特許第6206640号(P6206640)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206640
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】注液システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/36 20060101AFI20170925BHJP
   H01M 10/60 20140101ALI20170925BHJP
   H01M 12/08 20060101ALI20170925BHJP
   B60L 3/00 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   H01M2/36 101H
   H01M10/60
   H01M12/08 K
   B60L3/00 S
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-90166(P2013-90166)
(22)【出願日】2013年4月23日
(65)【公開番号】特開2014-216081(P2014-216081A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年2月24日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 篤史
(72)【発明者】
【氏名】長山 森
(72)【発明者】
【氏名】塚田 佳子
【審査官】 小川 知宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−036729(JP,A)
【文献】 特開昭50−153231(JP,A)
【文献】 米国特許第05582929(US,A)
【文献】 特開平10−162870(JP,A)
【文献】 実開昭64−046959(JP,U)
【文献】 特開昭57−084574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/36
B60L 3/00
H01M 10/60
H01M 12/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度制御手段を備えた注液型空気電池システムであって、
電解液を調製するための支持塩と、電極構造体とを有し、該電解液を調製するための溶媒が供給され、内部で該電解液が調製されることによって成立し、上記注液型空気電池システムの動作環境において、上記温度制御手段を備えない場合に、該溶媒に該支持塩が溶解する際の溶解熱によって、溶媒の蒸発、電池の内部構成部材の熱劣化及び電池筐体の変形からなる群より選ばれた少なくとも1つが生じる温度まで温度上昇する注液型電池に適用され、
上記温度制御手段は、上記溶媒の供給開始から上記電解液の調製終了までの間、又は上記溶媒の供給開始直前から上記電解液の調製終了までの間、上記注液型電池の温度が電池作動温度範囲となるように温度上昇を抑制する、該注液型電池の温度制御を実行し、
上記温度制御手段は、上記注液型電池ないしその周囲に空気を供給する空冷型温度制御手段及び上記注液型電池ないしその周囲に液体を循環供給する液冷型温度制御手段の少なくとも一方を有する
ことを特徴とする注液型空気電池システム。
【請求項2】
上記注液型電池が、空気電池を備える注液型電池であり、かつ、上記温度制御手段が、上記空気電池の発電時に空気を供給する空気供給系を利用する空冷型温度制御手段を有するか、又は、上記注液型電池が、充放電することが可能であると共に車両の駆動用電動機を作動させることが可能である車載された主電池の充電に使用することが可能である注液型補助電池であり、かつ、上記温度制御手段が、上記主電池の発電時に液体を循環供給する液体循環供給系を利用する液冷型温度制御手段を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の注液型空気電池システム。
【請求項3】
温度制御手段を備えた注液型空気電池システムであって、
電極構造体を有し、電解液を調製するための溶媒と該電解液を調製するための支持塩とが混合されて液体供給流路内で該電解液が調製され、該電解液が供給されることによって成立し、上記注液型空気電池システムの動作環境において、上記温度制御手段を備えない場合に、該溶媒に該支持塩が溶解する際の溶解熱によって、溶媒の蒸発、電池の内部構成部材の熱劣化及び電池筐体の変形からなる群より選ばれた少なくとも1つが生じる温度まで温度上昇する注液型電池に適用され、
上記温度制御手段は、上記溶媒と上記支持塩との混合開始から上記電解液の調製終了までの間、又は上記溶媒と上記支持塩との混合開始直前から上記電解液の調製終了までの間、該電解液の温度が電池作動温度範囲となるように該電解液の温度上昇を抑制する、該電解液が流通する液体供給流路の温度制御を実行し、
上記温度制御手段は、上記注液型電池への上記液体供給流路ないしその周囲に空気を供給する空冷型温度制御手段及び上記注液型電池への上記液体供給流路ないしその周囲に液体を循環供給する液冷型温度制御手段の少なくとも一方を有する
ことを特徴とする注液型空気電池システム。
【請求項4】
上記温度制御手段が、上記注液型電池への上記液体供給流路ないしその周囲と上記電解液を調製するための溶媒を貯留する貯留容器ないしその周囲及び上記注液型電池ないしその周囲の少なくとも一方との間で液体を循環供給する液冷型温度制御手段を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の注液型空気電池システム。
【請求項5】
上記温度制御手段が、車載型温度制御手段及び充電設備配置型温度制御手段の少なくとも一方であり、
上記注液型電池が、車載型注液型電池及び充電設備配置型注液型電池の少なくとも一方である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の注液型空気電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注液システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、「電池の温度を制御するシステム」としては、リチウムイオン二次電池や固体高分子形燃料電池スタックにおける温調システムが提案されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−225485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1においては、リチウムイオン二次電池や固体高分子形燃料電池スタックの稼働中における温度調節について記載されているのみである。
【0005】
本発明者らは、電池内部で電解液を調製する又は電解液を液体供給流路で調製して電池内部に供給する注液型電池の一例としての空気電池について検討した。その検討において、例えば、溶媒が水であり、支持塩が水酸化カリウムや水酸化ナトリウムである電解液を使用する場合、溶媒に支持塩を溶解させる際に溶解熱が発生する。この溶解熱による影響で、例えば溶媒の蒸発や電池の内部構成部材の熱劣化、電池筐体の変形などが生じるおそれがある。よって、この溶解熱の影響を抑制するという解決すべき新たな課題を発見した。
【0006】
本発明は、このような新たな課題を解決するためになされたものである。そして、本発明は、電池内部で電解液を調製する又は電解液を液体供給流路で調製して電池内部に供給する注液型電池における溶解熱による影響を抑制する注液システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた。そして、その結果、所定の注液型電池に適用され、注液等の際に、注液型電池や注液型電池への液体供給流路の温度制御を実行する温度制御手段を備えた構成とすることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の注液型空気電池システムは、温度制御手段を備えた注液型空気電池システムであって、電解液を調製するための支持塩と、電極構造体とを有し、電解液を調製するための溶媒が供給され、内部で電解液が調製されることによって成立し、注液型空気電池システムの動作環境において、温度制御手段を備えない場合に、溶媒に支持塩が溶解する際の溶解熱によって、溶媒の蒸発、電池の内部構成部材の熱劣化及び電池筐体の変形からなる群より選ばれた少なくとも1つが生じる温度まで温度上昇する注液型電池に適用されるものである。そして、温度制御手段は、溶媒の供給開始から電解液の調製終了までの間、又は溶媒の供給開始直前から電解液の調製終了までの間、注液型電池の温度が電池作動温度範囲となるように温度上昇を抑制する、注液型電池の温度制御を実行し、注液型電池ないしその周囲に空気を供給する空冷型温度制御手段及び注液型電池ないしその周囲に液体を循環供給する液冷型温度制御手段の少なくとも一方を有する。
【0009】
また、本発明の他の注液型空気電池システムは、温度制御手段を備えた注液型空気電池システムであって、電極構造体を有し、電解液を調製するための溶媒と電解液を調製するための支持塩とが混合されて液体供給流路内で電解液が調製され、電解液が供給されることによって成立し、注液型空気電池システムの動作環境において、温度制御手段を備えない場合に、溶媒に支持塩が溶解する際の溶解熱によって、溶媒の蒸発、電池の内部構成部材の熱劣化及び電池筐体の変形からなる群より選ばれた少なくとも1つが生じる温度まで温度上昇する注液型電池に適用されるものである。そして、温度制御手段は、溶媒と支持塩との混合開始から電解液の調製終了までの間、又は溶媒と支持塩との混合開始直前から電解液の調製終了までの間、電解液の温度が電池作動温度範囲となるように電解液の温度上昇を抑制する、電解液が流通する液体供給流路の温度制御を実行し、注液型電池への液体供給流路ないしその周囲に空気を供給する空冷型温度制御手段及び注液型電池への液体供給流路ないしその周囲に液体を循環供給する液冷型温度制御手段の少なくとも一方を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、下記(1)又は(2)に記載の構成とした。
【0011】
(1):電解液を調製するための支持塩と、電極構造体とを有し、電解液を調製するための溶媒が供給され、内部で電解液が調製されることによって成立し、注液型空気電池システムの動作環境において、温度制御手段を備えない場合に、溶媒に支持塩が溶解する際の溶解熱によって、溶媒の蒸発、電池の内部構成部材の熱劣化及び電池筐体の変形からなる群より選ばれた少なくとも1つが生じる温度まで温度上昇する注液型電池に適用され、温度制御手段は、溶媒の供給開始から電解液の調製終了までの間、又は溶媒の供給開始直前から電解液の調製終了までの間、注液型電池の温度が電池作動温度範囲となるように温度上昇を抑制する、注液型電池の温度制御を実行し、注液型電池ないしその周囲に空気を供給する空冷型温度制御手段及び注液型電池ないしその周囲に液体を循環供給する液冷型温度制御手段の少なくとも一方を有する。
【0012】
(2):電極構造体を有し、電解液を調製するための溶媒と電解液を調製するための支持塩とが混合されて液体供給流路内で電解液が調製され、電解液が供給されることによって成立し、注液型空気電池システムの動作環境において、温度制御手段を備えない場合に、溶媒に支持塩が溶解する際の溶解熱によって、溶媒の蒸発、電池の内部構成部材の熱劣化及び電池筐体の変形からなる群より選ばれた少なくとも1つが生じる温度まで温度上昇する注液型電池に適用され、温度制御手段は、溶媒と支持塩との混合開始から電解液の調製終了までの間、又は溶媒と支持塩との混合開始直前から電解液の調製終了までの間、電解液の温度が電池作動温度範囲となるように電解液の温度上昇を抑制する、電解液が流通する液体供給流路の温度制御を実行し、注液型電池への液体供給流路ないしその周囲に空気を供給する空冷型温度制御手段及び注液型電池への液体供給流路ないしその周囲に液体を循環供給する液冷型温度制御手段の少なくとも一方を有する。
【0013】
そのため、電池内部で電解液を調製する又は電解液を液体供給流路で調製して電池内部に供給する注液型電池において、支持塩が溶解する際の溶解熱による影響を抑制でき、例えば溶媒の蒸発や電池の内部構成部材の熱劣化、電池筐体の変形などを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、第1の形態に係る注液システムの構成概略図である。
図2図2は、第2の形態に係る注液システムの構成概略図である。
図3図3は、第3の形態に係る注液システムの構成概略図である。
図4図4は、第4の形態に係る注液システムの構成概略図である。
図5図5は、注液型電池における処理フローの一例を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一形態に係る注液システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の形態で引用する図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0016】
<第1の形態>
まず、第1の形態に係る注液システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、第1の形態に係る注液システムの構成概略図である。図1に示すように、注液システム1は、電解液を調製するための溶媒Sを貯留する貯留容器10A,10Bが、弁21A,21B,21Cと液体急速供給手段の一例であるポンプ22とが配設され、液体供給流れ方向の下流側端部に接続機構23を有する液体供給流路20により接続された注液型電池30A,30Bに適用される。そして、本形態における注液型電池30A,30Bは、図示しない電解液を調製するための固体状態の支持塩と、電極構造体とを有し、電解液を調製するための溶媒Sが供給され、内部で電解液が調製されることによって成立する空気電池を備えるものである。また、注液システム1は、注液型電池30A,30Bの温度制御を実行する温度制御手段2を備えている。
【0017】
注液システムにおいては、貯留容器から注液型電池へ溶媒を供給するために弁を開状態とする際、具体的には、溶媒の供給開始から電解液の調製終了までの間、又は溶媒の供給開始直前から電解液の調製終了までの間、溶解熱による影響を抑制するために温度制御手段が、注液型電池の温度制御を実行する。これにより、支持塩が溶解する際の溶解熱による溶媒の蒸発や電池の内部構成部材の熱劣化、電池筐体の変形などが抑制された注液型電池が成立し、発電できる状態となる。
【0018】
ここで、「溶媒の供給開始から電解液の調製終了までの間」とは、溶媒と支持塩との混合開始から電解液の調製終了の判断基準であって溶媒の蒸発や電池の内部構成部材の熱劣化、電池筐体の変形に関連する混合系温度が電池の適正作動温度範囲内となるまでの間を意味する。したがって、発電当初から適正作動温度とすることも可能であり、活性を上げることにより高い発電性能を確保できるという副次的な効果を得ることもできる。
【0019】
また、「溶媒の供給開始直前から電解液の調製終了までの間」とは、溶媒と支持塩との混合開始時における溶媒の蒸発や電池の内部構成部材の熱劣化、電池筐体の変形の原因となる混合系温度の上昇を予め十分に抑制できる時点から電解液の調製終了の判断基準であって溶媒の蒸発や電池の内部構成部材の熱劣化、電池筐体の変形に関連する混合系温度が電池の適正作動温度範囲内となるまでの間を意味する。
【0020】
なお、「溶媒と支持塩との混合開始時における溶媒の蒸発や電池構成部材の熱劣化の原因となる混合系温度の上昇を予め十分に抑制できる時点」は、溶媒の種類、支持塩の種類、溶媒及び支持塩の組み合わせ、調製される電解液の濃度、溶媒の供給速度、注液型電池の構造や構成部品仕様などによっても異なり、予備試験などによって測定して決定しておくことができる。また、その時点において、温度制御手段が作動できない場合には、注液型電池への溶媒供給を中止する判断時点とすることもできる。このときは、注液システムは、操作者に対して温度制御手段が作動しないことを意味する表示を出す構成としてもよい。
【0021】
そして、図1に示すように、本形態における温度制御手段2は、注液型電池30A,30Bないしその周囲、すなわち注液型電池30A,30Bの内部や外側に空気(矢印Aで示す。)を供給する空冷型温度制御手段の一例であるブロア4及び注液型電池30A,30Bないしその周囲、すなわち注液型電池30A,30Bの内部や外側に液体(矢印Bで示す。)を循環供給する液冷型温度制御手段6を有するものであることが好ましい。空冷型温度制御手段及び液冷型温度制御手段の双方を有することにより、それぞれに方式に有利な構成で温度制御を実行することができる。よって空冷型温度制御手段の一例であるブロア4、液冷型温度制御手段6を作動させることにより、溶解熱による温度上昇を抑制することが可能となる。例えば、空冷型温度制御手段の一例であるブロアは、空気流れ方向に対して注液型電池の上流側に配置して、空気を押し出す方向で流せばよい。
【0022】
また、本形態における空冷型温度制御手段4は、空気電池の発電時に空気を供給する空気供給系を利用するものであることが好ましい(図示せず。)。空気電池は、発電時に正極に空気を供給する空気供給系を有するため、注液時に空気供給系に空気を供給することにより、電池筐体に空気を供給する場合と比較して電池内部の溶媒と支持塩との混合系ないし電解液の温度をより直接的に制御することができる。また、空気電池の発電時に必要な空気供給量を注液時に供給することによって、空気供給系の異常の有無を事前に確認することもできる。
【0023】
更に、本形態における液冷型温度制御手段6は、例えば、注液型電池が、充放電することが可能であると共に車両の駆動用電動機(図示せず。)を作動させることが可能である車載された主電池(図示せず。)の充電に使用することが可能である注液型補助電池である場合、主電池の発電時に液体を循環供給する液体循環供給系を利用するものであることが好ましい。注液型補助電池の液体循環供給系と主電池の液体供給循環系とを共用のものとすることにより、別の液体循環供給系を設ける必要がないという利点がある。また、この構成は、小型化やモジュール化が図られている車載用としては特に好ましい。なお、主電池としては、高いエネルギー密度と優れたサイクル特性を示すという観点から、リチウムイオン二次電池を適用することが好ましい。
【0024】
なお、図示しないが、本形態においては、特記しない限り、温度制御手段が、車載型温度制御手段及び充電設備配置型温度制御手段の一方又は双方であってもよく、注液型電池が、車載型注液型電池及び充電設備配置型注液型電池の一方又は双方であってもよい。温度制御手段が車載型温度制御手段であり、かつ、注液型電池が車載型注液型電池である場合には、注液型電池の起動を車両上で実施することができる。一方、これ以外の場合には、注液型電池の起動を充電設備内で実施することができる。例えば、温度制御手段が充電設備配置型温度制御手段であり、かつ、注液型電池が充電設備配置型注液型電池である場合には、注液システムの一部を車載する必要がない。例えば、充電ステーションなどの充電設備への送電設備がない場合(太陽光などの自然エネルギーによる発電部と蓄電部とからなる充電設備の場合)や送電が困難である場合(自然災害などで送電に障害が発生した場合)に、充電設備における充電装置内部に、本発明の注液システムが組み込まれることにより、充電装置によって所望の注液型電池の起動を実施することができる。
【0025】
また、図示しないが、本形態においては、液体の供給が、例えば自由落下などにより可能であれば、液体急速供給手段を有さない構成としてもよい。液体供給急速手段を有することにより、貯留容器の配置の自由度を高めることができ、また、例えば液体の粘度が高い場合であっても液体を注液型電池に早急に供給することができる。
【0026】
更に、図示しないが、本形態においては、注液型電池に備えられる空気電池がカートリッジ型である構成であってもよい。カートリッジ型である場合には、カートリッジ型空気電池の内部に液体循環供給系を設けることは難しいため、空気電池の周囲であるカートリッジ型空気電池を収容するボックス側に液体循環供給系を設ける構成とすることができる。なお、複数の注液型電池を液体供給流路と接続できる接続機構は、注液型電池に対応する分岐流路を有するものであるが、更に分配構造を有していてもよく、注液型電池がカートリッジ型である場合には、接続部位に漏液防止用のシール構造を有していてもよい。
【0027】
また、図示しないが、本形態においては、空冷型温度制御手段及び液冷型温度制御手段のいずれか一方を有する構成としてもよい。
【0028】
更に、図示しないが、本形態においては、例えば、空冷型温度制御手段は、圧損や車載する場合の配置を考慮すると、空冷型温度制御手段の一例であるブロアを空気流れ方向に対して注液型電池の下流側に配置して、空気を引っ張る方向で流すことが好ましい。
【0029】
また、図示しないが、本形態においては、例えば、電池筐体に空気を供給する構成としてもよい。
【0030】
<第2の形態>
次に、第2の形態に係る注液システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上記の形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。図2は、第2の形態に係る注液システムの構成概略図である。図2に示すように、注液システム1Aは、電解液を調製するための溶媒Sを貯留する貯留容器10A及び電解液を調製するための支持塩SEを貯蔵する貯蔵容器11Aが、弁21A,21B,21Cと熱交換器24と液体急速供給手段の一例であるポンプ22とが配設され、液体供給流れ方向の下流側端部に接続機構23を有する液体供給流路20により接続された注液型電池30A,30Bに適用される。そして、本形態における注液型電池30A,30Bは、図示しない電極構造体を有し、電解液を調製するための溶媒Sと電解液を調製するための支持塩SEとが混合されて液体供給流路20内で電解液が調製され、電解液が供給されることによって成立する空気電池を備えるものである。また、注液システム1Aは、溶媒Sと支持塩SEとの混合物ないし電解液が流通する液体供給流路20の熱交換器24の温度制御を実行する空冷型温度制御手段の一例であるブロア4を備えている。
【0031】
注液システムにおいては、液体供給流路から注液型電池へ溶媒と支持塩との混合物ないし電解液を供給するために弁を開状態とする際、具体的には、溶媒と支持塩との混合開始から電解液の調製終了までの間、又は溶媒と支持塩との混合開始直前から電解液の調製終了までの間、空冷型温度制御手段の一例であるブロアが、溶媒と支持塩との混合物ないし電解液が流通する液体供給流路に設けられた熱交換器に空気を供給することによって温度制御を実行する。すなわち空冷型温度制御手段の一例であるブロアを作動させることにより、溶解熱による温度上昇を抑制することが可能となる。これにより、支持塩が溶解する際に発生する溶解熱による溶媒の蒸発や電池の内部構成部材の熱劣化、電池筐体の変形が抑制された注液型電池が成立し、発電できる状態となる。なお、本形態においては、貯蔵容器に貯蔵される支持塩は固体状態であるものに限定されず、使用時と比較して高濃度の電解液である場合もあり、このような場合も、本発明の範囲に含まれる。
【0032】
ここで、「溶媒と支持塩との混合開始から電解液の調製終了までの間」とは、溶媒と支持塩との混合開始から電解液の調製終了の判断基準であって溶媒の蒸発や電池の内部構成部材の熱劣化、電池筐体の変形に関連する混合系温度が電池の適正作動温度範囲内となるまでの間を意味する。したがって、発電当初から適正作動温度とすることも可能であり、高い発電性能を確保できるという副次的な効果を得ることもできる。
【0033】
また、「溶媒と支持塩との混合開始直前から電解液の調製終了までの間」とは、溶媒と支持塩との混合開始時における溶媒の蒸発や電池の内部構成部材の熱劣化、電池筐体の変形の原因となる混合系温度の上昇を予め十分に抑制できる時点から電解液の調製終了の判断基準であって溶媒の蒸発や電池の内部構成部材の熱劣化、電池筐体の変形に関連する混合系温度が電池の適正作動温度範囲内となるまでの間を意味する。なお、「溶媒と支持塩との混合開始時における溶媒の蒸発や電池の内部構成部材の熱劣化、電池筐体の変形の原因となる混合系温度の上昇を予め十分に抑制できる時点」は、溶媒の種類、支持塩の種類、溶媒及び支持塩の組み合わせ、調製される電解液の濃度、溶媒の供給速度、注液型電池の構造や構成部品仕様などによっても異なり、予備試験などによって測定して決定しておくことができる。また、その時点において、温度制御手段が作動できない場合には、注液型電池の電解液供給を中止する判断時点とすることもできる。このときは、注液システムは、操作者に対して温度制御手段が作動しないことを意味する表示を出す構成としてもよい。
【0034】
なお、図示しないが、本形態においては、特記しない限り、温度制御手段が、車載型温度制御手段及び充電設備配置型温度制御手段の一方又は双方であってもよく、注液型電池が、車載型注液型電池及び充電設備配置型注液型電池の一方又は双方であってもよい。温度制御手段が車載型温度制御手段であり、かつ、注液型電池が車載型注液型電池である場合には、注液型電池の起動を車両上で実施することができる。一方、これ以外の場合には、注液型電池の起動を充電設備内で実施することができる。例えば、温度制御手段が充電設備配置型温度制御手段であり、かつ、注液型電池が充電設備配置型注液型電池である場合には、注液システムの一部を車載する必要がない。例えば、充電ステーションなどの充電設備への送電設備がない場合(太陽光などの自然エネルギーによる発電部と蓄電部とからなる充電設備の場合)や送電が困難である場合(自然災害などで送電に障害が発生した場合)に、充電設備における充電装置内部に、本発明の注液システムが組み込まれることにより、充電装置によって所望の注液型電池の起動を実施することができる。
【0035】
また、図示しないが、本形態においては、電解液の供給が、例えば自由落下などにより可能であれば、液体急速供給手段を有さない構成としてもよい。液体供給急速手段を有することにより、貯留容器の配置の自由度を高めることができ、また、例えば電解液の粘度が高い場合であっても電解液を注液型電池に早急に供給することができる。
【0036】
更に、図示しないが、本形態においては、液冷型温度制御手段を更に有する構成としてもよい。
【0037】
また、図示しないが、本形態においては、例えば、空冷型温度制御手段は、圧損や車載する場合の配置を考慮すると、空冷型温度制御手段の一例であるブロアを空気流れ方向に対して注液型電池の下流側に配置して、空気を引っ張る方向で流すことが好ましい。
【0038】
更に、図示しないが、本形態においては、例えば、液体供給流路の下流側端部に設けられた接続機構の内部や外側に空気を供給できる構成としてもよく、液体を循環供給できる構成としてもよい。なお、複数の注液型電池を液体供給流路と接続できる接続機構は、注液型電池に対応する分岐流路を有し、更に分配構造を有していてもよく、注液型電池がカートリッジ型である場合には、接続部位に漏液防止用のシール構造を有していてもよい。
【0039】
また、図示しないが、本形態において、液体供給流路に熱交換器を設ける場合、液体供給流路に2つの三方弁などを配置して設けられた液体供給迂回流路に熱交換器を設けてもよい。これにより、支持塩が溶解する際に発生する溶解熱を確実に熱交換することができる。
【0040】
<第3の形態>
次に、第3の形態に係る注液システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上記の形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。図3は、第3の形態に係る注液システムの構成概略図である。図3に示すように、注液システム1Bは、電解液を調製するための溶媒Sを貯留する貯留容器10A及び電解液を調製するための支持塩SEを貯蔵する貯蔵容器11Aが、弁21A,21B,21Cと熱交換器24と液体急速供給手段の一例であるポンプ22とが配設され、液体供給流れ方向の下流側端部に接続機構23を有する液体供給流路20により接続された注液型電池30A,30Bに適用される。そして、本形態における注液型電池30A,30Bは、図示しない電極構造体を有し、電解液を調製するための溶媒Sと電解液を調製するための支持塩SEとが混合されて液体供給流路20内で電解液が調製され、電解液が供給されることによって成立する空気電池を備えるものである。また、注液システム1Bは、溶媒Sと支持塩SEとの混合物ないし電解液が流通する液体供給流路20の熱交換器24の温度制御を実行する液体を循環供給する液冷型温度制御手段6を備えている。
【0041】
注液システムにおいては、液体供給流路から注液型電池へ溶媒と支持塩との混合物ないし電解液を供給するために弁を開状態とする際、具体的には、溶媒と支持塩との混合開始から電解液の調製終了までの間、又は溶媒と支持塩との混合開始直前から電解液の調製終了までの間、液冷型温度制御手段が、溶媒と支持塩との混合物ないし電解液が流通する液体供給流路に設けられた熱交換器に液体を循環供給することによって温度制御を実行する。すなわち液冷型温度制御手段を作動させることにより、溶解熱による温度上昇を抑制することが可能となる。これにより、支持塩が溶解する際に発生する溶解熱による溶媒の蒸発や電池の内部構成部材の熱劣化、電池筐体の変形が抑制された注液型電池が成立し、発電できる状態となる。なお、本形態においては、貯蔵容器に貯蔵される支持塩は固体状態であるものに限定されず、使用時と比較して高濃度の電解液である場合もあり、このような場合も、本発明の範囲に含まれる。
【0042】
ここで、「溶媒と支持塩との混合開始から電解液の調製終了までの間」とは、溶媒と支持塩との混合開始から電解液の調製終了の判断基準であって溶媒の蒸発や電池の内部構成部材の熱劣化、電池筐体の変形に関連する混合系温度が電池の適正作動温度範囲内となるまでの間を意味する。したがって、発電当初から適正作動温度とすることも可能であり、高い発電性能を確保できるという副次的な効果を得ることもできる。
【0043】
また、「溶媒と支持塩との混合開始直前から電解液の調製終了までの間」とは、溶媒と支持塩との混合開始時における溶媒の蒸発や電池の内部構成部材の熱劣化、電池筐体の変形の原因となる混合系温度の上昇を予め十分に抑制できる時点から電解液の調製終了の判断基準であって溶媒の蒸発や電池の内部構成部材の熱劣化、電池筐体の変形に関連する混合系温度が電池の適正作動温度範囲内となるまでの間を意味する。なお、「溶媒と支持塩との混合開始時における溶媒の蒸発や電池の内部構成部材の熱劣化、電池筐体の変形の原因となる混合系温度の上昇を予め十分に抑制できる時点」は、溶媒の種類、支持塩の種類、溶媒及び支持塩の組み合わせ、調製される電解液の濃度、溶媒の供給速度、注液型電池の構造や構成部品仕様などによっても異なり、予備試験などによって測定して決定しておくことができる。また、その時点において、温度制御手段が作動できない場合には、注液型電池の電解液供給を中止する判断時点とすることもできる。このときは、注液システムは、操作者に対して温度制御手段が作動しないことを意味する表示を出す構成としてもよい。
【0044】
なお、図示しないが、本形態においては、特記しない限り、温度制御手段が、車載型温度制御手段及び充電設備配置型温度制御手段の一方又は双方であってもよく、注液型電池が、車載型注液型電池及び充電設備配置型注液型電池の一方又は双方であってもよい。温度制御手段が車載型温度制御手段であり、かつ、注液型電池が車載型注液型電池である場合には、注液型電池の起動を車両上で実施することができる。一方、これ以外の場合には、注液型電池の起動を充電設備内で実施することができる。例えば、温度制御手段が充電設備配置型温度制御手段であり、かつ、注液型電池が充電設備配置型注液型電池である場合には、注液システムの一部を車載する必要がない。例えば、充電ステーションなどの充電設備への送電設備がない場合(太陽光などの自然エネルギーによる発電部と蓄電部とからなる充電設備の場合)や送電が困難である場合(自然災害などで送電に障害が発生した場合)に、充電設備における充電装置内部に、本発明の注液システムが組み込まれることにより、充電装置によって所望の注液型電池の起動を実施することができる。
【0045】
また、図示しないが、本形態においては、電解液の供給が、例えば自由落下などにより可能であれば、液体急速供給手段を有さない構成としてもよい。液体供給急速手段を有することにより、貯留容器の配置の自由度を高めることができ、また、例えば電解液の粘度が高い場合であっても電解液を注液型電池に早急に供給することができる。
【0046】
更に、図示しないが、本形態においては、空冷型温度制御手段を更に有する構成としてもよい。
【0047】
また、図示しないが、本形態においては、例えば、空冷型温度制御手段は、圧損や車載する場合の配置を考慮すると、空冷型温度制御手段の一例であるブロアを空気流れ方向に対して注液型電池の下流側に配置して、空気を引っ張る方向で流すことが好ましい。
【0048】
更に、図示しないが、本形態においては、例えば、液体供給流路の下流側端部に設けられた接続機構の内部や外側に空気を供給できる構成としてもよく、液体を循環供給できる構成としてもよい。なお、複数の注液型電池を液体供給流路と接続できる接続機構は、注液型電池に対応する分岐流路を有するものであるが、更に分配構造を有していてもよく、注液型電池がカートリッジ型である場合には、接続部位に漏液防止用のシール構造を有していてもよい。
【0049】
また、図示しないが、本形態において、液体供給流路に熱交換器を設ける場合、液体供給流路に2つの三方弁などを配置して設けられた液体供給迂回流路に熱交換器を設けてもよい。これにより、支持塩が溶解する際に発生する溶解熱を確実に熱交換することができる。
【0050】
<第4の形態>
次に、第4の形態に係る注液システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上記の形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。図4は、第4の形態に係る注液システムの構成概略図である。図4に示すように、注液システム1Cは、電解液を調製するための溶媒Sを貯留する貯留容器10A及び電解液を調製するための支持塩SEを貯蔵する貯蔵容器11Aが、弁21A,21B,21Cと熱交換器24と液体急速供給手段の一例であるポンプ22とが配設され、液体供給流れ方向の下流側端部に接続機構23を有する液体供給流路20により接続された注液型電池30A,30Bに適用される。そして、本形態における注液型電池30A,30Bは、図示しない電極構造体を有し、電解液を調製するための溶媒Sと電解液を調製するための支持塩SEとが混合されて液体供給流路20内で電解液が調製され、電解液が供給されることによって成立する空気電池を備えるものである。また、注液システム1Cは、溶媒Sと支持塩SEとの混合物ないし電解液が流通する液体供給流路20の熱交換器24の温度制御を実行する液体を循環供給する液冷型温度制御手段6を備えている。そして、液冷型温度制御手段6は、液体供給流路20の熱交換器24と、電解液を調製するための溶媒Sを貯留する貯留容器10Aとの間で液体を循環供給するものである。
【0051】
注液システムにおいては、液体供給流路から注液型電池へ溶媒と支持塩との混合物ないし電解液を供給するために弁を開状態とする際、具体的には、溶媒と支持塩との混合開始から電解液の調製終了までの間、又は溶媒と支持塩との混合開始直前から電解液の調製終了までの間、液冷型温度制御手段が、溶媒と支持塩との混合物ないし電解液が流通する液体供給流路に設けられた熱交換器に液体を循環供給することによって温度制御を実行する。これにより、支持塩が溶解する際に発生する溶解熱による溶媒の蒸発や電池の内部構成部材の熱劣化、電池筐体の変形が抑制された注液型電池が成立し、発電できる状態となる。すなわち液冷型温度制御手段を作動させることにより、溶解熱による温度上昇を抑制することが可能となる。また、これにより、支持塩が溶解する際の溶解熱を、溶媒を貯留する貯留容器に循環させることができる。貯留容器においては、例えば、低温環境下で溶媒が凍結したり粘度が高くなって供給が滞ることを抑制できる。更に、図示しないが、注液型電池ないしその周囲すなわち電池内部や外側との間で液体を循環供給する構成とすることも好ましい。これにより、例えば、低温環境下で活性が低くなることを抑制でき、高い発電性能を確保できるという副次的な効果を得ることもできる。なお、本形態においては、貯蔵容器に貯蔵される支持塩は固体状態であるものに限定されず、使用時と比較して高濃度の電解液である場合もあり、このような場合も、本発明の範囲に含まれる。
【0052】
ここで、「溶媒と支持塩との混合開始から電解液の調製終了までの間」とは、溶媒と支持塩との混合開始から電解液の調製終了の判断基準であって溶媒の蒸発や電池の内部構成部材の熱劣化、電池筐体の変形に関連する混合系温度が電池の適正作動温度範囲内となるまでの間を意味する。したがって、発電当初から適正作動温度とすることも可能であり、高い発電性能を確保できるという副次的な効果を得ることもできる。
【0053】
また、「溶媒と支持塩との混合開始直前から電解液の調製終了までの間」とは、溶媒と支持塩との混合開始時における溶媒の蒸発や電池の内部構成部材の熱劣化、電池筐体の変形の原因となる混合系温度の上昇を予め十分に抑制できる時点から電解液の調製終了の判断基準であって溶媒の蒸発や電池の内部構成部材の熱劣化、電池筐体の変形に関連する混合系温度が電池の適正作動温度範囲内となるまでの間を意味する。なお、「溶媒と支持塩との混合開始時における溶媒の蒸発や電池の内部構成部材の熱劣化、電池筐体の変形の原因となる混合系温度の上昇を予め十分に抑制できる時点」は、溶媒の種類、支持塩の種類、溶媒及び支持塩の組み合わせ、調製される電解液の濃度、溶媒の供給速度、注液型電池の構造や構成部品仕様などによっても異なり、予備試験などによって測定して決定しておくことができる。また、その時点において、温度制御手段が作動できない場合には、注液型電池の電解液供給を中止する判断時点とすることもできる。このときは、注液システムは、操作者に対して温度制御手段が作動しないことを意味する表示を出す構成としてもよい。
【0054】
なお、図示しないが、本形態においては、特記しない限り、温度制御手段が、車載型温度制御手段及び充電設備配置型温度制御手段の一方又は双方であってもよく、注液型電池が、車載型注液型電池及び充電設備配置型注液型電池の一方又は双方であってもよい。温度制御手段が車載型温度制御手段であり、かつ、注液型電池が車載型注液型電池である場合には、注液型電池の起動を車両上で実施することができる。一方、これ以外の場合には、注液型電池の起動を充電設備内で実施することができる。例えば、温度制御手段が充電設備配置型温度制御手段であり、かつ、注液型電池が充電設備配置型注液型電池である場合には、注液システムの一部を車載する必要がない。例えば、充電ステーションなどの充電設備への送電設備がない場合(太陽光などの自然エネルギーによる発電部と蓄電部とからなる充電設備の場合)や送電が困難である場合(自然災害などで送電に障害が発生した場合)に、充電設備における充電装置内部に、本発明の注液システムが組み込まれることにより、充電装置によって所望の注液型電池の起動を実施することができる。
【0055】
また、図示しないが、本形態においては、電解液の供給が、例えば自由落下などにより可能であれば、液体急速供給手段を有さない構成としてもよい。液体供給急速手段を有することにより、貯留容器の配置の自由度を高めることができ、また、例えば電解液の粘度が高い場合であっても電解液を注液型電池に早急に供給することができる。
【0056】
更に、図示しないが、本形態においては、空冷型温度制御手段を更に有する構成としてもよい。
【0057】
また、図示しないが、本形態においては、例えば、空冷型温度制御手段は、圧損や車載する場合の配置を考慮すると、空冷型温度制御手段の一例であるブロアを空気流れ方向に対して注液型電池の下流側に配置して、空気を引っ張る方向で流すことが好ましい。
【0058】
更に、図示しないが、本形態においては、例えば、液体供給流路の下流側端部に設けられた接続機構の内部や外側に空気を供給できる構成としてもよく、液体を循環供給できる構成としてもよい。なお、複数の注液型電池を液体供給流路と接続できる接続機構は、注液型電池に対応する分岐流路を有し、更に分配構造を有していてもよく、注液型電池がカートリッジ型である場合には、接続部位に漏液防止用のシール構造を有していてもよい。
【0059】
また、図示しないが、本形態において、液体供給流路に熱交換器を設ける場合、液体供給流路に2つの三方弁などを配置して設けられた液体供給迂回流路に熱交換器を設けてもよい。これにより、支持塩が溶解する際に発生する溶解熱を確実に熱交換することができる。
【0060】
ここで、注液型電池における処理フローについて図面を用いて説明する。図5は、注液型電池における処理フローの一例を説明するフロー図である。
【0061】
図5に示すように、操作者(車両の場合は運転手である。)から注液型電池の発電(放電)開始の指示が出た場合、フローを開始する。
【0062】
ステップ1(図中では「S1」と記載する。以下同様。)においては、事前チェックにより動作内容の実施可否を判断する。ここでは、例えば、カートリッジ型注液型電池の搭載有無、電解液の貯留有無、温度制御手段の動作などのチェックを行う。また、作動させる電池が1つであるか複数であるかについても、操作者やシステムが判断する。一例として、温度制御手段の動作に異常がある場合にはNGと判断する。S1においてOKと判断された場合には、S2に進む。一方、S1においてNGと判断された場合には、フローを終了する。
【0063】
S2においては、温度制御手段により温度制御を実行(温調を開始)して、S3に進む。
【0064】
S3においては、注液型電池への溶媒又は電解液の供給を開始(注液を開始)して、S4に進む。
【0065】
S4においては、電池作動の事前チェックを行う。一例として、何らかの原因で例えば注液型電池の開放端電圧が所定の電圧を示さないような場合にはNGと判断する。S4においてOKと判断された場合には、S5に進む。一方、S4においてNGと判断された場合には、フローを終了する。
【0066】
S5においては、注液型電池での発電(放電)を開始して、S6に進む。
【0067】
S6においては、注液型電池での発電(放電)を終了して、フローを終了する。本発明においては、通常、S2、S3の順序のフローとなるが、S2とS3とは同時としてもよい。
【0068】
以上、本発明を若干の形態によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0069】
すなわち、上述した各形態の注液システムに記載した構成は、各形態毎に限定されるものではなく、例えば、各形態の構成を上述した各形態以外の組み合わせにしたり、構成の細部を変更したりすることができる。
【0070】
また、上記形態においては、注液型電池として空気電池を例に挙げて説明したがこれに限定されるものではなく、従来公知の他の注液型電池を適用することもできる。
【0071】
更に、上記形態においては、主電池としてリチウムイオン二次電池を例示したが、これに限定されるものではなく、従来公知の他のアルカリ二次電池や金属空気二次電池などを適用することもできる。
【符号の説明】
【0072】
1,1A,1B,1C 注液システム
2 温度制御手段
4 空冷型温度制御手段(ポンプ)
6 水冷型温度制御手段
10A,10B 貯留容器
11A 貯蔵容器
20 液体供給流路
21A,21B,21C 弁
22 ポンプ
23 接続機構
24 熱交換器
30A,30B 注液型電池
A 空気
B 液体
S 溶媒
SE 支持塩
図1
図2
図3
図4
図5