【実施例】
【0023】
先ず、
図1において、本発明の第1実施及び第2実施の形態の各フラット研削砥石10,20の構成と製作手順を説明する。先ず、網目シート2を台金1の外周面1Aに巻付けたフラット研削砥石10は、網目シート2を台金1の外周面1Aに一層又は多層に巻付けられる。そして、上記網目シート2の外周面2Aには、台金1の軸芯方向Oに格子状の隙間Xを一定の間隔で間欠的にダイヤ,CBN電着砥粒又はWA、GC砥粒等4を電着又は溶着(総称して固着と言う)させた構成である。
【0024】
また、フラット研削砥石20の構成は、網目シート2を円板状に成型された網目円板20Aとした砥石円板20Bは、一層又は多層に積層された円板積層体20Cであり、上記円板積層体の外周面20Dにこの軸芯方向Oに格子状の隙間Xを一定の間隔で間欠的にダイヤ,CBN電着砥粒又はWA、GC砥粒等4を電着又は溶着(総称して固着と言う)させた構成である。また、上記一層又は多層に積層された円板積層体20Cは、両端面を把持するフランジ5,6により、1つのフラット研削砥石20として形成されている。
【0025】
尚、上記研削砥石10,20において、網目シート2又は網目円板20Aは、繊維で織られたもので、繊維の素材は、鉄系金属,非鉄,石油系繊維,植物系繊維,炭素繊維,セルロースナノファイバー,不織布等の何れか又は混合から成る繊維を織った網又は不織の網目のシートである。そして、導電繊維の網には、超砥粒を電着し固定する。絶縁体繊維の網は、超砥粒を溶着、蒸着し固定する。電着ユニットとなる治具30(
図2に後記する)は、網目シート2又は網目円板20A以外を絶縁体(プラスチック、陶器、磁器)にするとマスクが不必要になる。
【0026】
上記本発明の第1実施の形態となる各フラット研削砥石10によると、網目シート2を台金1の外周面1Aに外周巻付けたフラット研削砥石10は、網目シート2を台金1の外周面1Aに一層又は多層に巻付けられる。そして、上記網目シート2の外周面2Aには、台金1の軸芯方向Oに格子状の隙間Xを一定の間隔で間欠的にダイヤ,CBN電着砥粒又はWA、GC砥粒等4を電着又は溶着させている。これにより、従来の網目砥石と比べて、必要にして最少限の網目シート2と、必要にして最少限の砥粒4となり、低コスト化が図られる。更に、
図7に示すように、工具ホルダHに取付けられたフラット研削砥石10又は20内の研削液Cは、外周面2A、20Dが格子状の間欠的な砥粒4の無い隙間Xの領域から外部へ浸透する。これで、フラット研削砥石10内の研削液Cは、外部加工点に円滑に長期間に渡り目詰まりすることなく安定して供給され、研削液Cの不足による研削焼けを大幅に防止出来る。
【0027】
また、上記本発明の第2実施の形態となる各フラット研削砥石20によると、フラット研削砥石は網目シート2を円板状に成型された網目円板となる砥石円板は、一層又は多層に積層された円板積層体20Cであり、上記円板積層体の外周面に台金の軸芯方向に格子状の隙間Xを一定の間隔での間欠的にダイヤ,CBN電着砥粒又はWA、GC砥粒等を電着又は溶着させたから、従来の網目砥石と比べて、台金不要となって砥石の軽量化が図られる。更に、必要にして最少限の網目シートと必要にして最少限の砥粒となり、低コスト化が図られる。更に、
図8に示すように、フラット研削砥石20内の研削液Cは、円板積層体の外周面20Dが格子状の間欠的な砥粒の無い隙間Xの領域から外部へ浸透する。これで、フラット研削砥石20内の研削液Cは、外部加工点に円滑に長期間に渡り目詰まりすることなく安定して供給され、研削液Cの不足による研削焼けを大幅に防止出来る。
【0028】
次に、
図2〜
図4と
図6で、上記フラット研削砥石10の製造方法を説明する。
先す、フラット研削砥石10の外周面となる台金1の軸芯方向Oに格子状の隙間Xを一定の間隔で間欠的に砥粒等4を電着又は溶着させるのに使用される治具30は、
図2に示すように電気絶縁質の絶縁体(プラスチック、陶器、磁器)からなり、ベースとなる円形基板41とこれに直立させた中心軸42、上記円形基板の外周上面には、棒材(ピン)43を等間隔で環状に直立させる係合孔44が開けられている。上記中心軸42はねじ棒であり、これに網目シート2を巻付けた台金1を嵌入される。上記円形基板の外周上面の棒材(ピン)43により、外周網目シート2を外側から保持する。更に、中心軸42のねじ棒に電気絶縁質の保持円板(押さえプレート)45を嵌め込み、中心軸42の上端螺子部42Aにナット46を螺合させてフラット研削砥石10を治具30内にセットアップする機能を備えている。
【0029】
続いて、
図1、
図3〜
図6により、第3実施の形態となるフラット研削砥石10の製造方法を説明する。先ず、
図1のように、台金1の外周1Aに一層又は所定外径の多層に網目シート2を巻き付ける巻付工程(a)を行う。次に、
図3(a)のように、電気絶縁質の治具40となる円形基板41に直立させた中心軸42に台金を嵌合する装着工程(b)を行う。
図3(b)のように、上記台金外周1Aで網目シート2の外周面2Aを上記円形基板41の外周上面に相互に格子状の僅かな隙間Xを残して等間隔で環状に直立させる棒材(ピン)43により順次当接する当接工程(c)を行う。
【0030】
続いて、
図3(c)のように、上記円形基板41に直立させた中心軸42に電気絶縁質の保持円板45をこの中心孔45Aを嵌合するとともに該保持円板の外周縁面に開けた多数の係合孔hに上記棒材43の上端(自由端)を係合させ、中心軸42の上端螺子部42Aにナット46を螺合して締結するセットアップ工程(d)を行う。次に、
図6に示すように、上記網目シート2の外周面2Aに棒材43が存在しない隙間Xに砥粒4を電着又は溶着させる砥粒固着工程(e)を行う。即ち、電着法(電解法又は科学メッキ法)は、
図6(e)に見るように、電気分解容器50に治具30と砥粒4とを入れて電気分解し、
図6(g)に見るように、外部に露出した網目シート2の外周面2Aのみが、格子状にダイヤ,CBN等を電着して電着超砥粒4を形成する。即ち、
図8に示すように、電着法(電解法)によると、網目シート2の外周面2A又は円板積層体20Cの外周面20Dに絶縁質の棒材43を当接していると、プラス電極Pの砥粒4がマイナス電極U側の外周面2A又は円板積層体20Cに電解液Eを介して電流が流れて棒材43が存在しない隙間Xに砥粒4を電着させる。
【0031】
最後に、
図3(d)において、逆操作を行う。即ち、ナット46の緩めで保持円板45を開放して台金1の外周網目シート2に砥粒4を固着して形成したフラット研削砥石10を、円形基板41と棒材43から離脱させる離脱工程(f)を行う。以上の工程により、
図6(g)のように、フラット研削砥石10が製造される。
【0032】
続いて、
図1、
図5、
図6により、第4実施の形態となるフラット研削砥石20の製造方法を説明する。先ず、
図1のように、網目シート2を円板状に成型された網目円板20Aとした砥石円板20Bは、一層又は多層に積層された円板積層体20Cであり、上記円板積層体の外周面20Dにこの軸芯方向Oに格子状の隙間Xを一定の間隔で間欠的にダイヤ,CBN電着砥粒又はWA、GC砥粒等4を電着又は溶着(総称して固着と言う)させた構成である。また、上記一層の網目円板20Aだけで両端面をフランジ5,6により把持するタイプと、フラット研削砥石21を多層に積層された円板積層体20Cの両端面を把持するフランジ5,6により、1つのフラット研削砥石20として形成されている。即ち、
図1と
図5の工程図に示すように、網目シート2を円板状に成型された網目円板20A又は砥石円板20Bとする網目円板の形成工程(1)を行う。
【0033】
次に、砥石円板20Bを一層又は多層に積層する円板積層体20Cの積層工程(2)を行う。続いて、
図2のように、電気絶縁質の治具40となる円形基板41に直立させた中心軸42に網目円板20A又は円板積層体20Cを嵌合する装着工程(3)を行う。次に、
図3(c)と同様に、
図6の円板積層体20Cに見るように、外周面20Dを上記円形基板41の外周上面に相互に格子状の僅かな隙間Xを残して等間隔で環状に直立させる棒材(ピン)43により順次当接する当接工程(4)を行う。続いて、
図3(c)と同様に、上記円形基板41に直立させた中心軸42に電気絶縁質の保持円板45をこの中心孔45Aを嵌合するとともに該保持円板の外周縁面に開けた多数の係合孔hに上記棒材43の上端(自由端)を係合させ、中心軸42の上端螺子部42Aにナット46を螺合して締結するセットアップ工程(5)を行う。次に、
図6に示すように、上記外周面20Dに棒材43が存在しない隙間Xに砥粒4を電着又は溶着させる砥粒固着工程(6)を行う。
【0034】
即ち、上記フラット研削砥石10の製造方法と同様に、電着法(電解法又は科学メッキ法)は、
図6(e)に見るように、電気分解容器50に治具30と砥粒4と電解液Eを入れて電気分解し、
図6(g)に見るように、外部に露出した外周面20Dのみが、格子状にダイヤ,CBN等を電着して電着超砥粒4を形成する。最後に、
図3(d)と同様に、逆操作を行う。即ち、ナット46の緩めで保持円板45を開放して円板積層体20Cの外周面20Dに砥粒4を固着して形成したフラット研削砥石20を、円形基板41と棒材43から離脱させる離脱工程(7)を行う。以上の工程により、
図6(g)のように、フラット研削砥石20が製造される。
【0035】
本発明の第3と第4実施の形態となるフラット研削砥石10、20の製造方法によると、以下の作用と効果を呈する。
フラット研削砥石10の製造方法によると、台金の外周に一層又は多層に網目シートを巻き付けたフラット研削砥石の製作は、網目シートの外周面に確実且つ正確な格子状の隙間を形成しつつ砥粒を電着又は溶着させられる。これにより、砥石の製造時間が短縮されるとともに低廉化が可能の他、網目シートの加工が容易となり、砥石製作の簡易化に寄与する。更に、フラット研削砥石10の格子状の僅かな隙間Xからのクーラント液Cの噴出効率が高められ、これによる切粉の排出効率は、従来の砥石と比較して飛躍的に向上するメリットが得られる。
【0036】
更に、フラット研削砥石20の製造方法によると、網目シートを円板状に成型して網目円板とし、これを一層又は多層に積層された円板積層体による方法であるから、円板積層体の外周面に確実且つ正確な格子状の隙間を形成しつつ砥粒を電着又は溶着させられる。これにより、砥石の製造時間が短縮されるとともに低廉化が可能の他、網目シートから円板積層体への加工が容易となり、砥石製作の簡易化に寄与する。更に、フラット研削砥石10の格子状の僅かな隙間Xからのクーラント液Cの噴出効率が高められ、これによる切粉の排出効率は、従来の砥石と比較して飛躍的に向上するメリットが得られる。
【0037】
更に、第3と第4実施の形態となるフラット研削砥石10、20の効果を追記すれば、▲1▼砥石の回転中心から砥石の外周加工点に研削液が供給され、研削焼けを大幅に抑制する。▲2▼ノイズレスにより、内径研削、R凹部の研削、細溝研削に対して、研削液が確実に供給できる。▲3▼砥石の気泡に研削液が詰まらないから砥石の切れ味(研削効率)の長寿命化が実現できる。