(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記テープ状本体の一方の主面に、前記電子部品を収容する前記複数の収容穴を覆うようにテープ状カバー材を貼り付ける工程をさらに含む、請求項1に記載のキャリアテープの製造方法。
前記テープ状シール材に前記切込みを形成した後、前記シール材となる部分以外の部分を前記テープ状本体から分離する工程をさらに含む、請求項1又は2に記載のキャリアテープの製造方法。
複数のシール材付きRFIC素子を収容するキャリアテープであって、一方の主面から他方の主面まで貫通する収容穴を長手方向に沿って複数有するテープ状本体と、一方の主面に粘着層を有するとともに当該粘着層上に一対の端子電極を有する複数のシール材であって、平面視において前記粘着層の一部及び前記一対の端子電極のそれぞれの一部が各収容穴内に位置するように、前記テープ状本体の他方の主面に貼り付けられた複数のシール材と、各収容穴内に収容され、各収容穴内に位置する前記一対の端子電極のそれぞれの一部に接続される複数のRFIC素子と、
を備える、キャリアテープを用意する工程と、
前記テープ状本体を折り曲げることによって、前記テープ状本体から前記シール材付きRFIC素子を分離させる工程と、
前記分離させたシール材付きRFIC素子を、前記シール材の粘着層によりアンテナ基材に貼り付ける工程と、
を含む、RFIDタグの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1においては、1枚の帯状に延びるシート状の基材の全面に銅箔などの導電性箔を形成した後、エッチングなどによって導電性箔を所望の形状にパターニングすることにより複数対の端子電極を形成する。その後、各一対の端子電極にそれぞれRFIC素子を接続する。その後、シート状の基材を切断することで、一対の端子電極に接続された1個の基材付きRFIC素子を得る。この基材付きRFIC素子を接着剤を介してアンテナ基材に貼り付けることによって、RFIDタグが製造される。
【0007】
この製造方法では、一対の端子電極に対して微小な電子部品であるRFIC素子を精度良く接続することが難しいという課題がある。また、基材付きRFIC素子を接着剤によってアンテナ基材に貼り付ける際、一対の端子電極とアンテナ素子との間に接着剤が介在することになる。これを避けるためには、基材上に接着剤を塗布する際に、一対の端子電極を避けて接着剤を塗布することが考えられる。しかしながら、この場合、接着剤を精度良く塗布することが難しく、接着剤の量が不足して、アンテナ素子と一対の端子電極との接続の信頼性が低下することが起こり得る。
【0008】
本発明の目的は、一対の端子電極に対して電子部品をより精度良く接続することができるキャリアテープ及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の目的は、当該キャリアテープを用いてアンテナ素子と一対の端子電極との接続の信頼性を向上させることができるRFIDタグの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の一態様に係るキャリアテープの製造方法は、
複数のシール材付き電子部品を収容するキャリアテープの製造方法であって、
一方の主面から他方の主面まで貫通する収容穴を長手方向に沿って複数有するテープ状本体を用意する工程と、
一方の主面に粘着層を有し、当該粘着層上に複数対の端子電極を有するテープ状シール材を用意する工程と、
平面視において一対の端子電極のそれぞれの一部が各収容穴内に位置するように、前記テープ状シール材の粘着層を前記テープ状本体の他方の主面に貼り付ける工程と、
平面視において各収容穴と重複する部分を含むシール材となる部分を、他の部分から分離するように前記テープ状シール材に切込みを形成する工程と、
前記テープ状本体の各収容穴内にチップ状の電子部品を収容し、各収容穴内に位置する前記一対の端子電極のそれぞれの一部と前記電子部品とを接続する工程と、
を含む。
【0010】
また、本発明の一態様に係るキャリアテープは、
複数のシール材付き電子部品を収容するキャリアテープであって、
一方の主面から他方の主面まで貫通する収容穴を長手方向に沿って複数有するテープ状本体と、
一方の主面に粘着層を有するとともに当該粘着層上に一対の端子電極を有する複数のシール材であって、平面視において前記粘着層の一部及び前記一対の端子電極のそれぞれの一部が各収容穴内に位置するように、前記テープ状本体の他方の主面に貼り付けられた複数のシール材と、
各収容穴内に収容され、各収容穴内に位置する前記一対の端子電極のそれぞれの一部に接続される複数のチップ状の電子部品と、
を備える。
【0011】
また、本発明の一態様に係るRFIDタグの製造方法は、
複数のシール材付きRFIC素子を収容するキャリアテープであって、一方の主面から他方の主面まで貫通する収容穴を長手方向に沿って複数有するテープ状本体と、一方の主面に粘着層を有するとともに当該粘着層上に一対の端子電極を有する複数のシール材であって、平面視において前記粘着層の一部及び前記一対の端子電極のそれぞれの一部が各収容穴内に位置するように、前記テープ状本体の他方の主面に貼り付けられた複数のシール材と、各収容穴内に収容され、各収容穴内に位置する前記一対の端子電極のそれぞれの一部に接続される複数のRFIC素子と、
を備える、キャリアテープを用意する工程と、
前記テープ状本体を折り曲げることによって、前記テープ状本体から前記シール材付きRFIC素子を分離させる工程と、
前記分離させたシール材付きRFIC素子を、前記シール材の粘着層によりアンテナ基材に貼り付ける工程と、
を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るキャリアテープ及びその製造方法によれば、一対の端子電極に対して電子部品をより精度良く接続することができる。
【0013】
また、本発明に係るRFIDタグの製造方法によれば、アンテナ素子と一対の端子電極との接続の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一態様に係るキャリアテープの製造方法は、複数のシール材付き電子部品を収容するキャリアテープの製造方法であって、
一方の主面から他方の主面まで貫通する収容穴を長手方向に沿って複数有するテープ状本体を用意する工程と、
一方の主面に粘着層を有し、当該粘着層上に複数対の端子電極を有するテープ状シール材を用意する工程と、
平面視において一対の端子電極のそれぞれの一部が各収容穴内に位置するように、前記テープ状シール材の粘着層を前記テープ状本体の他方の主面に貼り付ける工程と、
平面視において各収容穴と重複する部分を含むシール材となる部分を、他の部分から分離するように前記テープ状シール材に切込みを形成する工程と、
前記テープ状本体の各収容穴内にチップ状の電子部品を収容し、各収容穴内に位置する前記一対の端子電極のそれぞれの一部と前記電子部品とを接続する工程と、
を含む。
【0016】
この製造方法によれば、一対の端子電極のそれぞれの一部が各収容穴内に位置するので、当該収容穴をガイドとして電子部品が収容穴内に収容されることができる。これにより、一対の端子電極に対して電子部品をより精度良く位置決めして接続することが可能になる。例えば、はんだをプリコートした電子部品を収容穴に収容した後、加熱する。或いは、一対の端子電極のそれぞれの一部にはんだを印刷し、電子部品を収容穴に収容した後、加熱する。これらの場合、収容穴がガイドとなってはんだによるセルフアライメント効果を向上させることができ、一対の端子電極に対して電子部品をより精度良く接続することができる。また、複数のシール材付き電子部品がキャリアテープに収容されるので、複数のシール材付き電子部品の取扱い性を向上させることができる。
【0017】
なお、本発明の一態様に係るキャリアテープの製造方法は、前記テープ状本体の一方の主面に、前記電子部品を収容する前記複数の収容穴を覆うようにテープ状カバー材を貼り付ける工程をさらに含んでもよい。
【0018】
この製造方法によれば、電子部品を収容する収容穴に塵埃等が侵入することを防ぐことができ、一対の端子電極に対して電子部品をより精度良く接続することができる。
【0019】
また、本発明の一態様に係るキャリアテープの製造方法は、前記テープ状シール材に前記切込みを形成した後、前記シール材となる部分以外の部分を前記テープ状本体から分離する工程をさらに含んでもよい。
【0020】
この製造方法によれば、シール材付き電子部品をテープ状本体から分離するとき、シール材となる部分以外の部分が除去された状態で分離するので、シール材付き電子部品を容易に分離することができる。
【0021】
本発明に係るキャリアテープは、複数のシール材付き電子部品を収容するキャリアテープであって、
一方の主面から他方の主面まで貫通する収容穴を長手方向に沿って複数有するテープ状本体と、
一方の主面に粘着層を有するとともに当該粘着層上に一対の端子電極を有する複数のシール材であって、平面視において前記粘着層の一部及び前記一対の端子電極のそれぞれの一部が各収容穴内に位置するように、前記テープ状本体の他方の主面に貼り付けられた複数のシール材と、
各収容穴内に収容され、各収容穴内に位置する前記シール材の粘着層の一部に貼り付けられるとともに、各収容穴内に位置する前記一対の端子電極のそれぞれの一部に接続される複数のチップ状の電子部品と、
を備える。
【0022】
このキャリアテープによれば、一対の端子電極のそれぞれの一部が収容穴内に位置するので、当該収容穴をガイドとして電子部品が収容穴内に収容されることができる。これにより、一対の端子電極に対して電子部品をより精度良く位置決めして接続することが可能になる。また、複数のシール材付き電子部品がキャリアテープに収容されるので、複数のシール材付き電子部品の取扱い性を向上させることができる。
【0023】
なお、前記シール材は、前記テープ状本体よりも剛性が高いことが好ましい。これにより、テープ状本体を折り曲げたときに、シール材がテープ状本体から分離し易くなる。
【0024】
なお、前記電子部品は、RFIC素子であってもよい。
【0025】
本発明の一態様に係るRFIDタグの製造方法は、
複数のシール材付きRFIC素子を収容するキャリアテープであって、一方の主面から他方の主面まで貫通する収容穴を長手方向に沿って複数有するテープ状本体と、一方の主面に粘着層を有するとともに当該粘着層上に一対の端子電極を有する複数のシール材であって、平面視において前記粘着層の一部及び前記一対の端子電極のそれぞれの一部が各収容穴内に位置するように、前記テープ状本体の他方の主面に貼り付けられた複数のシール材と、各収容穴内に収容され、各収容穴内に位置する前記シール材の粘着層の一部に貼り付けられるとともに、各収容穴内に位置する前記一対の端子電極のそれぞれの一部に接続される複数のRFIC素子と、
を備える、キャリアテープを用意する工程と、
前記テープ状本体を折り曲げることによって、前記テープ状本体から前記シール材付きRFIC素子を分離させる工程と、
前記分離させたシール材付きRFIC素子を、前記シール材の粘着層によりアンテナ基材に貼り付ける工程と、
を含む。
【0026】
この製造方法によれば、一対の端子電極のそれぞれの一部が各収容穴内に位置するので、当該収容穴をガイドとしてRFIC素子が収容穴内に収容されることができる。これにより、一対の端子電極に対してRFIC素子をより精度良く位置決めして接続することが可能になる。また、一対の端子電極上に接着剤を塗布するのではなく、粘着層上に一対の端子電極を有するので、一対の端子電極上には粘着層が形成されない一方で、一対の端子電極以外の部分には粘着層が形成されることになる。従って、粘着層を精度良く塗布する必要性がなく、接着剤の量が不足することもないので、アンテナ素子と一対の端子電極との接続の信頼性を向上させることができる。また、テープ状本体を折り曲げるだけで、テープ状本体からシール材付きRFIC素子を分離させることができるので、製造工程の短縮及び製造コストの削減を図ることができる。
【0027】
なお、前記キャリアテープは、供給リールに巻き回され、
前記複数のシール材付きRFIC素子は、前記供給リールから前記キャリアテープを連続的に引き出しながら、当該引き出された前記キャリアテープの前記テープ状本体を、前記供給リールから離れた特定の位置で折り曲げることにより、前記テープ状本体から逐次分離されるようにしてもよい。
【0028】
この製造方法によれば、複数のRFIC素子をテープ状本体から高速で分離させることができる。その結果、複数のRFIDタグをより短時間で製造することが可能になる。
【0029】
なお、前記シール材は、平面視において長手方向と短手方向を有する形状(例えば、矩形状)を有し、前記シール材付きRFIC素子を前記テープ状本体から分離させるとき、前記シール材の長手方向の部分から分離させることが好ましい。これにより、シール材付きRFIC素子をテープ状本体から、より容易に分離させることができる。
【0030】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0031】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係るキャリアテープの概略構成を示す平面図である。
図2は、
図1のA1−A1線断面図である。
図3は、シール材付き電子部品の概略構成を示す斜視図である。
【0032】
図1又は
図2に示すように、本実施の形態に係るキャリアテープ1は、複数のシール材付き電子部品2を収容するように構成されている。より具体的には、キャリアテープ1は、テープ状本体3と、複数のシール材4と、一対の端子電極5a,5bと、複数のチップ状の電子部品6と、テープ状カバー材7とを備えている。シール材付き電子部品2は、シール材4と、一対の端子電極5a,5bと、電子部品6とにより構成されている。
【0033】
テープ状本体3は、一方の主面3aと、他方の主面3bとを有している。一方の主面3a及び他方の主面3bには、離型処理が施されている。テープ状本体3には、一方の主面3aから他方の主面3bまで貫通する複数の収容穴3cが設けられている。複数の収容穴3cは、テープ状本体3の長手方向に沿って設けられている。収容穴3cの配置間隔は、例えば、等間隔である。収容穴3cは、平面視において電子部品6を完全に収容するとともに、電子部品6の周囲に例えば0.1〜2mm程度の隙間が空くように、電子部品6よりもやや大きなサイズを有する。ここで、「平面視」とは、
図1に示す方向から見た状態をいう。テープ状本体3は、例えば、耐熱性及び可撓性を有する部材で構成されている。テープ状本体3の厚さは、例えば、50〜800μmである。テープ状本体3の厚さ、つまり収容穴3cの深さは、電子部品6の厚みとほぼ同じか、電子部品6の厚みよりも薄い。
【0034】
シール材4は、例えば、後述するアンテナ基材11に貼り付けられ、接続対象物の一例であるアンテナ素子12と電子部品6との電気的接続を保持するものである。シール材4は、一方の主面に粘着層4aを有している。粘着層4aは、例えば、シール材4の一方の主面の全体に形成されている。シール材4は、各収容穴3cに粘着層4aが露出するように、テープ状本体3の他方の主面3bに貼り付けられている。本実施の形態において、シール材4は、収容穴3cを完全に覆うことができるように、収容穴3cよりもサイズが大きく形成されている。シール材4は、例えば、ポリイミドなどの耐熱性、可撓性、及び弾性を有する部材により構成されている。シール材4の厚さは、例えば、20〜200μmである。
【0035】
一対の端子電極5a,5bは、電子部品6と後述するアンテナ素子12とを電気的に接続するものであり、シール材4の粘着層4a上に形成されている。一対の端子電極5a,5bのうち各幅狭部は、電子部品6の一対の入出力端子に対してはんだにより接合できるように、銅箔により形成されている。一対の端子電極5a,5bのうち各幅広部は、アンテナ素子12に対して接触または容量結合により電気的に接続される。一方の端子電極5aと他方の端子電極5bとは、
図3に示すように、互いに隙間を空けて対向するように配置されている。つまり、シール材4のうち端子電極5a,5bが設けられた領域以外はアンテナ素子12およびアンテナ基材11に対する接着面であるが、端子電極5a,5bが設けられた領域は非接着面である。また、一対の端子電極5a,5bのそれぞれの一部は、
図1に示すように、平面視において収容穴3c内に位置するように設けられている。一対の端子電極5a,5bのそれぞれの他部は、シール材4とテープ状本体3との間に位置するように設けられている。なお、本実施の形態において、シール材4に設けた端子電極5a,5bは、電子部品6とアンテナ素子12とを接続するための配線パターンとして機能する。シール材4は、当該配線パターンの他、電子部品6とアンテナ素子12とのインピーダンスを整合させるためのキャパシタパターンやインダクタパターンを有してもよい。
【0036】
電子部品6は、収容穴3c内に収容され、一対の端子電極5a,5bに接続されている。電子部品6と一対の端子電極5a,5bとは、例えば、はんだにより電気的に接続されている。本実施の形態において、電子部品6は、例えば、RFICチップそのもの又はRFIC素子(RFICチップを封止したパッケージやストラップ)である。RFIC素子は、例えば、極薄パッケージ(ultrathin package)である。電子部品6の高さ(厚さ)は、例えば、50μm〜1mmである。
【0037】
テープ状カバー材7は、電子部品6を収容する複数の収容穴3cを覆うように、テープ状本体3の一方の主面3aに貼り付けられている。テープ状カバー材7の一方の面は、収容穴5cに収容された電子部品6が貼り付いた場合でも容易に分離できるように、弱粘性を有している。テープ状カバー材7は、テープ状本体3よりも幅が短く、テープ状本体3の一方の主面3aの幅方向の両端部が露出するように、テープ状本体3に貼り付けられている。テープ状本体3の幅方向の両端部には、テープ状本体3の長手方向に沿って複数の送り穴3dが設けられている。テープ状カバー材7は、例えば、ポリスチレンなどの可撓性を有する部材で構成されている。テープ状カバー材7の厚さは、例えば、50〜200μmである。
【0038】
本実施の形態に係るキャリアテープによれば、一対の端子電極5a,5bのそれぞれの一部が収容穴3c内に位置するので、当該収容穴3cをガイドとして電子部品6が収容穴3c内に収容されることができる。これにより、一対の端子電極5a,5bに対して電子部品6をより精度良く位置決めして接続することが可能になる。また、複数のシール材付き電子部品2がキャリアテープ1に収容されるので、複数のシール材付き電子部品2の取扱い性を向上させることができる。
【0039】
なお、本実施の形態において、電子部品6はRFIC素子であるとしたが、本発明はこれに限定されない。シール材付き電子部品2を、RFIDタグの製造とは異なる用途に使用する場合、電子部品6はRFIC素子以外の部品であってもよい。例えば、電子部品6は、温度センサや加速度センサ等のセンサ部品であってもよい。この場合、複数のシール材付きセンサ部品をキャリアテープに収容し、当該キャリアテープを用いてシール材付きセンサ部品を搬送用ケース等の接続対象物の一例である物品に貼付けるようにすればよい。これにより、複数のセンサ部品を物品上に高速に搭載することができる。
【0040】
次に、本実施の形態に係るキャリアテープの製造方法について説明する。
図4〜
図9Cは、本実施の形態に係るキャリアテープの製造方法の一例を示す図である。
【0041】
まず、
図4に示すように、一方の主面3aから他方の主面3bまで貫通する収容穴3cを長手方向に沿って複数有するテープ状本体3を用意する。
【0042】
また、
図5A及び
図5Bに示すように、一方の主面に粘着層4aを有し、当該粘着層4a上に複数対の端子電極5a,5bを有するテープ状シール材4Aを用意する。テープ状シール材4Aは、シール材4と同じ材質である。なお、テープ状本体3及びテープ状シール材4Aを用意する順序は限定されない。
【0043】
次いで、
図6に示すように、平面視において一対の端子電極5a,5bのそれぞれの一部が各収容穴3c内に位置するように、テープ状シール材4Aの粘着層4aをテープ状本体3の他方の主面3bに貼り付ける。
【0044】
次いで、
図7に示すように、平面視において各収容穴3cと重複する部分を含むシール材4となる部分を、他の部分4bから分離するようにテープ状シール材4Aに切込み4cを形成する。このとき、該切込みはテープ状本体3の他方の主面3bにも及ぶ。
【0045】
次いで、
図8A及び
図8Bに示すように、他の部分4bをテープ状本体3から分離する。他の部分4bはテープ状シール材4Aの長手方向に繋がっているので、連続的にテープ状本体3から引き剥がすことができる。
【0046】
次いで、
図9A〜
図9Cに示すように、テープ状本体3の各収容穴3c内に電子部品6を収容するとともに、各収容穴3c内に位置する一対の端子電極5a,5bのそれぞれの一部と電子部品6とを接続する。
【0047】
一対の端子電極5a,5bと電子部品6との接続は、例えば、
図9Bに示すように、一対の端子電極5a,5bと電子部品6との間にはんだ6a,6bを配置した状態で熱処理することにより行うことができる。この場合、収容穴3cがガイドとなってはんだ6a,6bによるセルフアライメント効果を向上させることができ、一対の端子電極5a,5bに対して電子部品6をより精度良く接続することができる。なお、はんだ6a,6bは、接続前において、電子部品6の表面にプリコートされてもよいし、一対の端子電極5a,5bのそれぞれの一部に印刷されてもよい。
【0048】
次いで、
図2に示すように、テープ状本体3の一方の主面3aに、電子部品6を収容する複数の収容穴3cを覆うようにテープ状カバー材7を貼り付ける。シール材4及びテープ状カバー材7が可撓性を有しており、電子部品6の厚みは、収容穴3cの深さとほぼ同じ又はそれ以上である。このため、電子部品6は、テープ状カバー材7と一対の端子電極5a,5bとの間でガタつきなく挟持される。
【0049】
本実施の形態に係るキャリアテープの製造方法によれば、一対の端子電極5a,5bのそれぞれの一部が各収容穴3c内に位置するので、当該収容穴3cをガイドとして電子部品6が収容穴3c内に収容されることができる。これにより、一対の端子電極5a,5bに対して電子部品6をより精度良く位置決めして接続することが可能になる。
【0050】
また、本実施の形態に係るキャリアテープの製造方法によれば、複数のシール材付き電子部品2がキャリアテープ1に収容されるので、複数のシール材付き電子部品2の取扱い性を向上させることができる。
【0051】
また、本実施の形態に係るキャリアテープの製造方法によれば、テープ状本体3の一方の主面3aにテープ状カバー材7を貼り付けるようにしている。これにより、電子部品6を収容する収容穴3cに塵埃等が侵入することを防ぐことができ、一対の端子電極5a,5bに対して電子部品6をより精度良く接続することができる。
【0052】
また、本実施の形態に係るキャリアテープの製造方法によれば、テープ状シール材4Aに切込み4cを形成した後、シール材4となる部分以外の部分4bをテープ状本体3から分離するようにしている。これにより、シール材付き電子部品2をテープ状本体3から分離するとき、シール材4となる部分以外の部分4bが除去された状態で分離するので、シール材付き電子部品2を容易に分離することができる。
【0053】
なお、本実施の形態では、テープ状本体3の一方の主面3aにテープ状カバー材7を貼り付けるようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、複数のシール材付き電子部品2が取り付いたテープ状本体3(
図9Cに示す状態)をリールに巻くと、内側で隣接するテープ状本体3の他方の主面3bがテープ状カバー材7の機能を果たすことができる。このような場合、テープ状カバー材7を不要とすることができる。このテープ状本体3をリールに巻く場合、電子部品6をテープ状本体3より厚い状態にすることで、電子部品6が一対の端子電極5a,5bに押し付けられるので、電子部品6と一対の端子電極5a,5bとをより確実に接続することができる。
【0054】
また、本実施の形態では、テープ状シール材4Aに切込み4cを形成した後、シール材4となる部分以外の部分4bをテープ状本体3から分離するようにしたが、本発明はこれに限定されない。シール材付き電子部品2をテープ状本体3から分離するときに、シール材4となる部分以外の部分4bが当該分離を妨げないように、当該他の部分4bとテープ状本体3との粘着性や切込み4cのサイズ等を調整してもよい。これにより、他の部分4bをテープ状本体3から分離する必要性を無くすことができる。
【0055】
次に、シール材付き電子部品であるシール材付きRFIC素子2を用いて、RFIDタグ10を製造する方法について説明する。
図10は、RFIDタグ10の製造方法を示す斜視図である。
図11Aは、RFIDタグ10を構成する部品であるアンテナ基材11及びアンテナ素子12を示す平面図である。
図11Bは、
図11AのA4−A4線断面図である。
図12Aは、アンテナ素子12上にシール材付き電子部品2を取り付けた状態を示す平面図である。
図12Bは、
図12AのA5−A5線断面図である。
【0056】
図10〜
図12Bに示すように、RFIDタグ10は、シール材付き電子部品2がアンテナ基材11の一方の主面に形成されたアンテナ素子12に取り付けられることにより製造される。RFIDタグ10は、例えば、900MHz帯を通信周波数とするRFIDタグである。
【0057】
アンテナ基材11は、ポリエチレンテレフタレート(PET)や紙などの可撓性を有する部材で構成されている。一方の主面には銅箔やアルミ箔又は銀ペーストによるアンテナ素子12が設けられている。
【0058】
アンテナ素子12は、例えば、ミアンダ状に形成され、ダイポール型のアンテナとして機能するアンテナ導体12a,12bを備えている。アンテナ導体12aの一端部である第1端部12aaと、アンテナ導体12bの一端部である第2端部12baとは、互いに離れて配置されている。第1端部12aaと第2端部12baの間隔は、一対の端子電極5a,5bとの間隔と一致又は略一致する。
【0059】
シール材付き電子部品2のシール材4は、第1端部12aaが一方の端子電極5aに接触し、第2端部12baが他方の端子電極5bに接触するように、粘着層4aによりアンテナ基材11に貼り付けられる。これにより、
図12A及び
図12Bに示すように、RFIDタグ10が完成する。このとき、第1端部12aaと一方の端子電極5a、並びに、第2端部12baと他方の端子電極5bとは、粘着層4aなどの接着剤を介さず直接接触する。
【0060】
なお、第1端部12aaと一方の端子電極5a、並びに、第2端部12baと他方の端子電極5bとは、直接固定されなくてもよい。この場合、アンテナ基材11が撓んでも、第1端部12aaと一方の端子電極5aとの接続部、並びに、第2端部12baと他方の端子電極5bとの接続部が摺動するため、ここに応力が集中することはない。従って、シール材付き電子部品2とアンテナ素子12との接続の信頼性が低下することを抑えることができる。
【0061】
なお、本実施の形態では、アンテナ導体12a,12bは、ミアンダ状に形成されるものであり、タグはUHF帯を通信周波数帯とするUHF帯RFIDタグとしたが、本発明はこれに限定されない。アンテナ導体12a,12bは、例えば、矩形帯状に形成されても、他の形状に形成されてもよい。また、アンテナ導体12a,12bは、ダイポール型のアンテナとして機能するものとしたが、本発明はこれに限定されない。アンテナ導体12a,12bは、ループ型のアンテナとして機能するものであっても、その他の型のアンテナとして機能するものであってもよい。また、アンテナ素子12は、
図13に示すように、螺旋状のアンテナとして機能するものであってもよい。この場合、例えば、第1端部12aa及び第2端部12baを除いてアンテナ素子12をレジスト膜で覆い、第1端部12aaと一方の端子電極5a、及び、第2端部12baと他方の端子電極5bとを接続するように構成すればよい。これにより、HF帯を通信周波数帯とするHF帯RFIDタグを構成できる。
【0062】
次に、キャリアテープ1を用いて複数のRFIDタグ10を製造する方法について説明する。
図14は、キャリアテープ1を用いて複数のRFIDタグ10を製造する方法の一例を示す側面図である。
図15は、
図14の点線で囲んだ部分の拡大断面図である。
【0063】
まず、
図14に示すように、キャリアテープ1を巻き回した供給リール21を用意する。また、
図11に示すアンテナ素子12が形成されたアンテナ基材11を複数直列につないでテープ状に形成し、それを巻き回した供給リール22を用意する。
【0064】
次いで、供給リール21からキャリアテープ1を連続的に引き出すとともに、供給リール22からアンテナ素子12が形成されたアンテナ基材11を引き出し、キャリアテープ1とアンテナ基材11とを接近させる。
【0065】
次いで、
図15に示すように、アンテナ基材11の近傍でキャリアテープ1のテープ状本体3を折り曲げる(湾曲させる)ことによって、テープ状本体3からシール材付きRFIC素子2を分離させる。この分離の際に、シール材付きRFIC素子2がテープ状本体3から分離しながら、シール材付きRFIC素子2を、キャリアテープ1の搬送方向に対して交差する方向に搬送されるアンテナ基材11に貼り付ける。
【0066】
より具体的には、アンテナ基材11の近傍でキャリアテープ1のテープ状本体3を折り曲げることによって、まず、シール材4の一端部がテープ状本体3から剥離する。このシール材4の一端部は、キャリアテープ1の搬送方向に対して交差する方向に搬送されるアンテナ素子12のアンテナ導体12bに他方の端子電極5bが接触するように、粘着層4aの粘着力によりアンテナ基材11に貼り付く。その後、キャリアテープ1及びアンテナ素子12の移動が進むことで、シール材4の他端部がテープ状本体3から剥離する。このシール材4の他端部は、キャリアテープ1の搬送方向に対して交差する方向に搬送されるアンテナ素子12のアンテナ導体12aに一方の端子電極5aが接触するように、粘着層4aの粘着力によりアンテナ基材11に貼り付く。これにより、
図12A及び
図12Bに示すRFIDタグ10が製造される。この動作を連続的に行うことにより、複数のRFIDタグ10を製造することができる。
【0067】
本実施の形態に係るRFIDタグの製造方法によれば、一対の端子電極5a,5bのそれぞれの一部が各収容穴3c内に位置するので、当該収容穴3cをガイドとしてRFIC素子6が収容穴3c内に収容されることができる。これにより、一対の端子電極5a,5bに対してRFIC素子6をより精度良く位置決めして接続することが可能になる。また、一対の端子電極5a,5b上に接着剤を塗布するのではなく、粘着層4a上に一対の端子電極5a,5bを有するので、一対の端子電極5a,5b上には粘着層4aが形成されない。一方、一対の端子電極5a,5b以外の部分には粘着層4aが形成されることになる。従って、粘着層4aを精度良く塗布する必要性がなく、接着剤の量が不足することもないので、アンテナ素子12と一対の端子電極5a,5bとの接続の信頼性を向上させることができる。
【0068】
また、本実施の形態に係るRFIDタグの製造方法によれば、テープ状本体3を折り曲げるだけで、テープ状本体3からシール材付きRFIC素子6を分離させることができるので、製造工程の短縮及び製造コストの削減を図ることができる。なお、テープ状本体3を折り曲げる角度及び折り曲げ箇所における湾曲の度合は、シール材付きRFIC素子2とテープ状本体3との接着力等を考慮して適宜設定すればよい。
【0069】
また、本実施の形態に係るRFIDタグの製造方法によれば、複数のシール材付きRFIC素子2がキャリアテープ1に収容されるので、複数のシール材付きRFIC素子2の取扱い性を向上させることができる。
【0070】
また、本実施の形態に係るRFIDタグの製造方法によれば、供給リール21からキャリアテープ1を連続的に引き出しながら、当該引き出されたキャリアテープ1のテープ状本体3を、供給リール21から離れた特定の位置で折り曲げるようにしている。これにより、複数のシール材付きRFIC素子2をテープ状本体3から逐次分離し、供給リール22から引き出されるアンテナ基材11に逐次貼り付けるようにしている。これにより、例えば、キャリアテープ1を毎分数10mの速度で引き出し、複数のRFIC素子6をテープ状本体3から高速で分離させることができる。その結果、複数のRFIDタグ10をより短時間で製造することが可能になる。
【0071】
なお、シール材4は、矩形状を有し、シール材付きRFIC素子2をテープ状本体3から分離させるとき、シール材4の長手方向の部分から分離させることが好ましい。これにより、シール材付きRFIC素子2をテープ状本体3から、より容易に分離させることができる。
【0072】
また、シール材4は、テープ状本体3よりも剛性が高いことが好ましい。これにより、テープ状本体3を折り曲げたときに、シール材4がテープ状本体3から分離し易くなる。よって、シール材4としては、テープ状本体3よりも、ヤング率がより大きい、厚みがより厚いなど、弾性力(復元力)のより大きな材質や性状のものを用いることが好ましい。
【0073】
また、シール材付きRFIC素子2が分離されたキャリアテープ1は、巻き取りリール(図示せず)に巻き取られるようにしてもよい。すなわち、キャリアテープ1は、ロールツーロール方式で搬送されるようにしてもよい。同様に、アンテナ素子12が形成されたアンテナ基材11も、ロールツーロール方式で搬送されるようにしてもよい。
【0074】
なお、
図14及び
図15に示す製造例では、テープ状本体3から分離したシール材付きRFIC素子2を直接的にアンテナ基材11に貼り付けるようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図16及び
図17に示すように、テープ状本体3から分離したシール材付きRFIC素子2を、搬送装置23を用いてアンテナ基材11に貼り付けるように構成してもよい。
【0075】
より具体的には、供給リール21から引き出したキャリアテープ1を、供給リール21から離れた特定の位置で折り曲げることにより、テープ状本体3からシール材付きRFIC素子2を分離させる。当該分離させたシール材付きRFIC素子2を、搬送装置23により、供給リール22から引き出したアンテナ基材11の近傍に搬送する。これにより、アンテナ素子12のアンテナ導体12bに他方の端子電極5bが接触するように、シール材4の一端部が粘着層4aの粘着力によりアンテナ基材11に貼り付く。また、アンテナ素子12のアンテナ導体12aに一方の端子電極5aが接触するように、シール材4の他端部が粘着層4aの粘着力によりアンテナ基材11に貼り付く。この動作を連続的に行うことにより、複数のRFIDタグ10を製造することができる。
【0076】
この構成によれば、機械の調整が容易になり、一対の端子電極5a,5bが第1端部12aa,第2端部12baに接触するように、シール材付きRFIC素子2をアンテナ基材11に、より正確に貼り付けることができる。
【0077】
なお、搬送装置23は、
図16及び
図17に示すようなベルトコンベア形式の装置ではなく、吸着ヘッドのような装置であってもよい。すなわち、テープ状本体3から分離されたシール材付きRFIC素子2を吸着ヘッドにより吸着して、一対の端子電極5a,5bが第1端部12aa,第2端部12baに接触するように、アンテナ基材11に貼り付けるように構成してもよい。
【0078】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
一対の端子電極に対して電子部品をより精度良く接続することができるキャリアテープの製造方法を提供する。本発明に係る製造方法は、複数のシール材付き電子部品を収容するキャリアテープの製造方法であって、収容穴を長手方向に沿って複数有するテープ状本体を用意する工程と、一方の主面に形成された粘着層上に複数対の端子電極を有するテープ状シール材を用意する工程と、一対の端子電極の一部が各収容穴内に位置するように、テープ状シール材の粘着層をテープ状本体の他方の主面に貼り付ける工程と、各収容穴と重複する部分を含むシール材となる部分を他の部分から分離するようにテープ状シール材に切込みを形成する工程と、テープ状本体の各収容穴内に電子部品を収容し、各収容穴内に位置する一対の端子電極の一部と電子部品とを接続する工程とを含む。