特許第6206598号(P6206598)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206598
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/12 20160101AFI20170925BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20170925BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20170925BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20170925BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20170925BHJP
   B60K 6/54 20071001ALI20170925BHJP
   B60L 11/14 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   B60W20/12ZHV
   B60W20/00 900
   B60W10/06 900
   B60W10/08 900
   B60K6/48
   B60K6/54
   B60L11/14
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-547288(P2016-547288)
(86)(22)【出願日】2014年9月9日
(86)【国際出願番号】JP2014073785
(87)【国際公開番号】WO2016038680
(87)【国際公開日】20160317
【審査請求日】2016年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤田 孝信
(72)【発明者】
【氏名】三原 清孝
(72)【発明者】
【氏名】谷 雅之
【審査官】 藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−184013(JP,A)
【文献】 特開2012−095519(JP,A)
【文献】 特開平08−240435(JP,A)
【文献】 特開2011−025778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/06 〜 10/08
B60W 20/00
B60W 20/12
B60K 6/48 〜 6/485
B60K 6/54 〜 6/547
B60L 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンとモータを含む駆動源と、走行予定経路での走行環境情報を取得するナビゲーションシステムと、を有するハイブリッド車両に搭載され、前記ハイブリッド車両の運転モードに応じて前記駆動源の制御を行う駆動源コントローラを備えたハイブリッド車両の制御装置において、
前記ハイブリッド車両は、前記運転モードとして、前記走行環境情報に基づいて低燃費走行になるように設定した走行計画に応じて前記駆動源を制御する走行計画モードと、動力性能よりも燃費性能を優先して前記駆動源を制御するエコモードと、を有し、
前記駆動源コントローラは、前記エコモードが選択されていない状態で前記走行計画モードが選択されたとき、該走行計画モードの選択を前記エコモードの設定操作と連動し、前記走行計画モードの選択が前記エコモードの設定操作と連動する際、前記走行計画モードが選択されたとき、前記エコモードを自動的に設定する
ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
エンジンとモータを含む駆動源と、走行予定経路での走行環境情報を取得するナビゲーションシステムと、を有するハイブリッド車両に搭載され、前記ハイブリッド車両の運転モードに応じて前記駆動源の制御を行う駆動源コントローラを備えたハイブリッド車両の制御装置において、
前記ハイブリッド車両は、前記運転モードとして、前記走行環境情報に基づいて低燃費走行になるように設定した走行計画に応じて前記駆動源を制御する走行計画モードと、動力性能よりも燃費性能を優先して前記駆動源を制御するエコモードと、を有し、
前記駆動源コントローラは、前記エコモードが選択されていない状態で前記走行計画モードが選択されたとき、該走行計画モードの選択を前記エコモードの設定操作と連動し、前記走行計画モードの選択が前記エコモードの設定操作と連動する際、前記走行計画モードが選択されたとき、ドライバーに対して前記エコモードの設定を誘導する
ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記駆動源コントローラは、前記走行計画を設定するときに用いる前記走行環境情報に、ドライバー特性情報を含める
ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンとモータを含む駆動源を有するハイブリッド車両の運転モードに応じて、駆動源の制御を行うハイブリッド車両の制御装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンとモータを含む駆動源と、走行予定経路での走行環境情報を取得するナビゲーションシステムと、を有するハイブリッド車両に搭載され、走行予定経路において低燃費走行となるようにアクセル操作スケジュールを設定し、設定したアクセル操作スケジュールに基づいて推奨アクセル操作を表示するハイブリッド車両の制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4905516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のハイブリッド車両の制御装置にあっては、推奨アクセル操作を表示するのみであるため、ドライバーは推奨アクセル操作を認識することはできるものの、道路状況や天候等によっては、ドライバーが推奨アクセル操作を実行できない場合がある。その結果、アクセル操作がアクセル操作スケジュールに沿ったものとならず、予め想定した駆動源制御を行うことができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、駆動源の制御を走行計画に沿ったものとすることができるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のハイブリッド車両の制御装置は、エンジンとモータを含む駆動源と、走行予定経路での走行環境情報を取得するナビゲーションシステムと、を有するハイブリッド車両に搭載され、前記ハイブリッド車両の運転モードに応じて前記駆動源の制御を行う駆動源コントローラを備えている。
そして、前記ハイブリッド車両は、前記運転モードとして、前記ナビゲーションシステムから取得した前記走行環境情報に基づいて設定した走行計画に応じて前記駆動源を制御する走行計画モードと、動力性能よりも燃費性能を優先して前記駆動源を制御するエコモードと、を有する。
また、前記駆動源コントローラは、前記エコモードが選択されていない状態で前記走行計画モードが選択されたとき、該走行計画モードの選択を前記エコモードの設定操作と連動する。
【発明の効果】
【0007】
ここで、走行環境情報に基づいて走行計画を設定しても、ドライバーの運転の仕方によっては、実際の駆動源の制御が想定と異なる場合がある。これに対し、本発明のハイブリッド車両の制御装置では、走行計画モードの選択をエコモードの設定操作と連動するため、走行計画モードの選択時にエコモードを設定すれば、ドライバーの要求駆動力を抑制して、ドライバーの運転ばらつきを低減することができる。
これにより、ドライバーの運転による想定外のエンジン始動を抑制することができ、走行計画に合わせて駆動源の制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の制御装置が適用されたハイブリッド車両を示す全体システム図である。
図2】実施例1の車両制御部にて実行される運転モード設定処理の流れを示すフローチャートである。
図3】第1比較例の制御装置において「走行計画モード」設定時の推定車速・予定走行モード・実車速・実走行モードの各特性を示すタイムチャートである。
図4】実施例1の制御装置において「走行計画モード」設定時の推定車速・予定走行モード・実車速・実車速モードの各特性を示すタイムチャートである。
図5】実施例2のハイブリッド車両の制御装置が適用されたハイブリッド車両を示す全体システム図である。
図6】第2比較例の制御装置において「走行計画モード」設定時の推定車速・予定走行モードの各特性を示すタイムチャートである。
図7】実施例2の制御装置において「走行計画モード」設定時の推定車速・予定走行モードの各特性を示すタイムチャートである。
図8】本発明の他の例の車両制御部にて実行される運転モード設定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
【0010】
(実施例1)
まず、実施例1におけるハイブリッド車両の制御装置の構成を、「ハイブリッド車両の全体システム構成」、「車両制御システムの構成」、「運転モード設定処理の構成」に分けて説明する。
【0011】
[ハイブリッド車両の全体システム構成]
図1は、実施例1のハイブリッド車両の制御装置が適用されたハイブリッド車両を示す全体システム図である。以下、図1に基づき、実施例1のハイブリッド車両の全体システム構成を説明する。
【0012】
実施例1におけるハイブリッド車両Sは、後輪駆動によるFRハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)である。このハイブリッド車両Sの駆動系は、図1に示すように、エンジンEngと、第1クラッチCL1と、モータ/ジェネレータMGと、第2クラッチCL2と、自動変速機ATと、変速機入力軸INと、プロペラシャフトPSと、ディファレンシャルDFと、左ドライブシャフトDSLと、右ドライブシャフトDSRと、左後輪RL(駆動輪)と、右後輪RR(駆動輪)と、を有する。なお、FLは左前輪、FRは右前輪である。
【0013】
前記エンジンEngは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、ハイブリッド車両Sの駆動源である。このエンジンEngは、車両制御部1からのエンジン制御指令に基づいて、エンジン始動制御やエンジン停止制御やスロットルバルブのバルブ開度制御やフューエルカット制御等が行われる。なお、エンジン出力軸には、フライホイールFWを介して第1クラッチCL1が接続されている。
【0014】
前記第1クラッチCL1は、前記エンジンEngとモータ/ジェネレータMGの間に介装されたクラッチであり、車両制御部1からの制御指令に基づいて図示しない油圧ユニットにより作り出された第1クラッチ制御油圧により、締結・スリップ締結・解放が制御される。この第1クラッチCL1としては、例えば、ダイアフラムスプリングによる付勢力にて完全締結を保ち、ピストンを有する油圧アクチュエータを用いたストローク制御により、完全締結〜スリップ締結〜完全解放までが制御されるノーマルクローズの乾式単板クラッチが用いられる。なお、この第1クラッチCL1は、モータ/ジェネレータMGのみを走行駆動源とする電気自動車モードと、エンジンEngとモータ/ジェネレータMGの双方を走行駆動源とするハイブリッド車モードと、を切り替えるモード切り替え手段となっている。
【0015】
前記モータ/ジェネレータMGは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータ/ジェネレータであり、ハイブリッド車両Sの駆動源である。このモータ/ジェネレータMGは、車両制御部1からの制御指令に基づいて、インバータ2により作り出された三相交流を印加することにより制御される。このモータ/ジェネレータMGは、バッテリ3からの電力の供給を受けて回転駆動し、エンジンEngの始動や左右後輪RL,RRの駆動を行う電動機として動作することもできる(以下、この動作状態を「力行」という)し、ロータがエンジンEngや左右後輪RL,RRから回転エネルギーを受ける場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能し、バッテリ3を充電することもできる(以下、この動作状態を「回生」という)。なお、このモータ/ジェネレータMGのロータは、自動変速機ATの変速機入力軸INに連結されている。
【0016】
前記第2クラッチCL2は、前記モータ/ジェネレータMGと左右後輪RL,RRの間に介装されたクラッチであり、車両制御部1からの制御指令に基づいて図示しない油圧ユニットにより作り出された第2クラッチ制御油圧により、締結・スリップ締結・解放が制御される。この第2クラッチCL2としては、例えば、比例ソレノイドで油流量および油圧を連続的に制御できるノーマルオープンの湿式多板クラッチや湿式多板ブレーキが用いられる。
【0017】
前記自動変速機ATは、モータ/ジェネレータMGと左右後輪RL,RRの間に介装され、例えば、前進7速/後退1速等の有段階の変速段を車速やアクセル開度等に応じて自動的に切り替える有段変速機である。この自動変速機ATの変速機出力軸には、プロペラシャフトPSが連結されている。そして、このプロペラシャフトPSは、ディファレンシャルDF、左ドライブシャフトDSL、右ドライブシャフトDSRを介して左右後輪RL,RRに連結されている。なお、実施例1では、自動変速機ATの各変速段にて締結される複数の摩擦締結要素のうち、トルク伝達経路に配置されると共に所定の条件に適合する最適な摩擦締結要素(クラッチやブレーキ)を選択し、第2クラッチCL2としている。すなわち、前記第2クラッチCL2は、自動変速機ATとは独立の専用クラッチとして新たに追加したものではない。
【0018】
そして、このハイブリッド車両Sは、駆動形態の違い、つまり走行駆動源の違いによる走行モードとして、電気自動車モード(以下、「EVモード」という)と、ハイブリッド車モード(以下、「HEVモード」という)と、を有する。
【0019】
前記「EVモード」は、第1クラッチCL1を解放状態とし、エンジンEngを停止してモータ/ジェネレータMGの駆動力のみで走行するモードである。この「EVモード」は、モータ走行モード・回生走行モードを有する。この「EVモード」は、要求駆動トルクが低く、バッテリ3の充電残量(以下、「バッテリSOC(State Of Chargeの略)」という)が確保されているときに選択される。
【0020】
前記「HEVモード」は、第1クラッチCL1を締結状態とし、エンジンEngとモータ/ジェネレータMGの双方の駆動力で走行するモードである。この「HEVモード」は、モータアシスト走行モード・発電走行モード・エンジン走行モード・を有する。この「HEVモード」は、要求駆動トルクが高いとき、あるいは、バッテリSOCが不足するようなときに選択される。
【0021】
さらに、このFRハイブリッド車両Sは、駆動源の制御方法の違いによる運転モードとして、「通常モード」と、「走行計画モード」と、を有する。さらに、「通常モード」や「走行計画モード」時での駆動源の制御方法の違いによる運転モードとして、「エコモード」と、「スポーツモード」と、「ノーマルモード」と、を有する。
【0022】
前記「通常モード」は、ドライバーの要求駆動力に基づいて、予め設定された走行モード設定マップ(不図示)を検索して走行モードを選択し、その時々で選択された走行モードに応じて駆動源を制御するモードである。なお、この「通常モード」の設定は、「走行計画モード」が設定されなかった場合に自動的に行われる。
【0023】
前記「走行計画モード」は、後述するナビゲーションシステム4によって設定された走行予定経路での走行環境情報に基づいて、低燃費走行になるように走行計画(予定走行モード)を設定し、この走行計画に応じて駆動源を制御するモードである。すなわち、この「走行計画モード」では、まず走行予定経路を複数の区間に区分けし、各区間について走行環境情報に基づきドライバーの要求駆動力を想定する。そして、想定された要求駆動力に応じて、各区間での走行モードを設定し、走行計画(予定走行モード)とする。そして、この走行計画によって設定された走行モードにおいて、低燃費走行となるようにエンジンEngやモータ/ジェネレータMG等の駆動源を制御する。
なお、この「走行計画モード」では、ドライバーの運転の仕方等によって想定と異なる要求駆動力が発生し、走行計画と異なる走行モードを選択せざる得ない場合には、実際に発生したドライバーの要求駆動力に基づいて選択される走行モードを優先する。また、この「走行計画モード」の設定は、図示しない設定ボタンをドライバーが手動でON操作することで行われる。
【0024】
前記「エコモード」は、動力性能よりも燃費性能を優先し、「スポーツモード」や「ノーマルモード」と比較して燃料消費率が抑制されるように駆動源を制御するモードである。つまり、同じアクセル操作量に対して「スポーツモード」や「ノーマルモード」よりも目標駆動力を小さい値に設定する。なお、この「エコモード」の設定は、図示しない設定ボタンをドライバーが手動でON操作することで行われると共に、後述するように「走行計画モード」の選択に連動して自動的に行われる。
【0025】
前記「スポーツモード」は、燃費性能よりも動力性能を優先し、「ノーマルモード」と比較して同じアクセル操作量に対して目標駆動力を大きな値に設定し、この比較的大きい値になる目標駆動力を実現するように駆動源を制御するモードである。なお、この「スポーツモード」の設定は、図示しない設定ボタンをドライバーが手動でON操作することで行われる。
【0026】
前記「ノーマルモード」は、アクセル操作量に対して所定の目標駆動力を予め設定しておき、この目標駆動力を実現するように駆動源を制御するモードである。なお、この「ノーマルモード」の設定は、「エコモード」又は「スポーツモード」が設定されなかった場合に自動的に行われる。
【0027】
[車両制御システムの構成]
実施例1におけるFRハイブリッド車両Sの車両制御システムは、図1に示すように、車両制御部1と、インバータ2と、バッテリ3と、ナビゲーションシステム4と、通信ユニット5と、を有して構成されている。
【0028】
前記車両制御部1(駆動源コントローラ)は、マイクロコンピュータとその周辺部品や各種アクチュエータなどを備え、車速センサ6Aからの車速情報や、アクセル開度センサ6Bからのアクセル開度情報、バッテリSOCを常時監視するSOC監視部6CからのバッテリSOC情報、気温計や湿度計等を含み、温度や湿度、雨、雪、風等の気候状態を検出する気候センサ6Dからの気候情報、ナビゲーションシステム4からの走行予定経路での走行環境情報、等が入力される。
そして、エンジンEngの回転速度や出力トルク、第1クラッチCL1,第2クラッチCL2の締結・スリップ締結・解放、モータ/ジェネレータMGの回転速度や出力トルク、自動変速機ATの変速段などを制御する。また、この車両制御部1では、後述する運転モード設定処理を実行する。さらに、運転モードとして「走行計画モード」が選択されたときには、ナビゲーションシステム4から入力された走行環境情報に基づいて、低燃費走行になるように走行予定経路での走行計画を設定し、この走行計画に応じてエンジンEngやモータ/ジェネレータMG等の駆動源を制御する。
【0029】
前記ナビゲーションシステム4は、記憶部4aと、演算部4bと、ディスプレイ(不図示)と、を有している。前記記憶部4aは、道路曲率半径、勾配、交差点、信号、踏み切り、横断歩道、制限速度、料金所等の道路情報や、道路属性情報(高速道路・幹線道路・一般道・住宅街等)を含む地図情報を記憶している。前記演算部4bは、衛星からの信号を受信し、このハイブリッド車両Sの地球上の絶対位置を検出する。そして、記憶部4aに記憶されている地図を参照し、ハイブリッド車両Sが存在している位置(現在地)を特定すると共に、この現在地から目的地までの走行予定経路を設定する。この走行予定経路及びその経路上の道路情報・道路属性情報(走行環境情報)は、車両制御部1に入力される。また、不図示のディスプレイは、車室内に設けられ、ドライバーから目視可能となっている。
【0030】
前記通信ユニット5は、ナビゲーションシステム4に接続されると共に、図示しない無線基地局及びインターネット等の通信ネットワークを介して、交通情報や統計交通データ、渋滞情報等を有するデータセンタ8との無線通信(テレマティクス通信)を行う。この「通信」は双方向であり、通信ユニット5を介して、ナビゲーションシステム4からデータセンタ8へと情報を送信することや、通信ユニット5を介して、データセンタ8から情報を受信してナビゲーションシステム4へ入力することが可能である。
なお、前記通信ユニット5としては、携帯電話機、DSRC、無線LANなど様々なものを採用することができる。
【0031】
[運転モード設定処理の構成]
図2は、実施例1の車両制御部にて実行される運転モード設定処理の流れを示すフローチャートである。以下、運転モード設定処理内容を示す図2のフローチャートの各ステップについて説明する。
【0032】
ステップS1では、ドライバーによる目的地の入力がなされ、ナビゲーションシステム4によって現在地から目的地までの走行予定経路が設定されたか否かを判断する。なお目的地の入力はドライバーの操作のみならず、ナビゲーションシステム4が過去の走行履歴などから目的地を推定した場合も含まれる。YES(走行予定経路設定済み)の場合には、ステップS2へ進む。NO(走行予定経路未設定)の場合には、ステップS1を繰り返す。
【0033】
ステップS2では、ステップS1での走行予定経路設定済みとの判断に続き、エコモードが選択されていない状態で「走行計画モード」が選択されているか否かを判断する。YES(エコモード=OFF,走行計画モード=ON)の場合にはステップS3へ進む。NO(エコモードON又は走行計画モードOFF)の場合にはエンドへ進む。
【0034】
ステップS3では、ステップS2でのエコモード=OFF,走行計画モード=ONとの判断に続き、「エコモード」の設定を自動的に行い、ステップS4へ進む。すなわち、ステップS2において「走行計画モード」の選択したとき、この「走行計画モード」の選択が「エコモード」の設定操作に連動される。
ここで、運転モードとしては、ステップS2において「走行計画モード」がすでに選択されているため、並行して「エコモード」が設定されることになる。
【0035】
ステップS4では、ステップS3でのエコモードの設定に続き、走行予定経路における走行計画を設定し、ステップS5へ進む。
ここで、走行計画の設定は、走行予定経路を複数の区間に区分けした上で、各区間について走行環境情報に基づきドライバーの要求駆動力を想定する。そして、想定された要求駆動力に応じて、各区間での走行モードを設定する。走行計画の設定に用いる「走行環境情報」は、ナビゲーションシステム4からの道路情報や道路属性情報、車速センサ6Aからの車速情報や、アクセル開度センサ6Bからのアクセル開度情報、SOC監視部6CからのバッテリSOC情報、気候センサ6Dからの気候情報、さらに図示しないカメラやレーダーによって得られる周囲情報である。
【0036】
ステップS5では、ステップS4での走行計画の設定に続き、設定した走行計画に応じてエンジンEngやモータ/ジェネレータMGからなる駆動源を含むパワートレインの制御を行い、エンドへ進む。
ここで、「エコモード」が設定されているので、「スポーツモード」や「ノーマルモード」と比較して燃料消費率が抑制されるように駆動源は制御される。つまり、ドライバーによるアクセル操作量に対して比較的小さい目標駆動力が設定され、例えば車速は抑制される。
【0037】
次に、作用を説明する。
まず、「第1比較例のハイブリッド車両の制御装置における走行計画設定作用とその課題」を説明し、続いて、実施例1のハイブリッド車両の制御装置の走行計画設定作用を説明する。
【0038】
[第1比較例のハイブリッド車両の制御装置における走行計画設定作用とその課題]
図3は、第1比較例の制御装置において「走行計画モード」設定時の推定車速・予定走行モード・実車速・実走行モードの各特性を示すタイムチャートである。以下、図3に基づき、第1比較例の制御装置における走行計画設定作用とその課題を説明する。
【0039】
第1比較例のハイブリッド車両の制御装置では、運転モードとして「走行計画モード」が選択されたとき、「エコモード」、「スポーツモード」、「ノーマルモード」のうち、既に設定されているいずれかの運転モードを継続する。例えば、「エコモード」が設定されず、「ノーマルモード」が設定されている状態で「走行計画モード」が選択されたときには、「ノーマルモード」のまま走行計画を設定し、設定した走行計画に応じて「ノーマルモード」のまま駆動源の制御を行う。
【0040】
すなわち、図3に示すように、まず、走行予定経路を複数の区間(ここでは、区間1〜区間5)に区分けする。そして、各区間ごとに走行環境情報を取得し、この取得した走行環境情報に基づいて推定車速を求める。なお、この推定車速は、各区間の平均車速とする。
【0041】
そして、この推定車速に基づいて走行計画(予定走行モード)を設定するが、ここでは、推定車速が予め設定した切替閾値よりも小さければ予定走行モードを「EVモード」に設定し、推定車速が切替閾値以上であれば予定走行モードを「HEVモード」に設定する。これにより、予定走行モードは、区間1、区間2、区間4で「EVモード」になり、区間3、区間5で「HEVモード」になる。つまり、区間1、区間2、区間4ではモータ/ジェネレータMGのみを走行駆動源とする「EVモード」にて走行し、区間3、区間5ではエンジンEngとモータ/ジェネレータMGを走行駆動源とする「HEVモード」にて走行することで、低燃費走行を図ることができる。なお、予定走行モードは推定車速のみならず、勾配情報や、渋滞/信号数などから推定した推定発進停止回数、加速シーンの有無などパワートレインの効率推定に基づいて予定走行モードを決定、変更することも可能である。
【0042】
これに対し、実際にドライバーが走行したときの車速を、実車速にて示す。ここでは、区間1〜区間4において推定車速よりも実車速が上回り、区間5において推定車速よりも実車速が下回った。なお、このとき「ノーマルモード」であるため、ドライバーのアクセル操作量に対して予め設定した所定の目標駆動力を実現するように駆動源は制御される。つまり、ドライバーのアクセル操作がそのまま実車速に反映される。
そして、この「走行計画モード」では、実際に発生したドライバーの要求駆動力に基づいて選択される走行モードを、走行計画にて設定された走行モードよりも優先する。このため、実車速が切替閾値を下回った区間1、区間4、区間5では、実走行モードが「EVモード」に設定される。一方、実車速が切替閾値を上回った区間2、区間3では、実走行モードが「HEVモード」に設定される。
【0043】
この結果、区間2及び区間5では、走行計画(予定走行モード)と異なった走行モードにより駆動源の制御を行うことになる。そのため、低燃費走行を行うことができず、燃費が悪化するという問題が生じる。
【0044】
[走行計画設定作用]
図4は、実施例1の制御装置において「走行計画モード」設定時の推定車速・予定走行モード・実車速・実走行モードの各特性を示すタイムチャートである。以下、図4に基づき、実施例1の制御装置における走行計画設定作用を説明する。
【0045】
実施例1のハイブリッド車両の制御装置において、ドライバーの操作によってナビゲーションシステム4に目的地情報が入力されると、ナビゲーションシステム4に記憶された地図情報等に基づき、現在地から目的地までの走行予定経路が設定される。これにより、図2に示すフローチャートのステップS1においてYESと判断され、ステップS2へ進み、運転モードとして「走行計画モード」が選択されていればステップS2→ステップS3へと進み、「エコモード」を自動的に設定する。
これにより、運転モードは、「走行計画モード」と「エコモード」が並行して設定されることになる。
【0046】
「エコモード」が設定されたら、ステップS4へと進み走行計画を設定する。これは、第1比較例の制御装置と同様に、まず、走行予定経路を複数の区間(ここでは、区間1〜区間5)に区分けする。そして、各区間ごとにナビゲーションシステム4や各種のセンサから、道路情報や車速情報等の走行環境情報を取得し、この取得した走行環境情報に基づいて推定車速を求める。
なお、このとき「エコモード」が設定されていることで、ドライバーの運転のばらつきを低減することができると想定され、走行予定経路での車速、加減速、電力消費量、燃料消費量等の走行環境情報の推定精度が容易になる。
【0047】
そして、推定車速に基づいて走行計画(予定走行モード)を設定する。ここでは、推定車速が切替閾値よりも小さいことから、区間1、区間2、区間4では予定走行モードを「EVモード」に設定し、推定車速が切替閾値以上であることから、区間3、区間5では予定走行モードを「HEVモード」に設定する。
【0048】
これにより、区間1、区間2、区間4において「EVモード」にて走行し、区間3、区間5において「HEVモード」にて走行することで、低燃費走行を行うことができる。
そして、走行計画を設定したら、ステップS5に進み、この走行計画に応じて駆動源を含むパワートレイン制御を行う。
【0049】
これに対し、実際にドライバーが走行したときの車速を、実車速にて示す。ここで、実施例1では、「走行計画モード」の選択したとき、この「走行計画モード」の選択を「エコモード」の設定操作に連動している。そのため、同じアクセル操作量であっても、「エコモード」に設定されていることで、「ノーマルモード」の場合と比べて車速が低下する。
つまり、比較のために、図4において一点鎖線にて示した「ノーマルモード」での実車速と比べて、この実施例1では、例えば同じアクセル操作量であっても実車速は低い値になる。この結果、走行モードを決定する切替閾値が変化(上昇)する。
【0050】
これにより、区間2において、第1比較例では走行計画と異なる走行モードに設定されてしまうものの、実施例1では実車速の引き下げを図ることができる。このため、実走行モードを、予定走行モードと同じ「EVモード」に設定することができる。
これにより、ドライバーの運転による想定外のエンジン始動を抑制することができ、低燃費走行を実現するための走行計画に合わせて駆動源の制御を行うことができる。
【0051】
また、区間5では、「エコモード」に設定したことで実車速が引き下がり、この実車速が切替閾値を下回る。しかし、区間2において「EVモード」で走行することで、バッテリSOCを想定通り消費しておくことができる。そのため、実走行モードを、予定走行モードと同じ「HEVモード」に設定することができる。すなわち、区間5に至るまでの間に走行計画に合わせた駆動源の制御を行ってきたことで、実車速に拘らず必要に応じて走行計画に合わせた駆動源の制御を行うことができる。
なお、第1比較例の場合では、区間2において「HEVモード」に設定されてしまったことで、区間5を走行するタイミングでは、バッテリSOCが想定よりも過剰になってしまう。そのため、区間5では「HEVモード」に設定することが難しい。つまり、第1比較例の制御装置では、想定外のエンジン始動が生じたことで、区間5において例えばバッテリSOC等の影響で走行計画に合わせた駆動源の制御を行うことができなくなってしまう。
【0052】
このように、運転モードとして「エコモード」が選択されていない状態で「走行計画モード」が選択されたとき、この「走行計画モード」の選択を「エコモード」の設定操作と連動させたことで、ドライバーの要求駆動力を抑制して、ドライバーの運転ばらつきを低減することができる。そのため、ドライバーの運転による想定外のエンジン始動を抑制することができ、走行計画に合わせて駆動源の制御を行うことができる。そして、走行計画に合わせた駆動源の制御を行うことで、低燃費走行が可能になり、燃費の向上を図ることができる。
【0053】
また、この実施例1では、「走行計画モード」の選択が「エコモード」の設定操作と連動する際、この「走行計画モード」が選択されたとき、「エコモード」を自動的に設定する。
そのため、ドライバーによる手動での「エコモード」の設定操作を不要とし、「走行計画モード」の選択時に確実に「エコモード」を設定することができる。この結果、ドライバーの運転による想定外のエンジン始動を抑制して、走行計画に合わせて駆動源の制御を行うことができる。
【0054】
次に、効果を説明する。
実施例1のハイブリッド車両の制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0055】
(1) エンジンEngとモータ(モータ/ジェネレータMG)を含む駆動源と、走行予定経路での走行環境情報を取得するナビゲーションシステム4と、を有するハイブリッド車両Sに搭載され、前記ハイブリッド車両Sの運転モードに応じて前記駆動源(エンジンEng、モータ/ジェネレータMG)の制御を行う駆動源コントローラ(車両制御部1)を備えたハイブリッド車両の制御装置において、
前記ハイブリッド車両Sは、前記運転モードとして、前記ナビゲーションシステム4から取得した前記走行環境情報に基づいて低燃費走行になるように設定した走行計画に応じて前記駆動源(エンジンEng、モータ/ジェネレータMG)を制御する「走行計画モード」と、動力性能よりも燃費性能を優先して前記駆動源(エンジンEng、モータ/ジェネレータMG)を制御する「エコモード」と、を有し、
前記駆動源コントローラ(車両制御部1)は、前記「エコモード」が選択されていない状態で前記「走行計画モード」が選択されたとき、該「走行計画モード」の選択を前記「エコモード」の設定操作と連動する構成とした。
これにより、駆動源の制御を走行計画に沿ったものとすることができ、低燃費走行が可能になり、燃費の向上を図ることができる。
【0056】
(2) 前記駆動源コントローラ(車両制御部1)は、前記「走行計画モード」の選択が前記「エコモード」の設定操作と連動する際、前記「走行計画モード」が選択されたとき、前記「エコモード」を自動的に設定する構成とした。
これにより、(1)の効果に加え、ドライバーによる「エコモード」の設定操作を不要とし、「走行計画モード」の選択時に確実に「エコモード」を設定して、走行計画に合わせて駆動源の制御を行うことができる。
【0057】
(実施例2)
実施例2は、ドライバーのアクセル操作やブレーキ操作等のドライバー特性を考慮した上で走行計画を設定する例である。
【0058】
図5は、実施例2のハイブリッド車両の制御装置が適用されたハイブリッド車両を示す全体システム図である。以下、図5に基づき、実施例2のハイブリッド車両の制御装置を説明する。なお、実施例1と同様の構成については、実施例1と同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0059】
実施例2の車両制御部1Aは、図5に示すように、履歴記憶部1bを有している。
前記履歴記憶部1bは、ドライバーのハンドル操作やアクセル操作、ブレーキ操作といったドライバー特性の履歴を記憶する。
【0060】
そして、前記車両制御部1Aは、履歴記憶部1bから入力されるドライバー特性の履歴に基づいてドライバー特性情報を演算し、「走行計画モード」が選択されたことで走行予定経路での走行計画を設定するとき、走行環境情報にドライバー特性情報を含める。つまり、ドライバー特性を考慮して走行計画を設定する。
【0061】
次に、実施例2の作用を説明する。
まず、「第2比較例のハイブリッド車両の制御装置における走行計画設定作用とその課題」を説明し、続いて、実施例2のハイブリッド車両の制御装置の走行計画設定作用を説明する。
【0062】
図6は、第2比較例の制御装置において「走行計画モード」設定時の推定車速・予定走行モードの各特性を示すタイムチャートである。以下、図6に基づき、第2比較例の制御装置における走行計画設定作用とその課題を説明する。
【0063】
第2比較例のハイブリッド車両の制御装置では、運転モードとして「走行計画モード」が選択されたとき、「エコモード」、「スポーツモード」、「ノーマルモード」のうち、既に設定されているいずれかの運転モードを継続する。さらに、履歴記憶部1bに記憶されたドライバー特性の履歴に基づいて演算されたドライバー特性情報を考慮して、走行計画を設定する。
【0064】
すなわち、図6に示すように、走行予定経路を複数の区間(ここでは、区間1〜区間5)に区分けし、各区間ごとに走行環境情報を取得し、推定車速を求める。このとき取得する走行環境情報に、ドライバー特性情報を含むことで、推定車速を演算する際に、ドライバー特性を考慮することができる。
なお、この図6に示す走行予定経路は、実施例1と同一経路とし、区間1、区間2、区間4で「EVモード」とし、区間3、区間5で「HEVモード」とすることで、低燃費走行を行うことができる経路とする。
【0065】
これに対し、第2比較例の制御装置における推定車速は、ドライバー特性を考慮した結果、図6に示すように、区間2及び区間3で切替閾値以上になり、区間1、区間4、区間5で切替閾値を下回る。そのため、予定走行モード(走行計画)は、区間1、区間4、区間5で「EVモード」になり、区間2、区間3で「HEVモード」になる。
【0066】
ここで、低燃費走行を実現するためには、上述のように区間2において「EVモード」とし、区間5において「HEVモード」とする必要がある。しかしながら、ドライバー特性を考慮し、ドライバー操作による想定外のエンジン始動を防止すると共に、ドライバーの要求駆動力に適切に応えるためには、燃費効率の比較的低い走行計画にせざるを得ないという問題が生じる。
【0067】
[走行計画設定作用]
図7は、実施例2の制御装置において「走行計画モード」設定時の推定車速・予定走行モードの各特性を示すタイムチャートである。以下、図7に基づき、実施例2の制御装置における走行計画設定作用を説明する。
【0068】
実施例2のハイブリッド車両の制御装置において、走行予定経路が設定され、運転モードとして「走行計画モード」が選択されていれば、「エコモード」を自動的に設定する。そして、「エコモード」が設定されたら、走行環境情報に基づいて走行予定経路における走行計画を設定する。
このとき、第2比較例と同様に走行環境情報にドライバー特性情報を含め、ドライバー特性を考慮して走行計画を設定する。
【0069】
ここで、実施例2では、「走行計画モード」を選択したことで、すでに「エコモード」が設定されている。そのため、走行計画を設定する際に用いる推定車速は、「エコモード」を設定しない第2比較例の場合と比べて、引き下げることができる。つまり、走行モードを決定する切替閾値を変化(上昇)させることができる。この結果、図7に示すように、区間1、区間2、区間4、区間5において、推定車速が切替閾値を下回り、区間3において、推定車速が切替閾値以上となる。
【0070】
これにより、区間2では、予定走行モードを、低燃費走行を実現できる「EVモード」に設定することができる。一方、区間5については、区間2において「EVモード」で走行可能としたことで、区間5を走行するタイミングではバッテリSOCを十分に消費した状態にすることができるとし、予定走行モードを、低燃費走行を実現できる「HEVモード」に設定することができる。
この結果、ドライバー特性を考慮して設定された走行計画(第2比較例の走行計画)を修正し、低燃費走行を実現できるような走行計画を設定することができて、燃費の向上を図ることができる。
【0071】
すなわち、この実施例2では、ドライバー特性情報を走行環境情報に含めることで、走行計画の精度を向上して、ドライバーの運転による想定外のエンジン始動を抑制しつつ、「エコモード」の設定を前提とした走行計画を設定することができるため、低燃費走行を実現可能な走行計画にすることができる。
【0072】
実施例2のハイブリッド車両の制御装置にあっては、下記に挙げる効果を得ることができる。
【0073】
(3) 前記駆動源コントローラ(車両制御部1)は、前記走行計画を設定するときに用いる前記走行環境情報に、ドライバー特性情報を含める構成とした。
これにより、(1)又は(2)の効果に加え、走行計画の精度を向上して、ドライバーの運転による想定外のエンジン始動を抑制しつつ、低燃費走行を実現可能な走行計画とすることができる。
【0074】
以上、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実施例1及び実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0075】
実施例1及び実施例2では、運転モードとして「走行計画モード」が選択されたら、「エコモード」が自動的に設定される例を示した。しかしながら、「走行計画モード」の選択が「エコモード」の設定操作と連動すればよいので、例えば、図8に示すフローチャートのように、ステップS2において「走行計画モード」が選択されたら、ステップS3Aと進み、ドライバーに対して「エコモード」の設定を誘導するものであってもよい。この場合では、「エコモード」の設定自体はドライバーによる手動操作によって行われる。
【0076】
これにより、ドライバーが「エコモード」を設定すれば、ドライバー操作が抑制され、ドライバーの運転による想定外のエンジン始動を抑制することができて、低燃費走行を実現するための走行計画に合わせて駆動源の制御を行うことができる。
また、「エコモード」の設定自体は、ドライバーによる手動操作で行うため、ドライバーの意思を尊重した制御を行うことができる。
【0077】
なお、『「エコモード」の設定を誘導する』とは、例えば、図示しないナビゲーションシステム4のディスプレイに「エコモード」の設定画面を表示したり、「エコモード」の設定ボタンを発光させたりすることである。また、音声によって「エコモード」の設定をドライバーに促すものであってもよい。
【0078】
また、実施例1及び実施例2では、走行計画の設定を、走行予定経路を複数の区間に区分けした上で、各区間について予定走行モードを設定することで行う例を示したが、これに限らない。例えば、バッテリSOCの消費管理を計画したり、予定走行モードが「HEVモード」である区間において、エンジンEngとモータ/ジェネレータMGの駆動力配分を設定したりするものであってもよい。
【0079】
また、上述の実施例では、走行予定経路を設定し、「走行計画モード」が選択されたら、予め設定した走行予定経路の全体を複数の区間に分割し、各区間の走行計画を設定する例を示したが、これに限らない。例えば、現在地に対して一区間先を予測し、この一区間ごとに走行計画を設定するものであってもよい。
【0080】
そして、上述の実施例では、ハイブリッド車両SとしてFRハイブリッド車両とする例を示したが、例えば、FFハイブリッド車両であってもよいし、モータによって走行し、エンジンによって発電機を駆動するシリーズ型のハイブリッド車両であってもよい。さらに、プラグインハイブリッド車両であってもよい。すなわち、エンジンとモータを有するハイブリッド車両であれば、本発明の制御装置を適用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8