(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部に避難用空間を有する救命カプセルボートにおいて、救命カプセルボートを上部カプセルと下部カプセルで構成し、上部カプセルは、多面体構造で鋼板を折り曲げ溶接し、人間が出入するための出入口扉を取付け、出入口扉をロック・アンロックするため、出入口周縁部の内側にカムラッチ係合部を形成し、内側開閉ハンドルのカムラッチ部を挿入して出入口扉を固定するため、カムラッチ係合部の前後2箇所に縦長のカムラッチ受穴を設け、前後2箇所のカムラッチ受穴の内の、室内側のカムラッチ受穴にカムラッチ部を押しつけるための凸部を形成し、下部カプセルは、下部が狭まった枡形の多面体構造で鋼板を折り曲げ溶接して構成し、上部カプセルの周縁部と下部カプセルの周縁部をボルトとナットで固定し、天井板の中央部から底板に掴まり棒を取付け、内部には少なくとも4人の大人が膝を抱えて座ることが出来る空間を設け、シートベルトを取付けたことを特徴とする津波救命カプセルボート。
【実施例】
【0029】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態]
【0030】
図1乃至
図11には、この発明の実施の形態を示す。
【0031】
図1は、本発明に係る、上部カプセル1と、下部カプセル20と、掴まり棒13と、2個の横用緩衝材14と、2個の背中用緩衝材15を斜視図で示す。上部カプセル1の形状は
図4の正面図と側面図、
図5の平面図で示すように、天上部の天井板40は縦約60cm×横約65cmの長方形の鋼板で成形し、天井板40の縦約60cmに接する両側の天井横板41は、縦約60cm×横約32cmの長方形の鋼板の一辺縦約60cmが接し、他端が左右下方向に折り曲げられるように形成し、さらに天井横板41の縦約60cmに接する横の横窓板42は、縦約60cm×横約24cmの長方形の鋼板の一辺縦約60cmが接し、他端が左右下方向に折り曲げられるように形成され、さらに横窓板42には、中央上部に縦約5cm×横約25cmのポリカーボネート製の概ね楕円形の覗き窓7が取付けられる。横窓板42の縦約60cmに接する両側の横板43は、上底が約60cm×左右の脚が約35cm×下底が約95cmの等脚台形をした鋼板の上底の約60cmが接し、他端が左右下方向に折り曲げられるように形成される。さらに天井板40の横約65cmに接する、一方の扉枠39は、外形が縦約78cm×横約65cmの長方形をした鋼板の一辺横約65cmが接し、他端が下方向に折り曲げられるように形成し、扉枠39の内側には縦約66cm×横約53cmの開口部を設け、開口部の周縁部が約3cm折り曲げられ、
図7で示すように周縁折曲部57が形成され、その扉枠39には、縦約73cm×横約60cmで中央部に縦約15cm×横約30cmのポリカーボネート製の概ね楕円形の覗き窓5が取付けられ、周縁部がコの字型に折り曲げられた出入口扉2が、2個の丁番6により扉枠39に取付けられる。さらに
図5で示すように、天井板40の横約65cmに接する、他方の天井袖板49は、外形が縦約78cm×横約65cmの長方形をした鋼板の一辺横約65cmが接し、他端が下方向に折り曲げられるように形成され、扉枠39の両側と、天井袖板49の両側の縦約78cmの部分には、約32cm×約78cm×約68cmの三角形状をした4枚の中央横三角板38の鋼板の一辺約78cmの鋼板が、扉枠39と天井横板41、同様に天井袖板49と天井横板41に、それぞれ接して取付けられ、さらに4箇所の中央横三角板38の一辺約68cmには、約28cm×約62cm×約68cmの三角形状をした4枚の補強用横三角板37の一辺約68cmが中央横三角板38の一辺約68cmに接して取付けられ、4箇所の補強用横三角板37の横の一辺約62cmには、約24cm×約62cm×約53cmの三角形状をした4枚の窓横三角板36の鋼板の一辺約62cmと一辺24cmが補強用横三角板37の一辺約62cmと横窓板42の一辺24cmに接して取付けられ、さらに4箇所の窓横三角板36の横には、窓横三角板36の一辺約53cmと横板43の一辺約35cmに接して、約35cm×約36cm×約53cmの三角形状の鋼板の一辺約53cmと一辺約35cmの補強用三角板35が取付けられる。
【0032】
このように多面体構造で構成した上部カプセル1の下部の開口した周縁部の、水平方向に約3cmの折り曲げ部9を形成し、折り曲げ部9の先端を直角に下に約1cm折り曲げると共に、折り曲げ部9には上部カプセル1と下部カプセル20を固定するための複数個の穴10が開けられる。
【0033】
このように構成された上部カプセル1の外形寸法は、概ね、縦150cm、横180cm、高さ65cmである。
【0034】
下部カプセル20の形状は、
図4と
図5に示すように、底部の底板46は縦約115cm×横約122cmの長方形の鋼板で成形し、底板46の横約122cmに接して前後方向に取付けられる下部背板47は、縦約67cm×横約122cmの長方形の鋼板の一辺横約122cmが接し、他端が上方向に折り曲げるように底板46に接して取付けられ、底板46の縦約115cmに接して両側に取付けられる下部横板44は、上底が約95cm×左右の脚が約67cm×下底が約115cmの等脚台形をした鋼板の下底約115cmが接し、他端が上方向に折り曲げるように接して取付けられ、底板46の四隅には両端が下部横板44の左右の脚が約67cmと下部背板47の縦約67cmに接し、上辺が約36cmで両辺が67cmの二等辺三角形の鋼板が取付けられ、このように構成された略枡形で多面体構造の上部の開口した周縁部の水平方向に約3cmの折り曲げ部18を形成し、折り曲げ部18には上部カプセル1と下部カプセル20を固定するための複数個の穴19が開けられる。このように構成された下部カプセル20の外形寸法は、概ね、縦150cm、横180cm、高さ60cmである。
【0035】
さらに、下部カプセル20の内面の斜面部分には、略三角棒の形状をした発泡スチロール製の2個の横用緩衝材14と、略台形棒の形状をした2個の背中用緩衝材15が取付けられ、さらに、上部カプセル1の天井部中央と下部カプセル20の底部中央には、直径が約4cmの鋼管で上下に固定金物11、17を取付けた、掴まり棒13の上部の固定金物11と下部の固定金物17がビスにより取付けられる。
【0036】
図2は、
図1で説明した下部カプセル20の底部中央に掴まり棒13の固定金物17をビス(図示せず)で取付け、下部カプセル20の内面の下部横板44に、発泡スチロールで成形して表面に樹脂フィルムを貼り付けた2個の横用緩衝材14と、さらに下部背板47に、発泡スチロールで成形して表面に樹脂フィルムを貼り付けた2個の背中用緩衝材15を取付けた状態を示す。
【0037】
図3は、
図2で説明した上部カプセル1の折り曲げ部9と、下部カプセル20の折り曲げ部18に開けた穴10、19を、ボルト27とナット26で固定した状態を示す。このように上部カプセル1を丸形状の多面体構造で津波救命カプセルボート29を構成することにより、避難した人間の頭部回りに十分な空間を確保することが出来るようになると共に、上部カプセル1と下部カプセル20を、それぞれ厚さ2.3mmの薄板鋼板で製造しても十分な剛性を確保することが可能となった。
【0038】
図4は、本発明の津波救命カプセルボート29を正面図と側面図で示す。正面図に示す上部カプセル1は、中央上部に天井板40が配置され、その天井板40の左右には天井横板41が左右下方向に折り曲げられるように接して取付けられる。さらに天井横板41の横には横窓板42が下方向に折り曲げられるように接して取付けられ、さらに横窓板42の横には横板43が下方向に折り曲げられるように接して取付けられ、上部カプセル1の正面中央には、天井板40に接して四角形状をした扉枠39が取付けられると共に、扉枠39には四角形状をした出入口扉2が丁番6により扉枠39の内側に配置され、扉枠39の両側には、扉枠39と天井横板41に接して三角形状をした中央横三角板38が取付けられ、中央横三角板38の横には、中央横三角板38に接して三角形状をした補強用三角板37が取付けられ、さらに補強用三角板37の横には、補強用三角板37と横窓板42に接して三角形状をした窓横三角板36が取付けられ、窓横三角板36の横には窓横三角板36と横板43に接して三角形状をした補強用三角板35が取付けられ、このように構成された上部カプセル1の下部の開口した周縁部には、
図1で説明したように周縁部の水平方向に約3cmの折り曲げ部9を形成し、折り曲げ部9の先端を約1cm直角に下に折り曲げ、折り曲げ部9には上部カプセル1と下部カプセル20を固定するための複数個の穴10が開けられる。
【0039】
さらに
図4の正面図に示す下部カプセル20は、中央底部に底板46が配置され、その底板46の四隅にはシートベルトを取付けるためのシートベルト用丸環45が取付けられ、底板46の左右両側には下部横板44が上方向に折り曲げられるように斜めに接して取付けられる。さらに正面中央には、底板46に接して四角形状をした下部背板47が斜めに取付けられる。このように底板46に接して取付けられた下部横板44と下部背板47に接するように、二等辺三角形で形成した角部三角板48が取付けられ、上部の開口した周縁には、
図1で説明したように周縁部を水平方向に約3cmの折り曲げ部18を形成し、折り曲げ部18には上部カプセル1と下部カプセル20を固定するための複数個の穴19が開けられ、
図2で説明したように、上部カプセル1の折り曲げ部9と下部カプセル20の折り曲げ部18を合わせ、上部カプセル1の穴10と下部カプセル20の穴19をボルト27とナット26で固定する。
【0040】
図4の側面図に示す上部カプセル1は、中央上部に天井板40が配置され、その天井板40の前部には四角形状をした天井横板41が前部を下方向に折り曲げられるように接して取付けられる。さらに天井横板41の前部には四角形状をした横窓板42が前部を下方向に折り曲げられるように接して取付けられ、その横窓板42の中央部の上部には、ポリカーボネート製の概ね楕円形の覗き窓7が取付けられる。さらに横窓板42の前部には、台形形状をした横板43の上底を横窓板42に接して取付け、天井横板41の左右には三角形状をした中央横三角板38が接して取付けられ、横窓板42の左右には窓横三角板36が接して取付けられ、さらに横板43の左右には、横板43と窓横三角板36に接して三角形状をした補強用三角板35が取付けられ、このように構成された上部カプセル1の下部の開口した周縁部には、
図1で説明したように周縁部を水平方向に約3cmの折り曲げ部9を形成し、折り曲げ部9の先端を約1cm直角に下に折り曲げ、折り曲げ部9には上部カプセル1と下部カプセル20を固定するための複数個の穴10が開けられる。
【0041】
さらに
図4の側面図に示す下部カプセル20は、中央底部に底板46が配置され、その底板46の左右には下部背板47が上方向に折り曲げられるように斜めに接して取付けられる。さらに正面中央には、底板46に接して四角形状をした下部横板44が斜めに取付けられる。このように底板46に接して取付けられた下部横板44と下部背板47に接するように、左右に2枚の二等辺三角形をした角部三角板48が取付けられ、このように構成された下部カプセル20の上部の周縁部には、
図1で説明したように周縁部を水平方向に約3cmの折り曲げ部18を形成し、折り曲げ部18には上部カプセル1と下部カプセル20を固定するための複数個の穴19が開けられ、
図2で説明したように、上部カプセル1の折り曲げ部9と下部カプセル20の折り曲げ部18を合わせ、上部カプセル1の穴10と下部カプセル20の穴19をボルト27とナット26で固定する。
【0042】
このように、
図4の正面図と側面図で説明したように、下部カプセル20を、略すり鉢形状で底面を平面で構成したことにより、少なくとも4人の大人が膝を抱えて座ることができる空間を確保し、大人が膝を抱えて座ることにより重心が下がり、波の力を下部カプセル20が下方向と横方向に分散して受け止めることが出来るようになるため、大津波で避難する際、横転、転覆を減少させることが可能となった。本発明の、大人4人乗りの津波救命カプセルボート29の外形寸法は、高さ約125cm、横が約180cm、縦が約150cm、重さ約180kgである。
【0043】
図5は、
図4で説明した、本発明の津波救命カプセルボート29の平面図である。中央部の天井板40を長方形の鋼板で成形し、天井板40には平面図の上方向に示すように、横約65cm×縦約78cmの長方形の鋼板で成形された天井袖板49が天井板40に接して取付けられると共に、天井袖板49には概ね中央部にポリカーボネート製の覗き窓50が止めビス51により取付けられ、天井板40の下方向には、出入口扉2を取付けるため、長方形の鋼板で成形された扉枠39が天井板40に接して取付けられ、扉枠39には出入口扉2が丁番6により開閉自在に取付けられ、出入口扉2には中央部にポリカーボネート製の覗き窓5が止めビス4により取付けられると共に、覗き窓5の横には出入口扉2を開閉するための外側開閉ハンドル3が取付けられる。さらに天井板40の平面図上の左右両方向には長方形の鋼板で成形された天井横板41が接して取付けられると共に、天井横板41の左右両方向には長方形の鋼板で成形した横窓板42が接して取付けられ、横窓板42には中央部の天井横板41方向にポリカーボネート製の覗き窓7が止めビス8により取付けられる。さらに横窓板42の左右両方向には、台形形状の鋼板で成形した横板43の上底が接して取付けられる。さらに平面図の上方向に示すように天井袖板49の両側には、天井横板41に接して三角形状の中央横三角板38が取付けられ、中央横三角板38の横には中央横三角板38に接して三角形状の補強三角板37が取付けられ、さらに補強三角板37と横窓板42の2枚に接して三角形状の窓横三角板36が取付けられ、さらに窓横三角板36と横板43の2枚に接して三角形状の補強用三角板35が取付けられる。さらに平面図の下方向に示すように扉枠39の両側には、扉枠39と天井横板41の2枚の鋼板に接して三角形状の中央横三角板38が取付けられ、中央横三角板38の横には中央横三角板38に接して三角形状の補強三角板37が取付けられ、さらに補強三角板37と横窓板42の2枚に接して三角形状の窓横三角板36が取付けられ、さらに窓横三角板36と横板43の2枚に接して三角形状の補強用三角板35が取付けられ、このように構成された上部カプセル1の周縁部に折り曲げ部9が形成される。
【0044】
図6は、
図4で説明した、本発明の津波救命カプセルボート29の正面図と側面図に4人の人間52が避難した状態を示す。津波救命カプセルボート29の内部の底面に厚さ25mmの発泡スチロール製の底保温材53を設置し、正面図の一点鎖線で示した横用緩衝材14が人間52の両肩・両腕を衝撃から保護すると共に、側面図の一点鎖線で示した背中用緩衝材15が背中の衝撃を緩和させる。このように底保温材53と横用緩衝材14と背中用緩衝材15を配置することにより、冬期の冷たい水温による津波救命カプセルボート29内部の温度低下を防ぐと共に、津波救命カプセルボート29が、漂流中に建物や浮遊物等と衝突した場合でも、身体に対する衝撃を和らげることが可能となった。さらに底部を平面状とし、4人の大人が膝を抱えて座って避難するように構成したため、低重心で復元力に優れ、横転や転覆する危険性が減少した。なお、当社の敷地内に、当社が独自に設計施工した、人工的に大津波を作って実験するためのオリジナルの大津波実験装置(高所の大型プールに水を溜め、津波の高さを水門で1〜3メートルの高さに自由に変えることが可能で、さらに津波の横幅を2メートル〜5メートルに可変させることも可能な、水路の全長が約30メートルの室内型の大津波実験装置)を使って、本発明の津波救命カプセルボート29に4体のマネキン人形(一体が約60キログラム)を乗せ、全長が約30メートルの水路から約3メートル下の水面に落下させた場合においても、横転や転覆しないことが実験において確認することができた。
【0045】
図7は、
図3で説明した津波救命カプセルボート29の出入口扉2を開けた状態を示す。窓枠39の内側には人間が津波救命カプセルボート29内部に自由に出入りできるように、縦が約66cm×横が約53cmの長方形の出入口56(開口部)を形成し、開口部の周囲を約3cm折り曲げ周縁折曲部57を形成し、周縁折曲部57には
図8で示すように防水パッキン70が取付けられ、周縁折曲部57の内側には、内側開閉ハンドル59により出入口扉2をロック・アンロックするためのカムラッチ係合部58が取付けられる。
【0046】
図8は、出入口扉2と扉枠39を正面図、側面図、平面図で示す。さらに
図8aでは、出入口扉2を開けた状態を平面図で示す。扉枠39の内側には、出入口扉2が扉枠39より外側に出っ張らないように、扉枠39の内側に凹状の周縁凹状止水部65が形成され、周縁凹状止水部65の内側の周縁折曲部57の先端部には防水パッキン70が取付けられる。さらに扉枠2の丁番6に取付けられた長方形をした出入口扉2の周縁部にはコの字形嵌込部66が形成され、中央部にポリカーボネート製の概ね楕円形の覗き窓5が内側よりビス4で取付けられると共に、覗き窓5の横には出入口扉2の内側のU字形をした軸支部69に取付けられたハンドル軸67に内側開閉ハンドル59と外側開閉ハンドル3がナット68により取付けられ、内側開閉ハンドル59に取付けたカムラッチ部79に対置する周縁凹状止水部65にカムラッチ係合部58が取付けられる。カムラッチ係合部58にはカムラッチ部79を挿入するための第1カムラッチ受穴72と第2カムラッチ受穴73が形成され、平面図と側面図に示すように、出入口扉2を閉めて内側開閉ハンドル59に取付けられたカムラッチ部79を内側開閉ハンドル59が水平位置になるように回転させることによりカムラッチ部79が第1カムラッチ受穴72に挿入され、出入口扉2は扉枠39にロックされる。
【0047】
図9と
図10には、出入口扉2の軸支部69の内側開閉ハンドル59に取付けられたカムラッチ部79とカムラッチ係合部58をロック・アンロックさせた状態を示す。内側開閉ハンドル59に取付けられたカムラッチ部79は、内側開閉ハンドル59のハンドル軸67(
図8で説明した)に固定され鋼板で概ね楕円形に形成され、カムラッチ部79を挿入するため、周縁凹状止水部65に取付けた蒲鉾状をしたカムラッチ係合部58には、概ね長方形で縦形に開口した第1カムラッチ受穴72と第2カムラッチ受穴73がカムラッチ部79に対置して前後に開口される。第1カムラッチ受穴72と第2カムラッチ受穴73の形状は
図9bの拡大図で示すように、カムラッチ部79を最初に挿入するための挿入部75を、カムラッチ部79の厚さより幅広く縦長に形成し、挿入部75の上部にはカムラッチ部79を固定部77に導くため、第1カムラッチ受穴72と第2カムラッチ受穴73の外部側に斜形状のスライド部76を形成し、スライド部76の上部にはカムラッチ部79をガタツキのないようにロックするための固定部77が形成される。さらに第1カムラッチ受穴72のスライド部76には約1mm半円状に突起した凸部71を形成し、カムラッチ部79が第1カムラッチ受穴72の固定部77に固定された際、電柱や建物に衝突した衝撃等でカムラッチ部79が第1カムラッチ受穴72から抜け落ちるのを防止する。
【0048】
図9aは、カムラッチ部79が第2カムラッチ受穴73に挿入され出入口扉2が少し開いて固定されたロック状態80を示す。このように構成することにより、周縁凹状止水部65の周縁折曲部57に取付けた防水パッキン70と出入口扉2のコの字形嵌込部66との間に隙間ができることにより、
図9aの空気の流れ78で示すように、平時において、外気と内部の空気を循環させることができるようになり、製造時に使用した接着剤等の悪臭や緩衝材の悪臭が内部にこもるのを防ぐことが可能となった。
図9bは内側開閉ハンドル59を回し、カムラッチ部79が第2カムラッチ受穴73から抜けたアンロック状態81を示す。
【0049】
図10aは、カムラッチ部79が第1カムラッチ受穴72に挿入されて出入口扉2が閉じ、出入口扉2が窓枠39に固定されたロック状態83を示す。このようなロック状態83においてカムラッチ部79と内側開閉ハンドル59と外側開閉ハンドル3を水平(穏やかな水面に対して水平)になるように構成することにより、漂流中に建物や電柱等が外側開閉ハンドル3に接触した場合においても外側開閉ハンドル3の握り部分が回転して出入口扉2を開くのを防ぐことが可能となった。このように構成することにより、周縁凹状止水部65の周縁折曲部57に取付けた防水パッキン70が出入口扉2の内側に当接し、出入口56(
図7で説明した)を密閉状に閉塞することが可能となった。
図10bは内側開閉ハンドル59を回し、カムラッチ部79が第1カムラッチ受穴72から抜けたアンロック状態84を示す。
【0050】
図11は、津波救命カプセルボート29の内部に収納していた電動式船外機86を取出し津波救命カプセルボート29に取付けた状態を立体図で示す。電動式船外機86を取付けるための船外機取付金具を、あらかじめ津波救命カプセルボート29の外面に取付けておいた場合、大津波で避難中に、漂流物等が船外機取付金具に衝突して船外機取付金具が壊れ、電動式船外機86が使用出来無くなる恐れがあるため、本発明においては、周縁折曲部57と出入口下部96の形状に合わせて、鋼板で略S字形に形成した電動式船外機取付金物95の被契合部91を、扉枠39の下部の周縁折曲部57に嵌め込み、底板94を出入口下部96に載せることにより
図11bで示すように電動式船外機取付金物95が扉枠39に結合され、このように結合した電動式船外機取付金物95の、当板93と載板92に電動式船外機89の挟み込み部89を挟み込み、ネジクランプ88を回して挟み込み部89を載板92に固定することにより電動式船外機89は津波救命カプセルボート29に取付けられる。このように構成することにより、津波救命カプセルボート29が大津波で沖合いに流された場合でも、津波救命カプセルボート29の内部に避難した人間が、背中用緩衝材15の上部に腰掛け、出入口56から半身を外に出し、前方の安全を確認しながら津波救命カプセルボート29を操作することが出来るようになった。
【0051】
このように、常に津波救命カプセルボート29の内部に電動式船外機86とバッテリーを配置しておくことにより、大津波で津波救命カプセルボート29が沖合に流された場合でも、単独で無事に陸地に戻って来ることが可能になった。なお、当社の実験データーでは約0.5馬力の電動船外機に55Ahのバッテリーを装着してフルパワー(一般的な約0.5馬力の電動船外機には、スクリューの回転を低速から高速に切り替えることが出来るように1〜5段階の回転調整装置が船外機のハンドルに取付けられている)で船外機のプロペラ90を可動させた場合、少なくとも40分間フルパワーで連続運転させることが確認できた。
【0052】
以上、実施の形態に基づいて、本発明に係る津波救命カプセルボートについて詳細に説明してきたが、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において各種の改変をなしても、本発明の技術的範囲に属するのはもちろんである。
【0053】
図1乃至
図5において、津波救命カプセルボート29の外側を構成する多面体構造の鋼板について、隣り合う鋼板同士を折り曲げ、その折り曲げた複数の鋼板同士を溶接して多面体に加工する方法と、一枚一枚の鋼板を溶接して多面体に加工する方法があるが、加工方法については、いずれの方法で加工するにしても製造を委託する委託業者と協議し、強度を考慮し安価に作成できる方法で製造することは、もちろんである。
【0054】
図4において、津波救命カプセルボート29の外形寸法は、高さ約125cm、横が約180cm、幅が約150cm、重さ約180kgの4人乗りと説明したが、このサイズに限定せず、高さ、横、幅を長くすることにより、6人乗り、8人乗り、10人乗りの津波救命カプセルボート29を製作することは、もちろん可能である。