(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1ループ状導体は、Y軸を長辺方向、X軸を短辺方向とする、略長方形状であり、前記第2ループ状導体は、X軸を長辺方向、Y軸を短辺方向とする、略長方形状であり、
前記第1ループ状導体と前記第2ループ状導体とは、一方の長辺と他方の短辺、および一方の短辺と他方の長辺が互いに沿うととともに、互いに沿った導体に流れる電流の向きが同じになるように配置されている、請求項1に記載の受電用コイル構造体。
前記第1ループ状導体および前記第2ループ状導体による組を、第1組、第2組の2組備え、第1組と第2組はZ軸方向からの平面視で点対称に重なり、外形が四角形状である、請求項2または3に記載の受電用コイル構造体。
前記共振回路は、前記第1ループ状導体および前記第2ループ状導体が有するインダクタンスと第1キャパシタとで第1共振回路を構成し、前記第3ループ状導体および前記第4ループ状導体が有するインダクタンスと第2キャパシタとで第2共振回路を構成する、請求項5に記載の受電用コイル構造体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
磁界結合によりワイヤレス給電を行うワイヤレス給電システムの基本的な構成は、給電装置側と受電装置側のいずれにもループ状導体を設け、互いのループ内を磁束が抜ける関係で、ループ状導体同士を近接させるものである。但し、送電装置の送電部と受電装置の受電部との位置関係が固定されている場合には、一定の結合係数で磁界結合させてワイヤレス給電することが可能であるが、送電部に対して受電部の位置が変動しても給電を行う必要がある場合には、送電部のループ状導体を受電部のループ状導体より大きくすることになる。また、送電部のループ状導体を単純なループ形状とせず、給電範囲内に複数の導電性パターンが分布するようなループ状導体であれば、送電部のループ状導体の形成範囲内の磁界強度分布は均一化できる。
【0007】
ところが、給電範囲において、送電部のループ状導体から発生される磁束のうち、受電部のループ状導体に鎖交する磁束が相殺されるような関係となり得るので、給電範囲内において、電力給電されない位置が生じる。この課題は特許文献1〜3に示されている構造では解消されない。
【0008】
本発明の目的は、受電部の位置が給電範囲内で変位する場合であっても、広範囲に亘って安定な給電を可能とした受電用コイル構造体およびワイヤレス給電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の受電用コイル構造体は、XYZ直交座標系において、Y軸方向に延伸する複数の給電用導体パターンを備える給電装置から電力を受電する受電用コイル構造体であって、
Z軸方向の磁束が鎖交して電流が誘導されるようにXY平面上に形成され、
それぞれが異なる方向を長手方向とする第1ループ状導体および第2ループ状導体を有し、
前記第1ループ状導体および前記第2ループ状導体は、コイル開口の一部が互いに重なり、
前記第1ループ状導体および前記第2ループ状導体が有するインダクタンスをLC共振回路のインダクタンスとする共振回路を備えたことを特徴としている。
【0010】
上記構成により、第1ループ状導体と第2ループ状導体に鎖交する磁束のうち、一方が相殺状態となる条件で他方は相殺状態とはならない場合が多いので、すなわち、両方が同時に相殺状態となる確率が非常に小さくなって、給電範囲内における受電部の位置に関わらず安定な給電が可能となる。
【0011】
(2)前記第1ループ状導体は、Y軸を長辺方向、X軸を短辺方向とする、略長方形状であり、前記第2ループ状導体は、X軸を長辺方向、Y軸を短辺方向とする、略長方形状であり、
前記第1ループ状導体と前記第2ループ状導体とは、一方の長辺と他方の短辺、および一方の短辺と他方の長辺が互いに沿うととともに、互いに沿った導体に流れる電流の向きが同じになるように配置されていることが好ましい。この構成により、実質的なループ面積(コイル開口面積)の大きな受電用コイル構造体が構成できる。
【0012】
(3)前記第1ループ状導体および前記第2ループ状導体は1本の導線の折り曲げ加工により形成されて直列接続されていることが好ましい。この構成により、導線の接続が簡素な構造になり部品点数も増加しないので、小型化が容易となる。
【0013】
(4)前記第1ループ状導体および前記第2ループ状導体による組を、第1組、第2組の2組備え、第1組と第2組はZ軸方向からの平面視で点対称に重なり、外形が四角形状であることが好ましい。この構成により、限られた占有面積でループ面積(コイル開口面積)の大きな受電用コイル構造体が構成できる。
【0014】
(5)X軸方向に延伸する線条部を底辺、Y軸方向に延伸する線条部を高さとする直角三角形状の第3ループ状導体と、X軸方向に延伸する線条部を底辺、Y軸方向に延伸する線条部を高さとする直角三角形状の第4ループ状導体と、を備え、第3ループ状導体が形成する直角三角形の斜辺と第4ループ状導体が形成する直角三角形の斜辺とは並行し、第3ループ状導体と第4ループ状導体とで、外形が四角形状を形成し、第3ループ状導体および第4ループ状導体は前記斜辺に流れる互いの電流の向きが同じになるように配置されている、ことが好ましい。
【0015】
上記構成により、Y軸方向に延伸する複数の給電用導体パターンに対して上記第1ループ状導体および第2ループ状導体の長辺・短辺方向がXY軸に対して傾斜するような関係で受電用コイル構造体が配置され、第1ループ状導体および第2ループ状導体による誘導電流が0となる状態であっても、第3ループ状導体および第4ループ状導体による誘導電流が生じる。すなわち、受電用コイル構造体の回転方向に対する相殺位置の発生も解消できる。
【0016】
(6)前記共振回路は、前記第1ループ状導体および前記第2ループ状導体が有するインダクタンスと第1キャパシタとで第1共振回路を構成し、前記第3ループ状導体および前記第4ループ状導体が有するインダクタンスと第2キャパシタとで第2共振回路を構成することが好ましい。この構成により、第1〜第4のループ状導体に誘導される電流が相殺されずに効率良くエネルギーが取り出せる。
【0017】
(7)前記第1共振回路に受電した交流電力を整流平滑する第1整流平滑回路と、前記第2共振回路に受電した交流電力を整流平滑する第2整流平滑回路と、を備えることが好ましい。これにより、第1ループ状導体および第2ループ状導体による誘導されるエネルギーと第3ループ状導体および第4ループ状導体による誘導されるエネルギーとが相殺されることなく、効率良く取り出される。
【0018】
(8)本発明のワイヤレス給電システムは、ワイヤレスで電力を給電するワイヤレス給電装置と、このワイヤレス給電装置と磁界結合して電力を受電する受電装置と、で構成され、
前記受電装置は、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の受電用コイル構造体を備え、
前記給電装置は、XYZ直交座標系におけるX−Y平面の第1方向に延伸し、第1方向とは直交する第2方向に配列された複数の給電用導体パターンを備えることを特徴としている。
【0019】
上記構成により、受電部の位置がワイヤレス給電装置の給電範囲内のどの位置にあっても安定な給電が可能となる。
【0020】
(9)上記(8)において、複数の給電用導体パターンはミアンダ形状であり、互いに並行する導体の間隔は導体の線幅よりも大きいことが好ましい。この構成により、隣接する導体パターン同士の間隙が相対的に広くなって、磁束が通る実質的な開口範囲が広がり、受電装置のループ状導体との結合係数が高まる。
【0021】
(10)上記(9)において、第1ループ状導体および第2ループ状導体の長辺部の長さをt、給電用導体パターンの間隔をwで表すと、
w≦t<2w
の関係にあることが好ましい。この構造により、給電範囲内において、給電部と受電部とが結合しない位置になる条件が少なくなり、安定な給電が可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、給電装置の給電範囲内における受電部の位置に関わらず安定なワイヤレス給電が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は第1の実施形態に係る受電用コイル構造体の構成図である。
【
図2】
図2(A)、
図2(B)は受電用コイル構造体201を二つの要素に分けて表した図である。
【
図3】
図3は受電用コイル構造体201および受電回路40の回路図である。
【
図5】
図5はインバータ回路13の構成を示す図である。
【
図6】
図6(A)、
図6(B)はワイヤレス給電装置のループ状導体11のうちミアンダ形状部の一部と受電用コイル構造体との結合について示す平面図である。
【
図7】
図7は第1の実施形態に適用できる別のワイヤレス給電装置の構成図である。
【
図8】
図8は第2の実施形態に係る受電用コイル構造体202の構成図である。
【
図9】
図9は受電用コイル構造体202および受電回路40の回路図である。
【
図10】
図10は第3の実施形態に係る受電用コイル構造体の分解図である。
【
図11】
図11は第3の実施形態に係る受電用コイル構造体203の構成図である。
【
図12】
図12は第3の実施形態の受電用コイル構造体203および受電回路40の回路図である。
【
図13】
図13(A)、
図13(B)はワイヤレス給電装置のループ状導体11のうちミアンダ形状部の一部と受電用コイル構造体との結合について示す参考用の平面図である。
【
図14】
図14は第4の実施形態の受電用コイル構造体に備える傾斜受電用コイル構造体210の構成図である。
【
図15】
図15は第4の実施形態に係る受電用コイル構造体204の構成図である。
【
図16】
図16は第4の実施形態の受電用コイル構造体204および受電回路40の回路図である。
【
図18】
図18は、第4の実施形態の受電用コイル構造体の変形例を示す図であり、第4の実施形態の受電用コイル構造体の構成を回路図で表したものである。
【
図19】
図19(A)、
図19(B)、
図19(C)は、第5の実施形態に係る、給電用ループ状導体11の線間と受電用コイル構造体204のループ状導体との大きさの関係を示す図である。
【
図20】
図20は第6の実施形態に係る受電用コイル構造体の構成図である。
【
図21】
図21は第6の実施形態に係る別の受電用コイル構造体の構成図である。
【
図22】
図22(A)、
図22(B)は第6の実施形態に係るさらに別の受電用コイル構造体の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以降、図を参照して幾つかの具体的な例を挙げて、本発明を実施するための複数の形態を示す。各図中には同一箇所に同一符号を付している。各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。
【0025】
《第1の実施形態》
図1は第1の実施形態に係る受電用コイル構造体の構成図である。この受電用コイル構造体201は、XYZ直交座標系において、Y軸方向に延伸する複数の給電用導体パターンを備える給電装置から電力を受電する受電用コイル構造体である。給電用導体パターンについては後に示す。
【0026】
受電用コイル構造体201は第1ループ状導体21および第2ループ状導体22を備えている。第1ループ状導体21および第2ループ状導体22は、Z軸方向の磁束が鎖交して電流が誘導されるようにXY平面上に形成されている。第1ループ状導体21および第2ループ状導体22は、X軸方向を左右方向としたとき、左右非対称な形状である。
【0027】
第1ループ状導体21および第2ループ状導体22は直列接続されている。この直列回路にキャパシタ31が接続されていて、第1ループ状導体21および第2ループ状導体22が有するインダクタンスとキャパシタ31のキャパシタンスとで共振する、LC共振回路が構成されている。
【0028】
第1ループ状導体21は、Y軸を長辺方向、X軸を短辺方向とする、略長方形状であり、第2ループ状導体22は、X軸を長辺方向、Y軸を短辺方向とする、略長方形状である。
【0029】
第1ループ状導体21と第2ループ状導体22とは、一方の長辺と他方の短辺、および一方の短辺と他方の長辺が互いに沿うととともに、互いに沿った導体に流れる電流の向きが同じになるように、一方の長辺と他方の短辺、および一方の短辺と他方の長辺が互いに重なるように配置されている。
【0030】
図1に示す例では、第1ループ状導体21および第2ループ状導体22は1本の導線の折り曲げ加工により形成されて直列接続されている。第1ループ状導体21および第2ループ状導体22は、基板に導体パターンを形成することにより設けてもよい。
【0031】
図2(A)(B)は上記受電用コイル構造体201を二つの要素に分けて表したものである。第1ループ状導体21とキャパシタ31とで共振回路が構成され、第2ループ状導体22とキャパシタ31とで共振回路が構成される。但し、実際にはキャパシタ31および受電回路40はそれぞれ単一である。
【0032】
図3は受電用コイル構造体201および受電回路40の回路図である。第1ループ状導体21と第2ループ状導体22との直列回路とキャパシタ31とでLC共振回路が構成されている。この共振回路の共振電圧がダイオードDおよびキャパシタC1により整流平滑され、レギュレータ回路REGおよびキャパシタC2で定電圧化され、負荷へ供給される。
【0033】
図4はワイヤレス給電装置の構成図である。このワイヤレス給電装置101は、空間的に離れた場所にある受電装置に磁界を介して給電する装置である。このワイヤレス給電装置101は、給電用のループ状導体11が形成された絶縁体からなる基板10を備えている。ループ状導体11は、Y軸方向に延伸する長経路部11LとX軸方向に延伸する短経路部11Sの組合せからなるミアンダ形状部を備えている。
【0034】
ループ状導体11はインダクタンスを有し、このインダクタンスとキャパシタ12のキャパシタンスとで共振するLC共振回路が構成されている。インバータ回路13は直流電源9の直流電圧を入力し、LC共振回路の共振周波数と等しい周波数の高周波電流を供給する。これにより、ループ状導体11に流れる電流によって磁界が発生する。このワイヤレス給電装置101と上記受電用コイル構造体201とでワイヤレス給電システムが構成される。
【0035】
図5は上記インバータ回路13の構成を示す図である。ここではワイヤレス給電装置全体の回路を表している。インバータ回路13はハイサイドスイッチQ1、ローサイドスイッチQ2、これらをオン・オフ制御するコントローラ/ドライバ回路を備えている。コントローラ/ドライバ回路はハイサイドスイッチQ1およびローサイドスイッチQ2を上記LC共振回路の共振周波数で交互にオン・オフする。これにより共振型インバータ回路を構成している。
【0036】
図6(A)(B)は上記ワイヤレス給電装置のループ状導体11のうちミアンダ形状部の一部と受電用コイル構造体との結合について示す平面図である。
図6(A)(B)において受電用コイル構造体201については、第1ループ状導体21および第2ループ状導体22の形状のみを表している。
【0037】
図6(A)(B)において、クロス記号およびドット記号は給電用ループ状導体11に流れる電流により生じる磁界の方向を表している。受電用コイル構造体201が
図6(A)に示す位置にあるとき、受電用コイル構造体201の第2ループ状導体22が形成するコイル開口内には長経路部11Lによる磁束が両方向に通る。そのため、第2ループ状導体22は給電用ループ状導体11と結合しない。しかし、受電用コイル構造体201の第1ループ状導体21が形成するコイル開口内を長経路部11Lによる磁束が一方向に通る。そのため、第1ループ状導体21と長経路部11Lとの結合により、受電用コイル構造体201は給電用ループ状導体11と結合する。
【0038】
受電用コイル構造体201が
図6(B)に示す位置にあるとき、受電用コイル構造体201の第1ループ状導体21が形成するコイル開口内には長経路部11Lによる磁束が両方向に通る。そのため、第1ループ状導体21は給電用ループ状導体11と結合しない。しかし、受電用コイル構造体201の第2ループ状導体22が形成するコイル開口内を2本の長経路部11Lによる磁束が通る。この第2ループ状導体22が形成するコイル開口内を通る磁束は不平衡である。そのため、第2ループ状導体22と長経路部11Lとの結合により、受電用コイル構造体201は給電用ループ状導体11と結合する。
【0039】
このようにして、XYZ直交座標系において、Y軸方向に延伸する複数の給電用導体パターンを備える給電装置から電力を受電する受電用コイル構造体201が、X軸方向のどの位置にあっても、第1ループ状導体21もしくは第2ループ状導体22の一方または両方に誘導される電流を整流平滑することで電力を受電できる。
【0040】
図7はワイヤレス給電装置の別の構成図である。ワイヤレス給電装置は
図4に図示した構成に限られるものではなく、例えば
図7に示すように、複数の給電用ループ状導体11a〜11eそれぞれが1つの閉ループを形成していてもよい。この
図7に示す例では、複数の給電用ループ状導体11a〜11eそれぞれにキャパシタ12a〜12eが接続されてLC共振回路が構成されていて、スイッチング電源回路14は各給電用ループ状導体11a〜11eに、LC共振回路の共振周波数と等しい周波数の高周波電流を供給する。
【0041】
《第2の実施形態》
図8は第2の実施形態に係る受電用コイル構造体202の構成図である。この受電用コイル構造体202は第1ループ状導体21および第2ループ状導体22を備えている。第1ループ状導体21および第2ループ状導体22は、Z軸方向の磁束が鎖交して電流が誘導されるようにXY平面上に形成されている。
【0042】
第1ループ状導体21は、Y軸を長辺方向、X軸を短辺方向とする、略長方形状であり、第2ループ状導体22は、X軸を長辺方向、Y軸を短辺方向とする、略長方形状である。
【0043】
第1ループ状導体21および第2ループ状導体22はそれぞれの一部を共用し、且つ並列接続されている。この並列回路にキャパシタ31が接続されていて、第1ループ状導体21および第2ループ状導体22が有するインダクタンスとキャパシタ31のキャパシタンスとで共振する、LC共振回路が構成されている。
【0044】
図9は受電用コイル構造体202および受電回路40の回路図である。第1ループ状導体21と第2ループ状導体22との並列回路とキャパシタ31とでLC共振回路が構成されている。この共振回路の共振電圧がダイオードDおよびキャパシタC1により整流平滑され、レギュレータ回路REGおよびキャパシタC2で定電圧化され、負荷へ供給される。
【0045】
このように、第1ループ状導体21と第2ループ状導体22は、それぞれの一部を共用してもよい。また、このように第1ループ状導体21と第2ループ状導体22とは並列接続してもよい。
【0046】
《第3の実施形態》
図10は第3の実施形態に係る受電用コイル構造体の分解図である。本実施形態の受電用コイル構造体は第1の受電用コイル構造体201Aと第2の受電用コイル構造体201Bとで構成されている。第1の受電用コイル構造体201Aと第2の受電用コイル構造体201Bのいずれも、第1ループ状導体21および第2ループ状導体22を備えている。
【0047】
図11は本実施形態の受電用コイル構造体203の構成図である。受電用コイル構造体203は第1の受電用コイル構造体201Aと第2の受電用コイル構造体201Bとを、Z軸方向からの平面視で点対称に重なり、外形が四角形状である。この構成により、四角形の領域を有効利用でき、限られた占有面積で、実質的なループ面積(コイル開口面積)の大きな受電用コイル構造体が構成できる。
【0048】
図12は本実施形態の受電用コイル構造体203および受電回路40の回路図である。第1ループ状導体21および第2ループ状導体22の直列回路とキャパシタ31との共振回路が2組構成されている。この共振回路の共振電圧がダイオードDa,DbおよびキャパシタC1により整流平滑され、レギュレータ回路REGおよびキャパシタC2で定電圧化され、負荷へ供給される。このように、2組のLC共振回路を設けてもよい。
【0049】
《第4の実施形態》
図13(A)(B)はワイヤレス給電装置のループ状導体11のうちミアンダ形状部の一部と受電用コイル構造体との結合について示す参考用の平面図である。
図13(A)(B)において受電用コイル構造体201は第1の実施形態で示した受電用コイル構造体である。
図6に示した例と異なり、受電用コイル構造体201は135°右回転している。
【0050】
図13(A)(B)において、クロス記号およびドット記号は給電用ループ状導体11に流れる電流により生じる磁界の方向を表している。受電用コイル構造体201が
図13(A)に示す位置にあるとき、隣接する2つの長経路部11Lの間の磁束が受電用コイル構造体201の第1ループ状導体21のコイル開口および第2ループ状導体22のコイル開口の大部分を通る。そのため、受電用コイル構造体201は給電用ループ状導体11と結合する。一方、受電用コイル構造体201が
図13(B)に示す位置にあるとき、1つの長経路部11Lの左右に受電用コイル構造体201の第1ループ状導体21のコイル開口および第2ループ状導体22のコイル開口が対称に位置する。そのため、受電用コイル構造体201は給電用ループ状導体11と結合しない。
【0051】
本実施形態は、このように受電用コイル構造体の向きがX軸方向またはY軸方向に対して傾斜している場合でも受電できるようにした受電用コイル構造体の例である。
【0052】
図14は本実施形態の受電用コイル構造体に備える傾斜受電用コイル構造体210の構成図である。この傾斜受電用コイル構造体210は第3ループ状導体23および第4ループ状導体24を備えている。
【0053】
第3ループ状導体23は、X軸方向に延伸する線条部を底辺、Y軸方向に延伸する線条部を高さとする直角三角形状である。同様に、第4ループ状導体24は、X軸方向に延伸する線条部を底辺、Y軸方向に延伸する線条部を高さとする直角三角形状である。そして、第3ループ状導体23が形成する直角三角形の斜辺と第4ループ状導体24が形成する直角三角形の斜辺とは並行し、第3ループ状導体23と第4ループ状導体24とで、外形が四角形状を形成している。
【0054】
第3ループ状導体23および第4ループ状導体24は上記斜辺に流れる互いの電流の向きが同じになるように直列接続されている。
図14中の矢印はある瞬間の電流の方向の例を示している。
【0055】
第3ループ状導体23および第4ループ状導体24の直列回路に第2キャパシタ32が接続されている。そして、第3ループ状導体23および第4ループ状導体24が有するインダクタンスと第2キャパシタ32とで第2共振回路が構成されている。
【0056】
図15は第4の実施形態に係る受電用コイル構造体204の構成図である。この受電用コイル構造体204は、第3の実施形態で
図11に示した受電用コイル構造体203に
図14に示した傾斜受電用コイル構造体210を重ねたものである。受電用コイル構造体201A,201BがX軸方向に対して45°傾斜している状態で、傾斜受電用コイル構造体210の第3ループ状導体23および第4ループ状導体24が形成する直角三角形の斜辺はY軸方向となる。
【0057】
図16は本実施形態の受電用コイル構造体204および受電回路40の回路図である。この受電用コイル構造体204において、第1ループ状導体および第2ループ状導体が有するインダクタンスと第1キャパシタ31Aとで第1共振回路が構成されていて、第2ループ状導体および第2ループ状導体が有するインダクタンスと第1キャパシタ31Bとでもう一つの第1共振回路が構成されていて、第3ループ状導体および第4ループ状導体が有するインダクタンスと第2キャパシタ32とで第2共振回路が構成されている。この3つの共振回路の共振電圧がダイオードD1A,D1B,D2およびキャパシタC1により整流平滑され、レギュレータ回路REGおよびキャパシタC2で定電圧化され、負荷へ供給される。ここで、ダイオードD1A,D1BおよびキャパシタC1が本発明に係る「第1整流平滑回路」の例であり、ダイオードD2およびキャパシタC1が本発明に係る「第2整流平滑回路」の例である。
【0058】
図17(A)(B)は上記傾斜受電用コイル構造体210の作用を示す図である。
図17(A)(B)において、クロス記号およびドット記号は給電用ループ状導体11に流れる電流により生じる磁界の方向を表している。傾斜受電用コイル構造体210が
図17(A)に示す位置にあるとき、1つの長経路部11Lの周囲に生じる磁束が傾斜受電用コイル構造体210の第3ループ状導体23のコイル開口および第4ループ状導体24のコイル開口を通り、第3ループ状導体23および第4ループ状導体24に誘導される電流が加算される。そのため、傾斜受電用コイル構造体210は給電用ループ状導体11と結合する。一方、受電用コイル構造体201が
図17(B)に示す位置にあるとき、隣接する2つの長経路部11Lの間の磁束が第3ループ状導体23のコイル開口および第4ループ状導体24のコイル開口の大部分を通る。しかし、第3ループ状導体23および第4ループ状導体24に誘導される電流は減算される。そのため、傾斜受電用コイル構造体210は給電用ループ状導体11と結合しない。但し、
図17(B)に示す位置に受電用コイル構造体204が位置するとき、受電用コイル構造体201A,201Bは給電用ループ状導体11と結合する。
【0059】
したがって、本実施形態の受電用コイル構造体204は、45°傾斜した状態で、X軸方向のどの位置にあっても、受電用コイル構造体201A,201Bもしくは傾斜受電用コイル構造体210の一方または両方に誘導される電流を整流平滑することで電力を受電できる。
【0060】
図18は、本実施形態の受電用コイル構造体の変形例を示す図であり、その構成を回路図で表したものである。
図10、
図12に示した例では、受電用コイル構造体201A,201Bを第1ループ状導体21と第2ループ状導体22の直列回路で構成したが、
図18に示すように、これを並列回路で構成してもよい。
【0061】
《第5の実施形態》
図19(A)(B)(C)は、給電用ループ状導体11の線間と受電用コイル構造体204のループ状導体との大きさの関係を示す図である。受電用コイル構造体204は第4の実施形態で示した受電用コイル構造体である。
図19(A)(B)(C)において、給電用ループ状導体11の長経路部11Lの線間をw、受電用コイル構造体204の受電用ループ状導体の幅をtで表すと、
図19(A)は、t=wの例、
図19(B)はt<wの例、
図19(C)はt=2wの例である。
図19(A)の関係であると、2本の長経路部11Lが受電用コイル構造体の受電用ループ状導体の2辺と重なる状態で最も結合係数が高まる。
図19(C)の関係であると、受電用コイル構造体204がX軸方向のどこにあっても、受電用コイル構造体の受電用ループ状導体の開口と鎖交する磁束は正負同量となって、結合係数は0となる。t>2wの場合も同様である。
図19(B)の関係であると、
図19(A)に比べて小さな結合係数となる。そのため、w≦t<2wの関係で、ミアンダ形状部の長経路部11Lの線間を定めればよい。
【0062】
《第6の実施形態》
第6の実施形態では以上の各実施形態で示した第1〜第4のループ状導体の幾つかの変形例について示す。
【0063】
図20は第6の実施形態に係る受電用コイル構造体の構成図である。受電用コイル構造体206Aは第1ループ状導体21および第2ループ状導体22を備えている。第1ループ状導体21および第2ループ状導体22は、Z軸方向の磁束が鎖交して電流が誘導されるようにXY平面上に形成されている。第1ループ状導体21および第2ループ状導体22は、X軸方向を左右方向としたとき、左右非対称な形状である。
【0064】
第1ループ状導体21は、Y軸方向に延伸する線条部を上底および下底、X軸方向を高さとする台形をなしている。また、第2ループ状導体22は、X軸方向に延伸する線条部を上底および下底、Y軸方向を高さとする台形をなしている。このように、第1ループ状導体21および第2ループ状導体22は必ずしも矩形状でなくてもよい。
【0065】
図21は第6の実施形態に係る別の受電用コイル構造体の構成図である。受電用コイル構造体206Bは第1ループ状導体21および第2ループ状導体22を備えている。第1ループ状導体21および第2ループ状導体22は、X軸方向を左右方向としたとき、左右非対称な形状である。
【0066】
第1ループ状導体21はY軸方向に長く、第2ループ状導体22はX軸方向に長い。何れも、長円形または角や辺が丸みをもった長方形状をなしている。このように、第1ループ状導体21および第2ループ状導体22は必ずしも矩形状でなくてもよい。また、丸みをもっていてもよい。
【0067】
図22(A)(B)は第6の実施形態に係るさらに別の受電用コイル構造体の構成図である。
図1等では、第1ループ状導体および第2ループ状導体を矩形状としたが、
図22(A)の受電用コイル構造体206Cに示すように、それぞれ半円形状であってもよい。これに対して点対称のもう1つの受電用コイル構造体を重ねることで全体が円形の受電用コイル構造体を構成してもよい。また、
図14に示した傾斜受電用コイル構造体210では、直角三角形状の第3ループ状導体23および第4ループ状導体24を備える例を示したが、
図22(B)の受電用コイル構造体210Cに示すように、それぞれ半円形状であってもよい。
【0068】
なお、
図14、
図22に示した傾斜受電用コイル構造体210,210Cでは、第3ループ状導体23と第4ループ状導体24とを直列接続したが、これを並列接続してもよい。