【文献】
SUZUKI, A. et al.,Tetrahedron Letters,2013年,Vol. 54,pp. 2348-2352
【文献】
SUZUKI, A. et al.,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2013年,Vol. 23,pp. 886-892
【文献】
SAITO, Y. et al.,Chemical Communications,2013年,Vol. 49,pp. 5684-5686
【文献】
CHO, H. Y. et al.,Molecules,2012年,Vol. 17,pp. 12061-12071
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリヌクレオチドにおいて少なくとも1つのヌクレオチドが請求項5〜7のいずれか一項に記載のデアザプリンヌクレオチド誘導体で置換されてなるポリヌクレオチド誘導体。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体、3−デアザプリンヌクレオチド誘導体、ポリヌクレオチド誘導体及びプローブ等について詳細に説明する。
【0010】
本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体は、下記式(I)又は(II)で示される化合物である。
【化9】
[式中、R
1及びR
2は、それぞれ互いに独立し、同一又は異なって、下記式:
【化10】
で示される縮合環であり、
R
a及びR
bは、それぞれ互いに独立し、同一又は異なって、水素原子又は水酸基である。]
【0011】
本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体は、3−デアザプリン骨格のC3位に炭素−炭素三重結合を介して蛍光分子を導入するように設計されている。本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体は、周辺の粘度環境に応じて分子構造を変化させ、分子のねじれに応じた発光波長を示すことができる。本発明の好ましい態様では、この性質を利用して、本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体を例えば生体内の粘度環境の変化をモニタリングするためのプローブとして用いることができる。
【0012】
本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体において、3−デアザプリン塩基と結合する五炭糖は、2−デオキシリボースでもリボースでもよく、式中、R
a及びR
bは、それぞれ互いに独立し、同一又は異なって、水素原子又は水酸基である。本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体をヌクレオチドに導入してDNA型のプローブとして用いるときは、R
a及びR
bは水素原子が好ましく、RNA型のプローブとして用いるときは、R
a及びR
bはそれぞれ水酸基が好ましい。
【0013】
式中、R
1及びR
2は、それぞれ互いに独立し、同一又は異なって、下記式:
【化11】
で示される縮合環である。なお、式中、*は、三重結合への結合位置を示している。これらの中でも、DNAのマイナーグルーブに蛍光色素を導入する際に収まりがよいことから、ナフチル基、キノリル基及びイソキノリル基からなる群から選ばれる縮合環であることが好ましく、下記式で示される1−ナフチル基又は2−ナフチル基が特に好ましい。
【化12】
【0014】
上記のとおり、本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体は、3−デアザプリン骨格のC3位に三重結合を介して置換基を持たない特定の縮合環を含む蛍光分子を導入し、核酸塩基部位と縮合環部位とがπ共役系を形成できるように設計されている。例えば、低粘度の環境下では、核酸塩基部位と縮合環部位とのπ共役系が繋がり、縮合環部位のみによる発光と比べて長波長側に極大をもつブロードな発光が見られる。これは、分子内電荷移動状態(Intra-molecular Charge Transfer State: ICT)による発光が生じているためであると考えられる。
他方、高粘度の環境下では、分子構造にねじれが発生し、縮合環部位のみによる発光が見られ、短波長側に極大をもつ先の尖った発光が見られる。これは、高粘度のために分子の回転が抑制されてπ共役系が分断され、結果として波長の低い縮合環部位のみによる
局所励起状態(Locally Excited State: LE)による発光が見られるためであると考えられる。
このように本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体は、周囲の粘度環境によって二つの蛍光帯を示すいわゆる二重蛍光という特徴的な性質を有しており、周囲の粘度環境の変化を蛍光発光色の違いによって識別することが可能である。また、本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体は、高粘度の環境と同様な分子の回転を抑制する環境の変化を識別することも可能である。
【0015】
本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体は、3−デアザアデノシン又は3−デアザグアノシンなどのC3位に蛍光分子を導入することにより簡便に製造することができる。例えば、3−ヨード−3−デアザプリンヌクレオシド誘導体又は3−ブロモ−3−デアザプリンヌクレオシド誘導体を合成し、これに所望の縮合環を導入することによって簡便に製造することができる。
【0016】
本発明の式(I)で示されるデアザプリンヌクレオシド誘導体は、例えば、下記のスキームに従って製造することができる。
【化13】
[式中、XはI又はBrであり、R
1は、式(I)中のR
1と同義である。]
【0017】
まず、化合物A、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、ヨウ化銅及び化合物aを溶媒に溶かし、これにトリエチルアミンを加えて、40〜60℃の範囲内で1〜4時間撹拌する。その後、反応溶媒を留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーなどを用いて精製して目的の化合物Iを得ることができる。
化合物aは、化合物Aに対して等モルないしやや過剰に用いることが好ましく、その使用量は、化合物Aに対して1.2〜2.0(モル倍量)が好ましい。
テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)及びヨウ化銅は、触媒量で用いればよく、化合物Aに対して0.01〜0.1(モル倍量)が好ましい。
トリエチルアミンは、化合物Aに対して5〜10(モル倍量)の範囲で用いることが好ましい。
溶媒は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、塩化メチレン、o−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物などを用いることができる。
【0018】
なお、化合物Aは、例えば、Journal of the American Chemical Society 125 (2003) 9970-9982及びChemBioChem 9 (2008) 464-470に記載の方法に準拠して合成することができる。化合物Aの合成例を実施例1に示す。
【0019】
本発明の式(II)で示されるデアザプリンヌクレオシド誘導体は、例えば、下記のスキームに従って製造することができる。
【化14】
[式中、XはI又はBrであり、R
2は、式(II)中のR
2と同義である。]
【0020】
まず、化合物B、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、ヨウ化銅及び化合物bを溶媒に溶かし、これにトリエチルアミンを加えて、40〜60℃の範囲内で1〜4時間撹拌する。その後、反応溶媒を留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーなどを用いて精製して目的の化合物IIを得ることができる。
化合物bは、化合物Bに対して等モルないしやや過剰に用いることが好ましく、その使用量は、化合物Bに対して1.2〜2.0(モル倍量)が好ましい。
テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)及びヨウ化銅は、触媒量で用いればよく、化合物Bに対して0.01〜0.1(モル倍量)が好ましい。
トリエチルアミンは、化合物Bに対して5〜10(モル倍量)の範囲で用いることが好ましい。
溶媒は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、塩化メチレン、o−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物などを用いることができる。
【0021】
なお、化合物Bは、例えば、Tetrahedron 49 (1993) 557-570、Chemical and Pharmaceutical Bulletin 44 (1996) 288-295及びThe Journal of Organic Chemistry 64 (1999) 7158-7172に記載の方法に従って合成することができる。
【0022】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体を用いることで局所的な粘度環境の変化を蛍光発光色の違いによって検出することができる。例えば、本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体を用いることにより、生体内等の局所的な粘度環境の変化をモニタリングすることができる。
また、本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体をタンパク質又は核酸などの生体高分子と相互作用させ、それに伴う立体障害により高粘度と同様な蛍光色素部位の分子回転を抑制する環境を作り出すことにより、タンパク質又はオリゴヌクレオチド鎖の相互作用を利用したSNPsタイピング(疾患または薬物代謝等に関係する遺伝子に存在するSNPs(single nucleotide polymorphism)の塩基情報の解析)等に利用することもできる。
【0023】
次に、本発明の3−デアザプリンヌクレオチド誘導体について述べる。
本発明の3−デアザプリンヌクレオチド誘導体は、上述した本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体にリン酸がエステル結合した化合物であり、
下記式(III)又は(IV):
【化15】
[式中、R
1及びR
2は、それぞれ互いに独立し、同一又は異なって、下記式:
【化16】
で示される縮合環であり、
R
a及びR
bは、それぞれ互いに独立し、同一又は異なって、水素原子又は水酸基であり、
s及びtは、それぞれ互いに独立し、同一又は異なって、1、2又は3である。]
で示される。
【0024】
式(III)又は(IV)におけるR
1、R
2、R
a及びR
bは、式(I)又は(II)におけるR
1、R
2、R
a及びR
bと同義であり、好ましい例も同じである。
s及びtはそれぞれ1、2又は3であるが、1又は3が好ましく、ポリヌクレオチド誘導体に容易に導入できることから3が特に好ましい。
【0025】
本発明の3−デアザプリンヌクレオチド誘導体(III)又は(IV)の一リン酸体(s,t=1)は、通常、本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体(I)又は(II)をトリメチルホスファイトなどの溶媒に溶解し、0℃でオキシ塩化リンを加えて反応させた後に水を加えることで簡単に合成することができる。また、三リン酸体(s,t=3)は、水を加える前にトリブチルアンモニウムピロリン酸(二リン酸)を加えるステップを加えることを除いて一リン酸体と同様にして合成することができる。
【0026】
また、本発明の3−デアザプリンヌクレオチド誘導体(III)又は(IV)の三リン酸体は、PCR法を用いてDNAに容易に導入することができ、ポリヌクレオチドにおいて少なくとも1つのヌクレオチドが本発明のヌクレオチド誘導体で置換された本発明のポリヌクレオチド誘導体を得ることができる。あるいは、実施例3に示したように、本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体にN,N−ジ−n−ブチルホルムアミドジメチルアセタールを反応させ、その後、触媒量の4,4’−ジメトキシトリチルクロリドを加えて反応させて得られる化合物を、トリエチルアミンの存在下、更に2−シアノエチルジイソプロピルクロロホスホロアミジトと反応させて、得られたアミジト体を直接DNA自動合成機にかけることで、本発明のポリヌクレオチド誘導体を得ることができる。
【0027】
本発明のポリヌクレオチド誘導体は、ポリヌクレオチドにおいて少なくとも一つのヌクレオチドが、本発明の3−デアザプリンヌクレオチド誘導体で置換されてなるものである。
本発明において、ポリヌクレオチド誘導体はオリゴヌクレオチド誘導体であってもよい。本発明の3−デアザプリンオリゴヌクレオチド誘導体の塩基数は特に制限されなく、例えば2から1000が好ましく、2から200がより好ましく、2から100が特に好ましい。
【0028】
本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体を用いることで局所的な粘度環境の違いを蛍光発光色の変化によって検出することができる。この性質を利用して、本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体を、例えば、生体内等の局所的な粘度環境の変化をモニタリングするためのプローブとして用いることができる。
本発明のポリヌクレオチド誘導体は、RNAiなどの細胞内における局在環境の粘度に関する情報をモニタリングすることができる。さらにこの手法を発展させることもできる。例えば、本発明のポリヌクレオチド誘導体をタンパク質又は核酸などの生体高分子と相互作用させ、それに伴う立体障害により高粘度と同様の蛍光色素部位の分子回転を抑制する環境を作り出すことにより、タンパク質又はオリゴヌクレオチド鎖の相互作用を利用したSNPsタイピング(疾患または薬物代謝等に関係する遺伝子に存在するSNPs(single nucleotide polymorphism)の塩基情報の解析)等に利用することも可能である。
また、本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体は、3−デアザプリン骨格のC3位に蛍光分子を導入したことにより、DNA中の幅の狭い溝であるマイナーグルーブに蛍光色素部位を導入することができる。また、本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体は、優れた光学特性を維持しつつ、DNA二重らせん構造も不安定化しない。これらの性質を利用して、高粘度の場合と同様の色素部位の分子回転を抑制する環境を作り出してDNAのマッチ・ミスマッチの違いをモニタリングすることもできる。
例えば、本発明のポリヌクレオチド誘導体を含むプローブを標的DNAとハイブリダイズさせフルマッチしたときの粘度環境の変化による蛍光発光色の違いで標的DNAの対面塩基を識別する塩基識別型蛍光核酸塩基(遺伝子検出用プローブ)として用いることができる。あるいは、タンパク質又は細胞内の局所的な粘度環境の調査用プローブとして用いることができる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明のポリヌクレオチド誘導体を含むプローブは、周辺のGC塩基対による蛍光消光が見られないため利用できるDNA配列に制限がなく、蛍光DNAプローブとして幅広く利用できるものと考えられる。
【0029】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例に制限されるものではない。
【実施例1】
【0030】
下記スキーム1に従って3−ヨード−デアザ−2’−デオキシアデノシン誘導体を合成した。
【化17】
【0031】
化合物1の合成
化合物1は公知の化合物であり、Journal of the American Chemical Society 125 (2003) 9970-9982及びChemBioChem 9 (2008) 464-470に従って合成することができる。
【0032】
化合物2の合成
化合物1(100 mg, 0.18 mmol)をDMF(5 ml)に溶解させ、これにN−ヨードスクシンイミド(60.7 mg, 0.27 mmol)を加えて、室温で一晩中反応させた。反応後、溶媒を留去し、得られた残渣に酢酸エチルを加え、炭酸水素ナトリウムで2回、飽和食塩水で1回それぞれ分液操作を行い、有機層を硫酸ナトリウム(無水)で乾燥させた。硫酸ナトリウムをろ過後、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムに吸着させ、メタノールークロロホルムの混合溶液で溶出し、化合物2(96.7 mg, 79 %)を得た。
1H-NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 1.06-1.19 (complex, 42H), 2.33 (m, 1H), 2.63 (ddd, J = 2.6, 5.4, 12.7 Hz, 1H), 3.96 (m, 2H), 4.15 (m, 1H), 4.72 (m, 1H), 5.17 (br, 2H), 7.21 (dd, J = 5.4, 7.8 Hz, 1H), 8.08 (s, 1H), 8.29 (s, 1H)
【0033】
化合物3の合成
化合物2(52.5mg, 0.08 mmol)をTHF(2 ml)に溶解させ、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1M, 0.20 ml, 0.20 mmol)を加えて、室温で30分反応させた。反応後、反応液に酢酸(11 μl, 0.20 mmol)を加えて中和した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムに吸着させ、メタノールークロロホルムの混合溶液で溶出し、化合物3(23.5 mg, 82 %)を得た。
1H-NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ 2.39 (ddd, J = 3.9, 6.1, 13.2 Hz, 1H), 2.53 (m, 1H, overlapped with DMSO), 3.58 (m, 2H), 3.88 (m, 1H), 4.36 (m, 1H), 5.03 (t, J = 5.3 Hz, 1H), 5.35 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 6.42 (br, 2H), 7.00 (m, 1H), 7.89 (s, 1H), 8.50 (s, 1H)
【0034】
続いて、下記スキーム2に従って3−デアザプリンヌクレオシド誘導体を合成した。
【化18】
【0035】
化合物4の合成
化合物3(65.8 mg, 0.17 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(5.8 mg, 0.005 mmol)、ヨウ化銅(1.7 mg, 0.009 mmol)および1−エチニルナフタレン(32.0 mg, 0.21 mmol)をDMF(5 ml)に溶解させた。これにさらにトリエチルアミン(0.2 ml)を加えて、50℃の油浴中で1時間反応させた。反応後、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムに吸着させ、メタノールークロロホルムの混合溶液で溶出し、化合物4(60.4 mg, 86 %)を得た。
1H-NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ 2.46 (ddd, J = 3.6, 6.0, 13.3 Hz, 1H), 2.64 (m, 1H), 3.60 (m, 2H), 3.97 (m, 1H), 4.43 (m, 1H), 5.05 (m, 1H), 5.40 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 7.02 (br, 2H), 7.17 (m, 1H), 7.53-8.02 (complex, 6H), 8.19 (s, 1H), 8.43 (m, 1H), 8.60 (s, 1H)
【0036】
化合物5の合成
化合物3(35.0 mg, 0.09 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(3.2 mg, 0.003 mmol)、ヨウ化銅(0.9 mg, 0.005 mmol)および4−エチニル−1−ナフトニトリル(19.8 mg, 0.11 mmol)をDMF(5 ml)に溶解させた。これにさらにトリエチルアミン(0.2 ml)を加えて、50℃の油浴中で1時間反応させた。反応後、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムに吸着させ、メタノールークロロホルムの混合溶液で溶出し、化合物5(37.0 mg, 93 %)を得た。
1H-NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ 2.47 (ddd, J = 3.1, 5.9, 13.2 Hz, 1H), 2.68 (m, 1H), 3.57-3.61 (m, 2H), 4.00 (m, 1H), 4.44 (m, 1H), 5.03 (m, 1H), 5.45 (d, J = 3.4 Hz, 1H), 7.11 (m, 1H), 7.20 (br, 2H), 7.86-7.92 (complex, 2H), 8.01 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.16-8.19 (complex, 2H), 8.27 (s, 1H), 8.59 (s, 1H), 8.60 (m, 1H)
【実施例2】
【0037】
得られた化合物4及び5についてそれぞれ下記の手順に従い、光学特性を測定した。
[1]UVスペクトルの測定
得られた化合物を、それぞれ、10μMの濃度で各種溶媒(メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、2−プロパノール(2-PrOH)、ジオキサン(dioxane)、アセトニトリル(MeCN)、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、酢酸エチル(AcOEt)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセリン(glycerine)、エチレングリコール(ethylene glycol)に溶解し、紫外可視分光光度計UV−2550(株式会社島津製作所)を用いてUVスペクトルを測定した。
【0038】
[2]蛍光スペクトルの測定
得られた各化合物を、それぞれ、10μMの濃度で各種溶媒(メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、2−プロパノール(2-PrOH)、ジオキサン(dioxane)、アセトニトリル(MeCN)、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、酢酸エチル(AcOEt)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセリン(glycerine)、エチレングリコール(ethylene glycol))に溶解し、蛍光光度計RF−5300PC(株式会社島津製作所)を用いて蛍光スペクトルを測定した。
【0039】
[3]励起スペクトルの測定
得られた各化合物を、それぞれ、10μMの濃度で各種溶媒(メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、2−プロパノール(2-PrOH)、ジオキサン(dioxane)、アセトニトリル(MeCN)、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、酢酸エチル(AcOEt)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセリン(glycerine)、エチレングリコール(ethylene glycol)に溶解し、蛍光光度計RF−5300PC(株式会社島津製作所)を用いて励起スペクトルを測定した。
化合物4についての測定結果を
図1に、化合物5についての測定結果を
図2に示す。
【0040】
なお、各溶媒中における化合物4の光学特性を表1にまとめた。
【表1】
【0041】
図1及び表1に示すように、グリセロール(グリセリン)(η=1412)のような高粘度の溶媒中では、化合物4は、上記の結果(蛍光スペクトル)に見られるような振動構造を伴った強い発光が短波長側に観察されている。これはナフタレン由来のLE蛍光であると考えられる。溶媒の粘度が高いためナフタレン部位と3−デアザアデニン塩基との間での分子の回転が抑制され、ねじれた基底状態が維持されるためナフタレン由来のLE蛍光が観察されている。
一方、アセトニトリル(η=0.34)や1, 4-ジオキサン(η=1.44)のような低粘度の溶媒中においては核酸塩基部位(アグリコン部位)由来のICT蛍光が観察されている。これは溶媒の粘度が低いため、ナフタレン部位と3−デアザアデニン塩基との間で結合軸に沿った回転が生じ、核酸塩基部位(アグリコン部位)が平面になったためと考えられる。その結果π共役系が拡張され、上記の結果(蛍光スペクトル)に見られるような振動構造を伴わないブロードなICT蛍光が長波長側で観察されている。
このように、本発明の化合物4は、溶媒の粘度により分子の平面性を変化させ、それによりICT/LE蛍光の2つの異なる発光特性を示す二重蛍光性分子であることがわかる。
【実施例3】
【0042】
下記スキーム3に従って実施例1で得られた本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体(化合物4)をDNA鎖に導入した。
【化19】
【0043】
化合物4aの合成
化合物4(52.1 mg, 0.13 mmol)をDMF(3 ml)に溶解させ、これにN,N−ジ−n−ブチルホルムアミドジメチルアセタール(0.10 ml, 0.42 mmol)を加えて、50℃の油浴中で1時間反応させた。反応後、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムに吸着させ、メタノールークロロホルムの混合溶液で溶出し、化合物4a(46.4 mg, 66 %)を得た。
1H-NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ 0.94 (m, 6H), 1.33 (m, 4H), 1.61 (m, 4H), 2.46 (ddd, J = 3.5, 6.0, 13.2 Hz, 1H), 2.66 (m, 1H), 3.42 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 3.53-3.66 (complex, 4H), 3.96 (m, 1H), 4.43 (m, 1H), 5.04 (m, 1H), 5.39 (d, J = 3.5 Hz, 1H), 7.21 (m, 1H), 7.54-8.02 (complex, 6H), 8.36 (s, 1H), 8.45 (m, 1H), 8.60 (s, 1H), 8.78 (s, 1H)
【0044】
化合物4bの合成
化合物4a(38.7 mg, 0.07 mmol)を無水ピリジン(3 ml)に溶解させ、これに4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(37.3 mg, 0.11 mmol)を加えて、室温で2時間反応させた。反応後、溶媒を留去し、得られた残渣に酢酸エチルを加え、炭酸水素ナトリウムで2回、飽和食塩水で1回それぞれ分液操作を行い、有機層を硫酸ナトリウム(無水)で乾燥させた。硫酸ナトリウムをろ過後、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムに吸着させ、エタノールークロロホルムの混合溶液で溶出し、化合物4b(51.1 mg, 85 %)を得た。
1H-NMR (acetone-d
6, 400 MHz) δ 0.97 (m, 6H), 1.41 (m, 4H), 1.70 (m, 4H), 2.72 (ddd, J = 5.0, 6.1, 13.4 Hz, 1H), 2.86 (m, 1H), 3.35 (m, 2H), 3.47 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 3.68 (m, 2H), 3.75 (s, 6H), 4.27 (m, 1H), 4.72 (m, 1H), 4.77 (m, 1H), 6.78-6.84 (complex, 4H), 7.16-7.72 (complex, 13H), 7.93-8.03 (complex, 3H), 8.33 (s, 1H), 8.42 (s, 1H), 8.63 (m, 1H), 8.86 (s, 1H)
【0045】
化合物4cの合成
化合物4b(50.0 mg, 0.06 mmol)をアセトニトリル(1 ml)に溶解させ、これにトリエチルアミン(0.5 ml)と2−シアノジイソプロピルクロロホスホロアミジト(0.08 ml)を加えて、室温で30分反応させた。反応後、反応溶液に酢酸エチルを加え、炭酸水素ナトリウムで2回、飽和食塩水で1回それぞれ分液操作を行い、有機層を硫酸ナトリウム(無水)で乾燥させた。硫酸ナトリウムをろ過後、溶媒を留去し、粗生成物である化合物4cを得た。
【0046】
DNA合成
得られた化合物4cをアセトニトリル600μlに溶解し、DNA自動合成機(製造元:アプライドバイオシステムズ社、型番:3400 DNAシンセサイザー)を用いてDNA鎖へ導入し、オリゴヌクレオチドDNA(ODN1及びODN2)をそれぞれ得た。
【実施例4】
【0047】
実施例3で得られたオリゴヌクレオチドDNA(ODN1及びODN2)について、それぞれ、下記の手順に従い、UVスペクトル及び蛍光スペクトルを測定した。また、DNA又はRNA高次構造の熱安定性を評価した。
[1]UV吸収スペクトルの測定
得られたオリゴヌクレオチドDNAを、0.1Mの濃度でNaClを含む50mMリン酸バッファーに2.5μMの濃度になるように溶解した。これに相補的な配列を有するターゲットDNA又はターゲットRNAを2.5μMの濃度になるように各種加え、紫外可視分光光度計UV−2550(株式会社島津製作所)にてUV吸収スペクトルを測定した。
【0048】
[2]蛍光スペクトルの測定
実施例3で得られたオリゴヌクレオチドDNAを、0.1Mの濃度でNaClを含む50mMリン酸バッファーに2.5μMの濃度になるように溶解した。これに相補的な配列を有するターゲットDNA又はターゲットRNAを2.5μMの濃度になるように各種加え、蛍光光度計RF−5300PC(株式会社島津製作所)にて蛍光スペクトルを測定した。
【0049】
[3]DNA高次構造の熱安定性の評価
Tm値(融解温度:melting temperature)は、特定の条件下における固有のDNA高次構造の熱安定性の指標である。実施例3で得られた本発明の化合物4をDNA鎖に導入してなるオリゴヌクレオチドDNA(ODN1及びODN2)にそれぞれ各種相補鎖(N=A,G,C,T,bulge,Ab)を加えたときのTm値及びその変化量ΔTmを次の手順に従って測定し、DNA二重らせん構造の熱安定性を評価した。
濃度2.5μMに調製したDNA溶液を8連マイクロセルに移し、紫外可視分光光度計(製造元:島津製作所、型番:UV−2550)を用いて4〜90℃の範囲で測定を行い、中線法を用いてTm値を算出した。また、天然オリゴヌクレオチドDNAのTm値をもとに、変化量ΔTmを算出した。
【0050】
[4]RNA高次構造の熱安定性の評価
実施例3で得られた本発明の化合物4をDNA鎖に導入してなるオリゴヌクレオチドDNA(ODN1)にRNA(N=A,G,C,U)を加えたときのTm値及びその変化量ΔTmを次の手順に従って測定し、DNA/RNA混成二重らせん構造の熱安定性を評価した。
濃度2.5μMに調製したRNA溶液を8連マイクロセルに移し、紫外可視分光光度計(製造元:島津製作所、型番:UV−2550)を用いて4〜90℃の範囲で測定を行い、中線法を用いてTm値を算出した。また、天然オリゴヌクレオチド(DNA/RNA)のTm値をもとに、変化量ΔTmを算出した。
【0051】
ODN1とDNA相補鎖をハイブリダイズした後のUVスペクトル、蛍光スペクトル及びTm値についての測定結果を
図3に示す。ODN1とRNAをハイブリダイズした後のUVスペクトル、蛍光スペクトル及びTm値についての測定結果を
図4に示す。また、ODN2とDNA相補鎖をハイブリダイズした後のUVスペクトル、蛍光スペクトル及びTm値についての測定結果を
図5に示す。
図3及び5に示すように、DNA二重鎖の融解温度(T
m値)測定の結果から本発明の化合物4を含むDNAは安定な二重鎖を形成することがわかる。特に二重鎖において化合物4の対面塩基がマッチとなるチミン塩基の場合には、他のミスマッチの塩基の場合と比べて高い熱安定性(高いT
m値)を示した。このことから、化合物4はチミン塩基とのみ安定な塩基対を形成することが示唆された。
また、本発明の化合物4を含むDNA二重鎖の蛍光スペクトルの測定結果から、化合物4の対面塩基がマッチのチミン塩基の時には振動構造を伴わないブロードな発光が長波長側で観察されることがわかる。これは、対面塩基がマッチのチミン塩基のときに、ナフタレン部位がDNA二重鎖の幅の狭いマイナーグルーブ側に突き出されて固定化され、塩基部位と平面になるために起こると考えられる。平面になることでπ共役系が拡張されたため、振動構造を伴わないブロードなICT蛍光が長波長側で観察されたと考えられる。分子モデリング実験からも、化合物4の対面塩基がマッチのチミン塩基の場合にナフタレン部位がDNA二重鎖の幅の狭いマイナーグルーブ固定化され、核酸塩基部位全体が平面構造になることを確認している。
図6に分子モデリング実験の結果を示す。なお、分子モデリング実験に関しては、ODN1/DNA3(N=T)の二重鎖の配列を用い、MacroModel ver.9.0 (シュレディンガー社)によりAMBER*力場下で最適化計算を行った。
これに対して、対面塩基がミスマッチ塩基(すなわち、グアニン塩基及びシトシン塩基)のときには振動構造を伴う強い発光が短波長側に観察されている。これは、基底状態のねじれた構造が維持されているためであり、ナフタレン部位由来のLE蛍光が観察されていると考えられる。このように対面塩基のマッチ−ミスマッチの違いに伴って生じる立体障害により、高粘度の溶媒中の場合と同様な分子の回転抑制が生じ、蛍光発光波長の大きな変化が観察された。本発明の化合物4が有するユニークな二重蛍光特性を用いることで、蛍光波長変化で対面塩基の識別を行う新しいプローブの開発が可能であると考えられる。
また、相補鎖としてRNAを加えた際にも同様の結果が観察されている。対面塩基がマッチのウラシル塩基の時のみ長波長側でICT蛍光が観察され、波長変化で対面塩基の識別が可能であった。
【0052】
なお、ODN1を用いたときの光学特性及び融解温度を表2にまとめた。
【表2】
また、ODN2を用いたときの光学特性及び融解温度を表3にまとめた。
【表3】
【0053】
[比較例1]
下記スキーム4に従って実施例1で得られた比較化合物である3−デアザプリンヌクレオシド誘導体(化合物5)をDNA鎖に導入した。
【化20】
【0054】
化合物5aの合成
化合物5(30.2 mg, 0.07 mmol)をDMF(3 ml)に溶解させ、これにN,N−ジ−n−ブチルホルムアミドジメチルアセタール(0.05 ml, 0.21 mmol)を加えて、50℃の油浴中で1時間反応させた。反応後、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムに吸着させ、メタノールークロロホルムの混合溶液で溶出し、化合物5a(18.0 mg, 45 %)を得た。
1H-NMR (DMSO-d
6, 400 MHz) δ 0.94 (m, 6H), 1.33 (m, 4H), 1.62 (m, 4H), 2.47 (ddd, J = 3.4, 5.9, 13.2 Hz, 1H), 2.69 (m, 1H), 3.43 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 3.54-3.63 (complex, 4H), 3.99 (m, 1H), 4.44 (m, 1H), 5.04 (m, 1H), 5.44 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.15 (m, 1H), 7.89-7.93 (complex, 2H), 8.01 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.18-8.20 (complex, 2H), 8.44 (s, 1H), 8.60 (s, 1H), 8.62 (m, 1H), 8.80 (s, 1H)
【0055】
化合物5bの合成
化合物5a(18.0 mg, 0.03 mmol)を無水ピリジン(3 ml)に溶解させ、これに4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(12.9 mg, 0.04 mmol)を加えて、室温で2時間反応させた。反応後、溶媒を留去し、得られた残渣に酢酸エチルを加え、炭酸水素ナトリウムで2回、飽和食塩水で1回それぞれ分液操作を行い、有機層を硫酸ナトリウム(無水)で乾燥させた。硫酸ナトリウムをろ過後、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムに吸着させ、エタノールークロロホルムの混合溶液で溶出し、化合物5b(20.1 mg, 72 %)を得た。
1H-NMR (acetone-d
6, 400 MHz) δ 0.98 (m, 6H), 1.41 (m, 4H), 1.71 (m, 4H), 2.75 (ddd, J = 4.8, 6.0, 13.4 Hz, 1H), 2.91 (m, 1H), 3.34 (m, 2H), 3.49 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 3.70 (m, 2H), 3.74 (s, 3H), 3.75 (s, 3H), 4.29 (m, 1H), 4.74 (m, 1H), 4.82 (m, 1H), 6.77-6.82 (complex, 4H), 7.21-7.43 (complex, 10H), 7.89 (complex, 2H), 8.09 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 8.13 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 8.25 (m, 1H), 8.34 (s, 1H), 8.48 (s, 1H), 8.79 (m, 1H), 8.89 (s, 1H)
【0056】
化合物5cの合成
化合物5b(20.0 mg, 0.02 mmol)をアセトニトリル(1 ml)に溶解させ、これにトリエチルアミン(0.2 ml)と2−シアノジイソプロピルクロロホスホロアミジト(0.05 ml)を加えて、室温で30分反応させた。反応後、反応溶液に酢酸エチルを加え、炭酸水素ナトリウムで2回、飽和食塩水で1回それぞれ分液操作を行い、有機層を硫酸ナトリウム(無水)で乾燥させた。硫酸ナトリウムをろ過後、溶媒を留去し、粗生成物である化合物5cを得た。
【0057】
得られた化合物5cをアセトニトリル600μlに溶解し、DNA自動合成機(製造元:アプライドバイオシステムズ社、型番:3400 DNAシンセサイザー)を用いてDNA鎖へ導入し、オリゴヌクレオチドDNA(ODN3及びODN4)をそれぞれ得た。
【0058】
オリゴヌクレオチドDNA(ODN3及びODN4)について、それぞれ、実施例4と同様の手順で、蛍光スペクトルを測定した。
【0059】
ODN3とDNA相補鎖をハイブリダイズした後の蛍光スペクトルについての測定結果を
図7に示す。また、ODN4とDNA相補鎖をハイブリダイズした後の蛍光スペクトルについての測定結果を
図8に示す。これらの結果に示されるとおり、化合物5を含むDNAプローブ(ODN3及びODN4)は、対面塩基の識別能を持たないことがわかる。
化合物5はフェニル基が電子吸引性のシアノ基を有するため、電子ドナー性の3−デアザアデニン塩基との間で分子内においてドナー・アクセプターの関係となる。したがって、従来のドナー・アクセプター型DNAプローブのコンセプトによると化合物5を含むDNAプローブ(ODN3及びODN4)は、化合物4を含むDNAプローブ(ODN1及びODN2)より優れたチミン識別プローブになると考えられる。しかしながら、上記の蛍光スペクトルに見られるように、化合物5を含むDNAプローブ(ODN3及びODN4)ではチミン塩基識別能は全く見られなかった。このことからも本発明の化合物4を含むプローブが従来のプローブと全く異なるコンセプトに基づいて作用していることがわかる。
【0060】
以上の結果に示されるとおり、本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体は、周囲の局所的な粘度環境の違いに応じて蛍光発光波長を変化させる二重蛍光性分子であり、従来とは異なるコンセプトで生体内の微細環境をモニタリングすることを可能にする。また、本発明の3−デアザプリンヌクレオシド誘導体を含むオリゴヌクレオチドは、対面塩基のマッチ−ミスマッチの違いに伴って生じる立体障害により高粘度の溶媒中の場合と同様な分子の回転抑制が生じる環境下で蛍光発光波長を大きく変化させることができるため、本発明のポリヌクレオチド誘導体は、生体内における様々な粘度環境などの微細環境の変化を蛍光発光波長の違いによって識別することができる。
【0061】
なお、本測定に用いたオリゴヌクレオチドDNA、相補鎖DNA及びRNAの塩基配列を下表に示す。
【表4】