【実施例】
【0044】
図1は、実施例にかかる遊技機1(スロットマシン)の外観を示す斜視図である。遊技機1は、前面が開口した箱状の本体2と本体2の前面に配置した前面扉3から構成されている。本体2と前面扉3とは片側で蝶番により固定され開閉できるようになっている。
【0045】
前面扉3には、リール窓30、ベットボタン31、スタートレバー32、ストップボタン33a〜33c、精算ボタン34、情報表示部35、メダル投入口36a、メダル払出口37a、メダル受皿37b、表示器41及びスピーカ42が配置されている。
【0046】
また、本体2には、リール51a〜51cを備えたリール可変表示装置50が配置されている。リール51aは、遊技者から見て左側に設けられたリールである。リール51bは、遊技者から見て中央に設けられたリールである。リール51cは、遊技者から見て右側に設けられたリールである。リール窓30は、1つのリールにつき、3個の連続した図柄をのぞむ透明アクリル板からなり、遊技者はリール窓30を通して3つのリールで9個分の図柄を目視することができる。
【0047】
遊技機1は、ベットによって入賞ラインが有効な状態となった後、スタートレバー32が操作されると、リール51a〜51cの回転を開始する。ベットは、メダルの投入、ベットボタン31の操作又は再遊技役の入賞によって行われる。
【0048】
ストップボタン33aは、リール51aの回転を停止させる操作を受け付けるボタンである。ストップボタン33bは、リール51bの回転を停止させる操作を受け付けるボタンである。ストップボタン33cは、リール51cの回転を停止させる操作を受け付けるボタンである。
【0049】
リール51a〜51cが回転を開始した後、ストップボタン33a〜33cのうち最初に行われる操作を第1停止操作、次に行われる操作を第2停止操作、最後に行われる操作を第3停止操作というものとする。また、ストップボタン33a〜33cのうち最初に押下されるボタンを第1停止ボタン、次に押下されるボタンを第2停止ボタン、最後に押下されるボタンを第3停止ボタンというものとする。
【0050】
情報表示部35は、クレジット数や払い出し数等を表示する表示部である。クレジット数は、メダル投入口36aへのメダル投入や小役の入賞により加算され、ベットにより減算される。
【0051】
クレジット数には上限が設定されており、入賞によりクレジット数が上限を超過する場合には、超過分のメダルがメダル払出口37aから排出される。また、また、精算ボタン34が操作された場合にはクレジット数分のメダルがメダル払出口37aから払い出される。メダル払出口37aから排出されたメダルは、メダル受皿37bに貯留される。表示器41は、液晶ディスプレイなどで構成され、ゲームの進行状態等に応じた画像で表示する。スピーカ42は、ゲーム状態等に応じたBGM等を出力する。
【0052】
なお、本実施例における遊技機1は、いわゆる1ライン機であり、リール窓30の中段表示位置に水平の入賞ラインE1を有している。すなわち、リール51aにおける上段表示位置をU1とし、中段表示位置をM1とし、下段表示位置をD1とし、リール51bにおける上段表示位置をU2とし、中段表示位置をM2とし、下段表示位置をD2とし、リール51cにおける上段表示位置をU3とし、中段表示位置をM3とし、下段表示位置をD3とした場合に、入賞ラインE1は、各リール51a〜51cにおける中段表示位置M1−M2−M3に対応している。
【0053】
次に、リール可変表示装置50の構造について説明する。
図2は、遊技機1のリール可変表示装置50の構造を示す説明図である。
図2(a)は、リール可変表示装置50全体の構造を示し、リール可変表示装置50の内部を表すためにリール51cが取り外された状態を示したものである。
図2(b)は、リール51cの詳細な構造を示したものである。
【0054】
リール51cは、軸部から放射線状に延びた複数のスポーク部と環状の枠を有する透明なABS樹脂等からなるリール枠52cの周囲に、21個の各種の図柄(図柄番号PN=1〜21)が印刷されているリール帯53cが貼り付けられて構成される。ここでは、リール51cの構造について説明したが、リール51a及びリール51bについても同様の構成となり、リール51aのリール枠52aにリール帯53aが貼り付けられており、リール51bのリール枠52bにリール帯53bが貼り付けられる。なお、リール枠52a、52b及びリール帯53a、53bは図示省略している。
【0055】
リール51a〜52cはリール可変表示装置50のケース体60の上下に設けられた、それぞれのリールに対応したガイドレール61a〜61cに沿って挿入され、ケース体60内に収容される。
【0056】
リール51cは、ステッピングモータ64cに固定され回転するようになっている。リール51cの回転には、504ステップのパルスの供給で1回転するステッピングモータ64cを使用し、所定ステップ数のパルスを供給することで所定の図柄をリール窓30に表示させることができる。さらにLEDを設置したバックライト装置63cを設け、リール帯53cの内側から光を照射できるようになっている。このように、リール帯53cの内側からバックライト装置63cによって光を照射することで、遊技者にリール帯53c上の図柄を目立たせることができる。
【0057】
またスポーク部の一つに検知板54cを取り付け、リール位置検出センサ65cによって、リール51cが1回転するごとに1パルスのリール位置検出信号を出力できるようになっている。このリール位置検出信号を検知したタイミングで図柄番号PN=1の図柄がリール窓30の中央の入賞ラインE1上に位置するように検知板54cとリール帯53cとの位置が設定してある。
【0058】
リール51c、リール51cが固定されたステッピングモータ64c、バックライト装置63c及びリール位置検出センサ65cをベース板62cに固定することで一つのユニット構成としている。このユニットは、ベース板62cをガイドレール61cに沿って挿入してケース体60内に収容するようになっている。
【0059】
ステッピングモータ64c、バックライト装置63c、検知板54c及びリール位置検出センサ65cは、図示していないが、リール51cでは、ステッピングモータ64a、バックライト装置63a、検知板54a及びリール位置検出センサ65aにそれぞれ対応し、リール51bでは、ステッピングモータ64b、バックライト装置63b、検知板54b及びリール位置検出センサ65bにそれぞれ対応する。
【0060】
次に、遊技機1の内部構成について説明する。
図3は、遊技機1の内部構成を示す構成図である。
図3に示すように、遊技機1は、主に遊技の制御を行うメイン制御基板10と、主に演出を行うサブ制御基板20とを有する。
【0061】
メイン制御基板10は、プロセッサ11、メモリ12、入出力部13、クロック発生回路14及び積分フィルタ15を有する。プロセッサは、CPU(central processing unit)等の演算部であり、その内部にレジスタ11aを有する。また、プロセッサ11は、主記憶装置としてメモリ12を使用する。
【0062】
入出力部13は、メイン制御基板10の入出力を行うインタフェースである。入出力部13は、ベットボタン31、スタートレバー32、ストップボタン33a〜33c及び精算ボタン34からの遊技者の操作に基づく入力を受け付ける。また、入出力部13は、リール位置検出センサ65a〜65cから検知板54a〜54cを検知したことを示すリール位置検出信号の入力を受け付ける。また、入出力部13は、情報表示部35に対する表示制御信号の出力、ステッピングモータ64a〜64cに対する制御信号の出力を行う。さらに、入出力部13は、メダル受付部36及びメダル払出部37の入出力を行う。
【0063】
メダル受付部36は、メダル投入口36aに投入されたメダルを検知するセンサを有し、当該センサによる検知信号を入出力部13に入力する。また、メダル投入を制限する出力が入出力部13によりなされた場合には、メダルの投入を抑止する。
【0064】
メダル払出部37は、入出力部13によりメダルの払出を指示する出力がなされた場合には、メダル払出口37aからメダルを払い出す。また、メダル払出部37は、払い出したメダルを検知するセンサを有し、当該センサによる検知信号を入出力部13に入力する。
【0065】
クロック発生回路14は、所定周期でクロック信号を生成する回路である。具体的には、クロック発生回路14は、セラミック発振子等により16.5ミリ秒周期のクロック信号f1を生成し、プロセッサ11に供給する。また、クロック発生回路14は、クロック信号f1を分周して1.5ミリ秒周期のクロック信号f2を生成し、プロセッサ11に供給する。また、クロック発生回路14は、クロック信号f1を分周して0.5ミリ秒周期のクロック信号f3を生成し、積分フィルタ15に供給する。
【0066】
積分フィルタ15は、入出力部13が受け付けた入力のうち、所定の入力をクロック信号f3に基づいて取得して、フラグをセットする処理を行う。具体的には、リール位置検出センサ65a〜65cのそれぞれについてフラグを割り当てており、リール位置検出信号の入力を読み取った場合には、該当するフラグをオンにセットする。フラグのリセットは、プロセッサからの指示によって行う。
【0067】
プロセッサ11は、クロック信号f1のタイミングに基づいてプログラムのメインルーチンを逐次実行する。また、プロセッサ11は、クロック信号f2のタイミングに基づいて割込処理を実行する。この割込処理には、積分フィルタ15からのフラグの読取り、積分フィルタ15のフラグのクリア、積分フィルタ15のフラグに割り当てられていない他の入力の取得、出力信号の供給が含まれる。
【0068】
また、プロセッサ11はサブ制御基板20に各種コマンドを送信する。サブ制御基板20は、メイン制御基板10より受信した各種コマンドに基づき、ゲームに伴う演出画像を表示器41に表示させるとともに、BGMなどのサウンドをスピーカ42から出力する。また、サブ制御基板20は、リール可変表示装置50に設けられたバックライト装置63a〜63cの点灯制御を行う。
【0069】
次に、プロセッサ11と積分フィルタ15による入力の取得について説明する。
図4は、プロセッサ11と積分フィルタ15による入力の取得についての説明図である。積分フィルタ15は、クロック信号f3に基づき、0.5ミリ秒ごとにリール位置検出センサ65a〜65cからの入力を取得する。このとき、リール位置検出センサ65a〜65cからリール位置検出信号の入力がなされていれば、該当するフラグをオン、すなわち「1」にセットする。リール位置検出信号の入力がなされていなければ、フラグの状態を維持する。
【0070】
プロセッサ11は、クロック信号f2に基づき、1.5ミリ秒ごとに積分フィルタ15のフラグを読取り、フラグをオフ、すなわち「0」にリセットする。このため、プロセッサ11によるフラグの読取りとリセットが行われるまでに、積分フィルタ15は3回、リール位置検出センサ65a〜65cからの入力を取得することになる。この3回の取得のうち、いずれかでリール位置検出信号が取得されていれば、フラグが「1」にセットされている。このため、プロセッサ11は、積分フィルタ15による3回の取得結果の論理和を読み取ることになる。
【0071】
次に、リールの制御について説明する。既に説明したように、リール51a〜51cは、それぞれステッピングモータ64a〜64cの回転子の軸に固着されている。また、リール51a〜51cにはそれぞれ検知板54a〜54cが取り付けられている。リール位置検出センサ65a〜65cはそれぞれ検知板54a〜54cを検知するフォトセンサであり、検知板54a〜54cを検知した場合にリール位置検出信号を出力する。
【0072】
図5は、ステッピングモータ64a〜64cの回転制御を説明するための模式図である。
図5に示すように、ステッピングモータ64a〜64cの回転子(ロータ)rotは、着磁した磁性体であり、回転可能に軸止されている。回転子rotの周囲には、電磁石として動作する4つの巻線が配設されている。この4つの巻線は、A相、B相、A
−相、B
−相の4相にそれぞれ対応する固定子(ステータ)stt1〜stt4として機能する。巻線に通電し、電磁石として動作させることを励磁という。各巻線は個別に通電可能であるので、4相は個別に励磁できることとなる。
【0073】
プロセッサ11は、ステッピングモータ64a〜64cを1−2相励磁方式でそれぞれ回転駆動する。1−2相励磁方式では、固定子の1相を励磁する1相励磁と固定子の2相を同時に励磁する2相励磁とを交互に切り替える。
【0074】
具体的には、プロセッサ11は、励磁制御ステップを管理しており、励磁制御ステップに応じて固定子stt1〜stt4を励磁する。励磁制御ステップは1〜8のいずれかの値をとり、各励磁制御ステップで励磁する固定子が定められている。この各励磁制御ステップでの励磁について説明する。
【0075】
プロセッサ11は、励磁制御ステップ=1にてB
−相の固定子stt4及びA相の固定子stt1を励磁する。この2相を励磁することにより、回転子rotは、B
−相の固定子stt4とA相の固定子stt1の間に引きつけられることになる。
【0076】
プロセッサ11は、励磁制御ステップ=2にてA相の固定子stt1を励磁する。この1相を励磁することにより、回転子はrot、A相の固定子stt1に引きつけられることになる。
【0077】
プロセッサ11は、励磁制御ステップ=3にてA相の固定子stt1及びB相の固定子stt2を励磁する。この2相を励磁することにより、回転子rotは、A相の固定子stt1とB相の固定子stt2の間に引きつけられることになる。
【0078】
同様に、プロセッサ11は、励磁制御ステップ=4にてB相の固定子stt2を励磁し、励磁制御ステップ=5にてB相の固定子stt2及びA
−相の固定子stt3を励磁し、励磁制御ステップ=6にてA
−相の固定子stt3を励磁し、励磁制御ステップ=7にてA
−相の固定子stt3及びB
−相の固定子stt4を励磁し、励磁制御ステップ=8にてB
−相の固定子stt4を励磁する。
【0079】
このように励磁制御ステップと励磁する固定子との対応を設定すれば、励磁制御ステップ=1から励磁制御ステップ=8までを順次切替えることで、回転子rotを回転駆動することができる。なお、
図5の模式図では、励磁制御ステップが1巡することで回転子rotが1回転する構成を例示して説明を行ったが、ステッピングモータ64a〜64cは、励磁制御ステップが63巡することで回転子が1回転するよう構成する。この場合には、回転子の1励磁制御ステップ当りの回転角度であるステップ角度は約0.7度である。
【0080】
ステッピングモータ64a〜64cの回転子の軸にそれぞれ固着されたリール51a〜51cは、回転子の回転に応じて回転する。プロセッサ11は、リール51a〜51cのそれぞれの回転位置を回転位置管理ステップにより管理している。回転位置管理ステップは、励磁制御ステップの進行に応じて加算され、リール位置検出センサ65a〜65cがリール位置検出信号を出力した場合に初期化される。
【0081】
図6は、回転位置管理ステップと励磁制御ステップの対応関係を説明するための説明図である。
図6に示すように、回転位置管理ステップは、1〜504の値をとる。回転位置管理ステップ=1〜8は、励磁制御ステップ=1〜8に対応する。また、回転位置管理ステップ=9〜16は、励磁制御ステップ=1〜8に対応する。すなわち、回転位置管理ステップを8で除算した剰余が励磁制御ステップと一致する。
【0082】
通常、回転位置管理ステップ=504のタイミングでリール位置検出センサ65a〜65cがリール位置検出信号を出力し、対応する回転位置管理ステップは0に初期化される。すなわち、504回転位置管理ステップがリールの1回転に対応することとなる。
【0083】
リール51a〜51cには、リール帯53a〜53cがそれぞれ貼り付けられており、リール帯53a〜53cには、「ベル」、「リプレイ1」等の21個の図柄がなるべく等間隔となるように印刷されている。この21個の図柄のリール上の位置は、図柄番号により管理する。図柄番号は図柄番号PN=1から図柄番号PN=21までである。同一の図柄が、同一リール上の複数の図柄番号に対応する位置に配置されてもよい。
【0084】
リール51a〜51cの回転には、504ステップのパルスの供給で1回転するステッピングモータ64a〜64cを使用しているので、21個の図柄を配置すると、図柄同士の間隔は24ステップとなる。
【0085】
また、リール位置検出信号を検知したタイミングで図柄番号PN=1の図柄がリール窓30の中段の入賞ラインE1上に位置するようにしているため、リール位置検出信号を検知してから24ステップ進めれば図柄番号PN=2の図柄がリール窓の中段に位置し、48ステップ進めれば図柄番号PN=3の図柄がリール窓の中段に位置し、480ステップ進めれば図柄番号PN=21の図柄がリール窓の中段に位置することになる。504ステップで、通常、再びリール位置検出信号が検知される。これによりリール位置検出信号が検知されたタイミングを基点にして、ステッピングモータ64a〜64cに供給するパルス数を制御することで所定の図柄をリール窓の中段に位置させることができる。
【0086】
図7は、図柄と回転位置管理ステップの関係を説明するための説明図である。
図7に示すように、回転位置管理ステップ=0では、図柄番号PN=1の図柄が入賞ラインE1上に位置する。その後、リール51a〜51cが24ステップ分回転し、回転位置管理ステップ=24となると、図柄番号PN=2の図柄が入賞ラインE1上に位置する。
【0087】
リール51a〜51cが1回転し、回転位置管理ステップ=504となると、再び図柄番号PN=1の図柄が入賞ラインE1上に位置する。このタイミングでリール位置検出センサ65a〜65cがリール位置検出信号を出力すると、回転位置管理ステップは0に初期化される。
【0088】
ステッピングモータ64a〜64cを停止制御する場合には、停止対象となるステッピングモータの固定子の全ての相(A相、B相、A
−相、B
−相)を同時に励磁する全相励磁を行う。この結果、停止対象となるステッピングモータの回転子は慣性により所定角度分回転して停止する。この慣性による回転量は、回転子の軸に固着されたリール51a〜51cの重量及び形状などにより定まる。
【0089】
したがって、停止図柄として決定された図柄を入賞ラインE1上に停止させる、即ち、特定の回転位置管理ステップに対応する位置でリール51a〜51cを停止させるためには、慣性による回転量を考慮したタイミングで全相励磁を行うことになる。
【0090】
停止図柄は、ストップボタン33a〜33cが押下されたタイミングにおける回転位置管理ステップ(停止指示受付ステップ)に基づいて決定される。ここで、停止指示を受け付けてからリール51a〜51cが停止するまでの停止所要時間は規定時間(190ミリ秒)以内とすることが定められている。リール回転の最大速度が毎分80回転であり、504回転位置管理ステップがリールの1回転に対応するならば、190ミリ秒でリール51a〜51cは127.68回転位置管理ステップ分だけ回転する。そのため、停止指示受付ステップからリールが停止するまでの停止所要ステップ数が127ステップ以下であれば、規定時間以内にリール51a〜51cを停止させることができる。
【0091】
既に説明したように、プロセッサ11は、リール位置検出センサ65a〜65cからリール位置検出信号を取得した場合に回転位置管理ステップを初期化する。この初期化が停止指示受付ステップから全相励磁開始ステップまでの間に行われた場合であっても、回転位置管理ステップ=504で初期化が行われたならば、規定時間内にリールを停止させることができる。これは、回転位置管理ステップ=504で初期化されることを想定して全相励磁開始ステップが決定されるからである。
【0092】
ところが、プロセッサ11がリール位置検出信号を取得するタイミングに遅れが生じる場合がある。かかる遅れによって回転位置管理ステップ=505以降で初期化が行われたならば、全相励磁開始ステップは固定であるため、初期化の遅れはそのまま全相励磁を開始するタイミングの遅れとなる。
【0093】
図8は、回転位置管理ステップの初期化の遅れについて説明するための説明図である。
図8(a)は、回転位置管理ステップ=504のタイミングでプロセッサ11がリール位置検出信号を取得したケースを示している。また、
図8(b)は、回転位置管理ステップ=505のタイミングでプロセッサ11がリール位置検出信号を取得したケースを示している。
【0094】
停止指示を受け付けると、プロセッサ11は停止位置βを決定する。このとき、プロセッサ11は、回転位置管理ステップ=504で初期化されることを想定し、停止所要ステップ数が127ステップ以下となるようにする。
【0095】
図8(a)のように回転位置管理ステップ=504で初期化が行われれば、規定時間190ミリ秒以内にリールを停止させることができる。しかし、
図8(b)のように回転位置管理ステップ=505で初期化が行われると、規定時間190ミリ秒を超過してしまう。停止位置βは固定であるために、初期化の1ステップの遅れが停止所要ステップ数に加算され、実際の停止所要ステップ数は128ステップとなるからである。
【0096】
リール位置検出センサ65a〜65cがリール位置検出信号を出力する際、その立ち上がりは不安定である。プロセッサ11が1.5ミリ秒ごとの割込処理で直接リール位置検出信号を取得する構成では、プロセッサ11がリール位置検出信号の立ち上がりの検知に失敗すると、次にセンサ読取りを行うのは1.5ミリ秒後、すなわち1ステップ後になってしまい、初期化遅れが生じる。
【0097】
そこで、積分フィルタ15によって0.5ミリ秒ごとにリール位置検出信号の取得を行い、フラグのセットを行う。かかる構成によれば、プロセッサ11は、積分フィルタ15による3回の取得結果の論理和を読み取ることになるので、リール位置検出信号の検知漏れを防ぐことができる。このため、回転位置管理ステップの初期化遅れを防止し、リール51a〜51cを規定時間以内に停止させることができる。
【0098】
次に、プロセッサ11の処理について説明する。
図9は、プロセッサ11の処理についての説明図である。
図9(a)に示すように、プロセッサ11は、メインルーチンの処理中にクロック信号f2を受け取ると、現在の処理を中断して割込処理を実行する。そして、割込処理が終了すると、プロセッサ11はクロック信号f2により中断していたメインルーチンの処理に戻る。
【0099】
図9(b)は、メインルーチンのフローチャートである。電源が投入され、メインルーチンが開始すると、まず、プロセッサ11は、初期化処理(ステップS101)を行う。ステップS101の初期化処理には、各種インタフェースの初期化やプロセッサ11自身のモード設定、割込処理の起動などが含まれる。
【0100】
ステップS101の後、プロセッサ11は、メインステップ処理(ステップS102)を行う。このメインステップ処理の詳細については後述する。ステップS102の後、プロセッサ11は、その他処理(ステップS103)として、メインステップ処理では制御できない処理を行う。
【0101】
ステップS103の後、プロセッサ11は、メインステップ処理を開始してから所定時間が経過したかを判定する(ステップS104)。所定時間が経過していなければ(ステップS104;No)、ステップS104を繰り返して待機する。所定時間が経過したならば(ステップS104;Yes)、次のメインステップ処理(ステップS102)に移行する。
【0102】
図9(c)は、割込処理のフローチャートである。プロセッサ11は、クロック信号f2を受け取ると、まず、入力処理を行う(ステップS201)。具体的には、積分フィルタ15からのフラグの読取り、積分フィルタ15のフラグに割り当てられていない他の入力の入出力部13からの取得を行って、レジスタ11aの対応するフラグをセットする。
【0103】
ステップS201の後、プロセッサ11は、割込ステップ処理を行う(ステップS202)。割込ステップ処理には、ステッピングモータ64a〜64cの制御内容の決定、メダル受付部36及びメダル払出部37の制御内容の決定が含まれる。そして、制御内容に応じて、レジスタ11aの対応するフラグをセットする。
【0104】
ステップS202の後、プロセッサ11は、出力処理を行う(ステップS203)。出力処理では、レジスタ11aの内容に応じて入出力部13への出力処理が行われる。また、積分フィルタ15のフラグがリセットされる。ステップS203の後、割込処理は終了し、プロセッサ11はメインルーチンに戻る。
【0105】
図10は、メインルーチンと割込処理についての説明図である。
図10に示すように、初期化処理(ステップS101)において割込処理が起動され、その後1.5ミリ秒間隔で割込処理が呼び出される。メインルーチンは、メインステップ処理(ステップS102)及びその他処理(ステップS103)の処理を終えた後は、ステップS104によってアイドリング状態となる。メインステップ処理(ステップS102)及びその他処理(ステップS103)が、1フレームを構成する。1フレームの処理が16.5ミリ秒以内で完了しない場合は、ステップS104で所定時間をすでに超過しているので、アイドリングを行わずに次のメインステップ処理(ステップS102)へ移行する。
【0106】
次に、
図9(b)に示したメインステップ処理(ステップS102)について説明する。
図11は、
図9(b)に示したメインステップ処理についての説明図である。
図11に示すように、メインステップ処理(ステップS102)が開始すると、プロセッサ11は、まず、メインステップ処理の状態が「ベット状態」であるか否かを判定する(ステップS301)。その結果、メインステップ処理がベット状態であるならば(ステップS301;Yes)、プロセッサ11は、ベット状態処理を行って(ステップS302)、メインステップ処理を終了する。
【0107】
メインステップ処理が「ベット状態」でない場合(ステップS301;No)、プロセッサ11は、メインステップ処理の状態が「リール動作状態」であるか否かを判定する(ステップS303)。その結果、メインステップ処理がリール動作状態であるならば(ステップS303;Yes)、プロセッサ11は、リール動作状態処理を行って(ステップS304)、メインステップ処理を終了する。
【0108】
メインステップ処理が「リール動作状態」でない場合(ステップS303;No)、プロセッサ11は、メインステップ処理の状態が「入賞判定状態」であるか否かを判定する(ステップS305)。その結果、メインステップ処理が入賞判定状態であるならば(ステップS305;Yes)、プロセッサ11は、入賞判定状態処理を行って(ステップS306)、メインステップ処理を終了する。そして、メインステップ処理が「入賞判定状態」でない場合(ステップS305;No)、プロセッサ11は、そのままメインステップ処理を終了する。
【0109】
次に、
図11に示したベット状態処理(ステップS302)について説明する。
図12は、
図11に示したベット状態処理についての説明図である。
図12に示すように、ベット状態処理(ステップS302)が開始すると、プロセッサ11は、まず、サブステップ処理の状態が「ベット受付状態」であるか否かを判定する(ステップS401)。その結果、サブステップ処理がベット受付状態であるならば(ステップS401;Yes)、プロセッサ11は、ベットフラグがオンであるか否かを判定する(ステップS402)。
【0110】
ベットフラグがオンでなければ(ステップS402;No)、プロセッサ11は、ベット状態処理を終了する。ベットフラグがオンであるならば(ステップS402;Yes)、プロセッサ11は、ベット処理を行って(ステップS403)、サブステップ処理をスタート可能状態に移行して(ステップS404)、ベット状態処理を終了する。
【0111】
サブステップ処理が「ベット受付状態」でない場合(ステップS401;No)、プロセッサ11は、サブステップ処理の状態が「スタート可能状態」であるか否かを判定する(ステップS405)。
【0112】
その結果、サブステップ処理がスタート可能状態でなければ(ステップS405;No)、プロセッサ11は、ベット状態処理を終了する。サブステップ処理がスタート可能状態であるならば(ステップS405;Yes)、プロセッサ11は、スタートレバーフラグがオンであるか否かを判定する(ステップS406)。
【0113】
スタートレバーフラグがオンでなければ(ステップS406;No)、プロセッサ11は、ステップS410に移行する。スタートレバーフラグがオンであるならば(ステップS406;Yes)、プロセッサ11は、ベット操作を禁止し(ステップS407)、リール開始フラグをオンにセットし(ステップS408)、メインステップをリール開始状態に移行して(ステップS409)、ステップS410に移行する。
【0114】
ステップS410では、プロセッサ11は、精算ボタンフラグがオンであるか否かを判定する。精算ボタンフラグがオンでなければ(ステップS410;No)、プロセッサ11は、ベット状態処理を終了する。精算ボタンフラグがオンであるならば(ステップS410;Yes)、プロセッサ11は、払出指示フラグをオンにセットし(ステップS411)、サブステップをベット受付状態に移行して(ステップS412)、ベット状態処理を終了する。
【0115】
次に、
図11に示したリール動作状態処理(ステップS304)について説明する。
図13は、
図11に示したリール動作状態処理についての説明図である。
図13に示すように、リール動作状態処理(ステップS304)が開始すると、プロセッサ11は、まず、サブステップ処理の状態が「開始直後状態」であるか否かを判定する(ステップS501)。
【0116】
サブステップ処理が開始直後状態であるならば(ステップS501;Yes)、プロセッサ11は、0〜65535の範囲で1つの乱数値を発生する(ステップS502)とともに、ゲーム状態に応じた抽選テーブルを選択する(ステップS503)。そして、プロセッサ11は、発生した乱数値を選択された抽選テーブルに照らし合せることにより、役グループを決定し、役グループに含まれる役の当選フラグをセットする(ステップS504)。このステップS502からステップS504までが内部抽選である。ステップS504の後、プロセッサ11は、サブステップ処理を開始待ち状態に移行して(ステップS505)、リール動作状態処理を終了する。
【0117】
サブステップ処理が開始直後状態でなければ(ステップS501;No)、プロセッサ11は、サブステップ処理の状態が「開始待ち状態」であるか否かを判定する(ステップS506)。
【0118】
サブステップ処理が開始待ち状態であるならば(ステップS506;Yes)、プロセッサ11は、前のゲームのリールの回転の開始から4.1秒経過したかを判定する(ステップS507)。これは、遊技者が短時間に過剰にメダルを消費することを防ぐために、1ゲームの最小消費時間を4.1秒とし、1分間に15ゲーム以上実行できないように監視するためである。
【0119】
前のゲームのリールの回転の開始から4.1秒経過していなければ(ステップS507;No)、プロセッサ11は、リール動作状態処理を終了する。前のゲームのリールの回転の開始から4.1秒経過したならば(ステップS507;Yes)、プロセッサ11は、リール開始フラグをオンにセットし(ステップS508)、サブステップ処理をリール停止待ち状態に移行させ(ステップS509)、リール動作状態処理を終了する。
【0120】
サブステップ処理が開始待ち状態でなければ(ステップS506;No)、プロセッサ11は、サブステップ処理の状態が「リール停止待ち状態」であるか否かを判定する(ステップS510)。
【0121】
サブステップ処理がリール停止待ち状態であるならば(ステップS510;Yes)、プロセッサ11は、全てのリールが停止したか否かを判定する(ステップS511)。全てのリールが停止したならば(ステップS511;Yes)、プロセッサ11は、メインステップ処理を入賞判定状態に移行させ(ステップS512)、リール動作状態処理を終了する。サブステップ処理がリール停止待ち状態でない場合(ステップS510;No)、若しくは回転中のリールが残っている場合(ステップS511;No)には、プロセッサ11は、そのままリール動作状態処理を終了する。
【0122】
次に、
図11に示した入賞判定状態処理(ステップS306)について説明する。
図14は、
図11に示した入賞判定状態処理についての説明図である。
図14に示すように、入賞判定状態処理(ステップS306)が開始すると、プロセッサ11は、まず、サブステップ処理の状態が「入賞判定待ち状態」であるか否かを判定する(ステップS601)。
【0123】
サブステップ処理が入賞判定待ち状態であるならば(ステップS601;Yes)、プロセッサ11は、入賞ライン判定処理を行う(ステップS602)。この入賞ライン判定処理では、入賞ラインE1上の停止図柄の組合せが役に対応する図柄の組合せと一致するか否かにより、役の入賞を判定し、入賞した場合には役ごとに設定した特典を付与する。入賞ライン判定処理の後、プロセッサ11は、ベット操作の禁止を解除し(ステップS603)、当選フラグクリア処理を行う(ステップS604)。そして、サブステップ処理を払出待ち状態に移行させ(ステップS605)、入賞判定処理を終了する。
【0124】
サブステップ処理が入賞判定待ち状態であるならば(ステップS601;No)、プロセッサ11は、サブステップ処理が払出待ち状態であるか否かを判定する(ステップS606)。サブステップ状態が払出待ち状態であるならば(ステップS606;Yes)、プロセッサ11は、払出が完了したか否かを判定する(ステップS607)。払出が完了したならば(ステップS607;Yes)、プロセッサ11は、メインステップ処理をベット状態に移行させ(ステップS608)、入賞判定状態処理を終了する。サブステップ処理が払出待ち状態でない場合(ステップS606;No)、若しくは払出が完了していない場合(ステップS607;No)には、プロセッサ11は、そのまま入賞判定状態処理を終了する。
【0125】
次に、
図9(c)に示した割込処理について説明する。
図15は、
図9(c)に示した割込処理についての説明図である。
図15に示すように、入力処理(ステップS201)では、プロセッサ11は、まず、入力の取得を行う(ステップS701)。これには、積分フィルタ15からのフラグの読取、入出力部13からの入力の取得(フラグの読取)とを含む。また、読み取ったフラグについてはリセットする。
【0126】
ステップS701の後、プロセッサ11は、取得した入力を必要に応じてフィルタ処理し(ステップS702)、レジスタ11a又はメモリ12に設けられた対応するフラグのセットを行って(ステップS703)、入力処理を終了する。
【0127】
割込ステップ処理(ステップS202)では、プロセッサ11は、ステッピングモータ64a〜64cに対する制御内容を示す制御データの決定(ステップS801)、メダル受付部36に対する制御内容を示す制御データの決定(ステップS802)及びメダル払出部37に対する制御内容を示す制御データの決定(ステップS803)を行って、割込ステップ処理を終了する。
【0128】
出力処理(ステップS203)では、プロセッサ11は、入出力部13のフラグに制御データを書き込み(ステップS901)、レジスタ11a又はメモリ12に設けられた対応するフラグのクリアを行って(ステップS902)、出力処理を終了する。
図5に示したステッピングモータを制御するための励磁制御ステップの出力も、この出力処理にて行う。
【0129】
次に、センサ出力とフラグについて説明する。
図16は、センサ出力とフラグについての説明図である。
図16(a)は、リール位置検出センサ65a〜65cのセンサ出力を示している。このセンサ出力の電圧が「H」となった状態がリール位置検出信号である。
【0130】
リール位置検出信号の立ち上がりや立ち下がりは不安定であり、チャタリングと呼ばれるノイズが発生している。そのため、
図16(b)に示すようにセンサ出力をそのままセンサ出力フラグに使用すると、チャタリング中にはセンサ出力フラグが「1」と「0」のいずれになるかを特定できないことになる。
【0131】
センサ出力フラグをフィルタ処理し、「0」から「1」への変化を示したフラグがアップエッジフラグである。同様に、センサ出力フラグをフィルタ処理し、「1」から「0」への変化を示したフラグがダウンエッジフラグである。レベルフラグは、アップエッジフラグとダウンエッジフラグから、センサの状態を示したフラグである。
【0132】
リール位置検出信号の検知には、アップエッジフラグを用いるのであるが、チャタリング中はセンサ出力フラグが不定状態となるため、チャタリングの終了までアップエッジフラグがオンにならないケースが発生する。かかるケースでリール位置検出信号の検知が遅れ、回転位置管理ステップの初期化遅れを引き起こすのである。
【0133】
しかしながら、積分フィルタ15によって0.5ミリ秒ごとにセンサ出力の取得を行い、プロセッサ11は積分フィルタ15のフラグを読み取ってセンサ出力フラグとして用いることとすれば、
図16(c)に示すように、チャタリングの影響を排除し、アップエッジフラグを早期にセットすることができるので、リール位置検出信号の立ち上がりを精度よく検知できる。このため、検知漏れを防ぐことが可能である。
【0134】
次に、遊技機によるゲームについて説明する。本実施例に係る遊技機1は、リール窓30の中段表示位置に水平の入賞ラインE1を有している。また、遊技機1のメイン制御基板10のプロセッサ11は、通常のゲーム状態に比して再遊技役が高確率で当選するゲーム状態であるリプレイタイム状態(以下、「RT状態」と言う)を含む複数のゲーム状態の移行を制御する。また、遊技機1のサブ制御基板20は、画像や音の制御によって遊技者にとって有利となるストップボタンの押順を報知するAT状態と、かかる押順の報知を行わない非AT状態とを切替える。
【0135】
また、遊技機1では、非AT状態においてストップボタン33a〜33cを操作するべき基準となる押順(以下、「基準押順」という)として、リール51aを第1停止操作により停止する押順が推奨されている。そして後述するように、再遊技役が高確率で当選するRT状態への移行の契機となる図柄の組合せは、基準押順以外の押順(以下、「変則押順」という)が入力された場合に入賞ラインE1上に停止するようになっているため、押順の報知が行われない非AT状態では、RT状態以外のゲーム状態に滞在するようになっている。
【0136】
サブ制御基板20は、メイン制御基板10のプロセッサ11における内部抽選の結果に応じて、ART抽選を行う。ART抽選は、ART状態の権利を付与するか否かを抽選する処理である。ART状態は、サブ制御基板20がAT状態であり、かつメイン制御基板10がRT状態である状態をいう。また、サブ制御基板20がAT状態となったが、メイン制御基板10がRT状態に移行していない状態をART準備状態という。ART抽選の結果としてART状態の権利を付与することをART権利の当選という。ART権利が当選したならば、サブ制御基板20はAT状態となる。この時点ではメイン制御基板10はRT状態ではないため、ART準備状態である。
【0137】
AT状態において押順小役が当選したならば、サブ制御基板20は、押順正解小役の正解押順を報知する。押順正解小役は、当選した押順小役に含まれる小役の中で最も配当が大きい小役である。
【0138】
また、ART準備状態において押順再遊技役が当選したならば、サブ制御基板20のCPU101は、押順正解再遊技役の正解押順を報知する。押順正解再遊技役は、当選した押順再遊技役に含まれる再遊技役のうち、RT状態への移行の契機となる図柄の組合せが入賞ラインE1上に揃う再遊技役である。
【0139】
次に、メイン制御基板10のゲーム状態について説明する。
図17は、メイン制御基板10のゲーム状態について説明するための説明図である。
図17(a)は、遊技機1が使用する役の抜粋である。
【0140】
図17(a)は、「8枚小役」、「1枚小役1」、「1枚小役2」、「再遊技1」及び「特リプ1」の5つの役を示している。「8枚小役」には、図柄の組合せ「ベル−ベル−ベル」が対応付けられている。同様に、「1枚小役1」には、図柄の組合せ「A−A−X」が対応付けられ、「1枚小役2」には、図柄の組合せ「A−B−X」が対応付けられている。なお、図柄の組合せにおける「A」「B」及び「X」は、それぞれ特定の図柄に対応するものである。
【0141】
「再遊技1」には、図柄の組合せ「A−リプレイ1−A」が対応付けられている。また、「特リプ1」には、図柄の組合せ「B−リプレイ2−B」が対応付けられている。再遊技1と特リプ1はともに再遊技役であるが、再遊技1はゲーム状態の移行の契機として使用せず、特リプ1はゲーム状態の移行の契機として使用する。
【0142】
以降の説明では、1枚小役1に対応付けられた図柄の組合せを図柄組合せFc1とし、特リプ1に対応付けられた図柄の組合せを図柄組合せFc2とする。
【0143】
図17(b)は、メイン制御基板10のゲーム状態の移行について説明する説明図である。
図17(b)に示すように、メイン制御基板10のゲーム状態には、遊技機1におけるゲームの基準となる通常ゲーム状態であるゲーム状態G1と、ゲーム状態G1よりも再遊技役が高確率で当選するRT状態であるゲーム状態G2とがある。
【0144】
ゲーム状態G2へは、図柄組合せFc2が入賞ラインE1上に停止した場合に移行する。また、ゲーム状態G1へは、図柄組合せFc1が入賞ラインE1上に停止した場合に移行する。
【0145】
図柄組合せFc2は、所定の変則押順が入力された場合に入賞ラインE1上に揃うようになっている。具体的には、プロセッサ11による内部抽選の対象として、特リプ1のようにゲーム状態の移行の契機として使用する再遊技役と、再遊技役1のようにゲーム状態の移行の契機として使用しない再遊技役とが同時当選する押順再遊技役を設ける。そして、ゲーム状態の移行の契機として使用する再遊技役を押順正解再遊技役とし、ゲーム状態の移行の契機として使用しない再遊技役を押順不正解再遊技役として、基準押順を不正解押順、所定の変則押順を正解押順とする。
【0146】
このようにして、正解押順である所定の変則押順が入力された場合にのみ図柄組合せFc2が入賞ラインE1上に揃うようにすれば、サブ制御基板20が非AT状態である場合には正解押順が報知されないため、メイン制御基板10はゲーム状態G1に滞在する。そして、サブ制御基板20がART準備状態である場合に押順再遊技役が当選すれば、正解押順が報知されるので、メイン制御基板10がゲーム状態G2(RT状態)に移行することとなる。
【0147】
次に、サブ制御基板20の状態について説明する。
図18は、サブ制御基板20の状態について説明するための説明図である。
図18に示すように、サブ制御基板20の状態には、非AT状態とAT状態とがある。そして、非AT状態には、ペナルティ状態、ART抽選低確率状態、ART抽選通常確率状態及びART抽選高確率状態がある。また、AT状態には、ART準備状態と、ART状態とがある。
【0148】
ART抽選低確率状態、ART抽選通常確率状態及びART抽選高確率状態のうち、ART抽選低確率状態は、ART抽選によりART権利が当選する抽選確率が最も低い。そして、ART抽選高確率状態は、ART抽選によりART権利が当選する抽選確率が最も高い。ART抽選通常確率状態は、ART抽選によりART権利が当選する抽選確率が、ART抽選低確率状態とART抽選高確率状態の間である。
【0149】
ART抽選低確率状態、ART抽選通常確率状態及びART抽選高確率状態は、移行抽選により互いに移行可能である。そして、ART抽選低確率状態、ART抽選通常確率状態又はART抽選高確率状態のいずれかで基準押順以外の押順、即ち変則押順でストップボタン33a〜33cが操作されたならば、ペナルティ状態に移行する。ペナルティ状態では、ART抽選が行われないため、ART権利は当選しない。ペナルティ状態は所定のゲーム数で終了し、ART抽選低確率状態となる。
【0150】
ART抽選低確率状態、ART抽選通常確率状態及びART抽選高確率状態では、ART抽選が行われる。ART抽選の結果、ART権利が当選したならば、ART準備状態に移行する。ART準備状態では、押順再遊技役の正解押順が報知されるため、入賞ラインE1に図柄組合せFc2を揃えることが可能である。そして、入賞ラインE1に図柄組合せFc2が揃ったならば、メイン制御基板10はゲーム状態G2に移行する。サブ制御基板20は、メイン制御基板10がゲーム状態G2に移行したことを示す通知を受けてART状態に移行する。サブ制御基板20のART状態は、所定のゲーム数で終了し、ART抽選高確率状態となる。
【0151】
次に、遊技機1の変形例について説明する。これまでの説明では、プロセッサ11にクロック信号f1及びf2を供給するとともに積分フィルタ15にクロック信号f3を供給し、積分フィルタ15がクロック信号f3に基づいてリール位置検出信号を取得してフラグをセットし、プロセッサ11がクロック信号f2に基づいて積分フィルタ15のフラグを読み取る構成について示した。かかる構成は、プロセッサ11の処理能力が低く、設定可能な割込処理の数に制限があるケースであっても利用可能である。一方で、プロセッサに十分な数の割込処理を設定可能であるならば、積分フィルタ15の機能をプロセッサに持たせてもよい。
【0152】
図19は、積分フィルタ15の機能をプロセッサに持たせた場合の遊技機1の内部構成を示す構成図である。
図19に示すメイン制御基板110は、積分フィルタ15を持たず、クロック発生回路14が生成したクロック信号f1〜f3は全てプロセッサ111に供給される。
【0153】
プロセッサ111は、クロック信号f1のタイミングに基づいてプログラムのメインルーチンを逐次実行する。また、プロセッサ111は、クロック信号f2のタイミングに基づいて第1の割込処理を実行し、クロック信号f3のタイミングに基づいて第2の割込処理を実行する。
【0154】
第2の割込処理は、入出力部13が受け付けた入力のうち、所定の入力をクロック信号f3に基づいて取得して、フラグをレジスタ111aにセットする処理を行う。具体的には、リール位置検出センサ65a〜65cのそれぞれについてフラグを割り当てており、リール位置検出信号の入力を読み取った場合には、該当するフラグをオンにセットする。フラグのリセットは、第1の割込処理によって行う。
【0155】
第1の割込処理は、第2の割込み処理でセットしたフラグの読取りとクリア、第2の割込処理に割り当てられていない他の入力の取得、出力信号の供給が含まれる。その他の構成及び動作は、
図3に示した構成及び動作と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0156】
図20は、
図19に示したプロセッサ111による入力の取得についての説明図である。プロセッサ111は、クロック信号f3に基づき、0.5ミリ秒ごとに第2の割込処理を起動し、リール位置検出センサ65a〜65cからの入力を取得する。このとき、リール位置検出センサ65a〜65cからリール位置検出信号の入力がなされていれば、該当するフラグをオン、すなわち「1」にセットする。リール位置検出信号の入力がなされていなければ、フラグの状態を維持する。
【0157】
また、プロセッサ111は、クロック信号f2に基づき、1.5ミリ秒ごとに第1の割込み処理を起動し、第2の割込処理でセットされたフラグを読取ってリセットする。このため、第1の割込処理によるフラグの読取りとリセットが行われるまでに、第2の割込処理が3回起動され、リール位置検出センサ65a〜65cからの入力を取得することになる。この3回の取得のうち、いずれかでリール位置検出信号が取得されていれば、フラグが「1」にセットされている。このため、第1の割込処理では、第2の割込処理による3回の取得結果の論理和を読み取ることになる。
【0158】
上述してきたように、本実施例に係る遊技機1では、リール位置検出センサ65cの出力を0.5ミリ秒周期で取得しておき、プロセッサ11によるリール位置の判定は1.5ミリ秒周期で行うので、センサ出力を高精度で取得することができる。このため、リール位置検出信号の検知漏れを防ぎ、回転位置管理ステップの初期化遅れを防止し、リール51a〜51cを規定時間以内に停止させることができる。
【0159】
なお、上記の実施例では、リール位置検出信号を検知したタイミング(回転位置管理ステップ=0)で図柄番号PN=1の図柄がリール窓30の中段の入賞ラインE1上に位置するように図柄を配置する場合について説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、リール位置検出信号を検知したタイミング(回転位置管理ステップ=0)で図柄番号PN=7の図柄がリール窓30の中段の入賞ラインE1上に位置するように図柄を配置してもよい。また、リール位置検出信号を検知してから12ステップ進めた状態(回転位置管理ステップ=12)で図柄番号PN=1の図柄がリール窓30の中段の入賞ラインE1上に位置するように図柄を配置してもよい。
【0160】
また、上記の実施例では、励磁制御ステップがインクリメントされる度に回転位置管理ステップをインクリメントする構成を例に説明を行ったが、励磁制御ステップがインクリメントされる度に回転位置管理ステップを所定値ずつ加算する構成で実施してもよい。
【0161】
また、上記の実施例においては、入賞ラインがリール窓30の中央となる入賞ラインE1のみとされているが、複数の入賞ラインを備えた遊技機であっても本発明が適用されることはいうまでもない。また、リール窓30の中央以外の単数の入賞ラインを用いてもよい。また、本実施例においては、メイン制御基板10の状態がゲーム状態G1とG2のいずれかに設定されるようになっているが、さらに多くのゲーム状態を含むようにしてもよい。また、ゲーム状態には、ボーナスゲーム状態を含んでもよい。
【0162】
また、上記の実施例におけるAT状態では、遊技者にとって有利となる押順を報知する演出が実行されているが、例えば、遊技者にとって有利となる図柄の目押しを促すため、目押しすべき図柄の報知を行ってもよい。
【0163】
また、上記の実施例では、遊技媒体としてメダルを用いるスロットマシンを例に説明を行ったが、遊技媒体として遊技球を用いるパロット又はパチロットと呼ばれる回胴式遊技機に本発明を適用してもよい。
【0164】
本発明は、上述した各実施例に限定されるものではなく種々の変形が可能であることは言うまでもない。