特許第6206970号(P6206970)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206970
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】動力作業機用回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/20 20060101AFI20170925BHJP
   F16D 49/00 20060101ALI20170925BHJP
   F16D 65/06 20060101ALI20170925BHJP
   F16D 65/807 20060101ALI20170925BHJP
   F16D 65/28 20060101ALI20170925BHJP
   F16D 121/16 20120101ALN20170925BHJP
   F16D 125/60 20120101ALN20170925BHJP
【FI】
   H02K5/20
   F16D49/00 A
   F16D65/06
   F16D65/807
   F16D65/28
   F16D121:16
   F16D125:60
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-190430(P2014-190430)
(22)【出願日】2014年9月18日
(65)【公開番号】特開2016-63651(P2016-63651A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2016年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 武彦
(72)【発明者】
【氏名】清水 直明
(72)【発明者】
【氏名】八野井 聡
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正樹
(72)【発明者】
【氏名】山岸 善彦
【審査官】 森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−251252(JP,A)
【文献】 実開平3−34660(JP,U)
【文献】 特開2009−303312(JP,A)
【文献】 特開平10−121982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/20
F16D 49/00
F16D 65/06
F16D 65/28
F16D 65/807
F16D 121/16
F16D 125/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力作業機(1)の動力源となるエンジン(E)に連動連結されると共にブレーキ機構(B)により制動可能な動力作業機用回転電機であって、
エンジン本体(Em)に固定されるステータ(S)と、そのステータ(S)を囲繞する筒部(Yc)の一端に底壁部(Yb)を連ねて有底円筒状に形成され且つエンジン(E)のクランク軸(5)に結合されるヨーク(Y)と、そのヨーク(Y)の筒部(Yc)内周面に固着されて前記ステータ(S)と対向する磁石(M)と、前記ヨーク(Y)を被覆する有底円筒状のカバー(C)とを備え、
前記カバー(C)は、前記ヨーク(Y)の筒部(Yc)外周面を環状空隙(20)を挟んで同心状に囲繞し且つ前記ブレーキ機構(B)のブレーキシュー(Bs)が外周面に圧接可能なカバー筒部(Cc)と、そのカバー筒部(Cc)の一端に連なり前記ヨーク(Y)の底壁部(Yb)に結合されるカバー底壁部(Cb)とを有しており、
前記ヨーク(Y)の底壁部(Yb)と前記カバー底壁部(Cb)との間には、前記環状空隙(20)に通じる通風間隙(21)が形成されると共に、その通風間隙(21)をヨーク(Y)外に連通させる通風孔(hy,hc)が、前記ヨーク(Y)の底壁部(Yb)及び前記カバー底壁部(Cb)に穿設されることを特徴とする動力作業機用回転電機。
【請求項2】
前記カバー底壁部(Cb)の外面には、前記環状空隙(20)、前記通風間隙(21)及び前記通風孔(hy,hc)内に冷却風を強制流通させる冷却ファン(F)が結合されることを特徴とする、請求項1に記載の動力作業機用回転電機。
【請求項3】
前記ヨーク(Y)の底壁部(Yb)と前記カバー底壁部(Cb)との間は、その間にハブ(H)を挟むようにして結合され、そのハブ(H)が一体に有するボス部(Hb)が前記クランク軸(5)に結合されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の動力作業機用回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力芝刈機等の動力作業機の動力源となるエンジンに連動連結されると共にブレーキ機構により制動可能な動力作業機用回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動力芝刈機の刈り刃を駆動し得るエンジンに連動連結されるフライホイール等の機能部品を、これにブレーキ機構のブレーキシューを圧接させることで、エンジンのクランク軸を制動可能としたものは、例えば特許文献1に開示されるように知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−282552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような動力作業機において、ブレーキ機構による制動対象として、フライホイールに代えて、例えば回転電機のロータ、特に有底円筒状のヨークを選定した場合には、そのヨークの筒部外周面にブレーキ機構のブレーキシューを圧接させることになる。この場合、ブレーキドラムを兼ねるヨークが、制動時の摩擦熱で高温となったり或いは制動荷重で歪みや変形を起こしたりすれば、回転電機の性能低下や磁石の破損、接合強度の低下等の問題を生じる虞れがある。また、回転電機の作動時にコイルや磁石等から発生する熱に因り、ブレーキドラムとしてのヨークが高温となれば、ブレーキ性能の低下を来たす虞れがある。
【0005】
そこで上記問題の対策手段として、例えばヨーク内周と磁石との間に、磁石の破損・脱落防止のための保護カバーを設けたり、或いはヨーク自体の肉厚を厚くして剛性を高め且つ熱を伝わりにくくすることが考えられる。しかしながら何れの場合も製造コストが嵩み、また特にヨークを厚肉にする場合には、重量増、延いてはコスト増や燃費悪化を招くと共にエンジンの慣性マスが増える等の問題がある。
【0006】
本発明は、かゝる事情に鑑みてなされたもので、簡単な構造で上記問題を一挙に解決できるようにした動力作業機用回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、動力作業機の動力源となるエンジンに連動連結されると共にブレーキ機構により制動可能な動力作業機用回転電機であって、エンジン本体に固定されるステータと、そのステータを囲繞する筒部の一端に底壁部を連ねて有底円筒状に形成され且つエンジンのクランク軸に結合されるヨークと、そのヨークの筒部内周面に固着されて前記ステータと対向する磁石と、前記ヨークを被覆する有底円筒状のカバーとを備え、前記カバーは、前記ヨークの筒部外周面を環状空隙を挟んで同心状に囲繞し且つ前記ブレーキ機構のブレーキシューが外周面に圧接可能なカバー筒部と、そのカバー筒部の一端に連なり前記ヨークの底壁部に結合されるカバー底壁部とを有しており、前記ヨークの底壁部と前記カバー底壁部との間には、前記環状空隙に通じる通風間隙が形成されると共に、その通風間隙をヨーク外に連通させる通風孔が、前記ヨークの底壁部及び前記カバー底壁部に穿設されることを第1の特徴とする。
【0008】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記カバー底壁部の外面には、前記環状空隙、前記通風間隙及び前記通風孔内に冷却風を強制流通させる冷却ファンが結合されることを第2の特徴とする。
【0009】
また本発明は、第1又は第2の特徴に加えて、前記ヨークの底壁部と前記カバー底壁部との間は、その間にハブを挟むようにして結合され、そのハブが一体に有するボス部が前記クランク軸に結合されることを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の特徴によれば、ブレーキ機構により制動可能な動力作業機用回転電機において、エンジンのクランク軸に結合されるヨークを有底円筒状のカバーで被覆し、このカバーは、ヨークの筒部外周面を環状空隙を挟んで同心状に囲繞し且つブレーキシューが外周面に圧接可能なカバー筒部と、そのカバー筒部の一端に連なりヨークの底壁部に結合されるカバー底壁部とを有し、ヨークの底壁部とカバー底壁部との間には、前記環状空隙に通じる通風間隙が形成され、その通風間隙をヨーク外に連通させる通風孔がヨークの底壁部及びカバー底壁部に穿設されるので、ブレーキドラムとして機能するカバーが制動時に摩擦で高温となったり制動荷重で歪んだりしても、その熱や歪みがヨークに及ぼす影響を効果的に抑えることができて回転電機が性能低下を来たすのを防止でき、また、回転電機の作動時にコイルや磁石等から発生する熱に因りヨークが高温となっても、その熱がカバーには伝わりにくいことから、回転電機の作動熱に因るブレーキ性能の低下を防止できる。しかも、そのヨークとカバー間に形成したクリアランス(前記した環状空隙及び通風間隙)と、それらヨーク及びカバーの各底壁部に設けた通風孔とに冷却風を流通させることができる上、ヨーク及びカバーの表面積を全体として十分に確保可能となって、ヨーク及びカバーを効果的に冷却することができる。これにより、例えばヨーク内周と磁石との間に磁石の保護カバーを特設したり或いはヨーク自体を特別に厚肉化したりする必要がなくなるから、コスト節減や、回転電機の回転部分の軽量化ひいてはエンジンの燃費低減及び慣性マスの軽減に寄与することができる。
【0011】
また特に第2の特徴によれば、カバー底壁部の外面には、前記環状空隙、通風間隙及び通風孔内に冷却風を強制流通させる冷却ファンが結合されるので、ヨーク及びカバー間のクリアランスに冷却風を強制的に流通させて、それらヨーク及びカバーに対する冷却効果を更に高めることができる。
【0012】
また特に第3の特徴によれば、ヨークの底壁部とカバー底壁部との間は、その間にハブを挟むようにして結合され、そのハブと一体のボス部がクランク軸に結合されるので、ヨーク及びカバーを共通のハブを介して結合一体化してサブアッセンブリ化することができ、従って、それらヨーク及びカバーのクランク軸への脱着作業性が良好であると共に、ヨーク及びカバー間に存するハブを利用して、その間の位置決めとクリアランス設定を精度よく容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る動力芝刈機の全体斜視図
図2】前記動力芝刈機の発電機及びその周辺部の縦断面図(図1の2−2線拡大断面図)
図3図2の3−3線断面図。
図4】前記動力芝刈機に搭載の発電機のロータの一部破断斜視図であって(A)はロータの組立状態を、(B)はロータの分解状態をそれぞれ示す
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態を、添付図面に示す本発明の好適な実施形態に基づいて以下に説明する。
【0015】
先ず、図1において、動力作業機としての歩行型動力芝刈機1は、前輪2f及び後輪2rにより支持される下面開放のハウジング3を有する。このハウジング3の上部にはクランク軸5を鉛直方向に配置したバーチカルエンジンEが搭載されており、そのクランク軸5の下端には、ハウジング3内に配置した回転刈刃7が電磁クラッチ4を介して連結される。そのハウジング3の後端に結合されて斜め後方に延びる操向ハンドル6には芝袋8が取付けられており、この芝袋8内に、刈刃7で刈られた芝を収納するようになっている。尚、後輪2rは、本実施形態では走行用モータ9により駆動されるようになっており、その走行用モータ9とこれに電力を供給するバッテリ(図示せず)とが、ハウジング3内に設置される。
【0016】
図2図4を併せて参照して、エンジンEのクランク軸5の上端には、始動モータを兼ねる発電機GのロータGrが結合され、この発電機Gが本発明の回転電機を構成する。その発電機Gは、これに接続される制御回路の働きにより、エンジンEの始動操作時にのみ始動モータとして機能し、エンジンEの通常の運転状態では発電機能を発揮して発電電力を前記バッテリに蓄える。
【0017】
その発電機GのロータGr上部には、フライホイール兼用の冷却ファンFが結合され、この冷却ファンFとエンジンEの上部とを覆うエンジンカバー10が、エンジン本体Emに固着される。そして、このエンジンカバー10の上部には、カバー10内を流通してエンジンEを冷却した空気の排出孔10aが多数、穿設され、またエンジンカバー10の下部には、エンジンカバー10内へ外気を取り込むための外気吸込口(図示せず)が設けられる。
【0018】
動力芝刈機1には、エンジンEを停止させた状態で発電機GのロータGr(延いてはエンジンEのクランク軸5)を制動するブレーキ機構Bが付設される。そして、そのブレーキ機構Bを制動解除した状態でエンジンEを始動、運転すると、クランク軸5と一体的に回転する冷却ファンFの吸い込み作用で、外気が前記外気吸込口よりエンジンカバー10内に吸い込まれてエンジン本体Emの上部を冷却し、更に図2に鎖線矢印で示すように発電機Gの内部を通過し、これを冷却した後で、エンジンカバー10の前記排出孔10aから強制的に排出される。
【0019】
発電機Gは、エンジン本体Emに固定されるステータSと、そのステータSを囲繞する短円筒状の筒部Ycの上端に略平坦な底壁部Ybを連ねて有底円筒状に形成されるヨークYと、そのヨークYの筒部Yc内周面に周方向に互いに間隔をおいて接合固定されてステータSと対向する複数の磁石Mと、ヨークYを被覆する有底円筒状のカバーCとを備えている。
【0020】
前記ステータSは、従来周知のステータと同様、ステータコイルを外周部に有して円環状に形成されており、またそのステータコア部がステータベース12上にボルト13で固定され、そのステータベース12は、エンジン本体Emの上部にボルト14で固定される。更にステータベース12には、発電機GのロータGrの回転を検出するセンサ15が固定される。
【0021】
前記ヨークYは、その底壁部Ybが後述するようにハブHを介してエンジンEのクランク軸5に結合される。尚、そのヨークYは磁性材料で構成されており、またカバーCは、ヨークYと同一材料で構成してもよいし或いは異なる磁性材料で構成してもよく、或いはまた非磁性材料で構成してもよい。
【0022】
前記カバーCは、ヨークYの筒部Yc外周面を環状空隙20を挟んで同心状に囲繞するカバー筒部Ccと、そのカバー筒部Ccの上端に連なり且つヨークYの底壁部Ybに対面、結合される略平坦なカバー底壁部Cbとを有しており、カバー筒部Ccの下端は、ヨーク底壁部Ybの下端よりも下方に長く延びている。このようにカバーCがヨークYの周囲を広範囲に覆うことで、磁路の漏れが効果的に抑えられ、前記センサ15のセンシング性能の向上が図られる。
【0023】
また、ヨークYの底壁部Ybとカバー底壁部Cbとの対向面間には、前記環状空隙20に直接連通する扁平な通風間隙21が形成されており、その通風間隙21をヨークY外に連通させる通風孔hy,hcが、ヨークYの底壁部Yb及びカバー底壁部Cbに穿設される。本実施形態では、特にヨークYの底壁部Ybにおいて、各々扇形状に形成した複数の通風孔hyが周方向に間隔をおいて配列される。一方、カバー底壁部Cbの複数の通風孔hcは、ヨーク底壁部Ybの通風孔hyと重なる位置で各々扇形状に形成されており、しかもその各通風孔hcの開口面積は、ヨーク底壁部Ybの通風孔hyの開口面積よりも多少大きく設定される。
【0024】
カバー底壁部Cb上には、フライホイール機能を兼ねる前記冷却ファンFが一体に回転するように取付けられ、この冷却ファンFの吸い込み作用により、後述するように環状空隙20、通風間隙21及び通風孔hy,hc内に冷却風を順次、強制流通させることができる。
【0025】
この冷却ファンFは、概ね扁平な皿状に形成されてカバー底壁部Cbの上面に重なるファンベースFmと、そのファンベースFmの上面に一体に突設される多数の羽根部Fbとで構成される。そして、ファンベースFmには、前記通風孔hy,hcに対応した位置に上方膨出部22が形成され、その上方膨出部22の頂部に、通風孔hy,hcと連通する通風孔hfが貫通、形成される。次に、この冷却ファンFを、ヨークY及びカバーCと共にハブHを介してクランク軸5に固定する構造について説明する。
【0026】
そのハブHは、ヨークY及びカバーCの底壁部Yb,Cb間に挟持されてその間のスペーサ機能を果たす(即ち前記通風間隙21を一定に保持する)リング板状のハブ本体Hmと、そのハブ本体Hmの内周部より下方に一体に延出する円筒状のボス部Hbとを備える。そして、カバーCの底壁部Cb内周がハブ本体Hm上面の環状突起23に嵌合することにより、またヨークYの底壁部Yb内周がボス部Hbの外周上端に嵌合することにより、ヨークY及びカバーCがハブHに対しそれぞれ位置決めされる。
【0027】
またヨークY及びカバーCの底壁部Yb,Cbは、その両者Yb,Cbとハブ本体Hmとを貫通する複数のリベット24を介して一体的に結合される。そして、その結合体が発電機GのロータGrを構成する。
【0028】
また冷却ファンF及びカバーCは、複数のボルト25によりハブHに締結される。それらボルト25は、前記リベット24とは異なる位置でファンベースFm及びカバー底壁部Cbを貫通してハブ本体Hmに螺挿される。そして、ハブHのボス部Hbは、クランク軸5の上端部外周にテーパ嵌合されてナット26により締結される。尚、クランク軸5とハブボス部Hbとの嵌合部には、従来周知の回り止め手段(図示例ではキー27及びキー溝28)が設けられる。
【0029】
かくして、このハブHを介して冷却ファンF、カバーC及びヨークYの三者が、相互に結合され且つクランク軸5に固定される。
【0030】
ところでカバーCは、前記ブレーキ機構Bのブレーキドラムとして機能するものであり、そのカバー筒部Ccの外周面に対しブレーキ機構Bの作動時にブレーキシューBsが圧接することでカバーC、延いてはクランク軸5が制動される。
【0031】
そのブレーキシューBsは、カバー筒部Ccの外周面に圧接し得る摩擦材よりなるライニング30と、このライニング30の背面を固定支持するシュー本体31とから構成される。そして、そのシュー本体31は、エンジン本体Emの上面にボルト32で締結した支持ブラケット33に枢軸34を介して回動可能に軸支される。これにより、ブレーキシューBsは、カバー筒部Ccの外周面にライニング30を圧接させる制動位置(図3実線位置)と、同外周面からライニング30が離間した制動解除位置(図3鎖線位置)との間を回動可能である。そのブレーキシューBsのシュー本体31と支持ブラケット33との間には、ブレーキシューBsを常に制動位置側(図3で反時計方向)に弾発付勢するブレーキばね35が介装されている。
【0032】
また前記シュー本体31には解除アーム36が一体に形成されており、そのアーム36の先端には、前記操向ハンドル6に軸支された制動解除レバーL(図1参照)により牽引操作される操作ワイヤ37が接続される。そして、この操作ワイヤ37をブレーキばね35に抗して牽引すると、解除アーム36を介してブレーキシューBsを制動解除位置側へ回動操作することができる。
【0033】
更に支持ブラケット33にはエンジンキルスイッチ38が設置される。このエンジンキルスイッチ38は、ブレーキシューBsが制動位置にきたとき、それに連動してエンジンEの点火回路(図示せず)を不作動にしてエンジンEの作動を停止させるようになっており、またブレーキシューBsが制動解除位置にあるときには、それに連動してエンジンEの前記点火回路を作動可能とする。尚、エンジンキルスイッチの構造機能は従来周知である。
【0034】
また、操向ハンドル6には、エンジンEの始動・停止操作や回転速度の調整操作を行うためのエンジンレバーAが設けられる。そして、発電機Gに接続される制御回路(図示せず)は、制動解除レバーLを牽引操作した状態でエンジンレバーAを始動操作したときだけ発電機Gへの通電がなされて発電機Gが始動モータとして機能するように作動し、またエンジンEの始動完了後は発電機Gへの通電を停止させて発電機Gが発電機能を発揮するように作動する。
【0035】
尚、操向ハンドル6には、前記した制動解除レバーLやエンジンレバーAの他、芝刈機1を快適に操作するための種々の操作レバー(例えば走行用モータ9を制御して走行・停止を切換える走行レバーや、エンジンEを運転状態としたまま電磁クラッチ4を制御して刈刃7の回転・停止を切換える刈刃クラッチレバー等)が必要に応じて設けられるが、これら操作レバーは本発明の要旨と関係ないので、その図示及び具体的な機能説明は省略する。
【0036】
次に、前記実施形態の作用について説明する。
【0037】
エンジンEの停止状態で制動解除レバーLを操作していない場合には、ブレーキばね35に弾発付勢されたブレーキシューBsが、図2図3に実線で示すように制動位置にあって、発電機GのロータGr(カバーC)を介してクランク軸5に制動力をかけ、エンジンEの停止状態を保持している。
【0038】
動力芝刈機1を稼働させるには、先ず、作業者は制動解除レバーLを操向ハンドル6のグリップ部6gと共に握って操作ワイヤ37をブレーキばね35に抗して牽引する。この牽引操作により、ブレーキシューBsが制動解除位置へ回動して発電機ロータGrに対する制動力を解除するので、クランク軸5が自由状態となる。このときブレーキシューBsに連動してエンジンキルスイッチ38は不作動状態にされ、エンジンEの図示しない点火回路が作動可能となる。そして、このような制動解除レバーLの牽引操作状態でエンジンレバーAを始動位置に操作すればエンジンEを始動させることができる。
【0039】
而して、エンジンEが始動されれば、電磁クラッチ4の接続状態でクランク軸5が刈刃7を回転駆動するので、作業者は操向ハンドル6のグリップ部6gを制動解除レバーと共に握りながら動力芝刈機1を押し動かして、芝刈作業を行うことができる。尚、この芝刈作業中、芝刈機1の走行用モータ9による走行・停止は、前記した走行レバーにより行い、またエンジンEを運転したまま刈刃7を停止させるには、前記した刈刃クラッチレバーを操作して電磁クラッチ4を切断すればよい。
【0040】
動力作業機1による作業が終了して、作業者が牽引し続けていた制動解除レバーLから手を離すと、ブレーキシューBsは、ブレーキばね35の付勢力により、発電機GのロータGr(カバーCの筒部Cc)に圧接する制動位置に自動的に戻りながらエンジンキルスイッチ38を作動させるので、ロータGrを介してクランク軸5が制動され、エンジンEは直ちに運転停止状態に保持される。
【0041】
而して、本実施形態においては、発電機Gの有底円筒状のヨークYが同じく有底円筒状のカバーCで被覆され、このカバーCが、ヨーク筒部Yc外周面を環状空隙20を挟んで同心状に囲繞し且つブレーキシューBsが外周面に圧接可能なカバー筒部Ccと、そのカバー筒部Ccの上端に連なりヨーク底壁部Ybに結合されるカバー底壁部Cbとを有しており、そのヨーク底壁部Ybとカバー底壁部Cbとの間に、前記環状空隙20に通じる通風間隙21が形成されると共に、その通風間隙21をヨークY外に連通させる通風孔hy,hcが、ヨーク底壁部Yb及びカバー底壁部Cbに穿設される。これにより、ブレーキドラムとして機能するカバーCが制動時に摩擦で高温となったり制動荷重で歪んだりしても、その熱や歪みがヨークYに及ぼす影響が効果的に抑えられて発電機Gが性能低下を来たすのを防止でき、また、発電機Gの作動時にコイルや磁石M等から発生する熱に因りヨークYが高温となっても、その熱がカバーCには伝わりにくいことから、発電機Gの作動熱に因るブレーキ性能の低下が防止される。
【0042】
しかも、そのヨークYとカバーC間に形成したクリアランス(環状空隙20及び通風間隙21)と、それらヨークY及びカバーCの底壁部Yb,Cbに設けた通風孔hy,hcとに、冷却ファンFの吸込作用に基づき冷却風を強制的に流通させることができる上、ヨークY及びカバーCの表面積を全体として十分に確保可能となることから、ヨークY及びカバーCを効果的に冷却できる。その結果、例えばヨークY内周と磁石Mとの間に磁石の保護カバーを特設したり或いはヨークYを特別に厚肉化したりする必要がなくなるから、コスト節減が図られ、また発電機Gの回転部分の軽量化ひいてはエンジンの燃費低減及び慣性マスの軽減が図られる。
【0043】
更に本実施形態では、ヨークY及びカバーCの底壁部Yb,Cbの相互間が、その間にハブHを挟んだ状態で結合されると共に、そのハブHにカバーC及び冷却ファンFが共締めされ、そのハブHと一体のボス部Hbがクランク軸5に結合されるので、ヨークY、カバーC及び冷却ファンFを共通1個のハブHを介して結合一体化してサブアッセンブリ化することができ、それらヨークY、カバーC及び冷却ファンFのクランク軸5への脱着作業性が良好である。しかもヨークY及びカバーCは、それら間に存するハブHを利用して相互の位置決めを的確に行うことができると共に、その間のクリアランス20,21の設定を精度よく行うことができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【0045】
例えば、前記実施形態では、回転電機として、始動モータに兼用される発電機G(セルダイナモ)を例示したが、本発明は発電専用の回転電機に適用してもよく、その場合は、エンジンEには、従来周知の始動装置(例えばリコイル式スタータ、キックスタータ、始動専用モータ等)が付設される。
【0046】
また前記実施形態では、動力作業機として動力芝刈機を例示し、その動力芝刈機に搭載したエンジンEで刈刃7を駆動するようにしたものを示したが、本発明では、動力芝刈機以外の種々の動力作業機の動力源となるエンジンに連動連結される回転電機に実施してもよい。
【0047】
また前記実施形態では、冷却ファンFの吸い込み作用によりエンジンカバー10の下部から吸い込んだ外気を上方に吸い上げ、エンジンEの周囲空間及び発電機G内部を通してエンジンカバー10の上部から排出させるようにしたものを示したが、本発明では、冷却ファンFの吸い込み方向を前記実施形態とは上下逆向きとして、エンジンカバー10内にその上部から吸い込んだ外気を、発電機Gの内部及びエンジンEの周囲空間を通してエンジンカバー10の下部から排出させるようにしてもよい。
【0048】
また前記実施形態では、エンジンEが、クランク軸5を鉛直配置したバーチカルエンジンであるものを示したが、本発明では、クランク軸を水平配置したエンジンに適用してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1・・・・・動力作業機(動力芝刈機)
5・・・・・クランク軸
20・・・・環状空隙
21・・・・通風間隙
B・・・・・ブレーキ機構
Bs・・・・ブレーキシュー
C・・・・・カバー
Cb・・・・カバー底壁部
Cc・・・・カバー筒部
E・・・・・バーチカルエンジン(エンジン)
Em・・・・エンジン本体
F・・・・・冷却ファン
G・・・・・発電機(回転電機)
Gr・・・・ロータ
H・・・・・ハブ
Hb・・・・ハブのボス部
hy,hc・・・通風孔
M・・・・・磁石
S・・・・・ステータ
Y・・・・・ヨーク
Yb・・・・ヨークの底壁部
Yc・・・・ヨークの筒部
図1
図2
図3
図4