(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記成分(B)が、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体からなる群より選ばれた共重合体である請求項1に記載の皮膚洗浄用シート化粧料。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の皮膚洗浄用シート化粧料は、シート基材と、上記シート基材に含浸された化粧料組成物とを少なくとも含む。なお、本明細書においては、本発明の皮膚洗浄用シート化粧料を構成する上記シート基材を「本発明のシート基材」と称する場合がある。また、本発明の皮膚洗浄用シート化粧料を構成する上記化粧料組成物を「本発明の化粧料組成物」と称する場合がある。本発明の皮膚洗浄用シート化粧料は、本発明のシート基材及び本発明の化粧料組成物以外の構成成分を含んでいてもよい。
【0017】
[本発明の化粧料組成物]
本発明の皮膚洗浄用シート化粧料を構成する化粧料組成物(本発明の化粧料組成物)は、多価アルコール、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウムを必須のモノマー成分として形成された重合体を少なくとも含む。本発明の化粧料組成物は、さらに、ポリエーテル変性シラン化合物を含むことが好ましい。本発明の化粧料組成物は、シート基材に含浸されて用いられる。
【0018】
なお、本明細書においては、上記多価アルコールを「成分(A)」と称する場合がある。また、上記塩化ジメチルジアリルアンモニウムを必須のモノマー成分として形成された重合体を「成分(B)」と称する場合がある。さらに、上記ポリエーテル変性シラン化合物を「成分(C)」と称する場合がある。
【0019】
本発明の化粧料組成物は、上記成分(A)、成分(B)、成分(C)以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。成分(A)、成分(B)、成分(C)やその他の成分は、それぞれ、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0020】
上記成分(A):多価アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール(1,3−ブタンジオール)、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、グリセリン(1,2,3−プロパントリオール)、ジグリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、マルチトール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシドなどが挙げられる。中でも、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールが好ましい。成分(A)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0021】
上記ポリエチレングリコールの数平均分子量は、保湿効果とべたつき抑制の観点から、200〜30000が好ましく、より好ましくは4000〜30000である。
【0022】
成分(A)は市販品を用いることもできる。市販品としては、特に限定されないが、例えば、阪本薬品工業株式会社製、商品名「化粧品用濃グリセリン」(グリセリン);株式会社ダイセル製、商品名「1,3−ブチレングリコール」(1,3−ブチレングリコール);ライオン株式会社製、商品名「PEG#1500K」(ポリエチレングリコール);日油株式会社製、商品名「PEG#1500」(ポリエチレングリコール);日油株式会社製、商品名「PEG#20000」(ポリエチレングリコール)などが挙げられる。
【0023】
本発明の化粧料組成物中の、成分(A)の含有量は、本発明の化粧料組成物100重量%に対して、8.0〜18.0重量%であり、好ましくは10.0〜15.0重量%、より好ましくは10.0重量%を超え、14.0重量%以下である。上記含有量が8.0重量%以上であることにより、本発明の皮膚洗浄用シート化粧料が十分な保湿効果を発揮する。上記含有量が8.0重量%未満では、皮膚洗浄用シート化粧料の保湿効果が不十分となり、拭き取りの使用方法では肌に十分な保湿効果を発揮することができない。一方、上記含有量が18.0重量%以下であることにより、本発明の皮膚洗浄用シート化粧料の使用後に肌がべたつくことを抑制し、使用感が良好となる。上記含有量が18.0重量%を超えると、後述の成分(B)を用いても、皮膚洗浄用シート化粧料の使用後の肌のべたつきを十分に抑制できず、皮膚洗浄用シート化粧料によりさっぱりとした使用感が得られなくなる。
【0024】
上記成分(A)は、保湿効果を向上する観点から、グリセリンを含むことが好ましい。中でも、保湿効果とべたつき抑制を高いレベルで両立する観点からは、グリセリンと、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコールとを併用することが好ましい。
【0025】
成分(A)がグリセリンを含む場合、本発明の化粧料組成物中の、グリセリンの含有量は、本発明の化粧料組成物100重量%に対して、3.0〜13.0重量%が好ましく、より好ましくは4.0〜10.0重量%、さらに好ましくは4.5〜8.0重量%である。
【0026】
上記成分(B)は、塩化ジメチルジアリルアンモニウム(ジメチルジアリルアンモニウムクロリド)を必須のモノマー成分として形成された重合体(ポリマー)である。即ち、成分(B)は、塩化ジメチルジアリルアンモニウムに由来する構成単位を少なくとも含む重合体である。成分(B)は、塩化ジメチルジアリルアンモニウムの単独重合体であってもよいし、塩化ジメチルジアリルアンモニウムと塩化ジメチルジアリルアンモニウム以外のモノマー成分との共重合体であってもよい。成分(B)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0027】
上記、塩化ジメチルジアリルアンモニウム以外のモノマー成分としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、アクリルアミドが挙げられる。即ち、成分(B)は、さらに、アクリル酸に由来する構成単位、及び/又は、アクリルアミドに由来する構成単位を含む共重合体であってもよい。
【0028】
成分(B)が塩化ジメチルジアリルアンモニウムと塩化ジメチルジアリルアンモニウム以外のモノマー成分との共重合体である場合、成分(B)を形成する全モノマー成分中の、塩化ジメチルジアリルアンモニウムと塩化ジメチルジアリルアンモニウム以外のモノマー成分とのモル比[(塩化ジメチルジアリルアンモニウム)/(塩化ジメチルジアリルアンモニウム以外のモノマー成分)]は、特に限定されないが、例えば、1.0/0.3〜1.0/4.0が好ましく、より好ましくは1.0/0.4〜1.0/3.5、さらに好ましくは1.0/0.5〜1.0/3.0である。
【0029】
成分(B)の重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば、1.0×10
4〜1.0×10
7が好ましく、より好ましくは5.0×10
4〜8.0×10
6、さらに好ましくは8.0×10
4〜6.0×10
6である。
【0030】
成分(B)としては、特に限定されないが、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第14版,第2巻,CTFA,2012年,p.2565〜2572)で、「POLYQUATERNIUM(ポリクオタニウム)−6」と表記される化合物、「POLYQUATERNIUM(ポリクオタニウム)−7」と表記される化合物、「POLYQUATERNIUM(ポリクオタニウム)−22」と表記される化合物、「POLYQUATERNIUM(ポリクオタニウム)−39」と表記される化合物が好ましい。
【0031】
中でも、成分(B)としては、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(ポリクオタニウム−7)、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム−22)からなる群より選ばれた共重合体が好ましい。
【0032】
成分(B)は市販品を用いることもできる。市販品としては、特に限定されないが、例えば、商品名「マーコート550PR」(NALCO社製、ポリクオタニウム−7、塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリルアミドとの共重合体)、商品名「マーコートPLUS3330」(NALCO社製、ポリクオタニウム−39、塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリル酸とアクリル酸アミドとの共重合体)、商品名「マーコート280」(NALCO社製、ポリクオタニウム−22、塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリル酸との共重合体)、商品名「マーコート100」(NALCO社製、ポリクオタニウム−6、塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体)等が挙げられる。
【0033】
本発明の化粧料組成物中の、成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量の重量比[成分(B)の含有量/成分(A)の含有量]は、1.0×10
−5〜9.0×10
−4であり、好ましくは5.0×10
−5〜7.0×10
−4、より好ましくは7.0×10
−5〜6.0×10
−4である。上記重量比が上記範囲内であることにより、本発明の皮膚洗浄用シート化粧料は、比較的多量の成分(A)を含むにもかかわらず、使用後の肌のべたつきが抑制され、使用感が良好となる。特に使用後の本発明の化粧料組成物の乾き際のべたつきをより効果的に抑制することができる。上記重量比が1.0×10
−5未満では、成分(B)の配合効果が十分に得られず、成分(A)によるべたつきを十分に抑制できない。一方、上記重量比が9.0×10
−4を超えると、成分(B)によるべたつきが生じてしまい、成分(A)のべたつきに加わり、使用感が損なわれる。
【0034】
本発明の化粧料組成物中の、成分(B)の含有量は、特に限定されないが、本発明の皮膚洗浄用シート化粧料の使用後のべたつき抑制の観点から、本発明の化粧料組成物100重量%に対して、8.0×10
−5〜1.6×10
−2重量%が好ましく、より好ましくは5.0×10
−4〜1.0×10
−2重量%である。
【0035】
上記成分(C)は、ポリエーテル変性シラン化合物である。成分(C)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。成分(C)は、特に限定されないが、例えば、下記式(1)で表される化合物である。
【0037】
上記R
1、R
2、R
3、R
4は、それぞれ、水素原子または置換基であり、同一であっても異なっていてもよい。なお、上記R
1、R
2、R
3、R
4のうち、少なくとも1つは、ポリエーテル鎖を含む置換基である。
【0038】
上記置換基の中でも、ポリエーテル鎖を含む置換基以外の置換基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;ビニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基などの有機基が挙げられる。中でも、アルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。
【0039】
上記ポリエーテル鎖を含む置換基は、ポリオキシアルキレン鎖を含む置換基であり、例えば、下記式(2)で表される置換基である。
【0041】
上記R
aは、炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましく、より好ましくはエチレン基、プロピレン基であり、さらに好ましくはエチレン基である。上記[OR
a]はオキシエチレン単位であることが好ましく、上記ポリエーテル鎖を含む置換基はポリエチレングリコール鎖(ポリオキシエチレン鎖)を含む置換基であることが好ましい。なお、上記ポリエーテル鎖は、互いに異なる炭素数のアルキレン基から形成されていてもよく、例えば、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位を含んでいてもよい。
【0042】
上記nは、オキシアルキレン単位の平均付加モル数であり、特に限定されないが、5〜100が好ましく、より好ましくは10〜30である。なお、成分(C)中の、全てのポリエーテル鎖についてのオキシアルキレン単位の平均付加モル数は、特に限定されないが、乾いた後の肌のべたつき抑制効果をより一層高める観点から、5〜150が好ましく、より好ましくは20〜50である。
【0043】
上記R
5は、水素原子または置換基である。上記置換基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基が好ましい。中でも、上記R
5は、メチル基であることが好ましい。
【0044】
上記成分(C)としては、特に限定されないが、例えば、下記式(3)で表される化合物が好ましい。
【0046】
上記R
6、R
7、R
8、R
9は、それぞれ、水素原子または置換基であり、同一であっても異なっていてもよい。中でも、アルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。上記R
b、R
cは、同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましく、より好ましくはエチレン基、プロピレン基であり、さらに好ましくはエチレン基である。上記l、mは、それぞれ、オキシアルキレン単位の平均付加モル数であり、同一であっても異なっていてもよく、特に限定されないが、5〜100が好ましく、より好ましくは10〜30である。また、lとmの和[l+m]は、特に限定されないが、乾いた後の肌のべたつき抑制効果をより一層高める観点から、5〜150が好ましく、より好ましくは20〜50である。
【0047】
成分(C)は市販品を用いることもできる。市販品としては、特に限定されないが、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名「DOW CORNING 2501 COSMETIC WAX」(ビスPEG−18メチルエーテルジメチルシラン)などが挙げられる。なお、ビスPEG−18メチルエーテルジメチルシランは、上記式(3)において、R
6、R
7、R
8、R
9がいずれもメチル基;R
b、R
cがいずれもエチレン基;l、mがいずれも18であるポリエーテル変性シランである。
【0048】
本発明の化粧料組成物中の、成分(C)の含有量は、特に限定されないが、本発明の化粧料組成物100重量%に対して、0.01〜10.0重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0重量%、さらに好ましくは0.1〜0.8重量%、最も好ましくは0.1〜0.5重量%である。上記含有量が0.01重量%以上であることにより、本発明の皮膚洗浄用シート化粧料の使用後に肌がべたつくことを抑制する効果をより一層向上させることができる。特に本発明の化粧料組成物を肌に塗布してなじませた後(本発明の化粧料組成物が乾いた後)のべたつきをより効果的に抑制することができる。一方、上記含有量が10.0重量%を超えると、成分(C)に起因するべたつきが生じて、べたつき抑制効果が低下する場合がある。
【0049】
本発明の化粧料組成物は、水を含むことが好ましい。上記水は、特に限定されないが、精製水が好ましい。本発明の化粧料組成物中の、水の含有量は、特に限定されないが、さっぱりした使用感と他の成分の配合量の観点から、本発明の化粧料組成物100重量%に対して、50.0〜90.0重量%が好ましく、より好ましくは55.0〜85.0重量%である。
【0050】
本発明の化粧料組成物は、エタノールを含むことが好ましい。本発明の化粧料組成物中の、エタノールの含有量は、特に限定されないが、さっぱりした使用感と皮脂の除去効果の観点から、本発明の化粧料組成物100重量%に対して、1.0〜60.0重量%が好ましく、より好ましくは5.0〜30.0重量%である。
【0051】
本発明の化粧料組成物は、組成物の安定性を高める観点から、界面活性剤を含んでもよい。上記界面活性剤としては、特に限定されないが、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。中でも、ノニオン性界面活性剤が好ましい。上記ノニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、およびこれらのアルキレンオキシド付加物;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。中でも、硬化ヒマシ油のアルキレンオキシド付加物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。上記硬化ヒマシ油のアルキレンオキシド付加物としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル等が挙げられる。上記界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。本発明の化粧料組成物中の、上記界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、組成物の安定性を高める観点から、本発明の化粧料組成物100重量%に対して、0.01〜1.0重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜0.5重量%である。
【0052】
本発明の化粧料組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、防腐・殺菌成分を含んでいてもよい。上記防腐・殺菌成分としては、特に限定されないが、例えば、安息香酸、安息香酸塩、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、感光素、クロルクレゾール、クロロブタノール、サリチル酸、サリチル酸塩、ソルビン酸及びその塩類、デヒドロ酢酸及びその塩類、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、パラオキシ安息香酸エステル及びそのナトリウム塩、フェノキシエタノール、フェノール、ラウリルジアミノエチルグリシン、レゾルシン、亜鉛・アンモニア・銀複合置換型ゼオライト、安息香酸パントテニルエチル、イソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン、オルトフェニルフェノール、オルトフェニルフェノールナトリウム、銀−銅ゼオライト、グルコン酸クロルヘキシジン、クレゾール、クロラミンT、クロルキシレノール、クロルフェネシン、クロルヘキシジン、1,3−ジメチルロール−5,5−ジメチルヒダントイン、臭化アルキルイソキノリニウム、チアントール、チモール、トリクロロカルバニド、パラクロルフェノール、ハロカルバン、ヒノキチオール、ピロクトンオラミン、ピリチオン亜鉛、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、ポリアミノプロピルビグアナイド、メチルイソチアゾリノン、メチルクロロイソチアゾリノン・メチルイソチアゾリオン液、N,N−メチレンビス[N’−(3−ヒドロキシメチル−2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル)ウレア]、ヨウ化パラジメチルアミノスチリルヘプチルメチルチアゾリウム、ベンジルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。上記防腐・殺菌成分は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0053】
本発明の化粧料組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、例えば、抗炎症剤、粉体、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、香料、酸化防止剤、ビタミン類、植物抽出物、pH調整剤、清涼剤、炭素数3〜5の低級アルコール等を含んでもよい。
【0054】
本発明の化粧料組成物の25℃におけるpHは、特に限定されないが、3.0〜11.0が好ましく、より好ましくは4.0〜10.0である。
【0055】
本発明の化粧料組成物の製造方法は、特に限定されず、公知の製造方法を用いることができる。例えば、上記各成分を混合し、パドルミキサーで攪拌し、各成分を均一化する方法が挙げられる。
【0056】
[本発明のシート基材]
本発明の皮膚洗浄用シート化粧料を構成するシート基材(本発明のシート基材)は、特に限定されず、本発明の化粧料組成物を含浸可能なシート状の支持体である。本発明のシート基材としては、織布、不織布が好ましい。本発明のシート基材は、積層体(即ち、積層シート)であってもよく、例えば、織布の積層体、不織布の積層体、織布と不織布の積層体などであってもよい。本発明のシート基材は、使用感、加工のし易さ等の観点から、不織布を含むシート基材であることが好ましく、より好ましくは不織布である。上記不織布としては、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スティッチボンド不織布などが挙げられる。
【0057】
上記織布や不織布を構成する繊維としては、特に限定されず、例えば、天然繊維、合成繊維、半天然繊維などが挙げられる。上記天然繊維としては、綿、パルプ、シルク、セルロース、麻、リンター、カボックなどが挙げられる。上記合成繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維等)、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維(例えば、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維等)などが挙げられる。上記半天然繊維としては、レーヨン、アセテートなどが挙げられる。上記繊維は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。また、2種以上の上記繊維からなる混紡繊維を用いてもよい。
【0058】
本発明のシート基材には、エンボス加工処理を施してもよい。上記エンボス加工処理としては、特に限定されず、例えば、裏面を押し上げて浮かす(したがって裏面は凹む)方式や、表面に特殊なインクを付着することで凸部を形成する(裏面は凹まない)方式などが挙げられる。
【0059】
本発明のシート基材の目付は、特に限定されないが、ふき心地の観点から、20〜100g/m
2が好ましく、より好ましくは25〜80g/m
2である。
【0060】
本発明のシート基材は、織布や不織布等の種類に応じて、公知慣用の製造方法により製造することができる。また、本発明のシート基材は市販品を用いることもできる。市販品としては、特に限定されないが、例えば、ダイワボウポリテック株式会社製、商品名「RH」;ダイワボウポリテック株式会社製、商品名「AS−40」;フタムラ化学株式会社製、商品名「TCF404WJ」;ユニチカ株式会社製、商品名「コットエース A060S/A18」;ユニチカ株式会社製、商品名「コットエース C030S/A18」;株式会社クラレ製、商品名「クラフレックスJP2445B019」;株式会社クラレ製、商品名「クラフレックスJP0509B056」;株式会社クラレ製、商品名「クラフレックスJP4250H023」;旭化成株式会社製、商品名「ベンリーゼJP254」;旭化成株式会社製、商品名「ベンリーゼRE75K」;三昭紙業株式会社製、商品名「サンモアSP8740」;三昭紙業株式会社製、商品名「サンモアSP8748」;伊野紙株式会社製、商品名「M1−30−2PE」などが挙げられる。
【0061】
[本発明の皮膚洗浄用シート化粧料、皮膚洗浄用シート化粧料製品]
本発明の皮膚洗浄用シート化粧料は、本発明のシート基材と、本発明のシート基材に含浸された本発明の化粧料組成物とを必須の構成成分として含む。本発明の皮膚洗浄用シート化粧料は、本発明のシート基材及び本発明の化粧料組成物以外の構成成分を含んでいてもよい。
【0062】
本発明の皮膚洗浄用シート化粧料における、本発明のシート状基材に対する含浸された本発明の化粧料組成物の重量割合は、特に限定されないが、本発明のシート状基材1.0重量部に対して、本発明の化粧料組成物が1.0〜10.0重量部であることが好ましく、より好ましくは1.5〜7.0重量部である。
【0063】
本発明の皮膚洗浄用シート化粧料の形状はシート状である。これにより、皮膚(肌)を拭く使用形態での使用性に優れ、携帯性にも優れる。シートの平面形状は、特に限定されないが、例えば、四角形(例えば、正方形、長方形等)、三角形等の多角形;円形、楕円形、半円形;三日月形;樽形;鼓形;キャラクターの形状などが挙げられる。中でも、生産性、使用性や梱包性の観点からは四角形が好ましい。本発明の皮膚洗浄用シート化粧料には、切れ込み部、くり抜き部、凹凸部などの成型が施されていてもよい。本発明の皮膚洗浄用シート化粧料のシートの片面の表面積は、特に限定されないが、使用性、携帯性、包装性などの観点から、100〜3000cm
2が好ましく、より好ましくは150〜1000cm
2である。
【0064】
本発明の皮膚洗浄用シート化粧料は、外出時の携帯性、使用時の取り扱い性等の観点から、包装容器に収納して、皮膚洗浄用シート化粧料製品とすることが好ましい。本発明の皮膚洗浄用シート化粧料は1枚ごとに個別包装されていてもよいし、生産コスト、生産効率等の観点から、複数枚の本発明の皮膚洗浄用シート化粧料が同一包装容器内に収納されていてもよい。1の包装容器に収納される本発明の皮膚洗浄用シート化粧料の枚数は、特に限定されないが、持ち運び時に場所を取らず携帯性に優れ、何度も取り出して使用できる観点から、2〜50枚(/1包装容器)が好ましい。本発明の皮膚洗浄用シート化粧料は、二つ折り、三つ折り、四つ折り等に折り畳んで包装容器に収納されていることが好ましい。
【0065】
上記包装容器としては、例えば、袋体(包装袋)、箱状容器などが挙げられる。上記包装容器は、本発明の化粧料組成物の揮発を抑制できるものが好ましい。上記包装容器の材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の樹脂;アルミニウム等の金属などが挙げられる。上記包装容器としては、軽量であり優れた揮発防止効果を有する観点から、表面に金属層が積層又は蒸着された樹脂製の包装容器(特に、包装袋)が好ましく、より好ましくは、表面にアルミニウム蒸着された樹脂製の包装袋である。
【0066】
本発明の皮膚洗浄用シート化粧料は、本発明のシート基材に本発明の化粧料組成物を含浸させることにより製造しうる。本発明のシート基材に本発明の化粧料組成物を含浸させる方法は、特に限定されず、例えば、折りたたんだ状態の本発明のシート状基材に本発明の化粧料組成物を注入し含浸させる方法、本発明のシート状基材に本発明の化粧料組成物をスプレーする方法、印刷法を用いて本発明のシート状基材に本発明の化粧料組成物を含浸させる方法、本発明の化粧料組成物中に本発明のシート状基材を浸す方法等が挙げられる。
【0067】
本発明の皮膚洗浄用シート化粧料は、皮膚(肌)を洗浄するために用いられる。本発明の皮膚洗浄用シート化粧料により洗浄する部位としては、特に限定されず、例えば、顔面(例えば、額、目元、目じり、頬、口元等)、腕、肘、手の甲、指先、足、膝、かかと、首、脇、背中などが挙げられる。本発明の皮膚洗浄用シート化粧料としては、例えば、シート洗顔料(洗顔シート)、身体用拭き取りシート、ウェットティッシュ、使い捨ておしぼり、お尻拭きシート、メイク落としシートなどが挙げられる。中でも、本発明の皮膚洗浄用シート化粧料は、保湿効果に優れるため、顔面の皮膚洗浄用に特に好ましく用いられる(即ち、本発明の皮膚洗浄用シート化粧料は洗顔料であることが好ましい)。
【0068】
本発明の皮膚洗浄用シート化粧料は、肌上の汚れを拭き取ることができ、なおかつ、拭いて使用するだけで十分な保湿効果を与えることができる。このため、本発明の皮膚洗浄用シート化粧料は、肌上を拭いて使用すること(即ち、拭き取り用皮膚洗浄用シート化粧料)が好ましい。本発明の皮膚洗浄用シート化粧料は、パック用の化粧料のように、数分間から数十分間、肌上に貼付して用いる必要はない。
【0069】
本発明の皮膚洗浄用シート化粧料は、保湿効果を有しながら、なおかつべたつきを抑制しうる観点から、メイク落としを主目的とする皮膚洗浄用シート化粧料としてよりも、汗、皮脂汚れや古い角質等を拭き取り、肌のべたつきを抑え、さっぱりとした使用感を与えることを主目的とする皮膚洗浄用シート化粧料としてより好ましく用いられる。また、さっぱりとした使用感を求める傾向の強い、男性向けの皮膚洗浄用シート化粧料としてより好ましく用いられる。
【0070】
本発明においては、本発明の化粧料組成物中に、比較的多量の多価アルコール[成分(A)]を配合する。このため、本発明の皮膚洗浄用シート化粧料は保湿効果に優れ、特に拭いて使用するだけでも使用対象の肌に十分な保湿効果を与えることができる。一般に、比較的長時間、肌に貼付して用いられるパックシートなどとは異なり、拭き取りにより用いられる洗顔シートなどは、使用時に肌と接触する時間が短いため、使用により保湿効果を発揮することは困難であった。これに対して、本発明では成分(A)を比較的多く用いることによって、拭き取りの使用形態でも、十分な保湿効果を発揮できるようにした。これにより、本発明の皮膚洗浄用シート化粧料は、使用後の肌のかさつき、肌荒れなどを抑制することが可能である。
【0071】
一方、成分(A)を多量に配合した場合には、通常、使用後の肌にべたつきが生じてしまうため、さっぱりとした使用感を得ることを目的とする使用者(特に、「しっとり」よりも「さっぱり」の使用感を好む男性の使用者など)にとっては、使用感が不十分であった。これに対して、本発明者らは、塩化ジメチルジアリルアンモニウムを必須のモノマー成分として形成された特定の重合体[成分(B)]を、成分(A)に対して特定の比率で配合させることにより、比較的多量の成分(A)を配合するにもかかわらず、使用後のべたつき、特に化粧料組成物の乾き際に生じるべたつきが著しく抑制され、優れた保湿効果を有しながらもさっぱりとした使用感が得られることを見出した。一般的には、成分(B)をはじめとするカチオン性ポリマーは「ぬるつき」や「べたつき」を生じさせるものとして知られているところ、本発明の特定組成で用いた場合には、驚くべきことに成分(A)によるべたつきを抑制しうることがわかった。
【0072】
さらに、ポリエーテル変性シラン化合物[成分(C)]を配合した場合には、特に化粧料組成物がなじんだ後(乾燥後)に生じるべたつきが著しく抑制され、「つるつる」とした使用感が得られるため、[成分(B)]によるべたつき抑制効果とも相まって、特に優れたべたつき抑制の効果を示し、使用感がより一層向上することを見出した。
【0073】
これらにより、本発明の皮膚洗浄用シート化粧料は、汗、皮脂汚れを拭き取る際に、保湿効果も発揮し、肌のかさつきを防ぐことができる。なおかつ、べたつきを抑制し、使用後の肌がつるつる、すべすべな触感となる。従って、本発明の皮膚洗浄用シート化粧料は、単独で、さっぱりとした使用感とかさつき防止の効果が得られるため、外出先などでも使用しやすく好ましい。特に、さっぱりとした使用感を求める使用者(男性など)に適する。
【実施例】
【0074】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、表に記載の配合量は、各成分の配合量(即ち、各原料中の有効成分の配合量)であり、特記しない限り「重量%」で表す。
【0075】
実施例1〜15、比較例1〜8
(但し、実施例8および9は参考例である)
表1〜3に記した組成に従い、実施例および比較例の各化粧料組成物を常法により調製した。
折りたたんでパウチに入れたシート基材(不織布:ダイワボウポリテック株式会社製、商品名「AS−40」、繊維種:レーヨン80%/ポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)、目付:40g/m
2)に、パウチに各化粧料組成物を注入することより、各化粧料組成物を含浸させて、実施例および比較例の各皮膚洗浄用シート化粧料(サイズ:縦20cm×横20cm、正方形)を作製した。なお、上記各実施例、比較例では、シート基材1.0重量部に対して、各化粧料組成物を4.0重量部含浸させた。
【0076】
表および下記処方例に記載の各成分の詳細は、以下の通りである。
【0077】
<成分(A)>
グリセリン: 阪本薬品工業株式会社製、商品名「化粧品用濃グリセリン」、濃グリセリン
1,3−ブチレングリコール: 株式会社ダイセル製、商品名「1,3−ブチレングリコール」
ポリエチレングリコール: 日油株式会社製、商品名「PEG#20000」、ポリエチレングリコール20000
<成分(B)>
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体: NALCO社製、商品名「マーコート550PR」、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液(8.5%)
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体: NALCO社製、商品名「マーコート280」、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体(40%)
<成分(C)>
ビスPEG−18メチルエーテルジメチルシラン: 東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名「DOW CORNING 2501 COSMETIC WAX」
<その他の成分>
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル: 日本サーファクタント株式会社製、商品名「PEN−4620」、ノニオン性界面活性剤
塩化О−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース: 花王株式会社製、商品名「ポイズC−150L」、カチオン性ポリマー
ジメチルポリシロキサン: 信越化学工業株式会社製、商品名「KF−96−100cs」
クエン酸: 扶桑化学工業株式会社製、商品名「精製クエン酸M(結晶)」
クエン酸三ナトリウム: 昭和化工株式会社製、商品名「クエン酸三ナトリウム(結晶)S」
エタノール: 宝酒造株式会社製、商品名「95°一般発酵アルコール」
【0078】
(評価)
各実施例および各比較例で得られた各皮膚洗浄用シート化粧料について以下の通り評価した。評価結果は表1〜3に記載した。
なお、下記評価は、21±1℃、湿度50±5%RHの恒温恒湿の条件下で実施した。
【0079】
(1)べたつき抑制効果(乾き際の肌のべたつき、乾いた後の肌のべたつき)
官能評価パネル10名がそれぞれ、各皮膚洗浄用シート化粧料で半顔を拭き、乾き際の肌のべたつきと乾いた後の肌のべたつきの有無を評価した。
官能評価パネル10名の回答から、下記の判定基準で判定した。
[べたつき抑制効果の判定基準]
◎(優れる):10名中9〜10名が、べたつかないと回答
○(良好):10名中7〜8名が、べたつかないと回答
△(使用可能):10名中5〜6名が、べたつかないと回答
×(不良):10名中0〜4名が、べたつかないと回答
【0080】
(2)保湿効果
官能評価パネル10名がそれぞれ、上記(1)の評価後に、肌の潤い感を評価した。
官能評価パネル10名の回答から、下記の判定基準で判断した。
[保湿効果の判定基準]
○(良好):10名中7〜10名が、使用後の潤い感があり、保湿性に優れると回答
△(使用可能):10名中5〜6名が、使用後の潤い感があり、保湿性に優れると回答
×(不良):10名中0〜4名が、使用後の潤い感があり、保湿性に優れると回答
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
さらに、以下に、本発明の皮膚洗浄用シート化粧料の処方例を示す。
【0085】
(処方例1)洗顔シート
<化粧料組成物>
濃グリセリン 5.0重量%
1,3−ブチレングリコール 5.0重量%
PEG4000 0.5重量%
ビスPEG−18メチルエーテルジメチルシラン 0.3重量%
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラエーテル 0.2重量%
クエン酸 0.1重量%
クエン酸三ナトリウム 0.3重量%
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液(8.5%)
0.05重量%
95°エタノール 10.0重量%
l−メントール 0.1重量%
サリチル酸 0.1重量%
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1重量%
香料 0.05重量%
精製水 78.2重量%
合 計 100.0重量%
<シート基材>
不織布(ダイワボウポリテック株式会社製、商品名「AS−40」)
100.0重量%
シート基材1.0重量部に対して、化粧料組成物を3重量部含浸させた。