(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206744
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】ツインクランプ装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/06 20060101AFI20170925BHJP
B26D 3/16 20060101ALI20170925BHJP
B23D 47/04 20060101ALN20170925BHJP
【FI】
B23Q3/06 304C
B23Q3/06 303E
B26D3/16 A
!B23D47/04 F
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-506838(P2016-506838)
(86)(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公表番号】特表2016-518995(P2016-518995A)
(43)【公表日】2016年6月30日
(86)【国際出願番号】EP2014056001
(87)【国際公開番号】WO2014166736
(87)【国際公開日】20141016
【審査請求日】2016年1月19日
(31)【優先権主張番号】102013103587.6
(32)【優先日】2013年4月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509197346
【氏名又は名称】ラットゥーンド アンド シーオー ジーエムビーエイチ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ラットゥーンド,ウルリッヒ
【審査官】
青山 純
(56)【参考文献】
【文献】
特表2002−530037(JP,A)
【文献】
特表2007−505267(JP,A)
【文献】
特開平10−328958(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/061692(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/06
B26D 3/16
B23D 47/04
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並んで配置され長手方向(L)に配向された2つの長手異形材(2,3)用のツインクランプ装置であって、
第1の内側クランプジョー(56)および第1の外側クランプジョー(55)を有する第1の個別クランプ装置(71)と、
第2の内側クランプジョー(58)および第2の外側クランプジョー(57)を有する第2の個別クランプ装置(72)と、を備え、
前記第1と第2の個別クランプ装置は、可動に支承された少なくとも1つの第1のクランプレバー(62)と可動に支承された少なくとも1つの第2のクランプレバー(63)とを介して互いに機械的に連結されており、
前記少なくとも1つの第1のクランプレバー(62)は、前記第1の内側クランプジョー(56)および前記第1の外側クランプジョー(55)に作用するように接続されており、
前記少なくとも1つの第2のクランプレバー(63)は、前記第2の内側クランプジョー(58)および前記第2の外側クランプジョー(57)に作用するように接続されており、
さらに、前記第1の内側クランプジョー(56)と前記第1の外側クランプジョー(55)とを、前記少なくとも1つの第1のクランプレバー(62)により及ぼされる力に抗して互いに離れるように押圧する少なくとも1つの第1の弾性装置(60)と、
前記第2の内側クランプジョー(58)と前記第2の外側クランプジョー(57)とを、前記少なくとも1つの第2のクランプレバー(63)により及ぼされる力に抗して互いに離れるように押圧する少なくとも1つの第2の弾性装置(60’)と、を備え、
前記少なくとも1つの第1のクランプレバー(62)と前記少なくとも1つの第2のクランプレバー(63)とは、共通の軸を中心に回転可能に支承されている、ツインクランプ装置。
【請求項2】
前記第1と第2のクランプレバー(62,63)は、裏側で互いに支持するよう構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のツインクランプ装置。
【請求項3】
前記共通の軸は、当該ツインクランプ装置(1)に対して自由に可動である、ことを特徴とする請求項1または2に記載のツインクランプ装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1のクランプレバー(62)は、前記第1の内側クランプジョー(56)および前記第1の外側クランプジョー(55)に当接しており、前記少なくとも1つの第2のクランプレバー(63)は、前記第2の内側のランプジョー(58)および前記第2の外側クランプジョー(57)に当接している、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のツインクランプ装置。
【請求項5】
前記第1のクランプレバー(62)と前記第2のクランプレバー(63)は、それぞれ鏡像対称面を有する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のツインクランプ装置。
【請求項6】
前記第1と第2の個別クランプ装置(71,72)は、中央クランプ装置(50)の上に配置されている、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のツインクランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並んで配置され長手方向に配向された2つの長手異形材用のツインクランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の鋸挽き加工装置では、長手異形材、とりわけ金属パイプが高精度に短縮される。本来の鋸挽き過程中に金属パイプを供給するために、あるいは金属パイプを支持するためにも、クランプ装置が使用される。クランプ装置は、従来技術ではシングルクランプ装置またはダブルクランプ装置の形で公知である。シングルクランプ装置またはダブルクランプ装置では、パイプが互いに直接接触して固定締め付けされる。
【0003】
(特許文献1)には、円筒状または近似的に円筒状の加工物を芯合わせして締め付けるための装置が開示されている。しかしこの装置によって、不利なことには、2つのパイプを同時に締め付けることはできない。
【0004】
(特許文献2)から、2つのパイプのためのダブルクランプ装置が公知であり、この装置により2つのパイプ部材を手作業で締め付けることができる。ここでは、クランプジョーが締め付けるべきパイプ部材の丸みに正確に適合されている。したがって直径の異なるパイプを同じジョーにより締め付けることはできない。さらに直径の異なるパイプの締め付けの際に、空間における中央軸の位置が変化する。そのため、例えば高精度の短縮のための機械的な後加工処理が十分な精度では可能でない。
【0005】
さらに2つのパイプを同時に、しかも互いに接触せずに締め付けることのできるツインクランプ装置が公知である。しかしながらこの公知のツインクランプ装置は、著しい欠点を有する。
【0006】
本出願人により開発された公知の形式のツインクランプ装置は、中間クランプ部材、および互いに向き合って走行可能な2つの外側クランプジョーを有する。しかしこのツインクランプ装置によるパイプの押し出しの際に、パイプ表面に僅かなスクラッチが生じる。さらに2つのパイプの間の軸間隔が、パイプ直径が変化すると変化する。
【0007】
同様に本出願人により開発された公知の形式のツインクランプ装置は、互いに向き合って走行可能な2つのダブルクランプジョーを有するが、これらの締め付け作用は、パイプ直径が同じであることに非常に敏感に依存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】スイス特許公開公報第413751号
【特許文献2】米国特許公開公報第2006/0255521号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、上記の欠点を除去したツインクランプ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、冒頭に述べたツインクランプ装置によって解決される。このツインクランプ装置は、第1の内側クランプジョーおよび第1の外側クランプジョーを有する第1の個別クランプ装置と、第2の内側クランジョーおよび第2の外側クランプジョーを有する第2の個別クランク装置と、を有する。2つの個別クランプ装置は、可動に支承された少なくとも1つの第1のクランプレバーと、可動に支承された少なくとも1つの第2のクランプレバーとを介して互いに機械的に連結されており、前記少なくとも1つの第1のクランプレバーは、前記第1の内側クランプジョーおよび前記第1の外側クランプジョーと作用接続しており、一方、前記少なくとも1つの第2のクランプレバーは、前記第2の内側クランプジョーおよび前記第2の外側クランプジョーと作用接続している。さらに少なくとも1つの第1の弾性装置と少なくとも1つの第2の弾性装置とが設けられており、前記第1の弾性装置は、第1の内側クランプジョーと第1の外側クランプジョーとを、前記少なくとも1つの第1のクランプレバーにより及ぼされる力に抗して互いに離れるように押圧し、前記第2の弾性装置は、第2の内側クランプジョーと第2の外側クランプジョーとを、前記少なくとも1つの第2のクランプレバーにより及ぼされる力に抗して互いに離れるように押圧する。
【0011】
共通のクランプレバーボルトの他に前記少なくとも1つの第1の弾性装置および少なくとも1つの第2の弾性装置、並びに前記第1および第2のクランプジョーにより形成される前記2つの個別クランプ装置の間の連結は、有利には、当接面がパイプを中心に同心に開放および閉鎖するように構成されている。これによりツインクランプ装置は、開放状態では当接面におけるスクラッチ無しでパイプを押し出すことができる。さらにこのツインクランプ装置は、外径の異なる(複数の)パイプを同時に締め付けるのに適し、2つのパイプを緊結に締め付けることができる。さらに、パイプ直径に関係なく、2つのパイプの軸間隔は同じである。
【0012】
好ましくは第1のクランプレバーと第2のクランプレバーは、互いに裏側で支持する。したがってこれらを付加的に支承する必要はない。
【0013】
本発明の好ましい一実施形態では、少なくとも1つの第1のクランプレバーと少なくとも1つの第2のクランプレバーとが、共通の軸を中心に回転可能に支承されている。この共通の軸は、好ましくは自由に可動であるクランプレバーボルトを通して案内することができる。
【0014】
有利には共通の軸は、ツインクランプ装置が取り付けられている中央クランプ装置に対して自由に可動である。すなわちこの軸は、ケーシングまたは中央クランプ装置には固定されておらず、締め付け過程の間、基本的に自由に可動である。有利にはクランプレバーボルトは支承されていない。
【0015】
本発明の好ましい一実施形態では、少なくとも1つの第1のクランプレバーは、第1の内側クランプジョーおよび第1の外側クランプジョーに当接しており、少なくとも1つの第2のクランプレバーは、第2の内側クランプジョーおよび第2の外側クランプジョーに当接している。有利にはクランプレバー(複数)はクランプジョー(複数)とはしっかりと接触しておらず、宛がうことだけにより、クランプレバーの載置面とクランプジョーとの間での力伝達のための接続を形成する。
【0016】
好ましくは第1のクランプレバーと第2のクランプレバーは、それぞれ鏡像対称面を有する。これによりクランプレバーは、とりわけ安価に製造可能である。
【0017】
好ましくは第1と第2の個別クランプ装置は、中央クランプ装置の上に配置されている。中央クランプ装置は、有利には2つの支持部を有し、これらの支持部は、長手方向に対して垂直の締め付け方向で互いに対称に向き合って走行される。2つの支持部の各々には、個別クランプ装置の一方が取り付けられており、個別クランプ装置(複数)は連結機構を介して互いに作用接続している。
【0018】
本発明を、実施例に基づき10の図面で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図3】さらなる公知のツインクランプ装置の斜視図である。
【
図4】
図3の公知のツインクランプ装置の正面図である。
【
図5】本発明のツインクランプ装置の構成部材展開図である。
【
図7】2つのパイプが締め付けられているツインクランプ装置の斜視図である。
【
図8】直径が最大であり同じ大きさである2つのパイプが締め付けられた状態にある、
図6のツインクランプ装置の断面図である。
【
図9】直径が最小の2つのパイプが開放された状態にある、
図6のツインクランプ装置の断面図である。
【
図10】直径の大きさが異なる2つのパイプが締め付けられた状態にある、
図9に対応するツインクランプ装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示した公知のツインクランプ装置1は、2つの長手異形材、とりわけ金属長手異形材、好ましくは金属パイプ2,3を締め付けるように構成されている。2つのパイプ2,3は長手方向Lに配向されており、これらは互いに間隔を置いて平行に並置されている。ツインクランプ装置1は、パイプ2,3の長手方向Lに対して垂直の締め付け方向Sに延在する中央溝4を有し、この溝には鋸ブレード6が切断過程中に挿入され、2つのパイプ2,3を切断する。
【0021】
図2は、ツインクランプ装置1を正面図に示す。ツインクランプ装置は、第1のクランプジョー10と第2のクランプジョー11を有し、これらのクランプジョーは、パイプ2,3の長手方向Lに対して垂直の締め付け方向Sで互いに向き合って走行可能である。さらに第1と第2のクランプジョー10,11は、(図示しない)中央クランプ装置の上に配置されており、この中央クランプ装置は、締め付け方向Sでのクランプジョー10,11の対称的な走行を可能にする。第1のクランプジョー10と第2のクランプジョー11との間には可動の中間クランプ部材13が設けられている。第1のパイプ2に対する2つの第1の当接面20,21および第2のパイプ3に対する2つの第2の当接面22,23は、第1のクランプジョー10ないし第2のクランプジョー11にあり、中間クランプ部材13に沿っている。これらの当接面はそれぞれ角柱形に構成されている。すなわちこれらは、円形とは異なり強くロート状の形状を有し、これにより直径D1,D2の異なる種々のパイプ2,3を回動不能に締め付けることができる。
【0022】
2つのパイプ2,3の締め付け方向Sでの間隔は、中間クランプ部材13の幾何形状とパイプ直径D1,D2によって決定される。ツインクランプ装置1によって直径D1,D2の異なるパイプ2,3を、種々の締め付け過程で締め付けることができる。パイプ2,3は、1つの締め付け過程において互いに異なる直径D1,D2を有することもできる。ツインクランプ装置1の締め付け領域は、約5から10mmである。すなわち、例えばD1=D2=31.5mmから36.5mmの間のパイプ直径を締め付けることができる。
【0023】
このツインクランプ装置1の欠点は、パイプ軸の間の間隔Aがパイプ2,3の直径D1,D2に依存していることである。直径D1,D2の異なるパイプ2,3による種々の締め付け過程の間で間隔Aを同じに維持するためには、各パイプ直径D1,D2に対して別個の中間クランプ部材13が必要である。さらに、パイプ2,3の外径公差により軸間隔の変動が発生することも欠点であり、この変動は、後続の加工処理過程、とりわけ面取りに対して欠点である。短縮された2つのパイプ部分は、軸間隔を置いてさらに搬送され、軸間隔を維持しながら後続の加工処理が行われる。通常の外径公差は、約±0.1mmである。これにより直径D1=D2=34mmのときに、A=34mm±0.1mmのパイプ2,3の軸間隔Aの偏差が生じ、約0.29mmの軸間隔Aの公差および約0.4mmの非対称性が生じる。
【0024】
さらなる問題は、パイプ2,3を押し出すためにツインクランプ装置1が開放されるときに、中間クランプ部材13がパイプ2,3から取り外されず、そのためスライドする際にパイプ2,3の外壁にスクラッチが発生することである。送り出しは、(図示しない)挟み込み搬送装置によって行われる。
【0025】
図3は、さらなる公知のツインクランプ装置1を示す。ここでも、ツインクランプ装置1への2つのパイプ2,3の供給は、図示しない挟み込み搬送装置によって行われる。ここでも長手方向Lに対して垂直の締め付け方向Sに延在する溝4が鋸ブレード6のために設けられている。
【0026】
ツインクランプ装置1は、第1と第2のダブルクランプジョー30,31を有し、これらのダブルクランプジョーは、図示しない中央クランプ装置の上に取り付けられている。このツインクランプ装置1では軸間隔Aが、直径締め付け領域全体にわたって常に一定である。問題は、ツインクランプ装置が厳しく規定されていることである。すなわち、第1のパイプ2の直径D1が第2のパイプ3の直径D2よりやや小さいと、直径D2の比較的に大きなパイプ3しか確実に締め付けられず、その反対も当てはまる。直径公差は、パイプ2,3および/またはツインクランプ装置1の弾性変形、例えば弾性負荷された少なくとも1つの載置面20,21,22,23の弾性変形によってしか補うことができない。このツインクランプ装置1は、非常に狭い直径公差に対してだけ使用することができる。通常発生する±0.1mmの公差は、このツインクランプ装置1によっては補うことができない。
【0027】
本発明のツインクランプ装置1の構成部材が
図5に図示されている。このツインクランプ装置は、第1と第2の支持部51,52を備える中央クランプ装置50を有し、これらの支持部は、締め付け方向Sで正確に対称に互いに向き合って往復走行可能である。さらにこのツインクランプ装置1は、第1の外側クランプジョー55および第1の内側クランプジョー56、並びに第2の外側クランプジョー57および第2の内側クランプジョー58を有し、これらのクランプジョーは、案内ボルト59と2つの第1の圧縮バネボルト60と2つの第2の圧縮バネボルト60’とを介して互いに弾性負荷された接続部を形成する。2つの内側クランプジョー56,58は、連結機構を介して互いに連結されている。この連結機構は、ここでは2つの部材セットから成り、各部材セットは、クランプレバーボルト61、第1のクランプレバー62および第2のクランプレバー63を含む。さらに締め付けるべき第1と第2のパイプ2,3が図示されている。
【0028】
図6には、
図5のツインクランプ装置1が組み立てられた状態で図示されている。第1の外側クランプジョー55と第1の内側クランプジョー56は、第1の個別クランプ装置71の構成部材であり、第2の外側クランプジョー57と第2の内側クランプジョー58は、第2の個別クランプ装置72の構成部材である。第1の個別クランプ装置71は中央クランプ装置50の第1の支持部51の上に、第2の個別クランプ装置72は第2の支持部52の上に取り付けられている。中央クランプ装置50によりパイプ2,3の長手方向Lに対して垂直の締め付け方向Sで、2つの支持部51,52は正確に対称に接近および離反走行することができる。
図6は、第1のパイプ2と第2のパイプ3が、第1の個別クランプ装置71ないし第2の個別クランプ装置72に締め付けられている様子を示す。
【0029】
図7は、パイプ切断機における本発明のツインクランプ装置1の配置を概略図に示す。鋸ブレード6はツインクランプ装置1の外にあり、横延伸部全体にわたりツインクランプ装置1の締め付け方向Sに形成された溝4の上に配置されている。鋸ブレード6は溝4に挿入可能であり、挿入の際に2つのパイプ2,3を切断する。パイプ2,3は好ましくは金属パイプである。
【0030】
パイプ2,3は、
図7では左から右へツインクランプ装置1を通ってスライドされ、ツインクランプ装置1に緊結に締め付けられ、短縮される。短縮されたパイプ部分は、
図7の右で(図示しない)把持装置により取り除かれる。これらのパイプ部分はその軸間隔Aを維持しながらさらに搬送され、さらに加工処理される。
【0031】
2つのパイプ2,3を長手方向Lにツインクランプ装置1に供給するために、このツインクランプ装置1と実質的に構造の等しい挟み込み搬送装置80が設けられている。ツインクランプ装置1とは異なりこの挟み込み搬送装置80は、円錐形に成形された2つの導入部81,82をパイプ2,3のために有する。挟み込み搬送装置80は、(図示しない)走行装置によって長手方向Lに往復走行可能であり、これによりパイプ2,3を鋸挽きのためにツインクランプ装置1にクロック制御して供給することができる。
【0032】
図8は、
図6と7のツインクランプ装置1を、2つの圧縮バネボルト60,60’に沿った断面であって、長手方向Lと締め付け方向Sに対して垂直の断面に示す。
図8で第1と第2のパイプ2,3は外径が同じであり、最大に構成されている。すなわち、これより大きなパイプ直径は図示のツインクランプ装置1によって締め付けることはできない。
図8は、ツインクランプ装置1を閉じた状態で示し、一方、
図9は、ツインクランプ装置1を開放された状態で示す。閉じた状態では、パイプ2,3が締め付けられており、本来の切断過程が鋸ブレード6によって行われる。
【0033】
図9は、案内ボルト59に沿った断面を示し、この断面は長手方向Lおよび締め付け方向Sに対して垂直である。
【0034】
図9の開放された状態では、パイプ2,3が挟み込み搬送装置80によって切断すべきパイプ部分の所望の長さだけ押し出される。押し出しの際にパイプ外壁は当接面20,21,22,23の何れにも接触せず、したがってスクラッチは生じ得ない。
【0035】
図8は、第1と第2のクランプレバー62,63が共通のクランプレバーボルト61を中心に回転可能に支承されている様子を示す。クランプレバーボルト61は自由である。すなわちクランプレバーボルトは、中央クランプ装置50に対して自由に可動であり、とりわけその端部は位置固定されずに支承されている。第2のクランプレバー63は、
図5に示すように切欠部を有し、この切欠部には第1のクランプレバー62が挿入されている。2つのクランプレバー62,63の2つの中央孔部を通って共通のクランプレバーボルト61が案内されている。
【0036】
第1の個別クランプ装置71は、第1の外側クランプジョー55および第1の内側クランプジョー56を有し、第1のクランプレバー62は、第1の外側クランプジョー55と第1の内側クランプジョー56の内側の外壁の上に可動に載置されている。第1の外側クランプジョー55と第1の内側クランプジョー56とは、当該2つのクランプジョー55,56を互いに離れるように押圧する2つの圧縮バネボルト60によって互いに弾性負荷されて接続されている。圧縮バネボルト60は、第1の内側クランプジョー56を、中央クランプ装置50とは反対側の第1のクランプレバー62のアーム62aに対して第2の個別クランプ装置72の方向に押圧する。第1のクランプレバー62はその裏側で、これに連結された第2のクランプレバー63によって位置が保持される。この第2のクランプレバーは、力を第1のクランレバー62に及ぼす。対応することが第2の個別クランプ装置72の第2のクランプレバー63に対しても当てはまる。第1のクランプレバー62はほぼ時計方向に回転し、中央クランプ装置50に向いた側の第1のクランプレバー62のアーム62bは、第1の外側クランプジョー55の内壁に当接する。
【0037】
ツインクランプ装置1を解除するために、2つの支持部51,52は互いに離れるように対称に走行する。すなわち
図8に図示した第1の外側クランプジョー55は外側へ、すなわち
図8では左へ走行し、
図8に図示された第2の外側クランプジョー57は外側へ、すなわち
図8では右へ走行する。第1の圧縮バネボルト60のバネ力により、第1の内側クランプジョー56は第2の個別クランプ装置72の方向に押圧される。これにより第1のクランプレバー62は、時計方向にある程度回転し、中央クランプ装置50に向いた側のアーム62bが再び第1の外側クランプジョー55と接触するまでの遊びを獲得する。第1のクランプレバー62の回転により、第1の圧縮バネボルト60は再び弛緩され、これにより第1の内側クランプジョー56は、第2の個別クランプ装置72の方向にある程度運動する。第1の個別クランプ装置71が開放された状態が
図10に示されている。同様のことが第2の個別クランプ装置72の開放にも当てはまる。
【0038】
有利にはツインクランプ装置1は、それぞれ2つの当接面20,21ないし22,23が第1のパイプ2ないし第2のパイプ3から対称に解除され、パイプ2,3が開放された当接面20,21,22,23を通って押し込まれる際にパイプ外壁にスクラッチ痕が発生することのないように開放する。
【0039】
本発明によるツインクランプ装置1は、
図10に示すように直径D1,D2が格段に異なるパイプ2,3の締め付けにも適する。切断面は同様に案内ボルト59に沿って延在し、長手方向Lと締め付け方向Sに対して垂直である。そこでは直径D1の第1のパイプ2は第2のパイプ2よりも小さい。確かに中央クランプ装置1により2つの外側支持部51,52は同じ大きさだけ内側ないし外側にスライドされるが、パイプ外径の偏差は、第1と第2のクランプレバー62,63およびクランプレバーボルト61から成る連結機構の可動の配置によって補うことができる。第2の圧縮バネ60’による弾性負荷に基づき第2の内側クランプジョー58は、第1の内側クランプジョー56が第2のパイプ3を緊結に締め付けている場合には、この第1の内側クランプジョー56よりもさらに内側へ移動される。これにより、連結システム61,62,63全体が、ほぼ反時計方向に傾斜し、クランプレバーボルト61の回転軸は、ある程度左へ第1の個別クランプ装置71に向かって移動する。
【0040】
これにより、第1のクランプレバー62の上方のアーム62aも同様にほぼ第1の個別クランプ装置71の方向に、
図10では左にスライドされ、直径の小さな第1のパイプ2を緊結に締め付ける。
【0041】
重要なことは2つのパイプ2,3の軸間隔Aが常に同じに留まることである。この軸間隔は、
図9では最小直径D1=D2=minを有する2つのパイプ2,3の間であり、
図8では最大直径D2=D2=maxを有する2つのパイプ2,3の間と同じ大きさであり、
図10では異なる直径D1≠D2を有する2つのパイプ2,3におけるのと同じ大きさである。
【符号の説明】
【0042】
1 ツインクランプ装置
2 金属パイプ
3 金属パイプ
4 溝
6 鋸ブレード
10 第1のクランプジョー
11 第2のクランプジョー
13 可動の中間クランプ部材
20 第1の当接面
21 第1の当接面
22 第2の当接面
23 第2の当接面
30 第1のダブルクランプジョー
31 第2のダブルクランプジョー
50 中央クランプ装置
51 第1の支持部
52 第2の支持部
55 第1の外側クランプジョー
56 第1の内側クランプジョー
57 第2の外側クランプジョー
58 第2の内側クランプジョー
59 案内ボルト
60 第1の圧縮バネボルト
60’ 第2の圧縮バネボルト
61 クランプレバーボルト
62 第1のクランプレバー
62a アーム
62b アーム
63 第2のクランプレバー
71 第1の個別クランプ装置
72 第2の個別クランプ装置
80 挟み込み搬送装置
81 導入部
82 導入部
A 軸間隔
D1 パイプ直径
D2 パイプ直径
E 非対称性
L 長手方向
S 締め付け方向