特許第6206938号(P6206938)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6206938熱アシスト記録用のチャネルソースレーザーパルシングシステム構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206938
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】熱アシスト記録用のチャネルソースレーザーパルシングシステム構造
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/09 20060101AFI20170925BHJP
   G11B 5/02 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   G11B5/09 311B
   G11B5/02 S
【請求項の数】19
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-112881(P2012-112881)
(22)【出願日】2012年5月16日
(65)【公開番号】特開2012-248266(P2012-248266A)
(43)【公開日】2012年12月13日
【審査請求日】2015年5月13日
(31)【優先権主張番号】13/117,300
(32)【優先日】2011年5月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503116280
【氏名又は名称】エイチジーエスティーネザーランドビーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン コントレラス
(72)【発明者】
【氏名】ウエルドン ハンソン
(72)【発明者】
【氏名】バリー シー. スタイプ
(72)【発明者】
【氏名】リーハン ザカイ
【審査官】 川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−076646(JP,A)
【文献】 特開2005−004901(JP,A)
【文献】 特開2009−289331(JP,A)
【文献】 特開2009−043377(JP,A)
【文献】 特開平04−265522(JP,A)
【文献】 特開2000−228043(JP,A)
【文献】 特開2003−109202(JP,A)
【文献】 特開平01−292603(JP,A)
【文献】 特開平11−345439(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/111180(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/09
G11B 5/00 − 5/024
G11B 5/31 − 5/325
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードディスクドライブの集積回路であって、
磁気ディスクにおける磁気媒体を加熱する加熱素子を駆動する高周波信号を生成する第1の信号生成器と、
所定の設定に従って、前記高周波信号の位相を書き込みデータ信号の位相に同期させる位相制御器であって、前記書き込みデータ信号は、前記磁気ディスクへのデータの書き込みを制御する、位相制御器と、
前記加熱素子を駆動するために前記高周波信号を直流バイアスと結合する加算回路であって、前記直流バイアスの値はハードディスクドライブの動作状態に基づいて変化する、加算回路と、
を備え集積回路。
【請求項2】
前記書き込みデータ信号を生成する第2の信号生成器をさらに備え、
前記書き込みデータ信号は、前記磁気ディスクに書き込まれる受信データに基づく、
請求項1に記載集積回路。
【請求項3】
クロック信号を生成するクロック信号発生器をさらに備え、
前記クロック信号発生器は、前記書き込みデータ信号とは無関係に前記クロック信号を生成する、
請求項2に記載集積回路。
【請求項4】
前記所定の設定が、(i)前記高周波信号および前記書き込みデータ信号の前記位相を一致させること、または(ii)前記書き込みデータ信号が前記磁気媒体の磁気配向を反転させている時に、前記高周波信号が上昇している及び最大値にあるのうちの少なくとも一方であるように、前記高周波信号および前記書き込みデータ信号の一方の前記位相を他方の前記位相に対して変えること、を位相制御器に指示する、
請求項1に記載集積回路。
【請求項5】
前記高周波信号は、方形波または一連のパルスである、
請求項1に記載の集積回路。
【請求項6】
前記第1の信号生成器が、前記方形波または前記一連のパルスのデューティサイクルを前記所定の設定に従って変更することにより、前記磁気媒体を加熱する前記加熱素子の能力に影響を与える、
請求項5に記載集積回路。
【請求項7】
前記所定の設定を保存するメモリをさらに備える、
請求項6に記載の集積回路。
【請求項8】
システムであって、
磁気ディスクにおける磁気媒体を加熱する加熱素子を駆動する高周波信号を生成する手段と、
所定の設定に従って、前記高周波信号の位相を書き込みデータ信号の位相に同期させる第1の手段であって、前記書き込みデータ信号は、前記磁気ディスクへのデータの書き込みを制御する、第1の手段と、
を備える第1の集積回路と、
前記高周波信号を受信し、前記高周波信号を直流バイアスと結合させる加算回路と、
前記所定の設定に従って、前記高周波信号の位相を前記書き込みデータ信号の位相と同期させる第2の手段と、
を備える第2の集積回路と、
前記第1および第2の集積回路を結合する複数のデータパスを備える配線と、
を備えるシステム。
【請求項9】
システムであって、
磁気ディスクにおける磁気媒体を加熱する加熱素子を駆動する高周波信号を生成する手段と、
所定の設定に従って、前記高周波信号の位相を書き込みデータ信号の位相に同期させる第1の手段であって、前記書き込みデータ信号は、前記磁気ディスクへのデータの書き込みを制御する、第1の手段と、
を備える第1の集積回路と、
前記高周波信号を受信し、前記高周波信号を直流バイアスと結合させる加算回路、
を備える第2の集積回路と、
前記第1および第2の集積回路を結合する複数のデータパスを備える配線と、
を備え、
前記所定の設定に従って、前記高周波信号の位相を前記書き込みデータ信号の位相と同期させる第2の手段をさらに備え、前記第2の手段が、前記第2の集積回路に配置される、
システム。
【請求項10】
所定の直流バイアス設定を保存する第1のメモリを前記第2の集積回路上にさらに備え、前記直流バイアスは、前記所定の直流バイアス設定によって決定される、
請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記所定の直流バイアス設定を保存する第2のメモリを前記第1の集積回路上にさらに備え、前記所定の直流バイアス設定は、前記第2のメモリから前記配線を介して前記第1のメモリに送信される、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
システムであって、
磁気ディスクにおける磁気媒体を加熱する加熱素子を駆動する高周波信号を生成する手段と、
所定の設定に従って、前記高周波信号の位相を書き込みデータ信号の位相に同期させる第1の手段であって、前記書き込みデータ信号は、前記磁気ディスクへのデータの書き込みを制御する、第1の手段と、
を備える第1の集積回路と、
前記高周波信号を受信し、前記高周波信号を直流バイアスと結合させる加算回路、
を備える第2の集積回路と、
前記第1および第2の集積回路を結合する複数のデータパスを備える配線と、
を備え、
前記システムの環境パラメータに基づく情報を受信するフィードバック制御器を前記第2の集積回路上にさらに備え、前記フィードバック制御器は、前記情報を用いて前記直流バイアスを調整する、
システム。
【請求項13】
前記配線は、前記書き込みデータ信号および読み取りデータ信号の各々に割り当てられた少なくとも1つのデータパスを含み、前記読み取りデータ信号は、前記磁気ディスクから読み取られたデータビットを表す、
請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
システムであって、
磁気ディスクにおける磁気媒体を加熱する加熱素子を駆動する高周波信号を生成する手段と、
所定の設定に従って、前記高周波信号の位相を書き込みデータ信号の位相に同期させる第1の手段であって、前記書き込みデータ信号は、前記磁気ディスクへのデータの書き込みを制御する、第1の手段と、
を備える第1の集積回路と、
前記高周波信号を受信し、前記高周波信号を直流バイアスと結合させる加算回路、
を備える第2の集積回路と、
前記第1および第2の集積回路を結合する複数のデータパスを備える配線と、
を備え、
前記配線は、前記書き込みデータ信号および読み取りデータ信号の各々に割り当てられた少なくとも1つのデータパスを含み、前記読み取りデータ信号は、前記磁気ディスクから読み取られたデータビットを表し、
前記第1の集積回路は、前記読み取りデータ信号に割り当てられた前記配線の前記少なくとも1つのデータパスのみを用いて、前記第2の集積回路に前記高周波信号を送信する、
システム。
【請求項15】
ハードディスクドライブにおいて磁気ディスクの磁気媒体を加熱する加熱素子を駆動する信号を生成する方法であって、
書き込みデータ信号を受信する工程であって、前記書き込みデータ信号は前記磁気ディスクへのデータの書き込みを制御する、工程と、
前記ハードディスクドライブ内のクロック信号に基づいて前記加熱素子を駆動する高周波信号を生成する工程と、
所定の設定に従って、前記高周波信号の位相を前記書き込みデータ信号の位相に同期させる工程と、
前記高周波信号を直流バイアスと結合させる工程であって、前記直流バイアスの値は前記ハードディスクドライブの動作状態に基づいて変化する、工程と、
を含む方法。
【請求項16】
前記高周波信号および前記書き込みデータ信号が共に、前記クロック信号に基づく、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記所定の設定が、(i)前記高周波信号および前記書き込みデータ信号の前記位相を一致させること、または(ii)前記書き込みデータ信号が前記磁気媒体の磁気配向を反転させている時に、前記高周波信号が上昇している及び最大値にあるのうちの少なくとも一方であるように、前記高周波信号および前記書き込みデータ信号の一方の前記位相を他方の前記位相に対して変えること、を位相制御器に指示する、
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記高周波信号は、方形波または一連のパルスである、
請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記方形波または前記一連のパルスのデューティサイクルを前記所定の設定に従って変更することにより、前記磁気媒体を加熱する前記加熱素子の能力に影響を与える工程をさらに含む、
請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、全般的に、ハードディスクドライブにおける集積回路に関する。特に、本発明は、高保磁力媒体へのデータの書き込みに役立つ加熱素子を駆動する回路に関する。
【背景技術】
【0002】
平面記録層において記録ビットがほぼ垂直または面外配向で(記録層の面に対して平行ではなく)保存される垂直磁気記録は、ハートディスクドライブ等の磁気記録システムにおいて超高密度な記録密度を目指す1つの方法である。垂直磁気記録層は、通常、従来の磁気記録ディスクドライブにおける場合と同様に、ディスク基板上の連続層である。しかしながら、パターン化垂直磁気記録層を有する磁気記録ディスクドライブは、垂直配向でビットを記録することによりデータ密度を増加させる。パターン化媒体において、ディスク上の垂直磁気記録層は、同心データトラックに配列された、小さな分離データアイランドに編成される。パターン化データアイランドの磁気分離を生じさせるためには、データアイランド間の空間または領域の磁気モーメントは、存在しない、あるいは、これらの領域が基本的に非磁性となるように大幅に低減される。あるいは、データアイランド間の領域に磁気材料が存在しないように媒体を製造してもよい。
【0003】
連続垂直磁気記録媒体に関連する問題は、記録された磁化パターンの熱的不安定性である。連続垂直磁気記録層において、ディスク上の記録層用の磁気材料(または媒体)は、磁化データビットが正確に書き込まれ、且つ新しいデータビットによって書き換えられるまで磁化状態を維持するのに十分な保磁力を有するように選択される。データ面密度(ディスクの単位表面積当たりに記録できるビット数)が高くなるにつれて、データビットを構成する磁性粒子が非常に小さくなり、単に熱的不安定性または磁化ビット内での撹拌によって消磁され得る(いわゆる「超常磁性」効果)。保存された磁化の熱的不安定性を回避するために、高い磁気結晶異方性(K)を持つ媒体が必要とされ得る。しかしながら、記録媒体においてKが高くなると、比率K/M(但し、Mは、飽和磁化(単位体積当たりの磁気モーメント)である)に比例するスイッチング磁場Hも高くなる。スイッチング磁場Hは、磁気媒体が短い時間間隔にさらされた際に磁化方向を反転させるのに必要な磁場である。現代のハードディスクドライブに関しては、この時間間隔は、およそ1nsである。
【0004】
高保磁力媒体に十分に強いスイッチング磁場Hを与えるという問題に対処する方法の1つは、本願と同一の譲渡人に譲渡された(特許文献1)に記載された様な磁気記録ディスクを用いた熱アシスト記録(TAR)である。このディスクは、記憶または記録層としてのFePt等の高保磁力および高異方性の強磁性材料と、記録層の高保磁力および高異方性材料のキュリー温度を下回る転移温度で、反強磁性から強磁性(AF−F)への転移または変換を示す「転移」層としてのFeRhまたはFe(RhX)(但し、Xは、Ir、Pt、Ru、ReまたはOsである)の様な材料との二重層媒体を有する。記録層および転移層は、転移層が強磁性状態にある場合に、強磁性交換結合される。データを書き込むためには、レーザーまたは電気抵抗加熱器等の別の熱源を用いて、転移層の転移温度を上回るまで二重層媒体を加熱する。転移層が強磁性になると、二重層の磁化総量は増加し、結果的に、記録層の異方性を低下させることなく、磁化ビットを反転させるのに必要なスイッチング磁場が低下する。記録層および転移層の両方に、磁気ビットパターンが記録される。転移層の転移温度を下回るまで媒体が冷えると、転移層は反強磁性となり、高異方性記録層にビットパターンがとどまる。
【0005】
一般的に、レーザーは、磁気ディスクのスポット(すなわち1ビット)に焦点を合わせ、スポットを加熱し、磁気材料の保磁力を低下させ得る。次に、書き込みヘッドにより、加熱されたスポットを通るように所望の磁場が発射される。その結果、スポットの磁気材料が磁場と揃う。スポットが冷えるにつれ、保磁力が増加し、高異方性層の磁場が安定化する。従って、読み取り極は、スポットを通過し、磁場を検出し、ビットパターンを読み取ることができる。
【0006】
理想的には、レーザーは、磁気配向が書き込みヘッドによって変えられるビットにのみ焦点を合わせる。周辺のビットを加熱することにより、周辺ビットの保磁力が低下し、周辺ビットの配向が書き込みヘッドによって変えられる危険性が増加する。残念ながら、一般的に、光の回折限界により、レンズが光の波長の半分を下回るまでビームスポットを収束させることが阻まれる。光レーザーの波長を考えると、レンズは、光を約200nmに収束できる。1Tbの密度を達成しようとすると、レーザーのスポットサイズは、ビット幅、すなわち数十ナノメートルを近接して追従しなければならない。最近では、異なるミラーまたは導波路を用いて、光をその波長の4分の1にまで収束し得る。しかしながら、これによってもなお、磁気ディスクの1ビットのみに焦点を合わせるビームスポットは生成されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,834,026B2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
必要とされるのは、周辺のビットパターンに対するレーザーのビームスポットの影響を最小限に抑える装置である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、全般的に、ハードディスクドライブにおける集積回路に関する。特に、本発明は、高保磁力媒体へのデータの書き込みに役立つ加熱素子を駆動する回路に関する。
【発明の効果】
【0010】
レーザーを変調する高周波信号を生成する回路を設けることにより、書き込みが行われていない周囲のデータトラックへのビームスポットの影響が最小限に抑えられる。さらに、回路が、高周波信号を直流バイアスと結合させることにより、レーザーおよび高保磁力媒体に伝達されている熱をさらに制御することができる。追加の位相制御により、回路が、高周波信号および書き込み信号の各位相を同期化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の上記の特徴が詳細に理解できるように、そのうちの幾つかを添付の図面に示す実施形態を参照することにより、上記を簡潔に要約した、より具体的な本発明の説明が得られる。しかしながら、添付の図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示すものであり、本発明は他の同様に効果的な実施形態を容認できることから、本発明の範囲を限定するとみなされるものではない。
【0012】
図1】本発明の実施形態によるハードディスクドライブを示す。
図2】本発明の実施形態による加熱素子を駆動する低周波信号を示す。
図3】本発明のある実施形態による加熱素子を変調する低周波および高周波信号の組み合わせである。
図4A】本発明のある実施形態による書き込み信号および対応する加熱素子信号を示す。
図4B】本発明のある実施形態による書き込み信号および対応する加熱素子信号を示す。
図5】本発明の実施形態によるハードディスクドライブの図である。
図6】本発明の実施形態によるハードディスクドライブのブロック図である。
図7】本発明の実施形態によるハードディスクドライブのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態を参照する。しかしながら、本発明は、特定の記載された実施形態に限定されないことを理解されたい。それどころか、本発明を施行および実施するのに、以下の特徴および要素のいかなる組み合わせも、異なる実施形態に関連するか否かにかかわらず、考えられる。さらに、本発明の実施形態は、他の可能な解決法および/または従来技術を上回る利点を達成し得るが、ある特定の利点がある実施形態によって達成されるか否かは、本発明を限定するものではない。従って、以下の局面、特徴、実施形態および利点は、あくまで例を示したに過ぎず、クレームに明確に記載された場合を除いては、添付クレームの要素または限定とは見なされない。同様に、「本発明」への言及は、本明細書に開示した進歩性のある主題の一般化として解釈されるものではなく、且つクレームに明確に記載された場合を除いては、添付クレームの要素または限定であるとは見なされないものである。
【0014】
本発明は、一般に、熱アシスト記録(TAR)または熱アシスト磁気記録(HAMR)が使用可能なディスク記憶システムにおいて、加熱素子を駆動させる信号を提供する回路に関する。この回路は、磁気媒体の隣接するビットやトラックに対する加熱素子の影響を最小限に抑える高周波成分を含む信号を生成する。この回路は、加熱素子をさらに制御するために、信号に直流オフセットを加えてもよい。
【0015】
図1は、本発明を具体化するディスクドライブ100を示す。図示されるように、少なくとも1つの回転可能磁気ディスク112が、スピンドル114上に支持され、ディスク駆動モータ118によって回転される。各ディスクへの磁気記録は、磁気ディスク112上の同心データトラック(不図示)の環状パターンの形をとる。
【0016】
少なくも1つのスライダー113が、磁気ディスク112付近に位置し、各スライダー113は、ディスク面122を加熱する放射線源(例えば、レーザーまたは電気抵抗加熱器)を備え得る1つまたは複数の磁気ヘッドアセンブリ121を支持する。磁気ディスクが回転する際に、スライダー113は、ディスク面122上で半径方向の内側および外側に移動し、それによって、磁気ヘッドアセンブリ121が、所望のデータが書き込まれる磁気ディスクの異なるトラックにアクセスし得る。各スライダー113は、サスペンション115を経由して、アクチュエータアーム119に取り付けられる。サスペンション115は、ディスク面122に対してスライダー113を付勢する僅かなバネ力を提供する。各アクチュエータアーム119は、アクチュエータ手段127に取り付けられる。図1に図示されるようなアクチュエータ手段127は、ボイスコイルモータ(VCM)でもよい。VCMは、固定磁場内で移動可能なコイルを備え、コイルの移動の方向および速度は、制御装置129によって供給されるモータの電流信号によって制御される。
【0017】
TARまたはHAMRが使用可能なディスク記憶システムの動作中は、磁気ディスク112の回転により、スライダー113とディスク面122との間に、スライダー113上で押し上げ力または持ち上げる力を働かせる空気軸受が生じる。従って、空気軸受は、サスペンション115の僅かなバネ力を相殺し、通常動作中は、ディスク112の表面から離れた僅か上に、実質的に一定の僅かな間隔をあけてスライダー113を支持する。放射線源が高保磁力データビットを加熱することにより、磁気ヘッドアセンブリ121の書き込み素子が、データビットを正確に磁化し得る。
【0018】
ディスク記憶システムの様々な構成要素は、アクセス制御信号および内部クロック信号等の制御装置129によって生成される制御信号によって、動作中に制御される。通常、制御装置129は、論理制御回路、記憶手段およびマイクロプロセッサを備える。制御装置129は、ライン123上の駆動モータ制御信号や、ライン128上のヘッド位置およびシーク制御信号等の制御信号を生成することにより、様々なシステム動作を制御する。ライン128上の制御信号により、ディスク112上の所望のデータトラックにスライダー113を最適に移動および位置付けるための所望の電流プロファイルが与えられる。読み書き信号は、記録チャネル125を経由して、読み書きヘッド121と互いに伝達が行われる。
【0019】
一般的な磁気ディスク記憶システムの上記の記載および図1の添付図面は、説明を目的としたものである。ディスク記憶システムが多数のディスクおよびアクチュエータを含み、各アクチュエータが多数のスライダーを支持し得ることは明白である。
レーザー変調
【0020】
TARまたはHAMRに使用されるレーザーは、直流信号、交流信号、またはそれらの組み合わせ、あるいは両方によって動力を供給され得る。直流信号のみを用いたレーザーの駆動(または低周波モード)では、一定の熱が磁気ディスク112に与えられる。交流信号のみを用いたレーザー駆動では、信号のデューティサイクルの変更(一連の高周波パルスの場合)または書き込み信号の位相に対するレーザーを駆動する信号の位相の変更等の、より多くの柔軟性が与えられる。
【0021】
図面およびそれに付随する記載によれば、加熱素子としてレーザーを使用することが具体的に説明されているが、本発明はこれに限定されない。本明細書で説明した同じ原理が、ディスク記憶システムにおいて磁気媒体の一部分の加熱に使用されるいかなる装置にも適用され得る。
【0022】
図2は、本発明の実施形態による、磁気媒体を加熱する低周波手法である。図示するように、時間0において、レーザーはオフである。これは、ディスクドライブ100が磁気ディスク112からデータを読み取っている場合、または書き込みヘッドが下部のビットの磁気配向を変化させる必要のないディスク112の部分に到達した場合であり得る。どちらの場合も、データがディスクに書き込まれていない時には、レーザー信号は、好ましくはゼロである。このようにすることで、ビットの磁気配向を不安定にし得る磁気ディスク112の加熱をレーザーが行わないようにする。
【0023】
時間1において、回路(例えば、制御装置129)は、レーザーへの電流供給を開始する。本明細書中で使用するように、「レーザー電流」という用語は、「レーザー信号」と代替可能に使用でき、その差は、レーザー信号が、その後、レーザーを駆動する電流源に送信される、事前に増幅した電圧であり得る点である。ある実施形態においては、時間1は、書き込みヘッドに送られた書き込み信号と一致する。別の実施形態においては、書き込み信号(不図示)をレーザー信号に対して遅延させ、それによって、磁気ディスクの一部へのデータの書き込みを試みる前に、レーザーが、その部分をまず加熱してもよい。レーザーをオンにすると直ちに、直流信号は、指数関数的に減少する前に急上昇し得る。この急激な上昇により、磁気ディスクの一部が素早く加熱され、それによって、時間1において書き込みが同時に起こり得る。さらに、レーザーは、「暖まる」ための時間が必要な場合があり、従って、データ書き込みの初期段階において磁気ディスク112を十分に加熱するために、この急上昇によって得られる追加電流が必要とされる。
【0024】
時間1と時間2との間に、同心データトラック上の隣接するビットに対してレーザーからの熱が影響を与えないように、レーザー信号が減少する。例えば、実用化の際に、レーザースポットの強度は、均等分布ではなく、正規分布(すなわち、釣鐘曲線)として分布する。好ましくは、レーザースポットは、磁気配向が今後変化するビットのみに影響を与える(すなわち、均等分布)。しかしながら、正規分布の場合には、レーザースポットの一部が、別のビットと接触し、それに関連する磁気材料を加熱する。レーザーに供給される電流の減少により、隣接するデータトラック上に広がる熱が減少する。
【0025】
時間2において、レーザー信号は、再び上昇し始める。ある実施形態では、ディスクドライブ100は、温度センサーまたはレーザー出力検出器を備え、レーザーから磁気ディスク112へと伝達するエネルギー量を測定する。従って、センサーまたは検出器は、時間1において信号を急上昇させる効果をレーザー信号が過補償したことを示し得る。従って、時間2と時間3との間で、レーザー信号が徐々に上昇する、すなわち、電流を駆動する直流信号が上昇する。センサーまたは検出器により、レーザーがビットに最適な熱を与えることを可能にするフィードバックループが与えられる。時間3において、例えば、ディスクドライブ100の温度が安定化した時に、定常解が得られる。なお、ハードドライブ100は、変化した環境条件に応じて直流信号を調整し続けてもよい。
【0026】
図3は、本発明のある実施形態による、低周波信号を高周波信号と結合させることにより、磁気媒体を加熱するためのレーザーを変調するレーザー信号を示す。図2で生成された低周波信号を図3において繰り返し使用する。しかしながら、低周波信号には、高周波または交流信号が加算される。すなわち、図3は、直流オフセットを有する交流信号を示す。交流信号を加算することにより、高出力直流バイアスのみでレーザーが駆動される場合に生じ得るレーザー熱の拡散を許すことなく、磁気ディスク112の半径方向で規定される幅をより狭くして、レーザーがデータトラックを加熱することが有利に可能となる。
【0027】
図4A〜4Bは、本発明のある実施形態による書き込み信号および対応するレーザー信号を示す。図示するように、変調レーザー信号と同じグラフに、書き込み信号を含む。ある特定のトラックにおける、あるデータビット上を通過する書き込みヘッドに対応するように、書き込み信号を変調させる。正電圧を有する書き込み信号は、書き込みヘッドにおいて第1の極性を持つ磁場および対応するデータビットを生成し、負電圧は、データビットにおいて、第2の極性を持つ磁場を生成する。この様に、データは、データトラックに沿って、各データビットに書き込まれる。
【0028】
レーザー信号は、書き込み信号に対応し、低周波信号成分および高周波信号成分の両方を含む。低周波信号成分、すなわち直流バイアスは、短時間(すなわち、1マイクロ秒未満)の間には、ほとんど変化しないが、高周波成分(またはパルス)は、データクロック速度で、規定の振幅、周波数、位相、およびデューティサイクルを有する。さらに、高周波成分の周波数は、ハードドライブシステムにおけるクロック発生回路によって生成されるクロック信号から得られ得る、またはそのクロック信号と同じであり得る。幾つかの実施形態においては、レーザー信号の高周波信号成分の周波数は、必要条件ではないが、書き込みデータ信号の周波数とは無関係である。高周波信号は、方形波または一連のパルスではなく、正弦波、三角波、またはのこぎり波でもよい。図3に示すように、直流オフセットは、パルスの振幅またはデューティサイクルに干渉することなく変更され得る。同様に、振幅、周波数、位相およびデューティサイクルは、直流オフセットに影響を与えることなく変化し得る。例えば、ある実施形態においては、レーザー信号の周波数および位相は、クロック信号ではなく、書き込み信号の周波数および位相と一致するように調整されてもよい。
【0029】
高周波信号は、数百ヘルツから数十ギガヘルツに及び得る。ある実施形態においては、高周波信号は、ハードドライブのデータ速度、すなわち1〜2GHzに対応する。ハードドライブのデータ速度が上昇するにつれて、同じデルタで、高周波成分が増加し得る。さらに、高周波信号は、データ速度より速い速度(例えば、2〜6GHz)で動作し得る。
【0030】
図4Bは、時間0から時間1までの図4Aの拡大版を示す。
【0031】
[レーザー変調回路]
図5は、本発明の実施形態によるハードドライブの図である。ハードドライブ500は、磁気ディスク面112を有する磁気ディスク、磁気書き込みヘッドアセンブリ121、および特定のデータトラック上に書き込みヘッド121を位置決めするためのスライダー113等の、図1のハードドライブ100と同じ特徴を多く含む。ハードドライブ500は、チャネル配線504によって読み書き回路に接続するチャネル506も備える。ある実施形態においては、チャネル506は、別々の入力および出力を有する独立した集積回路である。別の実施形態においては、チャネル506は、ディスク電子カードまたはシステムオンチップ(SOC)等の、より大きな集積回路の一部である。すなわち、チャネル506は、SOCの単なる一部でもよく、SOCはハードドライブ500の他の機能を制御する。
【0032】
チャネル配線504は、1つまたは複数のワイヤーから成るケーブルであり、チャネル506と読み書き回路502との間でデータの転送を行う。読み書き回路502は、書き込みおよびレーザー信号を書き込みヘッドアセンブリ121に送信する集積回路である。さらに、読み書き回路502は、磁気ディスク面112から既に保存されたデータを読み出し、そのデータをチャネル506に送信し得る。
【0033】
図6は、本発明の実施形態によるハードドライブ500のブロック図である。図6は、チャネル配線504によって読み書き回路502に接続したチャネル506部分を有するSOC602を含む。具体的には、チャネル配線504は、実線で示した3つの割り当てられたデータパスと共に図示されている。チャネル配線504は、パルス状データ、例えばレーザー信号の高周波または低周波成分を運ぶ任意のデータパスを有していてもよい。本明細書において使用されるように、パルス状データには、レーザー信号の低周波成分および高周波成分の一方のみ、あるいはその両方が含まれ得る。データパスは、データを直列または並列に送信する複数の線またはワイヤーを含み得る。読み書き回路502は、チャネル506が受信した書き込みデータを使用して、図4A〜4Bに図示する書き込み信号を生成する。読み書き回路502は、磁気ディスク112から読み取った読み取りデータをSOC602に送信する。シリアルデータパスをさらに詳細に以下に説明する。
【0034】
ある実施形態では、読み取りデータおよびパルス状データが、同じデータパスを共有する。これにより、チャネル506が、従来のSOC602設計およびチャネル配線504と互換性を持つことができる。この実施形態では、アクセスされた際に、ハードドライブ500は、磁気ディスク112に書き込みを行っているか、磁気ディスク112から読み取りを行っているかであるが、決して、両方を同時に行うことはない。磁気ヘッドアセンブリ121は、データビットの磁場を検出する読み取り極、およびデータビットの磁場を変える書き込み極の両方を備える。仮に、この2つが同時にアクティブな状態になると、読み取り極は、下部のデータビットの磁場ではなく、書き込み極によって放射された磁場を検出し得る。クロストークおよび電力サージもまた、2つの別々の機能を妨害し得る。従って、チャネル506が書き込みデータを読み書き回路502に送信すると、読み書き回路502は、チャネル506への読み取りデータの送信は行わない(データのバッファリングはないと仮定する)。すなわち、磁気ディスク112に書き込みを行う際には、読み取りデータパスは使用されない。
【0035】
レーザー電流を駆動するパルス状データは、磁気媒体の不必要な加熱を防止するために、磁気ディスク112に書き込みを行う場合にのみ送信され得る。従って、パルス状データは、読み取りデータパス上で、読み取りデータと多重化され得る。言い換えれば、パルス状データ(またはレーザー信号)は、同じ割り当てられたデータパスを読み取りデータと共有する。この設計により、従来技術のチャネル配線504の使用が可能となると共に、別のパルス状データパスに対応するように、チャネル配線504に接続するチャネル506および読み書き回路502のインターフェースを再設計することを回避できる。このため、チャネル配線504におけるパルス状データパスは、割り当てられたデータパスが任意であることを示すために破線で示す。
【0036】
[チャネル集積回路]
図7は、本発明の実施形態によるハードドライブ500のブロック図である。図7は、SOC602、チャネル506および読み書き回路502を構成する異なる回路構成要素を詳細に示す。
【0037】
チャネル506は、書き込みデータ事前補償モジュール702、クロック信号モジュール704、チャネル位相制御706、パルス発生器708、パルス幅および位相制御レジスタ710、および直流バイアス/整形レジスタ712を含む。書き込みデータ事前補償モジュール702は、SOC602に含まれる他の構成要素またはハードドライブ500に関連するコンピュータシステムのどちらか一方から書き込みデータを受信する。具体的には、書き込みデータ事前補償モジュール702は、チャネル配線504の書き込みデータパスを介して書き込み回路502へとその後送信される書き込み信号を生成する。例えば、書き込みデータ事前補償モジュール702は、外側のセクターよりもデータが密に圧縮され得る磁気ディスクの中央に近いセクターにデータを書き込むために、より強い磁場を使用することを可能にする。さらに、書き込みデータ事前補償モジュール702は、特定の受信ビットパターンを位相シフトし得る。書き込みデータ事前補償モジュール702は、ビットパターンを図4Aに図示するような書き込み信号へと変換する。すなわち、書き込みデータ事前補償モジュール702の出力は、正から負の値へと推移する信号から成る。この値に従って、ある極性を有する磁場が、磁気ヘッドアセンブリ113の書き込み極に形成される。
【0038】
クロック信号モジュール704は、ハードドライブ500用のクロック信号を生成するか、ハードドライブにおけるクロック発生回路からマスタークロック信号を受信するかのどちらかである。例えば、クロック信号モジュール704は、適切なクロック信号を生成するための発振器を備えていてもよい。次に、クロック信号モジュール704は、書き込みデータ事前補償モジュール702およびパルス発生器708の両方にクロック信号を送信する。クロック信号はそれぞれの部品によって使用され、レーザー信号および書き込みデータ信号の一方または両方が生成され得る。クロック信号は、データ速度に伴って速度は増加し得るが、1〜2Gb/s(ギガバイト/秒)のデータ速度に対応する1〜2GHzの範囲であり得る。すなわち、クロック信号は、2GHzを超過し得る。
【0039】
ある実施形態では、レーザー信号の高周波成分を生成するために使用されるクロック信号は、書き込みデータ信号に基づいては生成されない。すなわち、クロック信号モジュール704は、書き込みデータ信号を入力として受け入れないが、代わりに、書き込みデータ信号とは無関係にレーザー信号を生成するためのクロック信号を生成する。この様に、クロック信号を用いて、レーザー信号および書き込みデータ信号の両方を生成し得る。
【0040】
パルス発生器708は、レーザーを駆動するレーザー信号を生成する。ある実施形態においては、パルス発生器708は、1つの信号成分を有するレーザー信号を生成するのみである。すなわち、低または高周波成分のどちらかが、後に別の集積回路においてレーザー信号に加算され得る。とはいえ、レーザー信号の低および高周波成分は、その後、低周波成分には直接連結を用い、高周波成分には交流結合(コンデンサ)を用いて、互いに結合され得る。ある実施形態においては、チャネル506上のパルス発生器708は、レーザー信号の高周波成分のみを生成する。パルス発生器708は、パルス幅および位相制御(PW/PC)レジスタ710から入力を受け取る。PW/PCレジスタ710は、ROM、フラッシュメモリ、MRAM、DRAM、またはSRAM等の揮発性または不揮発性メモリのどのような形態で実施されてもよい。さらに、PW/PCレジスタ710は、SOCの別の部分に位置する、あるいはハードドライブ500とは別の装置に格納されてもよい。
【0041】
一般に、PW/PCレジスタ710に保存された設定は、書き込みデータ信号に対する高周波信号の初期位相に加えて、パルス幅(すなわちデューティサイクル)を決定する。図4A〜4Bに図示するように、レーザー信号、すなわちパルス発生器708によって生成された信号のデューティサイクルは、約50%である。すなわち、PW/PCレジスタ710の保存された設定は、パルス発生器708に送信された際に、パルス発生器708が、2分の1サイクルオンであり、2分の1サイクルオフである高周波パルスを有する信号を生成する設定である。PW/PCレジスタ710の設定は、製造の際に読み込む(すなわち予め決定されている)、または以下に説明するフィードバックループを用いて動的に変更してもよい。PW/PCレジスタ710の設定は、隣接するデータトラックに対するレーザーの影響を低減する(すなわち、直流信号によってのみ動力を供給されるレーザーと比較して、レーザーのスポットサイズの広がりを低減する)デューティサイクルを生じさせるように、有利に変更できる。さらに、PW/PCレジスタ710は、パルス発生器708によって生成される高周波信号の振幅を制御し得る。
【0042】
高周波パルスの振幅、周波数、およびパルス幅(すなわちデューティサイクル)の制御に加えて、チャネル位相制御706は、書き込みデータ事前補償モジュール702およびパルス発生器708によって生成された書き込み信号の各位相を同期させる。チャネル位相制御706は、パルス発生器708の高周波信号および書き込み信号を入力として受け取り、高周波信号の位相を書き込み信号の位相と比較することによって、高周波信号の位相を調整する。例えば、位相制御706は、位相ロックループ(PLL)であってもよい。一般に、書き込みデータ信号およびレーザー信号の高周波成分の位相検出器は、2つの信号間の位相の制御にその後使用されるPLLへの入力装置である。ある実施形態では、書き込みデータ事前補償モジュール702からの書き込み信号は、書き込み信号をパルス発生器708の高周波信号と比較するための基準信号として機能する。PLLは、フィードバックループの発振器の周波数を調整し、それによって2つの信号の位相を同期させる。位相調整されたレーザー信号は、次にパルス発生器708に戻される。図4A〜4Bは、書き込み信号およびレーザー信号の両方を位相制御706に通過させる効果を、その結果生じた固定位相と共に示す。
【0043】
ある実施形態では、チャネル位相制御706は、所定の位相シフトをPW/PCレジスタ710から受け取る。例えば、位相シフトはゼロであり、その場合には、書き込み信号およびレーザー信号の位相が互いに同じとなる(すなわち一致する)。あるいは、位相シフトは、一方の信号を他方の信号に対して遅延させてもよい。
【0044】
ある実施形態では、位相制御706は、データ信号の遷移に対応するようにレーザー信号および書き込みデータ信号の位相を調整する所定の設定を有していてもよい。例えば、書き込みデータ信号が遷移している時(すなわち、書き込みデータ信号が、下部の磁気媒体の配向を変えている時)には、位相制御106は、レーザー信号のパルスまたは高周波成分もまた同時に上昇している、あるいはピークに達しているように、これらの信号の位相を同期させてもよい。より強いレーザー信号によって、磁気媒体が加熱され、保磁力が低下する。
【0045】
図7において、パルス発生器708によって生成されたパルス状データ(すなわち、高周波信号)は、増幅器に供給され、読み書き回路502に送信されてもよい。あるいは、パルス状データは、破線で表すように、チャネル配線504の読み取りデータパス上に多重化されてもよい。同様に、書き込みデータ、すなわち書き込み信号は、チャネル配線504におけるデータパスを介して読み書き回路502へと送信される。
【0046】
ある実施形態では、チャネル506は、レーザー信号の高周波信号のみを生成し得るが、それでもなお、ROM、フラッシュメモリ、MRAM、DRAM、またはSRAM等の揮発性または不揮発性メモリのどのような形態でも実施され得る直流バイアス/整形レジスタ712に低周波信号の設定を保存してもよい。より詳細に以下に説明するように、直流バイアス/整形レジスタ712は、ハードドライブ500において測定された環境パラメータに基づき、レーザー信号の直流バイアスまたは低周波信号を調整するために必要な情報を有する。このようなパラメータには、ハードドライブにおける温度または磁気ディスクの温度が含まれる。さらに、直流バイアス/整形レジスタ712には、最初にレーザーの電源をオンにした時などの特定の出来事の間にレーザーの直流バイアスを予め定める設定が含まれ得る。例えば、図2において、時間1と時間2との間に示すように、磁気材料が素早く温まるように、直流バイアスは急上昇するが、指数関数的に減少し得る。従って、直流バイアス/整形レジスタ712に保存された設定は、低周波信号を支配し得る。対照的に、測定された環境パラメータは、立ち上げが完了した後に(例えば図2の時間2から時間3まで)、低周波信号を制御し得る。この場合、直流バイアス/整形レジスタ712は、磁気ディスク112の測定温度に応じて直流バイアスを決定するルックアップテーブルを備えていてもよい。図7を再び参照すると、チャネル配線504は、シリアルデータパスを介して、直流バイアス/整形レジスタ712を読み書き回路502に接続している。
【0047】
[読み書き集積回路]
図7は、書き込みデータ、パルス状データ、およびシリアルデータが、チャネル配線を介して読み書き回路502に渡されることを示している。次に、書き込みデータ(すなわち書き込み信号)は、増幅され、例えば磁気ヘッドアセンブリ121上に位置する書き込みヘッド極に送信され得る。読み書き回路502は、パルスバッファ716、読み書き(R/W)位相制御714、パルス整形レジスタ718および直流バイアスレジスタ720を備える。パルスバッファ716は、レーザー信号の高周波成分、すなわち、レーザー信号が一連のパルスまたは方形波である場合のパルス状データをチャネル配線504から受け取る。
【0048】
ある実施形態では、パルスバッファ716は、受け取ったレーザー信号をR/W位相制御714へと送信する。R/W位相制御714は、チャネル位相制御706に類似したPLLによって実施されてもよい。R/W位相制御714を用いて、温度等の環境パラメータによって生じる、書き込み信号とレーザー信号との間の位相シフトを補正してもよい。すなわち、R/W位相制御714は、上記の実施形態による書き込み信号およびレーザー信号の位相を再同期させる。
【0049】
パルスバッファ716は、低周波信号成分(すなわち直流レーザー信号)と高周波信号成分(例えばレーザーパルス信号)とを結合するパルス整形レジスタ718からパルス整形設定も受信する。通常、高周波信号成分を運ぶ高速信号パスは、差動構造を必要とし、それによって、AMPバッファからの伝送線効果を十分に制御できる。パルスバッファ716を用いることにより、伝送線効果を無効にし、信号忠実度を保つことができる。図示するように、チャネル配線504のシリアルデータパスは、チャネル506上に位置する直流バイアス/整形レジスタ712からR/W回路502上に位置するパルス整形レジスタ718へと、パルス整形設定を送信する。パルス整形レジスタ718は、ROM、フラッシュメモリ、MRAM、DRAM、またはSRAM等の揮発性または不揮発性メモリのどのような形態で実施されてもよい。ある実施形態においては、パルス整形設定は、パルス整形レジスタ718を用いることなく、パルスバッファへ直接送信されてもよい。別の実施形態においては、パルス整形設定は、読み書き回路502へ送信されるのではなく、チャネル506上のパルス発生器708に送信されてもよい。次に、パルス整形設定をパルスバッファ716によって用いることにより、パルス発生器708によって生成した信号(例えば、一連の高周波パルス)のフィルタリングおよび整形を行う。それによって、帯域幅の限定された通信チャネルにおいてレーザー信号を送信する際に、指定の周波数帯に信号を適合させることができる。
【0050】
R/W位相制御714が、書き込み信号およびレーザー信号の位相を再同期させ、パルス整形設定をレーザー信号に適用した後、パルスバッファ716は、直流オフセットまたはバイアスを高周波パルスに加算する加算器722へとレーザー信号を送信する。直流バイアスレジスタ720は、パルスバッファ716を離れるレーザー信号に直流オフセット(すなわち、低周波成分)を与え、ROM、フラッシュメモリ、MRAM、DRAM、またはSRAM等の揮発性または不揮発性メモリのどのような形態で実施されてもよい。前述のように、直流バイアスレジスタ720は、最初にレーザーの電源をオンにした時などの特定の出来事の間にレーザーの直流バイアスを予め定める設定を提供し得る。加算器722を離れた後、レーザー信号は、図4A〜4Bに示すレーザー信号と実質的に同じように見え得る。次に、レーザー信号は、レーザードライバー(LD)ポートを介して、変調電流へと変換されるべく、レーザードライバーへと送信される。
【0051】
ある実施形態では、磁気ディスク112またはハードドライブ500自体の温度等の環境パラメータを測定するためのセンサーまたは検出器を備える。図7に示すように、センサーまたは検出器からの出力がフィードバックループを形成し、レーザー信号の直流バイアスを調整する。センサーからの出力は、読み書き回路502の熱センサー(TS)ポートによって受信され、増幅され、回路素子724へと送られる。回路素子724は、センサーの出力および直流バイアスレジスタ720の出力を取り込み、調整直流オフセットを決定する。次に、回路素子724は、レーザー信号の高周波成分に加算するべく、調整直流オフセットを加算器722に送信する。図2を参照して、時間2と時間3との間で、センサーは、データビットの磁気媒体の保磁力を大幅に低下させるには磁気ディスクの温度が低すぎることを検出し得る。従って、回路素子724は、センサーの出力を受信し、レーザーにより多くの電流を与えるように直流オフセットを増加させ、磁気媒体上でビームスポットの強度を強める。
【0052】
ある実施形態では、回路素子724、直流バイアスレジスタ720、加算器722、およびTSポートは、チャネル506上に位置していてもよい。この様に、回路素子724、加算器722、およびTSポートをチャネル506に配置することにより、レーザー信号の低および高周波成分の両方を結合し得る。これにより、チャネル506上に位置する直流バイアス/整形レジスタ712から、読み書き回路502上に位置する直流バイアスレジスタ720へと直流バイアス設定を送信する必要性を有利に無くすことができる。代わりに、直流バイアス/整形レジスタ712は、回路素子724に直接接続する。
【0053】
ある実施形態では、ハードドライブ500は、環境パラメータを監視するセンサーまたは検出器を備えていなくてもよい。直流オフセットフィードバックループ(すなわち、直流バイアスレジスタ720、回路素子724、およびTSポート)を読み書き回路506上に配置することにより、磁気ディスク112付近に配置され得るセンサーの近くにこれらのループ素子が移動する。
【0054】
ある実施形態では、チャネル506および読み書き回路502を、単一の集積回路に一体化してもよい。その様にすることによって、両者間のチャネル配線504が排除される。さらに、書き込み信号およびレーザー信号がチャネル506と読み書き回路502との間で送信される際に、温度が書き込み信号およびレーザー信号の同期した位相を大幅に変えることがもはやないので、読み書き位相制御714は不必要であり得る。さらに、パルス整形レジスタ718および直流バイアスレジスタ720の機能は、直流バイアス/整形レジスタ712によって行われ得る。
【0055】
上述の記載は本発明の実施形態に関するが、本発明の基本範囲から逸脱することなく、本発明の他の実施形態およびさらなる実施形態を考案することができ、本発明の範囲は、以下のクレームによって決定されるものである。
【符号の説明】
【0056】
500 ハードドライブ
502 読み書き回路
504 チャネル配線
506 チャネル
602 SOC
702 書き込みデータ事前補償モジュール
704 クロック信号モジュール
706 チャネル位相制御
708 パルス発生器
710 パルス幅および位相制御レジスタ
712 直流バイアス/整形レジスタ
714 読み書き位相制御
716 パルスバッファ
722 加算器
724 回路素子
718 パルス整形レジスタ
720 直流バイアスレジスタ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7