特許第6206619号(P6206619)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6206619
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】石炭火力発電設備
(51)【国際特許分類】
   F23J 15/00 20060101AFI20170925BHJP
   B03C 3/00 20060101ALI20170925BHJP
   B03C 3/019 20060101ALI20170925BHJP
   B03C 3/02 20060101ALI20170925BHJP
   B01D 53/50 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   F23J15/00 A
   F23J15/00 B
   F23J15/00 J
   B03C3/00 J
   B03C3/019
   B03C3/02 B
   B01D53/50
   F23J15/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-505669(P2017-505669)
(86)(22)【出願日】2016年10月4日
(86)【国際出願番号】JP2016079531
【審査請求日】2017年2月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】清永 英嗣
(72)【発明者】
【氏名】引野 健治
(72)【発明者】
【氏名】盛田 啓一郎
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−239410(JP,A)
【文献】 特開昭63−042752(JP,A)
【文献】 特開2004−190930(JP,A)
【文献】 特開2010−069463(JP,A)
【文献】 特開昭60−044065(JP,A)
【文献】 特開平09−234333(JP,A)
【文献】 特開2005−279489(JP,A)
【文献】 特開2016−080203(JP,A)
【文献】 特開2005−066591(JP,A)
【文献】 特開2011−031207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J 1/00
F23J 15/00
B01D 35/06
B01D 53/50
B03C 3/01
B03C 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭の燃焼によって生じる排ガスに含まれる窒素酸化物を除去する脱硝装置と、
前記脱硝装置の下流側に配置され、排ガスに含まれる石炭灰を捕捉する集塵装置と、
前記集塵装置の下流側に配置され、排ガスに含まれる硫黄化合物を除去する脱硫装置と、
前記集塵装置が捕捉した前記石炭灰を回収し、正に帯電させ、前記脱硝装置の下流側、且つ前記集塵装置の下流側の端部よりも上流側に供給する帯電循環手段と、を備える石炭火力発電設備。
【請求項2】
前記集塵装置は、平均粒径が所定値を上回る第1石炭灰を捕捉する上段集塵部を有し、
前記帯電循環手段は、前記第1石炭灰を回収し、正に帯電させ、前記上段集塵部の下流側に供給する、請求項1に記載の石炭火力発電設備。
【請求項3】
前記集塵装置は、前記上段集塵部の下流側に配置され、平均粒径が前記所定値を下回る第2石炭灰を捕捉する下段集塵部を有し、
前記帯電循環手段は、前記第2石炭灰を回収し、正に帯電させ、前記下段集塵部の上流側に供給する、請求項2に記載の石炭火力発電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵装置を備える石炭火力発電設備に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭火力発電設備では、石炭の燃焼に伴い硫黄酸化物が発生するが、大気汚染防止法等により、硫黄酸化物の排出は一定水準以下に抑えることが必要となっている。そこで石炭火力発電設備では、硫黄酸化物を除去する脱硫装置を設置している。この脱硫装置としては、湿式脱硫装置が一般的に用いられている。すなわち、排ガスに石灰石と水との混合液を吹き付けることにより、排ガスに含有されている硫黄酸化物を混合液に吸収させ、その後脱水処理することで脱硫を実現している。
【0003】
この脱水処理において発生する排水には、微量のホウ素、セレン等の微量物質が含まれる。水質汚濁防止法等により、これらの微量物質の排出は一定水準以下に抑える事が必要となっている。そこで、石炭火力発電所では、脱硫装置から発生する排水を処理する排水処理装置が設けられている。しかし、排水中に微量物質が多量に含まれると、排水処理装置の負担が大きくなるため対策が必要となる。
【0004】
そのため、排ガスに含まれる微量物質を集塵装置で除去(補足)することで排水処理装置の負担を軽減している。また、集塵装置を設けたうえで、石炭の燃焼残渣(例えば、集塵装置で捕捉される石炭灰)を、燃焼中又は燃焼前の石炭の段階で添加する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。石炭と石炭灰とが混焼される結果として、石炭灰が微小な粒子を物理的に取り込むため、石炭灰の粒径は相対的に大きくなり、集塵装置において集塵効率が向上する。また、特許文献1の技術によれば、集塵装置によって捕捉した石炭灰を、集塵効率の向上のために有効活用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−333346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された技術によれば、集塵装置によって捕捉した石炭灰を、ボイラに戻さなければならないため、石炭灰がボイラに戻されることでボイラ及びその下流側に配置される構成に影響を与える可能性がある。例えば、石炭灰をボイラに戻すことにより、ボイラの燃焼効率に影響を与える可能性がある。そのため、効率のよい手段で排ガスに含まれる石炭灰を捕捉する必要がある。
【0007】
本発明は、排ガスに含まれる石炭灰を効率よく捕捉できる石炭火力発電設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、石炭の燃焼によって生じる排ガスに含まれる窒素酸化物を除去する脱硝装置と、前記脱硝装置の下流側に配置され、排ガスに含まれる石炭灰を捕捉する集塵装置と、前記集塵装置の下流側に配置され、排ガスに含まれる硫黄化合物を除去する脱硫装置と、前記集塵装置が捕捉した前記石炭灰を、回収し、正に帯電させ、前記脱硝装置の下流側、且つ前記集塵装置の下流側の端部よりも上流側に供給する帯電循環手段と、を備える石炭火力発電設備に関する。
【0009】
また、前記集塵装置は、平均粒径が所定値を上回る第1石炭灰を捕捉する上段集塵部を有し、前記帯電循環手段は、前記第1石炭灰を回収し、正に帯電させ、前記上段集塵部の下流側に供給することが好ましい。
【0010】
また、前記集塵装置は、前記上段集塵部の下流側に配置され、平均粒径が前記所定値を下回る第2石炭灰を捕捉する下段集塵部を有し、前記帯電循環手段は、前記第2石炭灰を回収し、正に帯電させ、前記下段集塵部の上流側に供給することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、排ガスに含まれる石炭灰を効率よく捕捉できる石炭火力発電設備が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る石炭火力発電設備10を示す概略構成図である。
図2】第1実施形態の石炭火力発電設備10の電気集塵装置90付近の構成と、帯電循環ライン110との関係の一例を示すブロック図である。
図3】第2実施形態の石炭火力発電設備10の電気集塵装置90付近の構成と、帯電循環ライン110との関係の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る石炭火力発電設備10を示す概略構成図である。本実施形態の石炭火力発電設備10は、図1に示すように、石炭バンカ20と、給炭機25と、微粉炭機30と、ボイラ40と、ボイラ40の下流側に設けられた排気通路50と、この排気通路50に設けられた脱硝装置60、空気予熱器70、熱回収用ガスヒータ80、集塵装置としての電気集塵装置90、誘引通風機210、脱硫装置220、再加熱用ガスヒータ230、脱硫通風機240、及び煙突250と、を備える。また、石炭火力発電設備10は、帯電循環手段としての帯電循環ライン110及び帯電装置112を備える。
【0014】
石炭バンカ20は、石炭サイロ(図示しない)から運炭設備によって供給された石炭を貯蔵する。給炭機25は、石炭バンカ20から供給された石炭を所定の供給スピードで微粉炭機30に供給する。
微粉炭機30としては、ローラミル、チューブミル、ボールミル、ビータミル、インペラーミル等が用いられる。
【0015】
ボイラ40は、微粉炭機30から供給された微粉炭を、強制的に供給された空気と共に燃焼する。またボイラ40には、押込通風機75から燃焼用空気が送り込まれる。微粉炭を燃焼することによりクリンカアッシュ及びフライアッシュ等の石炭灰が生成されると共に、排ガスが発生する。
石炭灰の主成分は、シリカ(SiO)40〜70%、アルミナ(Al)20〜40%であり、他に酸化鉄(Fe)、カルシウム(CaO)、カリウム(KO)、マグネシウム(MgO)、ナトリウム(NaO)等が少量含まれる。
【0016】
排気通路50は、ボイラ40の下流側に配置され、ボイラ40で発生した排ガス及び生成された石炭灰を流通させる。この排気通路50には、上述のように、脱硝装置60、空気予熱器70、熱回収用ガスヒータ80、電気集塵装置90、誘引通風機210、脱硫装置220と、再加熱用ガスヒータ230、脱硫通風機240、及び煙突250がこの順で配置される。
排気通路50を流通する間に、排ガスに含まれる石炭灰は、摩擦力等により負に帯電する。
【0017】
脱硝装置60は、石炭の燃焼によって生じる排ガスに含まれる窒素酸化物を除去する。本実施形態では、脱硝装置60は、比較的高温(300℃〜400℃)の排ガス中に還元剤としてアンモニアガスを注入し、脱硝触媒との作用により排ガス中の窒素酸化物を無害な窒素と水蒸気に分解する、いわゆる乾式アンモニア接触還元法により排ガス中の窒素酸化物を除去する。
【0018】
空気予熱器70は、排気通路50における脱硝装置60の下流側に配置される。空気予熱器70は、脱硝装置60を通過した排ガスと燃焼用空気とを熱交換させ、排ガスを冷却すると共に、燃焼用空気を加熱する。加熱された燃焼用空気は、押込通風機75によりボイラ40に供給される。
【0019】
熱回収用ガスヒータ80は、排気通路50における空気予熱器70の下流側に配置される。熱回収用ガスヒータ80には、空気予熱器70において熱回収された排ガスが供給される。熱回収用ガスヒータ80は、排ガスから更に熱回収する。
【0020】
電気集塵装置90は、脱硝装置60の下流側に配置され、排ガスに含まれる石炭灰を捕捉する。詳細には、電気集塵装置90は、排気通路50における熱回収用ガスヒータ80の下流側に配置される。電気集塵装置90には、熱回収用ガスヒータ80において熱回収された排ガスが供給される。電気集塵装置90は、電極に電圧を印加することによって排ガス中の石炭灰(フライアッシュ)を収集(捕捉)する装置である。電気集塵装置90において収集(捕捉)される石炭灰(フライアッシュ)は、フライアッシュ回収装置120に回収される他、帯電循環ライン110によって回収される。電気集塵装置90は、複数段設けられることが好ましい。
【0021】
本実施形態においては、電気集塵装置90は4段設けられる(図2を参照)。具体的には、上流側から下流側に向けて、上段集塵部としての第1集塵段91aと、第2集塵段91bと、第3集塵段91cと、下段集塵部としての第4集塵段91dとが設けられる。集塵段91a〜dは上流側から下流側に向けて捕捉できる石炭灰の平均粒径が小さくなるように配置される。そのため、集塵段91a〜d付近を流通する排ガスに含まれる石炭灰の平均粒径は、上流側(第1集塵段91a側)から下流側(第4集塵段91d側)に向けて小さくなる。また、集塵段91a〜d付近を流通する排ガスに含まれる石炭灰の平均重量は、上流側(第1集塵段91a側)から下流側(第4集塵段91d側)に向けて軽くなる。
【0022】
第1集塵段91aは、平均粒径が所定値(例えば、20μm)を上回る第1石炭灰を捕捉する。本実施形態においては、第1集塵段91aは、平均粒径がおよそ20〜100μmの範囲の石炭灰を第1石炭灰として捕捉する。
また、第4集塵段91dは、平均粒径が所定値(例えば、20μm)を下回る第2石炭灰を捕捉する。本実施形態においては、第4集塵段91dは、平均粒径がおよそ10〜30μmの範囲の石炭灰を第2石炭灰として捕捉する。
【0023】
図2を用いて、石炭火力発電設備10の電気集塵装置90付近の構成と、帯電循環手段との関係の一例について説明する。図2は、第1実施形態の石炭火力発電設備10の電気集塵装置90付近の構成と、帯電循環手段との関係の一例を示すブロック図である。帯電循環手段は、帯電循環ライン110と、帯電装置112と、を備える。
【0024】
帯電循環ライン110は、電気集塵装置90が捕捉した石炭灰を回収し、脱硝装置60の下流側、且つ電気集塵装置90の下流側の端部よりも上流側に供給する石炭灰の流路である。本実施形態においては、帯電循環ライン110は、電気集塵装置90の第1集塵段91aと、第4集塵段91dとを接続する。また、帯電循環ライン110は、例えば第1集塵段91aから第1石炭灰を回収し、第1集塵段91aの下流側(図2においては、第4集塵段91d付近)に供給(再循環)する。第1石炭灰は、帯電循環ライン110を流通する途中で帯電装置112によって正に帯電される。
【0025】
帯電装置112は、図示しない放電電極を備える。この放電電極に高電圧を印加することで、コロナ放電が発生する。石炭灰は、帯電装置112の放電電極付近で正に帯電され、第1集塵段91aの下流側に供給される。
【0026】
誘引通風機210は、排気通路50における電気集塵装置90の下流側に配置される。誘引通風機210は、電気集塵装置90の下流側を流通する排ガスを、一次側から取り込んで二次側に送り出す。
【0027】
脱硫装置220は、電気集塵装置90の下流側に配置され、排ガスに含まれる硫黄化合物を除去する。詳細には、脱硫装置220は、排気通路50における誘引通風機210の下流側に配置される。脱硫装置220には、誘引通風機210から送り出された排ガスが供給される。脱硫装置220は、排ガスに石灰石と水との混合液を吹き付けることにより、排ガスに含有されている硫黄酸化物を混合液に吸収させて脱硫石膏スラリーを生成させ、この脱硫石膏スラリーを脱水処理することで脱硫石膏を生成する。脱硫装置220において生成された脱硫石膏は、この装置に接続された脱硫石膏回収装置222に回収される。
【0028】
再加熱用ガスヒータ230は、排気通路50における脱硫装置220の下流側に配置される。再加熱用ガスヒータ230には、脱硫装置220において硫黄酸化物が除去された排ガスが供給される。再加熱用ガスヒータ230は、排ガスを加熱する。熱回収用ガスヒータ80及び再加熱用ガスヒータ230は、排気通路50における、空気予熱器70と電気集塵装置90との間を流通する排ガスと、脱硫装置220と脱硫通風機240との間を流通する排ガスと、の間で熱交換を行うガスヒータとして構成してもよい。
【0029】
脱硫通風機240は、排気通路50における再加熱用ガスヒータ230の下流側に配置される。脱硫通風機240は、再加熱用ガスヒータ230において加熱された排ガスを一次側から取り込んで二次側に送り出す。
【0030】
煙突250は、排気通路50における脱硫通風機240の下流側に配置される。煙突250には、再加熱用ガスヒータ230で加熱された排ガスが導入される。煙突250は、排ガスを排出する。
【0031】
以上、説明したように構成された第1実施形態によれば、石炭火力発電設備10は、排ガスに含まれる窒素酸化物を除去する脱硝装置60と、脱硝装置60の下流側に配置され、排ガスに含まれる石炭灰を捕捉する電気集塵装置90と、電気集塵装置90の下流側に配置され、排ガスに含まれる硫黄化合物を除去する脱硫装置220と、電気集塵装置90が捕捉した石炭灰を回収し、正に帯電させ、脱硝装置60の下流側、且つ電気集塵装置90の下流側の端部よりも上流側に供給する帯電循環ライン110と、を備える。
脱硝装置60の下流側、且つ電気集塵装置90の下流側の端部よりも上流側に供給される(再循環される)石炭灰は、帯電装置112によって正に帯電される。一方で、排ガスに含まれる石炭灰は、排気通路50を流通する間に摩擦力等により負に帯電する。このように、再循環される石炭灰と、排ガスに含まれる石炭灰とが反対の電荷をもつことにより、正に帯電した石炭灰と負に帯電した石炭灰との間にクーロン力が発生する。そのため、脱硝装置60の下流側において、正に帯電した石炭灰が、排ガスに含まれる微小な石炭灰(負に帯電した石炭灰)を吸着する。これにより、微小な石炭灰が再循環された石炭灰に吸着された状態で、再度電気集塵装置90において回収されるため、排ガスに含まれる微小な石炭灰を効率よく捕捉できる。
また、電気集塵装置90によって捕捉した石炭灰を、排ガスに含まれる石炭灰を捕捉(吸着)するために有効活用することもできる。
【0032】
また、電気集塵装置90は、平均粒径が所定値を上回る第1石炭灰を捕捉する第1集塵段91aを有し、帯電循環ライン110は、第1石炭灰を回収し、正に帯電させ、第1集塵段91aの下流側に供給する。
第1集塵段91aで回収される第1石炭灰の平均粒径及び重量は、第1集塵段91aの下流側で捕捉される石炭灰(例えば第2石炭灰)の平均粒径及び重量よりも、大きく、重いため、第1集塵段91aの下流側において、粒径の大きい第1石炭灰(正に帯電した石炭灰)が、排ガスに含まれる軽い石炭灰(負に帯電した石炭灰)を吸着するようにクーロン力が発生する。これにより、排ガスに含まれる石炭灰をより効率よく捕捉できる。
【0033】
[第2実施形態]
図3は、第2実施形態の石炭火力発電設備10の電気集塵装置90付近の構成と、帯電循環ライン110との関係の一例を示すブロック図である。図3に示すように、第2実施形態の石炭火力発電設備10は、電気集塵装置90付近の構成と、帯電循環ライン110との関係が、第1実施形態の石炭火力発電設備10と異なっている。なお、その他の構成は、第1実施形態の石炭火力発電設備10と同様なので、説明を省略する。
【0034】
第2実施形態においては、帯電循環ライン110は、例えば第4集塵段91dから第2石炭灰を回収し、第4集塵段91dの上流側(図3においては、第1集塵段91a付近)に供給(再循環)する。第2石炭灰は、帯電循環ライン110を流通する途中で帯電装置112によって正に帯電される。
【0035】
帯電装置112は、図示しない放電電極を備える。この放電電極に高電圧を印加することで、コロナ放電が発生する。石炭灰は、帯電装置112の放電電極付近で正に帯電され、第4集塵段91dの上流側に供給される。
【0036】
以上、説明したように構成された第2実施形態によれば、第4集塵段91dで回収される第2石炭灰の平均粒径及び重量は、第4集塵段91dよりも上流側で捕捉される石炭灰(例えば第1石炭灰)の平均粒径及び重量よりも、小さく、軽い。一般に石炭灰の平均粒径が小さいほど、単位体積(重量)当たりの石炭灰の粒子数は多くなる。そのため、第4集塵段91dの上流側において、粒子数の多い第2石炭灰(正に帯電した石炭灰)は、排ガスに含まれる粒径の大きい石炭灰(負に帯電した石炭灰)と接触する回数が多くなる。これにより、排ガスに含まれる微小な石炭灰をより効率よく捕捉できる。
【0037】
以上、本発明の石炭火力発電設備10の好ましい各実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0038】
例えば、電気集塵装置90は4段設けられる例を説明したが、4段以外の段数(例えば、3段)設けられてもよい。
【0039】
また、帯電循環ライン110は、電気集塵装置90の第1集塵段91a(第2実施形態においては第4集塵段91d)から石炭灰を回収し、電気集塵装置90の第4集塵段91d(第2実施形態においては第1集塵段91a)に供給(再循環)する例について説明したが、これに限定されない。例えば、帯電循環ライン110は、電気集塵装置90(集塵段91a〜dのいずれか)から石炭灰を回収し、脱硝装置60と電気集塵装置90との間の排気通路50に供給してもよい。
【0040】
また、帯電循環ライン110の数は1つに限定されず、石炭火力発電設備10は、複数の帯電循環ライン110を有してもよい。また、帯電循環ライン110における石炭灰の流通する向きは一方向(具体的には、第1集塵段91aから下流側に向かう方向(図2を参照)又は第4集塵段91dから上流側に向かう方向(図3を参照))に限定されず、双方向であってもよい。また、帯電循環ライン110において、帯電装置112以外の構成が石炭灰を帯電させてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10 石炭火力発電設備
60 脱硝装置
90 電気集塵装置(集塵装置)
91a 第1集塵段(上段集塵部)
91d 第4集塵段(下段集塵部)
110 帯電循環ライン(帯電循環手段)
220 脱硫装置
【要約】
排ガスに含まれる石炭灰を効率よく捕捉できる石炭火力発電設備を提供すること。
石炭火力発電設備10は、石炭の燃焼によって生じる排ガスに含まれる窒素酸化物を除去する脱硝装置60と、脱硝装置60の下流側に配置され、排ガスに含まれる石炭灰を捕捉する集塵装置90と、集塵装置90の下流側に配置され、排ガスに含まれる硫黄化合物を除去する脱硫装置220と、集塵装置90が捕捉した石炭灰を、回収し、正に帯電させ、脱硝装置60の下流側、且つ集塵装置90の下流側の端部よりも上流側に供給する帯電循環手段110と、を備える。
図1
図2
図3