特許第6206656号(P6206656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206656
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】端子接続構造及びコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/11 20060101AFI20170925BHJP
   H01R 13/04 20060101ALI20170925BHJP
   H01R 13/631 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   H01R13/11 302E
   H01R13/04 B
   H01R13/631
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-182667(P2013-182667)
(22)【出願日】2013年9月4日
(65)【公開番号】特開2015-50130(P2015-50130A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075959
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 保
(72)【発明者】
【氏名】庄村 禎章
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−150023(JP,A)
【文献】 特開2002−033148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/00 − 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端子と他方の端子とを電気的に接続する構造であって、
前記一方の端子は、基板部と、該基板部の側方に沿った折り曲げ側部と、該折り曲げ側部にて折り返されて前記基板部に対向する対向部とを有し、
前記他方の端子は、電気接触部本体と、該電気接触部本体の側方に配置形成されて前記折り曲げ側部の端部が挿入される切欠部とを有し、
前記折り曲げ側部の端部を前記切欠部に挿入した状態で前記一方の端子を前記基板部に沿って前記折り曲げ側部の端部を支点として相対的に回動することで、前記基板部と前記対向部との間に前記電気接触部本体を挟持し、
さらに、当該端子接続構造は、前記基板部或いは前記対向部と、前記電気接触部本体のいずれか一方に面方向に突出する凸部を有し、いずれか他方には前記凸部に係合する凹部を有する
ことを特徴とする端子接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載の端子接続構造において、
前記対向部は、前記折り曲げ側部の端部よりその延出方向に沿って後方へ向かうに従って徐々に拡幅する形状に形成され
ことを特徴とする端子接続構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の端子接続構造に採用される導電性の一方の端子及び他方の端子と、
前記一方の端子及び前記他方の端子をそれぞれ覆う絶縁性の一方のハウジング及び他方のハウジングとを含み、
前記一方のハウジング及び前記他方のハウジングは、前記一方の端子及び前記他方の端子の電気的な接続のための回転機構を有す
ことを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の端子と他方の端子とを電気的に接続する構造、すなわち端子接続構造に関する。また、端子接続構造を採用するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電線同士を電気的に接続するためには、一方の電線端末に雄型の端子金具を取り付けるとともに、他方の電線端末にも雌型の端子金具を取り付けることが一般的であり、これら端子金具同士を接触させると、電気的な接続が完了する。
【0003】
下記特許文献1には、雌型及び雄型の端子金具の構造が開示される。以下、雌型の端子金具の構造と、接続相手となる雄型の端子金具の構造、さらには、端子金具同士の接続構造(作用)について説明をする。
【0004】
図7及び図8において、引用符号1は雌型端子金具、引用符号2は雄型端子金具をそれぞれ示す。雌型端子金具1は、雌型電気接触部3と、電線接続部(図示省略)とを有し、雌型電気接触部3は、下壁4と、台部5と、一対の弾性接触片6とを有する。下壁4は、底板となる部分であって、電線接続部へと続くように形成される。台部5は、下壁4を上方へ台状に突出させることにより形成される。台部5は、この上面が平坦に形成される。
【0005】
一対の弾性接触片6は、下壁4の左右両側に連成される。また、一対の弾性接触片6は、それぞれ先端7が内側へ巻き込まれるようなカール形状に形成される。一対の弾性接触片6は、弾力性(バネ性、バネ構造)を有し、それぞれの先端7は、雄型端子金具2に対する摺接部分及び接触部分として形成される。
【0006】
雄型端子金具2は、雄型電気接触部8と、電線接続部(図示省略)とを有する。雄型電気接触部8は、平面視帯状となる棒形状に形成される。上面9及び下面10は、平坦に形成される。雄型電気接触部8は、この厚みが弾性接触片6の先端7と台部5との間隔よりも大きくなるように形成される。
【0007】
上記構造において、端子金具同士を電気的に接続するには、雄型電気接触部8を一対の弾性接触片6の先端7と台部5との間に挿入する。この時、一対の弾性接触片6は雄型電気接触部8の厚みにより押し広げられて弾性変形する。また、雄型電気接触部8は、一対の弾性接触片6からの接圧を受ける。雄型電気接触部8は、この上面9及び下面10が一対の弾性接触片6の先端7、及び台部5に対し摺接しながら雌型電気接触部3の奥部へと押し込まれる。そして、所定位置まで雄型電気接触部8が押し込まれると、端子金具同士の電気的な接続が完了する。
【0008】
端子金具同士の電気的な接続は、直線的な挿入による接続である。雄型電気接触部8は、一対の弾性接触片6からの接圧を受けて保持され、この保持されたままの状態では抜け落ちることがないことから、電気的な接続は維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−55247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来技術にあっては、一対の弾性接触片6の弾力性(バネ性、バネ構造)により雄型電気接触部8との接圧が保たれる。従って、雌型端子金具1を構成に含むコネクタと、雄型端子金具2を構成に含むコネクタとの嵌合時においては、上記接圧が大きい分、コネクタ同士の嵌合力や端子金具同士の挿入力も高くなるため、嵌合作業性が悪くなってしまうという問題点を有する。尚、この問題点を解消するには、例えばレバーのような倍力機構を別途設ける必要があることから、新たな問題点が生じてしまうことになる。
【0011】
また、上記従来技術にあっては、接圧が高い状態で端子金具同士の接続を繰り返し行った場合に、接点部のメッキ剥がれが生じてしまうという懸念がある。
【0012】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、端子金具同士の電気的な接続に係る挿入力を低減して作業性の向上を図る端子接続構造と、この端子接続構造を採用するコネクタとを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の本発明は、一方の端子と他方の端子とを電気的に接続する構造であって、前記一方の端子は、基板部と、該基板部の側方に沿った折り曲げ側部と、該折り曲げ側部にて折り返されて前記基板部に対向する対向部とを有し、前記他方の端子は、電気接触部本体と、該電気接触部本体の側方に配置形成されて前記折り曲げ側部の端部が挿入される切欠部とを有し、前記折り曲げ側部の端部を前記切欠部に挿入した状態で前記一方の端子を前記基板部に沿って前記折り曲げ側部の端部を支点として相対的に回動することで、前記基板部と前記対向部との間に前記電気接触部本体を挟持し、さらに、当該端子接続構造は、前記基板部或いは前記対向部と、前記電気接触部本体のいずれか一方に面方向に突出する凸部を有し、いずれか他方には前記凸部に係合する凹部を有することを特徴とする。
【0014】
このような特徴を有する本発明によれば、一方の端子と他方の端子とを電気的に接続するにあたり、直線的に挿入して接続するのではなく、てこの原理を用いて接続する。
【0016】
このような特徴を有する本発明によれば、凸部と凹部との係合により、接圧を高めなくても、一方の端子と他方の端子との抜けが防止される。また、凸部と凹部との係合により、電気的な接続の完了位置が分かるようにもなる。
【0017】
請求項に記載の本発明は、請求項1に記載の端子接続構造において、前記対向部は、前記折り曲げ側部の端部よりその延出方向に沿って後方へ向かうに従って徐々に拡幅する形状に形成されることを特徴とする。
【0018】
このような特徴を有する本発明によれば、折り曲げ側部の端部を切欠部に挿入するまで、さらには、折り曲げ側部の端部を支点として一方の端子を相対的に回動する前まで、基板部と対向部とによる電気接触部本体の挟持が行われない。従って、電気的な接続以外は余分な力を掛ける必要がない。
【0019】
また、上記課題を解決するためになされた請求項に記載の本発明のコネクタは、請求項1又に記載の端子接続構造に採用される導電性の一方の端子及び他方の端子と、前記一方の端子及び前記他方の端子をそれぞれ覆う絶縁性の一方のハウジング及び他方のハウジングとを含み、前記一方のハウジング及び前記他方のハウジングは、前記一方の端子及び前記他方の端子の電気的な接続のための回転機構を有することを特徴とする。
【0020】
このような特徴を有する本発明によれば、てこの原理を用いて一方の端子と他方の端子とを電気的に接続するにあたり、一方のハウジング及び他方のハウジングに回転機構を持たせる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載された本発明によれば、てこの原理を用いて端子金具同士を接続することから、電気的な接続に係る挿入力を従来よりも低減することができるという効果を奏する。これにより、作業性の向上を図ることができるという効果も奏する。また、本発明によれば、例えばレバーのような倍力機構を別途設けなくてもよく、部品点数の増大を抑えることができるという効果も奏する。
【0022】
また、本発明によれば、上記効果に加え次のような効果も奏する。すなわち、端子金具の抜けを防止して電気的な接続を維持することができるという効果や、接続完了位置を分かり易くすることができるという効果を奏する。さらには、端子金具の抜けを防止できることから、必要最低限の接圧を確保すればよいという効果も奏する。また、接圧を低くすることで、接点部のメッキ剥がれを起こり難くすることができるという効果も奏する。
【0023】
請求項に記載された本発明によれば、電気的な接続に係る作業性を更に向上させることができるという効果を奏する。
【0024】
請求項に記載された本発明によれば、一方のハウジング及び他方のハウジングに回転機構を持たせることから、請求項1又の端子接続構造を含んでコネクタを構成することができるという効果を奏する。これにより、電気的な接続に係る挿入力を従来よりも低減することができ、以てコネクタとしての作業性向上を図ることができるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の端子接続構造を示す斜視図である(実施例1)。
図2図1の端子接続構造の側面図である。
図3】接続前の状態を示す図である。
図4】接続開始時の状態を示す図である。
図5】接続完了時の状態を示す図である。
図6】本発明のコネクタを示す図であり、(a)は構成図、(b)はハウジングの斜視図、(c)はハウジング嵌合開始時の図である(実施例2)。
図7】従来例の端子接続構造を示す斜視図である。
図8図7のA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
端子接続構造は、一方の端子と他方の端子とを電気的に接続するにあたり、てこの原理を用いて接続する構造である。
【実施例1】
【0027】
以下、図面を参照しながら実施例1を説明する。図1は本発明の端子接続構造を示す斜視図である。また、図2図1の端子接続構造の側面図、図3は接続前の状態を示す図、図4は接続開始時の状態を示す図、図5は接続完了時の状態を示す図である。
【0028】
図1及び図2において、電気的な接続をするため、雌型端子金具21(一方の端子)と雄型端子金具22(他方の端子)とを備え、これら雌型端子金具21と雄型端子金具22とを接触させる。先ず、雌型端子金具21の構造について説明をする(雌型端子金具21の説明の後に、雄型端子金具22の構造について説明をするものとする)。
【0029】
雌型端子金具21は、電線23の端末に取り付けられる。ここで電線23について説明をすると、電線23は導体24と絶縁体25とを備えて構成される。導体24は、導電性を有する多数の素線を束ねたもの、或いは単心線であって、銅や銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金からなる。絶縁体25は、導体24を覆う絶縁性の被覆であって、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の押出成形により、断面形状が円形に形成される。
【0030】
電線23は、太物の高圧電線や一般的な低圧電線のいずれであってもよいものとする。本実施例においては、太物の高圧電線が採用される。高圧電線である電線23は、例えばハイブリッド自動車や電気自動車等の移動体における所定位置に配索される。電線23は、この端末が次のように加工される。すなわち、所定長さで絶縁体25が除去され、導体24が露出するように加工される。露出した導体24には、雌型端子金具21が圧着により取り付けられる。
【0031】
雌型端子金具21は、導電性を有する金属板をプレス加工することにより図示形状に形成される(図示形状は一例であるものとする)。また、雌型端子金具21は、電気接触部26と、電線接続部27とを一体に有して図示形状に形成される。本実施例の雌型端子金具21は、この全体にメッキが施されるものとする。尚、雌型端子金具21の材質は、導体24との接続性が良ければ特に限定されないものとする。
【0032】
電気接触部26は、雄型端子金具22への挿入部分として形成される。このような電気接触部26は、本実施例において一般的な雌型の電気接触部(例えば箱形の電気接触部)とは異なる形状に形成される。具体的には、基板部28と、折り曲げ側部29と、対向部30とを有する。また、基板部28と対向部30との間に挿入空間31を有する。対向部30は、片持ちの部分になるように形成される。
【0033】
基板部28は、平板状であって、雄型端子金具22の後述する電気接触部39の平面視形状に合わせて形成される。基板部28の所定位置には、下面32から上面33へ向けて、すなわち面方向へ打ち出される凸部34が形成される。この凸部34は、電気接触部39の後述する凹部46に合わせて配置形成される。凸部34は、本実施例において略半球状となる形状に突出形成される(形状は一例であるものとする)。凸部34は、この突出高さが電気接触部26と電気接触部39との挿入性に配慮して適宜設定されるものとする。尚、凸部34は、基板部28に形成されてもよいものとする(その場合、突出方向は上記と逆になる)。
【0034】
折り曲げ側部29は、基板部28の左側部(側方)を立ち上げるように折り曲げて形成される。折り曲げ側部29は、雄型端子金具22の後述する電気接触部39の厚みに合わせて立ち上げるように形成される。このような折り曲げ側部29は、電気接触部39の当接部分としても(回転を規制する部分としても)形成される。
【0035】
折り曲げ側部29は、本実施例において、電線接続部27の側へのびて(側方に沿って延出する)回転規制部35が一体になるように形成される。回転規制部35は、左側の壁となるような形状に形成される。尚、回転を規制する部分として、折り曲げ側部29のみで十分な場合には、回転規制部35の形成は不要であるものとする。
【0036】
折り曲げ側部29や対向部30の配置は、上記のような基板部28の左側部に限らず、右側部であってもよいものとする(例えば、ネジの締結などは時計回りで締め付け状態になることから、本実施例においても時計回りで接続が完了するように配置される)。
【0037】
対向部30は、挿入空間31の分だけ間をあけて基板部28に対向する板状の部分として形成される。また、対向部30は、基板部28に向けて雄型端子金具22の後述する電気接触部39(電気接触部本体40)を押さえ付ける部分や挟持する部分としても形成される。尚、対向部30は、十分な押さえつけをすることができれば、図示形状に限定されないものとする。また、電気的な接続をすることができれば、図示形状に限定されないものとする。
【0038】
対向部30は、折り曲げ側部29の端部36から後方へ向かうに従って、言い換えれば折り曲げ側部29の延出方向に沿い後方へ向かうに従って、徐々に拡幅する形状に形成される(図示形状は一例であるものとする)。このような対向部30は、斜め縁部37を有し、斜め縁部37には、後述する電気接触部39との挿入性を高めるための案内部分が形成される(図示省略。例えばテーパ等の部分として形成される。尚、電気接触部39との間で引っ掛かりが生じなければ形成しなくともよいものとする)。
【0039】
一方、電線接続部27は、電線23との接続部分として(取り付け部分として)形成される。電線接続部27は、本実施例において導体24を圧着することができる形状を有するように形成される。具体的には、一対の導体加締め片38(ワイヤバレル)を有するように形成される。
【0040】
尚、電線23の絶縁体25を加締めて保持する被覆加締め片(インシュレーションバレル)を更に有する形状に形成してもよいものとする。本実施例においては、圧着により電線23との接続を図る構造であるが、これに限らず、圧接や溶接による公知の構造を採用してもよいものとする。
【0041】
次に、雄型端子金具22の構造について説明をすると、雄型端子金具22は、導電性を有する金属板をプレス加工することにより図示形状に形成される(図示形状は一例であるものとする)。ここでは、少なくとも電気接触部39を有する。雄型端子金具22は、雌型端子金具21と同じ材質からなるものとする。
【0042】
雄型端子金具22は、雌型端子金具21と同様に電線接続部を更に有して電線の端末に取り付けられる。或いは、電気接触部39のみで、公知のバスバーの端末に一体に設けられる。
【0043】
電気接触部39は、平板状に形成される。このような平板状の電気接触部39は、電気接触部本体40と、切欠部41と、側方凸部42と、これらが連続する基部43とを有する。
【0044】
電気接触部本体40は、雌型端子金具21の電気接触部26が挿入される被挿入部分として形成される。また、電気接触部本体40は、電気接触部26の挿入に伴い、基板部28と対向部30とにより挟持される部分としても形成される。
【0045】
電気接触部本体40は、帯板状、或いはタブ状に形成される。電気接触部本体40は、この左側壁44及び右側壁45が真っ直ぐ且つ平行にのびるように形成される。左側壁44は、雌型端子金具21の折り曲げ側部29及び回転規制部35が当接する部分として形成される。
【0046】
電気接触部本体40の所定位置には、凹部46が貫通形成される。この凹部46は、上面47及び下面48を円形に貫通するように形成される。凹部46は、雌型端子金具21の凸部34が係合する部分として形成される。
【0047】
切欠部41は、左側壁44の基端部分と、側方凸部42との間に配置形成される。また、切欠部41は、凹状となる形状に形成される。このような切欠部41は、雌型端子金具21における折り曲げ側部29の端部36に対する被挿入部分として形成される。また、切欠部41は、雌型端子金具21と雄型端子金具22との電気的な接続における雌型端子金具21の回転支持や受け部分として機能するようにも形成される。切欠部41及び側方凸部42は、電気接触部本体40に比べ小さな部分となるように形成される。
【0048】
次に、てこの原理を用いて雌型端子金具21と雄型端子金具22との電気的な接続に係る構造について説明をする。
【0049】
図3及び図4において、(1)雌型端子金具21を左側に傾けた状態で、この雌型端子金具21を雄型端子金具22の上方に配置(図3参照)する。(2)上方に配置した状態から雌型端子金具21を下方へ移動させて、雌型端子金具21における折り曲げ側部29の端部36を雄型端子金具22の切欠部41に差し込むような状態に配置(図4参照)する。(3)例えば電線23を持ちつつ電線接続部27を矢印P方向へ移動させるように雌型端子金具21を回動させると、すなわち、折り曲げ側部29の端部36を支点として相対的に回動させると、図5に示す如く、雌型端子金具21における電気接触部26の基板部28と対向部30とが雄型端子金具22における電気接触部39の電気接触部本体40に挿入される。電気接触部本体40は、基板部28と対向部30とにより挟持される。
【0050】
上記の如く、折り曲げ側部29の端部36を支点として相対的に回動させることから、てこの原理を用いての電気的な接続になることが分かる。てこの原理を用いることで、雌型端子金具21と雄型端子金具22との電気的な接続は、比較的小さな力で行うことができる。
【0051】
電気接触部本体40の左側壁44に対し、雌型端子金具21の折り曲げ側部29及び回転規制部35が当接するまで、雌型端子金具21を回動移動させると、電気接触部本体40の凹部46に雌型端子金具21の凸部34が落ち込んで係合状態が形成される。凸部34と凹部46との係合により、フィーリングで電気的な接続の完了位置が分かるようになる。また、雌型端子金具21と雄型端子金具22との抜けが防止されるようにもなる。抜けが防止されれば、雌型端子金具21と雄型端子金具22との電気的な接続は、必要最低限の接圧を確保できればよいことになる。
【0052】
以上、図1ないし図5を参照しながら説明してきたように、てこの原理を用いて雌型端子金具21と雄型端子金具22とを電気的に接続することから、この電気的な接続に係る挿入力を従来よりも低減することができるという効果を奏する。これにより、作業性の向上を図ることができるという効果も奏する。
【0053】
この他、上記の如く、凸部34と凹部46との係合により、雌型端子金具21と雄型端子金具22との抜けを防止することができるという効果も奏する。従って、電気的な接続を維持することができるという効果や、接続完了位置を分かり易くすることができるという効果も奏する。また、雌型端子金具21と雄型端子金具22との抜けを防止できることから、接圧の確保は必要最低限でよいという効果も奏する。さらには、接圧を低くすることで、電気的な接続を繰り返し行った場合であっても、接点部のメッキ剥がれを起こり難くすることができるという効果も奏する。
【0054】
本実施例においては、図3及び図4に示す如く、折り曲げ側部29の端部36を切欠部41に挿入するまで、また、折り曲げ側部29の端部36を支点として雌型端子金具21を相対的に回動する前まで、基板部28と対向部30とによる電気接触部本体40の挟持が行われないことから、言い換えれば、対向部30の形状が上記の如く後方へ向かうに従って徐々に拡幅する形状に形成され、この形状により電気接触部本体40との接触抵抗がゼロ、若しくは非常に小さくなることから、電気的な接続を行う際の回動以外は余分な力を掛ける必要がなくなり、結果、電気的な接続に係る作業性を更に向上させることができるという効果も奏する。
【実施例2】
【0055】
以下、図面を参照しながら実施例2を説明する。図6は本発明のコネクタを示す図であり、(a)は構成図、(b)はハウジングの斜視図、(c)はハウジング嵌合開始時の図である。尚、上記実施例1と基本的に同じ構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0056】
図6において、電気的な接続をするため、コネクタ61が用いられる。コネクタ61は、一方のコネクタ62と、他方のコネクタ63とを備えて構成される。一方のコネクタ62は、電線23の端末に設けられる。また、他方のコネクタ62は、電線64の端末に設けられる。電線64は、ここでは電線23と同じであるものとする。
【0057】
一方のコネクタ62は、実施例1の雌型端子金具21(一方の端子)と、絶縁性の一方のハウジング65とを備えて構成される。一方のハウジング65は、雌型端子金具21を覆う矩形の箱形状に形成される。一方のハウジング65は、後述する他方のハウジング67よりも大きく形成される(他方のハウジング67に嵌合しつつ回転を許容するため)。
【0058】
一方のハウジング65の端部は、他方のコネクタ62との嵌合部分として開口形成される。この開口部分の奥には、雌型端子金具21が収容配置される。開口部分の上下には、U字状のスリットを有する一方の回転機構66がそれぞれ形成される(一方の回転機構66の形状は一例であるものとする)。
【0059】
他方のコネクタ62は、実施例1の雄型端子金具22(他方の端子)と、絶縁性の他方のハウジング67とを備えて構成される。他方のハウジング67は、雄型端子金具22を覆う矩形の箱形状に形成される。他方のハウジング67の端部は、一方のコネクタ61との嵌合部分として開口形成される。
【0060】
他方のハウジング67の開口部分の奥には、雄型端子金具22が収容配置される。また、他方のハウジング67の上面及び下面の所定位置には、ピン形状となる他方の回転機構68がそれぞれ突出形成される(他方の回転機構68の形状は一例であるものとする)。
【0061】
上記構成及び構造において、(1)一方のコネクタ62と他方のコネクタ63との嵌合を開始すると、一方のハウジング65における一方の回転機構66と、他方のハウジング67における他方の回転機構68とが係合する。この時、一方のハウジング65は、他方のハウジング67に対し回転可能な状態になる。また、コネクタ内部においては、図4に示す如くの状態になる。
【0062】
(2)一方の回転機構66と他方の回転機構68とを中心に一方のコネクタ62を矢印Q方向へ回転移動させると、コネクタ内部においては、図5に示す如くの状態になる。すなわち、てこの原理を用いて雌型端子金具21と雄型端子金具22との電気的な接続が完了する。
【0063】
以上、図6を参照しながら説明してきたように、コネクタ61における電気的な接続は、てこの原理を用いて比較的小さな力で行われることから、作業性がよいという効果を奏するのは勿論のこと、公知のレバーのような倍力機構を別途設けなくてもよいという効果も奏する(部品点数の増大を抑えることができるという効果も奏する)。
【0064】
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【0065】
例えば、雌型端子金具21の構造と、雄型端子金具22の構造とを逆にすることが一例として挙げられる。
【符号の説明】
【0066】
21…雌型端子金具(一方の端子)、 22…雄型端子金具(他方の端子)、 23…電線、 24…導体、 25…絶縁体、 26…電気接触部、 27…電線接続部、 28…基板部、 29…折り曲げ側部、 30…対向部、 31…挿入空間、 32…下面、 33…上面、 34…凸部、 35…回転規制部、 36…端部、 37…斜め縁部、 38…導体加締め片、 39…電気接触部、 40…電気接触部本体、 41…切欠部、 42…側方凸部42、 43…基部、 44…左側壁、 45…右側壁、 46…凹部、 47…上面、 48…下面、 61…コネクタ、 62…一方のコネクタ、 63…他方のコネクタ、 64…電線、 65…一方のハウジング、 66…一方の回転機構(回転機構)、 67…他方のハウジング、 68…他方の回転機構(回転機構)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8