特許第6206823号(P6206823)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6206823-落下しない輪尺 図000002
  • 特許6206823-落下しない輪尺 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6206823
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】落下しない輪尺
(51)【国際特許分類】
   G01B 3/20 20060101AFI20171002BHJP
【FI】
   G01B3/20 D
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2016-84012(P2016-84012)
(22)【出願日】2016年4月1日
【審査請求日】2017年3月13日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509097633
【氏名又は名称】大熊 義孝
(72)【発明者】
【氏名】大熊 義孝
【審査官】 池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−286628(JP,A)
【文献】 実開昭53−039077(JP,U)
【文献】 米国特許第06189585(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0209750(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第104006784(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/00− 3/08,
3/11− 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
滑動腕部(3)の中空部分(7)の内部に、板バネ(4)をとりつけた輪尺であって、固定腕部(2)と滑動腕部の間に立木を挟み直径を計測した後、板バネ(4)の反発力により手を離しても立木を挟んだまま落下しないことを特徴とする輪尺。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立木や円柱状の物体の直径を計測する際に使用される用具、輪尺に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術には、木製の輪尺について、スケール部を摩耗から守るためのコーティングや、目盛を見やすくするための印刷を施したものがある。
市販の輪尺には、滑動腕部(3)の動きを滑らかにするために、滑動腕部中空部分(7)の内部にローラーを取り付けたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 実用新案登録 第3105215号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
立木の材積や成長量を把握する等の立木調査の方法は、調査の目的により差異はあるが、一般的には、輪尺で立木の胸高部の直径を計測記録、樹高を目測記録、品質を査定し記録し、調査木であることの標示として、番号札を取り付けたり、テープまたはペンキで鉢巻をする。
【0005】
このような立木調査作業の役割分担と一般的な人員構成は、記録係1名、輪尺による計測係1名、番号札取り付けやテープまたはペンキ鉢巻をする係(以下標示係という)1〜2名が必要であり、面積が大きい森林の調査になると多大な労務を要する。
【0006】
各分担の作業内容は、記録係は、計測係が読み上げた直径数値を野帳に記録する他、該立木の樹高を目測し、樹幹の曲がりや、枝、腐れ等、木材としての欠点を観察し品質を査定して記録する。
計測係は、立木の胸高部を輪尺で抱えるように挟み、その時のスケールの目盛りを読み上げる。
標示係は、調査木であることを表示するため、番号札の取り付けやテープまたはペンキによる鉢巻標示を行う。
【0007】
立木調査作業の実態は、記録係は、該立木を観察するために、常に該立木全体が良く見える位置へ移動する必要があり、そのために多くの時間を要する。
【0008】
計測係は、輪尺の計測値を読み上げた後は、輪尺を持ち、手が塞がっているため、時間に余裕がありながら、後続の作業を受け持つのは容易ではない。
それは、輪尺を地面に置くと、その都度置く、拾う動作を繰り返すことになり、また、傾斜地では、置いた輪尺が下方へ滑り落ちることも多く肉体的な負担や非能率なことが多い。
【0009】
標示係は、番号札の取り付けや、テープ巻き付け又はペンキによる鉢巻を行う。
【0010】
立木調査作業の分担の内で、手持ち時間に余裕のある計測係に後続の作業も分担させることができれば、立木調査に要する人員の削減が可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
輪尺の滑動腕部(3)の中空部分(7)の内部に、板バネ(4)を取り付けたものであり、直径計測のために固定腕部(2)と滑動腕部の間に立木を抱え、少し力を入れて立木を挟むと、挟んだ力の反作用により、滑動腕部のa点(図2)は外側に押され、その力はb点を支点として、c点がスケール部を押し上げる方向に働く。
【0012】
板バネはスケール部(1)に強く押されて、平行調整ボルト(5)に密着するまで反り、この時、滑動腕部は固定腕部と平行になるので、スケールの目盛りが立木の直径値となる。
同時に、スケール部、板バネ、平行調整ボルトが圧着することにより、滑動腕部は滑動しなくなる。
さらに、板バネの反発力が、板バネとスケール部との圧着状態を保持するので、手を離しても輪尺は立木を挟んだまま落下しない。
【発明の効果】
【0013】
計測係は立木の直径計測後、輪尺が立木を挟んだままにして手を離し、番号札取り付け等の後続の作業も分担することができるようになり、立木調査作業の人員削減が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1 計測前の輪尺の斜視図と部分断面拡大図 板バネの反発により、滑動腕部はやや内側に傾いている。
図2 計測時の輪尺の斜視図と部分断面拡大図 板バネがスケール部に圧迫され、平行調整ボルトに押し付けられている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図1図2に基づいて説明する。
【実施例】
【0016】
計測前の状態では輪尺の滑動腕部は、板バネの反発力により、固定腕部に対し、やや内向きに傾いているので(図1)、立木の直径を計測する時は、滑動腕部が固定腕部と平行になるまで、少し力を入れて立木を挟む。
【0017】
この時、板バネと平行調整ボルトは密着し、固定腕部と滑動腕部は平行になり(図2)、計測係はその時点のスケールの目盛りを直径値として読み上げる。
【0018】
輪尺は立木を挟んだままにして手を離しても落下しないので、計測係は立木に番号札を取り付ける等の作業を行った後、輪尺は滑動腕部を右へ引き立木からはずして、次の調査木へ移動する。
【産業上の利用可能性】
【0019】
計測係は、輪尺が立木を挟んだままにして手を離せるので、立木に番号札を取り付ける等の後続の作業も分担でき、作業に要する人員を削減することが可能になる。
【符号の説明】
【0020】
1 スケール部
2 固定腕部
3 滑動腕部
4 板バネ
5 平行調整ボルト
6 締め付けナット
7 中空部分
【要約】      (修正有)
【課題】 手を離してもその位置に止まり、落下しない輪尺を提供する。
【解決手段】輪尺の滑動腕部(3)の中空部分(7)の内部に、板バネを取り付けた輪尺であって、固定腕部(2)と滑動腕部(3)の間に立木を抱え、滑動腕部(3)を滑らせて立木を強く挟むと、滑動腕部(3)が押されることにより、板バネとスケール部(1)が強い力にて密着し、滑動腕部(3)が滑動しなくなり、輪尺は手を離しても立木を挟んだまま落下しない。
【選択図】図2
図1
図2