特許第6206625号(P6206625)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6206625フィルタ回路付き配線基板および電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6206625
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】フィルタ回路付き配線基板および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/01 20060101AFI20170925BHJP
   H01B 7/08 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   H03H7/01 Z
   H03H7/01 A
   H01B7/08
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-529414(P2017-529414)
(86)(22)【出願日】2016年11月24日
(86)【国際出願番号】JP2016084697
【審査請求日】2017年6月1日
(31)【優先権主張番号】特願2015-235441(P2015-235441)
(32)【優先日】2015年12月2日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 貴博
【審査官】 ▲高▼須 甲斐
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/185231(WO,A1)
【文献】 特開平08−008499(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/040064(WO,A1)
【文献】 特開2015−029319(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0030997(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 7/01
H01B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する絶縁性基材と、
前記絶縁性基材に形成された導体パターンと、を備え、
前記導体パターンによってフィルタ回路が形成されているフィルタ回路付き配線基板であって、
前記絶縁性基材は、中間部材と、該中間部材にそれぞれ接続する第1端部材、第2端部材、および、第3端部材と、を備えており、
前記第1端部材および前記第2端部材は、前記信号伝送方向に沿って前記中間部材を挟んで配置されており、
前記第1端部材には、前記フィルタ回路の信号伝送方向に沿った前記導体パターンの第1端に配置された第1外部接続端子が形成されており、
前記第2端部材には、前記信号伝送方向に沿った前記導体パターンの第2端に配置された第2外部接続端子が形成されており、
前記中間部材には、前記フィルタ回路を接地する第1グランド接続端子が形成されており、
前記第3端部材には、前記フィルタ回路を接地する第2グランド接続端子が形成されている、
フィルタ回路付き配線基板。
【請求項2】
前記第1グランド接続端子が形成されるグランド用導体パターンは、前記中間部材を平面視して略全面に形成されている、
請求項1に記載のフィルタ回路付き配線基板。
【請求項3】
前記絶縁性基材の表面に配置された絶縁性保護部材を備え、
前記グランド用導体パターンは、前記絶縁基材の表面に形成されており、
前記グランド用導体パターンは、前記絶縁性保護部材に形成された穴によって、前記グランド用導体パターンを露出することによって形成されている、
請求項2に記載のフィルタ回路付き配線基板。
【請求項4】
前記フィルタ回路は、一方端が前記第1グランド接続端子および前記第2グランド接続端子に接続されたキャパシタと、を備えており、
前記キャパシタは、前記第3端部材に形成され、互いに対向する第1平面導体および第2平面導体を含んでいる、
請求項2または請求項3に記載のフィルタ回路付き配線基板。
【請求項5】
前記フィルタ回路は、前記第1外部接続端子と前記キャパシタの他方端との間に接続された第1インダクタと、前記第2外部接続端子と前記キャパシタの他方端との間に接続された第2インダクタと、を備えており、
前記第1平面導体は、前記第1インダクタを形成する線状の導体パターン、前記第2インダクタを形成する線状の導体パターンに接続されており、
前記第2平面導体は、前記第2グランド接続端子を形成する導体パターンである、
請求項4に記載のフィルタ回路付き配線基板。
【請求項6】
前記第1グランド接続端子を形成するグランド用導体パターンと前記第2グランド接続端子を形成するグランド用導体パターンは、同じ前記第2平面導体によって形成されている、
請求項5に記載のフィルタ回路付き配線基板。
【請求項7】
前記フィルタ回路は、前記第1外部接続端子と前記第2外部接続端子と間に直列接続された第1キャパシタと第2キャパシタとを備えており、
前記第1キャパシタは、前記第1端部材に形成され、互いに対向する第3平面導体および第4平面導体を含んでおり、
前記第2キャパシタは、前記第2端部材に形成され、互いに対向する第5平面導体および第6平面導体を含んでいる、
請求項2または請求項3に記載のフィルタ回路付き配線基板。
【請求項8】
前記フィルタ回路は、一方端が前記第1キャパシタと前記第2キャパシタの間に接続され、他方端が前記第1グランド接続端子および前記第2グランド接続端子に接続されたインダクタを備えており、
前記インダクタは、前記中間部材に形成された線状の導体パターンを備える、
請求項7に記載のフィルタ回路付き配線基板。
【請求項9】
前記第1グランド接続端子は複数である、
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のフィルタ回路付き配線基板。
【請求項10】
前記フィルタ回路を形成する導体パターンの一部は、前記グランド用導体パターンに対して、前記絶縁性基材を形成する絶縁体層を挟んで対向して配置されている、
請求項2乃至請求項9のいずれか1項に記載のフィルタ回路付き配線基板。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のフィルタ回路付き配線基板と、
前記第1外部接続端子が実装される第1回路基板と、
前記第2外部接続端子が実装される第2回路基板と、
を備えた、電子機器。
【請求項12】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のフィルタ回路付き配線基板と、
前記第1外部接続端子および前記2外部端子の少なくとも一方と、前記第1グランド接続端子および前記第2グランド接続端子の少なくとも一方とが実装される回路基板と、
を備えた、電子機器。
【請求項13】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のフィルタ回路付き配線基板と、
前記第1グランド接続端子および前記第2グランド接続端子が実装される回路基板と、
を備えた、電子機器。
【請求項14】
前記第1外部接続端子、前記2外部接続端子、前記第1グランド接続端子、および前記第2グランド接続端子が1つの回路基板に実装されている、
請求項13に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の機能部材を接続し、フィルタ回路を備えるフィルタ回路付き配線基板、および、このフィルタ回路付き配線基板と複数の機能部材を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末等の電子機器の筐体内において、回路基板や筐体(例えば、金属筐体等によるグランド)に接続するために、特許文献1に示すようなフラットケーブルを用いることがある。
【0003】
特許文献1に記載のフラットケーブルは、信号伝送方向に沿って長い長尺形状の誘電体基材からなる。誘電体基材の長尺方向の両端には、外部回路に接続するためのコネクタが実装されている。特許文献1に記載のフラットケーブルは、導体パターンを用いてフィルタ回路を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2014/119362号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のフラットケーブルによって形成される伝送線路の接地は、誘電体基材の長尺方向の両端のコネクタでしか行えない。
【0006】
したがって、フラットケーブルの途中位置でのグランド電位が安定せず、特性に影響を与えることがある。特に、特許文献1に記載のフラットケーブルのように、フィルタ回路を備えている場合、フィルタ特性に悪影響を与えることがあった。
【0007】
本発明の目的は、より安定した特性を有するフィルタ回路付き配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のフィルタ回路付き配線基板は、可撓性を有する絶縁性基材と、絶縁性基材に形成された導体パターンと、を備える。フィルタ回路付き配線基板には、導体パターンによってフィルタ回路が形成されている。絶縁性基材は、中間部材と、該中間部材にそれぞれ接続する第1端部材、第2端部材、および、第3端部材と、を備えている。第1端部材および第2端部材は、信号伝送方向に沿って中間部材を挟んで配置されている。第1端部材には、フィルタ回路の信号伝送方向に沿った導体パターンの第1端に配置された第1外部接続端子が形成されている。第2端部材には、信号伝送方向に沿った導体パターンの第2端に配置された第2外部接続端子が形成されている。中間部材には、フィルタ回路を接地する第1グランド接続端子が形成されている。第3端部材には、フィルタ回路を接地する第2グランド接続端子が形成されている。
【0009】
この構成では、信号伝送方向におけるフィルタ回路付き配線基板の第1外部接続端子と第2外部接続端子との途中位置が接地される。
【0010】
この構成では、信号伝送方向におけるフィルタ回路付き配線基板の第1外部接続端子と第2外部接続端子との途中位置が接地される。この際、グランドが不安定になり易い信号伝送方向の略中央位置が、より確実に接地される。
【0011】
また、この発明のフィルタ回路付き配線基板では、第1グランド接続端子が形成されるグランド用導体パターンは、中間部材を平面視して略全面に形成されていることが好ましい。
【0012】
この構成では、グランド導体パターンの面積が大きくなるので、グランド電位が安定し易くなる。
【0013】
また、この発明のフィルタ回路付き配線基板では、次の構成であることが好ましい。フィルタ回路付き配線基板は、絶縁性基材の表面に配置された絶縁性保護部材を備える。グランド用導体パターンは、絶縁基材の表面に形成されている。グランド接続端子は、絶縁性保護部材に形成された穴によって、グランド用導体パターンを露出することによって形成されている。
【0014】
この構成では、グランド用導体パターンを外部のグランド導体に直接接続でき、グランドへの浮遊インダクタンスの発生が抑制される。これにより、フィルタ回路をより安定して接地することができる。
【0015】
また、この発明のフィルタ回路付き配線基板は、次の構成であってもよい。フィルタ回路は、一方端が第1グランド接続端子および第2グランド接続端子に接続されたキャパシタと、を備えている。絶縁性基材は、中間部材に接続する第3端部材を備えている。第2グランド接続端子は、第3部材に形成されている。キャパシタは、第3端部材に形成され、互いに対向する第1平面導体および第2平面導体を含んでいる。
【0016】
この構成では、一端がグランドに接続されたキャパシタ、所謂シャント接続されたキャパシタを実現することができる。また、この構成では、フィルタ回路を構成する他の導体パターンとキャパシタを構成する平面導体が重ならず、これらの不要な結合を抑制でき、所望のフィルタ特性が確実に得られる。
【0017】
また、この発明のフィルタ回路付き配線基板では、次の構成であってもよい。フィルタ回路は、第1外部接続端子とキャパシタの他方端との間に接続された第1インダクタと、第2外部接続端子とキャパシタの他方端との間に接続された第2インダクタと、を備えている。キャパシタの第1平面導体は、第1インダクタを形成する線状の導体パターン、第2インダクタを形成する線状の導体パターンに接続されている。キャパシタの第2平面導体は、第2グランド接続端子を形成する導体パターンである。
【0018】
この構成では、T型でL(インダクタ)−C(キャパシタ)−L(インダクタ)型のフィルタを実現することができる。また、この構成では、キャパシタの一方の平面導体(第2平面導体)が外部のグランド導体に直接接続されるので、所望のフィルタ特性を得られ、且つ、フィルタ特性が安定する。
【0019】
また、この発明のフィルタ回路付き配線基板では、グランド接続端子を形成する導体パターンと第2グランド接続端子を形成する導体パターンは、同じ第2平面導体によって形成されていることが好ましい。
【0020】
この構成では、グランドの面積が広くなり、フィルタ特性がさらに安定する。
【0021】
また、この発明のフィルタ回路付き配線基板では、次の構成であってもよい。フィルタ回路は、第1外部接続端子と第2外部接続端子と間に直列接続された第1キャパシタと第2キャパシタとを備えている。第1キャパシタは、第1端部材に形成され、互いに対向する第3平面導体および第4平面導体を含んでいる。第2キャパシタは、第2端部材に形成され、互いに対向する第5平面導体および第6平面導体を含んでいる。
【0022】
この構成では、第1外部接続端子と第2外部接続端子と間に直列接続された第1キャパシタと第2キャパシタとを形成することができる。また、第1キャパシタと第2キャパシタを構成する平面導体がグランド導体に重ならないので、第1、第2キャパシタとグランドとの不要な結合が抑制される。これにより、所望のフィルタ特性が確実に実現される。
【0023】
また、この発明のフィルタ回路付き配線基板では、次の構成であってもよい。フィルタ回路は、一方端が第1キャパシタと第2キャパシタとの間に接続され、他方端が第1グランド端子および第2グランド端子に接続されたインダクタを備えている。インダクタは、中間部材に形成された線状の導体パターンを備える。
【0024】
この構成では、T型でC(キャパシタ)−L(インダクタ)−C(キャパシタ)型のフィルタを実現することができる。また、この構成では、インダクタと各キャパシタとの結合が抑制される。これにより、所望のフィルタ特性が確実に実現される。
【0025】
また、この発明のフィルタ回路付き配線基板では、第1グランド接続端子は複数であることが好ましい。
【0026】
この構成では、さらに安定した接地が可能になる。
【0027】
また、この発明のフィルタ回路付き配線基板では、フィルタ回路を形成する導体パターンの一部は、グランド用導体パターンに対して、絶縁性基材を形成する絶縁体層を挟んで対向して配置されていることが好ましい。
【0028】
この構成では、導体パターンで形成される伝送線路の特性インピーダンスを適切に設定し易い。
【0029】
また、この発明の電子機器は、上述のいずれかに記載のフィルタ回路付き配線基板と、第1外部接続端子が実装される第1回路基板と、第2外部接続端子が実装される第2回路基板と、を備えている。
【0030】
この構成では、上述のフィルタ回路付き配線基板を備えることによって、第1位回路基板と第2回路基板との間を伝送する信号に対して、所望のフィルタ処理を行うことができる。したがって、電子機器としての所望とする電気特性を実現することが可能になる。また、フィルタ回路付き配線基板が可撓性を有する絶縁性基材によって形成されているので、フィルタ回路付き配線基板を曲げてまたは捻って第1回路基板と第2回路基板とを接続することができる。これにより、電子機器における第1回路基板と第2回路基板との配置パターンの融通性が向上する。例えば、第1回路基板の配置位置と第2回路基板の配置位置の高さが異なっていても、第1回路基板と第2回路基板とを容易に接続することができる。そして、このような曲げ、捻れがあっても、上述のように接地を行うことができるので、フィルタ特性が安定し、電子機器としての所望とする電気特性を実現することが可能になる。
【0031】
また、この発明の電子機器では、次の構成であってもよい。電子機器は、上述のいずれかに記載のフィルタ回路付き配線基板と、第1外部接続端子および2外部端子の少なくとも一方と、第1グランド接続端子および第2グランド接続端子の少なくとも一方とが実装される回路基板と、を備える。
【0032】
この構成では、フィルタ回路付き配線基板の途中位置が回路基板のグランドに接続されるので、フィルタ回路付き配線基板が回路基板に対して強固に接続され、且つ、安定した接地が可能になる。
【0033】
また、この発明の電子機器では、次の構成であってもよい。電子機器は、上述のいずれかに記載のフィルタ回路付き配線基板と、第1グランド接続端子および第2グランド接続端子が実装される回路基板と、を備えていてもよい。
【0034】
この構成では、第1グランド接続端子と第2グランド端子の両方が回路基板のグランドに接続されるので、フィルタ回路付き配線基板が回路基板に対してさらに強固に接続され、且つ、さらに安定した接地が可能になる。
【0035】
また、この発明の電子機器では、第1外部接続端子、第2外部接続端子、第1グランド接続端子、および第2グランド接続端子が1つの回路基板に実装されていてもよい。
【0036】
この構成では、回路基板に配置されるフィルタ回路が薄型になり、高周波特性が向上する。
【発明の効果】
【0037】
この発明によれば、配線基板の特性をより確実に安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の第1の実施形態に係るフィルタ回路付き配線基板の外観斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るフィルタ回路付き配線基板の分解平面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る電子機器の部分構成図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る電子機器の機能ブロック図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係るフィルタ回路付き配線基板の分解平面図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る電子機器の機能ブロック図である。
図7】1つの回路基板にフィルタ回路付き配線基板を実装する態様を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の第1の実施形態に係るフィルタ回路付き配線基板および電子機器について、図を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るフィルタ回路付き配線基板の外観斜視図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係るフィルタ回路付き配線基板の分解平面図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る電子機器の部分構成図である。図4は、本発明の第1の実施形態に係る電子機器の機能ブロック図である。
【0040】
図1図2に示すように、フィルタ回路付き配線基板10は、絶縁性基材30、絶縁性保護部材40を備える。絶縁性基材30と絶縁性保護部材40は、平面視して略同じ形状である。絶縁性保護部材40は、絶縁性基材30の表面に配置されている。絶縁性保護部材40は、例えば、絶縁性基材30への貼り付けによって形成されるカバーレイフィルム、または、絶縁性基材30への印刷によって形成されるレジスト膜によって実現される。
【0041】
図2に示すように、絶縁性基材30は、絶縁体層31と絶縁体層32を備える。絶縁体層31,32は積層されている。絶縁体層31の裏面と絶縁体層32の表面が当接している。絶縁体層31の表面が絶縁性基材30の表面である。絶縁体層31,32は可撓性を有する材料からなり、例えば、液晶ポリマを主成分とする材料からなる。
【0042】
絶縁体層31は、第1端部材311、第2端部材312、第3端部材313、中間部材314からなる。絶縁体層31を平面視して、第1端部材311、第3端部材313は、中間部材314を挟んで、第2端部材312と反対側に配置されている。第1端部材311と第3端部材313は、第1端部材311および第3端部材313、中間部材314、第2端部材312が並ぶ方向に対して直交する方向に、間隔を空けて配置されている。
【0043】
絶縁体層31の表面には、導体パターン51,52,53,54,55が形成されている。より具体的に、各導体パターンは次のように形成されている。
【0044】
導体パターン51は、第1端部材311に形成されている。導体パターン51は、矩形の導体である。導体パターン51は、第1端部材311における中間部材314に接続する端部と反対側の端部に形成されている。
【0045】
導体パターン52,54,55は、第2端部材312に形成されている。導体パターン52は、巻回状の線状導体である。導体パターン54は、導体パターン52の外周端に接続されている。導体パターン54は矩形の導体である。導体パターン54の一辺の長さは、導体パターン52の幅よりも長い。導体パターン54は、導体パターン52よりも、第2端部材312における中間部材314に接続する端部と反対側の端部に形成されている。導体パターン55は、導体パターン52の内周端に接続されている。導体パターン55は、矩形の導体である。導体パターン55の一辺の長さは、導体パターン52の幅よりも長い。但し、導体パターン55の面積は、導体パターン54の面積よりも小さい。
【0046】
導体パターン53は、第3端部材313と中間部材314の略全面に亘って形成されている。この導体パターン53が本発明の「グランド用導体パターン」に対応する。
【0047】
絶縁体層31を平面視して、絶縁体層31における導体パターン51に重なる位置には、層間接続導体71が形成されており、導体パターン55に重なる位置には、層間接続導体72が形成されている。
【0048】
絶縁体層32は、第1端部材321、第2端部材322、第3端部材323、中間部材324からなる。絶縁体層32を平面視して、第1端部材321、第3端部材323は、中間部材324を挟んで、第2端部材322と反対側に配置されている。第1端部材321と第3端部材323は、第1端部材321および第3端部材323、中間部材324、第2端部材322が並ぶ方向に対して直交する方向に、間隔を空けて配置されている。
【0049】
絶縁体層32の表面には、導体パターン61,62,63,64,611が形成されている。より具体的に、各導体パターンは次に示すように形成されている。
【0050】
導体パターン61は、第1端部材321と中間部材324に亘って形成されている。導体パターン61は、第1端部材321における中間部材324に接続する側の端部とこれに反対の端部との間を結ぶ直線状の線状導体である。導体パターン611は、導体パターン61の一方端(中間部材に接続する側と反対側の端部)に接続されている。導体パターン611は矩形の導体である。導体パターン611の一辺の長さは、導体パターン61の幅よりも長い。導体パターン611は、絶縁性基材30を平面視して、導体パターン51に重なっている。導体パターン611と導体パターン51は、層間接続導体71によって接続されている。
【0051】
導体パターン62は、第2端部材322と中間部材324に亘って形成されている。導体パターン62は、巻回状の線状導体である。導体パターン64は、第2端部材322に形成されている。導体パターン64は、導体パターン62の内周端に接続されている。導体パターン64は矩形の導体である。導体パターン64の一辺の長さは、導体パターン62の幅よりも長い。導体パターン64は、絶縁性基材30を平面視して、導体パターン55に重なっている。導体パターン64と導体パターン55は、層間接続導体72によって接続されている。導体パターン62の外周端は、中間部材324において導体パターン61の他方端付近に接続されている。
【0052】
導体パターン63は、第3端部材323と中間部材324に亘って形成されている。導体パターン63は、矩形の導体である。導体パターン63における中間部材324側の端部は、導体パターン61の他方端に接続されている。
【0053】
導体パターン53と導体パターン63とは、絶縁体層31を介して対向する。これにより、第3端部材313,323と中間部材314,324とに亘って形成された対向導体を備えるキャパシタ(図4に示すC10)が形成される。この導体パターン53が本発明の「第2平面導体」に対応し、導体パターン63が本発明の「第1平面導体」に対応する。
【0054】
また、導体パターン61は、所定の長さを有する線状導体であり、第1のインダクタ(図4に示すL11)が形成される。また、導体パターン52、層間接続導体72、導体パターン62によってスパイラル状の導体パターンが形成され、この導体パターンによって、第2のインダクタ(図4に示すL12)が形成される。
【0055】
そして、第1インダクタL11と第2インダクタL12とが直列接続され、第1インダクタL11と第2インダクタL12との接続点にキャパシタが接続されたT型回路が形成される。
【0056】
絶縁性保護部材40には、穴41,42,43,441,442が形成されている。より具体的には、次に示す位置に各穴が形成されている。
【0057】
フィルタ回路付き配線基板10を平面視して、導体パターン51の位置には、絶縁性保護部材40に穴41が形成されている。この穴41により、導体パターン51は、フィルタ回路付き配線基板10の表面に露出する。これにより、図1に示す第1外部接続端子T1が構成されている。
【0058】
フィルタ回路付き配線基板10を平面視して、導体パターン54の位置には、絶縁性保護部材40に穴42が形成されている。この穴42により、導体パターン54は、フィルタ回路付き配線基板10の表面に露出する。これにより、図1に示す第2外部接続端子T2が構成されている。
【0059】
フィルタ回路付き配線基板10を平面視して、導体パターン53の中間部材314と反対側の端部付近の位置には、絶縁性保護部材40に穴43が形成されている。この穴43により、導体パターン53は、フィルタ回路付き配線基板10の表面に部分的に露出する。これにより、図1に示す第3外部接続端子T3が構成されている。
【0060】
フィルタ回路付き配線基板10を平面視して、導体パターン53における中間部材314の領域には、絶縁性保護部材40に穴441,442が形成されている。これらの穴441,442により、導体パターン53は、フィルタ回路付き配線基板10の表面に部分的に露出する。これにより、図1に示す第4外部接続端子T41,T42が構成されている。第3外部接続端子T3は、本発明の「第2グランド接続端子」に対応し、第4外部接続端子T41,T42は、本発明の「第1グランド接続端子」に対応する。
【0061】
このように、本実施形態の構成を用いることによって、第1外部接続端子T1と第2外部接続端子T2との間に第1インダクタL11と第2インダクタL12が直列接続された回路が構成される。さらに、第1インダクタL11と第2インダクタL12との接続点と、グランド接続端子である第3外部接続端子T3および第4外部接続端子T41,T42との間にキャパシタC10が接続された回路が構成される。すなわち、第1外部接続端子T1と第2外部接続端子T2との間にL11−C10−L12のT型フィルタ回路が構成される。
【0062】
そして、本実施形態の構成を用いることによって、信号伝送方向に沿って、第1外部接続端子T1と第2外部接続端子T2との間である、キャパシタC10が形成される領域に、グランド接続端子である第4外部接続端子T41,T42が配置される。これにより、フィルタ回路付き配線基板10における信号伝送方向の途中を接地でき、フィルタ回路付き配線基板10を安定して接地させることができる。したがって、フィルタ回路付き配線基板10のフィルタ特性を安定させ、確実に所望のフィルタ特性を実現することができる。
【0063】
また、本実施形態の構成では、コネクタ等を用いることなく、グランド用導体パターンである導体パターン53が外部のグランド導体に直接接続される。したがって、接地に対する浮遊インダクタの発生を抑制し、フィルタ回路付き配線基板10をより確実に安定して接地することができる。
【0064】
また、本実施形態では、第1端部材311、第2端部材312、第3端部材313よりも面積が大きな中間部材314の略全面にグランド用導体パターンである導体パターン53が形成されており、第4外部接続端子T41,T42の二箇所を設けているので、より安定した接地を実現することができる。
【0065】
また、本実施形態では、導体パターン53,63におけるキャパシタC10が形成される部分と、第1インダクタL11を形成する導体パターン61と、第2インダクタL12を形成する導体パターン52,62とが重ならない。したがって、キャパシタC10、第1インダクタL11、および、第2インダクタL12の不要な結合を抑制することができる。さらに、第1インダクタL11を形成する導体パターン61と、第2インダクタL12を形成する導体パターン52,62と間に、グランド用導体パターンである導体パターン53が配置されているので、第1インダクタL11と第2インダクタL12の不要な結合も抑制することができる。これにより、所望とするフィルタ特性をより確実に実現することができる。
【0066】
また、本実施形態の構成では、第1外部接続端子T1が形成される第1端部材と、第2外部接続端子T2が形成される第2端部材と、グランド接続端子である第3外部接続端子T3が形成される第3端部材とがそれぞれ帯状であり、これらが中間部材に接続する形状によって、絶縁性基材30が形成されている。これにより、第1端部材、第2端部材、第3端部材のそれぞれに対して個別に曲げ、捻れを加えることができ、柔軟性の高い、フィルタ回路付き配線基板10を実現でき、多様な形状の配置が可能になる。したがって、電子機器における第1回路基板91と第2回路基板92との配置パターンの融通性が向上する。例えば、第1回路基板91と第2回路基板92とが高さ位置が異なる位置に配置されていても、第1回路基板91と第2回路基板92とを容易に接続することができる。そして、どのような形状であっても、上述のように、グランド接続端子である第4外部接続端子T41,T42によって信号伝送方向の途中位置が接地されるので、フィルタ回路付き配線基板10を安定して接地でき、フィルタ特性を安定させることができる。
【0067】
また、本実施形態の構成では、キャパシタを構成する第1の平面導体である導体パターン53がグランド用導体パターンを兼ねているので、フィルタ回路付き配線基板10の構成を簡素化でき、薄型化が可能になる。
【0068】
また、本実施形態の構成では、導体パターン61,62とグランド用導体パターンである導体パターン53とが絶縁体層31を介して対向している部分を有するので、導体パターン61、62による伝送線路の特性インピーダンスを適切に設定することができる。これにより、伝送損失が低いフィルタ回路付き配線基板10を実現することができる。
【0069】
フィルタ回路付き配線基板10は、図3に示すように、電子機器1に用いられる。電子機器1は、フィルタ回路付き配線基板10、第1回路基板91、および、第2回路基板92を備える。第1回路基板91は、例えば、図4に示すようなアンテナ901を実現する回路基板である。第2回路基板92は、例えば、図4に示すような給電回路902を実現する回路基板である。
【0070】
フィルタ回路付き配線基板10の第1外部接続端子T1は、第1回路基板91の導体パターンに対してはんだ等の導電性材料によって接合されている。フィルタ回路付き配線基板10の第2外部接続端子T2は、第2回路基板92の導体パターンに対してはんだ等の導電性材料によって接合されている。フィルタ回路付き配線基板10の第3外部接続端子T3および第4外部接続端子T41,T42は、第1回路基板91の導体パターンに対して、はんだ等の導電性材料によって接合されている。
【0071】
これにより、第1回路基板91と第2回路基板92との間で高周波信号を伝送するとともに、この高周波信号に対するフィルタ処理を実現することができる。そして、上述のように、フィルタ回路付き配線基板10は、フィルタ特性が安定しているので、電子機器1は優れた電気特性を安定して実現することができる。
【0072】
例えば、図4に示すように、アンテナ901と給電回路902との間に接続することによって、優れたフィルタ特性を有するアンテナ直下のフィルタ回路を実現することができる。
【0073】
次に、本発明の第2の実施形態に係るフィルタ回路付き配線基板について、図を参照して説明する。図5は、本発明の第2の実施形態に係るフィルタ回路付き配線基板の分解平面図である。図6は、本発明の第2の実施形態に係る電子機器の機能ブロック図である。
【0074】
本実施形態に係るフィルタ回路付き配線基板10Aは、図6に示すように、第1外部接続端子T1Aと第2外部接続端子T2Aとの間に、第1キャパシタC11Aおよび第2キャパシタC12Aが直列接続され、第1キャパシタC11Aと第2キャパシタC12Aとの接続点とグランド電位との間に、インダクタL10Aが接続された回路構成を備えている。すなわち、フィルタ回路付き配線基板10Aは、第1の実施形態に示したフィルタ回路付き配線基板10に対して、フィルタ回路の構成が異なる。これに伴い、絶縁性基材30Aの形状および導体パターンの形状が、第1の実施形態に係る絶縁性基材30と異なる。
【0075】
図5に示すように、フィルタ回路付き配線基板10Aは、絶縁性基材30A、絶縁性保護部材40Aを備える。絶縁性基材30Aと絶縁性保護部材40Aは、平面視して略同じ形状である。絶縁性保護部材40Aは、絶縁性基材30Aの表面に配置されている。
【0076】
図5に示すように、絶縁性基材30Aは、絶縁体層31Aと絶縁体層32Aを備える。絶縁体層31A,32Aは積層されている。絶縁体層31Aの裏面と絶縁体層32Aの表面が当接している。絶縁体層31Aの表面が絶縁性基材30Aの表面である。絶縁体層31A,32Aは可撓性を有する材料からなり、例えば、液晶ポリマを主成分とする材料からなる。
【0077】
絶縁体層31Aは、第1端部材311A、第2端部材312A、第3端部材313A、中間部材314Aからなる。絶縁体層31Aを平面視して、第1端部材311A、第2端部材312Aは、中間部材314Aを挟んで、第3端部材313Aと反対側に配置されている。第1端部材311Aと第2端部材312Aは、第1端部材311Aおよび第2端部材312A、中間部材314A、第3端部材313Aが並ぶ方向に対して直交する方向に、間隔を空けて配置されている。
【0078】
絶縁体層31Aの表面には、導体パターン51A,53A,56A,57A,58Aが形成されている。より具体的に、各導体パターンは次のように形成されている。
【0079】
導体パターン51Aは、第1端部材311Aに形成されている。導体パターン51Aは、矩形の導体である。導体パターン51Aは、第1端部材311Aにおける中間部材314Aに接続する端部と反対側の端部に形成されている。
【0080】
導体パターン56A,57A,58Aは、第2端部材312Aに形成されている。導体パターン56A,57Aは、矩形の導体である。導体パターン56Aは、第2端部材312Aにおける中間部材314Aに接続する端部と反対側の端部に形成されている。導体パターン57Aは、第2端部材312Aにおける中間部材314Aに接続する端部に形成されている。導体パターン58Aは、線状導体である。導体パターン58Aは、導体パターン56Aと導体パターン57Aとの間に配置され、導体パターン56Aと導体パターン57Aとを接続している。
【0081】
導体パターン53Aは、第3端部材313Aと中間部材314Aの略全面に亘って形成されている。この導体パターン53Aが本発明の「グランド用導体パターン」に対応する。
【0082】
絶縁体層31Aを平面視して、絶縁体層31Aにおける導体パターン53Aに重なる位置には、層間接続導体73Aが形成されている。
【0083】
絶縁体層32Aは、第1端部材321A、第2端部材322A、第3端部材323A、中間部材324Aからなる。絶縁体層32Aを平面視して、第1端部材321A、第2端部材322Aは、中間部材324Aを挟んで、第3端部材323Aと反対側に配置されている。第1端部材321Aと第2端部材322Aは、第1端部材321Aおよび第2端部材322A、中間部材324A、第3端部材323Aが並ぶ方向に対して直交する方向に、間隔を空けて配置されている。
【0084】
絶縁体層32の表面には、導体パターン65A,66A,67A,68A,69A,671Aが形成されている。より具体的に、各導体パターンは次に示すように形成されている。
【0085】
導体パターン65Aは、第1端部材321Aに形成されている。導体パターン65Aは、矩形の導体である。導体パターン65Aは、第1端部材321Aにおける中間部材324Aに接続する端部と反対側の端部に形成されている。
【0086】
導体パターン51Aと導体パターン65Aとは、絶縁体層31Aを介して対向する。これにより、図6に示す第1キャパシタC11Aが形成される。この導体パターン51Aが本発明の「第3平面導体」に対応し、導体パターン65Aが本発明の「第4平面導体」に対応する。
【0087】
導体パターン66Aは、第1端部材321Aと中間部材324Aに亘って形成されている。導体パターン66Aは、線状導体である。導体パターン66Aの一方端は導体パターン65Aに接続されている。導体パターン66Aの他方端は、導体パターン67A,69Aに接続されている。
【0088】
導体パターン67Aは、中間部材324Aに形成されている。導体パターン67Aは、巻回状の線状導体である。導体パターン67Aの外周端は、導体パターン66A,69Aに接続されている。導体パターン671Aは、矩形の導体である。導体パターン671Aの一辺の長さは、導体パターン67Aの幅よりも長い。導体パターン671Aと導体パターン53Aは、層間接続導体73Aによって接続されている。この導体パターン67Aによって、図6に示すインダクタL10Aが形成される。
【0089】
導体パターン68Aは、第2端部材322Aに形成されている。導体パターン68Aは、矩形の導体である。導体パターン68Aは、第2端部材322Aにおける中間部材324Aに接続する端部に形成されている。
【0090】
導体パターン57Aと導体パターン68Aとは、絶縁体層31Aを介して対向する。これにより、図6に示す第2キャパシタC12Aが形成される。この導体パターン57Aが本発明の「第5平面導体」に対応し、導体パターン68Aが本発明の「第6平面導体」に対応する。
【0091】
導体パターン69Aは、第2端部材322Aと中間部材324Aに亘って形成されている。導体パターン69Aは、線状導体である。導体パターン69Aの一方端は導体パターン68Aに接続されている。導体パターン69Aの他方端は、導体パターン66A,67Aに接続されている。
【0092】
絶縁性保護部材40Aには、穴41A,42A,43A,441A,442Aが形成されている。より具体的には、次に示す位置に各穴が形成されている。
【0093】
フィルタ回路付き配線基板10Aを平面視して、導体パターン51Aの位置には、絶縁性保護部材40Aに穴41Aが形成されている。この穴41Aにより、導体パターン51Aは、フィルタ回路付き配線基板10Aの表面に露出する。これにより、第1外部接続端子T1Aが構成されている。
【0094】
フィルタ回路付き配線基板10Aを平面視して、導体パターン56Aの位置には、絶縁性保護部材40Aに穴42Aが形成されている。この穴42Aにより、導体パターン56Aは、フィルタ回路付き配線基板10Aの表面に露出する。これにより、第2外部接続端子T2Aが構成されている。
【0095】
フィルタ回路付き配線基板10Aを平面視して、導体パターン53Aの第3端部材313Aの領域には、絶縁性保護部材40Aに穴43Aが形成されている。この穴43Aにより、導体パターン53Aにおける第3端部材313Aの領域は、フィルタ回路付き配線基板10Aの表面に部分的に露出する。これにより、第3外部接続端子T3Aが構成されている。
【0096】
フィルタ回路付き配線基板10Aを平面視して、導体パターン53Aにおける中間部材314Aの領域には、絶縁性保護部材40Aに穴441A,442Aが形成されている。これらの穴441A,442Aにより、導体パターン53Aにおける中間部材314Aの領域の一部は、フィルタ回路付き配線基板10Aの表面に部分的に露出する。これにより、第4外部接続端子T41A,T42Aが構成されている。第3外部接続端子T3Aは、本発明の「第2グランド接続端子」に対応し、第4外部接続端子T41A,T42Aは、本発明の「グランド接続端子」に対応する。
【0097】
このように、本実施形態の構成を用いることによって、第1外部接続端子T1Aと第2外部接続端子T2Aとの間に第1キャパシタC11Aと第2キャパシタC12Aが直列接続された回路が構成される。さらに、第1キャパシタC11Aと第2キャパシタC12Aとの接続点と、グランド接続端子である第3外部接続端子T3Aおよび第4外部接続端子T41A,T42Aとの間にインダクタL10Aが接続された回路が構成される。すなわち、図6に示すように、第1外部接続端子T1Aと第2外部接続端子T2Aとの間にC11A−L10A−C12AのT型フィルタ回路が構成される。
【0098】
そして、本実施形態の構成を用いることによって、信号伝送方向に沿って、第1外部接続端子T1Aと第2外部接続端子T2Aとの間のインダクタL10Aが形成される位置に、グランド接続端子である第4外部接続端子T41A,T42Aが配置される。これにより、フィルタ回路付き配線基板10Aにおける信号伝送方向の途中を接地でき、フィルタ回路付き配線基板10Aを安定して接地させることができる。したがって、フィルタ回路付き配線基板10Aのフィルタ特性を安定させ、確実に所望のフィルタ特性を実現することができる。
【0099】
また、上述の第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0100】
なお、上述の各実施形態では、グランド接続端子である第3外部接続端子と第4外部接続端子を形成する導体パターン(グランド導体パターン)が一体である態様を示したが、これらを分離することも可能である。
【0101】
また、上述の各実施形態では、第4外部接続端子を二個設ける態様を示したが、他の個数であってもよい。すなわち、信号伝送方向に沿って、第1外部接続端子と第2外部接続端子との間に、少なくとも一個の第4外部接続端子を備えていればよい。
【0102】
また、上述の各実施形態では、絶縁性基材を二層の絶縁体層によって形成する態様を示したが、層数はこれに限るものではない。
【0103】
また、上述の説明では、T型のフィルタ回路を例に示したが、T型に限ることなく、一方端が接地される受動素子(インダクタ、キャパシタ)を備えるフィルタ回路に対して、上述の構成を適用でき、同様の作用効果を得ることができる。
【0104】
また、上述の説明では、フィルタ回路付き配線基板によって、2つの回路基板を接続する態様を示したが、1つの回路基板にフィルタ回路付き配線基板を実装してもよい。図7は、1つの回路基板にフィルタ回路付き配線基板を実装する態様を示す分解斜視図である。
【0105】
図7に示すように、電子機器1Bは、フィルタ回路付き配線基板10、および、回路基板93を備える。回路基板93の表面には、実装用ランド導体931,932,933,9341,9342が形成されている。
【0106】
フィルタ回路付き配線基板10は、回路基板93の表面に実装されている。この際、回路基板93の第1外部接続端子T1、第2外部接続端子T2、第3外部接続端子T3、および第4外部接続端子T41,T42は、回路基板93の実装用ランド導体931、実装用ランド導体932、実装用ランド導体933、および実装用ランド導体9341,9342に、はんだ等によって接合されている。
【0107】
このような構成では、回路基板93の表面に、薄型のフィルタを配置することができ、電子機器1Bを薄く形成することができる。また、液晶ポリマ等の高周波特性に優れる材料によってフィルタ回路付き配線基板10を形成することによって、回路基板93の絶縁体内にフィルタ回路を構成するよりも、フィルタ回路の高周波特性が向上する。これにより、高周波特性に優れる電子機器1Bを実現することができる。また、回路基板93におけるフィルタ回路付き配線基板10Bが接続される両端の高さ位置が異なっていても、上述の実施形態と同様に、回路基板93に対してフィルタ回路付き配線基板10Bを容易に実装することができる。
【符号の説明】
【0108】
1,1B:電子機器
10,10A:フィルタ回路付き配線基板
30,30A:絶縁性基材
31,32,31A,32A:絶縁体層
40,40A:絶縁性保護フィルム
41,42,43,441,442,41A,42A,43A,441A,442A:穴
51,52,53,54,55,61,62,63,64,611,51A,53A,56A,57A,58A,65A,66A,67A,68A,69A,671A:導体パターン
71,72,73A:層間接続導体
91:第1回路基板
92:第2回路基板
93:回路基板
311,321,311A,321A:第1端部材
312,322,312A,322A:第2端部材
313,323,313A,323A:第3端部材
314,324,314A,324A:中間部材
901:アンテナ
902:給電回路
931,932,933,9341,9342:実装用ランド導体
T1,T1A:第1外部接続端子
T2,T2A:第2外部接続端子
T3,T3A:第3外部接続端子
T41,T42,T41A,T42A:第4外部接続端子
【要約】
フィルタ回路付き配線基板のより安定した特性を実現する。
フィルタ回路付き配線基板(10)は、第1外部接続端子(T1)、第2外部接続端子(T2)、および、グランド接続端子(T41,T42)を備える。第1外部接続端子(T1)は、信号伝送方向に沿った導体パターン(61)の端部に配置されている。第2外部接続端子(T2)は、信号伝送方向に沿った導体パターン(62,52)の端部に配置されている。グランド接続端子(T41,T42)は、フィルタ回路を接地する端子であり、信号伝送方向に沿った、第1外部接続端子(T1)と第2外部接続端子(T2)との間に配置された導体パターン(53)によって形成されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7