(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206934
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】インクジェットカートリッジ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
B41J2/175 161
B41J2/175 175
B41J2/175 151
B41J2/175 119
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-526405(P2016-526405)
(86)(22)【出願日】2013年12月13日
(65)【公表番号】特表2016-527106(P2016-527106A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】CN2013089323
(87)【国際公開番号】WO2015007048
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2016年1月19日
(31)【優先権主張番号】201320433572.X
(32)【優先日】2013年7月19日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515178166
【氏名又は名称】ヂュハイ ナインスター マネジメント カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】ZHUHAI NINESTAR MANAGEMENT CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100120019
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 敏安
(72)【発明者】
【氏名】チェン ウェイジェン
【審査官】
加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−051312(JP,A)
【文献】
特開2013−086338(JP,A)
【文献】
中国実用新案第202862815(CN,U)
【文献】
特開2012−051313(JP,A)
【文献】
特開2012−158180(JP,A)
【文献】
特開2009−090668(JP,A)
【文献】
特表2012−526667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 − 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットプリンタに取外し可能に取り付けられるインクジェットカートリッジであって、
前記インクジェットプリンタは、前記インクカートリッジが前記インクジェットプリンタに取り付けられるインクカートリッジ取付方向に特定の間隔で2列に配列された複数のコンタクトピンを含み、
前記インクジェットカートリッジは、印刷用のインクを収納し、側壁及び前記側壁と交差する底壁を含むインクカートリッジ本体と、
前記インクカートリッジ本体に配置され、回路基板と前記回路基板に設けられた複数の端子及びメモリとを含むチップであって、前記複数の端子は1列に配置され且つ前記側壁に位置し、前記メモリは前記インクカートリッジの関連情報を記憶するためのものであるチップとを備え、
前記インクカートリッジ取付方向において前記複数の端子の上方に位置する突起がさらに設けられ、前記突起が前記インクカートリッジ取付方向の上列のコンタクトピンに対応する位置に設けられていることを特徴とするインクジェットカートリッジ。
【請求項2】
前記インクカートリッジには、複数の前記突起が設けられ、
前記複数の突起は、それぞれ前記複数のコンタクトピンのうち前記インクカートリッジ取付方向の上方の1列に位置する複数のコンタクトピンに対応し、各突起の幅は、当該突起に対応するコンタクトピンの幅以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項3】
前記複数の突起のいずれか1つは、前記複数の突起のうち当該突起に隣接する少なくとも1つの突起と一体に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項4】
前記インクカートリッジには、1つの前記突起が設けられ、
前記突起の幅は、前記複数のコンタクトピンのうち前記インクカートリッジ取付方向の上方の1列に位置する両端の2つのコンタクトピンの間の距離以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項5】
前記側壁は、前記インクカートリッジ取付方向に対して一定の傾斜角を形成し、
前記底壁は、前記インクカートリッジ取付方向に対して垂直であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項6】
前記側壁は、前記インクカートリッジ取付方向に対して平行であり、
前記底壁は、前記インクカートリッジ取付方向に対して垂直であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項7】
前記チップを取り付けるために用いられ、前記インクカートリッジに取外し可能に取り付けられ、前記突起が設けられたチップキャリアを備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項8】
前記回路基板は、第1表面及び前記第1表面と交差する第2表面を含み、前記第2表面の表面積は、前記第1表面より小さく、前記複数の端子は、前記第2表面に配置され、前記回路基板が前記インクカートリッジに装着された後、前記第1表面は、前記インクカートリッジ取付方向と交差する方向に位置することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項9】
前記チップを取り付けるために用いられ、前記チップが取り付けられるチップ取付方向
において前記チップの長さよりも小さい深さを有する取付溝をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項10】
前記複数の端子は、前記側壁から突出するように設けられ、
前記突起における前記複数の端子の突出方向の突出長さは、前記複数の端子の突出長さ以下であることを特徴とする請求項5に記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項11】
前記突起における前記複数の端子の突出方向の突出長さは、前記複数の端子の突出長さよりも大きいことを特徴とする請求項6に記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項12】
前記チップが配置された接続フレームをさらに備えていることを特徴とする請求項11に記載のインクジェットカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットの技術分野に関し、特にインクジェットカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、インクカートリッジの関連情報をリアルタイムで更新可能にするために、インクカートリッジにインクカートリッジの関連情報(例えば、インクの量、インクの種類及び製造日など)を記憶するためのチップが配置されることが一般的である。通常、チップには、情報を記憶するための記憶媒体及び前記憶媒体と接続された複数の端子が設けられている。インクカートリッジがプリンタに装着された後に、当該複数の端子が、プリンタ側のコンタクトピンと接触することで、チップとプリンタとの間の電気接続が確立される。また、プリンタ側のコンタクトピンは、通常、尾根状で且つ活動的な弾性導電体である。
【0003】
特許文献1では、
図1に示すように、チップの装着構成を簡潔化し、チップとプリンタとの間の電気接触の安定性を確保するために、チップの端子を、チップにおけるインクカートリッジの底面に近い端面に、1列に配列している。
【0004】
上記のチップに対応するプリンタのコンタクトピンは、チップが装着される際にチップの端子の下方に位置し、また、1列だけが各チップに対応する。このときにチップとプリンタとの間の接触を安定させることは、比較的容易である。しかし、一部のプリンタ(特に、2列のコンタクトピンがずれて配列されたプリンタ)において、上記のチップを用いた場合に、チップとプリンタとの間の接触を確保することが困難である。その理由は、以下のとおりである。2列のコンタクトピンが配置され、2列のコンタクトピンの間に一定の距離が設けられたプリンタにおいて、特許文献1に記載されたチップを用いる場合、チップとプリンタとの間の接触を確保して通信可能にするために、インクカートリッジがプリンタに挿入される挿入方向の上方に位置する上列のコンタクトピンは、必ず押圧によって変形する。これによって、インクカートリッジにおけるチップの各端子と対応する各コンタクトピンとの接触が確保される。しかし、複数回の実験から、インクカートリッジのチップをプリンタに装着する初期段階において、上列のコンタクトピンが変形して対応する端子と接触するにもかかわらず、チップを装着し続けるにつれて、上列のコンタクトピンは、インクカートリッジ取付方向と逆の方向へある程度移動して、元の接触位置からずれてしまい、その結果、上列のコンタクトピンはチップの端面に位置する端子と十分接触することができず、チップとプリンタとの間の正常な通信に影響を与えてしまうことがわかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願公開第201220380860.9号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来のインクジェットカートリッジでは2列のコンタクトピンが特定の間隔で設けられたプリンタに用いられる際にチップとプリンタとの間の電気接続の安定性を確保することができないという技術的問題を解決することができる、インクジェットカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的問題を解決すべく、本発明は以下の技術的解決手段を採用する。
【0008】
即ち、本発明に係るインクジェットカートリッジは、インクジェットプリンタに取外し可能に取り付けられる。前記インクジェットプリンタは、前記インクカートリッジが前記インクジェットプリンタに取り付けられるインクカートリッジ取付方向に特定の間隔で2列に配列された複数のコンタクトピンを含む。前記インクジェットカートリッジは、
印刷用のインクを収納し、側壁及び前記側壁と交差する底壁を含むインクカートリッジ本体と、
前記インクカートリッジ本体に配置され、回路基板と前記回路基板に設けられた複数の端子及びメモリを含むチップとを備えている。前記複数の端子は、1列に配置され、且つ、前記側壁に位置する。前記メモリは、前記インクカートリッジの関連情報を記憶するためのものである。
【0009】
前記インクカートリッジには、前記インクカートリッジ取付方向において前記複数の端子の上方に位置する突起がさらに設けられている。
前記突起は、前記インクカートリッジ取付方向の上列のコンタクトピンに対応する位置に設けられている。
【0010】
前記インクカートリッジには、複数の前記突起が設けられている。前記複数の突起は、それぞれ前記複数のコンタクトピンのうち前記インクカートリッジ取付方向の上方の1列に位置する複数のコンタクトピンに対応し、各突起の幅は、当該突起に対応するコンタクトピンの幅以上である。
【0011】
前記複数の突起のいずれか1つは、前記複数の突起のうち当該突起に隣接する少なくとも1つの突起と一体に形成されている。
【0012】
前記インクカートリッジには、1つの前記突起が設けられ、前記突起の幅は、前記複数のコンタクトピンのうち前記インクカートリッジ取付方向の上方の1列に位置する両端の2つのコンタクトピンの間の距離以上である。
【0013】
前記側壁は、前記インクカートリッジ取付方向に対して一定の傾斜角を形成し、前記底壁は、前記インクカートリッジ取付方向に対して垂直である。
【0014】
前記側壁は、前記インクカートリッジ取付方向に対して平行であり、前記底壁は、前記インクカートリッジ取付方向に対して垂直である。
【0015】
前記インクカートリッジは、前記チップを取り付けるために用いられるチップキャリアを備えている。前記チップキャリアは、前記インクカートリッジに取外し可能に取り付けられ、前記突起が設けられている。
【0016】
前記回路基板は、第1表面及び前記第1表面と交差する第2表面を含む。前記第2表面の表面積は、前記第1表面より小さい。前記複数の端子は、前記第2表面に配置されている。前記回路基板が前記インクカートリッジに装着された後、前記第1表面は、前記インクカートリッジ取付方向と交差する方向に位置する。
【0017】
前記インクカートリッジは、前記チップを取り付けるために用いられる取付溝をさらに備えている。前記取付溝は、前記チップが取り付けられるチップ取付方向において前記チップの長さよりも小さい深さを有する。
【0018】
前記複数の端子は、前記側壁から突出するように設けられ、前記突起における前記複数の端子の突出方向の突出長さは、前記複数の端子の突出長さ以下である。
【0019】
前記突起における前記複数の端子の突出長さは、前記複数の端子の突出長さよりも大きい。
【0020】
前記インクジェットカートリッジは、前記チップが配置された接続フレームをさらに備えている。
【発明の効果】
【0021】
上記の技術的解決手段によると、インクカートリッジに複数の端子が1列に配列されたチップが使用される際に、インクカートリッジチップが装着される過程において、突起がプリンタ側の上列のコンタクトピンに一定の押圧力を与える。これによって、コンタクトピンとチップの端子との接触状態が維持され、インクカートリッジが装着された後のチップとプリンタとの間の電気接続の安定性が確保される。これにより、従来のインクジェットカートリッジでは2列のコンタクトピンが特定の間隔で設けられたプリンタに用いられる際にチップとプリンタとの間の電気接続の安定性を確保することができないという技術的問題が解決される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1a】本発明の実施形態1に係るインクカートリッジの構成概略図である。
【
図1b】本発明の実施形態1に係るインクカートリッジの分解構成概略図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係るプリンタ側のコンタクトピンの分布概略図である。
【
図3a】本発明の実施形態1に係るチップキャリアの正面概略図である。
【
図3b】本発明の実施形態1に係るチップキャリアの背面概略図である。
【
図3c】インクカートリッジ本体におけるチップキャリアを収容するための取付部の概略図である。
【
図3d】チップキャリアとインクカートリッジ本体とが組み合わさった概略図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係るチップの構成概略図である。
【
図5a】本発明の実施形態1に係るインクカートリッジを取り付け始めるときにチップとプリンタのコンタクトピンとが協働する状態を示す概略図である。
【
図5b】本発明の実施形態1に係るインクカートリッジを所定の位置に取り付けるときにチップとプリンタのコンタクトピンとが協働する状態を示す概略図である。
【
図6a】本発明の実施形態2に係る接続フレームの概略図である。
【
図6b】実施形態2に係る接続フレームが適用されるインクジェットプリンタ側のコンタクトピンの分布概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、本発明に係る実施形態の図面を参照しつつ、本発明の実施形態における技術的解決手段について、明確且つ完全に説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の実施形態の一部であり、全部ではない。本発明の実施形態に基づいて当業者が創造的な業務を行わない前提の下で得られたすべてのほかの実施形態は、本発明の保護範囲内に属す。
【0024】
本発明の主な技術的解決手段は下記通りである。インクカートリッジに、インクカートリッジ取付方向においてチップの複数の端子の上方に位置する突起を設け、当該突起を利用して、インクカートリッジを装着する過程においてプリンタ側の上列のコンタクトピンがインクカートリッジ取付方向と逆の方向に移動するのを阻止する。これにより、上列のコンタクトピンが移動してチップ側の対応する端子との接触位置からずれるのを防ぎ、インクカートリッジがプリンタに取り付けられた後のチップとプリンタとの間の正常な通信が確保される。
【0025】
以下、具体的な実施形態及び図面を介して、本発明の主な技術的解決手段についてさら
に説明する。
【0026】
<実施形態1>
図1aは、実施形態1に係るインクカートリッジの構成概略図である。
図1bは、実施形態1に係るインクカートリッジの分解構成概略図である。
図2は、当該インクカートリッジが適用されるプリンタ側のコンタクトピンの分布概略図である。
【0027】
図1a及び
図1bに示すインクカートリッジ1は、インクジェットプリンタに取外し可能に取り付けられる。インクカートリッジ1は、主に、インクカートリッジ本体10と、インク吐出口11と、空気入口17と、ロック部とを備えている。インクカートリッジ本体10は、カートリッジ本体及び蓋が組み合わされたものであって、内部が印刷用のインクを収容するための筐体を形成しており、側壁101及び側壁101と交差する底壁102を含む。インク吐出口11は、インクカートリッジ本体10の底壁102に設けられ、インクカートリッジ1がプリンタに取り付けられた後に、プリンタにおけるインク供給口と接続され、印刷のためにインクカートリッジ本体10のインクをプリンタまで供給するためのものである。空気入口17は、インクカートリッジ本体10の蓋に設けられ、インクカートリッジ本体10の内部と連通し、インクを消費する際に外部からの空気をインクカートリッジ本体10の内部に補充してインクカートリッジ本体10の内部の圧力を調整するためのものである。ロック部は、インクカートリッジ1をプリンタに固定させるためのものである。具体的には、実施形態1において、ロック部は、インクカートリッジ本体10のもう1つの側壁103から外部へ延在するはみ出し部12と、インクカートリッジ本体10の上部に位置する曲線状の係止部13とを含む。インクカートリッジ1をプリンタに装着する過程において、はみ出し部12をプリンタ側に対応する適合構成(例えば凹部)に合わせ、インクカートリッジ1が上述した両者の合わせ箇所を回転の中心として時計回り(即ち、インクカートリッジ取付方向M)に回転するように、インクカートリッジ本体10の上部を押圧する。係止部13とプリンタ側の対応する機構とが合わされば、インクカートリッジ1がプリンタに固定される。ガイド部19は、はみ出し部12が位置する側壁103と対向し且つ側壁101と交差する側壁104に配置されている。ガイド部19は、インクカートリッジ1をプリンタに装着する過程において、インクカートリッジ1を所定方向に向かって装着するようにガイドし、インクカートリッジ1が所定の位置に装着されていることを確保するために用いられる。
【0028】
図2に示すように、プリンタには、尾根状で且つ活動的な弾性導電体である複数のコンタクトピン20が配置されている。各コンタクトピン20は、平滑領域201、境界領域203及び接触領域202を含み、接触領域202には、突出する接触形成部が設けられている。また、
図2からわかるように、複数のコンタクトピン20は、インクカートリッジ1がプリンタに装着されるインクカートリッジ取付方向Mに特定の間隔を有するR1及びR2の2列に配置されている。複数のコンタクトピン20は、互いにずれて配列されている。インクカートリッジ1がプリンタに装着された後、上列のコンタクトピンR1は、下列のコンタクトピンR2よりも、インクカートリッジ1の底壁102から離れている。
【0029】
図1aに示すように、インクカートリッジ本体10には、回路基板161と、回路基板161に設けられた複数の端子162及びメモリとを含むチップ16がさらに配置されている(不図示)。複数の端子162は、プリンタ側の複数のコンタクトピン20と接触することで、チップ16とプリンタとの間で電気接続を確立させてデータの交換を行うために用いられる。メモリは、複数の端子162の中で少なくとも1つの端子と接続されており、これによって、端子162とコンタクトピン20との間の電気接続によってプリンタと接続される。メモリは、例えばEEPROM、FLASH及びRAMなどの各形式の記憶媒体であってよく、インクカートリッジ1に関連する様々な情報(例えば、インク量の情報、インクカートリッジの生産製造情報など)を記憶するために用いられる。
【0030】
図4は、実施形態1に係るチップの構成概略図である。図に示すように、回路基板161は、第1表面1611及び第1表面1611と交差する第2表面1612を含む。第2表面1612の表面積は、第1表面1611より小さい。複数の端子162は、第2表面1612に1列に配列されている。端子の加工工程を簡潔化するために、各端子162が第2表面1612を貫通するように配置されることが好ましい。即ち、各端子162の一端は第1表面1611と交差し、各端子162の他端は第3表面と交差する。第3表面は、第1表面1611と対向し、第2表面1612と交差している。
【0031】
代替方法として、第2表面は、長方形の平面であってもよい。この場合、第2表面の最長線は、第1表面と第2表面とが交差する第1境界線、及び、第2表面と第3表面とが交差する第2境界線である。このとき、各端子162の一端は第1境界線と交差し、各端子162の他端は第2境界線と交差している。チップの端子及びプリンタのコンタクトピンが印刷の過程で相対移動によって両者の接続位置からずれないように、実施形態1では、第2表面1612に複数の溝163を設け、各溝163内に1つの端子162を配置している。即ち、溝163の数量と端子162の数量とが一致することが好ましい。もちろん、溝163の数量は、端子162の数量より多い又は少なくてもよい。具体的には、端子162は、端子162が位置する溝163の内表面の全体に分布されてもよく、溝163の底部に配置されてもよい。代替方法として、各溝163は、第2表面1612を貫通してよい。この場合、溝163の一端は第1表面1611と交差し、溝163の他端は第3表面と交差している。
【0032】
図1a及び
図3dに示すように、インクカートリッジ1がプリンタに取り付けられた後、側壁101は、インクカートリッジ取付方向Mに対して一定の傾斜角を形成する。即ち、インクカートリッジ取付方向Mに対して平行でも垂直でもない。一方、底壁102は、インクカートリッジ取付方向Mに対して垂直である。つまり、このときの側壁101は、インクカートリッジ取付方向Mに対して傾斜している。インクカートリッジ1がプリンタに装着された後、側壁101は、プリンタ側のコンタクトピンと対向する。従って、チップ16は、側壁101に位置するはずである。精確に説明すれば、回路基板161に配置された複数の端子162は、側壁101に位置するはずであり、しかもインクカートリッジ1の外部に向いて配置されている。複数の端子と複数のコンタクトピンとの間の接触を確保するために、複数の端子162を側壁101から突出するように配置することが好ましい。当該突出方向をIと表記する。即ち、複数の端子162は、側壁101よりも、複数のコンタクトピン20の近くに配置される。複数の端子は、側壁101に直接に配置されてもよい。この場合、インクカートリッジ本体10の寸法を調整すればよい。
【0033】
ユーザによるチップ又はインクカートリッジ本体の回収をしやすくするため、実施形態1では、チップ16がインクカートリッジ本体10のチップキャリア15に取外し可能に配置され、チップキャリア15が側壁101に配置されることが好ましい。また、
図1bに示すように、ユーザによるチップキャリア15の取り出しをしやすくするため、インクカートリッジ本体10におけるチップキャリア15に近い箇所に、インクカートリッジ1の外表面よりやや低い指収容部14が設けられている。これによって、ユーザが指収容部14に指を置いて作用力を付加することができ、チップキャリア15を外すのに便利である。
【0034】
図3a及び
図3bは、チップキャリアの正面及び背面の構成概略図である。
図3cは、インクカートリッジ本体におけるチップキャリアを収容するための取付部の概略図である。
図3dは、チップキャリアとインクカートリッジ本体とが組み合わさった概略図である。
図3aに示すように、チップキャリア15には、チップ16を取り付けるための取付溝152が設けられている。取付溝152において、チップ16は、第2表面1612がイ
ンクカートリッジ1の外部に向き、第1表面1611が側壁101と一定の角度で交差する形で取り付けられる。また、取付溝152におけるチップ取付方向の深さは、チップ16の当該方向の長さよりも小さい。チップ16が取付溝152に固定されることを確保するために、取付溝152の幅及び高さは、それぞれ回路基板161の幅及び高さに相当することが好ましい。
図3bに示すように、チップキャリア15の背面には、インクカートリッジ取付方向Mの上方に位置する上部位置決めピン153及びインクカートリッジ取付方向Mの下方に位置する2つの下部位置決めピン154が設けられている。インクカートリッジ本体10に位置する取付部18には、上部位置決めピン153と下部位置決めピン154との寸法、数量に対応する上部ガイドレール181及び下部ガイドレール182が設けられている。これによって、それぞれの位置決めピンとガイドレールとの協働だけでチップキャリア15をインクカートリッジ1に取り付けることができる。
図3dに示すように、チップキャリア15がインクカートリッジ本体10に取り付けられた後、チップキャリア15の背面は、インクカートリッジ本体10の側壁101と重なる。このとき、チップキャリア15に取り付けられたチップ16(複数の端子162)がインクカートリッジ本体10の側壁101に位置し、さらに、複数の端子162が側壁101から突出するように配置される。
【0035】
チップを溶接又は粘着など様々な方式でチップキャリアに取り付けてもよい。チップキャリアを使用せずに、チップを溶接又は粘着など様々な固定方式でインクカートリッジの側壁に取り付けてもよい。インクカートリッジの側壁において、チップキャリアを使用せずに、チップを直接に取り付けるための取付溝が直接に形成されてもよい。この場合、取付溝におけるチップ取付方向の深さは、チップの当該方向の長さよりも小さい。
【0036】
前述したように、複数の端子162が1列に配列されている一方、プリンタ側のコンタクトピン20は特定の高さを有するR1及びR2の2列である。そのため、インクカートリッジ1が装着される過程において、上列のコンタクトピンR1は、インクカートリッジ取付方向Mと逆の方向に沿って移動して、チップ16側の対応する端子との接触位置からずれやすい。その結果、チップ16とプリンタとの間の通信チャネルが確立されない。そのため、本願の発明者は、下記の内容を提案する。プリンタ側の上列のコンタクトピンR1におけるインクカートリッジ取付方向Mと逆の方向での移動を防止し、一定の阻止作用を果たすために、インクカートリッジ1に突起を設ける。当該突起は、インクカートリッジ取付方向Mにおいてチップの上方に位置し、精確に説明すれば、複数の端子162の上方に位置する。上記の目的を果たすために、突起の幅は、プリンタ側の上列のコンタクトピンR1の両端に位置する2つのコンタクトピン20の間の幅以上(即ち大きい又は同じ)である。
図3aに示すように、突起151は、チップキャリア15に直接に成形されており、複数の端子162の上方に位置する。これにより、突起151の形成の際に、便利な射出成形を適用することができ、工程が減少する。さらに、突起151における複数の端子162の突出方向Iの突出長さは、複数の端子162の突出長さ以下である。また、実施形態1では、突起151の断面は、三角形である。
図3dに示すように、チップキャリア15がインクカートリッジ本体に取り付けられる際に、突起151は、同様に側壁101に位置し、側壁101から突出している。
【0037】
突起は、インクカートリッジ本体(側壁101又は側壁104)に直接に設けられてもよい。突起における端子の突出方向において最も遠い箇所が端子を超えなければ、突起の断面は、他の多角形であってもよい。即ち、突起における端子の突出方向の突出長さは、端子の突出長さを超えない。
【0038】
図5a及び
図5bは、それぞれ、インクカートリッジを取り付け始めるとき、及び、インクカートリッジを所定の位置に取り付けるときに、チップ端子とコンタクトピンとが接触する概略図である。
図5aに示すように、インクカートリッジ1をプリンタに取り付け
始めるときに、複数の端子162のうち上列のコンタクトピンR1に対応する複数の端子は、それぞれ上列のコンタクトピンR1と当接する。インクカートリッジ1をさらに取り付けるにつれて、インクカートリッジ1は下方へ移動し、複数の端子が上列のコンタクトピンR1を駆動して下方へ移動する。上記のように、各コンタクトピンは、弾性変形可能な活動体である。即ち、このとき、上列のコンタクトピンR1は、インクカートリッジ1の装着につれて下方に変形する。このとき、突起151は、端子162の上方に位置するため、インクカートリッジ1を装着し続ける過程で同様に上列のコンタクトピンR1に押圧力を付加する。このため、上列のコンタクトピンR1は、下方に変形し且つ移動せざるを得ず、上方に移動することができない。これによって、上列のコンタクトピンR1と対応する複数の端子162との間の安定した接触が確保される。
図5bに示すように、インクカートリッジ1が確実に装着される(係止部13と対応する機構とが係合する)と、チップ16の移動が停止する。このとき上列のコンタクトピンR1は、下列のコンタクトピンR2との重複を有するエリアまで移動済みである。このとき、下列のコンタクトピンR2は、対応する複数の端子162と互いに接触している(即ち、プリンタ側のすべてのコンタクトピン20が対応する端子162と係合する)。それによって、チップ16とプリンタとの間での通信チャネルが確立される。
【0039】
インクカートリッジ1の取付過程からわかるように、実施形態1では、突起151における端子162の突出方向Iの突出長さは、端子162の当該方向の突出長さを超えない。このように限定する目的は、以下の通りである。チップ16を装着する過程において、上列のコンタクトピンR1と接触する接触箇所をなるべく各コンタクトピン20の境界領域203から離れさせる。なぜなら、実施形態1において、コンタクトピン20はプリンタにおいて傾斜して配置されており、上列のコンタクトピンR1及び下列のコンタクトピンR2は側壁101に対して平行な方向において異なる高さで配列されているため、当該接触箇所が境界領域に近い場合、コンタクトピンが変形しやすく、その結果、対応する端子との接触が実現されず、電気接続が確立されないからである。
【0040】
インクカートリッジには、複数の突起が設けられてもよい。当該複数の突起は、それぞれプリンタ側の上方のコンタクトピンR1のうちの複数のコンタクトピンに対応し、各突起の幅は当該突起に対応するコンタクトピンの幅以上である。この場合、複数の突起は、チップキャリア又はインクカートリッジと一体に形成されてもよく、或いは、個別の部分として個別に取り付けられてもよい。さらに、加工の工程を減らすために、複数の突起のいずれか1つが、複数の突起のうち当該突起に隣接する少なくとも1つ又は複数の突出と一体に形成又は一体に接続されてもよい。
【0041】
<実施形態2>
図6aは、実施形態2に係るインクカートリッジに用いられる接続フレームの概略図である。
図6bは、接続フレームが適用されるプリンタ側のコンタクトピンの分布概略図である。実施形態2において、インクカートリッジは、インクカートリッジ本体と、インクカートリッジ本体を収容するための接続フレーム30とを備えている。両者は取外し可能に組み合わされ、チップは接続フレームに配置されている。当該インクカートリッジでは、先に接続フレームをプリンタに装着し、次にインクカートリッジ本体をプリンタに装着してもよく、或いは、先に接続フレームとインクカートリッジ本体とを一体に組み合わせてからプリンタに装着してもよい。実施形態2では、前者の装着方法を採用している。
【0042】
図6aに示すように、接続フレーム30は、インクジェットプリンタに取外し可能に取り付けられる。接続フレーム30の内部には、インクカートリッジ本体を収容するための筐体31が設けられている。
図6aに示すように、チップ16は、複数の端子162が配置された第2表面1612が、接続フレーム30がプリンタに取り付けられる取付方向(即ち、インクカートリッジがプリンタに装着される取付方向)M1に対して平行となるよ
うに、接続フレーム30に装着される。また、接続フレーム30にも突起302が設けられている。突起302は、取付方向M1においてチップ16の複数の端子162の上方に位置する。このとき、プリンタのコンタクトピンが取付方向M1に対して平行となるようにプリンタに配置されており且つ当該方向において特定の間隔で2列に配列されているため、上列のコンタクトピンが取付過程で移動するのを防止するために、チップ取付方向(即ち、取付方向M1に対して垂直な方向)における突起302の突出長さは、チップ端子162の当該方向の突出長さよりも大きくなるように設けられている。
【0043】
突起は、インクカートリッジ本体に設けられてもよい。この場合、接続フレームは、突起が貫通可能で、チップ端子の上方に位置するような構成が形成されればよい。
【0044】
実施形態2における接続フレームとインクカートリッジ本体とが分離して配置された分離式インクカートリッジを、プリンタのコンタクトピンの配列方式に適用される一体式インクジェットカートリッジに代替してもよい。即ち、インクカートリッジは、インクカートリッジがインクジェットプリンタに取り付けられるインクカートリッジ取付方向に対して平行である側壁、当該取付方向に対して垂直である底壁、複数の端子が設けられたチップ、及び、突起を備えている。複数の端子は、側壁に位置し、側壁から突出するように配置されている。突起は、インクカートリッジ取付方向において複数の端子の上方に位置する。また、突起における複数の端子の側壁からの突出方向の突出長さは、複数の端子の突出長さよりも大きい。
【0045】
チップ取付方向において上列のコンタクトピンR1の移動を制限するための突起が設けられれば、チップは、第2表面が接続フレームの取付方向に対して垂直になるようにインクカートリッジ本体に付着されてもよい。
【0046】
各部品の機能は実施形態1に類似するため、ここでは説明を省略する。
【0047】
上記の技術的解決手段によって、複数の端子が1列に配列されたチップが用いられたインクカートリッジは、プリンタに装着された後、プリンタと安定した電気接続が確立され、インクカートリッジの正常の使用が確保されることが明らかである。また、チップの寸法を減少させるという目的が達成される。
【0048】
上記の各実施形態は、本発明の技術的解決手段について説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。上記の各実施形態を参照して本発明について詳細に説明したが、上記の各実施形態に記載された技術的解決手段について改変、又は技術的特徴の一部若しくは全部について同等置換することができる。これらの改変又は置換によって、対応する技術的解決手段の本質が本発明に係る各実施形態の技術的解決手段の範囲から逸脱することはない。
【符号の説明】
【0049】
1 インクカートリッジ
10 インクカートリッジ本体
101 側壁
103 側壁
104 側壁
102 底壁
11 インク吐出口
12 はみ出し部
13 係止部
14 指収容部
15 チップキャリア
151 突起
302 突起
152 取付溝
153 上部位置決めピン
154 下部位置決めピン
16 チップ
161 回路基板
1611 第1表面
1612 第2表面
162 端子
163 溝
17 空気入口
18 取付部
181 上部ガイドレール
182 下部ガイドレール
19 ガイド部
20 コンタクトピン
201 平滑領域
202 接触領域
203 境界領域
30 接続フレーム
31 筐体