【文献】
M.Kubo, A.B.Padias, and H.K.Hall,Jr.,Synthesis of O-Phosphorylserine-Terminated Poly(tert-butyl acrylate) and Poly(acrylic acid),Macromolecules,米国,1996年 6月 3日,Vol.29,4442-4443
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
活性化剤により、第1の保護基を有するホスホロアミダイト化合物と、第2、第3の保護基及び水酸基を有するセリン化合物とを反応させて、前記セリン化合物に前記ホスホロアミダイト化合物を結合して、第1〜第3の保護基を有するホスホリルセリン化合物を合成する工程と、
活性化剤により、前記第1〜第3の保護基を有するホスホリルセリン化合物と、合成高分子又は多糖類からなり、水酸基を有する生体適合性高分子とを結合反応させてから、酸化剤により、結合反応生成物のリンを三価から五価に酸化して、第1〜第3の保護基を有するホスホリルセリン基(PhoSer基)を有する生体適合性高分子からなる細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子前駆体を合成する工程と、
脱保護剤により、前記細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子前駆体の第1〜第3の保護基を脱保護して、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子を合成する工程と、を有することを特徴とする、請求項1に記載の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子の合成方法。
第1及び第2の保護基がベンジル基(benzyl基)であり、第3の保護基がベンジルオキシカルボニル基(benzyl oxycarbonyl基)であることを特徴とする請求項2に記載の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子の合成方法。
【背景技術】
【0002】
サイトカイン(Cytokine)は、細胞から放出され、細胞間情報伝達分子となる低分子量の微量生理活性タンパク質である。体液を通って細胞表面の高親和性受容体などに結合して、細胞の増殖、分化、細胞死又は創傷治癒などの多面的な生物活性を発現させる。特に、免疫、炎症に関係したものが多く知られる。様々な細胞内シグナル伝達経路をへて、細胞のDNAやRNA変異やタンパク質合成のパターンを変化させ、細胞の働きを変える。
【0003】
図1は、マクロファージが刺激を受けた場合に、炎症性サイトカインを産生する様子を示す概略図である。
図1に示すように、マクロファージ61は刺激62を受けると、インターロイキン6(IL6)やトゥーモア・ネクロシス・ファクター(TNF、腫瘍壊死因子)等の炎症性サイトカイン63を産生する。炎症性サイトカイン63が広がると、隣接する細胞を壊死させる。細胞の壊死は線維化(コラーゲン化)を生じさせる(非特許文献1、2)。この現象により心筋梗塞が悪化する様子が報告されている(非特許文献3)。
【0004】
図2は、マクロファージにアポトーシス細胞を近接させて、マクロファージにアポトーシス細胞を認識させた場合に、抗炎症性サイトカインを産生する様子を示す概略図である。
図2に示すように、マクロファージ61にアポトーシス細胞65を近接させて、認識させた場合には、マクロファージ61は刺激を受けても、炎症性サイトカインではなく、インターロイキン10(IL10)やインターフェロン(INF)等の抗炎症性サイトカイン66を産生する。抗炎症性サイトカインが産生されると、隣接する細胞の炎症を抑制できる。
【0005】
しかし、アポトーシス(apoptosis)とは、多細胞生物の体を構成する細胞の死に方の一種で、個体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされるものであり、アポトーシス細胞は、白血球の一種である好中球であり、炎症を伴わずに細胞死する細胞であるので、自由に操作できず、取り扱いが難しかった。
【0006】
図3は、アポトーシス細胞膜の一例を示す模式図である。
図3に示すように、アポトーシス細胞膜75は、ヘッドグループ71と、ヘッドグループ71に一端側が固定された2本のC
14〜
18の長鎖アルキル基72とからなる分子の2分子膜で構成されている。各分子のヘッドグループ71は一面側又は他面側に向けて配置されており、2本の長鎖アルキル基2を膜内に向けて配置されている。また、各分子はヘッドグループ71が面内で一方向とそれに垂直な方向に等間隔で互いに接するように配列されている。
【0007】
アポトーシス細胞膜75を構成する分子のヘッドグループ71の一つとして、ホスファチジルセリン73がある。マクロファージ61は、このホスファチジルセリン73を認識して、抗炎症性サイトカインを産生させることが分かってきた(非特許文献4)。
【0008】
これに基づき、ヘッドグループ71と、ヘッドグループ71に一端側が固定された2本のC
14〜
18の長鎖アルキル基72とからなる分子の2分子膜で構成されてなり、ヘッドグループとしてホスファチジルセリン73を含むホスファチジルセリン含有リポソーム77が作成された。
【0009】
図4は、ホスファチジルセリン含有リポソームの一例を示す模式図である。
ホスファチジルセリン含有リポソーム77がアポトーシス細胞のバイオミメテック材料として使用できるかが調べられた。Lipid Uptakeの材料の種類の依存性の結果を示すグラフから、ホスファチジルセリン含有する場合にLipid Uptakeの数値が高くなることから、ホスファチジルセリン含有リポソームをアポトーシス細胞のバイオミメテック材料として使用できるとの結果が得られた(非特許文献5)。
【0010】
マクロファージにホスファチジルセリン含有リポソームを認識させた場合に、抗炎症性サイトカインを産生させることができ、炎症を抑制できると考えられる。しかし、ホスファチジルセリン含有リポソームは、安定性が悪く、エクストルーダーなどのサイジング機器を用いて大きさの制御が大変であり、その作成も煩雑である等の問題があった。
また、高分子―リポソームナノ複合体組成物も作成されており、それは剤形安定性に優れたものだが(特許文献1)、リポソームを含有する構成により、ホスファチジルセリン含有リポソームと同様の問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、マクロファージに認識させて、抗炎症性サイトカインを産生させることが可能な、アポトーシス細胞と同様な効果を奏する、バイオミメテック材料及びその合成方法を提供することを課題とする。
【0014】
本発明者は、上記事情を鑑みて、ホスファチジルセリン以外に保護基を導入したモノマーを合成し、これをポリマーに連結して、ホスファチジルセリンと保護基を導入したポリマー前駆体を合成した上で、前記ポリマー前駆体から保護基を外すことにより、ホスファチジルセリンを有するポリマーを合成できるのではないかという考えに想到した。
実際、市販されているN−Z−L−serine benzyl esterを、活性化剤imidazole Hydrochlorideで、O−Benzyl N,N,N’,N’−tetraisopropyl phosphorodiamiditeの水酸基と反応させて、側鎖に保護された三価のホスホリルセリン基を有する中間生成物を合成してから、この中間生成物を、活性化剤imidazole Hydrochlorideで、フリーラジカル重合法にて重合したNIPAAm−HMAAm copolymerの水酸基と反応させて、側鎖に保護された三価のホスホリルセリン基を有する高分子鎖(細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子前駆体)を合成してから、前記前駆体を、酸化剤tert−butyl hydroperoxideを用いて、三価のリンを五価になるまで酸化した後、脱保護剤Pd−Cにより脱保護して、ホスホリルセリン基を側鎖に有する高分子(細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子)を作成できた。この新たな合成方法において、反応の順番を考慮することにより、ポリマー側鎖に存在する水酸基とN−Z−L−serine benzyl esterが有する水酸基をバランスよく反応させることができ、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子として利用可能なホスファチジルセリンを有するポリマーを容易に合成することができることを見出して、本発明を完成した。
本発明は、以下の構成を有する。
【0015】
(1)細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位を備えた生体適合性高分子であることを特徴とする細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子。
【0016】
(2)前記細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位がアミノ基とカルボキシル基を備えたキラル炭素を有することを特徴とする(1)に記載の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子。
(3)前記細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位がホスホリルセリン基(PhoSer基)であることを特徴とする(1)に記載の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子。
(4)前記ホスホリルセリン基がL型であることを特徴とする(3)に記載の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子。
【0017】
(5)前記生体適合性高分子が合成高分子又は多糖類からなる主鎖を有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子。
(6)前記細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位が、前記主鎖に対して側鎖又は末端基として結合されていることを特徴とする(5)に記載の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子。
(7)1又は2種類以上の非誘発機能部位が、前記主鎖に対して側鎖として結合されていることを特徴とする(6)に記載の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子。
【0018】
(8)前記非誘発機能部位が水酸基又はC
1〜C
5のアルキル基であることを特徴とする(7)に記載の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子。
(9)前記合成高分子がポリ(アクリルアミド)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸エステル)、ポリエチレングリコール(PEG)、脂肪族ポリエステル、ポリアミノ酸の群から選択されるいずれか一の高分子であることを特徴とする(5)に記載の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子。
(10)前記多糖類が、アミロース、アミロペクチン、アルギン酸、ヒアルロン酸、キトサンの群から選択されるいずれか一の多糖類であることを特徴とする(5)に記載の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子。
【0019】
(11)活性化剤により、第1の保護基を有するホスホロアミダイト化合物と、第2、第3の保護基及び水酸基を有するセリン化合物とを反応させて、前記セリン化合物に前記ホスホロアミダイト化合物を結合して、第1〜第3の保護基を有するホスホリルセリン化合物を合成する工程と、活性化剤により、前記第1〜第3の保護基を有するホスホリルセリン化合物と、合成高分子又は多糖類からなり、水酸基を有する生体適合性高分子とを結合反応させてから、酸化剤により、結合反応生成物のリンを三価から五価に酸化して、第1〜第3の保護基を有するホスホリルセリン基(PhoSer基)を有する生体適合性高分子からなる細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子前駆体を合成する工程と、脱保護剤により、前記細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子前駆体の第1〜第3の保護基を脱保護して、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子を合成する工程と、を有することを特徴とする細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子の合成方法。
【0020】
(12)第1及び第2の保護基がベンジル基(benzyl基)であり、第3の保護基がベンジルオキシカルボニル基(benzyl oxycarbonyl基)であることを特徴とする(11)に記載の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子の合成方法。
(13)前記活性化剤がイミダゾール・ハイドロクロライドであることを特徴とする(11)に記載の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子の合成方法。
(14)前記酸化剤がtert−butyl hydroperoxideであることを特徴とする(11)に記載の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子の合成方法。
(15)前記脱保護剤がPd/Cであることを特徴とする(11)に記載の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子の合成方法。
【0021】
(16)(1)〜(10)のいずれかに記載の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子が膜状凝集体とされており、膜状凝集体の少なくとも一面で細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位が露出されていることを特徴とする細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子膜。
【0022】
(17)(1)〜(10)のいずれかに記載の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子が水中に一様に分散されていることを特徴とする細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子分散液。
【0023】
(18)(1)〜(10)のいずれかに記載の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子が疎水性高分子からなる微粒子の表面から林立するように接合されていることを特徴とする細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子接合粒子。
【発明の効果】
【0024】
本発明の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子は、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位を備えた生体適合性高分子である構成なので、炎症部位のマクロファージに認識させて、抗炎症性サイトカインを産生させることが可能な、アポトーシス細胞と同様な効果を奏する、バイオミメテック材料の構成材料として利用できる。これにより、心筋梗塞などの炎症を抑制できる。
【0025】
本発明の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子の合成方法は、活性化剤により、第1の保護基を有するホスホロアミダイト化合物と、第2、第3の保護基及び水酸基を有するセリン化合物とを反応させて、前記セリン化合物に前記ホスホロアミダイト化合物を結合して、第1〜第3の保護基を有するホスホリルセリン化合物を合成する工程と、活性化剤により、前記第1〜第3の保護基を有するホスホリルセリン化合物と、合成高分子又は多糖類からなり、水酸基を有する生体適合性高分子とを結合反応させてから、酸化剤により、結合反応生成物のリンを三価から五価に酸化して、第1〜第3の保護基を有するホスホリルセリン基(PhoSer基)を有する生体適合性高分子からなる細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子前駆体を合成する工程と、脱保護剤により、前記細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子前駆体の第1〜第3の保護基を脱保護して、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子を合成する工程と、を有する構成なので、反応順序を考慮して、まず、ホスホロアミダイト化合物とセリン化合物とを反応させて、中間生成物(第1〜第3の保護基を有するホスホリルセリン化合物)を合成してから、次に、この中間生成物と生体適合性高分子とを結合・酸化反応させて、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子前駆体を合成してから、最後に、脱保護反応させることにより、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子を容易にかつ確実に合成することができる。
具体的には、まず、活性化剤であるimidazole Hydrochlorideにより、ホスホロアミダイト化合物であるO−Benzyl N,N,N’,N’−tetraisopropyl phosphorodiamiditeを、セリン化合物であるN−Z−L−serine benzyl esterと反応させて、中間生成物を合成してから、次に、この中間生成物と生体適合性高分子とを結合・酸化反応させて、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子前駆体を合成してから、最後に、脱保護反応させることにより、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子を容易にかつ確実に合成することができる。
この高分子はそのまま、或いは、膜状、液状又は粒子状にして、炎症部位のマクロファージに認識させて、抗炎症性サイトカインを産生させることが可能な、アポトーシス細胞と同様な効果を奏する、バイオミメテック材料とすることができる。
【0026】
本発明の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子膜は、先に記載の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子が膜状凝集体とされており、膜状凝集体の少なくとも一面で細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位が露出されている構成なので、前記露出面を炎症部位のマクロファージに近接させることにより、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位をマクロファージに認識させて、抗炎症性サイトカインを産生させることが可能な、アポトーシス細胞と同様な効果を奏する、バイオミメテック材料として利用できる。これにより、心筋梗塞などの炎症を抑制できる。
【0027】
本発明の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子分散液は、先に記載の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子が、水溶液中に一様に分散されている構成なので、前記細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子分散液を炎症部位のマクロファージに塗布することにより、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位をマクロファージに認識させて、抗炎症性サイトカインを産生させることが可能な、アポトーシス細胞と同様な効果を奏する、バイオミメテック材料として利用できる。これにより、心筋梗塞などの炎症を抑制できる。
【0028】
本発明の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子接合粒子は、先に記載の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子が疎水性高分子からなる微粒子の表面から林立するように接合されている構成なので、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子接合粒子を炎症部位のマクロファージに滴下することにより、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位をマクロファージに認識させて、抗炎症性サイトカインを産生させることが可能な、アポトーシス細胞と同様な効果を奏する、バイオミメテック材料として利用できる。これにより、心筋梗塞などの炎症を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(本発明の実施形態)
<細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子>
図5は、本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子の一例を示す概略図である。
図5に示すように、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31は、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51を備えた生体適合性高分子である。
【0031】
細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51がアミノ基とカルボキシル基を備えたキラル炭素を有することが好ましい。前記キラル炭素は、マクロファージに細胞間情報伝達分子産生信号を誘発する機能を有し、前記キラル炭素をマクロファージに近接させることのより、抗炎症性サイトカインを産生させることができる。
正電荷を有するアミノ基と、負電荷を有するカルボキシル基により発生する微視的電場の影響を受けたキラル炭素が、マクロファージに細胞間情報伝達分子産生信号を誘発する。
【0032】
細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51がホスホリルセリン基(PhoSer基)であることが好ましい。前記ホスホリルセリン基は、マクロファージに細胞間情報伝達分子産生信号を誘発する機能を有し、前記ホスホリルセリン基をマクロファージに近接させることのより、抗炎症性サイトカインを産生させることができる。
【0033】
ホスホリルセリン基はリン酸エステルであるが、リン酸部分は細胞間情報伝達分子産生信号を誘発する機能を有しないと考えている。
ホスホリルセリン基は、ホスファチジルセリンというリン脂質の官能基として知られている。リン脂質(Phospholipid)は、構造中にリン酸エステル部位をもつ脂質の総称であり、両親媒性を持ち、脂質二重層を形成して糖脂質やコレステロールと共に細胞膜の主要な構成成分となるほか、生体内でのシグナル伝達にも関わる。そして、リン脂質としては、ホスファチジルコリン(レシチン)がよく知られており、ホスファチジルコリンは、2つの脂肪酸(オレイン酸(Oleoyl)・パルミチン酸(Palmitoyl))・グリセリン(Glycerol)・リン酸(Phosphate)・コリン(Choline)が複合した構造をもつが、ホスホリルコリン基は、細胞間情報伝達分子産生信号を誘発する機能を有しないためである。
【0034】
ホスホリルセリン基としてはL型であることが好ましい。L型は、D型に比べ、マクロファージに細胞間情報伝達分子産生信号を誘発能が高く、前記ホスホリルセリン基をマクロファージに近接させることのより、抗炎症性サイトカインをより産生させることができる。
【0035】
生体適合性高分子とは、生体が持つ異物反応(例えば、炎症の惹起や血栓形成などの反応)を起こさず、生体に対して不活性な高分子及び/又は生体内で徐々に分解され、代謝排泄されてしまう高分子を指す。そのため、生体適合性高分子は、医用材料に応用できる。生体適合性高分子としては、合成高分子又は多糖類を挙げることができる。
細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31は、合成高分子又は多糖類からなる主鎖41を有する生体適合性高分子であることが好ましい。合成高分子又は多糖類からなる主鎖41を有することにより、ホスホリルセリン基のような細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51を一の生体適合性高分子中に安定に存在させることができ、この生体適合性高分子を膜状、液状又は粒子状に加工して、バイオミメテック材料を容易に製造できる。
【0036】
細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51が、主鎖41に対して側鎖又は末端基として結合されていることが好ましい。これにより、ホスホリルセリン基のような細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51を一の生体適合性高分子中に安定に存在させることができ、膜状、液状又は粒子状のバイオミメテック材料を容易に製造できる。
図5では、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51が、主鎖41に対して側鎖として結合されている。しかし、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51の結合の態様は、この例に限られるものではない。
図6〜9に示す態様としてもよい。
また、
図5〜9では、直鎖状高分子を主鎖41とする構成を示したが、これに限られるものではなく、分岐状高分子を主鎖41とする構成としてもよい。
【0037】
図6は、本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子の別の一例を示す概略図である。細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51が、主鎖41に対して末端基として結合されている。一端側のみの末端基が細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51とされている。
図7は、本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子の別の一例を示す概略図である。細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51が、主鎖41に対して末端基として結合されている。両端の末端基が細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51とされている。
図8は、本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子の別の一例を示す概略図である。細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51が、主鎖41に対して側鎖及び末端基として結合されている。一端側のみの末端基が細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51とされている。
図9は、本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子の更に別の一例を示す概略図である。細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51が、主鎖41に対して側鎖及び末端基として結合されている。両端の末端基が細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51とされている。
【0038】
細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31は、更に、1又は2種類以上の非誘発機能部位52が、前記主鎖41に対して側鎖として結合されていることが好ましい。非誘発機能部位52をスペーサーとして機能することにより、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51の露出割合を最適にするとともに、高分子としての安定性を高めることができる。更に、膜状、液状又は粒子状のバイオミメテック材料としたときの安定性も高めることができる。また、非誘発機能部位52の存在は、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31における細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51の安定性を高めることができる。また、マクロファージの認識能も高め、マクロファージへの誘発能も高めて、細胞間情報伝達分子をより多く、短時間で産生させることができる。
具体的には、非誘発機能部位52としては、水酸基又はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等のC
1〜C
5のアルキル基を挙げることができる。
【0039】
生体適合性の合成高分子としてはポリ(アクリルアミド)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸エステル)、ポリエチレングリコール(PEG)、脂肪族ポリエステル、ポリアミノ酸の群から選択されるいずれか一の高分子を挙げることができる。
なお、脂肪族ポリエステルとしては、ポリ乳酸、グリコール酸/L−ポリ乳酸共重合体、ポリ(カプロラクトン)を挙げることができる。
また、ポリアミノ酸としては、ポリアスパラギン酸やポリグルタミン酸を挙げることができる。
実際、ポリメタクリル酸は、コンタクトレンズの材料に用いられており、生体安全性の高い合成高分子として知られており、ポリ(カプロラクトン)は、水溶性は低いが、生分解性は高い高分子として知られている。
【0040】
また、多糖類(polysaccharide)は、加水分解によって2分子以上の単糖類を生じる糖類のことであり、多糖類としては、アミロース、アミロペクチン、アルギン酸、ヒアルロン酸、キトサンの群から選択されるいずれか一の多糖類を挙げることができる。
【0041】
各生体適合性高分子は、各特性に応じて、使用形態を設定することが好ましい。例えば、アミロース、アミロペクチン、アルギン酸、ヒアルロン酸、キトサン等の多糖類又はポリ(アクリルアミド)、ポリエチレングリコール(PEG)等の合成高分子のように水溶性が高い材料の場合は、分散液として用いることが好ましく、逆に、ポリ(カプロラクトン)のような水溶性が低い高分子の場合は、膜状又は粒子状として用いることが好ましい。
【0042】
合成高分子及び多糖類は、分子量1万以上であることが好ましい。これにより、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51を一の生体適合性高分子中に安定に存在させることができる。更に、膜状、液状又は粒子状のバイオミメテック材料としたときの安定性も高めることができる。例えば、より強固で、より安定な膜を形成できる。
【0043】
細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31としては、次式(1)で表される高分子を挙げることができる。
【0045】
式(1)において、各側鎖を有するブロックの高分子鎖長を規定するo、n、mはそれぞれ1以上の自然数である。また、m>oである。例えば、o:n:m=5:15:85であり、このとき、「m−o」は80である。
このような化学構造を有する部分が備えられていればよい。
また、この化学構造部分に、各ブロックがランダムに配列されて、かつ、各ブロックの高分子鎖長もランダムとされて、連結されていてもよい。
【0046】
<細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子の合成方法>
次に、本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子の合成方法について説明する。
本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子の合成方法は、第1〜第3の保護基が結合されたホスホリルセリン化合物の合成工程S1と、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子前駆体の合成工程S2と、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子の合成工程S3と、を有する。
【0047】
[第1〜第3の保護基が結合されたホスホリルセリン化合物の合成工程S1]
まず、化学式(2)で表される、ホスホロアミダイト化合物を準備する。
【0049】
このホスホロアミダイト化合物は、PO結合を有し、酸素(O)に第1の保護基X
1が結合され、Pに2つのアミノ基が結合されてなる。各アミノ基のR
1〜R
4は、水素又はC
1〜C
5のアルキル基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。例えば、ジイソプロピル−アミノ基を挙げることができる。また、第1の保護基X
1としてはベンジル基(benzyl基:Bn基)を挙げることができる。
具体的には、ホスホロアミダイト化合物としては、化学式(3)で表されるO−Benzyl N,N,N,N−tetraisopropyl phosphorodiamiditeを挙げることができる。
【0051】
次に、化学式(4)で表されるセリン化合物を準備する。
【0053】
このセリン化合物は、カルボキシル基の酸素に第2の保護基X
2が結合され、アミノ基のNに第3の保護基X
3が結合されてなる。
【0054】
第2の保護基X
2としては、ベンジル基(benzyl基)を挙げることができ、第3の保護基X
3としては、ベンジルオキシカルボニル基(benzyl oxycarbonyl基:Cbz基)を挙げることができる。
具体的には、セリン化合物としては、化学式(5)で表されるベンジルエステル(N−Z−L−serine benzyl ester)を挙げることができる。ベンジルエステルは市販品を用いることができる。
【0056】
次に、化学反応式(6)に示すように、非プロトン性有機溶媒であるジクロロメタン中、活性化剤imidazole Hydrochlorideを用いて、セリン化合物の水酸基にホスホロアミダイト化合物を結合させる。これにより、中間生成物(第1〜第3の保護基を有するホスホリルセリン化合物)を合成できる。
【0058】
[細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子前駆体の合成工程S2]
次に、合成高分子又は多糖類からなり、水酸基を有する、生体適合性高分子を準備する。
例えば、合成高分子としてポリ(アクリルアミド)からなり、水酸基を有する、生体適合性高分子として、化学式(7)で表されるポリ(ヒドロキシメチル)アクリルアミドを挙げることができる。水酸基は、炭素を介在させて結合されることが好ましい。これにより、反応の際の立体障害の影響を低減できる。
【0060】
あるいは、水酸基を有するブロックと、非誘発機能置換基X
4を有するブロックとを有する、化学式(8)で表されるアクリルアミド系コポリマーを挙げることができる。非誘発機能置換基X
4としては、水酸基又はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等のC
1〜C
5のアルキル基を挙げることができる。
【0062】
より具体的には、化学式(9)で表されるNIPAAm−HMAAm copolymerを挙げることができる。NIPAAmはN−Isopropyl AcrylAmideの略であり、HMAAmはHydroxymethyl AcrylAmideの略である。NIPAAm−HMAAm copolymerは、フリーラジカル重合法にて、ビニル基を有する1又は2以上のモノマーを重合して合成できる。
【0064】
なお、生体適合性高分子としては、化学式(7)に示したポリ(ヒドロキシメチル)アクリルアミドや、化学式(8)又は(9)に示したアクリルアミド系コポリマーに限られるものではなく、水酸基を有する、他の合成高分子又は多糖類を用いてもよい。
他の合成高分子としては、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸エステル)、ポリエチレングリコール(PEG)、脂肪族ポリエステル、ポリアミノ酸の群から選択されるいずれか一の高分子を挙げることができ、多糖類としては、アミロース、アミロペクチン、アルギン酸、ヒアルロン酸、キトサンを挙げることができる。
【0065】
次に、非プロトン性有機溶媒であるジクロロメタン中、活性化剤イミダゾール・ハイドロクロライドを触媒として用いて、化学反応式(6)で得られた中間生成物を「合成高分子又は多糖類からなり、水酸基を有する、生体適合性高分子」とを結合反応させる。
連続して、酸化剤により、結合反応生成物のリンを三価から五価になるまで酸化して、側鎖に保護された五価のホスホリルセリン基を有する高分子鎖からなる、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子前駆体を合成する。
例えば、第1〜第3の保護基が結合されたホスホリルセリン基(PhoSer基)を有する、化学式(10)で表される細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子前駆体が形成される。
【0067】
[細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子の合成工程S3]
次に、水素雰囲気、酢酸中で、脱保護剤としてPd/C触媒を用いて、この細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子前駆体の第1の保護基X
1〜第3の保護基X
3を脱離(脱保護)する。
脱離(脱保護)反応時間は、1時間以上とすることが好ましく、10時間以上とすることがより好ましい。
これにより、ホスホリルセリン基を側鎖に有する生体適合性高分子からなる、化学式(1)で表される細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子を合成できる。
【0068】
<細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子膜>
まず、本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子膜について説明する。
図10は、本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子膜の一例を示す図であって、平面図(a)と、(a)のA−A’線における断面図(b)である。
図10に示すように、本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子膜11は、平面視略矩形状の膜状体である。しかし、平面視形状はこれに限られるものではなく、円形状、楕円形状、多角形状等としてもよい。
【0069】
細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子膜11は、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31が膜状凝集体とされてなる。
細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子膜11の一面11aには、マクロファージが認識し、抗炎症性サイトカインを産生させる細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51が露出されている。なお、
図10では、一面側のみに非誘発機能部位51が露出されている構成を示したが、これに限られるものではなく、膜状凝集体の両面で非誘発機能部位が露出されている構成としてもよい。この構成により、いずれかの面をマクロファージに近接させることにより、マクロファージに細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子膜11を認識させることができ、抗炎症性サイトカインを産生させることができる。
【0070】
図11は、
図10(a)のB部拡大図である。また、
図12は、
図10(b)のC部拡大図である。
図11、12に示すように、表層である第1層21は、複数の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31が絡み合って形成されている。第1層21の下層には、同様に複数の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31が絡み合って凝集されてなる別の層22が形成されている(図示略)。下層22の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51が露出されていないが、第1層21の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51が露出されているので、この面を近接させることにより、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51をマクロファージに認識させて、抗炎症性サイトカインを産生させることができる。
【0071】
<細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子膜の作成方法>
次に、本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子膜の作成方法について説明する。
まず、本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子膜の作成方法として、エレクトロスピニング法で、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子を膜状に凝集させる方法を挙げることができる。
具体的には、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子を溶媒に分散させた溶液を作成し、それを注射器に入れた後、注射器の先端と、捕集板とに電界を印加した状態で、注射器から溶液を噴射する。噴射された溶液の溶媒が気化・蒸発され、繊維状の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子が捕集板上に凝集して、捕集される。これにより、膜状凝集体の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子膜が得られる。溶媒中に電解質などを添加してもよい。
【0072】
次に、本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子膜の作成方法として、濾過法で、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子を膜状に凝集させる方法を挙げることができる。
具体的には、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子を溶媒に分散させた溶液を作成し、それをフィルターでろ過する。これにより、フィルター上に、繊維状の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子が凝集して、捕集される。これにより、膜状凝集体の細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子膜が得られる。吸引濾過により、生成速度を速めることができる。
【0073】
何れの場合も、生成後、乾燥処理することが好ましい。これにより、残留水分等を完全に除去できる。
【0074】
<細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子分散液>
図13は、本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子分散液の一例を示す図である。
図13に示すように、本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子分散液81は、容器83中で、本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31が、水中に一様に分散されて構成されている。本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31は、主鎖41と、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51と、非誘発機能部位52とを備えている。
【0075】
<細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子粒子>
図14は、本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子接合粒子の一例を示す図である。
図14に示すように、本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子接合粒子91は、本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31が疎水性高分子からなる微粒子92の表面から林立するように接合されて構成されている。本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31は、主鎖41と、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51と、非誘発機能部位52とを備えている。微粒子92の径dは100nm以上1mm未満であり、100nm以上100μmとすることが好ましい。この範囲とすることにより、粒子径のバラツキを少なくできる。微粒子92の形状は球状とされており、これが好ましいが、これに限られるものではなく、塊状であればよい。
【0076】
この細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子接合粒子91は、本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31の一端に疎水性高分子を接合したものを複数用意し、それらの疎水性高分子側で束ねた後、疎水性高分子部分を塊状の微粒子とすることにより、容易に作成することができる。
【0077】
本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31は、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51を備えた生体適合性高分子である構成なので、炎症部位のマクロファージに認識させて、抗炎症性サイトカインを産生させることが可能な、アポトーシス細胞と同様な効果を奏する、バイオミメテック材料の構成材料として利用できる。これにより、心筋梗塞などの炎症を抑制できる。
【0078】
本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31は、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51がアミノ基とカルボキシル基を備えたキラル炭素を有する構成なので、炎症部位のマクロファージに認識させて、抗炎症性サイトカインを産生させることができる。
【0079】
本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31は、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51がホスホリルセリン基(PhoSer基)である構成なので、炎症部位のマクロファージに認識させて、抗炎症性サイトカインを産生させることができる。
【0080】
本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31は、前記ホスホリルセリン基がL型である構成なので、炎症部位のマクロファージに認識させて、抗炎症性サイトカインをより多く産生させることができる。
【0081】
本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31は、前記生体適合性高分子が合成高分子又は多糖類からなる主鎖41を有する構成なので、炎症部位のマクロファージに認識させて、抗炎症性サイトカインを産生させることが可能な、アポトーシス細胞と同様な効果を奏する、バイオミメテック材料の構成材料として容易に、かつ、安定して利用できる。
【0082】
本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31は、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位51が、主鎖41に対して側鎖又は末端基として結合されている構成なので、炎症部位のマクロファージに認識させて、抗炎症性サイトカインを産生させることが可能な、アポトーシス細胞と同様な効果を奏する、バイオミメテック材料の構成材料として容易に、かつ、安定して利用できる。
【0083】
本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31は、1又は2種類以上の非誘発機能部位52が、主鎖41に対して側鎖として結合されている構成なので、炎症部位のマクロファージに認識させて、抗炎症性サイトカインを産生させることが可能な、アポトーシス細胞と同様な効果を奏する、バイオミメテック材料の構成材料としてより容易に、かつ、より安定して利用できる。
【0084】
本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31は、非誘発機能部位52が水酸基又はC
1〜C
5のアルキル基である構成なので、炎症部位のマクロファージに認識させて、抗炎症性サイトカインを産生させることが可能な、アポトーシス細胞と同様な効果を奏する、バイオミメテック材料の構成材料としてより容易に、かつ、より安定して利用できる。
【0085】
本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31は、前記合成高分子が、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸エステル)、ポリエチレングリコール(PEG)、脂肪族ポリエステル、ポリアミノ酸の群から選択されるいずれか一の高分子である構成なので、炎症部位のマクロファージに認識させて、抗炎症性サイトカインを産生させることが可能な、アポトーシス細胞と同様な効果を奏する、バイオミメテック材料の構成材料としてより容易に、より安定して、かつ、生体に異物として認識されないように利用できる。
【0086】
本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31は、前記多糖類が、アミロース、アミロペクチン、アルギン酸、ヒアルロン酸、キトサンの群から選択されるいずれか一の多糖類である構成なので、炎症部位のマクロファージに認識させて、抗炎症性サイトカインを産生させることが可能な、アポトーシス細胞と同様な効果を奏する、バイオミメテック材料の構成材料としてより容易に、より安定して、かつ、生体に異物として認識されないように利用できる。
【0087】
本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31の合成方法は、酸素に第1の保護基が結合されたホスホロアミダイト化合物と、カルボキシル基の酸素に第2の保護基が結合され、アミノ基のNに第3の保護基が結合された、水酸基を有するセリン化合物と、を反応させて、前記水酸基のHを前記ホスホロアミダイト化合物で置換して、第1〜第3の保護基が結合されたホスホリルセリン化合物を合成する工程S1と、前記第1〜第3の保護基が結合されたホスホリルセリン化合物を、合成高分子又は多糖類からなり、水酸基を有する生体適合性高分子と反応させて、前記水酸基のHを前記第1〜第3の保護基が結合されたホスホリルセリン化合物で置換して、第1〜第3の保護基が結合されたホスホリルセリン基(PhoSer基)を有する細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子前駆体を合成する工程S2と、前記細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子前駆体を酸化して、第1〜第3の保護基を脱離して、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子を合成する工程S3と、を有する構成なので、反応順序を考慮して、まず、活性化剤であるimidazole Hydrochlorideにより、ホスホロアミダイト化合物であるO−Benzyl N,N,N’,N’−tetraisopropyl phosphorodiamiditeとセリン化合物であるN−Z−L−serine benzyl esterとを反応させて、中間生成物(第1〜第3の保護基を有するホスホリルセリン化合物)を合成してから、次に、この中間生成物と生体適合性高分子とを結合・酸化反応させて、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子前駆体を合成してから、最後に、脱保護反応させることにより、水酸基をバランスよく反応させることができ、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子を容易にかつ確実に合成することができる。
【0088】
本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31の合成方法は、第1及び第2の保護基がベンジル基(benzyl基)であり、第3の保護基がベンジルオキシカルボニル基(benzyl oxycarbonyl基)である構成なので、水酸基をバランスよく反応させることができ、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子を容易にかつ確実に合成できる。
【0089】
本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31の合成方法は、前記活性化剤がイミダゾール・ハイドロクロライドである構成なので、水酸基をバランスよく反応させることができる。
【0090】
本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31の合成方法は、前記酸化剤がtert−butyl hydroperoxideである構成なので、結合反応生成物のリンを三価から五価に効率よく酸化することができる。
【0091】
本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31の合成方法は、前記脱保護剤がPd/Cである構成なので、第1〜第3の保護基を効率よく脱離することができる。
【0092】
本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子膜11は、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31が膜状凝集体とされており、膜状凝集体の少なくとも一面11aで細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位が露出されている構成なので、前記露出面を炎症部位のマクロファージに近接させることにより、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位をマクロファージに認識させて、抗炎症性サイトカインを産生させることが可能な、アポトーシス細胞と同様な効果を奏する、バイオミメテック材料として利用できる。これにより、心筋梗塞などの炎症を抑制できる。
【0093】
本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子分散液81は、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31が、水82中に一様に分散されている構成なので、前記細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子分散液を炎症部位のマクロファージに塗布することにより、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位をマクロファージに認識させて、抗炎症性サイトカインを産生させることが可能な、アポトーシス細胞と同様な効果を奏する、バイオミメテック材料として利用できる。これにより、心筋梗塞などの炎症を抑制できる。
【0094】
本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子接合粒子91は、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子31が疎水性高分子からなるナノ粒子92の表面から林立するように接合されている構成なので、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子接合粒子を炎症部位のマクロファージに滴下することにより、細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能部位をマクロファージに認識させて、抗炎症性サイトカインを産生させることが可能な、アポトーシス細胞と同様な効果を奏する、バイオミメテック材料として利用できる。これにより、心筋梗塞などの炎症を抑制できる。
【0095】
本発明の実施形態である細胞間情報伝達分子産生信号誘発機能高分子及びその合成方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で、種々変更して実施することができる。本実施形態の具体例を以下の実施例で示す。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0096】
(実施例1)
<O−Benzyl N,N,N’,N’−tetraisopropyl phosphorodiamiditeの合成>
以下に示すように、Kingらの合成方法(非特許文献6)を用いて、O−Benzyl N,N,N’,N’−tetraisopropyl phosphorodiamiditeを合成した。
【0097】
まず、窒素フロー下の二口フラスコ(300mL)に回転子、diisopropylamine 49mL、hexane 140mLを入れてから、マグネティックスターラーを用いて撹拌した。
次に、氷冷下、この溶液に、phospholus trichloride/hexane溶液(5mL/10mL)を、等圧滴下ロートにて、1mL/minの滴下速度で滴下した。
次に、この溶液を3時間室温で撹拌してから、80℃で22時間還流して、bis(diisopropylamino)chlorophosphineを合成した。
次の化学反応式(11)は、bis(diisopropylamino)chlorophosphineの合成スキームを示す式である。
【0098】
【化11】
【0099】
還流後、再び、反応容器を氷冷し、triethylamine(TEA)を24mL加えてから、等圧滴下漏斗でTEA/benzyl alcohol溶液(8mL/6mL)を滴下速度1mL/minで滴下して、氷冷下で25分撹拌し、更に、室温で35分撹拌した。
【0100】
次に、反応後の溶液中に存在する析出物をろ過により除去した。
更に、ロータリーエバポレーターで液体成分をある溶媒を完全に除去した。これにより、得られた残留物に20mLのhexaneを加えて残留物を溶解させた。
【0101】
次に、この溶液を分液ロートに移してから、80mLのacetonitrileにて分液抽出操作を行い、acetonitrile層を廃棄した。
次に、同様の操作を60mLのacetonitrileで2回行い、hexane層から不純物を除去した。
【0102】
次に、分液抽出操作により精製した溶液をロータリーエバポレーターにかけ、溶媒であるhexaneを完全に除去した。これにより、O−Benzyl N,N,N’,N’−tetraisopropyl phosphorodiamiditeを得た。
次の化学反応式(12)は、bis(diisopropylamino)chlorophosphineからO−Benzyl N,N,N’,N’−tetraisopropyl phosphorodiamiditeの合成スキームを示す式である。
【0103】
【化12】
【0104】
<NIPAAm−HMAAm copolymerの合成>
まず、100mLナスフラスコに回転子を入れ、エタノール50mLを注ぎ、モノマーとして再結晶にて精製したNIPAAm9.05gとHMAAm2.02gを入れ、重合開始剤としてazobisisobutyronitrile(AIBN)20mgを混和した。
【0105】
次に、本溶液を30分間、乾燥窒素でバブリングした後、70℃にて20時間撹拌した。
次に、ジエチルエーテルを貧溶媒とした再沈殿法にて精製した。
次に、真空ポンプで乾燥した。
以上のようにして、NIPAAm−HMAAm copolymerを合成した。
次の化学反応式(13)は、以上のフリーラジカル重合法によるNIPAAm−HMAAm copolymerの合成スキームを示す式である。
【0106】
【化13】
【0107】
<高分子反応による保護されたホスホリルセリン基を側鎖に有する3元共重合体の合成>
まず、窒素フロー、氷冷下の100mL二口フラスコに回転子を入れ、N−Z−L−serine benzyl ester(市販品)2.195g、dichloromethane 30mLを入れ、O−benzyl N,N,N’,N’−tetraisopropyl phosphorodiamidite/dichloromethane溶液(2.505g/15mL)を加えた。
次に、氷冷下でimidazole hydrochlorideを200mg加え、 室温で21時間撹拌して、反応中間体を得た。
次の化学反応式(14)は、この反応中間体の合成スキームを示す式である。
【0108】
【化14】
【0109】
次に、窒素雰囲気下にて、反応中間体に、NIPAAm−HMAAm copolymer2.5gとimidazole hydrochloride(652mg)を加え、以後45分毎にimidazole hydrochloride(652mg)を加えた後150分撹拌した。
【0110】
次に、溶液を氷冷し、tert−butyl hydroperoxideを2mL加え、2時間撹拌した後、10wt%NaHSO
3水溶液(20mL)と5wt%NaHCO
3水溶液(20mL)でリンの酸化反応をクエンチングした。
【0111】
次に、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒をすべて除き、残った固体成分をDMFに溶解させ、ジエチルエーテルと熱水を貧溶媒とした再沈殿をそれぞれ2回行い、真空ポンプで乾燥した。
以上の工程により、「保護されたホスホリルセリン基を側鎖に有する3元共重合体」を得た。
次の化学反応式(15)は、「保護されたホスホリルセリン基を側鎖に有する3元共重合体」の合成スキームを示す式である。
【0112】
【化15】
【0113】
<「保護されたホスホリルセリン基を側鎖に有する3元共重合体」の脱保護>
まず、「保護されたホスホリルセリン基を側鎖に有する3元共重合体」2.5gを氷酢酸50mLに溶解させてから、パラジウム炭素触媒100mgを分散させ、回転子とともに耐圧反応容器に入れてから、2気圧の水素雰囲気下で48時間激しく撹拌した。
次に、パラジウム炭素触媒と溶液を遠心分離操作にて分け、液相をジエチルエーテルに滴下して再沈殿法にて精製した。
以上の工程により、酸化剤を用いて三価のリンを五価になるまで酸化した後、脱保護して、ホスホリルコリン基を側鎖に有する高分子を合成した。
次の化学反応式(16)は、「保護されたホスホリルセリン基を側鎖に有する3元共重合体」の脱保護反応スキームを示す式である。
【0114】
【化16】
【0115】
<保護されたホスホリルセリン基の導入率の評価>
次に、化学反応式(15)で表されるスキームにて得られた「保護されたホスホリルセリン基を側鎖に有する3元共重合体」の水酸基に対する保護されたホスホリルセリン基の導入率(o/m)、すなわち、NIPAAm−HMAAm copolymerに対する保護されたホスホリルセリン基の導入率(o/m)の評価を行った。
評価法として1H−NMRスペクトルを測定し、保護基が有するベンジル基とNIPAAmが有するイソプロピル基の3級炭素に結合しているプロトンのピークの積分値を比較した。
【0116】
図15は、「保護されたホスホリルセリン基を側鎖に有する3元共重合体」の1H−NMRスペクトルである。
図15に示すように、7−8ppmにベンジル基由来のブロードなピークを確認し、反応の有意な進行を示唆するデータが得られた。
また、水酸基に対する導入率(o/m)を算出したところ、27%であると算出できた。これにより、高分子鎖全体の割合を考えると、約5%が保護されたホスホリルセリン基を有するブロックであると考えられた。
【0117】
<脱保護の評価>
次に、「保護されたホスホリルセリン基を側鎖に有する3元共重合体」の脱保護の評価を1H−NMRスペクトル及び濁度変化により行った。
まず、脱保護した高分子鎖の1H−NMRスペクトルを測定した。
図16は、脱保護した高分子鎖の1H−NMRスペクトルである。
図16では、7−8ppmに存在したベンジル基由来のピークが消失した。これにより、脱保護の有意な進行を確認した。
【0118】
次に、反応前のbareなNIPAAm−HMAAm copolymer(bare polymer)と、保護されたホスホリルセリン基を有するNIPAAm−HMAAm copolymer(serine added polymer)と、脱保護したホスホリルセリン基を有するNIPAAm−HMAAm copolymer(deprotected polymer)の3種の水溶液を作成した。
次に、各水溶液の温度変化による濁度変化を測定した。
【0119】
本高分子の大部分を構成するNIPAAmは、下限臨界共溶温度(LCST)を有する。NIPAAm高分子のLCSTは、自身が親水性になったときは高温側へ、疎水性になったときは低温側へ変動する。よって、各水溶液の温度変化による濁度変化によって、親疎水性の程度が分かり、それにより、脱保護の程度が分かる。
【0120】
図17は、bare polymer、serine added polymer及びdeprotected polymerのNIPAAm−HMAAm copolymer水溶液の温度変化による濁度変化を示すグラフである。
このグラフは、NIPAAm−HMAAm copolymerの各水溶液のLCSTの変化を示す。
図17に示すように、bare polymerの水溶液は、低温から高温にあげていくと、約46℃で100%から0%へ%T/%TMAXが変化した。すなわち、約46℃で透明な水溶液が濁った。bare polymerの水溶液のLCSTは46℃である。
serine added polymerの水溶液の場合、LCSTは44℃と低温側にシフトし、また、濁度変化の傾きも少しなだらかとなった。
deprotected polymerの水溶液のLCSTは50℃と高温側にシフトし、濁度変化の傾きもかなりなだらかとなった。
つまりNIPAAm−HMAAm copolymerへ対して保護されたホスホリルセリン基を付加した場合はLCSTが低温側へシフトし、脱保護することでLCSTが高温側へシフトした。
これにより、保護基は疎水性が強いことから、反応が有意に進行していることが示唆された。