特許第6206712号(P6206712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6206712成型用ハードコートフィルム及びその製造方法
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  • 特許6206712-成型用ハードコートフィルム及びその製造方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206712
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】成型用ハードコートフィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/30 20060101AFI20170925BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20170925BHJP
   C08J 7/04 20060101ALI20170925BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20170925BHJP
   B05D 7/02 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   B32B27/30 101
   B32B27/00 D
   C08J7/04 KCER
   C08J7/04CEZ
   B05D7/24 302P
   B05D7/24 301T
   B05D7/02
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-202833(P2013-202833)
(22)【出願日】2013年9月28日
(65)【公開番号】特開2015-66796(P2015-66796A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113343
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 武史
(72)【発明者】
【氏名】松崎 盛雄
(72)【発明者】
【氏名】江田 俊和
(72)【発明者】
【氏名】日高 康博
【審査官】 相田 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−081628(JP,A)
【文献】 特開2000−301681(JP,A)
【文献】 特開平04−094931(JP,A)
【文献】 特開2002−127182(JP,A)
【文献】 特開平05−147184(JP,A)
【文献】 特開2002−137340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
C09D 1/00−10/00
C09D 101/00−201/10
C08J 7/04
B05D 7/02
B05D 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムの一方の面にプライマー層を介して加飾層を形成し、他方の面にハードコート層を形成してなる成型用ハードコートフィルムにおいて、前記プライマー層は、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂及びポリメチルメタクリレート樹脂を含有し、該塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂とポリメチルメタクリレート樹脂との配合比率(重量部)が80/20〜25/75の範囲であることを特徴とする成型用ハードコートフィルム。
【請求項2】
前記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂のガラス転移温度(Tg)が65℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の成型用ハードコートフィルム。
【請求項3】
前記プライマー層は、無機あるいは有機微粒子を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の成型用ハードコートフィルム。
【請求項4】
前記プライマー層の厚みは、0.1μm〜1.0μmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の成型用ハードコートフィルム。
【請求項5】
前記ハードコート層は、電離放射線硬化型樹脂を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の成型用ハードコートフィルム。
【請求項6】
前記基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、またはポリメチルメタクリレートフィルムであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の成型用ハードトフィルム。
【請求項7】
基材フィルムの一方の面に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂とポリメチルメタクリレート樹脂を、配合比率(重量部)が80/20〜25/75の範囲で含有するプライマー層用塗料を塗設して乾燥後、他方の面に、電離放射線硬化型樹脂を含有するハードコート層用塗料を塗設して乾燥し、電離放射線にて光硬化処理を行った後、前記プライマー層上に加飾層を形成することを特徴とする成型用ハードコートフィルムの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インモールド成型法やフィルムインサート成型法、または真空成型法による樹脂成型品の製造に用いられる成型用ハードコートフィルム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の携帯情報端末機器、ノート型パソコン、家電製品、自動車内外装部品などには樹脂成型品が多く使用されている。製品のコモディティ化が進む中、これらの製品においては、デザインによる差別化ニーズが高まっている。従来、樹脂成型品への加飾方法としては、射出成型等による3次元形状の樹脂成型品の表面に、着色塗料を塗装、あるいはスクリーン印刷を施していた。さらに製品の表面保護を目的としてスプレーやディッピングによりクリアハードコートを施す手法が行われていた。
【0003】
しかし、このような従来方法は、高いデザイン性の加飾を行うことが困難であり、またスプレー塗装などでは使用する塗料等に含まれる揮発性溶剤などの化学物質による作業環境への影響の懸念がある。そこで代替方法として、印刷を施した基材フィルムにハードコート層を設けたデザイン性の高い加飾フィルムを用いるインモールド成型法やフィルムインサート成型法、あるいは真空成型法が提案されている。
【0004】
上記インモールド成型法は、射出成型用金型内で同時に真空成型と射出を行い、加飾フィルムを樹脂成型物表面へ接着する技術である。また、上記フィルムインサート成型法は、加飾フィルムを加熱(予備加熱)し、金型により加飾フィルムの成型物を得てから、次工程として射出成型により予備成型した加飾フィルム成型物と樹脂成型物とを接着し、一体化させる方法である。また、上記真空成型法は、真空下で、加飾フィルムを加熱(予備加熱)軟化させた後、加飾フィルムとの間を真空にし、伸ばしながら樹脂成型物の表面に貼り合わせる方法である(特許文献1、特許文献2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−274378号公報
【特許文献2】特開2012−81628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基材フィルム上に直接印刷して加飾フィルムを作製した場合、加飾層(印刷層)と基材フィルムとの密着性が不十分となりやすく加飾層の脱落といった問題が発生する。このため、基材フィルムと加飾層の間に基材フィルムと加飾層の両者との密着性を有するプライマー層を設けることが加飾フィルムの構成としては一般的である。この加飾フィルムを成型用フィルムとして使用する場合、プライマー層の特性として基材フィルムと加飾層の両者との密着性の他、成型時の基材フィルムの伸びに追従する物性(伸び)が必要とされる。
【0007】
しかしながら、従来の加飾フィルムに一般的に使用されている例えば二成分系ウレタン樹脂からなるプライマー層では、基材フィルム、加飾層との密着性は良好であるものの、成型時に基材フィルムの伸びに追従する物性(伸び)が不十分であるため、成型時に加飾層が割れてしまう問題を生じる。一方、成型時に基材フィルムの伸びに追従する物性(伸び)を有する例えばポリエステル樹脂からなるプライマー層を設けた場合には、基材フィルムあるいは加飾層との密着性が低下し、また加飾層を形成するための印刷インキなどに含まれる溶剤成分によりプライマー層が浸食される問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、基材フィルムと加飾層の両者との密着性に優れるプライマー層を有し、且つ成型性(伸度)、ハード性、巻取り適性にも優れた成型用ハードコートフィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、以下の構成を有する発明によって上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0010】
第1の発明は、基材フィルムの一方の面にプライマー層を介して加飾層を形成し、他方の面にハードコート層を形成してなる成型用ハードコートフィルムにおいて、前記プライマー層は、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂及びポリメチルメタクリレート樹脂を含有し、該塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂とポリメチルメタクリレート樹脂との配合比率(重量部)が80/20〜25/75の範囲であることを特徴とする成型用ハードコートフィルムである。
【0011】
第2の発明は、上記第1の発明において、前記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂のガラス転移温度(Tg)が65℃以上であることを特徴とする成型用ハードコートフィルムである。
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、前記プライマー層は、無機あるいは有機微粒子を含有することを特徴とする成型用ハードコートフィルムである。
【0012】
第4の発明は、上記第1乃至第3のいずれかの発明において、前記プライマー層の厚みは、0.1μm〜1.0μmの範囲であることを特徴とする成型用ハードコートフィルムである。
第5の発明は、上記第1乃至第4のいずれかの発明において、前記ハードコート層は、電離放射線硬化型樹脂を含有することを特徴とする成型用ハードコートフィルムである。
【0013】
第6の発明は、上記第1乃至第5のいずれかの発明において、前記基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、またはポリメチルメタクリレートフィルムであることを特徴とする成型用ハードトフィルムである。
【0014】
第7の発明は、基材フィルムの一方の面に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂とポリメチルメタクリレート樹脂を、配合比率(重量部)が80/20〜25/75の範囲で含有するプライマー層用塗料を塗設して乾燥後、他方の面に、電離放射線硬化型樹脂を含有するハードコート層用塗料を塗設して乾燥し、電離放射線にて光硬化処理を行った後、前記プライマー層上に加飾層を形成することを特徴とする成型用ハードコートフィルムの製造方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂及びポリメチルメタクリレート樹脂を、該塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂とポリメチルメタクリレート樹脂との配合比率(重量部)が80/20〜25/75の範囲で含有し、基材フィルムと加飾層の両者との密着性に優れるプライマー層を有しており、しかも成型性(伸度)、ハード性、巻取り適性にも優れた成型用ハードコートフィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る成型用ハードコートフィルムの層構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるわけではない。
図1に示すように、本発明の一実施の形態の成型用ハードコートフィルム5は、基材フィルム1の一方の面にプライマー層2を介して加飾層3が形成され、また、基材フィルム1の他方の面にはハードコート層4が形成された成型用ハードコートフィルムである。
【0018】
[基材フィルム]
まず、上記基材フィルム1について説明する。
本発明において、成型用ハードコートフィルム5の基材フィルム1としては、熱成型可能なフィルムであって、伸長時応力が低く、弱い力で伸ばすことが可能な材料であることが好ましい。基材フィルム1としては、具体的にはポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリカーボネートフィルムを好ましく例示することができる。
【0019】
上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの場合、汎用の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いてもよいが、より良好な成型性を得るためには、二軸延伸易成型ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることが特に好ましい。この二軸延伸易成型ポリエチレンテレフタレートフィルムは、熱軟化温度が低く、弱い力で延伸することができ、しかも比較的安価な材料である。
また、上記ポリカーボネートフィルム、上記ポリメチルメタクリレートフィルムは、いずれも無延伸フィルムで、いずれの成型法にも好適に利用することが可能である。
【0020】
本発明において、基材フィルム1の厚みについては、特に制限はないが、プライマー層、加飾層、ハードコート層の加工条件、及び基材フィルムの経済性、機械的強度、ハンドリング性等の関係から、25μm〜250μmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは50μm〜125μmの範囲である。
【0021】
基材フィルム1の表面に対してコロナ処理や低温プラズマ処理等の表面処理、或いは基材フィルム1の成膜の際、樹脂原料に耐光性の付与を目的としたベンゾトリアゾール系或いはベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤の添加、フィルムの走行性の改善を目的とした滑材の添加、基材フィルム1の成膜時或いは成膜後に熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂を用いた易接着処理を行うこともできる。また、帯電防止性を付与する目的で静防処理等も行うことができる。
【0022】
[プライマー層]
次に、上記プライマー層2について説明する。
本発明において、上記プライマー層2は、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂及びポリメチルメタクリレート樹脂を主成分として含有し、その配合比率(重量部)が、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂/ポリメチルメタクリレート樹脂=80/20〜25/75の範囲であることが重要である。
【0023】
上記ポリメチルメタクリレート樹脂に対する上記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂の配合比率が80重量部超では、プライマー層2の乾燥塗膜の耐溶剤性が低下するため、加飾層を形成する塗料(インキなど)に含まれる溶剤(例えばインキ溶剤の代表的な組成:NPR(n−プロピルアルコール)/トルエン/酢酸エチル/MEK(メチルエチルケトン)=30/30/20/20(重量部)など)でプライマー層塗膜が侵食され、加飾性、密着性の低下を生じ易いこと、また、成型用フィルムを巻き取った際に圧着あるいはブロッキングなどの問題を発生する。一方、上記ポリメチルメタクリレート樹脂に対する上記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂の配合比率が25重量部未満では、基材フィルムと加飾層との密着性が低下する。
【0024】
上記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂における塩化ビニルと酢酸ビニルとの比率は特に限定されるものではないが、塩化ビニル/酢酸ビニル=65/35〜90/10(重量部)であることが好ましく、より好ましくは70/30〜90/10(重量部)である。塩化ビニルの比率が低いと、耐溶剤性の低下、耐熱性の低下による操業上の問題、巻き取った際の圧着、ブロッキングなどの問題が発生する懸念がある。たとえば、塩化ビニルの比率が65重量部未満では塗膜の硬度低下や耐溶剤性が低下し易くなる問題点がある。一方、上記比率が90重量部超では柔軟性の低下や耐溶剤製の向上に伴い溶剤への溶解性が低下するため好ましくない。
【0025】
なお、塩化ビニルと酢酸ビニルとの比率は下記の式Iから算出することができる。
[式I]
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂のガラス転移温度(Tg)=ポリ塩化ビニルのガラス転移温度(87℃)×塩化ビニルの比率(a)+ポリ酢酸ビニルのガラス転移温度(29℃)×酢酸ビニルの比率(b=1−a)
【0026】
本発明において、上記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂のガラス転移温度(Tg)が65℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度が65℃未満では、耐熱性の低下による操業上の問題、フィルムを巻き取った際の圧着、ブロッキングなどの問題が発生する懸念がある。なお、上記ポリメチルメタクリレート樹脂は、ホモポリマーであり、通常、ガラス転移温度は105℃である。
【0027】
上記プライマー層2には、耐光性の付与を目的にベンゾトリアゾール系或いはベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤、塗工性の改善を目的とした各種レベリング剤(フッ素系、シロキサン系、アクリル系等)、光安定剤、静防処理剤、消泡剤、帯電防止剤、難燃剤等を配合することも可能である。また、プライマー層用塗料の溶剤として使用する場合には、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アノン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶剤、或いは前記の溶剤の混合物を使用することができる。通常、溶剤系塗料を調整の際に使用する汎用溶剤を用いることができる。
【0028】
上記プライマー層2の形成(成膜)方法としては、グラビア塗工、マイクログラビア塗工、ファウンテンバー塗工、スライドダイ塗工、スロットダイ塗工、スクリーン印刷法等の公知の塗工方式で塗設した後、通常50〜100℃程度の温度で乾燥する。
【0029】
上記プライマー層2の乾燥後の塗工厚みに関しては、特に限定されないが、通常、0.1μmから1.0μmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.2μmから0.5μmの範囲である。塗工厚みが0.1μm未満では、基材フィルムとの密着性の低下や、プライマー層上に加飾層を形成する際、加飾層塗料中の溶剤でプライマー層表層が浸食され密着性の低下を生じ易い問題点がある。一方、塗工厚みが1.0μm超では、基材フィルム、加飾層とのより一層の密着性の向上効果は得られず、かえってコスト高となること、また成型用フィルムを延伸の際、白化が生じ易くなるため好ましくない。
【0030】
上記プライマー層2には、さらに無機あるいは有機微粒子を配合することは成型用フィルムを巻き取った際の圧着、ブロッキングなどの防止の点から好ましい。その場合、配合量(重量部)は、プライマー層2を形成する熱可塑性樹脂(本発明の樹脂が含まれる場合はその樹脂も含める)/無機或いは有機微粒子=99.8/0.2〜95.0/5.0であることが好ましい。上記微粒子の配合量が5.0重量部を超えると透明性の低下や成型用ハードコートフィルムの延伸時に白化が発生し易くなるため好ましくない。一方、上記微粒子の配合量が0.2重量部未満であると十分な効果が発現しない懸念がある。
【0031】
無機微粒子としては、アルミナ、酸化亜鉛、シリカ等の微粒子を例示することができ、有機微粒子としては、ポリメチルメタクリレート、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物等の微粒子を例示することができる。粒子径としては、例えば0.05μm〜0.50μmの微粒子の使用が好ましい。粒子径が0.05μm未満では、プライマー層面とハードコート層面とを重ねて巻き取った際にブロッキングの発生はないが圧着し易いため好ましくない。一方、粒子径が0.50μm超では、それ以上の圧着或いはブロッキングの防止効果は得られず、かえってコスト高となること、外部ヘイズが高くなり透明性の低下を生じ易くなるため好ましくない。
【0032】
[加飾層]
次に、上記加飾層3について説明する。
上記プライマー層上に形成する加飾層3は、例えば絵柄層及び/又は隠蔽層、金属蒸着層等により構成される。ここで、絵柄層は、模様や文字等とパターン状の絵柄を表現するために設けられる層であり、隠蔽層は全面ベタ層であり樹脂等の着色等を隠蔽するために設けられる層である。また、金属蒸着層は、一部或いは全面を金属調に蒸着した層であり、樹脂等の着色等を隠蔽するために設けられる層、或いは樹脂層を金属調に表現することを目的に設けられる層である。
【0033】
加飾層3(例えば絵柄層及び/又は隠蔽層)は、プライマー層2上に印刷インキでグラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等の公知の印刷法により形成することができる。加飾層3の形成厚みは、特に制約は無いが、意匠性の観点からは例えば3〜50μmが好ましく、更に好ましくは10〜30μmである。また、上記金属蒸着層は、スパッタリングなどの方法で成膜することができる。
【0034】
加飾層3の形成に使用される印刷インキのバインダーとしては、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル2液硬化型樹脂、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂等を例示できる。印刷インキは、通常、溶剤に溶解又は分散した態様で提供される。溶剤としては、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アノン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶剤、或いは前記の溶剤の混合物を使用できる。通常、溶剤系塗料を調整の際に使用する汎用溶剤を用いることができる。
【0035】
[ハードコート層]
次に、上記ハードコート層4について説明する。
本発明において、ハードコート層4に含まれる樹脂としては、被膜を形成する樹脂であれば特に制限なく用いることができるが、特にハードコート層表面に硬度(鉛筆硬度、耐擦傷性)を付与し、また紫外線の露光量によって架橋度合を調節することが可能であり、ハードコート層の伸長性と表面硬度(鉛筆硬度、耐擦傷性)の調節が可能になるという点で、電離放射線硬化型樹脂を用いることが好ましい。
【0036】
本発明に用いられる電離放射線硬化型樹脂は、紫外線(以下、「UV」と略記する。)や電子線(以下、「EB」と略記する。)を照射することによって硬化する透明な樹脂であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ウレタンアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂等の中から適宜選択することができる。電離放射線硬化型樹脂として好ましいものは、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するUVまたはEBにて硬化可能な多官能アクリレートからなるものが挙げられる。分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するUVまたはEB硬化可能な多官能アクリレートの具体例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールポリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルのジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレートなどのエポキシ(メタ)アクリレート、多価アルコールと多価カルボン酸及び/またはその無水物とアクリル酸とをエステル化することによって得ることができるポリエステル(メタ)アクリレート、多価アルコール、多価イソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させることによって得られるウレタン(メタ)アクリレート、ポリシロキサンポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。なお、多官能アクリレートは3種以上混合して用いてもよい。
【0037】
本発明においては、上記の電離放射線硬化型樹脂の単独或いは複数の混合物を含有する塗料を基材フィルム(例えばポリエチレンテレフタレートフィルム)に乾燥塗膜厚3μmで塗工後、UVまたはEB照射により硬化させ、幅15mm×長さ150mmの試験片を作製し、温度25℃、湿度50%RHの環境下で、当該試験片を引張速度50mm/分にて引っ張った際に、ハードコート層にクラックが入るまでの伸び率が1〜150%(JIS K5600−5−4に規定する試験法準拠)で、かつ、JIS K5600に規定される鉛筆硬度がB〜2Hを有するハードコート層(電離放射線硬化型樹脂)であることが好ましい。
【0038】
また、上記ハードコート層4に含まれる樹脂としては、上述の電離放射線硬化型樹脂の他に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル、スチレン−アクリル、繊維素等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、ウレア樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ、ケイ素樹脂等の熱硬化性樹脂を本発明の効果、すなわちハードコート層の伸長性と硬度、耐擦傷性を損なわない範囲内で含有してもよい。
【0039】
また、上記ハードコート層4に含まれる電離放射線硬化型樹脂の光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類などの公知のものが使用できる。
【0040】
本発明においては、上記ハードコート層4に無機酸化物微粒子を含有させることが表面硬度(耐擦傷性)の向上の観点から好ましい。この場合、無機酸化物微粒子の平均粒子径は5〜50nmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは平均粒子径10〜20nmの範囲である。平均粒子径が5nm未満であると十分な表面硬度を得ることが困難である。一方、平均粒子径が50nm超ではハードコート層の光沢、透明性が低下し、可撓性も低下する。
【0041】
本発明において、上記無機酸化物微粒子としては、例えばアルミナやシリカなどを挙げることができる。これらの中でも、アルミニウムを主成分とするアルミナは高硬度を有するため、シリカよりも少ない添加量で効果を得られることから特に好適である。
【0042】
本発明において、無機酸化物微粒子の含有量は、ハードコート層塗料組成物の固形分100重量部に対して0.1〜5.0重量部であることが好ましい。無機酸化物微粒子の含有量が0.1重量部未満であると、表面硬度(耐擦傷性)の向上効果が得られ難い。一方、含有量が5.0重量部超であるとヘイズが上昇し、成型用ハードコートフィルムを用いた樹脂成型体の意匠性が損なわれることがある。
【0043】
また、上記ハードコート層4に添加するその他の添加剤として、本発明の効果を損なわない範囲で、消泡剤、レベリング剤、表面張力調整剤、防汚剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を必要に応じて含有してもよい。
上記ハードコート層4は、上述の電離放射線硬化型樹脂の他に、無機酸化物微粒子、重合開始剤、その他の添加剤等を適当な溶媒に溶解、分散した塗料を上記基材フィルム1上に塗工、乾燥して形成される。溶媒としては、含有される前記樹脂の溶解性に応じて適宜選択でき、少なくとも固形分(樹脂、重合開始剤、その他添加剤)を均一に溶解あるいは分散できる溶媒であればよい。そのような溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、アルコール系溶剤、或いは前記の溶剤の混合物を使用できる。
【0044】
上記ハードコート層4の塗膜厚さは、特に制約されるわけではないが、例えば1〜10μmの範囲であることが好適である。塗膜厚さが1μmよりも薄いと必要な硬度が得られ難くなる。また、塗膜厚さが10μmよりも厚いと良好な伸長性が得られ難くなる。
上記ハードコート層4の塗工方法については、特に限定はないが、グラビア塗工、マイクログラビア塗工、ファウンテンバー塗工、スライドダイ塗工、スロットダイ塗工など、塗膜厚さの調整が容易な方式で塗工が可能である。なお、ハードコート層4の塗膜厚さは、マイクロメーターで実測することにより測定可能である。
【0045】
以上説明したように、本発明では、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂及びポリメチルメタクリレート樹脂を、該塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂とポリメチルメタクリレート樹脂との配合比率(重量部)が80/20〜25/75の範囲で含有するプライマー層を設けることにより、該プライマー層は基材フィルムと加飾層の両者との密着性に優れ、該プライマー層を介しての基材フィルムと加飾層との密着性を向上させることができる。しかも、本発明によれば、成型性(伸度)、ハード性、巻取り適性にも優れた成型用ハードコートフィルムが得られる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例にて本発明を例証するが、本発明を限定することを意図するものではない。
なお、特に断らない限り、以下に記載する「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。
【0047】
[実施例1]
<ハードコート層塗料の調製>
アクリルポリマー系紫外線硬化型樹脂「8KX−012C(商品名)」(固形分39%、大成ファインケミカル社製)40部と、ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂「8BR-500(商品名)」(固形分37%、大成ファインケミカル社製)50部と、ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂「UN904(商品名)」(固形分100%、根上工業社製)10部を主剤とし、イルガキュア184(光重合開始剤、BASF社製)5部と、ヒンダードアミン系化合物「TINUVIN 770DF(商品名)」(BASF社製)0.5部と、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物「TINUVIN479(商品名)」(BASF社製)0.5部と、レベリング剤RS75(フッ素系レベリング剤、DIC社製)0.3部とアルミニウムを主成分とした微粒子「ALMIBKH06(商品名)」(平均粒径13nm、CIKナノテック社製)を対固形3%を酢酸ブチル/n−プロピルアルコール=50/50(wt%)で紫外線硬化性樹脂の塗料中の固形分濃度が20%となるまで希釈し十分攪拌してハードコート層塗料を調製した。
なお、上記アクリルポリマー系紫外線硬化型樹脂8KX−012Cは、重量平均分子量Mw2,5000、伸び率40%、鉛筆硬度Hである。また、上記ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂8BR−500は、重量平均分子量Mw180,000、伸び率はベース基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム)が破断するまでクラック入らず、鉛筆硬度HBである。また、上記ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂UN904は、重量平均分子量Mw4,900、伸び率4.0%、鉛筆硬度2Hである。
【0048】
<プライマー層塗料の調製>
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂「ソルバインC(商品名)」(ガラス転移点70℃、日信化学工業社製)を酢酸エチル/メチルイソブチルケトン=40/60(重量部)からなる混合溶剤で溶解し、固形分15%の溶解液を作製した。次に、溶解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂「ソルバインC」50部と、ポリメチルメタクリレート樹脂「アクリット0404EA−P(商品名)」(固形分40%、ガラス転移点105℃、大成ファインケミカル社製)50部を主剤とし、レベリング剤「BYK−354(商品名)」(アクリル系レベリング剤、ビッグケミージャパン社製)0.2部、紫外線吸収剤「TINUVIN928(商品名)」(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、BASF社製)1.0部をトルエン/メチルイソブチルケトン=30/70(重量%)で塗料中の固形分が5%となるように調整し、プライマー層塗料を調製した。
【0049】
<加飾層塗料>
二液反応硬化型スクリーンインキ「SS16−000(商品名)」(ウレタン系、東洋インキ製造社製)を用いた。
【0050】
<成型用ハードコートフィルムの作製>
1.耐溶剤性、耐熱性試験用として、厚さ75μmのポリメチルメタクリレートフィルム(住友社製)の片面に上記のプライマー層塗料をバーコーターで塗工し、90℃で1分間熱風乾燥し、塗膜厚み0.3μmのプライマー層を形成した。
2.密着性試験用として、2種類のサンプルを作製した。上記ポリメチルメタクリレートフィルムの片面に上記のプライマー層塗料をバーコーターで塗工し、90℃で1分間熱風乾燥し、塗膜厚み0.3μmのプライマー層を形成して、プライマー層と基材フィルムとの密着性試験用のサンプルNo.1を作製した。更に、サンプルNo.1のプライマー層上に、200μmスクリーンメッシュを用い、上記の加飾層塗料(スクリーン印刷インキ)でベタ印刷し、60℃で30分間熱風乾燥し、塗膜厚み20μmの加飾層(ベタ印刷層)を形成して、プライマー層と加飾層との密着性試験用のサンプルNo.2を作製した。
3.透明性、鉛筆硬度、巻取り適性試験用として、上記ポリメチルメタクリレートフィルムの片面に上記のプライマー層塗料をバーコーターで塗工し、90℃で1分間熱風乾燥し、塗膜厚み0.3μmのプライマー層を形成し、次に、裏面に上記のハードコート層塗料をバーコーターで塗工し、80℃で1分間熱風乾燥した後、紫外線光量450mJ/mで硬化させ、塗膜厚み3μmのハードコート層を形成した。
4.伸度試験用として、厚さ125μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムフィルム「ルミラーU463(商品名)」(東レ社製)の片面に上記のプライマー層塗料をバーコーターで塗工し、90℃で1分間熱風乾燥し、塗膜厚み0.3μmのプライマー層を形成し、次に、裏面に上記のハードコート層塗料をバーコーターで塗工し、80℃で1分間熱風乾燥した後、紫外線光量450mJ/mで硬化させ、塗膜厚み3μmのハードコート層を形成した。
【0051】
[実施例2]
プライマー層塗料に用いた塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂「ソルバインC」とポリメチルメタクリレート樹脂との配合比率を80/20に変更した以外は、実施例1と同様にして成型用ハードコートフィルムを作製した。
[実施例3]
プライマー層塗料に用いた塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂「ソルバインC」とポリメチルメタクリレート樹脂との配合比率を25/75に変更した以外は、実施例1と同様にして成型用ハードコートフィルムを作製した。
【0052】
[実施例4]
プライマー層の塗膜厚みを0.1μmに変更した以外は、実施例1と同様にして成型用ハードコートフィルムを作製した。
[実施例5]
上記ポリメチルメタクリレートフィルムの代わりに厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム「ダイヤホイルO300E(商品名)」(三菱化学ポリエステルフィルム社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして成型用ハードコートフィルムを作製した。
【0053】
[実施例6]
上記ポリメチルメタクリレートフィルムの代わりに厚さ125μmのポリカーボネートフィルム「パンライトPC−2151(商品名)」(帝人・デュポンフィルム社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして成型用ハードコートフィルムを作製した。
[実施例7]
プライマー層塗料に用いた塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂「ソルバインC」を、同種の「ソルバインTA3(商品名)」(ガラス転移点65℃、日信化学工業社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして成型用ハードコートフィルムを作製した。
【0054】
[実施例8]
プライマー層塗料に、無機系微粒子である球状シリカ「MEK−ST−ZL(商品名)」(固形分30%、粒子径0.085μm、日産化学社製、トルエン/酢酸エチル=50/50の混合溶剤中にガラスビーズを添加しビーズ分散)微粒子分散物2部を添加した以外は実施例1と同様にして成型用ハードコートフィルムを作製した。
[実施例9]
プライマー層塗料に、無機微粒子としてアモルファスシリカ「シーホスターKE−S50(商品名)」(固形分15%、粒子径0.50μm、日本触媒社製、トルエン/酢酸エチル=50/50の混合溶剤中にガラスビーズを添加しビーズ分散)微粒子分散物2部を添加した以外は、実施例1と同様にして成型用ハードコートフィルムを作製した。
【0055】
[実施例10]
プライマー層塗料に、無機微粒子として球状シリカ「MEK−ST−2040(商品名)」(固形分40%、粒子径0.20μm、日産化学社製)微粒子分散物2部を添加し、さらに塗膜厚みを0.1μmに変更した以外は、実施例1と同様にして成型用ハードコートフィルムを作製した。
[実施例11]
実施例10のプライマー層の塗膜厚みを1.0μmに変更した以外は、実施例10と同様にして成型用ハードコートフィルムを作製した。
【0056】
[実施例12]
プライマー層塗料に無機微粒子として上記球状シリカ「MEK−ST−2040」を使用し、熱可塑性樹脂と無機微粒子との混合比率を99.8/0.2とした以外は、実施例1と同様にして成型用ハードコートフィルムを作製した。
[実施例13]
熱可塑性樹脂と無機微粒子との混合比率を95/5とした以外は、実施例12と同様にして成型用ハードコートフィルムを作製した。
【0057】
[比較例1]
プライマー層塗料として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂「ソルバインC」を単独で用いた以外は実施例1と同様にして成型用ハードコートフィルムを作製した。
[比較例2]
プライマー層塗料として、ポリメチルメタクリレート樹脂「アクリット0404EA−P」を単独で用いた以外は実施例1と同様にして成型用ハードコートフィルムを作製した。
【0058】
[比較例3]
プライマー層塗料に用いた塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂「ソルバインC」とポリメチルメタクリレート樹脂との配合比率を85/15に変更した以外は、実施例1と同様にして成型用ハードコートフィルムを作製した。
[比較例4]
プライマー層塗料に用いた塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂「ソルバインC」とポリメチルメタクリレート樹脂との配合比率を20/80に変更した以外は、実施例1と同様にして成型用ハードコートフィルムを作製した。
【0059】
以上のようにして作製した実施例及び比較例の成型用ハードコートフィルムを次の項目について評価し、その結果を纏めて後記表1に示した。なお、表1中では、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂を「PVC」、ポリメチルメタクリレート樹脂を「PMMA」と表記した。
(1)耐溶剤性
プライマー層塗膜上に、3cm角の脱脂綿を載せ、その脱脂綿上に混合溶剤「NPR/トルエン/酢酸エチル/MEK=30/30/20/20(重量部)」を滴下し、3分間の溶剤試験後に脱脂綿を除去し、プライマー層表面の状態を目視観察し、各試料の表面状態を3段階評価した。評価基準は、下記の通りである。なお、◎、○評価品を耐溶剤性は合格と判定した。
評価基準
◎:変化無し ○:僅かに白化有り △:全面白化有り ×:溶解
(2)耐熱性
プライマー層を形成したフィルムを用い、プライマー層が向き合うように折り重ね、熱傾斜試験機HG−100−2「東洋精機社製」にて、圧力3kg/cm、時間10秒間圧着させた後、圧着面を剥離し、面荒れの無き温度を耐熱温度とした。なお、耐熱温度70℃以上は合格と判定した。
【0060】
(3)密着性
密着性試験用サンプルNo.1のプライマー層およびNo.2の加飾層について、恒温恒湿条件下(23℃、53%RH)で、碁盤目剥離試験治具を用い1mmのクロスカットを100個作製し、積水化学工業社製粘着テープNo.252をその上に貼り付け、ヘラを用いて均一に押し付け後、90度方向に剥離し、各層の残存個数を4段階評価した。評価基準は下記の通りであり、◎と○評価品を密着性は合格と判定した。なお、表1中の項目「PR層」はプライマー層と基材フィルムとの密着性、「加飾層」はプライマー層と加飾層との密着性の評価結果である。
評価基準
◎:100個 ○:99〜95個 △:94〜50個 ×:49〜0個
【0061】
(4)透明性
各実施例、比較例で作製した各成型用ハードコートフィルムについて、JIS K7136に示される試験法により全光線透過率を測定した。評価基準は、下記の通りであり、◎と○評価品を透明性は合格と判定した。
評価基準
◎:92%以上 ○:91%以上92%未満 ×:91%未満
(5)伸度
前述の伸び試験用フィルムを使用し、サイズ15mm×長さ150mmの試験片を作製する。引張速度50mm/分、チャック間距離100mmで引張り、表面のハードコート層にクラックが入る迄の引張伸度を測定した。
【0062】
(6)鉛筆硬度
各実施例、比較例で作製した各成型用ハードコートフィルムについて、JIS K5600に示される試験法により鉛筆硬度を測定した。表面にキズの発生なき硬度を表記した。
(7)巻取り適性
各実施例、比較例で作製した各成型用ハードコートフィルムについて、各試料とも各10cm角に裁断し、プライマー層面とハードコート層面とを重ねた試料を2組作製し、温度40℃の環境下に48時間保存後、試料を取出し、表裏面の圧着状態、及び試料を剥離した際、各面の表面状態により4段階評価した。評価基準は下記の通りであり、◎と○評価品を巻き取り適性は合格と判定した。
評価基準 ◎:圧着、面荒れ無し ○:圧着ややあるが、面荒れ無し
△:圧着強く、面荒れ無し ×:圧着強く、面あれ大
【0063】
【表1】
【0064】
上記表1の結果から明らかなように、本発明の実施例によれば、プライマー層によって基材フィルムと加飾層の両者との密着性に優れ、且つ成型性(伸度)、ハード性(鉛筆硬度)、巻取り適性のほか、耐溶剤性、耐熱性、透明性にも優れた成型用ハードコートフィルムが得られる。
これに対し、プライマー層の樹脂成分として塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂の何れかを単独で使用した比較例1、2では、特に加飾層との密着性が悪く、また比較例1では、プライマー層の耐溶剤性、耐熱性についても良好な特性が得られない。
【0065】
また、プライマー層の樹脂成分として塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂とポリメチルメタクリレート樹脂を併用するが、その配合比率が本発明の範囲外である比較例3、4では良好な結果が得られない。すなわち、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂の配合比率が80重量部超の比較例3では、プライマー層の耐溶剤性が低下するため、加飾層を形成する塗料(インキ)に含まれる溶剤でプライマー層塗膜が侵食され、加飾性、密着性が低下する。また、成型用フィルムを巻き取った際に圧着あるいはブロッキングなどの問題を発生する。
また、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂の配合比率が25重量部未満の比較例4では、特に加飾層との密着性が低下する。
【符号の説明】
【0066】
1 基材フィルム
2 プライマー層
3 加飾層
4 ハードコート層
5 成型用ハードコートフィルム
図1