(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る物品搬送フィーダの一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る物品搬送フィーダ100の外観構成の概略を示した側面構成図である。この物品搬送フィーダ100は、工場内において部品、食品または薬品などの各種物品を搬送対象物品として供給を受けてこの搬送対象物品を一時的に保持しつつ一方から他方に向かって断続的に搬送する振動式のホッパ装置である。
【0020】
(物品搬送フィーダ100の構成)
物品搬送フィーダ100は、基台101を備えている。基台101は、物品搬送フィーダ100を構成する各種部品を支持する土台となる部品であり、金属製の板材を方形の枠状に組んで構成されている。この基台101は、物品搬送フィーダ100が設置される床面に直接またはゴム材などの防振用弾性部材を介してボルトなどの固定具によって固定される。一方、基台101上には、トラフ支持体102およびトラフ103が設けられている。
【0021】
トラフ支持体102は、トラフ103を搬送対象物品(図示せず)の搬送方向(図示左方向)に往復変位させるために弾性変形しながら支持する部品であり、搬送対象物品を載置したトラフ103を支持可能な金属製の板状体で構成されている。より具体的には、トラフ支持体102は、
図2に示すように、方形状の板材における図示上下方向に延びる2つの側縁部の中央部をそれぞれ折り曲げた屈曲縁102aを有して構成されている。
【0022】
これにより、トラフ支持体102は、2つの屈曲縁102aによって同屈曲縁
102a間の部分が座屈や曲げに対する剛性が高められるとともに屈曲縁102aが形成されていない幅方向両端部間が弾性変形し易く形成されている。このトラフ支持体102は、トラフ103が搬送対象物品を搬送する搬送方向に対してトラフ支持体102の板面が面する向きで同搬送方向および同搬送方向に直交する幅方向にそれぞれ2つずつ設けられている。
【0023】
そして、4つの各トラフ支持体102は、水平方向に対して傾斜した状態で図示下側の端部が基台101にボルトによってそれぞれ固定的に連結されているとともに、図示上側の端部がトラフ103のホッパ台105にボルトによってそれぞれ固定的に連結されている。この場合、4つの各トラフ支持体102は、好ましくは、後述するトラフ駆動ユニット110が発生させる押引力Fの延長線FLに対して4つの各トラフ支持体102の板面の延長線TLが直交する角度で取り付けられるとよい。この場合、より好ましくは、押引力Fの延長線FLは、4つのトラフ支持体102が支持する物体全体の重心位置SP、具体的には、トラフ103およびトラフ駆動ユニット110の全体の重心位置SPを通るとよい。
【0024】
トラフ103は、搬送対象物品を収容しつつ一方から他方に向かって搬送する収容部兼案内路を構成する部品であり、主として、ホッパ104およびホッパ台105をそれぞれ備えて構成されている。これらのうち、ホッパ104は、搬送対象物品を一時的に保持しつつ前記一方(図示右側)から他方(図示左側)に向かって搬送する長尺の金属製容器である。このホッパ104は、搬送対象物品を載置する底部のうちの三方、具体的には、ホッパ
104の幅方向および搬送対象物品の搬送方向後方側(図示右側)に壁部が設けられているとともに搬送対象物品を導入する図示上方および搬送対象物品を送り出す搬送方向前方側(図示左側)が開放されて投入口104aおよび排出口104bがそれぞれ形成されて構成されている。
【0025】
ホッパ台105は、ホッパ104およびトラフ駆動ユニット110をそれぞれ支持する部品であり、金属製の板材を井桁状に組んで構成されている。この場合、ホッパ台105は、ホッパ104を搬送対象物品の搬送方向前方に向かって下り傾斜となるように支持している。また、ホッパ台105における搬送対象物品の搬送方向後端部には、トラフ駆動ユニット110が設けられている。なお、
図1において、ホッパ104の図示上方に示す破線矢印はトラフ103の往復振動方向を示しており、ホッパ104の排出口104bの前方(図示左側)に示す破線矢印は搬送対象物品の搬送方向を示している。
【0026】
トラフ駆動ユニット110は、
図3に示すように、電気エネルギを直線往復運動に変換してトラフ103を往復変位させるための押引力Fを発生させる駆動力発生機構であり、金属製の板材を箱状に形成したケース111内に主として、駆動モータ112、駆動側円盤体113、環状伝動体114、従動側円盤体115,116、ウエイト駆動軸117,118、不平衡ウエイト121,122、スリーブ123,124をそれぞれ備えている。これらのうち、駆動モータ112は、後述する制御装置130によって作動制御されてウエイト駆動軸117,118をそれぞれ回転駆動させる電動モータであり、ケース111内に固定されている。この駆動モータ112の駆動軸112aには、駆動側円盤体113が設けられている。
【0027】
駆動側円盤体113は、駆動モータ112の回転駆動力を環状伝動体114を介して従動側円盤体115,116にそれぞれ伝動するためのプーリである。この駆動側円盤体113は、環状伝動体114が巻き掛けられる円周面に環状伝動体114に噛み合う凹凸状の歯(図示せず)が形成されている。すなわち、駆動側円盤体113は、本実施形態においては、所謂歯付プーリである。
【0028】
環状伝動体114は、駆動側円盤体113の回転駆動力を従動側円盤体115,116にそれぞれ伝動するための環状の平ベルトである。この環状伝動体114の表裏面には、駆動側円盤体113および従動側円盤体115,116にそれぞれ噛み合う凹凸状の歯(図示せず)がそれぞれ形成されている。そして、この環状伝動体114は、
図4に示すように、環状伝動体114の裏面(内側面)に駆動側円盤体113および従動側円盤体115がそれぞれ巻き掛けられるとともに環状伝動体114の表面(外側面)に従動側円盤体116が掛けられている。これにより、従動側円盤体115が駆動側円盤体113と同じ回転方向に回転駆動するとともに従動側円盤体116が駆動側円盤体113および従動側円盤体115の回転方向に対して逆方向に回転駆動する。
【0029】
従動側円盤体115,116は、環状伝動体114によって伝動される回転駆動力をウエイト駆動軸117,118にそれぞれ伝動するためのプーリであり、ウエイト駆動軸117,118の各先端部に取り付けられている。これらの従動側円盤体115,116は、環状伝動体114が掛けられる円周面に環状伝動体114に噛み合う凹凸状の歯(図示せず)が形成されている。すなわち、従動側円盤体115,116は、本実施形態においては、所謂歯付プーリである。
【0030】
ウエイト駆動軸117,118は、不平衡ウエイト121,122をそれぞれ保持して回転駆動する金属製の棒体であり、ウエイト駆動軸117とウエイト駆動軸118とが互いに平行な状態でベアリングを介してケース111内に回転自在に保持されている。この場合、ウエイト駆動軸117とウエイト駆動軸118とは、互いのウエイト駆動軸118およびウエイト駆動軸117にそれぞれ設けられた不平衡ウエイト122および不平衡ウエイト121が接触しない間隔を介して配置されている。本実施形態においては、ウエイト駆動軸117,118は、各回転軸の軸間距離Lが不平衡ウエイト121,122の各回転半径Rよりも長くかつ同回転半径の2倍の長さよりも短い長さに設定されている。そして、これらのウエイト駆動軸117,118には、不平衡ウエイト121,122およびスリーブ123,124がそれぞれ取り付けられている。
【0031】
不平衡ウエイト121,122は、
図5に示すように、トラフ103を往復振動させる押引力Fを発生させるための部品であり、平面視で四分円形状に形成した金属製の板状体で構成されている。これらの不平衡ウエイト121,122は、四分円形状における中心側にウエイト駆動軸117,118が貫通する貫通孔121a,122aが形成されるとともに、これらの各貫通孔121a,122aに連通した状態でそれぞれ2つずつのスリワリ121b,122bがそれぞれ形成されている。
【0032】
また、不平衡ウエイト121,122には、前記2つずつのスリワリ121b,122bにおける一方に連通した状態で雌ネジからなるボルト穴がそれぞれ形成されており、これらのボルト穴にそれぞれボルト121c,122cがねじ込まれている。このボルト121c,122cのねじ込み量によって貫通孔121a,122aの内径が弾性的に変化してウエイト駆動軸117,118の保持力が増減する。
【0033】
これらの不平衡ウエイト121,122は、ウエイト駆動軸117,118にそれぞれ2つずつ取り付けられている。この場合、ウエイト駆動軸117に取り付けられた2つの不平衡ウエイト121と、ウエイト駆動軸118に取り付けられた2つの不平衡ウエイト122とは、ウエイト駆動軸117,118の軸線方向における互い接触し合うことがない異なる位置に取り付けられている。本実施形態においては、不平衡ウエイト121,122は、不平衡ウエイト121と不平衡ウエイト122とが軸線方向に沿って交互に配置されている。この場合、各2つずつの不平衡ウエイト121,122は、各不平衡ウエイト121,122間にスリーブ123、124を介してウエイト駆動軸117,118にそれぞれ2つずつ取り付けられている。
【0034】
スリーブ123,124は、ウエイト駆動軸117,118上における不平衡ウエイト121,122の位置を規定するための金属製の部材であり、ウエイト駆動軸117,118が貫通する円筒状に形成されている。これらの各スリーブ123,124は、不平衡ウエイト121と不平衡ウエイト122とが軸線方向に沿って交互に配置される厚さ、具体的には、不平衡ウエイト121,122の厚さより厚い厚さで形成されている。したがって、スリーブ123,124は、ウエイト駆動軸117,118上においてスリーブ123が不平衡ウエイト122に対向配置されるとともに、スリーブ124が不平衡ウエイト121に対向配置される。これにより、不平衡ウエイト121と不平衡ウエイト122とを軸線方向に沿って交互に配置する組立工程が容易となる。
【0035】
これらの各スリーブ123,124は、各ウエイト駆動軸117,118上において不平衡ウエイト121,122と交互に配置されてビスにより各ウエイト駆動軸117,118に固定されている。また、各ウエイト駆動軸117,118ごとの2つのスリーブ123,124のうちの一方のスリーブ123,124には、外周面に目盛り125が形成されている。目盛り125は、不平衡ウエイト121,122のウエイト駆動軸117,118上での周方向の位置を特定するためのものであり、ウエイト駆動軸117,118の軸線方向に延びる棒線が周方向に等間隔に並んで形成されている。この目盛り125が形成されたスリーブ123,124が、本発明に係る目盛りスリーブに相当する。
【0036】
制御装置130は、マイクロコンピュータによって構成されており、図示しないドライブ回路を介して駆動モータ112の作動を制御する。この制御装置130は、物品搬送フィーダ100の使用者からの指示を入力する入力装置131および制御装置130の作動状態を表示する表示装置132をそれぞれ備えている。したがって、制御装置130は、使用者によって予め設定された回転数または入力装置131を介して入力された回転数で駆動モータ112を回転駆動させる。なお、この制御装置130は、基台101およびトラフ103から離れた位置に別体で設けられるが、基台101上に固定して設けるようにしてもよい。
【0037】
また、基台101上における4つトラフ支持体102のうちの搬送対象物品の搬送方向前側の2つのトラフ支持体102が傾倒する後方には、ストッパ140が設けられている。ストッパ140は、トラフ103の過度な振動を防止するための部品であり、過度に傾倒した前記前側の2つのトラフ支持体102の上端部を受け止めるゴム材などの弾性部材を備えて構成されている。
【0038】
(物品搬送フィーダ100の作動)
次に、上記のように構成した物品搬送フィーダ100の作動について説明する。この物品搬送フィーダ100は、搬送対象物品が組み付けられる各種製品を製造する製造ライン中において、搬送対象物品の搬送が必要な箇所に設置される。この場合、物品搬送フィーダ100は、ホッパ104の上方が搬送対象物品が導入できるよう開放されるとともに、排出口104bの前方には搬送対象物品を必要とする機械装置(例えば、搬送対象物品を整列させて製品に組み付ける機械装置)(図示せず)が配置される。
【0039】
物品搬送フィーダ100を使用する使用者は、物品搬送フィーダ100におけるホッパ104の押引力Fの設定、換言すれば、ホッパ104が搬送対象物品を搬送する出力の設定を行う。このホッパ104の押引力Fの設定は、ウエイト駆動軸117,118にそれぞれ取り付けられた各2つずつの不平衡ウエイト121,122における各ウエイト駆動軸117,118ごとの2つの不平衡ウエイト121,122間の周方向の相対的な位置関係、およびウエイト駆動軸117,118の回転数によって規定される。
【0040】
すなわち、ホッパ104の押引力Fは、
図6(a)〜(e)にそれぞれ示すように、ウエイト駆動軸117,118の回転軸心に対する不平衡ウエイト121,122の重心CPのずれ量およびウエイト駆動軸117,118の回転数によって規定される。この場合、不平衡ウエイト121,122の重心CPは、ウエイト駆動軸117,118にそれぞれ設けられた2つの不平衡ウエイト121,122の全体の重心であり、この全体の重心の回転軸心に対するずれ量はそれぞれ2つずつの不平衡ウエイト121,122の周方向の相対的な位置関係で規定される。なお、
図6(a)〜(e)においては、ウエイト駆動軸117,118の回転方向を破線矢印で示している。
【0041】
したがって、使用者は、ウエイト駆動軸117,118ごとに2つずつの不平衡ウエイト121,122の周方向の相対位置を調整する。より具体的には、使用者は、ウエイト駆動軸117に取り付けられている2つの不平衡ウエイト121の一方(好ましくは、目盛り125が形成されたスリーブ123に隣接する不平衡ウエイト122)のボルト121cを弛めて他方の不平衡ウエイト121に対する周方向の位置を調整する。
【0042】
この場合、使用者は、一方の不平衡ウエイト121を他方の不平衡ウエイト121の周方向位置に一致(周方向の回転角0°)させることによってホッパ104の押引力Fを最大にすることができるとともに、一方の不平衡ウエイト121を他方の不平衡ウエイト121に対してウエイト駆動軸117を介して対向配置(周方向の回転角180°)することによってホッパ104の押引力Fを最小(理論上は「0」)にすることができる。すなわち、使用者は、一方の不平衡ウエイト121を他方の不平衡ウエイト121に対して周方向の回転角を0°〜180°(または0°〜−180°)の範囲で設定することによってホッパ104の押引力Fを最大から最小までの範囲で任意の大きさの押引力Fを無段階に設定することができる。また、使用者は、スリーブ123に形成された目盛り125を確認しながら不平衡ウエイト121の周方向の位置を正確に位置決めすることができる。この場合、使用者は、不平衡ウエイト121における貫通孔121aの外側に形成されたスリワリ121bを用いたり貫通孔121aの外周面に印しを付けておくことで目盛り125に対する位置決めを行い易くすることができる。
【0043】
使用者は、不平衡ウエイト121の位置決めを行った後、同じ要領でウエイト駆動軸118に取り付けられている2つの不平衡ウエイト122の一方(好ましくは、目盛り125が形成されたスリーブ124に隣接する不平衡ウエイト122)のボルト122cを弛めて他方の不平衡ウエイト122に対する周方向の位置を調整する。これらの不平衡ウエイト121,122の周方向の位置調整作業において、使用者は、各ウエイト駆動軸117,118の回転駆動時に不平衡ウエイト121,122の各重心CPに作用する遠心力CFの向きが180°ごとに互いに一致する向きに調整する。本実施形態においては、使用者は、不平衡ウエイト121と不平衡ウエイト122とをウエイト駆動軸117,118の軸線方向から見て線対称となるように位置決めする。
【0044】
これにより、
図6(a)〜(e)にそれぞれ示すように、トラフ駆動ユニット110が発する押引力Fは、不平衡ウエイト121,122の各回転面の径方向に発生する遠心力CFのうち、2つのウエイト駆動軸117とウエイト駆動軸118を結ぶ方向であるホッパ104の幅方向の遠心力CF成分が除去されて同幅方向に直交する方向に作用する遠心力CF成分のみで構成される。すなわち、トラフ駆動ユニット110は、ホッパ104に向かう方向に直線的に往復変位する押引力Fを発生させる。
【0045】
次いで、使用者は、駆動モータ112の回転数を設定する。具体的には、使用者は、入力装置131を操作して制御装置130の電源をONにした後、入力装置131を操作して制御装置130に対して駆動モータ112の2つの回転数を規定する第1周波数および第2周波数をそれぞれ設定する。この場合、第1周波数とは、4つのトラフ支持体102が支持する物体全体の固有周波数(「固有振動数」ともいう)、具体的には、トラフ103およびトラフ駆動ユニット110の全体の固有周波数よりも高い周波数であって、ホッパ104内の搬送対象物品を搬送することができる程度にホッパ104を往復振動させる周波数である。また、第2周波数とは、前記4つのトラフ支持体102が支持する物体全体の固有周波数よりも高い周波数であって、かつ前記第1周波数よりも低くホッパ104内の搬送対象物品を搬送することがない程度にホッパ104を往復振動させる周波数である。
【0046】
本実施形態においては、4つのトラフ支持体102が支持する物体全体の固有周波数が5〜8Hzであるとともに第1周波数が20Hz〜35Hzである。したがって、使用者は、第1周波数として20Hz以上かつ35Hz以下で設定(例えば、30Hz)するとともに、第2周波数として9Hz以上かつ20Hz未満で設定(例えば、12Hz)する。
【0047】
次に、使用者は、物品搬送フィーダ100による搬送対象物品の搬送を開始させる。具体的には、使用者は、貯留容器からホッパ104に対して供給搬送対象物品の供給を開始させた後、入力装置131を操作して制御装置130に対して駆動モータ112の回転駆動を指示する。この指示に応答して制御装置130は、予め設定された回転数、具体的には、前記第1周波数に対応する回転数で駆動モータ112の回転駆動を開始させる。
【0048】
これにより、トラフ駆動ユニット110は、ウエイト駆動軸117とウエイト駆動軸118とが互いに逆方向に同じ回転数で回転駆動することによって不平衡ウエイト121,122の周方向の位置に応じた押引力Fを発生させるとともに同押引力Fによってトラフ103を往復振動させる。したがって、物品搬送フィーダ100は、トラフ103がトラフ駆動ユニット110による押引力Fによって往復振動してホッパ104内の搬送対象物品を排出口104b側に移動させる。
【0049】
一方、使用者は、物品搬送フィーダ100による搬送対象物品の搬送を一時的に中断する場合には、入力装置131を操作して制御装置130に対して駆動モータ112の待機運転を指示する。この指示に応答して制御装置130は、予め設定された回転数、具体的には、前記第2周波数に対応する回転数で駆動モータ112を回転駆動させる。
【0050】
これにより、トラフ駆動ユニット110は、第2周波数に対応する回転数に応じた押引力F、すなわち、ホッパ104内の搬送対象物品の搬送には不十分な押引力Fを発生させるとともに同押引力Fによってトラフ103を往復振動させる。したがって、物品搬送フィーダ100は、ホッパ104内で搬送対象物品を移動させることなく保持した状態でトラフ103を往復振動させた待機状態となる。
【0051】
そして、使用者は、再び、物品搬送フィーダ100による搬送対象物品の搬送を再開する場合には、入力装置131を操作して制御装置130に対して駆動モータ112の搬送運転を指示する。この指示に応答して制御装置130は、予め設定された回転数、具体的には、前記第1周波数に対応する回転数で駆動モータ112を回転駆動させる。これにより、物品搬送フィーダ100は、前記第1周波数に対応する押引力Fによってトラフ103が往復振動してホッパ104内の搬送対象物品が排出口104b側に移動される。この場合、物品搬送フィーダ100は、トラフ104の往復振動を増加させる過程において4つのトラフ支持体102が支持する物体全体の固有周波数(本実施形態においては5〜8Hz)を通過しないため、トラフ104を共振させることなく円滑に前記第1周波数に対応する押引力Fによって往復振動させることができる。
【0052】
また、使用者は、物品搬送フィーダ100による搬送対象物品の搬送を中断する場合には、入力装置131を操作して制御装置130に対して駆動モータ112の運転停止を指示する。この指示に応答して制御装置130は、駆動モータ112の回転駆動を停止させる。そして、使用者は、入力装置131を操作して制御装置130の電源をOFFにすることによって物品搬送フィーダ100の作動を完全に停止させて搬送対象物品の搬送作業を終了することができる。なお、使用者は、搬送対象物品の搬送仕様に応じて不平衡ウエイト121,122のウエイト駆動軸117,118の周方向の位置を変更することにより押引力Fの大きさを変更して搬送対象物品の搬送を続行または再開させることもできる。
【0053】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、物品搬送フィーダ100は、2つのウエイト駆動軸117,118の回転軸間距離Lが不平衡ウエイト121,122の回転半径Rよりも長くかつ同回転半径Rの2倍の長さよりも短い長さに設定されている。すなわち、物品搬送フィーダ100は、2つのウエイト駆動軸117,118における一方のウエイト駆動軸117に保持された不平衡ウエイト121と他方のウエイト駆動軸118に保持された不平衡ウエイト122とが互いに外周部より内側に入り込むことによりウエイト駆動軸117,118の軸線方向に互いに重なって配置されるように2つのウエイト駆動軸117,118が近接配置されている。これにより、物品搬送フィーダ100は、2つのウエイト駆動軸117,118の回転軸間距離Lをより短く設定できるため、装置構成をコンパクト化することができる。
【0054】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下で説明する各変形例においては、上記実施形態と同様の構成部分に同じ符号を付して説明は適宜省略する。
【0055】
例えば、上記実施形態においては、2つのウエイト駆動軸117,118にそれぞれ2つずつの不平衡ウエイト121,122を設けた。しかし、不平衡ウエイト121,122は、2つのウエイト駆動軸117,118にそれぞれ少なくとも1つずつ設けられていればよい。
【0056】
また、上記実施形態においては、スリーブ123,124を用いて不平衡ウエイト121,122のウエイト駆動軸117,118の軸線方向における位置決めを行った。しかし、不平衡ウエイト121,122は、スリーブ123,124を省略してもウエイト駆動軸117,118の軸線方向における位置決めを行うことができることは当然である。
【0057】
また、上記実施形態においては、スリーブ123,124に目盛り125を形成することにより不平衡ウエイト121,122のウエイト駆動軸117,118の周方向における位置決めを行った。しかし、不平衡ウエイト121,122は、目盛り125を省略してもウエイト駆動軸117,118の周方向における位置決めを行うことができることは当然である。
【0058】
また、上記実施形態においては、不平衡ウエイト121,122は、ウエイト駆動軸117,118の周方向の位置をボルト121c,122cを弛めることによって変更可能構成した。しかし、不平衡ウエイト121,122は、ウエイト駆動軸117,118の周方向の位置を変更不能、すなわち、ウエイト駆動軸117,118に対して固定的に設けることもできる。
【0059】
また、上記実施形態においては、トラフ駆動ユニット110は、2つのウエイト駆動軸117,118の各回転軸線が4つのトラフ支持体102の板面の延長線TLに平行になるように構成した。すなわち、トラフ駆動ユニット110は、押引力Fが重心SPに向かう向きに傾斜して設けられている。しかし、トラフ駆動ユニット110は、前記トラフ103を搬送対象物品の搬送方向に往復振動させることができるように同搬送方向に沿った押引力Fを発生させる向きに設けられていればよい。したがって、トラフ駆動ユニット110は、例えば、延長線TL回りの任意の回転角度で設けることができる。
【0060】
また、トラフ駆動ユニット110は、例えば、
図7に示すように、2つのウエイト駆動軸117,118を水平方向にそれぞれ平行に延びる向きで設けることもできる。この場合、2つのウエイト駆動軸117,118にそれぞれ設けられる各不平衡ウエイト121,122は、
図8(a)〜(e)にそれぞれ示すように、各ウエイト駆動軸117,118の回転駆動時(回転方向を破線矢印で示す)に不平衡ウエイト121,122の各重心CPに作用する遠心力CFの向きが180°ごとに互いに一致する向きであって、かつこれらの互いに一致する遠心力CFが重心SPに向かうように調整される。
【0061】
なお、
図7においては、トラフ駆動ユニット110内の駆動モータ112および各不平衡ウエイト117,118をそれぞれ破線で示している。また、
図8(a)〜(e)においては、トラフ駆動ユニット110を水平状態で示しており、(a)における各遠心力CFがそれぞれ重心SP側に向くとともに(d)における各遠心力CFがそれぞれ重心SPとは反対側に向いた状態を示している。
【0062】
これによれば、物品搬送フィーダ100は、トラフ駆動ユニット110が発生させる押引力Fの作用方向を不平衡ウエイト121,122の周方向の取付位置によって変更することができる。すなわち、物品搬送フィーダ100は、重心SPに対するトラフ駆動ユニット100が発生させる押引力Fの作用方向を調整することができるため、トラフ103の振動効率を向上させることができるとともにトラフ103上に載置される搬送物品対象物の変更にも柔軟に対応することができる。
【0063】
また、上記実施形態においては、制御装置130は、駆動モータ112を第1周波数および第2周波数にそれぞれ対応する2つの回転数で選択に回転駆動するように構成した。しかし、制御装置130は、駆動モータ112を1つの回転数のみで、または3つ以上の回転数で選択的に回転駆動するように構成することもできる。
【0064】
また、上記実施形態においては、物品搬送フィーダ100は、2つのウエイト駆動軸117,118を1つの駆動モータ112で駆動するように構成した。しかし、物品搬送フィーダ100は、2つのウエイト駆動軸117,118をそれぞれ1つの駆動モータ112、すなわち、2つの駆動モータ112で駆動するように構成することもできる。
【0065】
また、上記実施形態においては、物品搬送フィーダ100は、基台101上にトラフ支持体102を介してトラフ103を直接支持した所謂1振動系で構成されている。すなわち、上記実施形態における物品搬送フィーダ100は、トラフ103を共振現象によって振動させるものではなく、トラフ駆動ユニット110が発生させる押引力Fで直接往復振動させるため、ホッパ104内の搬送対象物品の量が変化するホッパ装置には特に好適である。しかし、本発明に係る物品搬送フィーダは、基台上に2つの質量系を浮動的に支持してこれら2つの質量系を共振させて搬送対象物品を搬送する所謂2振動系の物品搬送装置にも適用できることは当然である。