特許第6206617号(P6206617)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6206617栽培装置、壁面緑化システム及び養液循環方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6206617
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】栽培装置、壁面緑化システム及び養液循環方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 27/02 20060101AFI20170925BHJP
   A01G 27/00 20060101ALI20170925BHJP
   A01G 31/00 20060101ALI20170925BHJP
   A01G 9/12 20060101ALI20170925BHJP
   A01G 1/00 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   A01G27/02 B
   A01G27/00 502L
   A01G31/00 601B
   A01G9/12 A
   A01G1/00 301C
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-505587(P2017-505587)
(86)(22)【出願日】2016年8月31日
(86)【国際出願番号】JP2016075549
【審査請求日】2017年1月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】江木 和泉
(72)【発明者】
【氏名】小畠 正至
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−303860(JP,A)
【文献】 実開昭52−103154(JP,U)
【文献】 特公昭58−050690(JP,B1)
【文献】 特開2003−102223(JP,A)
【文献】 特開2015−084711(JP,A)
【文献】 特開2001−346459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 27/02 − 27/06
A01G 31/00 − 31/06
A01G 9/00 − 9/26
A01G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養液貯留部と、
前記培養液貯留部の上部空間の長手方向の一側に設けられた培地収容部及び前記上部空間の長手方向の他側に設けられ、前記培地収容部よりも狭い肥料収容部と、
前記培養液貯留部から上方に延び、さらに前記肥料収容部及び培地収容部の上部を長手方向に延びるとともに、前記肥料収容部及び前記培地収容部に養液を散水する送液ラインと、
前記送液ラインに前記養液を送液する送液ポンプと、
を備える栽培装置。
【請求項2】
前記肥料収容部は、前記培地収容部に対して、前記送液ポンプが配置されている側に設けられている、
請求項1に記載の栽培装置。
【請求項3】
前記培養液貯留部に延びているフロートと、
前記フロート及び給水源に連結されたフロート弁と、を備え、
前記培養液貯留部内の水位に対応した前記フロートの位置による前記フロート弁の開閉により、前記給水源からの前記培養液貯留部への給水及び給水停止が行われる、
請求項1または2に記載の栽培装置。
【請求項4】
前記送液ポンプから散水ラインに延びるパイプの途中に切換バルブが設けられ、前記切換バルブの一方は散水ライン、他方には排水パイプが連結されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の栽培装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の栽培装置、及び、
前記培養液貯留部及び前記培地収容部の外周に装着される装着部と、
前記装着部に対して着脱可能で、前記培地収容部の上部に配置される誘引部と、
を備える架台、
を具備する壁面緑化システム。
【請求項6】
養液が貯留された培養液貯留部の上部空間の長手方向の一側に設けられた培地収容部に配置された培地及び前記上部空間の長手方向の他側に設けられ、前記培地収容部よりも狭い肥料収容部に配置された肥料に前記養液を送液するとともに散水し、
前記養液を前記培地に潅水するとともに、前記養液により肥料を溶解させ、
前記培地に吸収されなかった前記養液及び、溶解された前記肥料を含むことにより肥料成分が高くなった前記養液を、前記培養液貯留部に流下させ、
前記培養液貯留部に、前記上部空間に散水される前記養液を貯留する、
養液循環方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の栽培装置、壁面緑化システム及び養液循環方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、壁面緑化は、都市部で問題になっているヒートアイランド現象の緩和策、省エネ対策の他にも多くの効果が期待できる。しかし、壁面緑化は、立体的に緑化する必要があるため、設置コストが高くなる傾向がある。また、壁面緑化は完成後も美観を維持するための管理に多大な労力と費用が必要であることから、広く普及するに至っていない。
【0003】
壁面を緑化する方法の多くは、土面を利用して植物を栽培するものである。しかし、土面が確保できない等の制約がある場所での壁面緑化には、栽培容器としてプランタが用いられる。プランタを用いた壁面緑化における潅水は、培地に水道水を散水する掛け流し方法が多く採用されている。
【0004】
また、かけ流し以外の潅水方法として、底面給水という方法もある(特許文献1参照)。特許文献1に記載のプランタは、屋外に設置されるもので、上端が開口したハウジングと、このハウジング内の下部に有底状に設けられ最も蒸発散する時期に空にならない程度の水量を貯える貯水槽と、上記ハウジング内の上部に設けられ過剰に含んだ雨水を上記貯水槽へ落下させる培地と、この貯水槽の水を上記培地の乾燥時に上記培地へ供給する給水部材とを備えた無灌水式プランタである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−23065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の、かけ流しを行う場合、肥料管理が難しく、またプランタ毎に施肥作業を行わなければならないため手間がかかる。
特許文献1記載の底面給水は、給水部材の毛細現象によるものであり、十分な給水が行われない可能性がある。また、均一な給水も困難である。
【0007】
本発明は、肥料管理及び給水管理が簡便な栽培装置、壁面緑化システム及び養液循環方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、培養液貯留部と、前記培養液貯留部の上部空間に設けられた培地収容部及び肥料収容部と、前記培養液貯留部から前記上部空間に延びるとともに、前記上部空間に養液を散水する送液ラインと、前記送液ラインに前記養液を送液する送液ポンプと、を備える栽培装置である。
【0009】
前記肥料収容部は、前記培地収容部に対して、前記送液ポンプが配置されている側に設けられていることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、培養液貯留部と、前記培養液貯留部の上部空間に設けられた培地収容部及び肥料収容部と、前記培養液貯留部から前記上部空間に延びるとともに、前記上部空間に養液を散水する送液ラインと、前記送液ラインに前記養液を送液する送液ポンプと、を備える栽培装置、及び、前記培養液貯留部及び前記培地収容部の外周に装着される装着部と、前記装着部に対して着脱可能で、前記培地収容部の上部に配置される誘引部と、を備える架台、を具備する壁面緑化システムである。
【0011】
さらに、本発明は、養液が貯留された培養液貯留部の上部空間に配置された培地及び肥料に前記養液を送液するとともに散水し、前記養液を前記培地に潅水するとともに、前記養液により肥料を溶解させ、前記培地に吸収されなかった前記養液及び、溶解された前記肥料を含むことにより肥料成分が高くなった前記養液を、前記培養液貯留部に流下させ、前記培養液貯留部に、前記上部空間に散水される前記養液を貯留する、養液循環方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、肥料管理及び給水管理が簡便な栽培装置、壁面緑化システム及び養液循環方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態の栽培装置1の長手方向の断面図である。
図2】栽培装置1の幅方向の断面図である。
図3】栽培装置1の要部拡大斜視図である。
図4】栽培装置1及び架台5を含む壁面緑化システム3の斜視図である。
図5】栽培装置1の変形例を示した図である。
図6】本発明の第2実施形態の壁面緑化システム103を示す図である。
図7】本発明の第3実施形態の栽培装置300を示す図である。
図8】本発明の第4実施形態の栽培装置400を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態の栽培装置1及びその栽培装置1と架台5とを含む壁面緑化システム3について説明する。図1は、本発明の実施形態の栽培装置1を長手方向からみた概略図である。図2は、栽培装置1の幅方向の断面図である。図3は、栽培装置1の要部拡大斜視図である。
【0015】
栽培装置1は、上面が開口した箱型の外装容器10を備える。
外装容器10は、図1図3に示すように、互いに対向するとともに長手方向に延びる一対の横壁部11と、互いに対向するとともに幅方向に延びる一対の端壁部12と、底部19とを有する、上部が開口した箱型部材である。実施形態で横壁部11は、端壁部12より長尺となっている。以下、横壁部11が延びる方向を長手方向、端壁部12が延びる方向を幅方向という。
【0016】
図2に示すように、外装容器10の横壁部11は、内側領域11aと外側領域11bとを有する。内側領域11aの高さは外側領域11bよりも低く、内側領域11aの上端には、段部11cが形成されている。
なお、図示しないが、端壁部12も内側領域と外側領域とを有する。端壁部12の内側領域と外側領域の高さは、横壁部11の内側領域11aと外側領域11bとの高さと同じであり、同位置に段部が形成されている。
【0017】
横壁部11の段部11cと端壁部12の段部とに縁部が保持される形で、板状のメッシュ部材17が配置されている。メッシュ部材17は、横壁部11の外側領域11bと端壁部12の外側領域との内壁で画される矩形形状と略同形である。メッシュ部材17によって、外装容器10の内部空間が、下部空間と上部空間との2つの空間とに分離されている。ただし、メッシュ状であるため上部空間から下部空間へ後述の養液は流れ出ることができる。
【0018】
下部空間は、植物に散布される養液を貯留する培養液貯留部20である。
上部空間は、端壁部と平行な中間壁部13により、さらに2つの空間に分離されている。2つの空間の一方は培地収容部40であり、他方は、培地収容部40より狭い領域で、肥料収容部50となっている。なお、以下、肥料収容部50が設けられている側を長手方向の前側、他側を後側という。
【0019】
本実施形態では、このように横壁部11に設けた段部にメッシュ部材17を配置することより内部空間を分離している。ただし、これに限定されない。図5は、栽培装置1の変形例を示した図である。図5(a)は第1変形例の栽培装置1A、図5(b)は第2変形例の栽培装置1Bを示す。内部空間の分離方法としては、図5(a)に示すように外装容器10を2つの上容器10Aと下容器10Bとに分離可能としてもよい。また、図5(b)に示すように、外装容器10の内部に設ける段部11cを上方に設け、内部に他のプランタ41を配置可能としてもよい。
【0020】
(培地収容部40)
本実施形態に戻り、培地収容部40について説明する。培地収容部40は、上部が開放しており、メッシュ部材17上に、培地に植物が植え込まれた複数のポットを配置することができる。
【0021】
(肥料収容部50)
肥料収容部50は、中間壁部13により培地収容部40と隔てられた空間で、培地収容部40より小さな空間である。肥料収容部50の内部には、固形の肥料が配置されている。この肥料は、水に溶けにくい緩効性肥料である。実施形態で肥料収容部50は、長手方向の前側に配置されている。
【0022】
(培養液貯留部20)
培養液貯留部20は、培地収容部40及び肥料収容部50の下部に位置する。培養液貯留部20の底部19には、水抜き用の穴14が設けられ、その穴14には開閉可能な栓15が取り付けられている。
また、図3に示すように、培養液貯留部20の長手方向の前面には、挿通穴16が設けられている。挿通穴16には、外方に延びる水管18が連結されている。水管18の他端は送液ポンプ30に連結されている。
【0023】
(送液ポンプ30)
栽培装置1は、さらに、図1及び2に示すように培地収容部40の外部に配置された送液ポンプ30と、送液ポンプ30により送り出される養液を、複数の培地収容部40に散水する散水ラインである散水パイプ31と、を備える。送液ポンプ30は、例えば水陸両用のポンプで低騒音のものが好ましい。
実施形態で送液ポンプ30は、肥料収容部50が配置されている方向と同じ、長手方向の前側に配置されている。
なお、本実施形態では、送液ポンプ30は培養液貯留部20の外部に配置されているが、これに限らず、培養液貯留部20の内部に配置してもよい。
【0024】
(散水パイプ31)
送液ポンプ30から、送液ラインとして散水パイプ31が延びている。散水パイプ31は、外装容器10の側面を上方に延び、さらに、肥料収容部50及び培地収容部40の上部を水平に延びる。散水パイプ31の肥料収容部50及び培地収容部40の上を通る部分の下部には、複数の散水穴31aが設けられている。
【0025】
(架台5)
図4に示すように栽培装置1の外周には、架台5が装着可能であり、栽培装置1と架台5とで壁面緑化システム3を形成する。
架台5は、栽培装置1によって栽培される、例えば蔓性の植物を誘引するためのものである。
架台5は、栽培装置1の前後の端部に配置されて上下に延びる2本の支持柱51を備える。支持柱51は、それぞれ、上部支持柱51Aと下部支持柱51Bとに分離可能で、下部支持柱51Bに対して上部支持柱51Aが着脱可能となっている。
架台5は、外装容器10の外周に取り付けられる装着部5Bと、栽培装置1の上部に配置される誘引部5Aとを備える。
【0026】
誘引部5Aは、上部支持柱51Aと、2本の上部支持柱51Aの間を長手方向に延びる上部横柱52aと下部横柱52bとを備える。
さらに、上部横柱52aと下部横柱52bとを挟んで幅方向の一方と他方とに交互に配置された上下に延びる複数の誘引柱53と、交互に配置されている誘引柱53を互いに連結し、横柱と交差するように配置されている補助部材54とを備える。
【0027】
装着部5Bは、栽培装置1の下部の外周に配置された外枠部55と、下部支持柱51Bと、この下部支持柱51Bの下部において、下部支持柱51Bから斜めに延びて外枠部55に連結することにより支持柱51の直立を補強する補強部材56とを備える。
【0028】
また、栽培装置1の端壁部12の外側には、下部支持柱51Bがはめ込み可能な架台装着凹部29が設けられている。
【0029】
(使用方法)
栽培装置1の外周に、架台5の装着部5Bを装着する。
培養液貯留部20の内部に養液を入れ、メッシュ部材17を配置する。
培地収容部40に、培地としての培土及びその培養土に植物が植えこまれたポットを配置する。
肥料収容部50には肥料を配置する。
【0030】
架台5の誘引部5Aを装着部5Bに取り付ける。
送液ポンプ30を作動させる。送液ポンプ30を作動させる時間は、季節等によって異なるが、例えば1日1回、5分程度とし、その時間はタイマー等で管理可能である。
送液ポンプ30が作動されると、養液は、散水パイプ31を伝わって上部へと送出され、散水穴31aより肥料収容部50及び培地へ散水される。
肥料収容部50に散水された養液は、肥料を溶解させる。肥料は固形の溶けにくいものであるため、わずかな量だけ溶解する。養分の成分がわずかに増加した養液は、培養液貯留部20に流出する。
【0031】
培地収容部40に供給された養液は、培土によって吸収される。吸収されなかった養液は培養液貯留部20に流出する。
そして、肥料収容部50より流出した養液は、散水された状態よりも濃度が濃くなっている。この濃くなった養液と、培土より流出した養液とは、ともに培養液貯留部20において混合される。
【0032】
(効果)
養液は、循環を繰り返すと、水量が減少するので、適宜、水が追加される。水を追加する際、養液の培養成分は薄まるが、実施形態では肥料収容部50より流出した養液は、固形肥料から溶けだした成分により濃くなっている。したがって、養液は、循環を繰り返しても濃度が薄まることがない。
肥料収容部50に配置されている肥料は、固形であって、溶けにくいものなので、肥料が過剰に供給されることがなく、長持ちする。
溶解度の異なる肥料を用いたり散水の流量を調整したりすることで、養液中の養分の成分を調整することができる。
【0033】
実施形態では、肥料収容部50と送液ポンプ30とが同じ側である長手方向の前側に配置されている。したがって、肥料収容部50の肥料の量のチェックや追加を行う際に、同じ側に配置された送液ポンプ30の点検を行うことができる。したがって、作業の手間が省けてメンテナンス性が向上する。
【0034】
養液は送液ポンプ30により自動で送られるので、使用者の散水及び養液の供給の手間を省くことができる。また、養液の供給忘れによる乾燥や発育不全が生じることがない。
【0035】
養液は、かけ流しでなく、培地により吸収されなかった養液は、培養液貯留部20に流れ出る。培養液貯留部20に貯留された養液は、再度、送液ポンプ30で培地へと送られるので、養液が無駄になることがない。ゆえに、環境汚染等の可能性が少ない。
【0036】
また、培養液貯留部20内に培養液貯留部20と培地収容部40とを設置し、一体化しているので、養液タンク等を別途設ける必要がなく、タンクの設置場所が不要となり、省スペース化が図れる。
【0037】
栽培装置1に架台5が装着可能であるので、栽培装置1と架台5とが一体となった壁面緑化システム3を提供することができる。したがって、この壁面緑化システム3単独で、壁面緑化を行うことができる。
【0038】
(第2実施形態)
図4は本発明の第2実施形態の壁面緑化システム103を示す図である。第2実施形態の栽培装置1は第1実施形態と同様である。第1実施形態と異なる点は、架台105が、栽培装置1の側面に取り付けられており、培地収容部40の上面を覆う蓋部材120が設けられている点である。第1実施形態と同様である点の説明は省略する。
【0039】
第2実施形態によると、第1実施形態と同様の効果の他に、培地収容部40の上面を覆う蓋部材120が設けられているので、培地46に配置された植物の根元付近を覆うことができる。したがって、植物の根元付近が外側から覆われるので、より美観に優れる。なお、日光の照射については、蔓性の植物の場合、架台105を蔓が上るので、蓋部材120が障害になることはない。
【0040】
(第3実施形態)
図7は第3実施形態の栽培装置300を示す図である。第3実施形態が第1実施形態と異なる点は、送液ポンプ30から散水パイプ31へ延びるパイプ61の途中に、切換バルブ60が設けられている点である。そして、切換バルブ60により切り替えられる流路の一方には散水パイプ31、他方には外装容器10の外部へと延びる排水パイプ62が連結されている。他の構成は第1実施形態と同様であるので、同様な構成の説明は省略する。
【0041】
切換バルブ60を操作することにより、送液ポンプ30から送られてパイプ61を通る培養液の流路を、散水パイプ31と排水パイプ62との間で切り換えることができる。
送液ポンプ30から送られてパイプ61を通る培養液の流路が散水パイプ31に連結されている場合、培養液は、散水パイプ31に送られ、培地へと散水される。
送液ポンプ30から送られてパイプ61を通る培養液の流路が、切換バルブ60の操作により切り換えられて排水パイプ62に連結されると、外装容器10の下部の培養液貯留部20に貯留されている培養液は、排水パイプ62を経て外部へと流出される。
【0042】
本実施形態によると、送液ポンプ30により培養液を吸い出して外部に排出することができる。これにより、培養液を交換する場合や、培養液貯留部20を洗浄する場合等、培養液を容易に外部に排出することができる。
【0043】
(第4実施形態)
図9は第4実施形態の栽培装置400を示す図である。第4実施形態が第1実施形態と異なる点は、外装容器10の壁部を貫通するフロート弁72が設けられ、フロート弁72から培養液貯留部20にフロート71が延びている点である。フロート71の位置によりフロート弁72は開閉する。フロート弁72には給水源73が連結されている。他の構成は第1実施形態と同様であるので、同様な構成の説明は省略する。
【0044】
培養液貯留部20の培養液の水位が所定水位より低くなると、フロート71に連結されたフロート弁72が開き、水道等の給水源73から、培養液貯留部20へ、水が供給される。培養液貯留部20の培養液の水位が所定水位を超えると、フロート弁72が閉じ、水道等の給水源73からの水の供給が停止される。
これにより、培養液貯留部20の水量を一定に保つことができる。
【符号の説明】
【0045】
1,300,400 栽培装置
3,103 壁面緑化システム
5,105 架台
10 外装容器
11 横壁部
11a 内側領域
11b 外側領域
11c 段部
12 端壁部
13 中間壁部
16 挿通穴
17 メッシュ部材
20 培養液貯留部
29 架台装着凹部
30 送液ポンプ
31 散水パイプ
31a 散水穴
40 培地収容部
46 培地
50 肥料収容部
120 蓋部材
【要約】
肥料管理及び給水管理が簡便な栽培装置、壁面緑化システム及び養液循環方法を提供する。
本発明の栽培装置1は、培養液貯留部20と、前記培養液貯留部20の上部空間に設けられた培地収容部40及び肥料収容部50と、前記培養液貯留部20から前記上部空間に延びるとともに、前記上部空間に養液を散水する送液ライン31と、前記送液ライン31に前記養液を送液する送液ポンプ30と、を備える。肥料収容部50より流出した養液は、溶けだした成分により濃くなっている。したがって、養液は、循環を繰り返しても濃度が薄まることがない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8