特許第6206770号(P6206770)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206770
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】エンドレス方式のウインチ
(51)【国際特許分類】
   B66D 1/36 20060101AFI20170925BHJP
   B66D 1/74 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   B66D1/36 A
   B66D1/74 D
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-66965(P2014-66965)
(22)【出願日】2014年3月10日
(65)【公開番号】特開2015-168580(P2015-168580A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2017年3月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592206156
【氏名又は名称】東田商工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】東 捷俊
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−351580(JP,A)
【文献】 実開昭57−025895(JP,U)
【文献】 実開昭57−046595(JP,U)
【文献】 実公昭51−035828(JP,Y2)
【文献】 実公昭51−054200(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66D 1/00 − 1/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸が回転自在に軸支されたウインチ本体と、前記駆動軸に取り付けられ、外周縁に沿ってロープを巻回する溝の形成された巻回ドラムと、前記ウインチ本体に回転自在に軸支し、ロープを取り入れ及び取り出しする一対のガイドシーブと、該ガイドシーブ部分を除いて前記溝に沿って取り付けられ、且つ両端側に弾性体を連結した移動ローラ体とから構成されたエンドレス方式のウインチにおいて、前記移動ローラ体は弾性体でテンションのかかった状態で板体に取り付けられ、該板体はウインチ本体に着脱自在に取り付けられていることを特徴とするエンドレス方式のウインチ。
【請求項2】
駆動軸が回転自在に軸支されたウインチ本体と、前記駆動軸に取り付けられ、外周縁に沿ってロープを巻回する溝の形成された巻回ドラムと、前記ウインチ本体に回転自在に軸支し、ロープを取り入れ及び取り出しする一対のガイドシーブと、該ガイドシーブ部分を除いて前記溝に沿って取り付けられ、且つ両端側に弾性体を連結した移動ローラ体とから構成されたエンドレス方式のウインチにおいて、前記移動ローラ体は弾性体でテンションのかかった状態で板体に取り付けられ、該板体は頂点部分で前記ウインチ本体に回動自在に軸支し、その一部又は全体がウインチ本体に対して巻回ドラムと離反する方向に回転自在に構成されていることを特徴とするエンドレス方式のウインチ。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウインチに関し、特にロープの端部がウインチに固定されることなく、ロープの中間部に設置するエンドレス方式のウインチに関する。
【0002】
従来、エンドレス方式のウインチは、矩形状のウインチ本体と、該ウインチ本体に回転自在に軸支した駆動軸と、該駆動軸に取り付けられ駆動軸の回転に伴って回転する巻回ドラムと、該巻回ドラムの外周縁に沿って形成されロープを巻回する溝と、該溝へのロープの取り入れ及び取り出し部分を除いて溝に沿ってロープを押圧すべく設けられている移動ローラ体と、前記ロープを溝側に取り入れ移動、及び溝よりロープを取り出し移動すべくウインチ本体に回転自在に軸支した一対のガイドシーブから構成されている。
【0003】
上記エンドレス方式のウインチは、一般的に球技用・ゴルフ練習場の防球ネットの開閉移動、昇降移動、大型テントの開閉移動、又は作業用ゴンドラの昇降作業用等に用いられる。
【0004】
そして、前記巻回ドラムの溝に巻回されたロープは、ウインチ本体に取り入る側とウインチ本体より取り出す側とでロープにかかる荷重(防球ネット等の荷重)が相違し、一方が強く牽引され、他方は弛緩することとなる。
【0005】
このため、エンドレス方式のウインチの移動ローラ体は通常、ガイドシーブ及び両端側を弾性体に連結した移動ローラ体(特開2000−351580号、特許文献1)、移動ローラ体の端部側を別体の押圧部材で押圧(特開2013−212926号、特許文献2)され、ロープの弛緩部分を解消しながらスムーズにロープを移動する。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記エンドレス方式のウインチは、通常ロープの端部を一方側のガイドシーブより巻回ドラムの溝へ取り入れ、巻回ドラムを回転しながら溝に沿ってロープを巻回し、他方側のガイドシーブを介してロープを取り出すことで、ウインチにロープを取り付けるために、メンテナンス作業時等において、ロープを防球ネットより取り外した後、ロープを巻回ドラムの溝より引き出し、作業後に再度ロープを巻回ドラムの溝に巻回した後ネットに連結しなければならず、その作業が煩雑であるという欠点があった。
【0007】
また、移動ローラ体はロープの強い牽引側、弛緩側で摩耗量が相違し、ロープの交換が頻繁に行われるが、エンドレス方式のウインチからのロープの取り外し作業が煩雑であり、ロープの交換作業に時間を要するという欠点があった。
【0008】
さらに、移動ローラ体の端部側の押圧が強い場合にロープをスムーズに溝側へ移動できない欠点があった。
【0009】
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、巻回ドラムの溝へのロープの取り出し及び取り入れがスムーズで、メンテナンス作業等が容易で、しかも安全性に優れたエンドレス方式のウインチを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本願発明の解決手段としてのエンドレス方式のウインチは、請求項1に記載のように、駆動軸が回転自在に軸支されるウインチ本体と、前記駆動軸に取り付けられ、外周縁に沿ってロープを巻回する溝の形成された巻回ドラムと、前記ウインチ本体に回転自在に軸支し、ロープを取り入れ及び取り出しする一対のガイドシーブと、該ガイドシーブ部分を除いて前記溝に沿って取り付けられ、且つ両端側に弾性体を連結した移動ローラ体とから構成されたエンドレス方式のウインチにおいて、前記移動ローラ体は弾性体でテンションのかかった状態で板体に取り付けられ、該板体はウインチ本体に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
また、上記課題を解決する他の解決手段としてのエンドレス方式のウインチは、請求項2に記載のように、駆動軸が回転自在に軸支されるウインチ本体と、前記駆動軸に取り付けられ、外周縁に沿ってロープを巻回する溝の形成された巻回ドラムと、前記ウインチ本体に回転自在に軸支し、ロープを取り入れ及び取り出しする一対のガイドシーブと、該ガイドシーブ部分を除いて前記溝に沿って取り付けられ、且つ両端側に弾性体を連結した移動ローラ体とから構成されたエンドレス方式のウインチにおいて、前記移動ローラ体は弾性体でテンションのかかった状態で板体に取り付けられ、該板体は頂点部分で前記ウインチ本体に回動自在に軸支し、その一部又は全体がウインチ本体に対して巻回ドラムと離反する方向に回動自在に構成されていることを特徴とする。
【発明の作用効果】
【0012】
本発明のエンドレス方式のウインチの作用効果について説明する。
【0013】
先ず、請求項1に記載のエンドレス方式のウインチは、エンドレス方式のウインチを設置し、板体に弾性体でテンションのかかった状態で取り付けられた移動ローラ体をウインチ本体より取り外して、巻回ドラムの溝を開放する。
【0014】
この状態で無端状に架け渡されたロープを前記巻回ドラムの溝に巻回することでロープを取り付け、その後、移動ローラ体の取り付けられた板体を再度ウインチ本体に取り付けることで、ロープを溝側に押圧することができる。
【0015】
これによって、ロープをエンドレス方式のウインチでスムーズに移動することができる。
【0016】
また、ロープをエンドレス方式のウインチより取り外す場合は、同様に移動ローラ体の取り付けられた板体をウインチ本体より取り外し、ロープの溝側への押圧を解除し、ロープを巻回ドラム溝より取り出す。
【0017】
そして、作業終了後、再度移動ローラ体をウインチ本体に取り付ける。
ことができ、エンドレス方式のウインチのメンテナンス作業等を容易に行うことができる。
【0018】
また、移動ローラ体によるロープの溝側への押圧も適切に行うことができる。
【0019】
次に、請求項2に記載のエンドレス方式のウインチは、ウインチ本体に頂点部分で回動自在に軸支し、移動ローラ体の取り付けられた板体の一部又は全体をウインチ本体に対して巻回ドラムと離反する方向に回動して巻回ドラムの溝を開放する。
【0020】
この状態で、巻回ドラムの溝に沿ってロープを巻回し、前記移動ローラ体の取り付けられた板体を再度巻回ドラムの溝側に回動することで、ロープを溝側に押圧することができる。
【0021】
また、ロープを溝より取り外す場合は、同時に移動ローラ体の取り付けられた板体の一部又は全体を巻回ドラムの溝より離反する方向に回動して巻回ドラムの溝を開放する。
【0022】
また、ロープを溝より取り外す場合は、同様に移動ローラ体の一部、又は全体を巻回ドラムの溝より離反する方向に回動して巻回ドラムの溝の間を開放する。
【0023】
その後、溝よりロープを取り外し、ロープのメンテナンス作業を行なって再度ロープを溝に沿って巻回し、移動ローラ体の取り付けられた板体を再度溝側に回動して、ロープを溝側に押圧する。
【0024】
このように、本発明のエンドレス方式のウインチは、ロープが取り付けられた状況で容易にロープの取り換え作業、メンテナンス作業を行うことができ、また、エンドレス方式のウインチを設置した状態で容易にロープの交換作業等を行うことができる。
【0025】
また、テナンス作業等をスムーズに行うことができ、作業効率を格段に向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、本発明のエンドレス方式のウインチについて図面を参照して説明する。
【0027】
図1は本発明のエンドレス方式のウインチに用いる移動ローラ体の第1実施例示す概略説明平面図であり、図2図1の移動ローラ体を設置したエンドレス方式のウインチ示す概略説明平面図であり、図3は移動ローラ体の第2実施例を示す概略説明平面図であり、図4図3の開閉移動を示す概略説明平面図である。
【実施例1】
【0028】
本発明のエンドレス方式のウインチ1は、略矩形状のウインチ本体2と、該ウインチ本体2に回転自在に軸支され、駆動源(電動機、又は手動用ハンドル)に直接又は増減速機等を介して連結された駆動軸3と、該駆動軸3に取り付けられ駆動軸3の回転に伴って回転駆動し、外周縁に略U字状の溝4の形成された円形状の巻回ドラム5と、該巻回ドラム5の近傍でロープ(本発明において、ウインチワイヤー、牽引ロープその他ロープの総称として記載)をウインチ本体2の溝4へ取り入れ移動及び溝4よりの取り出し移動を案内し、前記ウインチ本体2に回転自在に軸支した一対のガイドシーブ6(6A,6B)と、該ガイドシーブ6によりロープ20を取り入れ及び取り出しする部分を除いて溝に沿って取り付けられ、両端側を弾性体8に連結した移動ローラ体7から構成されている。
【0029】
前記移動ローラ体7は、複数個のローラ7Aを連結して形成し、バネ等の弾性体8で両端側にテンションがかかった状態で略U字状の板体9に取り付けられ、且つ前記板体9はウインチ本体2に着脱自在に構成(ウインチ本体2にネジで螺号、又は溝にスライド移動等)されている。
【0030】
尚、上記板体9は一体的に形成されたが、本発明において、板体9の形状はこれに限定されるものでなく、例えば、板体9を2分割された構成でもよく、一方側のみウインチ本体2より離脱可能に構成してもよい。
【0031】
さらに、上記板体9の形状も上記略U字に限定されるものでなく、例えば、矩形状等でも可能である。
【0032】
本発明のエンドレス方式のウインチ1は上記のように構成され、該エンドレス方式のウインチ1にロープを取り付ける場合について説明する。
【0033】
先ず、設置されたエンドレス方式のウインチ1のウインチ本体2より移動ローラ体7を板体9ごと離脱する。
【0034】
これにより、巻回ドラム5の溝4の外周は開放された状態となり、ロープを一方のガイドシーブ6Aより取り入れ、巻回ドラム5の溝4に沿って巻回した後、他方のガイドシーブ6Bより取り出すことで取り付けることができる。
【0035】
その後、ウインチ本体2に板体9を再度取り付けることで、移動ローラ体7を巻回ドラム5の溝4に沿って巻回し、巻回されたロープを溝4側に押圧することができる。
【0036】
また、メンテナンス作業時は板体9をウインチ本体2より離反することで、ロープを溝4より容易に離反して作業を行なうことができる。
【0037】
このように、板体9をウインチ本体2より着脱することで、移動ローラ体7を巻回ドラム5の溝4より離反してロープを容易に巻回及び離脱することができる。
【0038】
また、エンドレス方式のウインチ1を設置した状態でロープを自在に取り付け及び取り外しでき、作業効率を格段に向上することができる。
【0039】
また、その構成が簡易であり、頻繁なメンテナンス作業を必要としない。
【実施例2】
【0040】
実施例1では、板体9をウインチ本体2に着脱自在に構成したが、移動ローラ体7の取り付けはこれに限定するものでなく、板体9をウインチ本体2に対して回動自在に取り付けることも可能である。
【0041】
この場合板体9を、弾性体8を取り付けた回動部分R及びLが回動すべく板体9の頂点M部分をウインチ本体2に回動自在に軸支し、回動部分R,Lを溝4より離反する方向に回動し、ロープを巻回ドラム5の溝4に巻回した後、再度板体9を溝4側に回動してロープの巻回を行う。
【0042】
これによって、エンドレス方式のウインチ1を設置した状態でロープを容易に取り付けることができる。
【0043】
また、板体9の回動部分は上記2分割された構成部分を回動する場合に限定されるものでなく、例えば、移動ローラ体7の端部側のみを回動すべく構成してもよい。
【0044】
また、移動ローラ体7は上記弾性体8間に取り付けたが、本発明において、移動ローラ体7の構成は、これに限定されるものでなく、例えば、中央部分で分割された構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明のエンドレス方式のウインチに用いる移動ローラ体の第1実施例を示す概略説明平面図
図2図1の移動ローラ体を設置したエンドレス方式のウインチを示す概略説明平面図
図3】移動ローラ体の第2実施例を示す概略説明平面図
図4図3の開閉移動を示す概略説明平面図
【符号の説明】
【0046】
1−エンドレス方式のウインチ、2−ウインチ本体、3−駆動軸、5−巻回ドラム、7−移動ローラ体
図1
図2
図3
図4