特許第6206798号(P6206798)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206798
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/04 20140101AFI20170925BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20170925BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20170925BHJP
   H01L 23/32 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   H01L25/04 Z
   H01L25/04 C
   H01L23/32 D
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-173892(P2013-173892)
(22)【出願日】2013年8月23日
(65)【公開番号】特開2015-41755(P2015-41755A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2016年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】井上 真吾
【審査官】 井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−066719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/04
H01L 23/32
H01L 25/07
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板の1辺側に設けられた入力端子と、
前記第1基板の前記1辺側と対向する辺側に設けられた出力端子と、
互いに独立した入力部および出力部を有する複数の半導体素子と、
複数の入力側配線および複数の出力側配線を有し、前記複数の入力側配線それぞれの一端は互いに独立に前記入力端子と接続され、他端が前記複数の半導体素子の入力部のそれぞれと接続され、前記複数の出力側配線それぞれの一端は互いに独立に前記出力端子と接続され、他端が前記複数の半導体素子の出力部のそれぞれと接続された第2基板と、を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
第1基板と、
前記第1基板の1辺側に設けられた入力端子と、
前記第1基板の前記1辺側と対向する辺側に設けられた出力端子と、
互いに独立した入力部および出力部を有する複数の半導体素子と、
一端が前記入力端子と接続され、他端が前記複数の半導体素子の入力部のそれぞれと接続された入力側配線と、一端が前記出力端子と接続され、他端が前記複数の半導体素子の出力部のそれぞれと接続された出力側配線とを備えた第2基板と、を有し、
前記第2基板の下面は、前記半導体素子と接続する接続部が設けられてなり、
前記第2基板の上面は、前記入力端子および前記出力端子のそれぞれと電気的に接続される端子が設けられてなり、
前記第2基板は、前記端子と前記接続部とを接続するビア配線が設けられてなることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記複数の半導体素子は、1つの半導体チップ上に集積されるか、または個別の半導体チップにそれぞれ配置されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2基板は、前記複数の半導体素子上に配置されてなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板内にICチップを封止した発明が記載されている。このような高周波信号を処理する半導体装置において高出力を得るために、複数の半導体素子を基板に搭載することがある。並列化した半導体素子の出力信号を合成することで高出力を得る。半導体素子は例えばトランジスタなどである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−97353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし半導体素子を基板に配置すると、基板が大型化するため、半導体装置が高コストになる。また基板の反りが大きくなるため、歩留まりが低下し、コストはさらに高くなる。また複数の半導体素子から出力される信号の位相が異なる場合、位相の異なる信号を合成することになるため、信号の損失が増大する。本発明は、上記課題に鑑み、低コストかつ高出力な半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1基板と、前記第1基板の1辺側に設けられた入力端子と、前記第1基板の前記1辺側と対向する辺側に設けられた出力端子と、前記入力端子と前記出力端子とが対向する方向に配列された、互いに独立した入力部および出力部を有する複数の半導体素子と、一端が前記入力端子と接続され、他端が前記複数の半導体素子の入力部のそれぞれと接続された入力側配線と、一端が前記出力端子と接続され、他端が前記複数の半導体素子の出力部のそれぞれと接続された出力側配線とを備えた第2基板と、を有する半導体装置である。
【0006】
上記構成において、前記複数の半導体素子は、1つの半導体チップ上に集積されるか、または個別の半導体チップにそれぞれ配置されてなる構成とすることができる。
【0007】
上記構成において、前記入力側配線は、前記入力端子と前記複数の半導体素子のそれぞれの入力部との間で等しいインピーダンスを有し、前記出力側配線は、前記出力端子と前記複数の半導体素子のそれぞれの出力部との間で等しいインピーダンスを有する構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記第2基板は、前記複数の半導体素子上に配置されてなる構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記第2基板は前記半導体素子に対向する接続部が設けられてなり、前記第2基板は前記複数の半導体素子との間でフリップチップ接続されてなる構成とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低コストかつ高出力な半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1(a)および図1(b)は半導体装置を例示する模式的な平面図である。
図2図2は実施例1に係る半導体装置を例示する断面図である。
図3図3(a)は半導体チップを例示する平面図である。図3(b)は基板を例示する平面図である。
図4図4は半導体装置の等価回路を例示する回路図である。
図5図5は実施例2に係る半導体装置を例示する断面図である。
図6図6は基板を例示する平面図である。
図7図7は半導体装置の等価回路を例示する回路図である。
図8図8は実施例3に係る半導体装置を例示する断面図である。
図9図9(a)は半導体チップを例示する平面図である。図9(b)は基板を例示する平面図である。
図10図10は半導体装置の等価回路を例示する回路図である。
図11図11は実施例3の変形例における半導体チップを例示する平面図である。
図12図12は実施例3に係る半導体装置を例示する断面図である。
図13図13(a)および図13(b)は半導体チップを例示する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例について説明する。
【実施例1】
【0013】
まず半導体チップの配置について説明する。図1(a)および図1(b)は半導体装置を例示する模式的な平面図である。整合回路およびリッドなどは省略している。図1(a)および図1(b)に示すように、ステム10の上面に複数の半導体チップ12を搭載する。半導体チップ12には高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:HEMT、半導体素子)が形成されている。HEMTがマルチフィンガータイプであるため、半導体チップ12は長方形になる。
【0014】
図1(a)のように、半導体チップ12の長手方向(図中の上下方向)に2つの半導体チップ12を配置することで、出力を高めることができる。しかし2つの半導体チップ12を並べるためには、ステム10を大きくすることが求められる。ステム10が大型化すると温度変化などによるステム10の反りが大きくなる。また半導体装置が高コスト化する。また、高周波信号の入力および出力のためのリード26および28を、2つの半導体チップ12に対応させて大きくする。リード26および28は、半導体装置を実装するためのプリント基板の端子(不図示)に接続される。リード26および28に合わせてプリント基板の端子も大きくなることで、インピーダンス整合が困難になる。半導体チップ12の複数の出力端子から出力される複数の出力信号を合成する。複数の出力信号の経路長が互いに異なるため、位相の異なる信号を合成することになり、信号の損失が大きくなる。高出力化のためには半導体チップ12に多数のゲート、ソースおよびドレインを設けることが好ましいが、半導体チップ12が図中の上下方向に大型化する。半導体チップ12の大型化に伴い、ステム10はさらに大型化する。
【0015】
図1(b)では、1つの半導体チップ12の短手方向(図中の左右方向)に2つの半導体チップ12を配置する。このためステム10、リード26および28の大型化を抑制し、長手方向において小型化することができる。実施例1は図1(b)のような短手方向の配置において、信号の位相を一致させるための基板17を用いる例である。
【0016】
図2は実施例1に係る半導体装置100を例示する断面図である。図2に示すように、半導体装置100はステム10(第1基板)、2つの半導体チップ12aおよび12b、整合回路14および16、リッド18、並びに基板17(第2基板)を備える。
【0017】
ステム10はベース部11、フィードスルー22および24を備える。フィードスルー22はベース部11の上面であって、ベース部11の1辺側に設けられ、フィードスルー24はベース部11の上面であって、ベース部11のフィードスルー22と対向する辺側に設けられている。フィードスルー22にリード26、フィードスルー24にはリード28が設けられている。半導体チップ12aおよび12b、整合回路14および16はベース部11の上面に搭載され、例えば導電性接着剤などによりベース部11に固定されている。半導体チップ12aおよび12bはリード26および28が対向する方向に配列されている。基板17はバンプ19により半導体チップ12aおよび12bの上にフリップチップ実装されている。半導体チップ12aおよび12bと基板17との間にはアンダーフィル31が設けられている。リッド18はステム10の上に設けられている。半導体チップ12、整合回路14および16は、ステム10およびリッド18が形成する空隙15の内部に封止される。整合回路14および16は例えばキャパシタである。
【0018】
図3(a)は半導体チップ12aおよび12bを例示する平面図である。図3(a)に示すように、半導体チップ12aに複数のHEMTが形成されており、そのうち2つをHEMT12a1および12a2(ともに半導体素子)とする。半導体チップ12bに複数のHEMTが形成されており、そのうち2つをHEMT12b1および12b2(ともに半導体素子)とする。HEMTはマルチフィンガータイプであり、フィンガーは半導体チップの短手方向(図3(a)の左右方向)を向き、半導体チップの長手方向(図3(a)の上下方向)に沿って並んでいる。
【0019】
半導体チップ12aの上面にゲート12G1、ソース12S1およびドレイン12D1が設けられている。複数のゲート12G1(入力部)は互いに独立である。複数のソース12S1は互いに独立である。複数のドレイン12D1(出力部)は互いに独立である。ソース12S1は半導体チップ12aを貫通するビア配線12c1によりステム10に接続される。半導体チップ12bの上面にゲート12G2、ソース12S2およびドレイン12D2が設けられている。ソース12S2は半導体チップ12bを貫通するビア配線12c2によりステム10に接続される。半導体チップ12aおよび12bは、ドレイン12D1とゲート12G2とが隣り合うように配置されている。
【0020】
図3(b)は基板17を例示する平面図である。基板17は、図中に点線で示した半導体チップ12aおよび12bにフリップチップ実装されている。図3(b)において、ビア配線17i、基板17の下面に設けられた配線および電極は白抜きの部分である。基板17の上面に設けられた配線および端子には格子斜線を付した。
【0021】
図3(b)に示すように、基板17の下面には、HEMTとの接続部として機能する端子17G1、17G2、17D1および17D2、並びに配線17eおよび17fが、それぞれ複数設けられている。基板17の上面には端子17a、17bおよび17g、並びに配線17c、17dおよび17hが、それぞれ複数設けられている。端子17aには2つの配線17cおよび17dが接続されている。配線17cは基板17を貫通するビア配線17iを介して端子17G1に接続され、配線17dはビア配線17iを介して端子17G2に接続されている。端子17D1は配線17eおよびビア配線17iを介して端子17gに接続されている。端子17D2は配線17fおよびビア配線17iを介して端子17gに接続されている。端子17gは配線17hを介して端子17bに接続されている。配線17cの長さは配線17dの長さと略同一である。配線17eの長さは配線17fの長さと略同一である。
【0022】
図2に示したように、ゲート12G1は端子17G1、ドレイン12D1は端子17D1、ゲート12G2は端子17G2、ドレイン12D2は端子17D2と、それぞれバンプ19を介して接続されている。リード26はフィードスルー22に設けられ、フィードスルー22上面の配線パターン22aと電気的に接続されている。リード28はフィードスルー24に設けられ、フィードスルー24上面の配線パターン24aと電気的に接続されている。整合回路14は、配線パターン22aおよび基板17の端子17aとワイヤ13を介して電気的に接続されている。整合回路16は、配線パターン23aおよび基板17の端子17bとワイヤ13を介して電気的に接続されている。
【0023】
ベース部11は金属により形成され、例えば下から銅(Cu)、モリブデン(Mo)およびCuを積層した部材である。半導体チップ12aおよび12bは例えば窒化物半導体を含む。HEMTのチャネル層は窒化ガリウム(GaN)、電子供給層は窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)により形成されている。フィードスルー、基板17およびリッド18は例えばセラミックなどの絶縁体により形成されている。配線、端子、およびビア配線は例えばCuまたは金(Au)などの金属により形成されている。ワイヤ13は例えばAuなどの金属により形成されている。バンプ19は錫銀(Sn−Ag)を含む半田など金属により形成されている。接着剤21およびアンダーフィル31は、例えば樹脂により形成されている。導電性接着剤は金および錫(Au−Sn)の合金、または銀(Ag)など金属を含むペーストである。
【0024】
図4は半導体装置100の等価回路を例示する回路図である。図4では、図3(a)および図3(b)の四角A1で囲んだ範囲に対応する回路要素に符号を付した。また図4の四角で囲んだ範囲が半導体チップ12aおよび12b並びに基板17に対応する。
【0025】
図4に示すように、入力端子In1とHEMT12a1のゲートとの間にインダクタL1が直列接続されている。入力端子In1とインダクタL1との間にキャパシタC1の一端及びインダクタL2の一端が接続されている。インダクタL2の他端はHEMT12b1のゲートに接続されている。HEMT12a1のドレインとHEMT12b1のドレインとの間にインダクタL3およびL4が直列接続されている。インダクタL3およびL4間のノードN1はインダクタL5を介して出力端子Out1に接続されている。出力端子Out1とインダクタL5との間にキャパシタC3の一端が接続されている。キャパシタC1およびC3の他端は接地されている。
【0026】
入力端子In1、出力端子Out1、HEMT12a1および12b1、インダクタL1〜L5、キャパシタC1およびC3と同様にして、入力端子In2、出力端子Out2、HEMT12a2および12b2、インダクタL6〜L10、キャパシタC2およびC4は接続されている。HEMT12a2のソースとHEMT12a1のソースとは共通して接地されている。HEMT12b1のソースとHEMT12b2のソースとは共通して接地されている。
【0027】
図2のリード26が図4の入力端子In1およびIn2として機能する。リード28が出力端子Out1およびOut2として機能する。図3(a)に示したように半導体チップ12aにはHEMT12a1および12a2が形成され、半導体チップ12bにはHEMT12b1および12b2が形成されている。キャパシタC1およびC2は整合回路14に対応する。キャパシタC3およびC4は整合回路16に対応する。インダクタL1およびL6は配線17cにより生成され、インダクタL2及びL7は配線17dにより生成される。インダクタL3およびL8は配線17eにより生成され、インダクタL4およびL9は配線17fにより生成される。インダクタL5およびL10は配線17hにより生成される。ノードN1は端子17gに対応する。
【0028】
入力端子In1から入力された高周波信号はHEMT12a1および12b1に分配され、HEMT12a1および12b1により増幅される。HEMT12a1および12b1により増幅された高周波信号はノードN1において合流し、出力端子Out1から出力される。入力端子In2に入力される高周波信号はHEMT12a2および12b2により増幅され出力端子Out2から出力される。
【0029】
実施例1によれば、図2に示すように2つの半導体チップ12aおよび12bがリード26および28の対向する方向に配置されるため、ステム10を小型化することができ、半導体装置100の低コスト化も可能である。またステム10の反りが抑制されるため、歩留まりが向上し、コスト増加が抑制される。リード26および28を大きくしなくてよいため、信号は略同位相でリード26から半導体チップ12aおよび12bに分配され、かつ略同位相でリード28において合成される。このため高い出力が得られる。
【0030】
図3(b)に示した配線17cの長さは配線17dの長さと略同一であるため、図4のインダクタL1のインダクタンスがインダクタL2のインダクタと同程度になる。HEMT12a1に入力される信号が、HEMT12b1に入力される信号と略同位相になる。配線17eの長さは配線17fの長さと略同一であるため、インダクタL3のインダクタンスがインダクタL4のインダクタンスと同程度になる。HEMT12a1から出力される信号が、HEMT12b1から出力される信号と略同位相になる。ほぼ同位相の信号がHEMT12a1および12b1に分配され、図3(b)の端子17g(図4のノードN1)において合成されるため、信号の損失は抑制される。この結果、高出力を得ることができる。例えば入力電力に対して出力電力を約2倍(3dB増加)の特性を実現することができる。
【0031】
また配線17cおよび17dのインピーダンスが略等しくなるため、配線17cおよび17dにおける信号の損失量も同程度になる。配線17eおよび17fのインピーダンスが略等しくなるため、配線17eおよび17fにおける信号の損失量も同程度になる。配線17cの長さは配線17dの長さと完全に同一でもよいし、略同一でもよい。配線17cのインダクタンス成分が配線17dのインダクタンス成分と略同一であればよい。配線17eの長さは配線17fの長さと完全に同一でもよいし、略同一でもよい。配線17eのインダクタンス成分が配線17fのインダクタンス成分と略同一であればよい。信号の位相が同程度であればよい。つまり、半導体チップ12aおよび12bの動作位相が同一、または極めて近くなればよい。
【実施例2】
【0032】
実施例2は、チップ部品、およびシャントインダクタとして機能する配線を基板17に設けた例である。実施例1において説明した構成と同じ部分については説明を省略する。図5は実施例2に係る半導体装置200を例示する断面図である。図5に示すように整合回路14が設けられていない。
【0033】
図6は基板17を例示する平面図である。図6に示すように、基板17の上面に端子17a、17b、17g、17jおよび17k、配線17c、17d、および17hが設けられている。複数の配線17lは基板17の上面および下面に設けられている。基板17の上面に3つのチップ部品23、25および27が実装されている。チップ部品23および25は半田29により端子17aおよび17jに接続されている。チップ部品27は端子17jおよび17kに接続されている。端子17jは接地端子である。端子17gは、配線17hを介して端子17bに接続され、配線17lを介して端子17kに接続されている。
【0034】
図7は半導体装置200の等価回路を例示する回路図である。図7に示すように、入力端子In1とインダクタL1との間にキャパシタC1の一端が接続され、入力端子In2とインダクタL6との間にキャパシタC2の一端が接続されている。インダクタL3およびL4間のノードN1にインダクタL11の一端が接続されている。インダクタL8およびL9間にインダクタL12の一端が接続されている。インダクタL11およびL12は共通してキャパシタC5の一端に接続されている。キャパシタC1、C2およびC5の他端、並びにHEMT12a1および12a2のソースは共通して接地されている。キャパシタC1はチップ部品23に、キャパシタC2はチップ部品25に、キャパシタC5はチップ部品27に、それぞれ対応する。インダクタL11およびL12は配線17lにより生成される。
【0035】
実施例2によれば、配線17l(インダクタL11およびL12)がシャントインダクタとして機能し、チップ部品27(キャパシタC5)と共に高調波処理回路を形成する。半導体装置200の外部に高調波処理回路を接続する場合より、半導体チップ12aおよび12bの近くに高調波処理回路を設けることができるため、高い効率を得ることができる。実施例1と同様に、高出力が得られ、かつ半導体装置200の低コスト化が可能である。また整合回路14を設けないため、ステム10を短手方向(図5の横方向、リード26および28の対向する方向)において、半導体装置200をより小型化することができる。基板17の端子17bにチップ部品を接続し、整合回路16を取り除いてもよい。端子17aおよび17bにチップ部品を接続し、整合回路14および16を取り除いてもよい。
【実施例3】
【0036】
実施例3はドレインを隣り合わせにした例である。図8は実施例3に係る半導体装置300を例示する断面図である。図9(a)は半導体チップ12aおよび12bを例示する平面図である。図9(b)は基板17を例示する平面図である。
【0037】
図8および図9(a)に示すように、ドレイン12D2は半導体チップ12bの左側に位置し、ソース12S2およびゲート12G2は右側に位置する。ドレイン12D1とドレイン12D2とは隣り合う。図8および図9(b)に示すように、端子17D2は基板17の中央側に位置し、端子17G2は右端に位置する。
【0038】
図10は半導体装置300の等価回路を例示する回路図である。図10に示すように、インダクタL3、L4、L8およびL9が設けられていない。実施例3においては、実施例1および2(図3(b)および図6)に比べ、配線17eおよび17fが短くなるため、配線17eおよび17fのインダクタ成分が小さくなる。このためインダクタL3、L4、L8およびL9が実質的に無視できる。
【0039】
実施例3においては実施例1および2に比べ、配線17eおよび17fが短いため、端子17gがドレイン12D1および12D2の近くに配置される。このためHEMT12a1およびHEMT12b1の出力信号の合成がドレインの近くで行われる。端子17gにおける信号の位相差が小さくなるため、信号の損失が抑制され、出力が高くなる。また高調波処理がドレイン12D1および12D2の近くで行われるため効率が高くなる。
【0040】
図11は実施例3の変形例における半導体チップ12aおよび12bを例示する平面図である。図11に示すように、ゲート12G1および12G2を隣り合ってもよい。基板17の配線17cおよび17dを短くすることができる。すなわち図10のインダクタL1、L2、L6およびL7を取り除くことができる。HEMT12a1およびHEMT12b1への信号の分配がゲートの近くで行われるため、位相差が小さくなる。
【実施例4】
【0041】
実施例4は基板17をステム10の上面に設けた例である。図12は実施例3に係る半導体装置400を例示する断面図である。
【0042】
図12に示すように、基板17はステム10の上面に設けられ、半導体チップ12aと半導体チップ12bとの間に位置する。基板17の上面には端子17a、17b、17G3および17D3が設けられている。整合回路14はワイヤ13を介して基板17の端子17aに接続されている。端子17G3は、ワイヤ13を介して半導体チップ12aのゲート12G1および半導体チップ12bのゲート12G2に接続されている。端子17D3は、ワイヤ13を介してドレイン12D1および12D2に接続されている。
【0043】
リード26に入力された高周波信号は端子17aを介して基板17に入力される。高周波信号は端子17G3から半導体チップ12aおよび12bに分配される。半導体チップ12aおよび12bにより増幅された高周波信号は端子17D3において合成され、端子17bおよび整合回路16を介してリード28から出力される。実施例4によれば、実施例1と同様に、高出力が得られ、かつ半導体装置400の低コスト化が可能である。
【0044】
3つ以上の半導体チップをリード26および28の対向方向に配置してもよい。小型かつ高出力な半導体装置を形成することができる。また半導体装置に設ける半導体チップは1つでもよい。HEMTの電極に対応して、基板17に配線および電極を設ければよい。
【0045】
図13(a)は半導体チップ30を例示する平面図である。図13(a)に示すように、半導体チップ30にHEMT12a1、12a2、12b1および12b2を含む複数のHEMTが形成されている。2つのHEMTが半導体チップ30の短手方向(図中の左右方向)に配置されている。リード26および28の対向方向において、ドレインとゲートとが隣り合う。図13(b)は半導体チップ32を例示する平面図である。図13(b)に示すように、リード26および28の対向方向において、ドレイン同士が隣り合う。1つの半導体チップに3つ以上のHEMTを形成してもよい。
【0046】
1つの半導体チップ30に複数のHEMTが集積されているため、半導体チップの上面に設けられた電極の高さのバラつきが小さくなる。また2つの半導体チップをステム10に対して位置合わせするより、1つの半導体チップを位置合わせする方が容易である。また1つの半導体チップに対する基板17の位置合わせも容易である。このため半導体チップと基板17との接続の信頼性が向上する。図2図5および図8に示したような2つの半導体チップは、例えば1つの半導体チップの中央部を切断することにより形成することができる。1つの半導体チップの面積は、2つの半導体チップの面積の合計より切断される領域の分だけ大きいため、半導体チップの放熱性が向上する。半導体チップ内のHEMTの電気的な特性を同一に近づけることができるため、電力集中が起きにくい。このため半導体チップの破壊などが発生しにくい。
【0047】
実施例1〜4においては、HEMTのゲートを入力電極、ドレインを出力電極としたが、ゲート、ソースおよびドレインのいずれを入力電極または出力電極としてもよい。HEMT14以外に例えば窒化物半導体またはガリウム砒素(GaAs)など砒素系半導体を含む電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)、またはFET以外のトランジスタを設けてもよい。
【0048】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 ステム
12、12a、12b 半導体チップ
12a1、12a2、12b1、12b2 HEMT
12D1、12D2 ドレイン
12G1、12G2 ゲート
12S1、12S2 ソース
17 基板
17c〜17f、17h、17l 配線
26、28 リード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13