、本レンジ切換え装置(1)は、前記第1スプール(3)が前記第2位置で固着し、且つ、前記制御圧が前記制御ポート(c1、c2)に入力された場合には、前記制御ポート(c1、c2)に供給された前記制御圧により前記第2スプール(4)が前記第3位置となり、前記第2出力ポート(b2)を介して前記パーキング装置(10)に前記元圧が供給されるように構成されていることを特徴とする。
【0052】
これにより、例えば、第1スプール3が第2位置で固着した状態で第3ソレノイドバルブRS3による制御圧の出力を停止し、パーキング装置10へのライン圧Pの供給を停止しパーキング装置10をパーキング解除状態からパーキング状態にした後に、第3ソレノイドバルブRS3による制御圧の出力を再開した場合に、第4位置にある第2スプール4を第3位置に移動し、第2出力ポートb2からパーキング装置10にライン圧Pを供給することで、パーキング装置10をパーキング状態からパーキング解除状態とすることができる。
【0053】
なお、本実施形態において、第1スプール3と、第2スプール4と、は、1つのパーキング切換えバルブ2内に設けられている(第1バルブ103と第2バルブ104とが一体に構成されている)が、これに限らず、第1スプール3と第2スプール4とがそれぞれ異なるバルブに設けられていてもよい。言い換えれば、第1バルブと第2バルブとを別体としてもよい。この場合において、第3ソレノイドバルブRS3は、第1スプール3が設けられている第1バルブと、第2スプール4が設けられている第2バルブと、に制御圧を出力できるように構成すればよい。
【0054】
また、以上説明した本実施の形態においては、元圧としてライン圧を用いるように説明したが、例えばライン圧を調圧した供給圧としてもよく、つまりパーキングシリンダを作用させることができると共に、パーキング切換えバルブのスプリングの付勢力よりも強い力によってスプールを保持できるものであれば、どのような元圧を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本自動変速機の油圧制御装置及び本レンジ切換え装置は、乗用車、トラック等の車両に搭載することが可能であり、特に装置の小型化が求められると共に、パーキング解除状態となる位置でバルブスティックが生じた場合に、パーキング切換えバルブに油圧が供給されてもパーキング装置をパーキング状態とすることが求められるものに用いて好適である。
【符号の説明】
【0056】
1 レンジ切換え装置
2 パーキング切換えバルブ
3 第1スプール
4 第2スプール
5 スプリング(付勢部材)
10 パーキング装置
41 大径ランド部(第1ランド部)
42 大径ランド部(第2ランド部)
43 小径ランド部(第3ランド部)
100 自動変速機の油圧制御装置
101 パーキング機構
102 パーキングサーボ
103 第1バルブ
104 第2バルブ
a1 第1入力ポート
a2 第2入力ポート
a3 第3入力ポート
b1 第1出力ポート
b2 第2出力ポート
c1 第1制御ポート
c2 第2制御ポート
RS1 第1ソレノイドバルブ
RS2 第2ソレノイドバルブ
RS3 第3ソレノイドバルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6